【実施例1】
【0018】
(鞍乗型車両)
図1は本発明の第1の実施例の車体フレーム11が設けられた鞍乗型車両1を左方から見た状態を示している。なお、以下の各実施例において、部品の配置や形状等につき方向を述べる際には、鞍乗型車両1の運転者を基準とする。各図の右下に描いた矢印が指す前(F)、後(B)、左(L)、右(R)、上(U)および下(D)は鞍乗型車両1の運転者を基準とした方向を示している。
【0019】
図1において、鞍乗型車両1は例えば自動二輪車である。鞍乗型車両1は、その骨格を形成する車体フレーム11を備えている。車体フレーム11の前部には、ステアリングシャフト81が支持され、ステアリングシャフト81にはブラケットを介してフロントフォーク82が支持され、フロントフォーク82には前輪83が支持されている。また、車体フレーム11の前後方向の略中間部にはエンジン84が支持されている。エンジン84は、クランクケース85、シリンダ86およびシリンダヘッド87を備えている。また、エンジン84の下方にはマフラ88が設けられている。また、シリンダヘッド87の前部に設けられた排気ポートとマフラ88とは排気管89により接続されている。また、車体フレーム11の後部下側にはスイングアーム90の前端部が支持され、スイングアーム90の後端側には後輪91が支持されている。また、車体フレーム11の上側には燃料タンク92が設けられ、燃料タンク92の後方には運転シート93が設けられている。
【0020】
(車体フレーム)
図2は車体フレーム11を左方から見た状態を示し、
図3は車体フレーム11を上方から見た状態を示し、
図4は車体フレーム11を後方から見た状態を示している。なお、
図4では、説明の便宜上、車体フレーム11において、ボディフレーム21およびシートフレーム構造51以外の部分を二点鎖線で示している。
図5は、分解した状態のボディフレーム21とシートフレーム構造51を示している。
図6は、ボディフレーム21とシートフレーム構造51との接続構造を示している。
【0021】
図2および
図3に示すように、車体フレーム11は、ヘッドパイプ12、一対の上タンクレール13、一対の下タンクレール14、一対のダウンチューブ15、複数の補強部材16、複数の補強フレーム17、ボディフレーム21およびシートフレーム構造51を備えている。
【0022】
ヘッドパイプ12は、例えば鋼鉄等の金属により形成された筒状の部材であり、
図1に示すように、鞍乗型車両1の前上部、すなわちエンジン84の前上方に配置されている。ヘッドパイプ12内にはステアリングシャフト81が回転可能に支持されている。
【0023】
各上タンクレール13、各下タンクレール14、各ダウンチューブ15および各補強フレーム17は例えば鋼鉄等の金属により形成されたパイプである。一対の上タンクレール13は、それらの前端部がヘッドパイプ12の上部にそれぞれ接続され、後端側がエンジン84の左上側および右上側を下方へ傾斜しつつ後方へそれぞれ伸長している。また、一対の上タンクレール13は、
図3に示すように、それらの前端部分が互いに接近しているが、後方へ伸長するに連れて左右方向に大きく拡がる。その後、一対の上タンクレール13は、
図1と
図3とを比較しながら見るとわかる通り、平面視でエンジン84のシリンダヘッド87を越えた辺りで、後方へ伸長するに連れて互いに徐々に接近している。
【0024】
一対の下タンクレール14は、一対の上タンクレール13の下方に配置されている。一対の下タンクレール14は、それらの前端部がヘッドパイプ12の下部にそれぞれ接続され、後端側がエンジン84の左上側および右上側を下方へ傾斜しつつ後方へそれぞれ伸長している。また、一対の下タンクレール14は、
図3に示すように、一対の上タンクレール13と同様の軌跡を辿って後方へそれぞれ伸長しているが、一対の上タンクレール13よりも外側を通っている。
【0025】
一対のダウンチューブ15は、
図2に示すように、それら前端部が一対の下タンクレール14の前端側にそれぞれ接続され、後端側が僅かに後方へ傾斜しつつ下方へそれぞれ伸長している。また、各ダウンチューブ15の下端部には第1のエンジンマウント部71が設けられている。左側の第1のエンジンマウント部71には、
図1に示すように、シリンダ86の左前部またはシリンダヘッド87の左前部が固定されている。また、右側の第1のエンジンマウント部71には、シリンダ86の右前部またはシリンダヘッド87の右前部が固定されている。
【0026】
また、
図4に示すように、一対の上タンクレール13の前端側には各上タンクレール13およびヘッドパイプ12の相互の接続を補強する補強部材16が設けられている。また、一対の下タンクレール14の前端側にも各下タンクレール14およびヘッドパイプ12の相互の接続を補強する補強部材16が設けられている。また、
図2に示すように、車体フレーム11の左側において、上タンクレール13と下タンクレール14との間には2本の補強フレーム17が設けられている。また、下タンクレール14においてダウンチューブ15の上端部が接続された部分よりも後方の部分とダウンチューブ15の下端部との間にも補強フレーム17が設けられている。車体フレーム11の右側も同様に複数の補強フレーム17が設けられている。
【0027】
(ボディフレーム)
ボディフレーム21は、各上タンクレール13の後端部および各下タンクレール14の後端部をそれぞれ支持する機能、スイングアーム90の前端部を支持する機能、およびシートフレーム構造51を支持する機能を併せ持ったフレームである。ボディフレーム21は、
図1に示すように、エンジン84の後方に配置されている。
【0028】
ボディフレーム21は、
図4に示すように、エンジン84の後方左側に配置された左フレーム部22と、エンジン84の後方右側に配置された右フレーム部23と、左フレーム部22の上部と右フレーム部23の上部とを連結する上連結部26と、左フレーム部22の下部と右フレーム部23の下部とを連結する下連結部27とを備えている。
【0029】
図5に示すように、左フレーム部22は、内側板部24と外側板部25とを互いに接合することにより形成されている。すなわち、内側板部24および外側板部25は、金属板をプレス加工することによりそれぞれ形成されている。内側板部24の前側の縁部および後ろ側の縁部はそれぞれ左方に突出するように折り曲げられている。また、外側板部25の前側の縁部および後ろ側の縁部はそれぞれ右方に突出するように折り曲げられている。左フレーム部22は、内側板部24の前側および後ろ側の縁部と、外側板部25の前側および後ろ側の縁部とを互いに合わせ、内側板部24の前側の縁部と外側板部25の前側の縁部とを溶接し、内側板部24の後ろ側の縁部と外側板部25の後ろ側の縁部とを溶接することにより形成されている。一方、右フレーム部23は、左フレーム部22と左右対称の構造を有し、左フレーム部22と同様に、内側板部24と外側板部25とを互いに接合することにより形成されている。他方、上連結部26および下連結部27はそれぞれ、例えば鉄またはアルミニウム等の金属により形成され、これらは例えば鋳造により成形されている。左フレーム部22および右フレーム部23のそれぞれの上端部は上連結部26の左部および右部にそれぞれ例えば溶接により接合されている。また、左フレーム部22および右フレーム部23のそれぞれの下端部は下連結部27の左部および右部にそれぞれ例えば溶接により接合されている。
【0030】
また、
図4に示すように、ボディフレーム21の上部は、後方へ行くに連れて幅が小さくなり、窄んだ形状となっている。これにより、鞍乗型車両1の後部上側(運転シート93からその後方にかけての部分)を、後方に行くに連れて幅が絞り込まれたシャープなデザインにすることができる。
【0031】
また、
図2に示すように、ボディフレーム21の左上部前側には2つのタンクレール接続部28が設けられている。これらタンクレール接続部28のうち、上側のタンクレール接続部28には左側の上タンクレール13の後端部が接続され、下側のタンクレール接続部28には左側の下タンクレール14の後端部が接続されている。また、
図3に示すように、ボディフレーム21の右上部前側にも2つのタンクレール接続部28が設けられている。これらタンクレール接続部28のうち、上側のタンクレール接続部28には右側の上タンクレール13の後端部が接続され、下側のタンクレール接続部28には右側の下タンクレール14の後端部が接続されている。
【0032】
また、
図5に示すように、左側の2つのタンクレール接続部28は、左フレーム部22の外側板部25と上連結部26との合わせた部分に形成されている。左側の上タンクレール13および下タンクレール14のそれぞれの後端部は上連結部26および外側板部25にそれぞれ溶接されている。同様に、右側の2つのタンクレール接続部28は、右フレーム部23の外側板部25と上連結部26との合わせた部分に形成されており、右側の上タンクレール13および下タンクレール14のそれぞれの後端部は上連結部26および外側板部25にそれぞれ溶接されている。
【0033】
また、
図2に示すように、ボディフレーム21の左上部前側において左下側のタンクレール接続部28よりも下側の部分には、第2のエンジンマウント部72が設けられている。同様に、ボディフレーム21の右上部前側において右下側のタンクレール接続部28よりも下側の部分にも、第2のエンジンマウント部72が設けられている。各第2のエンジンマウント部72は、上連結部26に一体形成されている。各第2のエンジンマウント部72には、エンジン84のクランクケース85の後部上側(トランスミッションケースを構成する部分の後部上側)が固定されている。
【0034】
また、ボディフレーム21の左下部前側には、第3のエンジンマウント部73が設けられている。同様に、ボディフレーム21の右下部前側にも、第3のエンジンマウント部73が設けられている。各第3のエンジンマウント部73には、エンジン84のクランクケース85の後部下側(トランスミッションケースを構成する部分の後部下側)が固定されている。各第3のエンジンマウント部73は、下連結部27に一体形成されている。
【0035】
また、ボディフレーム21において、左フレーム部22の上下方向略中間部、および右フレーム部23の上下方向略中間部にはピボット支持部30がそれぞれ設けられている。ピボット支持部30間にはスイングアーム90の前端部が回動可能に支持されている。
【0036】
また、
図4に示すように、ボディフレーム21の上部後ろ側であって左右方向中間部には、リアクッション接続部31が設けられている。リアクッション接続部31は上連結部26に一体形成されている。また、ボディフレーム21の下部後ろ側であって左右方向中間部には、リンク部材接続部32が設けられている。リンク部材接続部32は下連結部27に一体形成されている。
図1に示すように、リアクッション接続部31には、リアクッション94の上端部が接続されている。また、リンク部材接続部32には、リアクッション94の下端部とスイングアーム90とを連結するリンク部材95の一部が接続されている。
【0037】
また、
図1に示すように、左フレーム部22の後部の上下方向略中間部、および右フレーム部23の後部の上下方向略中間部には、ステー96を介してフットレスト97がそれぞれ取り付けられている。
【0038】
また、
図5に示すように、ボディフレーム21の上面、具体的には上連結部26の上面26Aには、シートフレーム構造51をボディフレーム21に接続するための第1のシートフレーム接続部41、第2のシートフレーム接続部42および第3のシートフレーム接続部43が設けられている。第1のシートフレーム接続部41は、上連結部26の上面26Aにおける左前側に配置されている。具体的には、第1のシートフレーム接続部41は、左側の上タンクレール13の後端部が接続されたタンクレール接続部28の上部に配置されている。また、第2のシートフレーム接続部42は、上連結部26の上面26Aにおける右前側に配置されている。具体的には、第2のシートフレーム接続部42は、右側の上タンクレール13の後端部が接続されたタンクレール接続部28の上部に配置されている。また、第3のシートフレーム接続部43は、上連結部26の上面26Aにおいて、
図2に示すように鞍乗型車両1の側面視で第1のシートフレーム接続部41および第2のシートフレーム接続部42よりも後ろ側かつ下側に配置され、かつ、
図5に示すように左右方向において第1のシートフレーム接続部41と第2のシートフレーム接続部42との間に配置されている。
【0039】
また、
図2および
図4に示すように、上連結部26の上面26Aは、後方に行くに連れて下方に傾斜する平面である。この上面26Aに設けられた第1のシートフレーム接続部41、第2のシートフレーム接続部42および第3のシートフレーム接続部43はそれぞれ同一平面上に配置されている。
【0040】
また、第1のシートフレーム接続部41、第2のシートフレーム接続部42および第3のシートフレーム接続部43には、シートフレーム構造51をボディフレーム21に固定するための締結部材66を締着するための締結穴44がそれぞれ形成されている。また、締結穴44の内周面にはねじが形成されている。
【0041】
(シートフレーム構造)
シートフレーム構造51は、主に運転シート93を支持するフレーム構造である。シートフレーム構造51は、
図2および
図3に示すように、左上シートフレーム52と、右上シートフレーム53と、左下シートフレーム54と、右下シートフレーム55と、第1のブリッジ56と、左連結フレーム57と、右連結フレーム58と、第2のブリッジ59と、第1、第2および第3の接続部材61、62、63とを有している。
【0042】
左上シートフレーム52、右上シートフレーム53、左下シートフレーム54、右下シートフレーム55、第1のブリッジ56、左連結フレーム57、右連結フレーム58および第2のブリッジ59は、例えば鋼鉄等の金属により形成されたパイプである。
【0043】
左上シートフレーム52の前端部は第1の接続部材61を介してボディフレーム21の第1のシートフレーム接続部41に接続されている。この接続構造は例えば次の通りである。すなわち、
図6に示すように、左上シートフレーム52の前端部には第1の接続部材61が例えば溶接により接合されている。第1の接続部材61は、金属により形成され、例えばボルト等の締結部材66の頭部を挿入することができる大径の挿入穴64と、締結部材66の軸部のみを貫通させることができる小径の貫通孔65とを備えている。第1の接続部材61は、第1の接続部材61を第1のシートフレーム接続部41の上に置き、第1の接続部材61の上方から挿入穴64内に締結部材66を挿入し、さらに締結部材66の軸部を貫通孔65内に通し、さらに締結部材66の軸部を第1のシートフレーム接続部41の締結穴44に締め付けることにより、第1のシートフレーム接続部41に締結されている。そして、このように第1の接続部材61が第1のシートフレーム接続部41に締結されることにより、左上シートフレーム52の前端部が第1のシートフレーム接続部41に固定されている。
【0044】
右上シートフレーム53の前端部は第2の接続部材62を介してボディフレーム21の第2のシートフレーム接続部42に接続されている。この接続構造は、左上シートフレーム52の前端部と第1のシートフレーム接続部41との接続構造と同様である。
【0045】
また、
図2に示すように、左上シートフレーム52の後端側はエンジン84の後方左側を上方に傾斜しつつ後方へ略直線状に伸長している。また、右上シートフレーム53の後端側はエンジン84の後方右側を上方に傾斜しつつ後方へ略直線状に伸長している。また、
図3に示すように、左上シートフレーム52および右上シートフレーム53は、後方に行くに連れて互いに接近するように、それぞれ左右方向内側にわずかに傾斜している。この結果、左上シートフレーム52および右上シートフレーム53において、それぞれの後端部の間隔はそれぞれの前端部の間隔よりも小さい。
【0046】
一方、左下シートフレーム54の前端部および右下シートフレーム55の前端部は、第3の接続部材63を介してボディフレーム21の第3のシートフレーム接続部43に接続されている。この接続構造は例えば次の通りである。すなわち、
図3に示すように、左下シートフレーム54の前端部および右下シートフレーム55の前端部は、第3の接続部材63に例えば溶接によりそれぞれ接合されている。第3の接続部材63は、第1の接続部材61と同様に、大径の挿入穴64と小径の貫通孔65とを備えている。第3の接続部材63は、第3の接続部材63を第3のシートフレーム接続部43の上に置き、第3の接続部材63の上方から挿入穴64内に締結部材66を挿入し、さらに締結部材66の軸部を貫通孔65内に通し、さらに締結部材66の軸部を第3のシートフレーム接続部43の締結穴44に締め付けることにより、第3のシートフレーム接続部43に締結されている。そして、このように第3の接続部材63が第3のシートフレーム接続部43に締結されることにより、左下シートフレーム54の前端部および右下シートフレーム55の前端部が第3のシートフレーム接続部43に固定されている。
【0047】
また、左下シートフレーム54の後端側は、
図2および
図3に示すように、上方かつ左方に傾斜しつつ後方へ直線状に伸長している。そして、左下シートフレーム54の後端部は左上シートフレーム52の後端部に例えば溶接により接続されている。一方、右下シートフレーム55の後端側は、上方かつ右方に傾斜しつつ後方へ直線状に伸長している。そして、右下シートフレーム55の後端部は右上シートフレーム53の後端部に例えば溶接により接続されている。
【0048】
また、第1のブリッジ56は、
図3に示すように、左上シートフレーム52の後端部と右上シートフレーム53の後端部とを接続している。これにより、左下シートフレーム54の後端部と右下シートフレーム55の後端部も第1のブリッジ56によって接続されている。また、第1のブリッジ56の左端側は、左上シートフレーム52よりも左方へ突出し、第1のブリッジ56の右端側は、右上シートフレーム53よりも右方へ突出している。
【0049】
左連結フレーム57の前端部は左下シートフレーム54の前端部に例えば溶接により接続されている。また、右連結フレーム58の前端部は右下シートフレーム55の前端部に例えば溶接により接続されている。なお、左連結フレーム57の前端部および右連結フレーム58の前端部は、第3の接続部材63に直接接続することが望ましい。しかしながら、本実施例では、第3の接続部材63に、左連結フレーム57の前端部および右連結フレーム58の前端部の接続に要するスペースを確保することが困難であるため、左連結フレーム57の前端部および右連結フレーム58の前端部は、第3の接続部材63に極めて接近した部分、すなわち、左下シートフレーム54の前端部および右下シートフレーム55の前端部にそれぞれ接続されている。
【0050】
また、左連結フレーム57の後端部は、
図2および
図3に示すように、上方かつ左方に傾斜しつつ後方へ直線状に伸長している。そして、左連結フレーム57の後端部は左上シートフレーム52の前端部と後端部との間、具体的には、本実施例では左上シートフレーム52の前後方向中間部に例えば溶接より接続されている。右連結フレーム58の後端部は、上方かつ右方に傾斜しつつ後方へ直線状に伸長している。そして、右連結フレーム58の後端部は右上シートフレーム53の前端部と後端部との間、具体的には、本実施例では右上シートフレーム53の前後方向中間部に例えば溶接より接続されている。
【0051】
第2のブリッジ59は、
図3に示すように、左上シートフレーム52において左連結フレーム57の後端部が接続された部分と、右上シートフレーム53において右連結フレーム58の後端部が接続された部分との間を接続している。
【0052】
このような構成を有する本発明の実施例の車体フレーム11において、シートフレーム構造51には、多数の三角形の骨組み構造が形成されており、これらの三角形の骨組み構造により、シートフレーム構造51の剛性を高めることができる。
【0053】
具体的に説明すると、まず、
図2に示すように、シートフレーム構造51を左方から見るとわかるとおり、シートフレーム構造51には、左上シートフレーム52と、左下シートフレーム54と、上連結部26において第1のシートフレーム接続部41と第3のシートフレーム接続部43との間の部分とからなる三角形の骨組み構造が形成されている。さらに、シートフレーム構造51には、左上シートフレーム52の前部と、左連結フレーム57と、上連結部26において第1のシートフレーム接続部41と第3のシートフレーム接続部43との間の部分とからなる三角形の骨組み構造が形成されている。さらに、シートフレーム構造51には、左上シートフレーム52の後部と、左下シートフレーム54と、左連結フレーム57とからなる三角形の骨組み構造が形成されている。また、シートフレーム構造51を右方から見るとわかるとおり、シートフレーム構造51には、右上シートフレーム53と、右下シートフレーム55と、上連結部26において第2のシートフレーム接続部42と第3のシートフレーム接続部43との間の部分とからなる三角形の骨組み構造が形成されている。さらに、シートフレーム構造51には、右上シートフレーム53の前部と、右連結フレーム58と、上連結部26において第2のシートフレーム接続部42と第3のシートフレーム接続部43との間の部分とからなる三角形の骨組み構造が形成されている。さらに、シートフレーム構造51には、右上シートフレーム53の後部と、右下シートフレーム55と、右連結フレーム58とからなる三角形の骨組み構造が形成されている。シートフレーム構造51におけるこれらの三角形の骨組み構造により、
図2に示すように、シートフレーム構造51の上方または下方からシートフレーム構造51に作用する縦方向の荷重L1に対し、シートフレーム構造51の剛性を高めることができる。例えば、鞍乗型車両1が地面の凹凸上を通過した際にシートフレーム構造51に縦方向に作用する荷重L1に対する剛性を高めることができる。
【0054】
また、
図3に示すように、シートフレーム構造51を上方から見るとわかる通り、シートフレーム構造51には、左下シートフレーム54と、右下シートフレーム55と、第1のブリッジ56とからなる三角形の骨組み構造が形成されている。さらに、シートフレーム構造51には、左連結フレーム57と、右連結フレーム58と、第2のブリッジ59とからなる三角形の骨組み構造が形成されている。さらに、シートフレーム構造51の前端部には、上連結部26において第1のシートフレーム接続部41と第2のシートフレーム接続部42との間の部分と、上連結部26において第2のシートフレーム接続部42と第3のシートフレーム接続部43との間の部分と、上連結部26において第3のシートフレーム接続部43と第1のシートフレーム接続部41との間の部分とからなる三角形の骨組み構造が形成されていると考えることができる。シートフレーム構造51におけるこれらの三角形の骨組み構造により、
図3に示すように、シートフレーム構造51の左方または右方からシートフレーム構造51に作用する横方向の荷重L2に対し、シートフレーム構造51の剛性を高めることができる。例えば、鞍乗型車両1の旋回時にシートフレーム構造51に横方向に作用する荷重L2に対する剛性を高めることができる。
【0055】
また、本発明の実施例の車体フレーム11におけるシートフレーム構造51によれば、当該シートフレーム構造51を構成する各シートフレーム52、53、54、55、57、58および各ブリッジ56、59をそれぞれ接続することで多数の三角形の骨組み構造を形成し、これによりシートフレーム構造51の剛性を高めることができる。したがって、多数の補強部材を追加することなく、シートフレーム構造51の剛性を高めることができ、シートフレーム構造51の部品点数を減らすことができ、シートフレーム構造51の軽量化を図ることができる。
【0056】
また、本発明の実施例の車体フレーム11では、第1のシートフレーム接続部41、第2のシートフレーム接続部42および第3のシートフレーム接続部43がボディフレーム21(上連結部26)の上面26Aに設けられている。そして、左上シートフレーム52の前端部に接合された第1の接続部材61が当該第1の接続部材61の上方から締結部材66を締め付けることにより第1のシートフレーム接続部41に固定されている。さらに、右上シートフレーム53の前端部に接合された第2の接続部材62が当該第2の接続部材62の上方から締結部材66を締め付けることにより第2のシートフレーム接続部42に固定されている。さらに、左下シートフレーム54の前端部および右下シートフレーム55の前端部に接合された第3の接続部材63が当該第3の接続部材63の上方から締結部材66を締め付けることにより第3のシートレール接続部43に固定されている。このような構成により、各締結部材66の弛みを抑制することができ、シートフレーム構造51がボディフレーム21に強固に固定された状態を維持することができ、車体フレーム11の剛性を高めることができる。
【0057】
すなわち、一般に、ボルト等の締結部材は例えば時計回りに回転させることで締まり、反時計回りに回転させることで弛む。このため、締結部材に例えば反時計回り方向に荷重が作用し、その荷重により締結部材が反時計回りに回転すると、締結部材は弛む。これと比較して、締結部材にその軸方向に荷重が作用した場合には、締結部材は弛み難い。この点、
図6に示すように、シートフレーム構造51に縦方向の荷重L1が作用したとき、シートフレーム構造51をボディフレーム21に固定している各締結部材66にはその軸方向に力Fが作用する。したがって、シートフレーム構造51に縦方向に作用する荷重L1に対し、各締結部材66は弛み難い。また、
図3に示すように、シートフレーム構造51はボディフレーム21の上面に配置された3つのシートフレーム接続点41、42、43によりボディフレーム21に固定されているので、シートフレーム構造51に横方向に作用する荷重L2によってシートフレーム構造51がボディフレーム21に対して回転することがない。それゆえ、各締結部材66に反時計回り方向に荷重が作用することがないので、各締結部材66は弛み難い。よって、本発明の実施例の車体フレーム11によれば、シートフレーム構造51に作用する縦方向の荷重L1によっても横方向の荷重L2によっても各締結部材66が弛むのを抑制することができ、シートフレーム構造51がボディフレーム21に強固に固定された状態を維持することができ、車体フレーム11の剛性を高めることができる。
【0058】
また、本発明の実施例の車体フレーム11では、第1のシートフレーム接続部41、第2のシートフレーム接続部42および第3のシートフレーム接続部43が同一平面上に配置されているので、シートフレーム構造51とボディフレーム21との接続を容易にかつ高精度に行うことができる。すなわち、一般に、部材の複数の部分に例えば穴を開ける加工を行う場合、当該複数の部分が同一平面上に配置されていると、加工が容易になり、加工の精度が高まる。また、構造物の複数の部分に締結部材を締結してこの構造物に部品を固定する場合、当該複数の部分が同一平面上に配置されていると、各締結部材を締結する工程が容易になり、各締結部材の締付トルクを高精度に管理することができる。この点、本発明の実施例の車体フレーム11によれば、第1のシートフレーム接続部41、第2のシートフレーム接続部42および第3のシートフレーム接続部43がボディフレーム21の上面26Aの同一平面上に配置されているので、第1のシートフレーム接続部41、第2のシートフレーム接続部42および第3のシートフレーム接続部43に締結穴44を容易かつ高精度に形成することができる。また、第1のシートフレーム接続部41、第2のシートフレーム接続部42および第3のシートフレーム接続部43に第1の接続部材61、第2の接続部材62および第3の接続部材63を締結部材66でそれぞれ固定するに当たり、各締結部材66の締付工程を容易に行うことができ、また、各締結部材66の締付トルクを高精度に管理することができる。したがって、シートフレーム構造51とボディフレーム21との接続を容易にかつ高精度に行うことができる。
【0059】
また、本発明の実施例の車体フレーム11によれば、左下シートフレーム54の前端部と右下シートフレーム55の前端部とを単一の接続部(第3のシートフレーム接続部43)に接続する構成であるので、ボディフレーム21において、シートフレーム構造51を接続する接続部を設ける箇所を減らすことができる。したがって、ボディフレーム21を小型化することができる。また、ボディフレーム21のデザインの自由度を高めることができ、例えば、鞍乗型車両1のデザインとして、車両の後部上側が窄んだ(シャープになった)デザインを採用した場合には、その車両のデザインに合わせて、ボディフレーム21をその後部上側が窄んだ形状に容易に形成することができる。
【実施例3】
【0064】
図8は、本発明の第3の実施例の車体フレーム121を示している。
図8に示すように、本発明の第3の実施例の車体フレーム121は、ヘッドパイプ122、タンクレール123、ダウンチューブ124、左右一対のロワーフレーム125、およびシートフレーム構造127を備えている。第3の実施例におけるヘッドパイプ122は、第1の実施例におけるヘッドパイプ12と同様である。また、第3の実施例におけるシートフレーム構造127は、第1の実施例におけるシートフレーム構造51と同じである。それゆえ、シートフレーム構造127の構成要素には、第1の実施例におけるシートフレーム構造51の構成要素と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
第3の実施例の車体フレーム121では、ヘッドパイプ122の上部に1本のタンクレール123の前端部が接続され、ヘッドパイプ122の下部には1本のダウンチューブ124が接続されている。さらに、タンクレール123の後端部とダウンチューブ124の後端部との間には、左右一対のロワーフレーム125が接続されており、タンクレール123、ダウンチューブ124および一対のロワーフレーム125によってエンジンを支持する構成となっている。一対のロワーフレーム125には、第1の実施例のボディフレーム21と同等の機能を持たせることができる。その点で、一対のロワーフレーム125はボディフレームに相当する。
【0066】
また、シートフレーム構造127は、ロワーフレーム125の後部上側に接続されている。すなわち、左側のロワーフレーム125の後部上側に第1のシートフレーム接続部131が設けられ、右側のロワーフレーム125の後部上側に第2のシートフレーム接続部132が設けられ、左側ロワーフレーム125の後部と右側ロワーフレーム125の後部との間に架け渡されたブリッジフレーム126の左右方向中間部に第3のシートフレーム接続部133が設けられている。そして、シートフレーム構造127は、第1のシートフレーム接続部131、第2のシートフレーム接続部132および第3のシートフレーム接続部133に接続されている。
【0067】
このような構成を有する本発明の第3の実施例の車体フレーム101によっても、シートフレーム構造127の剛性を高めることができる。
【0068】
なお、上述した第1の実施例では、タンクレールを左側および右側にそれぞれ2本ずつ設ける場合を例にあげたが、タンクレールを左側および右側にそれぞれ1本ずつ設けてもよい。
【0069】
また、上述した第1の実施例では、左上シートフレーム52の後端部に左下シートフレーム54の後端部を接続し、右上シートフレーム53の後端部に右下シートフレーム55の後端部を接続し、左上シートフレーム52の後端部と右上シートフレーム53の後端部とを第1のブリッジ56により接続する場合を例にあげたが、左上シートフレーム52を、左下シートフレーム54の後端部および第1のブリッジ56が接続された部分からさらに後方へ伸長させてもよい。同様に、右上シートフレーム53を、右下シートフレーム55の後端部および第1のブリッジ56が接続された部分からさらに後方へ伸長させてもよい。
【0070】
また、上述した第1の実施例では、左連結フレーム57の前端部を左下シートフレーム54の前端部に接続し、右連結フレーム58の前端部を右下シートフレーム55の前端部に接続したが、例えば第3の接続部材63に接続スペースがある場合等には、左連結フレーム57および右連結フレーム58のそれぞれの前端部を第3の接続部材63に接続してもよい。また、左連結フレーム57の後端部と左上シートフレーム52との接続位置および右連結フレーム58の後端部と右上シートフレーム53との接続位置は、例えば運転シート93の下方に配置する部品のレイアウト等を考慮して、前、後にずらすことができる。
【0071】
また、本発明の車体フレームは、自動二輪車以外の鞍乗型車両にも適用することができる。また、エンジンの型式やマフラの配置、排気管の形状等は実施例のものに限定されない。
【0072】
また、上述した各実施例において、第1のブリッジ56が特許請求の範囲における「ブリッジ」の具体例である。また、各実施例において、第1のシートフレーム接続部41(111、131)が特許請求の範囲における「第1の接続部」の具体例であり、第2のシートフレーム接続部42(112、132)が特許請求の範囲における「第2の接続部」の具体例であり、第3のシートフレーム接続部43(113、133)が特許請求の範囲における「第3の接続部」の具体例である。また、第1の実施例において、第1の接続部材61を第1のシートフレーム接続部41に締結する締結部材66が特許請求の範囲における「第1の締結部材」の具体例であり、第2の接続部材62を第2のシートフレーム接続部42に締結する締結部材66が特許請求の範囲における「第2の締結部材」の具体例であり、第3の接続部材63を第3のシートフレーム接続部43に締結する締結部材66が特許請求の範囲における「第3の締結部材」の具体例である。
【0073】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う鞍乗型車両の車体フレームもまた本発明の技術思想に含まれる。