特許第6984418号(P6984418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984418
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ブリスクの製作方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/32 20060101AFI20211213BHJP
   B23K 20/12 20060101ALI20211213BHJP
   F04D 29/34 20060101ALI20211213BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   F04D29/32 K
   B23K20/12 B
   B23K20/12 G
   F04D29/34 Z
   F02C7/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-81(P2018-81)
(22)【出願日】2018年1月4日
(65)【公開番号】特開2019-120186(P2019-120186A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】北村 優太
(72)【発明者】
【氏名】津乗 充良
(72)【発明者】
【氏名】大竹 泰弘
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−141063(JP,A)
【文献】 特開平11−247615(JP,A)
【文献】 米国特許第5813593(US,A)
【文献】 特開平10−193141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/32
B23K 20/12
F04D 29/34
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリスクのブレードを往復動させつつ、当該ブレードにブリスクのディスクを押圧させることで、前記ブレードと前記ディスクとを線形摩擦接合するブリスクの製作方法であって、
前記ブレードに予め一体的に形成されたブロック状の被保持部の長さ方向の一端を保持する第1治具、及び、前記被保持部の長さ方向の他端を保持する第2治具によりクランプして前記ブレードを往復動させ、
前記第1治具が、前記被保持部の前記一端の一端面と接触する第1基部と、前記ブレードの一面側で前記被保持部に沿って延設され、かつ、前記ブレードの本体部が延出されている前記被保持部の当接面と当接する第1延出部とを備えており、
前記第2治具が、前記被保持部の前記他端の他端面と接触する第2基部と、前記ブレードの他面側で前記被保持部に沿って延設され、かつ、前記被保持部の前記当接面と当接する第2延出部とを備えており、
前記被保持部と前記第1延出部との最も前記第2治具寄りの当接位置と、前記被保持部と前記第2延出部との最も前記第1治具寄りの当接位置との間の、前記長さ方向の間隔を治具開放幅とし、前記ブレードの接合面の翼形状に沿った長さを接合部長さとした場合に、(治具開放率)=(治具開放幅)/(接合部長さ)が20%以下とされている、ことを特徴とするブリスクの製作方法。
【請求項2】
前記被保持部の前記長さ方向に前記ブレードを往復動させる、ことを特徴とする請求項1に記載のブリスクの製作方法。
【請求項3】
前記第1治具の前記ブレードの前記他面側が開放されており、かつ、前記第2治具の前記ブレードの前記一面側が開放されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のブリスクの製作方法。
【請求項4】
ブリスクのブレードを往復動させつつ、当該ブレードにブリスクのディスクを押圧させることで、前記ブレードと前記ディスクとを線形摩擦接合するブリスクの製作装置であって、
前記ブレードに予め一体的に形成されたブロック状の被保持部の長さ方向の一端を保持する第1治具、及び、前記被保持部の長さ方向の他端を保持する第2治具を有し、前記第1治具及び前記第2治具によって保持された前記ブレードを往復動させる加振装置と、
前記ディスクを保持し、保持した前記ディスクを前記加振装置に保持された前記ブレードの接合面に押圧する押圧装置と、を備えており、
前記第1治具が、前記被保持部の前記一端の一端面と接触する第1基部と、前記ブレードの一面側で前記被保持部に沿って延設され、かつ、前記ブレードの本体部が延出されている前記被保持部の当接面と当接する第1延出部とを備えており、
前記第2治具が、前記被保持部の前記他端の他端面と接触する第2基部と、前記ブレードの他面側で前記被保持部に沿って延設され、かつ、前記被保持部の前記当接面と当接する第2延出部とを備えており、
前記被保持部と前記第1延出部との最も前記第2治具寄りの当接位置と、前記被保持部と前記第2延出部との最も前記第1治具寄りの当接位置との間の、前記長さ方向の間隔を治具開放幅とし、前記ブレードの接合面の翼形状に沿った長さを接合部長さとした場合に、(治具開放率)=(治具開放幅)/(接合部長さ)が20%以下とされている、ことを特徴とするブリスクの製作装置。
【請求項5】
前記加振装置が、前記被保持部の前記長さ方向に前記ブレードを往復動させる、ことを特徴とする請求項4に記載のブリスクの製作装置。
【請求項6】
前記第1治具の前記ブレードの前記他面側が開放されており、かつ、前記第2治具の前記ブレードの前記一面側が開放されている、ことを特徴とする請求項4又は5に記載のブリスクの製作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンディスクに線形摩擦接合によってブレードを接合してブリスクを製作する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、ファンディスクに線形摩擦接合(LFW:Linear Friction Welding)によってブレードを接合してブリスクを製作する方法を開示している。接合時には、ファンディスクはブレードに押圧され、その状態でブレードが押圧方向に直角な方向に振動される。この際に接合面に生じる摩擦熱によって、ディスクとブレードとが溶接される。
【0003】
なお、ファンディスクのブレードの接合位置には、ブレード断面形状を有する凸部であるディスクスタブ(disk stub)が予め形成されている。また、ブレードには、線形摩擦接合時に把持されるほぼ直方体状のカラー(collar)が予め一体形成されており、このカラーは最終的には機械加工によって(接合部のバリと共に)切削されて除去される。さらに、カラーのファンディスク側には、上述したディスクスタブに対応する、ブレード断面形状を有する凸部であるブレードスタブ(blade stub)が予め形成されている。LFWではディスクスタブの端面とブレードスタブの端面とが摩擦接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−35325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1にも開示されているように、線形摩擦接合時にはファンディスクをブレードに押圧させた状態でブレードを振動させるので、その際のフォージ(forge)荷重によってブレード、特に、荷重が作用するカラーやブレードスタブにたわみが生じる。このため、上記特許文献1に記載の技術では、線形摩擦接合時のブレードの変形量を予測し、予測された変形を見込んで接合を行う。しかし、ブレードの材質や形状によって変形量が異なるため、ブレードの仕様毎に変形量を予測する必要があると共に、当該予測に基づいて接合(加工)条件を決定する必要もあり、ブリスクの製作に多くの工数が必要であった。
【0006】
本発明の目的は、製作工数を削減しつつ、線形摩擦接合によるブレードの変形を抑制することのできるブリスクの製作方法及び装置を提供することにある。なお、ここにいう「製作」には、製造だけでなく補修も含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のブリスクの製作方法は、ブリスクのブレードを往復動させつつ、当該ブレードにブリスクのディスクを押圧させることで、前記ブレードと前記ディスクとを線形摩擦接合するブリスクの製作方法であって、前記ブレードに予め一体的に形成されたブロック状の被保持部の長さ方向の一端を保持する第1治具、及び、前記被保持部の長さ方向の他端を保持する第2治具によりクランプして前記ブレードを往復動させ、前記第1治具が、前記被保持部の前記一端の一端面と接触する第1基部と、前記ブレードの一面側で前記被保持部に沿って延設され、かつ、前記ブレードの本体部が延出されている前記被保持部の当接面と当接する第1延出部とを備えており、前記第2治具が、前記被保持部の前記他端の他端面と接触する第2基部と、前記ブレードの他面側で前記被保持部に沿って延設され、かつ、前記被保持部の前記当接面と当接する第2延出部とを備えており、前記被保持部と前記第1延出部との最も前記第2治具寄りの当接位置と、前記被保持部と前記第2延出部との最も前記第1治具寄りの当接位置との間の、前記長さ方向の間隔を治具開放幅とし、前記ブレードの接合面の翼形状に沿った長さを接合部長さとした場合に、(治具開放率)=(治具開放幅)/(接合部長さ)が20%以下とされている、ことを特徴としている。
【0008】
本発明のブリスクの製作装置は、ブリスクのブレードを往復動させつつ、当該ブレードにブリスクのディスクを押圧させることで、前記ブレードと前記ディスクとを線形摩擦接合するブリスクの製作装置であって、前記ブレードに予め一体的に形成されたブロック状の被保持部の長さ方向の一端を保持する第1治具、及び、前記被保持部の長さ方向の他端を保持する第2治具を有し、前記第1治具及び前記第2治具によって保持された前記ブレードを往復動させる加振装置と、前記ディスクを保持し、保持した前記ディスクを前記加振装置に保持された前記ブレードの接合面に押圧する押圧装置と、を備えており、前記第1治具が、前記被保持部の前記一端の一端面と接触する第1基部と、前記ブレードの一面側で前記被保持部に沿って延設され、かつ、前記ブレードの本体部が延出されている前記被保持部の当接面と当接する第1延出部とを備えており、前記第2治具が、前記被保持部の前記他端の他端面と接触する第2基部と、前記ブレードの他面側で前記被保持部に沿って延設され、かつ、前記被保持部の前記当接面と当接する第2延出部とを備えており、前記被保持部と前記第1延出部との最も前記第2治具寄りの当接位置と、前記被保持部と前記第2延出部との最も前記第1治具寄りの当接位置との間の、前記長さ方向の間隔を治具開放幅とし、前記ブレードの接合面の翼形状に沿った長さを接合部長さとした場合に、(治具開放率)=(治具開放幅)/(接合部長さ)が20%以下とされている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、線形摩擦接合によるブレードの変形を抑制して、高精度なブリスクを製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る製作装置の全体構成図である。
図2】上記製作装置で線形摩擦接合されるブレードとファンディスクとを示す概略斜視図である。
図3】接合時のブレードの変形を強調して示す側面図である。
図4】保持治具に保持されたブレードの背面図である。
図5】保持治具に保持されたブレードの側面図である。
図6】保持治具に保持されたブレードの正面図である。
図7】接合後のブレードの変形を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態のブリスクの製作方法を行う製作装置(線形摩擦接合装置)1を示している。製作装置1は、ブレード10を保持しつつ往復動(振動)させる加振装置2と、加振装置2に保持されたブレード10にファンディスク20を押圧する押圧装置3とを備えている。加振装置2及び押圧装置3は基台4上に設けられている。
【0012】
加振装置2は、ブレード10を保持する第1治具11及び第2治具12とからなる一対の保持治具13と、この一対の保持治具13(に保持されたブレード10)を往復動(振動)させる加振機構14とを備えている。保持治具13の振動方向は図1中のY方向(垂直方向)である。押圧装置3は、ファンディスク20を保持するスライド台15と、スライド台15を加振装置2へと押す押圧機構16とを備えている。押圧機構16がスライド台15を加振装置2へと押すと、スライド台15に保持されたファンディスク20が加振装置2の保持治具13に保持されたブレード10に押し付けられる。スライド台15のスライド(押圧)方向は、図1中のX方向(水平方向)である。X方向とY方向とは互いに直角である。
【0013】
押圧装置3は、ロータリアクチュエータ17も備えている。ロータリアクチュエータ17は、保持されたファンディスク20を回転させて、ブレード10を接合する位置(後述するディスクスタブ)を加振装置2の真正面に位置させる。製作装置1は、加振機構14、押圧機構16及びロータリアクチュエータ17を制御する制御部18を備えている。制御部18によって、加振機構14の振動数や、押圧機構16の押圧力が制御される。
【0014】
次に、上述した製作装置1を用いて接合されるブレード10とファンディスク20とについて、図2を参照しつつ説明する。
【0015】
ファンディスク20の外周面上には、完成時のブレードの基端となるディスクスタブ20aが予め形成されている。ファンディスク20は、ブリスクの材料となる金属(例えばチタン)を切削加工することで製作され、切削加工時にディスクスタブ20aも形成される。
【0016】
一方、ブレード10は、基本的には、完成時のブレードからディスクスタブ20aを除いた形状を備えているが、接合時に把持されるための直方体状(ブロック状)のカラー(被保持部)10aが予め一体的に形成されている。従って、カラー10aの一面からは、ブレード10の本体部10bが延出され、当該一面の反対面からはブレード10の基端となるブレードスタブ10cが突出されている。このブレードスタブ10cの端面が、上述したディスクスタブ20aの端面と線形摩擦接合される。ブレード10も、ブリスクの材料となる金属(例えばチタン)を切削加工することで製作され、切削加工時にカラー10aも形成される。カラー10aは、最終的には切削加工により除去され、完成時のブリスクには残されない。
【0017】
カラー10aは、線形摩擦接合にブレード10をしっかりと保持するために形成される。カラー10aが設けられないと、完成時のブレードの表面に保持治具の跡が残ってしまう。また、カラー10aが設けられないと、ブレード10をしっかりと保持して振動させることができない。さらに、カラー10aが設けられないと、押圧されるファンディスク20の押圧荷重(フォージ荷重)をしっかりと受け止めることができない。カラー10aの大きさは、線形摩擦接合時の振動方向に作用する荷重や上述したフォージ荷重を考慮して決定される。
【0018】
線形摩擦接合時のブレード10の保持態様にもよるが、概して、線形摩擦接合時のブレード10は、フォージ荷重Fによって図3に示されるように変形する。なお、図3では変形が強調されて示されている。線形摩擦接合時このような変形が生じると、線形摩擦接合後のブレード10(特に、本体部10b)に倒れるような変形が残る(図7参照)。本実施形態では、このような変形を抑止するように、加振装置2の保持治具13(一対の第1治具11及び第2治具12)が形成されている。言い換えれば、このような変形を抑止するように、保持治具13を用いて接合を行う(ブリスクを製作する)。
【0019】
図4図6に、保持治具13によって保持されたブレード10を示す。本実施形態の保持治具13は、ブレード10の保持強度、及び、ブレード10の保持治具13への取り付け作業性を考慮して、第1治具11及び第2治具12によって構成されている。第1治具11及び第2治具12は、接合するブレード10の形状に応じて、交換可能である。ただし、通常、ブリスクのブレードはすべて同じ形状を有しているため、ある特定のブリスクを製作する際には、第1治具11及び第2治具12は交換する必要はない。
【0020】
第1治具11は、ブレード10の振動方向(図4図6の上下方向)に沿って、カラー10aの一端(図中上端)、即ち、カラー10aの長さ方向の一端を保持する。これに対して、第2治具12は、ブレード10の振動方向に沿って、カラー10aの他端(図中下端)、即ち、カラー10aの長さ方向の他端を保持する。第1治具11は、カラー10aの一端面10au(図中上面)を押さえる第1基部11aと、第1基部11aから第2治具12に向けて(図中下方に向けて)延設された第1延出部11bとを備えている。第1延出部11bは、カラー10aの本体部10bが延出されている面(以下、背面10abと言う)を押さえる。
【0021】
第2治具12も、カラー10aの他端面10al(図中下面)を押さえる第2基部12aと、第2基部12aから第1治具11に向けて(図中上方に向けて)延設された第2延出部12bとを備えている。第2延出部12bも、カラー10aの背面10abを押さえる。なお、第1延出部11bは、ブレード10(本体部10b)の一面側で延出し、第2延出部12bは、ブレード10(本体部10b)の他面側で延出する。即ち、ブレード10の背面10abは、第1延出部11b及び第2延出部12bと当接する当接面である。
【0022】
ブレード10の振動時には、一端面10auは第1基部11aにより押さえられ、他端面10alは第2基部12aによって押さえられる。従って、ブレード10は、カラー10aを介して、保持治具13によって振動方向に沿ってしっかりと保持される。一方、ブレード10は、上述したようにフォージ荷重を受けるが、当該フォージ荷重は、第1延出部11b及び第2延出部12bによって受け止められる。このため、接合時のブレード10(特に、カラー10a)の変形が抑えられ、接合後の倒れ変形が抑止される。
【0023】
特に、本実施形態では、後述する「治具開放率」が20%以下とされている。「治具開放率」は、「治具開放幅D」と「接合部長さL」とによって定義され、(治具開放率)=
(治具開放幅D)/(接合部長さL)で求められる。
【0024】
図4に示されるように、第1治具11によるブレード10の最も第2治具12寄りの保持位置A(即ち、カラー10aと第1延出部11bとの最も第2治具12寄りの当接位置A)と、第2治具12によるブレード10の最も第1治具11寄りの保持位置B(即ち、(カラー10aと第2延出部12bとの最も第1治具11寄りの当接位置B)との間の振動方向に沿った幅が、治具開放幅Dである。一方、図6に示されるように、ブレード10の接合面、即ち、ブレードスタブ10cの端面の翼形状に沿った長さが接合部長さLである。なお、カラー10aのブレードスタブ10cが延出されている面は、正面10afと言うこととする。正面10afが、押圧装置3に保持されたファンディスク20に向けられる。
【0025】
このように、接合部長さLに対して治具開放幅Dが20%以下となるように、保持治具13(第1治具11及び第2治具12)を構成する(用いる)ことで、接合時のブレード10(特に、カラー10a)の変形を効果的に抑え、接合後の倒れ変形を効果的に抑止できる。その結果、高精度なブリスクを製作することができる。なお、治具開放率が20%を超えると、フォージ荷重による接合時のブレード10(特に、カラー10a)の変形を十分に抑えることができなくなり、接合後の倒れ変形が大きくなってしまう。
【0026】
なお、ブレード10の形状によっては、第1延出部11b及び第2延出部12bをオーバーラップさせることができる可能性もある。この場合、図4における保持位置Aが保持位置Bよりも下方に位置することとなる。このような場合は、治具開放幅Dはマイナスの値をとるものとする。
【0027】
さらに、本実施形態の保持治具13(第1治具11及び第2治具12)は、ブレード10の一面側で延出する第1延出部11bと、ブレード10の他面側で延出する第2延出部12bとを備えて構成されている。従って、保持治具13にブレード10を挿入して保持させる作業を行いやすい。保持治具13にブレード10を保持させるには、第1治具11及び第2治具12の間隔をカラー10aの長さよりも若干広くしておき、第1治具11及び第2治具12の間に本体部10bを挿入する。カラー10aを第1延出部11b及び第2延出部12bに接触させた状態で、第1治具11及び第2治具12の間隔を狭めて、第1治具11及び第2治具12によってカラー10aをクランプする。
【0028】
ここで、(図2では簡略化して示されているが、)ブレード10はねじれた形状を有していることが多く、本体部10bを第1治具11及び第2治具12の間に直線的に挿入することができないことが多い。また、ブレード10のねじれも、ブレード10の長さ方向に沿って一定でないことが多く、ブレード10をねじりながら挿入することも容易ではない場合がある。
【0029】
第1治具11では、ブレード10に対して第1延出部11bの反対側は側方に開放されており、同様に、ブレード10に対して第2延出部12bの反対側も側方に開放されている。従って、保持治具13にねじれ形状のブレード10を挿入させやすく、ブレード10の加振装置2への取り付けが容易になる。ファンディスク20には多数のブレード10を接合するので、ブレード10の加振装置2への取り付けが容易であることで非常に効率よくブリスクを製作することができる。
【0030】
また、上述したように、本実施形態では、第1治具11によってカラー10aの長さ方向の一端(第1基部11aによって一端面10au)を保持し、第2治具12によってカラー10aの長さ方向の他端(第2基部12aによって他端面10al)を保持する。そして、ブレード10を、カラー10aの長さ方向に振動(往復動)させる。従って、カラー(被保持部)10aは振動方向に沿って、保持治具13(第1治具11及び第2治具12)によってしっかりとクランプされるため、接合時に確実に保持されつつ振動され得る。
【0031】
単一仕様のブレード10を用いて(即ち、接合部長さLが一定)、治具開放率を変えて(即ち、治具開放幅Dを変えて)図7に示される倒れ変形を測定した。測定は、ブレード先端縁の両端の図中Z方向への偏移量α及びβ(mm)を測定した。なお、Z方向は、上述したX方向及びY方向の双方に直角な方向である。また、ブレード10自体の各部寸法は開示しないが、相対的な評価を行えるものと判断した。なお、図7中、点線で示されるのが接合前の形状であり、実線で示されるのが接合後の形状であり、カラー10aを基準にして、偏移量α及びβを測定した。また、偏移量α及びβに関しては、図7中の矢印の方向がプラスであるとした。
【0032】
比較例としての治具開放率が34%のブレードに関しては、偏移量α=+0.51であり、β=+0.96であった。α及びβの平均を「平均倒れ量」とすると、平均倒れ量は+0.735であった。実施例1としての治具開放率が20%のブレードに関しては、偏移量α=+0.20であり、β=+0.60であり、平均倒れ量は+0.400であった。実施例2としての治具開放率が16%のブレードに関しては、偏移量α=+0.12であり、β=+0.51であり、平均倒れ量は+0.315であった。治具開放率が小さいほど倒れ変形を抑止できると考えられるが、治具開放率が20%以下であれば許容し得る倒れ量の基準値を満足でき、倒れ変形を効果的に抑止できる。
【0033】
また、上述したように、治具開放率が0%未満、即ち、第1治具11及び第2治具12がオーバーラップして治具開放幅Dがマイナスの値をとり、治具開放率がマイナスとなると、保持治具13にブレード10を傾けて挿入させ難くなる。治具開放幅Dがマイナスの値となると、第1延出部11bが第2延出部12bの反対側の領域にまで延在し、第2延出部12bが第1延出部11bの反対側の領域にまで延在することになる。従って、第1延出部11bや第2延出部12bの反対側の開放部分が狭くなり、ブレード10を傾けたときに、ブレード10と第1延出部11bや第2延出部12bの先端とが接触し易くなり、保持治具13にブレード10を傾けて挿入させ難くなる。このため、治具開放率は0%以上である方が好ましい。
【0034】
なお、図5には、カラー10aの内部に完成後のブレードの形状を示す点線も示されている。ファンディスク20への接合後にカラー10aが切削されて除去されると、完成後のブレードは、この点線で示される形状となる。
【0035】
また、上記実施形態では、カラー10aは直方体状に形成された。直方体状に形成すれば、振動方向の荷重やフォージ荷重を受けるのに都合がよい。しかし、カラー10aの形状は、ブロック状であればよく、直方体状に限定されず、ブレード10の湾曲に合わせて湾曲する形状に形成されても構わない。
【0036】
なお、本発明の製作方法及び装置は、ブリスクの新規製造だけでなく、ブリスクの補修にも用いることができる。ブリスクのいくつかのブレードが破損した(変形や亀裂など)場合、ディスクスタブ20aを残して当該ブレードを除去する。ディスクスタブ20aの部分は、ブレードの基端であり、かつ、ファンディスク20との接合部であり、破損しにくく再利用できることも多い。残されたディスクスタブ20aに、カラー10aを有する新品のブレード10を接合することで、ブリスクを補修できる。
【符号の説明】
【0037】
1 製作装置(線形摩擦接合装置)
2 加振装置
3 押圧装置
10 ブレード
10a カラー(被保持部)
10b 本体部
11 第1治具
11a 第1基部
11b 第1延出部
12 第2治具
12a 第2基部
12b 第2延出部
14 加振機構
16 押圧機構
D 治具開放幅
L 接合部長さ
A (被保持部と第1延出部との最も第2治具寄りの)当接位置
B (被保持部と第2延出部との最も第1治具寄りの)当接位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7