(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、第1計測電極、第2計測電極、および、基準電極のいずれかが生体に対して接触不良を生じても、接触不良を生じた電極を個別に判定することができない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、接触不良の有無、および、接触不良の箇所を判定可能な生体信号測定装置、接触状態判定システム、および、接触状態判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の生体信号測定装置は、第1検出電極、第2検出電極、基準電極、差動増幅回路、第1抵抗素子、第2抵抗素子、電源、第1スイッチ素子、第2スイッチ素子、第3スイッチ素子、第4スイッチ素子、第5スイッチ素子、および、第6スイッチ素子を備える。
【0008】
第1検出電極、第2検出電極、および、基準電極は、それぞれに生体へ装着される。差動増幅回路は、第1検出電極が接続される第1入力端子、および、第2検出電極が接続される第2入力端子を有する。第1抵抗素子は、第1入力端子と基準電位との間に接続される。第2抵抗素子は、第2入力端子と基準電位との間に接続される。電源は、基準電極に接続し、接触状態検出用電圧を出力する。
【0009】
第1スイッチ素子は、第1検出電極と第1入力端子との導通および開放を選択する。第2スイッチ素子は、第2検出電極と第2入力端子との導通および開放を選択する。第3スイッチ素子は、第1入力端子と基準電位との導通および開放を選択する。第4スイッチ素子は、第2入力端子と基準電位との導通および開放を選択する。第5スイッチ素子は、基準電極と前記電源との導通および開放を選択する。第6スイッチ素子は、基準電極と基準電位との導通および開放を選択する。
【0010】
この構成では、複数のスイッチ素子の導通および開放の選択によって、電源と差動増幅回路との間に、基準電極と第1検出電極とが接続される態様、電源と差動増幅回路との間に、基準電極と第2検出電極とが接続される態様、電源と差動増幅回路との間に、基準電極と、並列する第1検出電極および第2検出電極とが接続される態様が選択される。これらの態様では、それぞれに基準電極、第1検出電極、および、第2検出電極の接続状態が異なる。したがって、各態様での差動増幅回路の出力電圧を測定することで、基準電極、第1検出電極、および、第2検出電極のそれぞれの接触状態が検出可能になる。また、第5スイッチ素子の開放および第6スイッチの導通によって、通常の生体信号の測定が可能になる。
【0011】
この発明の接触状態判定システムは、上述の生体信号測定装置の各構成と、接触状態判定部と、を備える。接触状態判定部は、差動増幅回路の出力端子に接続され、出力電圧を用いて接触状態を検出する。
【0012】
この構成では、接触不良の判定、および、接触抵抗の測定の少なくとも一方が実現される。
【0013】
また、この発明の接触状態判定システムでは、次の構成を備えることが好ましい。接触状態判定システムは、生体信号処理部を備える。生体信号処理部は、差動増幅回路の出力端子に接続され、出力電圧を用いて生体信号の測定を行う。
【0014】
この構成では、生体信号を測定がさらに実現される。
【0015】
また、この発明の接触状態判定システムでは、接触状態判定部は、出力電圧を用いて接触不良の有無を検出する。
【0016】
この構成では、接触不良の判定が実現される。
【0017】
また、この発明の接触状態判定システムでは、接触状態判定部は、接触不良が無い場合に、出力電圧を用いて接触抵抗を測定する。
【0018】
この構成では、接触抵抗が測定される。さらに、この構成では、接触不良が有る場合に接触抵抗の測定を行わないことができ、接触抵抗の不要な測定が抑制される。
【0019】
また、この発明の接触状態判定方法では、次の各工程を有する。接触状態判定方法は、第1検出電極と基準電極とがそれぞれに生体に装着された状態で、基準電極側から接触状態検出用電圧を印加して、第1検出電極に接続する差動増幅回路の第1出力電圧を測定する工程を有する。接触状態判定方法は、第2検出電極と基準電極とがそれぞれに生体に装着された状態で、基準電極側から接触状態検出用電圧を印加して、第2検出電極に接続する差動増幅回路の第2出力電圧を測定する工程を有する。接触状態判定方法は、第1検出電極、第2検出電極、および、基準電極がそれぞれに生体に装着された状態で、基準電極側から接触状態検出用電圧を印加して、差動増幅回路の第3出力電圧を測定する工程を有する。接触状態判定方法は、第1出力電圧、第2出力電圧、および、第3出力電圧を用いて、第1検出電極、第2検出電極、および、基準電極のそれぞれと生体との接触状態を検出する工程を有する。
【0020】
この方法では、複数のスイッチ素子の導通および開放の選択によって、電源と差動増幅回路との間に、基準電極と第1検出電極とが接続される態様、電源と差動増幅回路との間に、基準電極と第2検出電極とが接続される態様、電源と差動増幅回路との間に、基準電極と、並列する第1検出電極および第2検出電極とが接続される態様が選択される。これらの態様では、それぞれに基準電極、第1検出電極、および、第2検出電極の接続状態が異なる。したがって、第1出力電圧、第2出力電圧、および、第3出力電圧を測定することで、基準電極、第1検出電極、および、第2検出電極のそれぞれの接触状態が検出可能になる。
【0021】
また、この発明の接触状態判定方法は、次の処理を行ってもよい。接触状態判定方法は、第1出力電圧を測定する工程と、第2出力電圧を測定する工程とを行った後、第1検出電極、および、第2検出電極のそれぞれと生体との接触状態を検出する1次検出工程を行う。接触状態判定方法は、1次検出工程の後に第3出力電圧を測定する工程を行い、第1出力電圧、第2出力電圧、および、第3出力電圧を用いて、接触抵抗を測定する接触抵抗測定工程を行う。
【0022】
この方法では、接触不良の有無を判定した後に、接触抵抗が測定される。したがって、接触不良が有る場合等の接触抵抗の測定が必要でないときに、当該接触抵抗の測定を行わない。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、接触不良の有無、および、接触不良の箇所を判定できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の実施形態に係る生体信号測定装置および生体信号測定方法について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る生体信号測定装置の回路図である。
【0026】
図1に示すように、生体信号測定装置10は、差動増幅回路20、基準電極30、検出電極31、検出電極32、抵抗素子41、抵抗素子42、スイッチ素子51、スイッチ素子52、スイッチ素子53、スイッチ素子54、スイッチ素子55、スイッチ素子56、電源60を備える。検出電極31が本発明の「第1検出電極」に対応し、検出電極32が本発明の「第2検出電極」に対応する。抵抗素子41が本発明の「第1抵抗素子」に対応し、抵抗素子42が本発明の「第2抵抗素子」に対応する。スイッチ素子51が本発明の「第1スイッチ素子」に対応し、スイッチ素子52が本発明の「第2スイッチ素子」に対応する。スイッチ素子53が本発明の「第3スイッチ素子」に対応し、スイッチ素子54が本発明の「第4スイッチ素子」に対応する。スイッチ素子55が本発明の「第5スイッチ素子」に対応し、スイッチ素子56が本発明の「第6スイッチ素子」に対応する。
【0027】
差動増幅回路20は、反転入力端子、非反転入力端子、および、出力端子を備える。非反転入力端子が本発明の「第1入力端子」に対応し、反転入力端子が本発明の「第2入力端子」に対応する。
【0028】
差動増幅回路20は、反転入力端子に入力された信号と非反転入力端子に入力された信号の差動信号を、設定された利得Gで増幅して、出力端子から出力する。この出力信号(出力電圧Vout)が、生体信号測定装置10としての出力する生体信号に対応する。
【0029】
検出電極31、検出電極32、および、基準電極30は、生体90の異なる位置に装着されている。
【0030】
検出電極31は、スイッチ素子51を介して、非反転入力端子に接続されている。スイッチ素子51は、検出電極31と非反転入力端子との導通および開放を選択する。検出電極32は、スイッチ素子52を介して、反転入力端子に接続されている。スイッチ素子52は、検出電極32と反転入力端子との導通および開放を選択する。
【0031】
基準電極30は、スイッチ素子55を介して、電源60に接続されている。スイッチ素子55は、基準電極30と電源60との導通および開放を選択する。また、基準電極30は、スイッチ素子56を介して、基準電位(例えば、接地電位)に接続されている。スイッチ素子56は、基準電極30と基準電位との導通および開放を選択する。
【0032】
抵抗素子41は、非反転入力端子と基準電位(例えば、接地電位)との間に接続されている。抵抗素子41は、差動増幅回路20の非反転入力端子側の入力抵抗を決定する。スイッチ素子53は、抵抗素子41と基準電位との間に接続されている。スイッチ素子53は、抵抗素子41と基準電位との導通および開放を選択する。
【0033】
抵抗素子42は、反転入力端子と基準電位(例えば、接地電位)との間に接続されている。抵抗素子42は、差動増幅回路20の反転入力端子側の入力抵抗を決定する。スイッチ素子54は、抵抗素子42と基準電位との間に接続されている。スイッチ素子54は、抵抗素子42と基準電位との導通および開放を選択する。
【0034】
抵抗素子41が接続する基準電位、抵抗素子42が接続する基準電位、および、基準電極30が接続する基準電位は同じ電位である。
【0035】
電源60は、検出用信号を発生する。検出用信号は交流信号である。
【0036】
このような構成の生体信号測定装置10は、次に示すように、検出電極31の接触状態、検出電極32の接触状態、基準電極30の接触状態を判定する。検出電極31の接触状態の判定とは、検出電極31と生体90との接触不良の判定、検出電極31と生体90との接触抵抗911の抵抗値Rcpの測定の少なくとも一方を含む。検出電極32の接触状態の判定とは、検出電極32と生体90との接触不良の判定、検出電極32と生体90との接触抵抗912の抵抗値Rcnの測定の少なくとも一方を含む。基準電極30の接触状態の判定とは、基準電極30と生体90との接触不良の判定、基準電極30と生体90との接触抵抗910の抵抗値Rcrの測定の少なくとも一方を含む。
【0037】
生体信号測定装置10が上述の構成を備えることによって、検出電極31の生体90への接触状態、検出電極32の生体90への接触状態、および、基準電極30の生体90への接触状態を判定できる。
【0038】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る接触状態判定システムの構成図である。
図2に示すように、接触状態判定システム11は、上述の生体信号測定装置10の構成に加えて、制御部70、接触状態判定部71、および、生体信号処理部72を備える。なお、接触状態の判定のみを行うのであれば、生体信号処理部72は、省略することができる。
【0039】
制御部70は、接触状態判定部71、生体信号処理部72、および、各スイッチ素子に接続している。接触状態判定部71、および、生体信号処理部72は、差動増幅回路20の出力端子に接続されている。
【0040】
制御部70は、接触状態判定部71、生体信号処理部72、および、各スイッチ素子の制御を実行する。制御部70は、後述の各接続態様を実現するように、各スイッチ素子を制御する。
【0041】
接触状態判定部71は、各接続態様における出力信号を用いて、接触抵抗値の測定、接触状態の判定を行う。
【0042】
生体信号処理部72は、出力信号に所定の処理(例えば、フィルタ処理等)を行い、出力する。この際、生体信号処理部72は、接触状態判定部71によって接触不良が無いことを検出したときに、この処理を行うようにしてもよい。
【0043】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る接触状態の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図4は、第1接続態様を示す回路図である。
図5は、第2接続態様を示す回路図である。
図6は、第3接続態様を示す回路図である。
【0044】
接触状態判定システム11の接触状態判定部71は、第1接続態様にて出力電圧v
outpを測定する(S11)。なお、v
outp=Vp・e
jωtであり、Vp(≧0)はv
outpの振幅であり、ωはv
pの角周波数(角速度)であり、tは時刻である。この角速度は、検出用信号の角速度と一致する。
【0045】
第1接続態様とは、
図4に示すように、スイッチ素子51、スイッチ素子53、スイッチ素子54、および、スイッチ素子55は、それぞれに導通である。スイッチ素子52およびスイッチ素子56は開放である。
【0046】
第1接続態様では、電源60から出力される検出用信号は、基準電極30、接触抵抗910、接触抵抗911、および、検出電極31を介して、差動増幅回路20の非反転入力端子に入力される。また、差動増幅回路20の非反転入力端子は、抵抗素子41を介して基準電位に接続され、反転入力端子は、抵抗素子42を介して基準電位に接続される。
【0047】
したがって、この出力電圧v
outpは次の式で表される。なお、抵抗素子41と抵抗素子42の抵抗値は同じとし、Rsとする。また、検出用信号の電圧をv
sとする。v
s=Vs・e
jωtであり、Vs(≧0)はv
sの振幅であり、ωはv
sの角周波数(角速度)であり、tは時刻である。また、Gは、差動増幅回路20の利得である。
【0048】
【数1】
接触状態判定システム11の接触状態判定部71は、第2接続態様にて出力電圧Voutnを測定する(S12)。なお、v
outn=−Vn・e
jωtであり、Vn(≧0)はv
outnの振幅であり、ωはv
outnの角周波数(角速度)であり、tは時刻である。この角速度は、検出用信号の角速度と一致する。
【0049】
第2接続態様とは、
図5に示すように、スイッチ素子52、スイッチ素子53、スイッチ素子54、および、スイッチ素子55は、それぞれに導通である。スイッチ素子51およびスイッチ素子56は開放である。
【0050】
第2接続態様では、電源60から出力される検出用信号は、基準電極30、接触抵抗910、接触抵抗912、および、検出電極32を介して、差動増幅回路20の反転入力端子に入力される。また、差動増幅回路20の非反転入力端子は、抵抗素子41を介して基準電位に接続され、反転入力端子は、抵抗素子42を介して基準電位に接続される。
【0051】
したがって、この出力電圧v
outnは次の式で表される。なお、抵抗素子41と抵抗素子42の抵抗値は同じとし、Rsとする。また、検出用信号の電圧をv
sとする。
【0052】
【数2】
接触状態判定システム11の接触状態判定部71は、第3接続態様にて出力電圧v
outdを測定する(S13)。なお、Vp>Vnならば、v
outd=Vd・e
jωtであり、Vd(≧0)はv
outdの振幅であり、ωはv
outdの角周波数(角速度)であり、tは時刻である。この角速度は、検出用信号の角速度と一致する。一方、Vp<Vnならば、v
outd=−Vd・e
jωtであり、Vd(≧0)はv
outdの振幅であり、ωはv
outdの角周波数(角速度)であり、tは時刻である。この角速度は、検出用信号の角速度と一致する。
【0053】
第3接続態様とは、
図6に示すように、スイッチ素子51、スイッチ素子52、スイッチ素子53、スイッチ素子54、および、スイッチ素子55は、それぞれに導通である。スイッチ素子56は開放である。
【0054】
第3接続態様では、電源60から出力される検出用信号は、基準電極30、接触抵抗910を介し、検出電極31側と検出電極32側とに分配される。検出電極31側に分配された検出用信号は、接触抵抗911、および、検出電極31を介して、差動増幅回路20の非反転入力端子に入力される。検出電極32側に分配された検出用信号は、接触抵抗912、および、検出電極32を介して、差動増幅回路20の反転入力端子に入力される。また、差動増幅回路20の非反転入力端子は、抵抗素子41を介して基準電位に接続され、反転入力端子は、抵抗素子42を介して基準電位に接続される。
【0055】
したがって、この出力電圧v
outdは次の式で表される。なお、抵抗素子41と抵抗素子42の抵抗値は同じとし、Rsとする。また、検出用信号の電圧をv
sとする。
【0056】
【数3】
なお、Ap、Anは次式で表される。
【0057】
【数4】
【数5】
接触状態判定システム11の接触状態判定部71は、上述の出力電圧v
outp、v
outn、v
outdを用いて(式1から式5を用いて)、基準電極30と生体90との接触抵抗910の抵抗値Rcrを算出する(S14)。
【0058】
基準電極30の接触抵抗910の抵抗値(基準電極30の接触抵抗値)Rcrは、次の式で表される。
【0059】
【数6】
接触状態判定システム11の接触状態判定部71は、算出された接触抵抗910の抵抗値Rcrと上述のv
outp、v
outnとを用いて(式1、式2、式6を用いて)、検出電極31と生体90との接触抵抗911の抵抗値Rcp、および、検出電極32と生体90との接触抵抗912の抵抗値Rcnを算出する(S15)。
【0060】
検出電極31の接触抵抗911の抵抗値(検出電極31の接触抵抗値)Rcpは、次の式で表される。
【0061】
【数7】
検出電極32の接触抵抗値(検出電極32の接触抵抗値)Rcnは、次の式で表される。
【0062】
【数8】
このように、本実施形態の構成を備えることによって、生体信号測定装置10は、検出電極31、検出電極32、および、基準電極30の接触抵抗値を個別に算出できる。これにより、生体信号測定装置10は、検出電極31、検出電極32、および、基準電極30の生体90への接触状態を判定できる。
【0063】
なお、上述の説明では、動作説明を簡単化するために、電圧源を正弦波で表した。しかしながら、ある一定の振幅有する交流信号(例えば、方形波等)を用いることも可能であり、電圧源からの信号は、正弦波に限定されるものではない。
【0064】
上述の
図3に示すフローでは、接触抵抗の算出を行う場合を示したが、このフローに示す処理を用いて、接触不良の判定も行うことが可能である。
図7は、接触不良の判定を含む処理のフローチャートである。
図8は、各出力電圧と接触不良との関係を示す表である。
図8では、各接触抵抗の抵抗値Rcp、Rcn、Rcrが正常であるか異常(接触不良)であるかの組合せと、出力電圧v
outp、v
outn、v
outdの電圧値との関係を示している。
【0065】
接触状態判定部71は、第1接続態様にて出力電圧v
outpを測定する(S11)。接触状態判定部71は、第2接続態様にて出力電圧v
outnを測定する(S12)。接触状態判定部71は、第1接続態様の出力電圧v
outpの振幅の絶対値Vpが接触不良の判定用閾値Vthp以下でなく(S21:NO)、第2接続態様の出力電圧v
outnの振幅の絶対値Vnが接触不良の判定用閾値Vthn以下でなければ(S22:NO)、接触不良が無いと判定する(S23)。なお、検出電極31に対する判定用閾値Vthp、および、検出電極32に対する判定用閾値Vthnは、例えば、予め実験的に決定したり、生体信号測定装置10における生体信号の測定に必要な出力電圧の最小の振幅レベルによって設定される。
【0066】
接触状態判定部71は、第2接続態様の出力電圧v
outnの振幅の絶対値Vnが接触不良の判定用閾値Vthnよりも大きければ(S22:YES)、検出電極31側に接触不良が有ると判定する(S24)。
【0067】
接触状態判定部71は、第1接続態様の出力電圧v
outpの振幅の絶対値Vpが接触不良の判定用閾値Vthpよりも大きく(S21:YES)、第2接続態様の出力電圧v
outnの振幅の絶対値Vnが接触不良の判定用閾値Vthn以下でなければ(S25:NO)、検出電極31側に接触不良が有ると判定する(S26)。
【0068】
接触状態判定部71は、第1接続態様の出力電圧v
outpの振幅のVpが接触不良の判定用閾値Vthpよりも大きく(S21:YES)、第2接続態様の出力電圧v
outnの振幅の絶対値Vnが接触不良の判定用閾値Vthnよりも大きければ(S25:YES)、いずれかの箇所に接触不良が有ると判定する(S27)。
【0069】
接触状態判定部71は、接触不良が無いと判定すると、第1接続態様の出力電圧v
outpの振幅の絶対値Vpと第2接続態様の出力電圧v
outnの振幅の絶対値Vnとを比較する。接触状態判定部71は、第1接続態様の出力電圧v
outpの振幅の絶対値Vpと第2接続態様の出力電圧v
outnの振幅の絶対値Vnとが略同じでないと(S28:NO)、第3接続態様での出力電圧v
outdを測定し(S13)、各電極に対する接触抵抗を算出する(S30)。ステップS30の処理は、上述の
図3に示す、ステップS14とステップS15の処理に対応する。
【0070】
接触状態判定部71は、第1接続態様の出力電圧v
outpの振幅の絶対値Vpと第2接続態様の出力電圧v
outnの振幅の絶対値Vnとが略同じであると(S28:YES)、接触抵抗の測定を行わずに処理を終了する。
【0071】
このような処理を行うことによって、接触状態判定システム11は、各電極に対する接触不良を確実に判定でき、接触不良に至らない状態での接触抵抗を算出できる。
【0072】
なお、上述の構成からなる生体信号測定装置10を用いた場合、次の接続態様によって、生体信号の測定を行うことができる。
図9は、第4接続態様を示す回路図である。
図10は、第5接続態様を示す回路図である。
【0073】
図9に示すように、第4接続態様では、スイッチ素子51、スイッチ素子52、スイッチ素子53、スイッチ素子54、および、スイッチ素子56は、それぞれに導通である。スイッチ素子55は開放である。
【0074】
図10に示すように、第5接続態様では、スイッチ素子51、スイッチ素子52、および、スイッチ素子56は、それぞれに導通である。スイッチ素子53、スイッチ素子54、および、スイッチ素子55は開放である。
【0075】
これらの接続態様を用いることによって、電源60が生体信号の測定系から分離され、基準電極30が基準電位に接続される。これにより、生体信号測定装置10は、生体信号を測定できる。この際、
図9に示す第4接続態様では、差動増幅回路20の入力抵抗は、抵抗素子41と抵抗素子42とによって決定され、
図10に示す第5接続態様では、差動増幅回路20の入力抵抗は、差動増幅回路20の入力インピーダンスによって決定される。いずれの場合であっても、生体信号測定装置10は、生体信号を確実に測定できる。
【0076】
また、上述の説明では、接触状態判定システム11は、接触不良の判定および接触抵抗の測定を一度行う態様を示したが、測定時に経時的に複数回判定および測定を行ってもよい。
図11は、接触不良の判定を複数回行う場合の処理を示すフローチャートである。
【0077】
図11に示すように、接触状態判定システム11は、生体信号の測定初期において、接触不良を判定する(S41)。接触状態判定システム11は、接触不良が有れば(S42:YES)、接触不良を通知する(S47)。
【0078】
接触状態判定システム11は、接触不良が無ければ(S42:NO)、生体信号の測定を行う(S43)。接触状態判定システム11は、再判定条件を満たさなければ(S44:NO)、生体信号の測定を継続する(S43)。接触状態判定システム11は、再判定条件を満たせば(S44:YES)、接触状態の判定を行う(S45)。
【0079】
再判定条件とは、例えば、生体信号の測定回数、生体信号の測定開始からの経過時間等によって、設定可能である。測定回数の場合、接触状態判定システム11は、測定回数が閾値を超えると、再判定条件を満たすと判定する。経過時間の場合、接触状態判定システム11は、経過時間が閾値を超えると、再判定条件を満たすと判定する。
【0080】
さらには、再判定条件は、接触抵抗の抵抗値の変動量に基づいてもよい。すなわち、接触状態判定システム11は、接触抵抗の抵抗値を測定毎に順次記憶し、その変動量を算出する。接触状態判定システム11は、変動量が閾値を超えると、再判定条件を満たすと判定する。
【0081】
接触状態判定システム11は、接触不良が無ければ(S46:NO)、生体信号の測定を継続する(S43)。接触状態判定システム11は、接触不良が有れば(S46:YES)、接触不良を通知する(S47)。
【0082】
これにより、接触状態判定システム11は、後発的に生じる接触不良も確実に判定できる。
【0083】
次に、第2の実施形態に係る生体信号測定装置について、図を参照して説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る生体信号測定装置の回路図である。
【0084】
図12に示すように、第2の実施形態に係る生体信号測定装置10Aは、第1の実施形態に係る生体信号測定装置10に対して、検出電極33、検出電極34、スイッチ素子570、スイッチ素子571、および、スイッチ素子572を備える点において異なる。さらに、生体信号測定装置10Aは、生体信号測定装置10に対して、基準電極30を、基準電極301、基準電極302に置き換えた点において異なる。生体信号測定装置10Aの他の構成は、生体信号測定装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0085】
概略的には、生体信号測定装置10Aは、生体信号測定装置10と比較して、生体信号の測定箇所を複数にしたものである。
【0086】
検出電極33と検出電極34とは、生体90の異なる位置に装着されている。さらに、検出電極33と検出電極34とは、検出電極31と検出電極32とに対して、生体90の異なる位置に装着されている。
【0087】
スイッチ素子570は、基準電極301と基準電極302とを選択的にスイッチ素子55またはスイッチ素子56に接続する。
【0088】
スイッチ素子571は、検出電極31と検出電極33とを選択的にスイッチ素子51に接続する。スイッチ素子572は、検出電極32と検出電極34とを選択的にスイッチ素子52に接続する。
【0089】
スイッチ素子570が基準電極301とスイッチ素子55またはスイッチ素子56とを接続する態様では、スイッチ素子571は、検出電極31とスイッチ素子51とを接続し、スイッチ素子572は、検出電極32とスイッチ素子52とを接続する。
【0090】
スイッチ素子570が基準電極302とスイッチ素子55またはスイッチ素子56とを接続する態様では、スイッチ素子571は、検出電極33とスイッチ素子51とを接続し、スイッチ素子572は、検出電極34とスイッチ素子52とを接続する。
【0091】
これらの接続態様のそれぞれにおいて、スイッチ素子51、スイッチ素子52、スイッチ素子53、スイッチ素子54、スイッチ素子55、スイッチ素子56によって、上述の接触状態判定用の各接続態様を採用することで、接触状態判定システムは、検出電極31、検出電極32、検出電極33、検出電極34、基準電極301、および、基準電極302の各接触不良の判定を、分離して行うことができる。また、接触状態判定システムは、上述の接触状態判定用の各接続態様を採用することで、検出電極31と生体90との接触抵抗911の接触抵抗値Rcp1、検出電極32と生体90との接触抵抗912の接触抵抗値Rcn1、検出電極33と生体90との接触抵抗913の接触抵抗値Rcp3、検出電極34と生体90との接触抵抗914の接触抵抗値Rcn2、基準電極301と生体90との接触抵抗9101の接触抵抗値Rcr1、および、基準電極302と生体90との接触抵抗9102の接触抵抗値Rcr2の測定を、分離して行うことができる。
【0092】
なお、
図12では、生体信号の測定箇所が2箇所の態様を示したが、3箇所以上であってもよい。この場合、測定箇所数をnとして、スイッチ素子570、スイッチ素子571、および、スイッチ素子572には、SPnTのスイッチ素子を用いればよい。