(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る逆チルト用駆動機構(表示パネル駆動機構)5を備えた電子機器1の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
以下の説明においては、電子機器1を運転席の前方の車両に搭載した状態で各方向を定義する。前後方向とは、車両直進時の進行方向と平行な方向であり、運転席側に向かう方向を前後方向の「前」、前方ウインドシールド側に向かう方向を前後方向「後」とする。前後方向を、X軸方向とする。左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。運転席側から見て、左手側が「左」、右手側が「右」である。左右方向を、Y軸方向とする。上下方向とは、前後方向および左右方向に対して直交する方向である。上下方向を、Z軸方向とする。したがって、前後方向、左右方向および鉛直方向は、3次元で直交する。
【0013】
図1は、実施形態に係る電子機器を車両に取り付けた状態を示す図である。
図2は、実施形態に係る表示ユニットを示す斜視図であり、表示ユニットの逆チルト状態を示す図である。
図3は、実施形態に係る逆チルト用駆動機構とチルト用駆動機構と筐体とを示す斜視図である。
図4は、実施形態に係る逆チルト用駆動機構とチルト用駆動機構と筐体とを示す斜視図である。電子機器1は、記憶媒体から情報を読み取る読取ユニット2と、読み取った情報を表示させる表示ユニット3とを有する。電子機器1は、例えば、AV一体型のカーナビゲーションシステムまたはカーオーディオなどである。
【0014】
読取ユニット2は、記憶媒体が装着される図示しないメディアスロットが配置され、記憶媒体から情報を読み取る。読取ユニット2は、記憶媒体から読み取った情報と、表示パネルで検出された操作情報とに基づいて、図示しない制御部を介して電子機器1の各部に制御信号を出力する。読取ユニット2は、直方体状の箱状に形成された筐体(電子機器本体)20を有する。
【0015】
筐体20は、表示ユニット3と向かい合う面にサブパネル(電子機器本体の表面)21が配置されている。言い換えると、筐体20の表面にサブパネル21が配置されている。筐体20は、例えば、クラスタパネル、センターコンソール、インストルメントパネルに取り付けられている。本実施形態では、筐体20のY軸方向の長さは、サブパネル21のY軸方向の長さより短い。筐体20のZ軸方向の長さは、サブパネル21のZ軸方向の長さより短い。筐体20の外周には、サブパネル21の表面と反対側の裏面側において、電子機器1の各部材が配置されていない空間部Sが形成されている。空間部Sは、筐体20の底面20aの下側と右側面20bの右側部と左側面20cの左側部とに形成されている。
【0016】
サブパネル21は、X軸方向と直交する平面に配置されている。サブパネル21には、記憶媒体が装着されるメディアスロット23とメディアスロット24とが配置されている。サブパネル21は、前側が開口している。サブパネル21の開口の内周面には、Z軸方向に沿った方向に延びるガイド溝(ガイド部)22が形成されている。
【0017】
ガイド溝22は、表示ユニット3のチルト動作時および逆チルト動作時に、第一軸(第一連結部)101(
図9参照)をガイドする。ガイド溝22は、第一軸101の先端部が係合している。ガイド溝22は、チルト動作用の第一溝22aと逆チルト動作用の第二溝22bとを有する。第一溝22aと第二溝22bとは連通している。第一溝22aは、サブパネル21のZ軸方向に沿って形成されている。第一溝22aは、表示ユニット3のチルト動作時に、第一軸101をガイドする。第二溝22bは、第一溝22aの上端部から前方上部に向かって傾いて形成されている。第二溝22bは、表示ユニット3の逆チルト動作時に、第一軸101をガイドする。
【0018】
表示ユニット3は、表面に配置された図示しない表示パネルと、表示ユニット3の姿勢を変化させるチルト用駆動機構4および逆チルト用駆動機構5とを有する。表示ユニット3は、チルト用駆動機構4および逆チルト用駆動機構5とによって正立状態とする正立動作と、逆チルト状態とする逆チルト動作と、チルト状態とするチルト動作とを行う。正立状態とは、表示ユニット3が筐体20のサブパネル21に沿って起立した、言い換えると、表示ユニット3の表面がZ軸方向に沿って起立した状態である。チルト状態とは、表示ユニット3が表面を上向きにして、サブパネル21に対して傾いた状態である。逆チルト状態とは、表示ユニット3が表面を下向きにして、サブパネル21に対して傾いた状態である。
【0019】
表示ユニット3がチルト状態のとき、表示ユニット3は、読取ユニット2に対して開いた状態である。表示ユニット3が正立状態または逆チルト状態のとき、表示ユニット3は、読取ユニット2に対して閉じた状態である。言い換えると、表示ユニット3が正立状態または逆チルト状態のとき、サブパネル21は表示ユニット3で覆われている。
【0020】
表示ユニット3のチルト動作時、表示ユニット3は、読取ユニット2のサブパネル21の第一溝22aに沿ってスライドし開閉する。表示ユニット3がチルト状態のとき、読取ユニット2は開いた状態で、サブパネル21が露出している。表示ユニット3は、下部が筐体20から遠ざかりながら、上部がサブパネル21に沿って下側にスライドすることで、筐体20に対して開いた状態となる。表示ユニット3は、下部が筐体20に近づきながら、上部がサブパネル21に沿って上側にスライドすることで筐体20に対して閉じた状態となる。
【0021】
表示ユニット3の逆チルト動作時、表示ユニット3の上部は、読取ユニット2のサブパネル21の第二溝22bに沿ってスライドする。表示ユニット3が逆チルト状態のとき、読取ユニット2に対して閉じた状態で、サブパネル21に対して傾いている。表示ユニット3は、逆チルト動作によって、下部の筐体20に対する位置を変えずに、上部がサブパネル21から離れる方向に傾く。
【0022】
チルト用駆動機構4は、表示ユニット3をチルト動作させる。チルト用駆動機構4は、筐体20の下側に配置されている。チルト用駆動機構4は、チルト用スライドプレート41と駆動ユニット42と一対のガイドプレート43とを有する。
【0023】
チルト用スライドプレート41は、筐体20に対してX軸方向に進退する。チルト用スライドプレート41は、駆動ユニット42によって駆動されて、筐体20のサブパネル21に対して前進したり、筐体20のサブパネル21に対して後退したりする。チルト用スライドプレート41は、表示ユニット3に配置された第二軸(第二連結部)102(
図9参照)と回動可能に連結する。チルト用スライドプレート41が筐体20のサブパネル21に対して前進すると、第二軸102を前進させる。チルト用スライドプレート41が筐体20のサブパネル21に対して後退すると、第二軸102を後退させる。
【0024】
駆動ユニット42は、チルト用駆動機構4の駆動源である。駆動ユニット42は、モータ421を駆動して、チルト用スライドプレート41を進退させる。駆動ユニット42は、複数段の歯車を含む。
【0025】
一対のガイドプレート43は、チルト用スライドプレート41の一対の側壁部411と対面して筐体20に配置されている。一対のガイドプレート43は、チルト用スライドプレート41の進退動作をガイドする。
【0026】
このように構成されたチルト用駆動機構4は、表示ユニット3の下部をサブパネル21から離れる方向に移動させて、表示ユニット3の上部をサブパネル21に沿って下方に移動させる。
【0027】
図5ないし
図8を参照して、逆チルト用駆動機構5について説明する。
図5は、実施形態に係る逆チルト用駆動機構を示す斜視図である。
図6は、実施形態に係る逆チルト用駆動機構を示す正面図である。
図7は、実施形態に係る逆チルト用駆動機構を示す斜視図である。
図8は、実施形態に係る逆チルト用駆動機構を示す斜視図である。逆チルト用駆動機構5は、表示ユニット3を逆チルト動作させる。逆チルト用駆動機構5は、筐体20の外周に形成された空間部Sに配置されている。逆チルト用駆動機構5は、フレーム51と一対の逆チルト用スライドバー(スライドバー)52と駆動ユニット53と連結軸54と伝達機構55とを有する。
【0028】
フレーム51は、筐体20の外周を囲んで配置されている。フレーム51は、一対の逆チルト用スライドバー52と駆動ユニット53と連結軸54と伝達機構55とが組み付けられている。フレーム51は、壁部511と、壁部511の右側の端部から上方に立設された壁部512と、壁部511の左側の端部から上方に立設された壁部513とを有する。壁部511と壁部512と壁部513とは、一体として形成されている。壁部511は、筐体20の底面20aと平行な平面状に形成されている。壁部512は、筐体20の右側面20bと平行な平面状に形成されている。壁部513は、筐体20の左側面20cと平行な平面状に形成されている。壁部512と壁部513とは、対面して配置されている。
【0029】
一対の逆チルト用スライドバー52は、筐体20に対してX軸方向に進退する。一対の逆チルト用スライドバー52は、駆動ユニット53のモータ531で駆動され、筐体20のサブパネル21に対して前進したり、筐体20のサブパネル21に対して後退したりする。一対の逆チルト用スライドバー52は、第一軸101と回動可能に連結する。一対の逆チルト用スライドバー52が筐体20のサブパネル21に対して前進すると、第一軸101を前進させる。一対の逆チルト用スライドバー52が筐体20のサブパネル21に対して後退すると、第一軸101を後退させる。
【0030】
右側の逆チルト用スライドバー52は、壁部512に進退可能に配置されている。言い換えると、右側の逆チルト用スライドバー52は、筐体20の外周である右側面20bに沿って配置されている。左側の逆チルト用スライドバー52は、壁部513に進退可能に配置されている。言い換えると、左側の逆チルト用スライドバー52は、筐体20の外周である左側面20cに沿って配置されている。
【0031】
逆チルト用スライドバー52は、前側の端部に係合部52aを有する。係合部52aは、Y軸方向視において、下方に向かって開口したコの字形状に形成されている。係合部52aは、開口部に第一軸101が回動可能に係合される。
【0032】
駆動ユニット53は、逆チルト用駆動機構5の駆動源である。駆動ユニット53は、モータ531と、モータ531の駆動力を右側の逆チルト用スライドバー52に伝達する複数段の歯車とを含む。駆動ユニット53は、モータ531を駆動して、右側の逆チルト用スライドバー52を進退させる。駆動ユニット53は、モータ531の駆動力を連結軸54を介して左側の逆チルト用スライドバー52に伝達する。駆動ユニット53は、筐体20の外周である右側面20bに沿って配置されている。
【0033】
連結軸54は、駆動ユニット53と伝達機構55とを連結する。連結軸54は、駆動ユニット53で発生させた駆動力を伝達機構55に伝達する。より詳しくは、連結軸54は、モータ531の駆動に連動して回転する駆動ユニット53の歯車の回転によって回転する。連結軸54の回転によって、伝達機構55の歯車が回転する。連結軸54は、筐体20の外周である底面20aに沿って配置されている。
【0034】
伝達機構55は、連結軸54を介して、駆動ユニット53の駆動力によって左側の逆チルト用スライドバー52を進退させる。伝達機構55は、複数段の歯車を有する。伝達機構55は、右側の逆チルト用スライドバー52と同じ移動量、左側の逆チルト用スライドバー52を進退させる。伝達機構55は、筐体20の外周である左側面20cに沿って配置されている。
【0035】
このように構成された逆チルト用駆動機構5は、表示ユニット3の上部をサブパネル21から離れる方向に移動させて、表示ユニット3の上部をサブパネル21に対して傾ける。
【0036】
本実施形態では、第一連結部は、円柱状に形成された第一軸101である。第一軸101は、表示ユニット3の上部と逆チルト用スライドバー52とを回動可能に連結する。第一軸101は、表示ユニット3の上部に配置されている。第一軸101は、表示ユニット3の一対の側面3a間の上部をY軸方向に貫通している。第一軸101は、逆チルト用スライドバー52の係合部52aに回動可能に係合している。第一軸101は、一対の逆チルト用スライドバー52の進退動作に連動して、筐体20のサブパネル21に対して進退する。第一軸101は、両端部が筐体20のサブパネル21のガイド溝22に摺動可能に挿入されている。第一軸101は、逆チルト動作時に、第二溝22bに沿って摺動する。第一軸101は、チルト動作時に、第一溝22aに沿って摺動する。より詳しくは、第一軸101は、一対の逆チルト用スライドバー52が筐体20から離れるとき、表示ユニット3の上部を筐体20から離れる方向に動かす。第一軸101は、一対の逆チルト用スライドバー52が筐体20へ近づくとき、表示ユニット3の上部を筐体20へ近づく方向に動かす。
【0037】
本実施形態では、第二連結部は、円柱状に形成された第二軸102である。第二軸102は、表示ユニット3の下部と筐体20のサブパネル21とを回動可能に連結する。第二軸102は、表示ユニット3の下部に配置されている。第二軸102は、表示ユニット3の一対の側面3a間の下部をY軸方向に貫通している。第二軸102は、チルト用駆動機構4と表示ユニット3の下部とを回動可能に連結する。より詳しくは、第二軸102は、チルト用スライドプレート41に回動可能に連結されている。第二軸102は、チルト動作時に、チルト用スライドプレート41の進退動作に連動して、筐体20のサブパネル21に対して進退する。第二軸102は、表示ユニット3が正立状態であるとき、第一軸101の下側に位置している。第二軸102は、表示ユニット3がチルト状態であるとき、第一軸101の前下側に位置している。第二軸102は、逆チルト動作時に、筐体20のサブパネル21に対する進退動作が規制されて同じ位置に固定されている。第二軸102は、表示ユニット3が逆チルト状態であるとき、第一軸101の後下側に位置している。
【0038】
次に、このように構成された電子機器1の逆チルト動作と作用とについて説明する。
【0039】
まず、
図9を用いて、表示ユニット3の正立状態について説明する。
図9は、実施形態に係る表示ユニットを示す図であり、表示ユニットの正立状態を示す図である。表示ユニット3は、筐体20のサブパネル21と平行な方向に沿って起立している。チルト用スライドプレート41と一対の逆チルト用スライドバー52とは、筐体20に対して後退している。第一軸101と第二軸102とは、Z軸方向に並んで同一直線上に配置されている。
【0040】
図10、
図11を用いて、表示ユニット3の逆チルト動作について説明する。
図10は、実施形態に係る表示ユニットを示す図であり、表示ユニットの逆チルト状態を示す図である。
図11は、実施形態に係る逆チルト用駆動機構とチルト用駆動機構と筐体とを示す斜視図である。逆チルト動作は、表示ユニット3の正立状態から開始される。逆チルト動作が開始されると、逆チルト用駆動機構5の一対の逆チルト用スライドバー52が駆動ユニット53のモータ531で駆動され、筐体20のサブパネル21に対して前進する。第一軸101は、一対の逆チルト用スライドバー52に連動して、第二溝22bに沿って前上側に移動する。逆チルト動作時において、第二軸102は、筐体20のサブパネル21に対する進退動作が規制されて同じ位置に固定されている。このようにして、表示パネルは、上部が前側に傾き、表面を下向きにした逆チルト状態になる。
【0041】
このような逆チルト動作において、逆チルト用駆動機構5の一対の逆チルト用スライドバー52が筐体20のサブパネル21に対して前進し、第二軸102の進退動作が規制されることで、表示パネルは、表面を下向きにした逆チルト状態になる。また、逆チルト動作において、表示パネルの表面の下部は、正立状態の位置から変化しない。さらに、表示パネルがサブパネル21内に後退することなく、表示ユニット3が逆チルト状態になる。言い換えると、表示パネルの下部をサブパネル21内に後退させることなく、かつ、表示パネルの表面の下端部の位置を変化させずに、逆チルト動作が行われる。
【0042】
上述したように、本実施形態は、逆チルト用駆動機構5の一対の逆チルト用スライドバー52の進退動作に連動して、第一軸101が筐体20のサブパネル21に対して進退する。そして、一対の逆チルト用スライドバー52によって第一軸101をガイド溝22に沿って押し出して、表示パネルをサブパネル21に対して傾ける。このようにして、表示ユニット3を逆チルト動作させる。本実施形態は、逆チルト動作時に、表示パネルの表面の下部の位置を変化させず、表示パネルをサブパネル21内に後退させずに、表示ユニット3を逆チルト状態にすることができる。
【0043】
本実施形態は、逆チルト用駆動機構5を、筐体20の外周であって電子機器1の各部材が配置されていない空間部Sに配置することができる。これにより、本実施形態では、電子機器1におけるデッドスペースである空間部Sを有効に活用することができる。
【0044】
本実施形態は、逆チルト用駆動機構5を空間部Sに配置する。また、本実施形態において、逆チルト用駆動機構5は、チルト用駆動機構4とは独立した機構である。これにより、本実施形態は、逆チルト用駆動機構5を、空間部Sを有し、従来のチルト用駆動機構4を備える電子機器1に容易に適用することができる。
【0045】
さて、これまで本発明に係る電子機器1について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0046】
チルト動作時に、逆チルト用駆動機構5のモータ531を駆動させて、一対の逆チルト用スライドバー52に対して後退する方向の荷重を作用させてもよい。これにより、一対の逆チルト用スライドバー52を介して、第一軸101に対して後退する方向の荷重が作用する。第一軸101は、チルト動作時、第一溝22aに係合している。これにより、チルト動作時、表示パネルの上部が第一溝22aの後方側に押し付けられながら、下方にスライドする。このようにして、チルト動作時における表示パネルのガタツキを抑制することができる。
【0047】
上記の説明では、ガイド部をガイド溝として説明したが、これに限定されない。ガイド部は、ガイド溝と同様の機能を有するアーム構造であってもよい。