(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今後、電動車両の普及に伴い、電動車両に電力を供給するための給電装置が一般的な店舗の駐車場などにも多く設けられることが見込まれる。この場合、店舗において、電力ケーブルを利用した電動車両との有線通信を有効に利用したいというニーズが一層高まると予想される。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、給電設備が設けられた駐車場を備える店舗が、電力ケーブルを利用した電動車両との有線通信を有効に利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本開示による情報提供システムは、店舗の駐車場に設置された給電設備と、給電設備と電力ケーブルを介して接続可能に構成された車両とを備える。給電設備は、車両が電力ケーブルを介して給電設備に接続されている場合、電力ケーブルを介して車両に情報を送信する。その情報は、店舗が車両のユーザに提供可能な商品情報と、車両のユーザが車両の室内で利用可能なコンテンツ情報とを含む。
【0007】
上記システムによれば、店舗の駐車場に設置された給電設備から、電力ケーブルを利用した有線通信によって車両に情報が送信される。その情報には、店舗が車両のユーザに提供可能な商品情報と、車両のユーザが車両の室内で利用可能なコンテンツ情報(映画、動画、静止画、音楽、音声、新聞、雑誌、電子書籍、ゲーム、漫画など)とが含まれる。これにより、車両のユーザは、給電設備で車両を充電している間、店舗の商品情報を車室内で確認したり、コンテンツ情報を車室内で利用したりすることができる。店舗側からすれば、ユーザに対して、店舗の商品の購入前および購入後において、車室内でコンテンツ情報を利用するように促すことができる。そのため、店舗は、車両の室内を店舗スペースとして利用することができる。
【0008】
(2) ある形態においては、情報提供システムは、給電設備と通信可能に構成され、情報を記憶するサーバをさらに備える。給電設備は、車両が電力ケーブルを介して給電設備に接続されている場合、サーバから受信した情報を電力ケーブルを介して車両に送信する。
【0009】
上記形態によれば、給電設備は、サーバから受信した情報を車両に送信する。そのため、車両に送信するための情報の記憶および管理を、各給電設備で行なうのではなく、サーバで一括して行なうことができる。これにより、店舗が複数の給電設備を所有する場合においても、車両に送信するための情報の記憶および管理を容易に行なうことができる。
【0010】
(3) ある形態においては、車両は、給電設備から受信した商品情報に含まれる商品のうちから車両のユーザが選択した商品の情報をサーバに送信する。サーバは、車両のユーザが選択した商品の情報を車両から受信した場合、店舗に対する当該商品の注文を受け付ける。
【0011】
上記形態によれば、車両のユーザは、給電設備で車両を充電している間、店舗の商品情報を車室内で確認することに加えて、商品の注文も車室内で行なうことができる。
【0012】
(4) 本開示によるサーバは、店舗の駐車場に設置された給電設備と通信可能に構成される。このサーバは、情報を記憶する記憶部と、車両が電力ケーブルを介して給電設備に接続されている場合、記憶部に記憶された情報を電力ケーブルを介して給電設備から車両に送信する処理を実行する制御部とを備える。情報は、店舗が車両のユーザに提供可能な商品情報と、車両のユーザが車両の室内で利用可能なコンテンツ情報とを含む。
【0013】
上記サーバは、店舗の駐車場に設置された給電設備から、電力ケーブルを利用した有線通信によって車両に情報を送信する。その情報には、店舗が車両のユーザに提供可能な商品情報と、車両のユーザが車両の室内で利用可能なコンテンツ情報(映画、動画、静止画、音楽、音声、新聞、雑誌、電子書籍、ゲーム、漫画など)とが含まれる。これにより、車両のユーザは、給電設備で車両を充電している間、店舗の商品情報を車室内で確認したり、コンテンツ情報を車室内で利用したりすることができる。店舗側からすれば、ユーザに対して、店舗の商品の購入前および購入後において、車室内でコンテンツ情報を利用するように促すことができる。そのため、店舗は、車両の室内を店舗スペースとして利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、給電設備が設けられた駐車場を備える店舗が、電力ケーブルを利用した電動車両との有線通信を有効に利用できるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
<システム構成>
図1は、本実施の形態による情報提供システム10の全体構成を概略的に示す図である。情報提供システム10は、電動車両(以下、単に「車両」ともいう)100と、給電設備200と、店舗サーバ300とを備える。なお、車両100および店舗サーバ300は、インターネットあるいは電話回線などの通信ネットワーク400を介して互いに無線通信可能に構成されている。
【0018】
車両100は、
図2で後述するように、搭載された蓄電装置からの電力を用いて走行駆動力を生成するとともに、車両外部の電源から供給される電力を用いて蓄電装置の充電が可能な電気自動車(EV)である。
【0019】
給電設備200は、店舗11の敷地内にある駐車場12に設置される。給電設備200は、電力ケーブル500を備える。給電設備200は、電力ケーブル500が駐車場12に駐車された車両100に接続されている状態において、商用電力網からの電力を電力ケーブル500を介して車両100に供給することができるとともに、車両100との間で電力ケーブル500を利用した有線通信(たとえば電力線通信、PLC:Power Line Communication)を行なうことができるように構成される。
【0020】
店舗サーバ300は、店舗11の内部に設けられ、店舗11が取り扱う商品の注文受付、決算などの情報を管理する。なお、店舗サーバ300は、店舗11の外部に設けられてもよい。店舗サーバ300は、通信線600によって給電設備200に接続され、通信線600を介して給電設備200との間で情報をやり取りすることができる。
【0021】
図2は、車両100の構成の一例を示す図である。車両100は、蓄電装置110と、駆動装置であるPCU120と、モータジェネレータ130と、動力伝達ギア135と、駆動輪140と、車両ECU(Electronic Control Unit)150と、HMI(Human Machine Interface)装置170とを備える。
【0022】
蓄電装置110は、充放電可能に構成される。蓄電装置110は、たとえば、リチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池などの二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。蓄電装置110は、車両100の駆動力を発生させるための電力をPCU120に供給する。また、蓄電装置110は、モータジェネレータ130で発電された電力を蓄電する。
【0023】
PCU120は、車両ECU150からの制御信号によってそれぞれ制御され、蓄電装置110からの直流電力を、モータジェネレータ130を駆動するための交流電力に変換する。
【0024】
モータジェネレータ130は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。モータジェネレータ130の出力トルクは、動力伝達ギア135を介して駆動輪140に伝達されて、車両100を走行させる。モータジェネレータ130は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪140の回転力によって発電することができる。そして、その発電電力は、PCU120によって蓄電装置110の充電電力に変換される。
【0025】
車両ECU150は、いずれも
図2には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0026】
車両100は、給電設備200から供給される電力を用いて蓄電装置110を充電するための構成として、電力変換装置160と、インレット190とをさらに備える。インレット190には、電力ケーブル500の充電コネクタ510が接続される。そして、給電設備200からの電力が電力ケーブル500を介して車両100に供給される。
【0027】
電力変換装置160は、蓄電装置110とインレット190との間に接続される。電力変換装置160は、車両ECU150からの制御信号により制御され、給電設備200から供給される電力を、蓄電装置110が充電可能な電力に変換する。
【0028】
HMI装置170は、車両ECU150からの映像情報あるいは音声情報を再生してユーザに提供したり、ユーザの操作を受け付けたりする装置である。HMI装置170は、ディスプレイ、スピーカ、タッチパネル、入力スイッチ等を含んで構成される。
【0029】
車両100は、外部との通信を行なうための構成として、無線通信部180と、有線通信部182とを備える。
【0030】
無線通信部180は、車両ECU150と車両外部の端末(店舗サーバ300など)との間で通信ネットワーク400を介した無線通信を行なうためのインターフェースである。
【0031】
有線通信部182は、車両ECU150と給電設備200との間で電力ケーブル500を利用した有線通信を行なうためのインターフェースである。なお、
図2には、電力ケーブル500を利用した有線通信として、いわゆる電力線通信(PLC:Power Line Communication)を行なう構成が示される。なお、電力ケーブル500を利用した有線通信は、電力線通信(PLC)に限定されるものではなく、たとえば電力ケーブル500に電力線とは別の通信線を設け、その通信線を利用した有線通信を行なうようにしてもよい。
【0032】
図3は、給電設備200の構成の一例を示すブロック図である。給電設備200は、電力制御部210と、有線通信部220と、通信部230と、通信制御部240とを含む。
【0033】
電力制御部210は、通信制御部240からの情報などに基づいて、商用電力網から電力ケーブル500を介して車両100に供給する電力を制御する。
【0034】
有線通信部220は、車両100との間で電力ケーブル500を利用した有線通信を行なうためのインターフェースである。通信部230は、通信ネットワーク400を介して車両100と無線通信を行なったり、通信線600を介して店舗サーバ300と有線通信を行なったりするインターフェースである。
【0035】
通信制御部240は、有線通信部220あるいは通信部230が受信した情報を電力制御部210に送信したり、電力制御部210からの情報を有線通信部220あるいは通信部230に送信したりする。
【0036】
また、通信制御部240は、有線通信部220が車両100から受信した情報を通信部230から店舗サーバ300に送信したり、通信部230が店舗サーバ300から受信した情報を有線通信部220から車両100に送信したりする中継処理を行なう。
【0037】
図4は、店舗サーバ300の構成の一例を示すブロック図である。店舗サーバ300は、制御部310と、記憶部320と、通信部330とを含む。
【0038】
通信部330は、通信ネットワーク400を介して車両100と無線通信を行なったり、通信線600を介して給電設備200と有線通信を行なったりするインターフェースである。
【0039】
記憶部320には、店舗11が扱う商品に関するさまざまな情報が記憶されている。記憶部320に記憶されている情報には、電力ケーブル500を介して給電設備200に接続されている車両100の室内において利用可能な車両利用情報が含まれる。この車両利用情報には、店舗11が顧客に提供可能な商品情報、車両100のユーザが車両100の室内で利用可能なコンテンツ情報(映画、動画、静止画、音楽、音声、新聞、雑誌、電子書籍、ゲーム、漫画など)が含まれる。記憶部320に記憶される商品情報およびコンテンツ情報は定期的に更新される。
【0040】
制御部310は、店舗11が取り扱う商品の注文受付、決算などの情報を管理するための処理を行なう。
【0041】
また、制御部310は、車両100が電力ケーブル500を介して給電設備200に接続されている場合、記憶部320に記憶された車両利用情報を電力ケーブル500を介して給電設備200から車両100に送信するための処理(以下「情報提供処理」ともいう)を行なう。
【0042】
<情報提供処理>
図5は、情報提供システム10に含まれる車両100(より詳しくは車両ECU150)、給電設備200(より詳しくは電力制御部210あるいは通信制御部240)、店舗サーバ300(より詳しくは制御部310)で実行される情報提供処理の一例を示す図である。
図5に示す処理は、車両100のユーザが店舗11の駐車場12に車両100を駐車させ、給電設備200の電力ケーブル500を車両100のインレット190に接続する操作を行なったことをトリガーとして開始される。
【0043】
なお、
図5において、車両100と給電設備200との通信には電力ケーブル500を利用した有線通信が用いられるものとし、給電設備200と店舗サーバ300との通信には通信線600を利用した有線通信が用いられるものとする。
【0044】
車両100は、車両ID(車両100を特定するための情報)を含む給電要求を給電設備200に送信する(ステップS10)。
【0045】
給電設備200は、車両100から給電要求を受信すると、車両100への給電を行なうとともに、車両IDを店舗サーバ300に送信する(ステップS50)。
【0046】
店舗サーバ300は、給電設備200から車両IDを受信すると、記憶部320に記憶されている車両利用情報(商品情報およびコンテンツ情報)のリストを給電設備200に送信する(ステップS60)。このリストには、店舗11が提供可能な商品の種類および名称を含む「商品リスト」と、店舗11が車両100に提供可能なコンテンツの種類および名称を含む「コンテンツリスト」とが含まれる。
【0047】
給電設備200は、店舗サーバ300から受信した商品リストおよびコンテンツリストを、電力ケーブル500を介して車両100に送信する中継処理を行なう(ステップS52)。
【0048】
車両100は、給電設備200から受信した商品リストおよびコンテンツリストをHMI装置170に表示させる(ステップS14)。
【0049】
車両100のユーザがHMI装置170に表示された商品リストおよびコンテンツリストのなかから商品およびコンテンツを選択すると、車両100は、ユーザによって選択された商品(以下「選択商品」ともいう)およびユーザによって選択されたコンテンツ(以下「選択コンテンツ」ともいう)の情報を給電設備200に送信する(ステップS14)。
【0050】
給電設備200は、車両100から受信した選択商品および選択コンテンツを店舗サーバ300に送信する中継処理を行なう(ステップS54)。
【0051】
店舗サーバ300は、給電設備200から選択商品および選択コンテンツを受信すると、選択商品の注文を受け付けて店舗11の店員に対して選択商品を車両100に運搬するように指令するとともに、選択コンテンツのデータを記憶部320から読み出して給電設備200に送信する(ステップS62)。なお、選択コンテンツのデータとは、選択コンテンツを車両100の室内にあるHMI装置170で再生可能なデータである。たとえば、選択コンテンツが映画である場合には、選択コンテンツのデータとは、その映画をHMI装置170で視聴可能なデータである。
【0052】
給電設備200は、店舗サーバ300から受信した選択コンテンツのデータを電力ケーブル500を介して車両100に送信する中継処理を行なう(ステップS56)。
【0053】
車両100は、給電設備200から選択コンテンツのデータを受信すると、受信した選択コンテンツのデータを車両100の室内にあるHMI装置170で再生させる(ステップS16)。
【0054】
なお、ステップS62において注文が受け付けられた選択商品は、その後、店舗11の店員によって車両100に運搬される。
【0055】
以上のように、本実施の形態による給電設備200は、車両100が電力ケーブル500を介して給電設備200に接続されている場合、店舗11が提供可能な商品リストおよびコンテンツリストと、車両100の室内で再生可能なコンテンツデータとを、電力ケーブル500を利用した有線通信によって車両100に送信する。
【0056】
これにより、車両100のユーザは、給電設備200で車両100の蓄電装置110を充電している間、店舗11の商品リストを車室内で確認したり、コンテンツデータを車室内で利用(再生)したりすることができる。また、店舗11側からすれば、車両100のユーザに対して、店舗11の商品の購入前および購入後において、車室内でコンテンツデータを利用するように促すことができる。そのため、店舗11は、車両100の室内を店舗スペースとして利用することができる。
【0057】
さらに、本実施の形態による給電設備200は、車両100に送信するための情報を自ら記憶するのではなく、店舗サーバ300から受信する。そのため、車両100に送信するための情報の記憶および管理を、給電設備200で行なうのではなく、店舗サーバ300で一括して行なうことができる。これにより、店舗11が複数の給電設備200を所有する場合においても、車両100に送信するための情報の記憶および管理を容易に行なうことができる。
【0058】
さらに、本実施の形態による車両100は、給電設備200から受信した商品リストに含まれる商品のうちから車両のユーザが選択した選択商品の情報を給電設備200を介して店舗サーバ300に送信する。店舗サーバ300は、車両100から選択商品の情報を受信した場合、店舗11に対する当該商品の注文を受け付ける。これにより、車両100のユーザは、給電設備200で車両100の蓄電装置110を充電している間、店舗11の商品リストを車室内で確認することに加えて、商品の注文も車室内で行なうことができる。そして、注文を受け付けた選択商品は、その後、店舗11の店員によって車両100に届けられる。そのため、車両100のユーザは、店舗11内に移動することなく、車室内に居たまま商品の注文および受け取りを行なうことができるため、給電設備200から受信したコンテンツ情報をゆっくりと楽しむことができる。
【0059】
<変形例1>
上述の実施の形態においては、店舗サーバ300が車両IDを受信した場合に、店舗11が提供可能な商品リストを送信した(
図5のステップS60)。
【0060】
この商品リストを、車両100のユーザの好みに適した内容にカスタマイズするようにしてもよい。たとえば、店舗サーバ300が、ユーザの注文履歴を車両ID毎に蓄積しておき、新たに車両IDを受信した場合にその車両IDのユーザが過去に注文した商品の履歴の情報、あるいは、その車両IDのユーザが過去に注文した商品と同じ商品を注文した他のユーザが注文した商品の履歴の情報を、商品リストに加えるようにしてもよい。
【0061】
<変形例2>
上述の実施の形態においては、車両100のユーザは、店舗11内に移動することなく、車室内に居たまま商品の注文および受け取りを行なうことができる。
【0062】
これに加えて、車両100のユーザが車室内に居たまま商品の代金の支払いもできるように、店舗サーバ300がステップS62において選択商品の注文を受け付ける際に、選択商品の決済処理を併せて行なうようにしてもよい。これにより、車両100のユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0063】
<変形例3>
上述の実施の形態においては、商品リストおよびコンテンツリストを電力ケーブル500を電力ケーブル500を利用した有線通信によって給電設備200から車両100に送信した。
【0064】
しかしながR、この商品リストおよびコンテンツリストの情報量は、コンテンツデータの情報量よりも格段に少ないことが想定されるため、これらのリストについては有線通信ではなく通信ネットワーク400を利用した無線通信によって送信するようにしてもよい。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。