(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
引き続きいくつかの具体例を説明する。
【0013】
具体例に係る多モード干渉器デバイスは、(a)第1軸の方向に配列された第1端面及び第2端面、並びに前記第1軸の方向に延在する第1側面及び第2側面を有しており、多モード干渉器のためのMMI半導体メサと、(b)前記MMI半導体メサの前記第1側面から間隔を取って設けられた第1半導体メサと、(c)前記MMI半導体メサの前記第2側面から間隔を取って設けられた第2半導体メサと、(d)前記MMI半導体メサ、前記第1半導体メサ及び前記第2半導体メサを覆うと共に前記第1半導体メサ及び前記第2半導体メサ上にそれぞれ第1開口及び第2開口を有する埋込領域と、(e)前記埋込領域の前記第1開口を介して前記第1半導体メサに接触を成す第1金属体と、(f)前記埋込領域の前記第2開口を介して前記第2半導体メサに接触を成す第2金属体と、を備え、前記第1端面は、複数の第1光学ポートを有し、前記第2端面は、複数の第2光学ポートを有し、前記第1半導体メサ、前記MMI半導体メサ、及び前記第2半導体メサは、前記第1軸の方向に交差する第2軸の方向に配列される。
【0014】
この多モード干渉器デバイスによれば、埋込領域は、第1半導体メサ、第2半導体メサ及びMMI半導体メサを埋め込む。第1半導体メサ及び第2半導体メサは、それぞれ、MMI半導体メサの第1側面及び第2側面から隔置されており、また第1金属体及び第2金属体は、それぞれ、第1半導体メサ及び第2半導体メサ上に積み重ねられる。第1半導体メサ及び第1金属体を含む第1積み重ね構造物は、MMI半導体メサの第1側面を埋め込む埋込領域が第1積み重ね構造物を越えて延在することを妨げると共に、第2半導体メサ及び第2金属体を含む第2積み重ね構造物は、MMI半導体メサの第2側面を埋め込む埋込領域が第2軸の方向に第2積み重ね構造物を越えて延在することを妨げる。第1積み重ね構造物及び第2積み重ね構造物によれば、MMI半導体メサの第1側面から第2軸の方向に延在する埋込領域の長さとMMI半導体メサの第2側面から第2軸の方向に延在する埋込領域の長さを制限できる。
【0015】
具体例に係る多モード干渉器デバイスでは、前記MMI半導体メサは、2入力及び2出力の構造を有する。
【0016】
多モード干渉器デバイスによれば、小さい入力数及び出力数のMMIは、第2軸の方向に短い長さを有するMMI半導体メサを使用しており、またMMI半導体メサの第1側面及び第2側面上における埋め込む個々の埋込領域の長さに敏感である。
【0017】
具体例に係る多モード干渉器デバイスでは、前記MMI半導体メサは、上部半導体領域、コア層及び下部半導体領域を含む半導体積層構造を有し、前記第1半導体メサ及び前記第2半導体メサの各々は、前記半導体積層構造を有する。
【0018】
多モード干渉器デバイスによれば、MMI半導体メサ、第1半導体メサ及び第2半導体メサの中においてメサ高の違いが生じることを避けることができる。
【0019】
具体例に係る多モード干渉器デバイスでは、前記第1半導体メサの側面と前記MMI半導体メサの前記第1側面との間隔は、2マイクロメートル以上であり、前記第2半導体メサの側面と前記MMI半導体メサの前記第2側面との間隔は、2マイクロメートル以上である。
【0020】
多モード干渉器デバイスによれば、2マイクロメートル未満の幅を有する埋込領域は、第1半導体メサ及び第2半導体メサ上にそれぞれ設けられる埋込領域の第1開口及び第2開口の形状ばらつき、並びに第1半導体メサ及び第2半導体メサ上にそれぞれ設けられる第1金属体及び第2金属体の形状ばらつきがMMI半導体メサの多モード干渉器デバイスの特性に影響することを顕著にする。
【0021】
具体例に係る多モード干渉器デバイスでは、前記第1半導体メサの側面と前記MMI半導体メサの前記第1側面との間隔は、20マイクロメートル以下であり、前記第2半導体メサの側面と前記MMI半導体メサの前記第2側面との間隔は、20マイクロメートル以下である。
【0022】
多モード干渉器デバイスによれば、20マイクロメートルを越える幅を有する埋込領域は、第1半導体メサ及び第1金属体を含む第1積み重ね構造物並びに第2半導体メサ及び第2金属体を含む第2積み重ね構造物が、MMI半導体メサの多モード干渉器デバイスの特性に寄与することを弱める。
【0023】
具体例に係る多モード干渉器デバイスでは、前記埋込領域は、第1樹脂体、層間無機絶縁膜、及び第2樹脂体を含み、前記層間無機絶縁膜は、前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との間に位置する。
【0024】
多モード干渉器デバイスによれば、第1樹脂体は、第1半導体メサの側面とMMI半導体メサの第1側面との間、及び第2半導体メサの側面とMMI半導体メサの第2側面との間に設けられ、層間無機絶縁膜は第1樹脂体上に設けられ、第2樹脂体は層間無機絶縁膜上に設けられることができる。
【0025】
具体例に係る多モード干渉器デバイスでは、前記埋込領域は、第1無機絶縁膜及び樹脂体を含み、前記第1無機絶縁膜は、前記MMI半導体メサの上面、前記第1側面及び前記第2側面、前記第1半導体メサの側面及び上面、並びに前記第2半導体メサの側面及び上面に接触を成し、前記樹脂体は、前記MMI半導体メサの前記上面、前記第1側面及び前記第2側面、前記第1半導体メサの前記側面及び前記上面、前記第2半導体メサの前記側面及び前記上面、並びに前記第1無機絶縁膜を覆う。
【0026】
多モード干渉器デバイスによれば、MMI半導体メサの上面、第1側面及び第2側面、第1半導体メサの側面及び上面、並びに第2半導体メサの側面及び上面は、一体の樹脂体によって覆われる。
【0027】
具体例に係るマッハツェンダ変調装置は、(a)複数の半導体マッハツェンダ変調器と、(b)具体例に係る多モード干渉器デバイスとを備え、前記半導体マッハツェンダ変調器は前記多モード干渉器デバイスに光学的に結合される。
【0028】
マッハツェンダ変調装置によれば、半導体マッハツェンダ変調器からの光の合波及び分波における偏差を小さくできる。
【0029】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、多モード干渉器デバイス、及びマッハツェンダ変調器、マッハツェンダ変調装置、並びに多モード干渉器デバイス、マッハツェンダ変調器、及びマッハツェンダ変調装置を作製する方法に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る多モード干渉器デバイス及びマッハツェンダ変調装置を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1に示されたI−I線に沿って取られた断面における一実施例に係る多モード干渉器デバイスを模式的に示す図面である。
図3は、
図1に示されたI−I線に沿って取られた断面における別の実施例に係る多モード干渉器デバイスを模式的に示す図面である。
【0031】
図1を参照すると、多モード干渉器デバイス11は、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、第2半導体メサ17、埋込領域19、第1金属体21、及び第2金属体23を備える。MMI半導体メサ13は、n入力及びm出力を有する多モード干渉器(例えば、「n×mMMI」として参照される)を構成するように設けられ、また第1端面13a、第2端面13b、第1側面13c、第2側面13d及び上面13eを有する。第1端面13a、第2端面13b、及び上面13eは、第1軸Ax1の方向に配列され、また第1側面13c、第2側面13d及び上面13eは、第1軸Ax1の方向に延在する。本実施例では、MMI半導体メサ13は、実質的に直方体の形状を有する。第1端面13aは、複数の第1光学ポート(本実施例では、2つの光学ポートP1O、P2O)を有し、第2端面13bは、複数の第2光学ポート(2つの光学ポートP3O、P4O)を有する。本実施例では、2入力及び2出力を有する多モード干渉器を、例えば、「2×2MMI」として参照する。
【0032】
第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17は、MMI半導体メサ13の第1側面13c及び第2側面13dから間隔を取って設けられる。第1半導体メサ15、MMI半導体メサ13、及び第2半導体メサ17は、第1軸Ax1の方向に交差する第2軸Ax2の方向に配列される。MMI半導体メサ13は、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17に光学的に結合されていない。本実施例では、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の各々は、MMI半導体メサ13における積層構造と実質的に同じ構造(25)を有する。
【0033】
第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17は、第1軸Ax1の方向に延在し、例えばストライプメサの形状を有する。第1半導体メサ15は、一端15a及び他端15bを有しており、第2半導体メサ17は、一端17a及び他端17bを有する。第1半導体メサ15は、第2半導体メサ17から離れている。MMI半導体メサ13は、第1半導体メサ15と第2半導体メサ17との間に位置する。第1半導体メサ15の一端15a及び他端15bは、多モード干渉器デバイス11の縁及び集積される他の光素子のための半導体メサから隔置されて、この隔置により第1半導体メサ15を、多モード干渉器デバイス11の外部と光学的結合することを不可能にする。また、第2半導体メサ17の一端17a及び他端17bは、多モード干渉器デバイス11の縁から隔置される。この隔置により、第1半導体メサ15を多モード干渉器デバイス11の外部と光学的結合することを不可能にする。更に、第1半導体メサ15の一端15a及び他端15b、並びに第2半導体メサ17の一端17a及び他端17bは、埋込領域19によって埋め込まれる。
【0034】
第1金属体21及び第2金属体23は、第1軸Ax1の方向に延在しており、埋込領域19は、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上にそれぞれ位置する第1開口19a及び第2開口19bを有する。第1開口19a及び第2開口19bの各々は第1軸Ax1の方向に延在する。第1金属体21は、埋込領域19の第1開口19aを介して第1半導体メサ15の上面に接触を成す。第2金属体23は、埋込領域19の第2開口19bを介して第2半導体メサ17の上面に接触を成す。埋込領域19は、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17を覆っており、具体的には、第1端面13a、第2端面13b、第1側面13c、第2側面13d及び上面13eに接触を成す。
【0035】
図1においては、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の埋設を表すために、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の形状が破線で描かれている。
図1、
図2及び
図3に示されるように、より具体的には、埋込領域19は、MMI半導体メサ13の第1側面13cと第1半導体メサ15とによって規定される溝を埋めると共に、MMI半導体メサ13の第2側面13dと第2半導体メサ17とによって規定される溝を埋めて、基板の主面から突出する突起物(MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17)を埋め込む。
【0036】
この多モード干渉器デバイス11によれば、埋込領域19は、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17を埋め込む。第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17は、それぞれ、MMI半導体メサ13の第1側面13c及び第2側面13dから隔置されており、また第1金属体21及び第2金属体23は、それぞれ、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上に積み重ねられる。第1半導体メサ15及び第1金属体21を含む第1積重構造物は、MMI半導体メサ13の第1側面13cを埋め込む埋込領域19が第2軸Ax2の方向に第1積重構造物を越えて延在することを妨げると共に、第2半導体メサ17及び第2金属体23を含む第2積重構造物は、MMI半導体メサ13の第2側面13dを埋め込む埋込領域19が第2軸Ax2の方向に第2積重構造物を越えて延在することを妨げる。第1積構造物及び第2積重構造物によれば、MMI半導体メサ13の第1側面13cから第2軸Ax2の方向に延在する埋込領域19の長さとMMI半導体メサ13の第2側面13dから第2軸Ax2の方向に延在する埋込領域19の長さを制限できる。
【0037】
MMI半導体メサ13の第1側面13c上の或る点における法線を示す軸は、埋込領域19内を延在して第1半導体メサ15の内側面に到達する。この到達の後に、該軸は向きを変えて第1半導体メサ15の側面に沿って延在して、第1半導体メサ15の一端15a又は他端15bに到達すると共に、該端部(一端15a又は他端15b)上を通過して、第1半導体メサ15の外側面に到達できる。これは、第1半導体メサ15の外側面に到達するために、第1半導体メサ15を迂回しなければならないことを表す。同様に、MMI半導体メサ13の第2側面13d上の或る点における法線を示す軸も、第2半導体メサ17の外側面に到達するために、第2半導体メサ17を迂回しなければならない。このような制約は、第1半導体メサ15の内側面及び第2半導体メサ17の内側面とMMI半導体メサ13の第1側面13c及び第2側面13dとの間に置かれる埋込領域19の体積の上限を規定でき、埋込領域19からMMI半導体メサ13に加わる応力を限定的な範囲に収めることを可能にする。
【0038】
好適な実施例では、多モード干渉器デバイス11(11a、11b)のMMI半導体メサ13は、2入力及び2出力のMMI構造を提供できる。多モード干渉器デバイス11によれば、少ない入力数及び出力数の多モード干渉器デバイスは、第2軸Ax2の方向に短い長さを有するMMI半導体メサ13を使用しており、またMMI半導体メサ13の第1側面13c及び第2側面13dを埋め込む個々の埋込領域19の寄与に敏感である。
【0039】
図2及び
図3に示されるように、MMI半導体メサ13は半導体積層構造25を有し、半導体積層構造25は、上部半導体領域25a、コア層25b及び下部半導体領域25cを含む。上部半導体領域25a、コア層25b及び下部半導体領域25cは、基板1の主面1a上に設けられ、基板1の主面1aの法線方向に順に配列される。第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の各々は、MMI半導体メサ13と実質的に同じである半導体積層構造25を有する。多モード干渉器デバイス11によれば、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の中においてメサ高の違いが生じることを避けることができる。
【0040】
埋込領域19は、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の表面を覆う下側無機絶縁層27と、第1金属体21及び第2金属体23に下地を提供する上側無機絶縁層29と、下側無機絶縁層27と上側無機絶縁層29との間に設けられる層間構造物31とを含む。下側無機絶縁層27及び上側無機絶縁層29の各々は、例えばシリコン窒化物、シリコン酸窒化物といったシリコン系無機絶縁体を備えることができる。層間構造物31は、例えばBCB樹脂といった樹脂体33を含む。
【0041】
図2の(a)部及び(b)部に示されるように、多層の樹脂埋め込み構造を有する層間構造物31は、層間無機絶縁膜31a、及び樹脂体33(第1樹脂体33a及び第2樹脂体33b)を含む。層間無機絶縁膜31aは、第1樹脂体33aと第2樹脂体33bとの間に位置する。層間無機絶縁膜31aは、例えばシリコン窒化物、シリコン酸窒化物といったシリコン系無機絶縁体を備えることができる。
【0042】
多モード干渉器デバイス11によれば、第1樹脂体33aは、第1半導体メサ15の内側面とMMI半導体メサ13の第1側面13cとの間、及び第2半導体メサ17の内側面とMMI半導体メサ13の第2側面13dとの間に設けられ、第1半導体メサ15、MMI半導体メサ13及び第2半導体メサ17を埋め込む。層間無機絶縁膜31aは、第1樹脂体33a、及びMMI半導体メサ13の上面13e、必要な場合には、第1半導体メサ15の上面及び側面並びに第2半導体メサ17の上面及び側面上に設けられる。第2樹脂体33bは層間無機絶縁膜31a上に設けられ、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の上面上に位置する開口(19a及び19bの一部分)を有する。下側無機絶縁層27、層間無機絶縁膜31a及び上側無機絶縁層29は、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の上面上に位置するそれぞれの開口(19a、19b)を有する。第1金属体21は、第1金属層21a及び第2金属層21bを有する。第2金属体23は、第1金属層23a及び第2金属層23bを有する。第1金属層21a及び第1金属層23aは、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の上面並びに第1樹脂体33a上に設けられ、第2金属層21b、第2金属層23b及び第2樹脂体33bが、層間無機絶縁膜31a上に設けられる。
【0043】
2層の樹脂を含む埋込領域19では、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17が、MMI半導体メサ13の側面を覆う第1樹脂体33aの横長さ(TW)を制限し、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17それぞれの上に位置する第1金属体21及び第2金属体23が、MMI半導体メサ13の上面を覆う第2樹脂体33bの横長さ(TW)を制限する。本実施例では、多モード干渉器デバイス11は、金属体(21、23)及び埋込領域19を覆うパッシベーション膜35を含むことができる。パッシベーション膜35は、金属体(21、23)の全表面を覆う。
【0044】
図3の(a)部及び(b)部に示されるように、単層の樹脂埋め込み構造を有する層間構造物31は、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の表面を覆う下側無機絶縁層27上に設けられる単一樹脂体33cを有する。上側無機絶縁層29が単一樹脂体33c(33)上に設けられる。上側無機絶縁層29は、単一樹脂体33c並びに第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の上面を覆う。下側無機絶縁層27及び上側無機絶縁層29は、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上に位置するそれぞれの開口を有する。また、単一樹脂体33cは、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上に位置する開口を有する。第1金属体21及び第2金属体23は、それぞれ、下側無機絶縁層27、上側無機絶縁層29、及び単一樹脂体33cの開口(19a、19b)を介して第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の上面に接触を成す。
【0045】
単一層の樹脂を含む埋込領域19では、第1半導体メサ15及び第1金属体21を含む第1積重構造物が、MMI半導体メサ13の第1側面13c及び上面13eを埋め込む単一樹脂体33cの横長さ(TW)を制限し、第2半導体メサ17及び第2金属体23を含む第2積重構造物が、MMI半導体メサ13の第2側面13d及び上面13eを埋め込む単一樹脂体33cの横長さ(TW)を制限する。本実施例では、多モード干渉器デバイス11は、金属体(21、23)及び埋込領域19を覆うパッシベーション膜35を含むことができる。パッシベーション膜35は、金属体(21、23)の全表面を覆う。
【0046】
再び
図1を参照すると、マッハツェンダ変調装置MZIは、半導体マッハツェンダ変調器41、43と、半導体マッハツェンダ変調器41、43の出力に光学的に結合される多モード干渉器デバイス11とを含む。半導体マッハツェンダ変調器41、43の各々は、半導体製の第1アームメサ45a及び第2アームメサ45b、第1アームメサ45a及び第2アームメサ45bの一端に接続された第1光カプラ45c、並びに第1アームメサ45a及び第2アームメサ45bの他端に接続された第2光カプラ45dを含む。
【0047】
本実施例では、マッハツェンダ変調装置MZIは、例えば半導体集積光回路の形態を有することができ、入力ポート47a、第1出力ポート47b及び第2出力ポート47cを有する。入力ポート47aは、1×2多モード干渉器(MMI)といった分岐デバイス47dを介して半導体マッハツェンダ変調器41、43に光学的に結合される。既に説明したように、半導体マッハツェンダ変調器41、43の出力は、多モード干渉器デバイス11によって合波されると共に分波されて、第1出力ポート47b及び第2出力ポート47cに提供される。多モード干渉器デバイス11の光学ポートP1O、P2Oは、それぞれ、第1導波路メサ47f及び第2導波路メサ47gを介して半導体マッハツェンダ変調器41、43からの光ビームを受ける。多モード干渉器デバイス11の光学ポートP3O、及びP4Oは、それぞれ、第3導波路メサ47h及び第4導波路メサ47iを介して第1出力ポート47b及び第2出力ポート47cに光学的に結合される。
【0048】
マッハツェンダ変調装置MZIによれば、半導体マッハツェンダ変調器41、43からの光の合波における偏差を小さくできる。しかしながら、多モード干渉器デバイス11の技術的寄与は、マッハツェンダ変調装置MZIへの寄与に限定されるものではなく、複数本の入力ポート及び複数本の出力ポートを有する多モード干渉器デバイスを含む光素子に提供される。
【0049】
図4は、実施例に係る多モード干渉器デバイスのシミュレーションのための図面である。
図4の(a)部を参照すると、実施例に係る多モード干渉器デバイス(2×2MMI)の構造が示される。
例示的な多モード干渉器デバイスの寸法。
MMIの入力及び出力への導波路メサの幅WG:2マイクロメートル。
MMI半導体メサ13の幅W:20マイクロメートル。
MMI半導体メサ13の長L:550マイクロメートル。
MMI半導体メサ13(25)の厚さ:2マイクロメートル。
第1半導体メサ15(25)及び第2半導体メサ17(25)の厚さ:2マイクロメートル。
第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17とMMI半導体メサ13との距離D1、D2:5マイクロメートル。
第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17のメサ幅DW:2マイクロメートル。
第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17のメサ長DL:650マイクロメートル。
第1金属体21及び第2金属体23の厚さ:5マイクロメートル。
第1金属体21及び第2金属体23の幅MW:3マイクロメートル。
第1半導体メサ15と第1金属体21との界面及び第2半導体メサ17と第2金属体23との界面の、MMI半導体メサ13の端面(13a、13b)を基準にした延出長(DEX):50マイクロメートル。
埋込領域19のBCBの屈折率:1.6。
埋込領域19の無機膜(27、29、31a)の屈折率:1.5。
第1半導体メサ15、第2半導体メサ17及びMMI半導体メサ13の屈折率:3.5。
埋込領域19の厚さ:下側のBCB厚、2マイクロメートル;上側のBCB厚、2マイクロメートル。
【0050】
図4の(b)部を参照すると、実施例に係る多モード干渉器デバイスのシミュレーション分岐比特性が示される。特性BARは、入力ポートのまっすぐに反対側に位置する出力ポートへの分岐特性(BINからB1OUT)を示し、特性CROSSは、入力ポートの斜めに反対側に位置する出力ポートへの分岐特性(BINからB2OUT)を示す。2×2MMIの左右に等しい距離で第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17を設けると共に、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17をBCB樹脂で埋め込む。第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上にそれぞれ位置する第1金属体21及び第2金属体23を蒸着及びメッキによって形成する。第1金属体21及び第2金属体23は、MMI半導体メサ13を埋め込むBCB樹脂を分断する。MMI半導体メサ13と第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17との距離を調整することによって、BARポートとCROSSポートとの間の偏差を低減できる。第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17無並びに第1金属体21及び第2金属体23を備えない裸の多モード干渉器における分岐比ずれは、例えば1dB程度である。
【0051】
上記の実施例に係る実験、及び他の実験から、MMI半導体メサ13の第1側面13cと第1半導体メサ15の内側面との間隔は、20マイクロメートル以下であり、またMMI半導体メサ13の第2側面13dと第2半導体メサ17の内側面との間隔は、20マイクロメートル以下であることがよい。多モード干渉器デバイス11によれば、20マイクロメートルを越える幅の埋込領域19は、第1半導体メサ15及び第1金属体21を含む第1積重構造物並びに第2半導体メサ17及び第2金属体23を含む第2積重構造物がMMI半導体メサの多モード干渉器デバイスの特性に寄与することを弱める。
【0052】
MMI半導体メサ13の第1側面13cと第1半導体メサ15の内側面との間隔は、2マイクロメートル以上であり、MMI半導体メサ13の第2側面13dと第2半導体メサ17の内側面との間隔は、2マイクロメートル以上であることができる。MMI半導体メサ13の第1側面13cと第1半導体メサ15の内側面との間隔とMMI半導体メサ13の第2側面13dと第2半導体メサ17の内側面との間隔との差は0.5マイクロメートル以下であることが好ましい。
【0053】
第1半導体メサ15と第1金属体21との界面及び第2半導体メサ17と第2金属体23との界面は、第1軸Ax1の方向に延在する。これらの界面は、MMI半導体メサ13の端面を基準にして、第1半導体メサ15及び第1金属体21、並びに第2半導体メサ17及び第2金属体23の延出に従って、延出する。この延出長(DEX)は、10マイクロメートル以上であることがよい。
【0054】
多モード干渉器デバイス11によれば、2マイクロメートル未満の幅を有する埋込領域19は、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上にそれぞれ設けられる埋込領域19の第1開口19a及び第2開口19bの形状ばらつき、並びに第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上にそれぞれ設けられる第1金属体21及び第2金属体23の形状ばらつきがMMI半導体メサ13の多モード干渉器デバイスの特性に寄与することを顕著にする。
【0055】
図5〜
図8を参照しながら、本実施形態に係る多モード干渉器デバイスを作製する方法を説明する。
図5〜
図8は、これらの図面を参照しながら為されるマッハツェンダ変調器を作製する方法において、多モード干渉器デバイスを作製する方法の主要な工程における断面を示す。理解を容易にするために、引き続く説明において可能な場合には
図1〜
図4を参照しながら為された説明における参照符号を用いる。
【0056】
多モード干渉器デバイス11を作製する方法では、結晶成長のための基板、例えば半導体ウエハWFを準備する。半導体ウエハWFを成長炉に配置すると共に、原料ガスを成長炉に供給して、
図5の(a)部に示されるように、光導波路のための半導体積層51の半導体結晶を半導体ウエハWF上にエピタキシャルに成長する。この成長により、エピタキシャル基板EPが得られる。この結晶成長は、例えば有機金属気相成長法又は分子線エピタキシー法といった結晶成長法を用いることができる。
エピタキシャル基板EPの例示。
半導体ウエハWF:半絶縁性InPの基板。
半導体積層51:n+型InPコンタクト層51a、n型InPクラッド層51b、多層量子井戸構造のコア層51c(多層量子井戸構造はノンドープAlGaInAs井戸層及びノンドープAlGaInAsバリア層を含む)、p型InPクラッド層51d、及びp+型InGaAsコンタクト層51e。
半導体積層51の厚さ:2.5マイクロメートル。
【0057】
図5の(a)部に示されるように、フォトリソグラフィ及びエッチングを用いて、導波路メサのための第1マスクM1をエピタキシャル基板EP上に形成する。第1マスクM1は、例えば複数のマッハツェンダ変調器のアーム導波路及び光カプラ、並びに該マッハツェンダ変調器を接続する導波路メサ及び多モード干渉器デバイス11のためのパターンを有する。本実施例では、第1マスクM1は、第1パターンM1WG1、第2パターンM1WG2、及び第3パターンM1MMIを含む。エッチングは、例えばフッ素系エッチャントを用いるドライエッチングを包含する。第1マスクM1をエピタキシャル基板EP上に形成した後に、このエピタキシャル基板EPを処理装置10a内に配置する。
【0058】
第1マスクM1の作製は、以下のように行われる。例えば、300nm 厚のSiN膜を化学的気相成長法(CVD)法によりエピタキシャル基板EP上に堆積すると共に、SiN膜上にレジストを塗布する。上記のパターンに加えて、マッハツェンダストライプパターンを有するレジストマスクをSiN膜に形成する。反応性イオンエッチング(RIE)装置にCF
4エッチャントを供給して、ドライエッチングによりレジストパターンをSiN膜に転写しSiNマスクを形成する。エッチングの後に、レジストマスクを酸素(O
2)アッシィングにより除去する。
【0059】
図5の(b)部に示されるように、第1マスクM1を用いて、エピタキシャル基板EPを処理装置10aにおいてエッチングして、第1基板生産物SP1を形成する。エッチングの後に、第1マスクM1を除去する。
【0060】
具体的には、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17は、それぞれ、第1パターンM1WG1、第2パターンM1WG2、及び第3パターンM1MMIによって規定される。エッチングは、例えば塩素等のガスをエッチャントとして用いるドライエッチングを包含する。第1基板生産物SP1は、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17を含む。MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17の各々は、
図2及び
図3に示される上部半導体領域25a、コア層25b及び下部半導体領域25cを備え、本実施例では、上部半導体領域25aは、p型InPクラッド層51d及びp+型InGaAsコンタクト層51eを含み、コア層25bは、多層量子井戸構造のコア層51c(多層量子井戸構造はノンドープAlGaInAs井戸層及びノンドープAlGaInAsバリア層を含む)を含み、下部半導体領域25cは、n+型InPコンタクト層51a及びn型InPクラッド層51bを含む。第1基板生産物SP1では、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17の底は、導電性を有する下部半導体領域25c内、具体的にはn+型InPコンタクト層51a内に位置する。これに従って、第1基板生産物SP1は、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17を形作るエッチングにより形成された半導体面51fを含み、下部半導体領域25c、具体的にはn+型InPコンタクト層51aは、半導体面51fを含む。半導体面51fは、半導体ウエハWFの主面の法線軸に交差する基準面に沿って延在する一方で、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17は、この基準面より突出する。MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17は、本実施例では同一の積層構造を有しており、同じ高さを有する。
【0061】
エッチングは、以下のように行われる。例えば、SiNマスクを用いて、RIE法により半導体積層51から半導体メサを形成する。エッチングの後に、SiNマスクを除去する。
【0062】
第1マスクM1を除去した後に、
図6の(a)部に示されるように、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、第2半導体メサ17、及び半導体面51fを覆うように第1誘電体膜53を成長する。本実施例では、第1誘電体膜53は、基板全面に成長される。第1誘電体膜53は、例えばシリコン窒化物(SiON)といったシリコン系無機絶縁膜を備えることができ、シリコン系無機絶縁膜は、例えば化学的気相成長法により形成される。
【0063】
第1誘電体膜53上には、塗布により、BCB樹脂といった樹脂55aを形成して、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の側面、並びに半導体面51fを埋め込む。塗布された樹脂は、熱処理により硬化されて、硬化された樹脂(「樹脂55a」として参照する)に変わる。具体的には、塗布により樹脂を、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17の側面及び上面を埋め込むように形成すると共に、塗布された樹脂のエッチバックを、MMI半導体メサ13の上面、第1半導体メサ15の上面、及び第2半導体メサ17の上面が露出する程度に行って、所望の樹脂厚を得ることができる。或いは、複数回の塗布を行って、所望の厚さの樹脂多層膜を形成するようにしてもよい。結果として樹脂55aは、MMI半導体メサ13の上面、第1半導体メサ15の上面、及び第2半導体メサ17の上面が露出する程度の厚さで半導体面51f及びメサ側面上に形成される。樹脂55a及び第1誘電体膜53上に、第2誘電体膜57を成長する。第2誘電体膜57は、例えばシリコン酸窒化物(SiON)といったシリコン系無機絶縁膜を備えることができ、シリコン系無機絶縁膜は、例えば化学的気相成長法により形成される。本実施例では、第2誘電体膜57は、基板全面に成長される。
【0064】
図6の(b)部に示されるように、フォトリソグラフ及びエッチングを用いて第1誘電体膜53及び第2誘電体膜57に第1開口O1P及び第2開口O2Pを形成する。第1開口O1P及び第2開口O2Pは、それぞれ、第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面上に位置する。第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面が、それぞれ、第1開口O1P及び第2開口O2Pに現れる。
【0065】
第1誘電体膜53、樹脂55a及び第2誘電体膜57の形成、並びに第1開口O1P及び第2開口O2Pの形成により、下部埋込領域60aが形成される。
【0066】
第1誘電体膜53及び第2誘電体膜57に第1開口O1P及び第2開口O2Pを形成した後に、リフトオフのための第2マスクM2を下部埋込領域60aの第2誘電体膜57上に形成する。第2マスクM2は、第1開口M2OP1及び第2開口M2OP2を有しており、第1開口M2OP1及び第2開口M2OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面上に位置する。第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面が、それぞれ、第1開口M2OP1及び第2開口M2OP2に現れる。第2マスクM2は、例えばレジストを備える。
【0067】
第2マスクM2を形成した後に、基板全面に金属層(61、61OF)を堆積する。金属層61は、第1開口M2OP1及び第2開口M2OP2内の第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面に形成され、金属層61OFは、第2マスクM2上に堆積される。金属層61、61OFの形成の後に、第2マスクM2を除去すると、リフトオフにより、金属層61OFが第2マスクM2と一緒に消失すると共に、第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面に金属層61が残される。
【0068】
図7の(a)部に示されるように、金属層61を形成した後に、メッキ領域を規定する第3マスクM3を第1誘電体膜53及び第2誘電体膜57上に形成する。第3マスクM3は、第1開口M3OP1及び第2開口M3OP2を有しており、第1開口M3OP1及び第2開口M3OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15上の金属層61及び第2半導体メサ17上の金属層61上に位置する。これらの金属層61が、それぞれ、第1開口M3OP1及び第2開口M3OP2に現れる。第3マスクM3は、例えば厚膜レジストを備える。
【0069】
第3マスクM3を形成した後に、基板全面に第1シード金属層63、63OF、例えばTi/Auを堆積する。第1シード金属層63の形成の後に、第3マスクM3を除去することなく、メッキ法(例えば、金メッキ)により第1メッキ金属層65を形成する。第1メッキ金属層65は、第1シード金属層63上に成長すると共に、第3マスクM3上には成長しない。第1メッキ金属層65を形成した後に第3マスクM3を除去すると、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上の金属層61及び第2誘電体膜57上に第1シード金属層63及び第1メッキ金属層65が残される。
【0070】
図7の(b)部に示されるように、第1シード金属層63及び第1メッキ金属層65を形成した後に、基板全面上には、塗布により、BCB樹脂といった樹脂を形成して、第2誘電体膜57、第1シード金属層63及び第1メッキ金属層65を埋め込む。塗布された樹脂を熱処理により硬化して、硬化された樹脂(「樹脂55b」として参照する)を形成する。樹脂55bは、第1シード金属層63及び第1メッキ金属層65の上面及び側面をしっかり埋め込む厚さで第2誘電体膜57、第1シード金属層63及び第1メッキ金属層65上に形成される。樹脂55b上には第3誘電体膜59を成長する。第3誘電体膜59は、例えばシリコン酸化物といったシリコン系無機絶縁膜を備えることができ、シリコン系無機絶縁膜は、例えば化学的気相成長法により形成される。本実施例では、第3誘電体膜59は、樹脂55bの全面に成長される。
【0071】
図8の(a)部に示されるように、樹脂55b及び第3誘電体膜59を形成した後に、第1メッキ金属層65への開口を規定する第4マスクM4を樹脂55b及び第3誘電体膜59上に形成する。第4マスクM4は、第1開口M4OP1及び第2開口M4OP2を有しており、第1開口M4OP1及び第2開口M4OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15上の第1メッキ金属層65及び第2半導体メサ17上の第1メッキ金属層65上に位置する。第4マスクM4を用いて、樹脂55b及び第3誘電体膜59をエッチングして、樹脂55b及び第3誘電体膜59に第3開口O3P及び第4開口O4Pを形成する。第3開口O3P及び第4開口O4Pは、それぞれ、第1半導体メサ15上の第1メッキ金属層65及び第2半導体メサ17上の第1メッキ金属層65に到達する。これらの第1メッキ金属層65が、それぞれ、第3開口O3P及び第4開口O4Pに現れる。第4マスクM4は、例えばレジストを備える。樹脂55b及び第3誘電体膜59のエッチングの後に、第4マスクM4を除去する。
【0072】
樹脂55b及び第3誘電体膜59の形成、並びに第3開口O3P及び第4開口O4Pの形成により、上部埋込領域60bが形成される。下部埋込領域60a及び上部埋込領域60bは埋込領域60を構成する。
【0073】
図8の(b)部に示されるように、樹脂55b及び第3誘電体膜59に第3開口O3P及び第4開口O4Pを形成した後に、上側の金属体を規定する第5マスクM5を第1メッキ金属層65、樹脂55b及び第3誘電体膜59上に形成する。第5マスクM5は、第1開口M5OP1及び第2開口M5OP2を有しており、第1開口M5OP1及び第2開口M5OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15上の第1メッキ金属層65及び第2半導体メサ17上の第1メッキ金属層65上に位置する。これらの第1メッキ金属層65が、それぞれ、第1開口M5OP1及び第2開口M5OP2に現れる。第5マスクM5は、例えば厚膜レジストを備える。
【0074】
第5マスクM5を形成した後に、基板全面に第2シード金属層67、例えばTi/Auを堆積する。第2シード金属層67の形成の後に、第5マスクM5を除去することなく、メッキ法(例えば、金メッキ)により第2メッキ金属層69を形成する。第2メッキ金属層69は、第2シード金属層67上に成長すると共に、第5マスクM5上には成長しない。第2メッキ金属層69を形成した後に第5マスクM5を除去すると、第1メッキ金属層65及び第2誘電体膜57上に第2シード金属層67及び第2メッキ金属層69が残される。
【0075】
これらの工程は、第1金属体21及び第2金属体23を第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上に形成する。第1金属体21及び第2金属体23の各々は、金属層61、第1シード金属層63、第1メッキ金属層65、第2シード金属層67、及び第2メッキ金属層69を含む。第1金属体21及び第2金属体23は、MMI半導体メサ13の両側面上の埋込領域60を区切る。
【0076】
第1金属体21及び第2金属体23を形成した後に、必要な場合には、基板全面上にパッシベーション膜35を形成する。パッシベーション膜35は、第1金属体21及び第2金属体23の表面を覆う。これらの工程により、多モード干渉器デバイス11が得られる。また、当業者は、
図5〜
図8を参照しながら為された本実施形態に係る多モード干渉器デバイスを作製する方法に、マッハツェンダ変調器のための電極を形成する工程を追加して、多モード干渉器デバイス及びマッハツェンダ変調器を含む半導体光デバイスを作製することができる。
【0077】
図9〜
図11を参照しながら、本実施形態に係る多モード干渉器デバイスを作製する方法を説明する。
図9〜
図11は、これらの図面を参照しながら為されるマッハツェンダ変調器を作製する方法において、多モード干渉器デバイスを作製する方法における主要な工程の断面を示す。理解を容易にするために、引き続く説明において可能な場合には
図1〜
図4を参照しながら為された説明において用いられた参照符号を用いる。
【0078】
図5の(b)部に示される工程においてMMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、及び第2半導体メサ17を作製した後に、
図9の(a)部に示されるように、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、第2半導体メサ17、及び半導体面51fを覆うように第1誘電体膜53を成長する。本実施例では、第1誘電体膜53は、基板全面に成長される。第1誘電体膜53は、例えばシリコン窒化物(SiON)といったシリコン系無機絶縁膜を備えることができ、シリコン系無機絶縁膜は、例えば化学的気相成長法により形成される。
【0079】
第1誘電体膜53上には、塗布により、BCB樹脂といった樹脂71を形成して、MMI半導体メサ13、第1半導体メサ15、第2半導体メサ17、及び半導体面51fを埋め込む。塗布された樹脂を熱処理により硬化して、硬化された樹脂を形成する。硬化された樹脂は、MMI半導体メサ13の上面、第1半導体メサ15の上面、及び第2半導体メサ17の上面を埋め込む厚さで半導体面51f上に形成される。
【0080】
樹脂71に形成される開口を規定する第1マスクN1を硬化された樹脂上に形成する。第1マスクN1は、第1開口N1OP1及び第2開口N1OP2を有しており、第1開口N1OP1及び第2開口N1OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上に位置する。第1マスクN1を用いて、硬化された樹脂をエッチングして、第1開口R1OP及び第2開口R2OPを有する樹脂71を形成する。第1開口R1OP1及び第2開口R1OP2は、第1半導体メサ15上の第1誘電体膜53及び第2半導体メサ17上の第1誘電体膜53に到達する。第1誘電体膜53が、第1開口R1OP1及び第2開口R1OP2に現れる。第1マスクN1は、例えばレジストを備える。樹脂71の形成の後に、第1マスクN1を除去する。
【0081】
図9の(b)部に示されるように、第1開口R1OP1及び第2開口R1OP2を有する樹脂71を形成した後に、第1誘電体膜53に形成される開口を規定する第2マスクN2を樹脂71上に形成する。第2マスクN2は、第1開口N2OP1及び第2開口N2OP2を有しており、第1開口N24OP1及び第2開口N2OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上に位置する。第2マスクN2を用いて、第1誘電体膜53をエッチングして、第1誘電体膜53に第1開口R2OP1及び第2開口R2OP2を形成する。第1開口R2OP1及び第2開口R2OP2は、第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面に到達する。第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面が、それぞれ、第1開口R2OP1及び第2開口R2OP2に現れる。第2マスクN2は、例えばレジストを備える。第1誘電体膜53のエッチングの後に、第2マスクN2を除去する。
【0082】
第1開口R2OP1及び第2開口R2OP2を有する第1誘電体膜53を形成した後に、
図10の(a)部に示されるように、リフトオフのための第3マスクN3を樹脂71上に形成する。第3マスクN3は、第1開口N3OP1及び第2開口N3OP2を有しており、第1開口N3OP1及び第2開口N3OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面上に位置する。第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面が、それぞれ、第1開口N3OP1及び第2開口N3OP2に現れる。第3マスクM3は、例えばレジストを備える。
【0083】
第3マスクM3を形成した後に、基板全面に金属層61、61OFを堆積する。金属層61は、第1開口N3OP1及び第2開口N3OP2内の第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面に形成され、金属層61OFは、第3マスクN3上に堆積される。金属層61、61OFの形成の後に、第3マスクN3を除去すると、リフトオフにより、金属層61OFが第3マスクN3と一緒に消失すると共に、第1半導体メサ15の上面及び第2半導体メサ17の上面に接触を成す金属層61が残される。
【0084】
図10の(b)部に示されるように、金属層61を形成した後に、基板全面上に、第2誘電体膜73が堆積される。第2誘電体膜73は、SiONといったシリコン系無機絶縁膜を備え、金属層61及び樹脂71を覆う。
【0085】
図11の(a)部に示されるように、第2誘電体膜73を形成した後に、金属層61への開口を規定する第4マスクN4を第2誘電体膜73上に形成する。第4マスクN4は、第1開口N4OP1及び第2開口N4OP2を有しており、第1開口N4OP1及び第2開口N4OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15上の金属層61及び第2半導体メサ17上の金属層61上に位置する。第4マスクN4を用いて、第2誘電体膜73をエッチングして、第2誘電体膜73に第1開口R3OP1及び第2開口R3OP2を形成する。第1開口R3OP1及び第2開口R3OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15上の金属層61及び第2半導体メサ17上の金属層61に到達する。金属層61が、第1開口R3OP1及び第2開口R3OP2に現れる。第4マスクN4は、例えばレジストを備える。第2誘電体膜73のエッチングの後に、第4マスクN4を除去する。
【0086】
第1誘電体膜53、樹脂71及び第2誘電体膜73の形成、並びに第1開口R1OP1及び第2開口R1OP2の形成、第1開口R2OP1及び第2開口R2OP2の形成、及び第1開口R3OP1及び第2開口R3OP2の形成により、埋込領域60が形成される。
【0087】
図11の(b)部に示されるように、第1開口R3OP1及び第2開口R3OP2を第2誘電体膜73に形成した後に、上側の金属体を規定する第5マスクN5を第2誘電体膜73上に形成する。第5マスクN5は、第1開口N5OP1及び第2開口N5OP2を有しており、第1開口N5OP1及び第2開口N5OP2は、それぞれ、第1半導体メサ15上の金属層61及び第2半導体メサ17上の金属層61上に位置する。金属層61が、第1開口N5OP1及び第2開口N5OP2に現れる。第5マスクN5は、例えば厚膜レジストを備える。
【0088】
第5マスクN5を形成した後に、基板全面にシード金属層75、例えばTi/Auを堆積する。シード金属層75の形成の後に、第5マスクN5を除去することなく、メッキ法(例えば、金メッキ)によりメッキ金属層77を形成する。メッキ金属層77は、シード金属層75上に成長すると共に、第5マスクN5上には成長しない。メッキ金属層77を形成した後に第5マスクN5を除去すると、第2誘電体膜73上にシード金属層75及びメッキ金属層77が残される。
【0089】
これらの工程は、第1金属体21及び第2金属体23を第1半導体メサ15及び第2半導体メサ17上に形成する。第1金属体21及び第2金属体23の各々は、金属層61、シード金属層75、及びメッキ金属層77を含む。第1金属体21及び第2金属体23は、MMI半導体メサ13の両側面上の埋込領域60を区切る。
【0090】
第1金属体21及び第2金属体23を形成した後に、必要な場合には、基板全面上にパッシベーション膜35を形成する。これらの工程により、多モード干渉器デバイス11が得られる。また、当業者は、
図9〜
図11を参照しながら為された本実施形態に係る多モード干渉器デバイスを作製する方法に、マッハツェンダ変調器のための電極を形成する工程を追加して、多モード干渉器デバイス及びマッハツェンダ変調器を含む半導体光デバイスを作製することができる。
【0091】
再び
図1を参照すると、MMI半導体メサ13は、第1端面13a及び第2端面13bのそれぞれに繋がる複数の導波路メサを含む。これまでの説明から理解されるように、MMI半導体メサ13は、埋込領域19によって埋め込まれて、MMI半導体メサ13の表面は、埋込領域19に接触を成す。埋込領域19とMMI半導体メサ13との接触は、埋込領域19がMMI半導体メサ13に応力を及ぼすことになり、発明者の知見によれば、応力の不均一は、MMI半導体メサ13内に屈折率の分布を引き起こす。
図12及び
図13は、実施例に係るMMI半導体メサの損失特性を示す図面である。
図12の(a)部及び
図13の(a)部は、2×2MMIのシュミュレーションのためのモデルMMI(R)、MMI(L)の形状を示す。
2×2多モード干渉器のMMIメサのサイズ。
横幅WD:20マイクロメートル。
縦長LG:550マイクロメートル。
MMIメサの半導体の屈折率:3.5。
モデルMMI(R):応力分布により、MMI半導体メサの右側領域が、左側領域に比べて低い屈折率を有することを示すために、右側領域の一部(横幅WDの0.15倍の幅)に低屈折率領域(屈折率差:−0.002)を付与する。
モデルMMI(L):応力分布により、MMI半導体メサの左側領域が、右側領域に比べて低い屈折率を有することを示すために、左側領域の一部(横幅WDの0.15倍の幅)に低屈折率領域(屈折率差:−0.002)を付与する。
シュミュレーション;モデルMMI(R)、MMI(L)の左側ポートからバー(Bar)ポート及びクロス(Cross)ポートへの伝搬における損失を計算する。
【0092】
図12の(b)部及び
図13の(b)部は、それぞれ、シュミュレーションのためのモデルMMI(R)、MMI(L)の計算結果及び測定特性を示す。モデルMMI(R)、MMI(L)のシュミュレーションによれば、計算結果は、MMI半導体メサの両側面のいずれか一方に屈折率分布を与える2つのモデルを用いたシュミュレーションにおいてバーポート及びクロスポートの偏差の符合は変化しない。また、Cバンド(1530〜1565nm)において測定特性に良い一致を示す。屈折率の分布を引き起こす外的要因は、例えば埋込領域19からの応力の不均一である。
【0093】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本実施の形態では、本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。