(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年乗用車を利用した相乗りサービス(所謂ライドシェアリング)が普及し始めているが、相乗りの場合、他人同士が同じ車両に乗り合うため、プライバシー保護の観点で課題がある。そこで、特許文献1に開示された隔壁を座席間に設けることが考えられるが、隔壁は取外し可能とされているため、相乗りした乗員のうち一方の乗員が隔壁を設けることを望んでも、他方の乗員が隔壁を取り外すことができるため、プライバシー保護を十分に行えない可能性がある。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、乗員のプライバシー保護性能を向上させることができる車室構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る車室構造は、乗員の居住空間となる車室と、前記車室を複数の個別空間に区画する区画状態と、少なくとも一組の隣接した当該個別空間同士を相互に連通する連通状態とを選択的にとることが可能であると共に、前記隣接した個別空間同士のそれぞれにて前記連通状態となるように操作されることで、当該操作が行われた前記隣接した個別空間同士を前記連通状態とする壁部と、を有
し、前記壁部は、隣接する前記個別空間の間に設けられかつ開状態となることで前記連通状態となる単体の可動壁を有しており、前記隣接した個別空間にはそれぞれ開閉スイッチが設けられており、当該可動壁は、一方の前記個別空間の前記開閉スイッチ、及び他方の前記個別空間の前記開閉スイッチの両方が前記開状態となるように操作されることでのみ前記開状態となる。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、乗員の居住空間となる車室には、壁部が設けられている。この壁部は、車室を複数の個別空間に区画する区画状態と、少なくとも一組の隣接した個別空間同士を相互に連通する連通状態とを選択的にとることが可能である。したがって、乗員がプライバシーの保護を望む場合は、壁部を区画状態にすると共に乗員がそれぞれ別の個別空間内に乗車することで、プライバシーを保護することができる。一方、乗員同士がコミュニケーションをとることを望む場合は、壁部を連通状態にすることで、異なる個別空間に乗車した乗員同士が容易にコミュニケーションをとることができる。
【0008】
ここで、本発明では、隣接する個別空間のそれぞれにて壁部が連通状態となるように操作されることで、当該操作が行われた個別空間同士が連通状態となる。すなわち、隣接する個別空間に乗車している双方の乗員がそれぞれ連通状態にする操作を行うことで連通状態となるため、一方の個別空間に乗車した乗員のみが連通状態にする操作を行っても、一方の個別空間に隣接する他方の個別空間に乗車した乗員が連通状態にする操作を行わなければ連通状態とはならない。したがって、どちらかの乗員が連通状態になるのを望まない状態で個別空間同士が連通した状態になるのを防ぐことができる。
また、壁部は隣接する個別空間の間に設けられた単体の可動壁を有している。この可動壁は、対面する一方の個別空間と他方の個別空間とからそれぞれ開状態となるように操作されることでのみ開状態となる。すなわち、一方の個別空間に乗車した乗員が、可動壁を開状態にする操作をしても、この可動壁を挟んで隣接する他方の個別空間に乗車した乗員が可動壁を開状態にする操作をしなければ、可動壁は開状態とならず、一方の個別空間と他方の個別空間とは連通状態とはならない。したがって、単体の可動壁にて省スペースを図りながら、どちらかの乗員が連通状態になるのを望まない状態で個別空間同士が連通した状態になるのを防ぐことができる。
【0009】
ここで、「区画」には、それぞれの個別空間を略隙間ない状態に区切る(仕切る)ことや、隙間はあるが視界を遮る程度に区切る(仕切る)こと等が含まれるものとする。
【0010】
請求項2に記載の発明に係る車室構造は、請求項1記載の発明において、前記壁部は、
前記単体の可動壁とは別に、隣接する前記個別空間の間に対向して設けられると共にかつ互いに開状態となることで前記連通状態となる2枚の可動壁を有しており、それぞれの前記可動壁は、対面する側の前記個別空間からの操作によってのみ前記開状態となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、壁部は、隣接する個別空間の間に対向して設けられた2枚の可動壁を有している。この2枚の可動壁は、それぞれ対面する側の個別空間からの操作によってのみ開状態となり、互いに開状態となることで隣接する当該個別空間は連通状態となる。すなわち、一方の個別空間に乗車した乗員は、この一方の個別空間に面する1枚の可動壁のみを開状態とする操作を行うことができるが、この可動壁を挟んで隣接する他方の個別空間に面した別の可動壁を開状態とする操作を行うことができない。このため、一方の個別空間に乗車した乗員が、この一方の個別空間に面する側の可動壁を開状態にしても、この一方の個別空間と隣接する他方の個別空間に乗車した乗員が、他方の個別空間に面する別の可動壁を開状態にしなければ連通状態とはならない。したがって、どちらかの乗員が連通状態になるのを望まない状態で個別空間同士が連通した状態になるのを簡易な構成にて防ぐことができる。
【0014】
請求項
3に記載の発明に係る車室構造は、請求項
1又は請求項
2に記載の発明において、前記可動壁は、水平方向に沿って移動することで前記開状態となる。
【0015】
請求項
3に記載の発明によれば、開状態にする際には、可動壁を水平方向に沿って移動させるため、可動壁を格納するスペースが水平方向の別の場所に設けられる。すなわち、可動壁を開状態とした際に開放される部位に可動壁を格納するためのスペースをとる必要がないため、開放される部位を車室の天井から床に亘る車両上下方向にて広い範囲に設定することが可能となる。したがって、連通状態時に一方の個別空間と他方の個別空間との間の移動が容易となる。
【0016】
請求項
4に記載の発明に係る車室構造は、請求項
1又は請求項
2記載の発明において、前記可動壁は、垂直方向に沿って移動することで前記開状態となる。
【0017】
請求項
4に記載の発明によれば、開状態にする際には、可動壁を垂直方向に沿って移動させるため、可動壁を格納するスペースが垂直方向の別の場所に設けられる。すなわち、可動壁を開状態とした際に開放されるスペースは、水平方向に広くとることができる。したがって、連通状態時の開放感を高めることができる。
【0018】
請求項
5に記載の発明に係る車室構造は、請求項
3記載の発明において、前記可動壁は、前記車室を車両幅方向に隔てるように設けられている。
【0019】
請求項
5に記載の発明によれば、水平方向に沿って移動する可動壁は、車室を車両幅方向に隔てるように設けられていることから、一般的に車両前後方向の寸法が車両幅方向の寸法よりも大きい車室において、可動壁は車両前後方向に沿って移動する。つまり、可動壁を開状態にする際の可動壁の格納スペースの確保が容易となる。
【0020】
請求項
6に記載の発明に係る車室構造は、請求項
4記載の発明において、前記可動壁は、前記車室を車両前後方向に隔てるように設けられている。
【0021】
請求項
6に記載の発明によれば、垂直方向に沿って移動する可動壁は、車室を車両前後方向に隔てるように設けられていることから、一般的に車両幅方向の寸法が車両前後方向の寸法よりも小さい車室において、可動壁は車両上下方向に沿って移動する。つまり、可動壁を開状態にする際の可動壁の格納スペースの確保が容易となる。
【0022】
請求項
7に記載の発明に係る車室構造は、請求項1〜請求項
6のいずれか一項に記載の発明において、前記車室には、隣接する前記個別空間を跨いだテーブルが設けられており、前記壁部は、当該テーブルを含めて前記区画状態と前記連通状態とを選択的にとる。
【0023】
請求項
7に記載の発明によれば、車室には、隣接する個別空間を跨いだテーブルが設けられており、壁部は、テーブルも含めて区画状態と連通状態とを選択的にとることから、区画状態において乗員はテーブルを個人的に使用することができる一方、連通状態において乗員は隣接する個別空間に跨いだテーブルを一体的に広く使用することができる。
【0024】
請求項
8に記載の発明に係る車室構造は、請求項
7記載の発明において、前記テーブルは、前記車室を車両前後方向に隔てる前記壁部と、前記車室を車両幅方向に隔てる前記壁部との交差部に設けられている。
【0025】
請求項
8に記載の発明によれば、テーブルは車室を車両前後方向に隔てる壁部と、車室を車両幅方向に隔てる壁部との交差部に設けられていることから、複数の個別空間に効率よくテーブルを設けることができる。
【0026】
請求項
9に記載の発明に係る車室構造は、請求項1〜請求項
8のいずれか一項に記載の発明において、複数の前記個別空間内には、車両用シートがそれぞれ設けられており、複数の当該車両用シートは、前記車室を車両前後方向に隔てる前記壁部を挟んで対向するように配置されている。
【0027】
請求項
9に記載の発明によれば、複数の個別空間内には、車両用シートがそれぞれ設けられており、それぞれの車両用シートは、車室を車両前後方向に隔てる壁部を挟んで対向するように配置されている。したがって、車室を車両前後方向に隔てる壁部が連通状態になると、乗員同士が対面状態で着座することになるため、コミュニケーションをとりたい乗員同士が車両前後方向にてそれぞれ別に着座した場合でもコミュニケーションがとりやすくなる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の発明に係る車室構造は、乗員のプライバシー保護性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
また、スペース効率の向上と乗員のプライバシー保護性能の向上とを両立させることができるという優れた効果を有する。
【0029】
請求項2に記載の発明に係る車室構造は、低コストで乗員のプライバシー保護性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0031】
請求項
3に記載の発明に係る車室構造は、乗降時の利便性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0032】
請求項
4に記載の発明に係る車室構造は、連通状態時の快適性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0033】
請求項
5、6に記載の発明に係る車室構造は、車室内のレイアウトの自由度を高めることができるという優れた効果を有する。
【0034】
請求項
7に記載の発明に係る車室構造は、乗車中の利便性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0035】
請求項
8に記載の発明に係る車室構造は、コストを低減することができるという優れた効果を有する。
【0036】
請求項
9に記載の発明に係る車室構造は、連通状態時に乗員同士のコミュニケーションがとりやすくなるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図15を用いて、本発明に係る車室構造の第1実施形態について説明する。なお、各図において示される矢印FRは車両前後方向前側、矢印OUTは車両幅方向外側、矢印UPは車両上下方向上側をそれぞれ示す。
【0039】
(全体構成)
図1に示されるように、本実施形態に係る車室構造10が適用された車両12は、一例としてワンボックスタイプの乗用車であり、両サイド部にはサイドドア14がそれぞれ設けられている。このサイドドア14は、観音開き構造とされており、ドア開口部の車両前方側及び車両後方側にそれぞれ設けられた図示しないヒンジによってそれぞれ開閉可能とされている(図中二点鎖線参照)。この車両12は、一例として自動運転車両とされており、運転席及び助手席が設けられていない構成とされている。
【0040】
(車室)
図2に示されるように、車両12の車室内には、乗員が着座するための車室16が設けられている。この車室16は、車室の大部分を占めており、サイドドア14の開口を経て車外から車室16内へ又は車室16から車外へ移動可能とされている。なお、車室内における車室16の車両後方側には、図示しない荷物搭載空間(所謂トランクルーム)が設けられている。
【0041】
車室16には、後述する壁部18によって区画された複数の個別空間20(本実施形態では4つ)が設けられており、それぞれの個別空間20内には車両用シート22が1つずつ設けられている。この車両用シート22は、乗員の腰部及び大腿部(いずれも不図示)を支持するためのシートクッション24と、乗員の背部(不図示)を支持するためのシートバック26と、乗員の頭部(不図示)を支持するためのヘッドレスト28とによって構成されている。また、車室16における車両前方側の個別空間20内の車両用シート22は、乗員が車両後方側へ向けて着座する向きに取り付けられている。一方、車室16における車両後方側の個別空間20内の車両用シート22は、乗員が車両前方側へ向けて着座する向きに取り付けられている。つまり、車両前方側の個別空間20内の車両用シート22と、車両後方側の個別空間20内の車両用シート22とは、対向するように配置されている。なお、車両用シート22は、図示しないスライドレールに沿って個別空間20内にて移動可能としてもよい。また、図示しない回動機構により水平方向にて回動可能としてもよい。
【0042】
車両用シート22と後述する壁部18の第1壁部18Aとの間には、荷物置きスペース20Aが設けられている。この荷物置きスペース20Aは、一例として標準的なスーツケースを一つ置く事ができる程度の広さに設定されている。つまり、それぞれの個別空間20は、荷物を持った乗員が一人乗車できる程度の広さとされている。なお、個別空間20は、荷物を持った乗員が一人乗車できる広さに限らず、二人以上乗車できる広さとしてもよい。
【0043】
(壁部)
車室16内には、壁部18が設けられている。この壁部18は、車室16の車両幅方向の略中央にて車両前後方向に沿って延設された第1壁部18Aと、車室16の車両前後方向の略中央にて車両幅方向に沿って延設された第2壁部18Bと、を有している。また、車室16の略中央部、すなわち第1壁部18Aと第2壁部18Bとの交差部30には、後述するテーブル32が設けられている(
図3参照)。
【0044】
(第1壁部)
第1壁部18Aは、下端部18AAが車室16におけるフロア34に略当接され(後述する第1テーブル可動壁36Aを除く)かつ、上端部18ABが車室16の天井としての内装材であるルーフライニング(不図示)に略当接されている。
【0045】
(第1壁部の可動壁)
第1壁部18Aには、可動壁36が設けられている。この可動壁36は、車両前後方向にて間隔をあけて設けられた複数(本実施形態では2つ)の水平可動壁36Bと、車両前後方向にて並んで設けられた複数(本実施形態では2つ)の第1テーブル可動壁36Aとを含んで構成されている。水平可動壁36Bは、第1壁部18Aにおける固定壁部18AC(
図4参照)とテーブル32との間に設けられており、車両幅方向を板厚方向とする板材により構成されている。固定壁部18ACは、水平可動壁36Bと同様に車両幅方向を板厚方向とする板材により構成されており、第1壁部18Aにおける車両用シート22に対応した位置(車両用シート22に対して車両幅方向内側)に図示しない固定具を介してフロア34に固定されている。
【0046】
図4に示されるように、水平可動壁36Bは、固定壁部18ACを挟んで対向して2枚設けられている。それぞれの水平可動壁36Bは、固定壁部18ACと略同一のサイズに設定されており、水平方向、具体的には車両前後方向に延設されたレール36BAに沿って移動可能とされている。
【0047】
また、それぞれの水平可動壁36Bは、対向した(重ねられた)状態にて個別空間20に対面する側の面における車両上下方向略中央かつテーブル32側に把持部材40A、40Bが取り付けられている。この把持部材40A、40Bは、それぞれ水平可動壁36Bから車両幅方向外側(個別空間20側)へ突出されており、車両正面視にて略U字状に形成された管部材により構成されている。また、把持部材40A、40Bは、一例として図示しないロック機構を備えており、把持部材40A、40Bを把持することでロック機構のロックが解除されて水平可動壁36Bを車両前後方向に沿って移動させることができる。したがって、一方の個別空間20に乗車している乗員は、
図5に示されるように、当該乗員が乗車している個別空間20に対面する側の水平可動壁36Bの把持部材40Aを把持してこの水平可動壁36Bを車両前方側へ移動させることができる。なお、水平可動壁36Bにおけるテーブル32と対向する側の端部36BBが固定壁部18ACのテーブル32と対向する側の端部18ADと車両前後方向にて略同一となる位置が請求項2における「開状態」に相当する。一方、当該乗員は、把持部材40Aが取り付けられた水平可動壁36Bに対向する他方の水平可動壁36Bの把持部材40Bを把持できないことから、この水平可動壁36Bを移動させることができない構成とされている。
【0048】
図10に示されるように、第1テーブル可動壁36Aは、車両幅方向を板厚方向とする板部材により構成されており、テーブル32の天板32A上にて車両幅方向に対向して2枚設けられている。具体的には、それぞれの第1テーブル可動壁36Aは、下端部36AAがテーブル32の天板32Aの上面に対向していると共に、上端部36ABが水平可動壁36Bの上端部36BCと略同一の位置とされている(
図4参照)。また、それぞれの第1テーブル可動壁36Aにおける車両前後方向の一方側の端部36ACがテーブル32の車両前後方向略中央に位置しており、車両前後方向の他方の端部36ADがテーブル32の車両前後方向の端部32AAに対応して位置している。
【0049】
それぞれの第1テーブル可動壁36Aは、車両幅方向外側の側面(それぞれの第1テーブル可動壁36Aが対向した状態にて個別空間20に対面する側の面)36AEかつ下端部36AA側に取り付けられた車両前後方向を軸方向とする第1ヒンジ42を介してテーブル32の天板32Aに取り付けられている。したがって、それぞれの第1テーブル可動壁36Aは、車両前後方向を軸方向として図示した立設状態から車両幅方向外側へ向かって天板32A上に倒すことができる(図中矢印M1参照)。この状態が請求項2の「開状態」に相当する(
図12参照)。なお、第1テーブル可動壁36Aは、図示しないストッパにより対向する他方の第1テーブル可動壁36A側へ倒れるのが制限されている。
【0050】
また、それぞれの第1テーブル可動壁36Aには、側面36AEにおける車両前後方向略中央かつ上端部36AB側に把持部材44A、44Bが取り付けられている。この把持部材44A、44Bは、車両平面視にて略U字状に形成された管部材により構成されており、それぞれ第1テーブル可動壁36Aから車両幅方向外側へ突出されている。また、把持部材44A、44Bは、一例として図示しないロック機構を備えており、把持部材44A、44Bを把持することでロック機構のロックが解除されて車両前後方向を軸方向として
図12に示されるように、第1テーブル可動壁36Aを倒すことができる。
【0051】
(第2壁部)
図2に示されるように、第2壁部18Bは、下端部18BAが車室16におけるフロア34に略当接され(後述する第2テーブル可動壁48Bを除く)かつ、上端部18BBが後述する可動壁48の開状態時にて車室16のルーフライニングに略当接されている。
【0052】
(第2壁部の可動壁)
第2壁部18Bには、可動壁48が設けられている。この可動壁48は、車両幅方向にて間隔をあけて設けられた複数(本実施形態では2つ)の垂直可動壁48Aと、車両幅方向にて並んで設けられた複数(本実施形態では2つ)の第2テーブル可動壁48Bとを含んで構成されている。垂直可動壁48Aは、閉状態のサイドドア14とテーブル32との間に設けられており(
図3参照)、車両前後方向を板厚方向とする板材により構成されている。
【0053】
図7に示されるように、垂直可動壁48Aは、固定壁部18BCを挟んで対向して2枚設けられている。固定壁部18BCは、垂直可動壁48Aと同様に車両前後方向を板厚方向とする板材により構成されており、
図7に示されるように、車両幅方向内側の端部がテーブル32の車両幅方向の端部32AB近傍に位置しかつ車両幅方向外側の端部が閉状態のサイドドア14の近傍に位置している(
図3参照)。そして、垂直可動壁48Aは、第2壁部18Bにおける車両用シート22に対応した位置(車両用シート22に対して車両前後方向内側)に図示しない固定具を介してフロア34に固定されている。
【0054】
図7に示されるように、それぞれの垂直可動壁48Aは、固定壁部18BCと略同一のサイズに設定されており、垂直方向、具体的には車両上下方向に延設された一対のレール50に沿って移動可能とされている。
【0055】
それぞれの垂直可動壁48Aは、対向した(重ねられた)状態にて個別空間20に対面する側の側面48AAにおける車両幅方向略中央かつ上端部48AB側に把持部材52A、52Bが取り付けられている。この把持部材52A、52Bは、それぞれ垂直可動壁48Aから車両前後方向外側へ突出されており、車両平面視にて略U字状に形成された管部材により構成されている。また、把持部材52A、52Bは、一例として図示しないロック機構を備えており、把持部材52A、52Bを把持することでロック機構のロックが解除されて垂直可動壁48Aを車両上下方向に沿って移動させることができる。したがって、乗員は、
図8に示されるように、当該乗員が乗車している個別空間20に対面する側の垂直可動壁48Aの把持部材52Aを把持してこの垂直可動壁48Aを車両下方側へ移動させることができる。なお、垂直可動壁48Aの下端部48ACがフロア34に略当接した状態が請求項2の「開状態」に相当する。一方、当該乗員は、把持部材52Aが取り付けられた垂直可動壁48Aに対向する他方の垂直可動壁48Aの把持部材52Bを把持できないことから、この垂直可動壁48Aを移動させることができない構成とされている。なお、垂直可動壁48Aの上端部48ABは、第2壁部18Bの上端部18BBの一部を構成しており、閉状態では上端部48ABが車室16のルーフライニングに略当接されている。
【0056】
図10に示されるように、第2テーブル可動壁48Bは、車両前後方向を板厚方向とする板部材により構成されており、テーブル32の天板32A上にて車両前後方向に対向して2枚設けられている。具体的には、それぞれの第2テーブル可動壁48Bは、下端部48BAがテーブル32の天板32Aの上面に対向していると共に、上端部48BBが垂直可動壁48Aの閉状態時の上端部48ABと略同一の位置とされている(
図7参照)。また、それぞれの第2テーブル可動壁48Bにおける車両幅方向の一方側の端部48BCがテーブル32の車両幅方向略中央に位置しており、車両幅方向の他方の端部48BDがテーブル32の車両幅方向の端部32ABに対応して位置している。
【0057】
それぞれの第2テーブル可動壁48Bは、車両前後方向外側の側面(それぞれの第2テーブル可動壁48Bが対向した状態にて個別空間20に対面する側の面)48BEかつ下端部48BA側に取り付けられた車両幅方向を軸方向とする第2ヒンジ56を介してテーブル32の天板32Aに取り付けられている。したがって、それぞれの第2テーブル可動壁48Bは、車両幅方向を軸方向として図示した立設状態から車両前後方向外側へ向かって天板32A上に倒すことができる(図中矢印M2参照)。この状態が請求項1の「開状態」に相当する。なお、第2テーブル可動壁48Bは、図示しないストッパにより対向する他方の第2テーブル可動壁48B側へ倒れるのが制限されていると共に、立設状態にて車両幅方向の一方側の端部48BCが第1テーブル可動壁36Aの端部36ACに当接する構成とされている。
【0058】
また、それぞれの第2テーブル可動壁48Bには、側面48BEにおける車両幅方向略中央かつ上端部48BB側に把持部材58A、58Bが取り付けられている。この把持部材58A、58Bは、車両平面視にて略U字状に形成された管部材とされており、それぞれ第2テーブル可動壁48Bから車両前後方向外側へ突出されている。また、把持部材58A、58Bは、一例として図示しないロック機構を備えており、把持部材58A、58Bを把持することでロック機構のロックが解除されて車両幅方向を軸方向として第2テーブル可動壁48Bを倒すことができる(
図13参照)。
【0059】
図15に示されるように、第2ヒンジ56は、テーブル側ヒンジ部材56Aと可動壁側ヒンジ部材56Bとを含んで構成されている。テーブル側ヒンジ部材56Aは、テーブル取付部56AAと、テーブル側ヒンジ軸56ABと、中間部56ACとを有しており、テーブル取付部56AAと中間部56ACとは車両幅方向を軸方向とするテーブル側ヒンジ軸56ABを介して回動可能に連通されている。テーブル取付部56AAは、車両上下方向を板厚方向とする板状部材とされており、板厚方向に貫通された図示しない貫通孔に挿通された締結具60を介してテーブル32の天板32Aの上面に取り付けられている。
【0060】
中間部56ACは、板状部材とされており、板厚方向に貫通された図示しない複数の貫通孔に挿通された複数の締結具62を介して後述する可動壁側ヒンジ部材56Bの中間部56BAに締結されている。
【0061】
可動壁側ヒンジ部材56Bは、可動壁取付部56BBと、可動壁側ヒンジ軸56BCと、中間部56BAとを有しており、可動壁取付部56BBと中間部56BAとは車両幅方向を軸方向とする可動壁側ヒンジ軸56BCを介して回動可能に連通されている。可動壁取付部56BBは、板状部材とされており、板厚方向に貫通された図示しない貫通孔に挿通された締結具60を介して第2テーブル可動壁48Bの側面48BEに取り付けられている。
【0062】
中間部56BAは、板状部材とされており、板厚方向に貫通された車両上下方向を長手方向とする長孔貫通孔56BDが複数(本実施形態では2つ)形成されている。この長孔貫通孔56BDには、テーブル側ヒンジ部材56Aの中間部56ACに挿通された締結具62が挿通かつ締結されており、これによって中間部56BAひいては可動壁側ヒンジ部材56Bは、テーブル側ヒンジ部材56Aに対して長孔貫通孔56BDの長手方向に沿って相対移動可能とされている。この相対移動により、テーブル側ヒンジ軸56ABと可動壁側ヒンジ軸56BCとは、第1テーブル可動壁36A(
図10参照)の板厚寸法以上に離間させるよう調整できる。以上の構成により、第2テーブル可動壁48Bは、テーブル32の天板32Aに対してテーブル側ヒンジ軸56AB及び可動壁側ヒンジ軸56BCの少なくとも一方を回動中心として可倒する。したがって、
図13に示されるように、第1テーブル可動壁36Aが既に天板32A上へ倒された状態においても、この第1テーブル可動壁36A上に重なるように第2テーブル可動壁48Bを倒すことが可能となる。
【0063】
(テーブル)
図3に示されるように、テーブル32は、車室16の車両前後方向及び車両幅方向それぞれの略中央に設けられている。つまり、上述したように、第1壁部18Aと第2壁部18Bとの交差部30に設けられている。テーブル32は、
図10に示されるように、天板32Aと、第1支持壁部32Bと、第2支持壁部32Cとを有している。天板32Aは、車両平面視にて略方形の板状部材により構成されている(
図3参照)。
【0064】
第1支持壁部32Bは、閉状態時の第1テーブル可動壁36Aと車両上下方向にて連続的かつ車両前後方向に延設されている。一方、第2支持壁部32Cは、閉状態時の第2テーブル可動壁48Bと車両上下方向にて連続的かつ車両幅方向に延設されている。そして、第1支持壁部32Bと第2支持壁部32Cとは、固定壁部18ACの略半分の高さに設定されており(
図4、
図7参照)、天板32Aを車両下方側から支持している。また、第1支持壁部32Bと第2支持壁部32Cとは、それぞれ図示しない固定具を介してフロア34に固定されており、これによってテーブル32はフロア34ひいては車体に固定されている。
【0065】
(連通状態)
図6に示されるように、対向する水平可動壁36Bがそれぞれ開状態とされると、当該水平可動壁36Bを挟んで隣接する一方の個別空間20と他方の個別空間20とが連通され、連続的な空間となる。この状態が請求項1に記載の「連通状態」に相当する。
【0066】
また、
図9に示されるように、対向する垂直可動壁48Aがそれぞれ開状態とされると、当該垂直可動壁48Aを挟んで隣接する一方の個別空間20と他方の個別空間20とが連通され、連続的な空間となる。この状態も、請求項1に記載の「連通状態」に相当する。
【0067】
さらに、
図12に示されるように、対向する第1テーブル可動壁36Aがそれぞれ開状態とされても、当該第1テーブル可動壁36Aが倒れた側の一方の個別空間20と他方の個別空間20とが連通され、連続的な空間となる。この状態も、請求項1に記載の「連通状態」に相当する。
【0068】
さらにまた、
図13に示されるように、対向する第2テーブル可動壁48Bがそれぞれ開状態とされても、当該第2テーブル可動壁48Bが倒れた側の一方の個別空間20と他方の個別空間20とが連通され、連続的な空間となる。この状態も、請求項1に記載の「連通状態」に相当する。
【0069】
(区画状態)
一方、
図4に示されるように、対向する水平可動壁36Bがそれぞれ閉状態とされると共に、対向する第1テーブル可動壁36Aがそれぞれ閉状態とされると、当該水平可動壁36B及び当該第1テーブル可動壁36Aを挟んで隣接する一方の個別空間20と他方の個別空間20とは区画され、非連続的な空間となる。この状態が請求項1に記載の「区画状態」に相当する。なお、
図5に示されるように、対向する水平可動壁36Bの少なくとも一方が閉状態にあれば「区画状態」に相当する。同様に、図示はしないが、対向する第1テーブル可動壁36Aの少なくとも一方が閉状態にあれば「区画状態」に相当する。
【0070】
また、
図7に示されるように、対向する垂直可動壁48Aがそれぞれ閉状態とされると共に、対向する第2テーブル可動壁48Bがそれぞれ閉状態とされると、当該垂直可動壁48A及び当該第2テーブル可動壁48Bを挟んで隣接する一方の個別空間20と他方の個別空間20とは区画され、非連続的な空間となる。この状態が請求項1に記載の「区画状態」に相当する。なお、
図8に示されるように、対向する垂直可動壁48Aの少なくとも一方が閉状態にあれば「区画状態」に相当する。同様に、図示はしないが、対向する第2テーブル可動壁48Bの少なくとも一方が閉状態にあれば「区画状態」に相当する。
【0071】
(第1実施形態の作用・効果)
次に、第1実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0072】
上述のように、本実施形態では、
図2に示されるように、車両内部の車室16には、壁部18が設けられている。この壁部18は、車室16を複数の個別空間20に区画する区画状態と、それぞれの個別空間20同士を連通する連通状態とを選択的にとることが可能である。したがって、乗員がプライバシーの保護を望む場合は、壁部18を区画状態にすると共に乗員がそれぞれ別の個別空間20内に乗車することで、プライバシーを保護することができる。一方、乗員同士がコミュニケーションをとることを望む場合は、壁部18を連通状態にすることで、異なる個別空間20に乗車した乗員同士が容易にコミュニケーションをとることができる。
【0073】
ここで、本車室では、隣接する個別空間20のそれぞれにて壁部18が連通状態となるように操作されることで、操作が行われた個別空間20同士が連通状態となる。すなわち、隣接する個別空間20に乗車している双方の乗員がそれぞれ連通状態にする操作を行うことで連通状態となるため、
図5、
図8に示されるように、一方の個別空間20に乗車した乗員のみが連通状態にする操作を行っても、一方の個別空間20に隣接する他方の個別空間20に乗車した乗員が連通状態にする操作を行わなければ連通状態とはならない。したがって、どちらかの乗員が連通状態になるのを望まない状態で個別空間20同士が連通した状態になるのを防ぐことができる。これにより、乗員のプライバシー保護性能を向上させることができる。
【0074】
また、壁部18は、
図5に示されるように、隣接する個別空間20の間に対向して設けられた2枚の水平可動壁36Bを有している。この2枚の水平可動壁36Bは、それぞれ対面する側の個別空間20からの操作によってのみ開状態となり、
図6に示されるように、互いに開状態となることで隣接する当該個別空間20は連通状態となる。すなわち、一方の個別空間20に乗車した乗員は、この一方の個別空間20に面する1枚の水平可動壁36Bのみを開状態とする操作を行うことができるが、この水平可動壁36Bを挟んで隣接する他方の個別空間20に面した別の水平可動壁36Bを開状態とする操作を行うことができない。このため、
図5に示されるように、一方の個別空間20に乗車した乗員が、この一方の個別空間20に面する側の水平可動壁36Bを開状態にしても、一方の個別空間20と隣接する他方の個別空間20に乗車した乗員が他方の個別空間20に面する別の水平可動壁36Bを開状態にしなければ連通状態とはならない。したがって、どちらかの乗員が連通状態になるのを望まない状態で個別空間20同士が連通した状態になるのを簡易な構成にて防ぐことができる。また、本実施形態は、2枚の水平可動壁36Bを設けてそれぞれ別個に移動及びロックが可能な簡易な構成とされている。これにより、低コストで乗員のプライバシー保護性能を向上させることができる。以上、水平可動壁36Bの場合について述べたが、水平可動壁36Bのみならず、垂直可動壁48A、第1テーブル可動壁36A及び第2テーブル可動壁48Bについても同様である。
【0075】
さらに、開状態にする際には、水平可動壁36Bを水平方向に沿って移動させるため、水平可動壁36Bを格納するスペースが水平方向の別の場所に設けられる。すなわち、
図6に示されるように、水平可動壁36Bを開状態とした際に開放される部位OP1に水平可動壁36Bを格納するためのスペースをとる必要がないため、開放される部位OP1を車室16のルーフライニングからフロア34に亘る車両上下方向にて広い範囲に設定することが可能となる。したがって、連通状態時に一方の個別空間20と他方の個別空間20との間の移動が容易となる。これにより、乗降時の利便性を向上させることができる。
【0076】
さらにまた、
図9に示されるように、開状態にする際には、垂直可動壁48Aを垂直方向に沿って移動させるため、垂直可動壁48Aを格納するスペースが垂直方向の別の場所に設けられる。すなわち、垂直可動壁48Aを開状態とした際に開放されるスペースは、水平方向に広くとることができる。したがって、連通状態時の開放感を高めることができる。これにより、連通状態時の快適性を向上させることができる。
【0077】
また、
図6に示されるように、水平方向に沿って移動する水平可動壁36Bは、車室16を車両幅方向に隔てるように設けられていることから、車両前後方向の寸法が車両幅方向の寸法よりも大きい車室16において、水平可動壁36Bは車両前後方向に沿って移動する。つまり、水平可動壁36Bを開状態にする際の水平可動壁36Bの格納スペースの確保が容易となる。
【0078】
さらに、
図9に示されるように、垂直方向に沿って移動する垂直可動壁48Aは、車室16を車両前後方向に隔てるように設けられていることから、車両幅方向の寸法が車両前後方向の寸法よりも小さい車室16において、垂直可動壁48Aは車両上下方向に沿って移動する。つまり、垂直可動壁48Aを開状態にする際の垂直可動壁48Aの格納スペースの確保が容易となる。これらにより、車室内のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0079】
さらにまた、
図3に示されるように、車室16には、隣接する個別空間20を跨いだテーブル32が設けられており、壁部18は、テーブル32も含めて区画状態と連通状態とを選択的にとることから、
図11に示されるように、区画状態において乗員はテーブル32を個人的に使用することができる一方、
図12、
図13、
図14に示されるように、連通状態において乗員は隣接する個別空間20に跨いだテーブル32を一体的に広く使用することができる。これにより、乗車中の利便性を向上させることができる。
【0080】
また、テーブル32は車室16を車両前後方向に隔てる第1壁部18Aと、車室を車両幅方向に隔てる第2壁部18Bとの交差部30に設けられていることから、複数の個別空間20に効率よくテーブル32を設けることができる。これにより、コストを低減することができる。
【0081】
さらに、複数の個別空間20内には、車両用シート22がそれぞれ設けられており、それぞれの車両用シート22は、車室16を車両前後方向に隔てる第2壁部18Bを挟んで対面するように配置されている。したがって、車室16を車両前後方向に隔てる第2壁部18Bが
図13、
図14に示されるように連通状態になると、乗員同士が対面状態で着座することになるため、コミュニケーションをとりたい乗員同士が車両前後方向にてそれぞれ別に着座した場合でもコミュニケーションがとりやすくなる。これにより、連通状態時に乗員同士のコミュニケーションがとりやすくなる。
【0082】
さらにまた、
図10に示されるように、第1テーブル可動壁36Aは、閉状態から開状態にする際は車両幅方向外側へ向かってテーブル32の天板32A上に倒す。また、第2テーブル可動壁48Bは、閉状態から開状態にする際は車両前後方向外側に向かって天板32A上に倒す。つまり、第1テーブル可動壁36Aと第2テーブル可動壁48Bとは、開状態にする場合操作が行われる側の個別空間20に向かって倒れることから、他の個別空間20における天板32Aに物が置かれていないか等、他の個別空間20におけるテーブル32の様子を確認することなく操作することができる。これにより、操作性を向上させることができる。
【0083】
なお、第2ヒンジ56は、第2テーブル可動壁48Bに取り付けられた構成とされているが、これに限らず、第1テーブル可動壁36Aに設けられた構成としてもよいし、第1テーブル可動壁36A及び第2テーブル可動壁48Bの両方に設けられた構成としてもよい。
【0084】
また、
図5に示されるように、水平可動壁36Bは、把持部材40A、40Bを把持して操作する構成とされているが、これに限らず、図示しない駆動機構及びこの駆動機構を作動させかつそれぞれの個別空間20内のフロア34、ルーフライニング又は壁部18等の任意の位置に配置した操作手段を設けて、この操作手段を操作することで水平可動壁36Bを移動させる構成としてもよい。さらに、水平可動壁36Bのみならず、垂直可動壁48A、第1テーブル可動壁36A及び第2テーブル可動壁48B(
図2参照)についても同様に駆動機構及び操作手段を設けた構成としてもよい。
【0085】
(第2実施形態)
次に、
図16〜
図19を用いて、本発明の第2実施形態に係る車室構造について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0086】
この第2実施形態に係る車室構造70は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、
図17に示されるように、壁部18に設けられた可動壁72、74を構成する水平可動壁72A、第1テーブル可動壁72B、垂直可動壁74A及び第2テーブル可動壁74Bが単体の板状部材により構成されている点に特徴がある。
【0087】
(第1壁部の可動壁)
すなわち、
図16に示されるように、水平可動壁72Aは、第1壁部18Aにおける固定壁部18ACとテーブル71との間に設けられており、車両幅方向を板厚方向とする板材により構成されている。水平可動壁72Aは、固定壁部18ACに対して車両幅方向の一方側に設けられている。水平可動壁72Aは、固定壁部18ACと略同一のサイズに設定されており、水平方向、具体的には車両前後方向に延設されたレール72AAに沿って移動可能とされている。
【0088】
水平可動壁72Aは、駆動機構76が作動することによってレール72AA上を移動可能とされている。この駆動機構76は、図示しないモータを有しており、このモータが回転することにより水平可動壁72Aが移動される。なお、駆動機構76が停止状態にある場合には、水平可動壁72Aはロックされてレール72AA上の移動が制限される。つまり、手動による水平可動壁72Aの移動が困難な構成とされている。
【0089】
駆動機構76は、制御装置78に電気的に接続されている。制御装置78は、周知のCPU、ROM、RAM(いずれも不図示)などを備えたコンピュータを主体に構成されており、その入力側には、水平可動壁72Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ80が電気的に接続されている。一方、制御装置78に出力側には、駆動機構76が電気的に接続されている。そして、水平可動壁72Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ80の両方が、水平可動壁72Aを開状態とするように操作されると、この両方の開閉スイッチ80の入力に基いて制御装置78が水平可動壁72Aを開状態とするように駆動機構76を作動させる。換言すると、水平可動壁72Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ80の一方のみが水平可動壁72Aを開状態とするように操作されても、水平可動壁72Aは開状態とならない。なお、開閉スイッチ80は、一例として一方の個別空間20に面する水平可動壁72A及び他方の個別空間20に面する固定壁部18ACにそれぞれ取り付けられているが、これに限らず、それぞれの個別空間20内のフロア34、ルーフライニング又は壁部18等の任意の位置に適宜配置してもよい。
【0090】
図17に示されるように、第1テーブル可動壁72Bは、可動壁72の他の一部を構成しており、車両幅方向を板厚方向とする単体の板部材により構成されている。開状態では、この第1テーブル可動壁72Bの下端部72BAがテーブル71に形成された収容部84内に位置すると共に、第1テーブル可動壁72Bの上端部72BBが水平可動壁72Aの上端部72ABと略同一の高さに位置する状態となる。また、それぞれの第1テーブル可動壁72Bにおける車両前後方向の一方側の端部72BCがテーブル71の車両前後方向略中央に位置しており、車両前後方向の他方の端部72BEがテーブル71の車両前後方向の端部71AAに対応して位置されている。
【0091】
第1テーブル可動壁72Bは、駆動機構86が作動することで、車両上下方向に沿って移動可能とされている。この駆動機構86は、駆動機構76と同様に、図示しないモータを有しており、このモータが回転することにより第1テーブル可動壁72Bを移動させる。そして、第1テーブル可動壁72Bが車両下方側へ移動することで、
図18に示されるように、テーブル71の収容部84内に収納されかつ第1テーブル可動壁72Bの上端部72BB(
図17参照)の端面72BDがテーブル71の天板71Aの上面と略同一面上に位置する状態が請求項3に記載の「開状態」に相当する。なお、駆動機構86が停止状態にある場合には、第1テーブル可動壁72Bはロックされて車両上下方向に沿った移動が制限される。つまり、手動による第1テーブル可動壁72Bの移動が困難な構成とされている。
【0092】
駆動機構86は、制御装置78の出力側に電気的に接続されている。そして、上述のように、水平可動壁72Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ80(
図16参照)の両方が、第1テーブル可動壁72Bを開状態とするように操作されると、この両方の開閉スイッチ80の入力に基いて制御装置78が
図18に示されるように、水平可動壁72Aと併せて第1テーブル可動壁72Bを開状態とするように駆動機構86を作動させる。換言すると、水平可動壁72Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ80の一方のみが水平可動壁72Aを開状態とするように操作されても、第1テーブル可動壁72Bは開状態とならない。
【0093】
(第2壁部の可動壁)
図19に示されるように、垂直可動壁74Aは、サイドドア14(
図3参照)とテーブル71との間に設けられており、車両前後方向を板厚方向とする板材により構成されている。垂直可動壁74Aは、固定壁部18BCに対して車両幅方向の一方側に設けられている。垂直可動壁74Aは、固定壁部18BCと略同一のサイズに設定されており、垂直方向、具体的には車両上下方向に延設されたレール74AAに沿って移動可能に取り付けられている。
【0094】
垂直可動壁74Aは、駆動機構88が作動することによってレール74AAに沿って車両上下方向に沿って移動可能とされている。この駆動機構88は、駆動機構76と同様に、図示しないモータを有しており、このモータが回転することにより垂直可動壁74Aを移動させる。なお、駆動機構88が停止状態にある場合には、垂直可動壁74Aはロックされて車両上下方向に沿う移動が制限される。つまり、手動により垂直可動壁74Aの移動が困難な構成とされている。
【0095】
駆動機構88は、制御装置78に電気的に接続されている。制御装置78の入力側には、垂直可動壁74Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ81が電気的に接続されている。一方、制御装置78に出力側には、駆動機構88が電気的に接続されている。そして、垂直可動壁74Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ81の両方が、垂直可動壁74Aを開状態とするように操作されると、この両方の開閉スイッチ81の入力に基いて制御装置78が垂直可動壁74Aを開状態とするように駆動機構88を作動させる。換言すると、垂直可動壁74Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ81の一方のみが垂直可動壁74Aを開状態とするように操作されても、垂直可動壁74Aは開状態とならない。なお、開閉スイッチ81は、一例として一方の個別空間20に垂直可動壁74A及び他方の個別空間20に面する固定壁部18BCにそれぞれ取り付けられているが、これに限らず、それぞれの個別空間20内のフロア34、ルーフライニング又は壁部18等の任意の位置に適宜配置してもよい。
【0096】
図17に示されるように、可動壁74の一部を構成する第2テーブル可動壁74Bは、車両前後方向を板厚方向とする単体の板部材により構成されている。開状態では、この第2テーブル可動壁74Bの下端部74BAがテーブル71に形成された収容部90内に位置すると共に、第2テーブル可動壁74Bの上端部74BBが閉状態の垂直可動壁74Aの上端部74BBと略同一の高さに位置する状態となる。また、それぞれの第2テーブル可動壁74Bにおける車両幅方向の一方側の端部74BCがテーブル71の車両幅方向略中央に位置しており、車両幅方向の他方の端部74BDがテーブル71の車両幅方向外側の端部71ABに対応して位置されている。なお、第2テーブル可動壁74Bは、閉状態にて車両幅方向の一方側の端部74BCが閉状態の第1テーブル可動壁72Bの車両前後方向の一方側の端部72BCに当接する構成とされている。
【0097】
第2テーブル可動壁74Bは、駆動機構94が作動することで、車両上下方向に沿って移動可能とされている。この駆動機構94は、駆動機構76と同様に、図示しないモータを有しており、このモータが回転することにより第2テーブル可動壁74Bを移動させる。そして、第2テーブル可動壁74Bが車両下方側へ移動することで、
図18に示されるように、テーブル71の収容部90内に収納されかつ第2テーブル可動壁74Bの上端部74BB(
図17参照)の端面74BFがテーブル71の天板71Aの上面と略同一面上に位置する状態が請求項3に記載の「開状態」に相当する。なお、
図17に示されるように、駆動機構94が停止状態にある場合には、第2テーブル可動壁74Bはロックされて車両上下方向に沿った移動が制限される。つまり、手動により第2テーブル可動壁74Bの移動が困難な構成とされている。
【0098】
駆動機構94は、制御装置78の出力側に電気的に接続されている。そして、上述のように、垂直可動壁74Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ81(
図19参照)の両方が、垂直可動壁74Aを開状態とするように操作されると、この両方の開閉スイッチ81の入力に基いて制御装置78が垂直可動壁74Aと併せて第2テーブル可動壁74Bを開状態とするように駆動機構94を作動させる。換言すると、垂直可動壁74Aに対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とにそれぞれ設けられた開閉スイッチ81の一方のみが第2テーブル可動壁74Bを開状態とするように操作されても、第2テーブル可動壁74Bは開状態とならない。
【0099】
(連通状態)
図18に示されるように、水平可動壁72A及び第1テーブル可動壁72Bが開状態とされると、当該水平可動壁72A及び第1テーブル可動壁72Bに面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とが連通され、連続的な空間となる。この状態が請求項1に記載の「連通状態」に相当する。なお、図示はしないが、水平可動壁72A及び第1テーブル可動壁72Bのどちらか一方のみが開状態となった状態でも、請求項1に記載の「連通状態」に相当する。
【0100】
また、垂直可動壁74A及び第2テーブル可動壁74Bが開状態とされると、当該垂直可動壁74A及び当該第2テーブル可動壁74Bに面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とが連通され、連続的な空間となる。この状態も、請求項1に記載の「連通状態」に相当する。なお、図示はしないが、垂直可動壁74A及び第2テーブル可動壁74Bのどちらか一方のみが開状態となった状態でも、請求項1に記載の「連通状態」に相当する。
【0101】
(区画状態)
一方、
図17に示されるように、水平可動壁72Aが閉状態とされると共に、第1テーブル可動壁72Bが閉状態とされると、当該水平可動壁72A及び当該第1テーブル可動壁72Bに面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とは区画され、非連続的な空間となる。この状態が請求項1に記載の「区画状態」に相当する。
【0102】
また、垂直可動壁74Aが閉状態とされると共に、第2テーブル可動壁74Bが閉状態とされると、当該垂直可動壁74A及び当該第2テーブル可動壁74Bに面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とが区画され、非連続的な空間となる。この状態が請求項1に記載の「区画状態」に相当する。
【0103】
(第2実施形態の作用・効果)
次に、第2実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0104】
上記構成によっても、壁部18に設けられた可動壁72、74を構成する水平可動壁72A、第1テーブル可動壁72B、垂直可動壁74A及び第2テーブル可動壁74Bが単体の板状部材により構成されている点以外は第1実施形態の車室構造10と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、
図16に示されるように、第1壁部18Aは、隣接する個別空間20の間に設けられた単体の水平可動壁72Aを有している。この水平可動壁72Aは、対面する一方の個別空間20と他方の個別空間20とからそれぞれ開状態となるように操作をされることでのみ開状態となる。すなわち、一方の個別空間20に乗車した乗員が、水平可動壁72Aを開状態にするよう開閉スイッチ80、81の操作をしても、この水平可動壁72Aを挟んで隣接する他方の個別空間20に乗車した乗員が水平可動壁72Aを開状態にするよう開閉スイッチ80、81の操作をしなければ、水平可動壁72Aは開状態とならず、一方の個別空間20と他方の個別空間20とは連通状態とはならない。したがって、単体の水平可動壁72Aにて省スペースを図りながら、どちらかの乗員が連通状態になるのを望まない状態で個別空間20同士が連通した状態になるのを防ぐことができる。これにより、スペース効率の向上と乗員のプライバシー保護性能の向上とを両立させることができる。以上、水平可動壁72Aの場合について述べたが、水平可動壁72Aのみならず、垂直可動壁74A、第1テーブル可動壁72B及び第2テーブル可動壁74B(
図17参照)についても同様である。
【0105】
なお、本実施形態では、水平可動壁72Aを開状態にすると、これに併せて第1テーブル可動壁72Bが開状態となるように構成されていると共に、水平可動壁72Aを閉状態にすると、これに併せて第1テーブル可動壁72Bが閉状態となるように構成されているが、これに限らず、水平可動壁72Aと第1テーブル可動壁72Bとをそれぞれ独立して開状態及び閉状態にするように構成してもよい。同様に、垂直可動壁74Aを開状態にすると、これに併せて第2テーブル可動壁74Bが開状態態となるように構成されていると共に、垂直可動壁74Aを閉状態にすると、これに併せて第2テーブル可動壁74Bが閉状態態となるように構成されているが、これに限らず、垂直可動壁74Aと第2テーブル可動壁74Bとをそれぞれ独立して開状態及び閉状態にするように構成してもよい。
【0106】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、
図11、
図17に示されるように、水平可動壁36B、72Aを第1壁部18Aに設けて、垂直可動壁48A、74Aを第2壁部18Bに設けた構成としているが、これに限らず、第1壁部18Aと第2壁部18Bとの両方がそれぞれ水平可動壁36B、72Aのみを設けた構成としてもよいし、第1壁部18Aと第2壁部18Bとの両方がそれぞれ垂直可動壁48A、74Aのみ設けた構成としてもよい。それ以外にも、第1壁部18Aに水平可動壁36B、72Aと垂直可動壁48A、74Aとの両方を設けたり、第2壁部18Bに水平可動壁36B、72Aと垂直可動壁48A、74Aとの両方を設けてもよい。
【0107】
さらに、車室16は、第1壁部18Aと第2壁部18Bとで4つの個別空間20に分けられた構成とされているが、これに限らず、図示はしないが5つ以上の個別空間20に分けられた構成としてもよい。また、壁部18は、第1壁部18Aと第2壁部18Bとが車室16の略中央部で交差するが、これに限らず、車室16の略中央部以外の位置で第1壁部18Aと第2壁部18Bとが交差する構成としてもよいし、第1壁部18A又は第2壁部18Bの一方のみを有してこれにより車室16を区画する構成としてもよい。さらに、第1壁部18A又は第2壁部18Bは、車両前後方向及び車両幅方向に沿って延設された構成とされているが、これに限らず、車両平面視にて斜め方向に延設された構成としてもよい。
【0108】
さらにまた、テーブル32、71は、第1壁部18Aと第2壁部18Bとの交差部30に設けられているが、これに限らず、その他の位置に設けられた構成としてもよい。
【0109】
また、
図2に示されるように、車両用シート22は、第2壁部18Bを挟んで対面するように構成されているが、これに限らず、全ての車両用シート22が同一の方向を向いていてもよいし、それぞれの車両用シート22が別々の向きに配置されていてもよい。
【0110】
さらに、
図1に示されるように、車両12は、自動運転車両とされているが、これに限らず、乗員が運転を行う通常の車両としてもよい。この場合、車室16における運転席以外の場所に壁部18を設けた構成としてもよいし、車室16における運転席も含めた場所に壁部18を設けた構成としてもよい。
【0111】
さらにまた、
図2に示されるように、可動壁36は、水平可動壁36Bと第1テーブル可動壁36Aとがそれぞれ別体により構成されているが、これに限らず、一例として水平可動壁36Bの一部をテーブル32上に延設してこの延設部を第1テーブル可動壁36Aとしてもよいし、それ以外の構成により水平可動壁36Bと第1テーブル可動壁36Aとを一体化してもよい。同様に、水平可動壁72A及び第1テーブル可動壁72B(
図17参照)と、垂直可動壁48A(
図2参照)、74A(
図17参照)及び第2テーブル可動壁48B(
図2参照)、74B(
図17参照)とをそれぞれ一体化した構成としてもよい。
【0112】
また、第1壁部18Aは、第1テーブル可動壁36Aを除いて下端部18AAが車室16におけるフロア34に略当接されかつ、上端部18ABが車室16のルーフライニングに略当接されている。同様に、第2壁部18Bは、第2壁部18Bは、第2テーブル可動壁48Bを除いて下端部18BAが車室16におけるフロア34に略当接されかつ、上端部18BBが車室16のルーフライニングに略当接されている。つまり、第1壁部18A及び第2壁部18Bにより区画状態とされたそれぞれの個別空間20は、略完全に区画された状態となるが、これに限らず、一例として車両用シート22に着座した乗員の頭部と略同一の高さに対応した範囲のみに第1壁部18A及び第2壁部18Bを設けて、視線を遮るだけの構成としてもよい。また、それ以外にも、一部のみに第1壁部18A及び第2壁部18Bを設けて個別空間20同士が一部連通する空間を有する構成としてもよい。
【0113】
さらに、可動壁36は、
図4に示されるように、対向する2枚の水平可動壁36Bを有する構成とされているが、これに限らず、図示はしないが対向する2枚の水平可動壁36Bの間に透明材で構成される別の壁部材を設けて3枚構成としてもよいし、それ以上の枚数を設けた構成としてもよい。同様に、第1テーブル可動壁36A、垂直可動壁48A及び第2テーブル可動壁48B(
図2参照)も、透明材で構成される別の壁部材を挟んで3枚構成としてもよいし、それ以上の枚数を設けた構成としてもよい。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0115】
また、上述した本実施形態に係る車室構造を異なる観点で捉えることも可能である。例えば、本実施形態に係る車室構造の解決しようとする課題(目的)を、「車室内に設けられているテーブルにおいて個別空間の確保と広いスペースの確保とを両立できる」と捉えることもできる。
【0116】
上記のように課題を捉えると、課題を解決するための手段としての発明は、例えば以下のようになる。
「乗員の居旧空間となる車室と、
前記車室内に設けられたテーブルと、
前記テーブルに設けられると共に、前記テーブルの天板上のスペースを複数の個別空間に区画する区画状態と、少なくとも一組の隣接した前記個別空間同士を相互に連通する連通状態とを選択的にとることが可能であると共に、前記隣接した個別空間同士のそれぞれにて前記連通状態となるように操作されることで、操作が行われた前記隣接した個別空間同士を前記連通状態とするテーブル可動壁と、
を有する車室構造。」
【0117】
上記構成によれば、乗員の居旧空間となる車室には、テーブルが設けられている。このテーブルには、テーブル可動壁が設けられており、このテーブル可動壁によって天板上のスペースを複数の個別空間に区画する区画状態と、少なくとも一組の隣接した個別空間同士を相互に連通する連通状態とを選択的にとることができる。したがって、乗員は、テーブル可動壁を区画状態にすることで、車両に他人が乗り合わせた場合にテーブルを個人的に使用することができる個別空間をテーブル上に確保することができる。一方、乗員は、テーブル可動壁を連通状態にすることで、車両に知合い同士が乗り合わせた場合にテーブルの区画を解除して広く利用することもできる。
【0118】
ここで、隣接する個別空間のそれぞれにてテーブル可動壁が連通状態となるように操作されることで、操作が行われた個別空間同士が連通状態となる。すなわち、隣接する個別空間を使用する双方の乗員がそれぞれ連通状態にする操作を行うことで連通状態となるため、一方の個別空間を使用している乗員のみが連通状態にする操作を行っても、一方の個別空間に隣接する他方の個別空間を使用する乗員が連通状態にする操作を行わなければ連通状態とはならない。したがって、テーブルは、どちらかの乗員が連通状態になるのを望まない状態で個別空間同士が連通した状態になるのを防ぐことができる。