(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体と、光源と、該筐体内に設けられ、光源から出射される光ビームを偏向する偏向器と、上記偏向器から反射された光ビームを反射させる同期検知ミラーと、該同期検知ミラーにより反射された光ビームが入射されると、同期信号を出力する同期検知センサーと、上記同期検知センサーからの信号を受信した時から所定時間が経過した時に上記光源による画像データの書き込みを開始する書込み制御部と、上記筐体内の温度変化に応じて、上記同期検知ミラーを副走査軸回りに所定角度、回転させることで、書き込み画像の位置ずれを補正する補正機構とを備えた光走査装置であって、
上記補正機構は、上記筐体に設けられて上記同期検知ミラーが固定される固定支持部と、上記同期検知ミラーおける副走査方向に直交する幅方向の一端側と他端側とにそれぞれ設けられ、上記同期検知ミラーを上記固定支持部に接着する接着剤からなる第一接着部及び第二接着部とを有しており、上記筐体内の温度が変化した際の第一接着部及び第二接着部の厚さ方向の熱変形量が異なっていて、該熱変形量の差によって上記同期検知ミラーを上記副走査軸回りに回転させるように構成されている、光走査装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の画像形成装置に搭載される光走査装置は知られている。この光走査装置は、画像データに対応した光ビームを所定の書き込みタイミングで出射して感光体ドラムの表面にて走査させる。
【0003】
光走査装置は、筐体と、筐体内に設けられた光源と、該光源から出射される光ビームを偏向して走査光に変換する偏向器と、該偏向器からの走査光を感光体ドラム上に結像させる結像レンズと、結像レンズを通過した光ビームの有効走査領域外(画像形成用の走査領域外)に設けられた同期検知ミラーと、同期検知ミラーにより反射された光ビームを検知する同期検知センサーとを備えている。
【0004】
同期検知センサーは、光ビームを検知して画像データの書き込みタイミングの基準となる同期信号を制御部に向けて出力する。制御部は、同期信号を受信したタイミングを基に感光体ドラムへの画像の書き込みタイミングを制御する。
【0005】
この種の光走査装置では、作動中に筐体内の温度が上昇すると、結像レンズの伸縮及び屈折率の変化等により光ビームの主走査方向の位置ずれが生じる。この結果、例えばモノクロ機では画像の位置ずれが生じたり、カラー機では色ずれが生じたりするという問題があった。
【0006】
この問題を解決するべく、例えば特許文献1に示す光走査装置では、補正機構を用いて、筐体内の温度変化に応じて同期検知ミラーを回転させることで、同期検知センサーによる光ビームの検知時期を調整して、主走査方向における画像データの書き込み位置のずれを補正している。この補正機構は、反射ミラーの一端部を回転可能に支持する支持部材と、温度によって伸縮し、支持部材を中心に反射ミラーを回転させる伸縮部材と、反射ミラーの他端部に当接し、反射ミラーを伸縮部材側へ付勢する付勢部材とを有している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
《実施形態》
図1は、本実施形態における画像形成装置1を示す概略構成図である。上記画像形成装置1は、タンデム方式のカラープリンターであって、箱形の筐体2内に画像形成部3を備えている。この画像形成部3は、ネットワーク接続等がされたコンピューター等の外部機器から伝送されてくる画像データに基づき画像を用紙Pに転写形成する。画像形成部3の
下方には、レーザー光を照射する4つの光走査装置4が配置され、画像形成部3の上方には、転写ベルト5が配置されている。光走査装置4の下方には、用紙Pを貯留する給紙部6が配置されている。転写ベルト5の左側の上方には、用紙Pに転写形成された画像に定着処理を施す定着部8が配置されている。筐体2の上部には、定着部8で定着処理が施された用紙Pを排出する排紙部9が形成されている。画像形成装置1内には、給紙部6から排紙部9に向かって延びる用紙搬送路Lが設けられている。
【0016】
上記画像形成部3は、転写ベルト5に沿って一列に配置された4つの画像形成ユニット10を備えている。各画像形成ユニット10の下方にはそれぞれ上記光走査装置4が配置されている。各画像形成ユニット10は、感光体ドラム11を有している。各感光体ドラム11の直下には、帯電器12が配置され、各感光体ドラム11の右側には、現像装置13が配置され、各感光体ドラム11の直上には、一次転写ローラー14が配置され、各感光体ドラム11の左側には、感光体ドラム11の周面をクリーニングするクリーニング部15が配置されている。
【0017】
各感光体ドラム11は、帯電器12によって周面が一定に帯電され、当該帯電後の感光体ドラム11の周面に対して、上記コンピューター等から入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が光走査装置4から照射される。この結果、各感光体ドラム11の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置13から現像剤が供給されて、各感光体ドラム11の周面にイエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックのトナー像が形成される。これらトナー像は、一次転写ローラー14に印加された転写バイアスにより転写ベルト5にそれぞれ重ねて転写される。
【0018】
転写ベルト5の左側には、二次転写ローラー16が配置されている。二次転写ローラー16は、転写ベルト5と当接した状態で配置されている。二次転写ローラー16は、給紙部6から用紙搬送路Tに沿って搬送されてくる用紙Pを該二次転写ローラー16と転写ベルト5とで挟持する。二次転写ローラー16には転写バイアスが印加されており、この印加された転写バイアスにより転写ベルト5上のトナー像が用紙Pに転写される。
【0019】
定着部8は、加熱ローラー18と加圧ローラー19とを備え、これら加熱ローラー18と加圧ローラー19とにより用紙Pを挟持して加圧しながら加熱する。そうして、定着部8は、用紙Pに転写されたトナー像を用紙Pに定着させる。定着処理後の用紙Pは、排紙部9に排出される。
【0020】
次に、
図2を参照して各光走査装置4について詳細に説明する。各光走査装置4の構成は同じであるため、そのうちの1つの光走査装置4についてのみ説明を行い、他の光走査装置4についての説明は省略する。
【0021】
光走査装置4は密閉状の筐体40を有している。筐体40は、底壁部41と、底壁部41の周縁から副走査方向に起立する側壁部42と、不図示の蓋部とを有している。
【0022】
筐体40の側壁部42には、例えばレーザーダイオード(LD)等からなる光源43が設けられている。光源43は、側壁部42の外側面に取付けられた基板44に実装されている。
【0023】
筐体40の内部には、光源43から出射される光ビームの出射方向に沿って、コリメーターレンズ(図示省略)、シリンドリカルレンズ45、及び偏向器としてのポリゴンミラー46が一直線上に配置されている。ポリゴンミラー46の側方には、第一結像レンズ48a及び第二結像レンズ48bが径方向に間隔を空けて配置され、第二結像レンズ48bの側方には折返しミラー47が配置されている。第一結像レンズ48a及び第二結像レン
ズ48bは、例えばfθレンズからなる。第一結像レンズ48a及び第二結像レンズ48bの構成材料は、本実施形態では樹脂材料とされているが、これに限ったものではなくガラス等であってもよい。
【0024】
上記ポリゴンミラー46は、周面に複数の反射面を有する多角形状の回転ミラーである。ポリゴンミラー46は、光源43から出射された光ビームを反射(偏向)して主走査方向に走査させる。第一結像レンズ48a及び第二結像レンズ48bは、ポリゴンミラー46により偏向走査された光ビームを等速変換する。折返しミラー47は、第二結像レンズ48bを通過した光ビームを反射して感光体ドラム11の周面に導く。
【0025】
上記筐体40にはさらに、同期検知ミラー49と、同期検知センサー50と、同期検知センサー50が実装されたセンサー基板51とが設けられている。
【0026】
同期検知ミラー49は、筐体40の底壁部から起立する一対の固定柱61,62(固定支持部に相当)により裏面側(反射面とは反対側)から固定支持されている。一対の固定柱61,62による同期検知ミラー49の固定構造の詳細は後述する。
【0027】
同期検知ミラー49は、ポリゴンミラー46によって偏向されて有効走査範囲(実際に画像データの書き込みが行われる範囲)を外れた光路を進む光ビームを反射して同期検知センサー50に入射させる。尚、ポリゴンミラー46により偏向されて有効走査範囲内の光路を進む光ビームは、感光体ドラム11の周面を軸方向(主走査方向)に走査して露光する。
【0028】
同期検知センサー50は、筐体40の底壁部41に垂直に固定されたセンサー基板51に実装されている。同期検知センサー50は、例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトIC等により構成されている。同期検知センサー50は、光ビームがその検知面(図示省略)を通過した時に同期信号を出力する。同期検知センサー50より出力された検知信号は後述するコントローラー100に送信される。
【0029】
図3に示すように、コントローラー(書込み制御部)100は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピューターからなる。コントローラー100は、同期検知センサー50から出力された同期信号を受信した時から所定時間が経過した時に、光源43によって感光体ドラム11への画像データの書き出しを開始する。そうしてコントローラー100は、画像の色ずれが生じないように各色ごとに画像データの書き出し開始位置を制御する。
【0030】
ここで、光走査装置4の作動時に、ポリゴンモーターM等の発熱に起因して筐体40内の温度が変化すると、筐体40や第一結像レンズ48aに熱変形が生じる。この結果、同期検知センサー50による光ビームの検知タイミングにばらつきが生じて画像の色ずれが発生する虞がある。この問題を解決するべく本実施形態の光走査装置4は、色ずれ補正用の補正機構60を備えている。
【0031】
補正機構60は、筐体40内の温度変化に応じて、同期検知ミラー49を副走査軸(副走査方向に延びる軸線)回りに所定角度、回転させて同期検知センサー50による光ビームの検知タイミングのばらつきを抑制する。
【0032】
図2、
図4及び
図5を参照して、補正機構60の詳細について説明する。補正機構60は、筐体40の底壁部41に立設された一対の第一固定柱61及び第二固定柱62と、同期検知ミラー49を該各固定柱61,61にそれぞれ接着固定する第一接着部63及び第二接着部64とを有している。
【0033】
第一固定柱61及び第二固定柱62は、四角柱状をなしていて、筐体40の底壁部41に互いに間隔を空けて立設されている。そして、第一固定柱61及び第二固定柱62は同期検知ミラー49を裏面側(反射面側とは反対側)から固定支持している。第一固定柱61及び第二固定柱62は、同期検知ミラー49の裏面における副走査方向に直交する幅方向の両端部に当接している。第一固定柱61及び第二固定柱62は、本実施形態では筐体40の底壁部41と一体形成されている。尚、筐体40の熱変形の影響を受け難いように第一固定柱61及び第二固定柱62を筐体40とは別部材で構成するようにしてもよい。
【0034】
第一固定柱61及び第二固定柱62の同期検知ミラー49側の面にはそれぞれ、有底円筒状の第一接着剤保持穴61a及び第二接着剤保持穴62aが形成されている。各接着剤保持穴61a,62aには、液状の接着剤が充填される。上記第一及び第二接着部63,64は、各接着剤保持穴61a,62a内で該接着剤が固化することにより形成されている。第一接着部63及び第二接着部64は樹脂材料により構成されている。第一及び第二接着部63,64は、同期検知ミラー49の裏面における副走査方向の中央部に設けられている
【0035】
第一接着部63及び第二接着部64は、筐体40内の温度変化に応じて伸縮することで、同期検知ミラー49を副走査軸回りに回転させる。
【0036】
図6A及び
図6Bは、第一接着部63及び第二接着部64の伸縮による同期検知ミラー49の回転角の補正原理を説明するための説明図である。
図6Aは筐体40内の温度が所定温度である場合を示している。この状態において第一接着部63の厚み(接着剤保持穴62aの軸心方向の長さ)はZ1であり、第二接着部64の厚み(接着剤保持穴62aの軸心方向の長さ)はZ2である。この状態から筐体40内の温度がΔTだけ上昇すると、
図6Bに示すように、第一接着部63及び第二接着部64がそれぞれ熱変形により伸長する。このときの第一接着部63の厚みは、Z1(1+αΔT)と表せて、第二接着部64の厚みはZ2(1+αΔT)と表せる。αは第一接着部63及び第二接着部64の線膨張係数である。本実施形態では、第一接着部63及び第二接着部64の線膨脹係数は同じであるが異なっていてもよい。
【0037】
そうして第一接着部63及び第二接着部64が伸長することで同期検知ミラー49が副走軸(
図6の紙面垂直方向に延びる軸線)回りにθだけ回転する。このθは、第一接着部63及び第二接着部64の間隔をWとすると、次式(1)の関係を満たしている。
【0038】
θ=arctan((Z2−Z1)(1+αΔT))/W ・・・・・・・・・式(1)
【0039】
上記式(1)によれば、第一接着部63及び第二接着部64の間隔W及び厚みZ1,Z2を適切に設定することで同期検知ミラー49の回転角度θを調整可能であることが分かる。
【0040】
図7は、上記厚みZ1,Z2及び間隔Wの設定方法を説明するための説明図であって、光走査装置4の光路を副走査方向から見て示している。図中の二点鎖線は、光走査装置4の作動直後の状態(つまり温度上昇が生じる前の状態)を示し、実線は筐体40内の温度が上昇することにより上記補正機構60が機能して同期検知ミラー49が副走査軸回りに角度θだけ回転した状態を示している。図中のδは、同期検知ミラー49を角度θだけ回転させた場合における光ビームの主走査方向の位置変化量を示し、Xは同期検知ミラー49の反射面から同期検知センサー50の検知面までの距離を示している。図に示すように、同期検知ミラー49がθ回転したときに、同期検知ミラー49による反射光の角度は2θ変化するので、結局、角度θ、距離X及び移動量δは幾何学的に次式(2)の関係を満
たすこととなる。
【0041】
δ/X=tan(2θ) ・・・・・・・・・式(2)
【0042】
したがって、式(1)及び式(2)より、光ビームの主走査方向の位置変化量は次式(3)で与えられる。
【0043】
δ=Xtan(2arctan((Z2−Z1)×(1+αΔT))/W
)・・・・・・・・式(3)
【0044】
光ビームの主走査方向の位置ずれ量が仮にYΔTであった場合には、YΔT=δの関係を満たすように(つまり次式(4)の関係を満たすように)厚みZ1,Z2,及び間隔Wを設定すればよい。
【0045】
YΔT=Xtan(2arctan((Z2−Z1)×(1+αΔT))/W
)・・・・・・式(4)
【0046】
ここで、Yは、単位温度変化時における光ビームの主走査方向の位置ずれ量を表すパラメータであって、光走査装置4の筐体40や結像レンズ48a,48bの材質及び寸法等によって決まる固有パラメータである。パラメータYは、予めテスト印刷等を行うことにより求めることができる。厚みZ1,Z2及び幅Wを決定する際には、光走査装置4の通常運転時における筐体40内の温度変化量ΔTを予測して、この予測した変化量を上記式(4)に代入して、厚みZ1、Z2及び間隔Wが該代入後の式(4)の関係を満たすようにすればよい。
【0047】
図8は、補正機構60が機能することにより光ビームの主走査方向の位置ずれが解消する様子を模式的に示している。上段は、補正機構60を有さない従来の光走査装置に対応する図であり、下段は、補正機構60を有する本実施形態の光走査装置4に対応する図である。図中のLoは、温度上昇前の感光体ドラム11表面における光ビームの走査線を示し、Ltは、温度がΔTだけ上昇したときの感光体ドラム11表面における光ビームの走査線を示している。この例に係る光走査装置4では、補正機構60を設けない場合には、温度上昇により光ビームの走査開始位置がYΔTだけ遅れる(
図8の上段参照)。したがって、同期検知ミラー49を平面視で時計回り方向に角度θだけ回転させることで、同期検知センサー50による光ビームの検知タイミングを早めて、
図8の下段に示すように温度上昇による光ビームの主走査方向の位置ずれを解消している。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の光走査装置4によれば、補正機構60は、筐体40に設けられて同期検知ミラー49が固定される第一固定柱61及び第二固定柱62(固定支持部)と、同期検知ミラー49おける副走査方向に直交する幅方向の一端側と他端側とにそれぞれ設けられ、同期検知ミラー49を第一固定柱61及び第二固定柱62に接着する接着剤からなる第一接着部63及び第二接着部64とを有している。そして、補正機構60は、筐体40内の温度が変化した際の第一接着部63及び第二接着部64の厚さ方向の熱変形量の差により同期検知ミラー49を副走査軸回りに回転させるように構成されている。
【0049】
この構成によれば、補正機構60の構造を簡素化して部品点数を削減することがえきる。延いては製品コストを低減することができる。
【0050】
また本実施形態では、第一接着部63及び第二接着部64はそれぞれ、同期検知ミラー49の幅方向の一側端部及び他側端部に設けられている。
【0051】
この構成によれば、第一接着部63及び第二接着部の厚さ方向の熱変形量の差を同期検知ミラー49の回転変位に効率良く変換することができる。
【0052】
また、第一接着部63及び第二接着部64は、同期検知ミラー49の副走査方向の中央部に設けられている。
【0053】
これによれば、同期検知ミラー49を第一接着部63及び第二接着部64によって安定した姿勢で回転させることができる。
【0054】
また、上記第一接着部63の厚さZ1、上記第二接着部64の厚さZ2、及び第一接着部63及び第二接着部64の中心間距離をWは、上記式(4)を満たすように設定される。
【0055】
これにより、筐体40内の温度が変化することで同期検知センサー50による光ビームの検知タイミングがばらつくのを防止し、延いては、感光体ドラム11表面の書き込み画像の主走査方向の位置ずれを防止することができる。
《変形例1》
【0056】
図9及び
図10は、本実施形態の変形例1を示している。この変形例は、第一及び第二接着剤保持穴61a及び62aの側壁面の形状が上記実施形態とは異なっている。尚、
図9及び
図10において
図4及び
図5と同じ構成要素には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0057】
すなわち、本変形例では、第一及び第二接着剤保持穴61a,62aの側壁面には開放部61b,62bが形成されている。開放部61b,62bは、第一及び第二接着剤保持穴61a,62aの周方向の一部を欠損させて形成されている。開放部61b,62bは、各保持穴61a,62aの周方向の一部を径方向外側に開放させる。
【0058】
この構成によれば、第一固定柱61及び第二固定柱62に同期検知ミラー49を接着固定する際に、各接着剤保持穴61a,62aに過剰に充填された接着剤を開放部61b,62bから外部に逃がすことができる。よって、第一接着部63及び第二接着部64の厚みZ1,Z2を設計値(=接着剤保持穴61a,62aの孔深さ)に精度良く合わせることができる。
【0059】
尚、開放部61b,62bが大き過ぎると、筐体40内の温度変化時に第一接着部63及び第二接着部64が開放部61b,62b側にも変形してしまう。この結果、第一接着部63及び第二接着部64の厚さ方向の変形量が不足する場合がある。したがって、開放部61b,62bは、第一接着部63及び第二接着部64の厚さ方向の熱変形量に影響を与えない程度の大きさに形成することが好ましい。
【0060】
《変形例2》
図11及び
図12は、本実施形態の変形例1を示している。この変形例は、第一及び第二接着剤保持穴61a,62aの側壁面に微小貫通孔61c,62cが形成されている点で上記実施形態とは異なっている。
【0061】
微小貫通孔61c,62cの直径は例えば0.5mm〜1mmに設定されている。各微小貫通孔61c,62cは、第一及び第二接着剤保持穴61a,62aへの接着剤充填用の注射針を挿入可能に構成されている。各微小貫通孔61c,62cは、第一及び第二接着剤保持穴61a,62aに充填された過剰な接着剤の逃がし孔としても機能する。本変
形例では、この逃がし孔の大きさは十分に小さいので、筐体40内の温度変化時に第一接着部63及び第二接着部64の厚さ方向の変形量が不足することもない。
【0062】
《他の実施形態》
上記実施形態では、
図8に示すように、筐体40内の温度上昇に起因する感光体ドラム11表面における走査光の書き込み開始位置のずれを補正する例について説明したが、
図13のようなケースも考えられる。このケースでは、筐体40内の温度上昇に起因して感光体ドラム11表面における光ビームの走査幅(主走査方向の長さ)が増加している。ここで、感光体ドラムへの画像データの書き込みは、同期検知センサー50による光ビームの検知時を基準として開始されるため、この走査幅の広がりに起因する書き込み位置のずれ(=YΔT)は書き込み終了側に現れる。このような場合には、位置ずれ量YΔTを光ビームの書き込み開始側と終了側とに均等に振り分けるように同期検知ミラー49の回転角度θを決定すればよい。具体的には、上記式(4)の左辺を0.5YΔTとして次式(6)を満たすようにすればよい。
【0063】
0.5YΔT=Xtan(2arctan((Z1−Z2)×(1+αΔT))/W
)
・・・・・(式6)
【0064】
また、上記実施形態では、第一接着部63及び第二接着部64を共に同期検知ミラー49の裏面側に設ける用にしているが、反射面側に設けるようにしてもよい。また、
図14に示すように、第一接着部63を同期検知ミラー49の反射面側に設けて第二接着部64を同期検知ミラー49の裏面側に設けるようにしてもよい。これによれば、第一接着部63及び第二接着部64の厚さ方向の熱変形量の和が同期検知ミラー49の回転量に変換される。したがって、少量の接着剤で同期検知ミラー49を十分に回転させることができる。よって、接着剤の使用量を減らして低コスト化を図ることができる。