特許第6984324号(P6984324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984324
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ブローアウト装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 9/004 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   G21C9/004
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-212609(P2017-212609)
(22)【出願日】2017年11月2日
(65)【公開番号】特開2019-86323(P2019-86323A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】落合 悦司
(72)【発明者】
【氏名】畑 治広
【審査官】 関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−077097(JP,A)
【文献】 特開2009−121917(JP,A)
【文献】 実開昭58−195897(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C9/00−13/032
13/04−13/08
13/10−15/28
G21D1/00−9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電施設の建屋に形成された開口部を塞ぐ板状のブローアウトパネルと、
前記開口部に対して離接する方向に移動自在に前記ブローアウトパネルを保持するガイドホルダと、
前記開口部を塞ぐ方向に前記ブローアウトパネルを押圧する押圧手段と、
を備え、前記建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、前記押圧に抗して前記ブローアウトパネルが前記開口部から離れる方向に移動して前記開口部が開放され、前記建屋の内圧が降下すると、前記押圧によって前記ブローアウトパネルが前記開口部側に移動して前記開口部が塞がれ
前記ガイドホルダは、
前記開口部に嵌め込まれる環状のガイドフレームと、
前記ブローアウトパネルに設けられ、前記ガイドフレームの内周面に接して前記ブローアウトパネルを案内する被ガイド部と、
を備え、前記ブローアウトパネルが前記ガイドフレームの端面に当接することで前記開口部が塞がれ、前記ブローアウトパネルが前記ガイドフレームの端面が離れることで前記開口部が開放される、
ことを特徴とするブローアウト装置。
【請求項2】
前記ブローアウトパネルは、板面が上下方向に延びるように配設され、
前記押圧手段は、前記ブローアウトパネルの自重によって構成され、
前記建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、前記ブローアウトパネルが前記開口部から斜め上方に移動し、前記建屋の内圧が降下すると、自重によって前記ブローアウトパネルが斜め上方から前記開口部側に移動するように、前記ガイドフレームと前記被ガイド部が形成されている、
ことを特徴とする請求項に記載のブローアウト装置。
【請求項3】
前記ブローアウトパネルは、板面が横方向に延びるように配設され、
前記押圧手段は、前記ブローアウトパネルの自重によって構成され、
前記建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、前記ブローアウトパネルが前記開口部から
上方に移動し、前記建屋の内圧が降下すると、自重によって前記ブローアウトパネルが上方から前記開口部側に移動するように、前記ガイドフレームと前記被ガイド部が形成されている、
ことを特徴とする請求項に記載のブローアウト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子力発電施設の建屋の内圧が上昇した場合に、その圧力を外部に逃すためのブローアウト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子炉格納容器の外側で主蒸気管の破断事故が発生すると、高温高圧の一次冷却材が建屋内に放出されて建屋の内圧が上昇し、原子炉格納容器に作用する外圧が上昇したり建屋自身の機能に支障をきたしたりするおそれがある。このような事故時等に、建屋内の圧力(蒸気)を外部に放出して内圧上昇を緩和するために、ブローアウト装置が設置されており、このブローアウト装置として、従来、クリップタイプとラプチャーディスクタイプのものが広く使用されている。
【0003】
クリップタイプのブローアウト装置は、図9(a)に示すように、建屋の外壁101の開口部101aを塞ぐブローアウトパネル102が、クリップ103によって仮固定されている。そして、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、図9(b)に示すように、クリップ103による仮固定が解除されてブローアウトパネル102が外れ、開口部101aが開放されるものである。
【0004】
ラプチャーディスクタイプのブローアウト装置は、図10(a)に示すように、建屋の外壁101の開口部101aを塞ぐブローアウトパネル104に、予め傷部(耐圧が弱い部位)104aが形成されている。そして、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、図10(b)に示すように、傷部104aからブローアウトパネル104が破断して、開口部101aが開放されるものである。
【0005】
このようなブローアウト装置では、建屋の内圧が低下した後(開放動作後)に開口部101aを再び塞ぐ必要があるが、一度開口部101aが開放されると、ブローアウトパネル102、104などを取り替える必要があり、時間や費用を要するばかりでなく、作業員が被ばくするおそれがある。このため、開放動作した後に速やかに閉止復旧することができる、というブローアウト装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
このブローアウト装置は、建屋の開口部に、固定装置によって取り付けられた閉止パネルと、閉止パネルに一端が取り付けられたワイヤと、ワイヤの他端を巻き取るパネル復旧装置と、を備える。そして、建屋の内部圧力が所定値以上になると固定装置が破損し、閉止パネルが回転して開口部が開放され、その後、ワイヤをパネル復旧装置で巻き取ることで、閉止パネルを閉止位置に再設置することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−121917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、本願発明者は、ブローアウト装置が一度開放動作した後であっても、ブローアウト装置として継続使用できることが望ましい場合が想定し得る、と考える。しかしながら、特許文献1に記載のブローアウト装置では、固定装置が破損することで、閉止パネルが回転して開口部が開放されるため、その後ワイヤをパネル復旧装置で巻き取って閉止パネルを閉止位置に再設置させても、ブローアウト装置として継続使用することはできない。つまり、固定装置が破損しているため、ブローアウト装置として再使用するには、固定装置の再設置が必要で、作業員による作業が必要となる。
【0009】
また、電力を利用してパネル復旧装置を駆動させるものでは、停電の際にワイヤを巻き取ることができない。一方、手動でパネル復旧装置を駆動させるものでは、作業員による操作、作業が必要となる。
【0010】
そこでこの発明は、人による作業や電力を要することなく、開放動作した後に再度使用可能なブローアウト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、原子力発電施設の建屋に形成された開口部を塞ぐ板状のブローアウトパネルと、前記開口部に対して離接する方向に移動自在に前記ブローアウトパネルを保持するガイドホルダと、前記開口部を塞ぐ方向に前記ブローアウトパネルを押圧する押圧手段と、を備え、前記建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、前記押圧に抗して前記ブローアウトパネルが前記開口部から離れる方向に移動して前記開口部が開放され、前記建屋の内圧が降下すると、前記押圧によって前記ブローアウトパネルが前記開口部側に移動して前記開口部が塞がれ、前記ガイドホルダは、前記開口部に嵌め込まれる環状のガイドフレームと、前記ブローアウトパネルに設けられ、前記ガイドフレームの内周面に接して前記ブローアウトパネルを案内する被ガイド部と、を備え、前記ブローアウトパネルが前記ガイドフレームの端面に当接することで前記開口部が塞がれ、前記ブローアウトパネルが前記ガイドフレームの端面が離れることで前記開口部が開放される、ことを特徴とするブローアウト装置である。
【0012】
この発明によれば、事故などで建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、押圧手段による押圧に抗してブローアウトパネルが開口部から離れる方向に移動して開口部が開放され、建屋内の気体(蒸気)が開口部から排気される。これによって建屋の内圧が降下すると、押圧手段による押圧によってブローアウトパネルが開口部側に移動して開口部が塞がれる。そして、再び建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、ブローアウトパネルが再び開口部から離れて開口部が開放される、という動作を繰り返す。
【0014】
請求項の発明は、請求項に記載のブローアウト装置において、前記ブローアウトパネルは、板面が上下方向に延びるように配設され、前記押圧手段は、前記ブローアウトパネルの自重によって構成され、前記建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、前記ブローアウトパネルが前記開口部から斜め上方に移動し、前記建屋の内圧が降下すると、自重によって前記ブローアウトパネルが斜め上方から前記開口部側に移動するように、前記ガイドフレームと前記被ガイド部が形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、請求項に記載のブローアウト装置において、前記ブローアウトパネルは、板面が横方向に延びるように配設され、前記押圧手段は、前記ブローアウトパネルの自重によって構成され、前記建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、前記ブローアウトパネルが前記開口部から上方に移動し、前記建屋の内圧が降下すると、自重によって前記ブローアウトパネルが上方から前記開口部側に移動するように、前記ガイドフレームと前記被ガイド部が形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、一度ブローアウトパネルが開口部から離れて開口部が開放されても、建屋の内圧が下がれば、押圧手段によってブローアウトパネルが開口部を塞ぎ、再び建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、ブローアウトパネルが再び開口部を開放する。このように、人による作業や電力を要することなく、開放動作した後にブローアウト装置として再度使用することができる。しかも、一度開口部が開放されても、押圧手段によってブローアウトパネルが自動的に開口部を塞ぐため、労力や費用を抑制できるばかりでなく、速やかにブローアウト装置として継続使用する(次のブローアウトに備える)ことが可能となる。また、地震や外部衝撃などによって開放動作(誤動作)した場合でも、即座にブローアウト装置として使用することができる。
【0017】
また、請求項1の発明によれば、開口部に嵌め込まれるガイドフレームに対して、被ガイド部が接してブローアウトパネルが接離するため、開口部自体を加工、改良等する必要がない。このため、既存・既設の開口部にも容易かつ迅速にブローアウト装置を設置することが可能となる。
【0018】
請求項の発明によれば、板面が上下方向に延びるようにブローアウトパネルが配設され、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、ブローアウトパネルが斜め上方に移動して開口部が開放されるため、ブローアウトパネルを外壁などに垂直に配設して建屋内の気体を排気したい場合に有効である。しかも、押圧手段がブローアウトパネルの自重によって構成されているだけであるため、簡易な構成にすることができ、その結果、信頼性、保守性を高めることができる。
【0019】
請求項の発明によれば、板面が横方向に延びるようにブローアウトパネルが配設され、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、ブローアウトパネルが上方に移動して開口部が開放されるため、ブローアウトパネルを天井などに水平に配設して建屋内の気体を排気したい場合に有効である。しかも、押圧手段がブローアウトパネルの自重によって構成されているだけであるため、簡易な構成にすることができ、その結果、信頼性、保守性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施の形態1に係るブローアウト装置の概略構成を示す側面図(一部断面図)であり、(a)は、ブローアウトパネルが開口部を塞いだ状態を示し、(b)は、ブローアウトパネルが開口部を開放した状態を示す図である。
図2図1のブローアウト装置の正面図(図1(a)の右側面図)である。
図3図1のブローアウト装置の背面図(図1(a)の左側面図)である。
図4図1(a)のA−A断面図である。
図5図1のブローアウト装置のブローアウトパネルとガイドポールとストッパーリングを示す、背面図(a)と側面図(b)である。
図6図1のブローアウト装置のガイドフレームを示す拡大断面図である。
図7】この発明の実施の形態2に係るブローアウト装置の概略構成を示す側面図(一部断面図)であり、(a)は、ブローアウトパネルが開口部を塞いだ状態を示し、(b)は、ブローアウトパネルが開口部を開放した状態を示す図である。
図8】この発明の実施の形態3に係るブローアウト装置の概略構成を示す側面断面図であり、(a)は、ブローアウトパネルが開口部を塞いだ状態を示し、(b)は、ブローアウトパネルが開口部を開放した状態を示す図である。
図9】従来のクリップタイプのブローアウト装置の概略構成を示す側面断面図であり、(a)は、ブローアウトパネルが閉じた状態を示し、(b)は、ブローアウトパネルが開いた状態を示す図である。
図10】従来のラプチャーディスクタイプのブローアウト装置の概略構成を示す正面図であり、(a)は、ブローアウトパネルが閉じた状態を示し、(b)は、ブローアウトパネルが開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1図6は、この実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係るブローアウト装置1の概略構成を示す側面図(一部断面図)であり、(a)は、ブローアウトパネル3が開口部100aを塞いだ状態を示し、(b)は、ブローアウトパネル3が開口部100aを開放した状態を示す。このブローアウト装置1は、原子力発電施設の建屋の内圧が上昇した場合に、その圧力つまり建屋内の気体(蒸気)を外部に逃すための装置であり、主として、ガイドフレーム(ガイドホルダ)2と、ブローアウトパネル3と、ガイドポール(ガイドホルダ、被ガイド部)4と、ストッパーリング5と、を備える。ここで、この実施の形態では、建屋の上下方向に延びる(略垂直な)外壁100にブローアウト装置1を設置する場合について説明し、外壁100には窓孔状(正面形状が略四角形)の開口部100aが形成されている。
【0023】
ガイドフレーム2は、開口部100aに嵌め込まれる環状のフレームであり、ガイドポール4とともにガイドホルダを構成し、開口部100aに対して離接する方向(外壁100の略厚み方向)に移動自在にブローアウトパネル3を保持する。すなわち、図2図3に示すように、外郭形状が開口部100aの外郭形状とほぼ同形状の四角い窓枠状で、開口部100aの内周面に沿って嵌合されるように形成されている。また、ガイドフレーム2の厚みは外壁100の厚みよりも小さく、開口部100aの厚み方向の中央部内にガイドフレーム2が収容され、ブローアウトパネル3が開口部100aを塞いだ状態で、ブローアウト装置1が開口部100a内に収まるようになっている。この状態では、ブローアウトパネル3の正面(建屋の外側の面)が外壁100の外面と面一となり、ストッパーリング5の背面(建屋の内側の面)が外壁100の内面と面一となる。
【0024】
そして、ガイドフレーム2を開口部100a内に嵌め込んで、ネジなどの固定具で外壁100に固定できるようになっている。このようなガイドフレーム2に対して、ブローアウトパネル3とガイドポール4とストッパーリング5が配設されて、ユニット化されている。
【0025】
また、図1に示すように、ガイドフレーム2の上辺部の下面2aと下辺部の上面2bは、建屋の内側から外側に向かって上方に傾斜したテーパ面に形成されている。さらに、ガイドフレーム2の上辺部と下辺部のガイドポール4が接する部位には、図6に示すように、下面2aおよび上面2bから突出して回転自在なローラ21が配設され、ガイドポール4が円滑に移動、スライドするようになっている。また、ローラ21の近傍には、図4に示すように、内側に突出したガイド板22が設けられ、ガイドポール4が横にずれずに案内されるようになっている。
【0026】
ブローアウトパネル3は、板状で開口部100aを開閉自在に塞ぐパネルであり、この実施の形態では、板面が上下方向に延びように配設されている。すなわち、図2に示すように、外郭形状がガイドフレーム2の外郭形状よりも小さい(高さがやや短い)四角い板状で、ガイドフレーム2よりも建屋の外側に配置されている。
【0027】
そして、図1(a)に示すように、ガイドフレーム2の外側の端面2cに全周にわたってブローアウトパネル3が当接することで、開口部100aが塞がれ、図1(b)に示すように、ブローアウトパネル3がガイドフレーム2の端面2cから離れることで、開口部100aが開放されるようになっている。また、ガイドフレーム2の端面2cにはパッキンが設けられ、ブローアウトパネル3が開口部100aを塞いだ際に気密性が確保されるようになっている。
【0028】
ここで、ブローアウトパネル3の重量は、開口部100aを塞ぐ方向にブローアウトパネル3を常に押圧する押圧手段としての機能を有するように設定され、押圧手段は、ブローアウトパネル3の自重によって構成されている。すなわち、後述するように、開口部100aが開放された後に建屋の内圧が降下した際に、自重(押圧手段による押圧)によってブローアウトパネル3が開口部100a側に移動して開口部100aを塞ぐように、ブローアウトパネル3の重量が設定されている。
【0029】
ガイドポール4は、ブローアウトパネル3に設けられ、ガイドフレーム2の内周面に接してブローアウトパネル3を案内するものである。すなわち、図5に示すように、断面が略四角い棒状で、一端部がブローアウトパネル3の背面(建屋の内側の面)の四隅側に接続され、建屋の内側から外側に向かって上方に傾斜するように配設されている。その傾斜角は、ガイドフレーム2の下面2aおよび上面2b(内周面)の傾斜角と同角度に設定され、各ガイドポール4の配設位置は、ガイドフレーム2のローラ21(内周面)と接するように設定されている。
【0030】
そして、図1に示すように、上側の2つのガイドポール4の上面が、ガイドフレーム2の上側の2つのローラ21にそれぞれ接し、下側の2つのガイドポール4の下面が、ガイドフレーム2の下側の2つのローラ21にそれぞれ接するように、4つのガイドポール4がガイドフレーム2内に配置されている。また、この状態では、図5に示すように、上側の2つのガイドポール4の外側が、ガイドフレーム2の上側の2つのガイド板22で挟まれ、下側の2つのガイドポール4の外側が、ガイドフレーム2の下側の2つのガイド板22で挟まれている。
【0031】
これにより、4つのガイドポール4とブローアウトパネル3とが、ガイドフレーム2の下面2aおよび上面2bに案内されて、斜め上方に移動したり、斜め下方に移動したりするようになっている。このとき、ブローアウトパネル3は、上下方向に延びたまま平行に移動する。このようなガイドポール4とガイドフレーム2とでガイドホルダが構成されている。
【0032】
ストッパーリング5は、ブローアウトパネル3の移動を規制するものであり、図5に示すように、四角い窓枠状で、四隅にガイドポール4の他端部が接続されている。そして、ブローアウトパネル3が開口部100aを開放した状態で、図1(b)に示すように、ストッパーリング5がガイドフレーム2の内側の端面2dに当接して、ブローアウトパネル3がそれ以上移動するのを防止するようになっている。
【0033】
そして、図1(a)に示すように、ブローアウトパネル3が閉じて開口部100aを塞いだ状態で、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、図1(b)に示すように、ブローアウトパネル3の自重に抗して、ブローアウトパネル3が開口部100aから離れる方向に移動して開口部100aが開放される。この際、ガイドフレーム2の下面2aおよび上面2bとガイドポール4に案内されて、ブローアウトパネル3が開口部100aから斜め上方に移動する。その後、建屋の内圧が降下すると、自重によってブローアウトパネル3が開口部100a側に移動して、図1(a)に示すように、再び開口部100aが塞がれる。この際、ガイドフレーム2の下面2aおよび上面2bとガイドポール4に案内されて、ブローアウトパネル3が斜め上方から開口部100aに移動するようになっている。すなわち、このような動作が行われるように、ガイドフレーム2の下面2a、上面2bの形状、角度やガイドポール4の配設角度、ブローアウトパネル3やストッパーリング5等の重量などが設定されている。
【0034】
このような構成のブローアウト装置1によれば、平常時は図1(a)に示すように、ブローアウトパネル3が開口部100aを塞いで建屋内の気体が外部に放出されない。そして、事故などで建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、図1(b)に示すように、ブローアウトパネル3が開口部100aから離れて開口部100aが開放され、建屋内の気体が開口部100a、ストッパーリング5の環内およびガイドフレーム2の環内を通って外部に排気される。これによって建屋の内圧が降下すると、自重によってブローアウトパネル3が開口部100a側に移動して、再び開口部100aが塞がれる。その後、再び建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、再びブローアウトパネル3が離れて開口部100aが開放される、という動作を繰り返すものである。
【0035】
このように、このブローアウト装置1によれば、一度ブローアウトパネル2が開口部100aから離れて開口部100aが開放されても、建屋の内圧が下がれば、自重(押圧手段)によってブローアウトパネル3が開口部100aを塞ぎ、再び建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、ブローアウトパネル3が再び開口部100aを開放する。このように、人による作業や電力を要することなく、開放動作した後にブローアウト装置として再度(何度でも)使用することができる。しかも、一度開口部100aが開放されても、自重によってブローアウトパネル3が自動的に開口部100aを塞ぐため、労力や費用を抑制できるばかりでなく、速やかにブローアウト装置として継続使用する(次のブローアウトに備える)ことが可能となる。
【0036】
また、板面が上下方向に延びようにブローアウトパネル3が配設され、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、ブローアウトパネル3が斜め上方に移動して開口部100aが開放されるため、ブローアウトパネル3を外壁などに垂直に配設して建屋内の気体を排気したい場合に有効である。しかも、押圧手段がブローアウトパネル3の自重によって構成されているだけであるため、簡易な構成にするこができ、その結果、信頼性、保守性を高めることができる。
【0037】
一方、開口部100aに嵌め込まれるガイドフレーム2に対して、ガイドポール4が接してブローアウトパネル3が接離するため、開口部100a自体を加工、改良等する必要がない。このため、既存・既設の開口部100aにも容易かつ迅速にブローアウト装置1を設置することが可能となる。
【0038】
(実施の形態2)
図7は、この実施の形態に係るブローアウト装置1の概略構成を示す側面図(一部断面図)であり、(a)は、ブローアウトパネル3が開口部100aを塞いだ状態を示し、(b)は、ブローアウトパネル3が開口部100aを開放した状態を示す図である。この実施の形態では、ブローアウトパネル3の板面が水平方向(横方向)に延びる点で実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。ここで、建屋の水平な天井(天板)110にブローアウト装置1を設置する場合について説明し、天井110には窓孔状(正面形状が略四角形)の開口部110aが形成されている。
【0039】
すなわち、実施の形態1におけるブローアウト装置1を90度横に倒したような構成となっており、ブローアウトパネル3の板面およびガイドフレーム2とストッパーリング5の枠面が水平に配設されている。そして、平常時は図7(a)に示すように、ブローアウトパネル3が自重によって開口部100aを塞いで建屋内の気体が外部に放出されず、事故などで建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、図7(a)に示すように、ブローアウトパネル3が開口部100aから上方に移動して、開口部100aが開放され、続いて、建屋の内圧が降下すると、自重によってブローアウトパネル3が上方から開口部100a側に移動して、再び開口部100aを塞ぐようになっている。すなわち、このような動作が行われるように、ガイドフレーム2の下面2a、上面2bの形状、角度やガイドポール4の配設角度、ブローアウトパネル3やストッパーリング5等の重量などが設定されている。
【0040】
このような実施の形態によれば、板面が横方向に延びようにブローアウトパネル3が配設され、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、ブローアウトパネル3が上方に移動して開口部100aが開放されるため、ブローアウトパネル3を天井110などに水平に配設して建屋内の気体を排気したい場合に有効である。しかも、押圧手段がブローアウトパネル3の自重によって構成されているだけであるため、簡易な構成にするこができ、その結果、信頼性、保守性を高めることができる。ここで、ガイドフレーム2の下面2a、上面2bおよびガイドポール4を垂直に延びるように形成、配設して、ブローアウトパネル3を開口部100aの真上から上下動させてもよい。
【0041】
(実施の形態3)
図8は、この実施の形態に係るブローアウト装置1の概略構成を示す側面断面図であり、(a)は、ブローアウトパネル3が開口部100aを塞いだ状態を示し、(b)は、ブローアウトパネル3が開口部100aを開放した状態を示す図である。この実施の形態では、押圧手段が油圧シリンダ6で構成されている点で実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0042】
すなわち、ガイドフレーム2の上辺部の下面2aと下辺部の上面2bは、水平面に形成され、ガイドポール4は、水平に延びて配設されている。これにより、ブローアウトパネル3が水平に移動して、開口部100aに対して真横から進退自在となっている。また、ガイドフレーム2とストッパーリング5との間には油圧シリンダ6が配設され、この油圧シリンダ6によってストッパーリング5およびガイドポール4を介して、開口部100aを塞ぐ方向にブローアウトパネル3を常に押圧している。
【0043】
ここで、油圧シリンダ6の押圧力および配設数は、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、押圧に抗してブローアウトパネル3が開口部100aから離れて開口部100aが開放され、その後、建屋の内圧が降下すると、押圧によってブローアウトパネル3が開口部100a側に移動して開口部100aが塞がれるように、設定されている。また、油圧シリンダ6はクローザーとしての機能も備え、開口部100aが開放された後にブローアウトパネル3が開口部100a側に移動する際に、ブローアウトパネル3をゆっくり移動させるようになっている。これにより、建屋内の気体を開口部100aから十分、適正に排気することが可能になるとともに、ブローアウトパネル3等に衝撃が加わって損傷するのを防止することが可能となる。
【0044】
このような構成のブローアウト装置1によれば、平常時は図8(a)に示すように、ブローアウトパネル3が開口部100aを塞いで建屋内の気体が外部に放出されない。そして、事故などで建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、図8(b)に示すように、ブローアウトパネル3が開口部100aから離れて開口部100aが開放され、建屋内の気体が外部に排気される。これによって建屋の内圧が降下すると、油圧シリンダ6の押圧によってブローアウトパネル3が開口部100a側に移動して、図8(a)に示すように、再び開口部100aが塞がれる。その後、再び建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、図8(b)に示すように、再びブローアウトパネル3が離れて開口部100aが開放される、という動作を繰り返すものである。
【0045】
このような実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、人による作業や電力を要することなく、開放動作した後に速やかにブローアウト装置として再度使用することができる。また、押圧手段を油圧シリンダ6で構成しているため、油圧シリンダ6の押圧力や配設数を調整することで、所望の押圧力を容易に精度高く取得することができ、その結果、適正にブローアウトパネル3を開閉動作させることが可能となる。また、ガイドフレーム2の下面2aや上面2bをテーパ面に形成したり、ガイドポール4を傾斜させて配設したりする必要がないため、構成、製作が容易となる。ここで、押圧手段を油圧シリンダ6で構成しているが、空圧シリンダやバネなどで構成してもよい。
【0046】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態1、2では、ブローアウトパネル3の重量だけで所望の自重、押圧力を得ているが、ブローアウトパネル3に錘を付けて所望の自重、押圧力を得るようにしてもよい。これにより、容易に所望の自重、押圧力を得たり、自重、押圧力を調整したりすることが可能となる。
【0047】
また、ガイドフレーム2の外側の端面2cにブローアウトパネル3が当接し、ブローアウトパネル3の正面が外壁100の外面と面一になるようになっているが、ガイドフレーム2の端面2cを外壁100の外面と面一にしてもよいし、ブローアウトパネル3が外壁100の外面に直接当接するようにしてもよい。さらに、実施の形態1、2において、クローザーを設けてブローアウトパネル3がゆっくり閉じるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ブローアウト装置
2 ガイドフレーム(ガイドホルダ)
2a 上辺部の下面
2b 下辺部の上面
2c 外側の端面
21 ローラ
22 ガイド板
3 ブローアウトパネル
4 ガイドポール(ガイドホルダ、被ガイド部)
5 ストッパーリング
6 油圧シリンダ(押圧手段)
100 建屋の外壁
100a 開口部
図1
図2
図3
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図10