(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記交流電源模擬モードにおいて、予め記憶部に記憶された交流電力の波形を示すテーブルに基づいて前記インバータ回路部から所定の大きさの交流電圧を出力させることにより、前記交流電源を模擬するように構成されている、請求項1に記載のパワーコンディショナ。
前記制御部は、前記交流電源模擬モードにおいて、系統連系に必要な系統保護継電器の試験のために、前記インバータ回路部から出力される交流電圧の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を変化させる制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載のパワーコンディショナ。
前記制御部は、電圧指令に対してゲインを乗算することにより前記インバータ回路部から出力される交流電圧の振幅を変化させること、および、キャリア周波数に対してゲインを乗算することにより前記インバータ回路部から出力される交流電圧の周波数を変化させることのうちの少なくとも一方を行うように構成されている、請求項3に記載のパワーコンディショナ。
前記制御部は、前記交流電源模擬モードにおいて、瞬時電圧低下時の運転継続機能の試験のために、前記インバータ回路部から出力される交流電圧の振幅を変化させる制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパワーコンディショナ。
前記制御部は、電圧指令に対して、瞬時電圧低下の割合を表す残電圧レベルを乗算することにより、出力される交流電圧の振幅を変化させる制御を行うように構成されている、請求項5に記載のパワーコンディショナ。
前記制御部は、前記交流電力系統に対して系統連系を行う前記系統連系モードと、前記交流電源を模擬する前記交流電源模擬モードと、交流電力を直流電力に変換する整流器動作モードとを切り替え可能に構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパワーコンディショナ。
前記制御部は、前記整流器動作モードにおいて、有効電流指令を、前記系統連系モードの際における極性と逆の極性にすることにより、交流電力を直流電力に変換するように構成されている、請求項7に記載のパワーコンディショナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたパワーコンディショナ検査装置では、パワーコンディショナの仕様が変更されて定格が大きくなった場合には、パワーコンディショナの定格の大きさに対応するように、太陽光発電模擬装置および系統模擬電源装置を変更(拡張)する必要がある。つまり、被試験装置としてのパワーコンディショナの仕様の変更に伴って検査(規格適合試験)を行うための設備を大幅に変更する必要があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被試験装置の仕様が変更された場合でも、規格適合試験を行うための設備が大幅に変更されるのを抑制することが可能なパワーコンディショナおよびパワーコンディショナシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるパワーコンディショナは、交流電力系統に対して系統連系するパワーコンディショナであって、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路部と、インバータ回路部を制御する制御部とを備え、制御部は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧をインバータ回路部から被試験装置に対して出力する交流電源を模擬する交流電源模擬モードとを切り替え可能に構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面によるパワーコンディショナでは、上記のように、制御部は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧をインバータ回路部から被試験装置としてのパワーコンディショナに対して出力する交流電源を模擬する交流電源模擬モードとを切り替え可能に構成されている。これにより、互いに同一(同じ定格)の2台のパワーコンディショナを用意して、2台のパワーコンディショナのうちの交流電源模擬モードに切り替えられた一のパワーコンディショナから、2台のパワーコンディショナのうちの系統連系モードに切り替えられた被試験装置としての他のパワーコンディショナに対して、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧を出力することができる。つまり、被試験装置としてのパワーコンディショナの仕様(定格)が変更された場合でも、被試験装置としてのパワーコンディショナを用いて規格適合試験を行うことができるので、2台のパワーコンディショナ以外の、規格適合試験を行うための設備を大幅に変更することなく、規格適合試験を行うことができる。その結果、被試験装置としてのパワーコンディショナの仕様が変更された場合でも、規格適合試験を行うための設備が大幅に変更されるのを抑制することができる。
【0009】
また、被試験装置(パワーコンディショナ)の定格が大きい場合、パワーコンディショナの定格レベルを低減させたミニモデルによって代替的に規格適合試験が行われる場合がある。この場合、ミニモデルと実際に用いられるパワーコンディショナとは別個のものであるので、規格適合試験の信頼性が低下する。これに対して、本発明のパワーコンディショナは、実際に用いられるパワーコンディショナを被試験装置として規格適合試験することができるので、規格適合試験の信頼性が低下するのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面によるパワーコンディショナにおいて、好ましくは、制御部は、交流電源模擬モードにおいて、予め記憶部に記憶された交流電力の波形を示すテーブルに基づいてインバータ回路部から所定の大きさの交流電圧を出力させることにより、交流電源を模擬するように構成されている。このように構成すれば、パワーコンディショナに交流電力が入力されない場合でも、交流電力の波形を示すテーブルに基づいて、容易に、所定の大きさの交流電圧を生成して出力することができる。
【0011】
上記第1の局面によるパワーコンディショナにおいて、好ましくは、制御部は、交流電源模擬モードにおいて、系統連系に必要な系統保護継電器の試験のために、インバータ回路部から出力される交流電圧の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を変化させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、系統保護継電器の試験のための専用の設備を用いることなく、パワーコンディショナから、系統連系に必要な系統保護継電器の試験のための交流電圧を出力することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、電圧指令に対してゲインを乗算することによりインバータ回路部から出力される交流電圧の振幅を変化させること、および、キャリア周波数に対してゲインを乗算することによりインバータ回路部から出力される交流電圧の周波数を変化させることのうちの少なくとも一方を行うように構成されている。このように構成すれば、ゲインを乗算するだけで、容易に、交流電圧の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を変化させることができる。
【0013】
上記第1の局面によるパワーコンディショナにおいて、好ましくは、制御部は、交流電源模擬モードにおいて、瞬時電圧低下時の運転継続機能の試験のために、インバータ回路部から出力される交流電圧の振幅を変化させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、瞬時電圧低下時の運転継続機能の試験のための専用の設備を用いることなく、パワーコンディショナから、系統連系に必要な系統保護継電器の試験のための交流電圧を出力することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、電圧指令に対して、瞬時電圧低下の割合を表す残電圧レベルを乗算することにより、出力される交流電圧の振幅を変化させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、残電圧レベルを乗算するだけで、容易に、交流電圧の振幅を変化させることができる。
【0015】
上記第1の局面によるパワーコンディショナにおいて、好ましくは、制御部は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、交流電源を模擬する交流電源模擬モードと、交流電力を直流電力に変換する整流器動作モードとを切り替え可能に構成されている。このように構成すれば、被試験装置としてのパワーコンディショナから出力された交流電圧を、整流器動作モードに切り替えられたパワーコンディショナにより直流電圧に変換して、被試験装置としてのパワーコンディショナに入力することができる。つまり、被試験装置としてのパワーコンディショナと整流器動作モードに切り替えられたパワーコンディショナとの間において、電力の回生を行うことができるので、規格適合試験における消費電力を低減することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御部は、整流器動作モードにおいて、有効電流指令を、系統連系モードの際における極性と逆の極性にすることにより、交流電力を直流電力に変換するように構成されている。このように構成すれば、有効電流指令の極性を反転するだけで、容易に、系統連系モードと整流器動作モードとを切り替えることができる。
【0017】
この発明の第2の局面によるパワーコンディショナシステムは、第1パワーコンディショナおよび第2パワーコンディショナを備え、第1パワーコンディショナおよび第2パワーコンディショナは、各々、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路部と、インバータ回路部を制御する制御部とを含み、制御部は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧をインバータ回路部から被試験装置としてのパワーコンディショナに対して出力する交流電源を模擬する交流電源模擬モードとを切り替え可能に構成されており、交流電源模擬モードに切り替えられた第1パワーコンディショナから、系統連系モードに切り替えられた被試験装置としての第2パワーコンディショナに、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧が出力されるように構成されている。
【0018】
この発明の第2の局面によるパワーコンディショナシステムでは、上記のように、制御部は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧をインバータ回路部から被試験装置としてのパワーコンディショナに対して出力する交流電源を模擬する交流電源模擬モードとを切り替え可能に構成されている。これにより、互いに同一(同じ容量)の2台のパワーコンディショナを用意して、2台のパワーコンディショナのうちの交流電源模擬モードに切り替えられた一のパワーコンディショナから、2台のパワーコンディショナのうちの系統連系モードに切り替えられた被試験装置としての他のパワーコンディショナに対して、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧を出力することができる。つまり、被試験装置としてのパワーコンディショナの仕様(容量)が変更された場合でも、2台のパワーコンディショナ以外の、規格適合試験を行うための設備を大幅に変更することなく、規格適合試験を行うことができる。その結果、被試験装置としてのパワーコンディショナの仕様が変更された場合でも、規格適合試験を行うための設備が大幅に変更されるのを抑制することが可能なパワーコンディショナシステムを提供することができる。
【0019】
上記第2の局面によるパワーコンディショナシステムにおいて、好ましくは、第3パワーコンディショナをさらに備え、第1パワーコンディショナ、第2パワーコンディショナおよび第3パワーコンディショナは、各々、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、交流電源を模擬する交流電源模擬モードと、交流電力を直流電力に変換する整流器動作モードとを切り替え可能に構成されており、系統連系モードに切り替えられた被試験装置としての第2パワーコンディショナから出力された交流電圧が、整流器動作モードに切り替えられた第3パワーコンディショナに入力されるとともに、第3パワーコンディショナに変換された直流電圧が第2パワーコンディショナに入力されるように構成されている。このように構成すれば、被試験装置としての第2パワーコンディショナと整流器動作モードに切り替えられた第3パワーコンディショナとの間において、電力の回生を行うことができるので、規格適合試験における消費電力を低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、被試験装置の仕様が変更された場合でも、規格適合試験を行うための設備が大幅に変更されるのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[本実施形態]
まず、
図1を参照して、本実施形態によるパワーコンディショナシステム100(パワーコンディショナ10を用いた、パワーコンディショナ10の規格適合試験するための構成)について説明する。なお、交流電力系統に対して系統連系する分散型電源システム(パワーコンディショナ10)は、社団法人日本電気協会の系統連系専門部会から発行されている系統連系規定(JEAC9701−2016)への適合が義務付けられている。たとえば、系統連系に必要な系統保護継電器としての機能や、瞬時電圧低下時の運転継続機能(FRT:Fault Ride Through)に対する試験を行う必要がある。パワーコンディショナシステム100は、このような規格適合試験を行うためのシステムである。
【0024】
パワーコンディショナシステム100は、交流電源110を模擬するパワーコンディショナ10aと、被試験装置としてのパワーコンディショナ10bと、整流器として動作するパワーコンディショナ10cとを備えている。パワーコンディショナ10aには、交流電力系統に電力を供給する交流電源110から、トランス111および整流器112を介して、直流電圧が入力される。パワーコンディショナ10aは、入力された直流電圧を任意の交流電圧に変換して出力する。パワーコンディショナ10cには、トランス113を介して、パワーコンディショナ10aからの交流電圧が入力される。パワーコンディショナ10cは、入力された交流電圧を任意の直流電圧に変換して、パワーコンディショナ10bに出力する。パワーコンディショナ10bは、入力された直流電圧を交流電圧に変換して、トランス114に出力する。なお、パワーコンディショナ10a、パワーコンディショナ10bおよびパワーコンディショナ10cは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1パワーコンディショナ」、「第2パワーコンディショナ」および「第3パワーコンディショナ」の一例である。
【0025】
パワーコンディショナ10bから出力された交流電圧は、トランス114およびトランス113を介して、パワーコンディショナ10cに入力される。つまり、パワーコンディショナ10cは、パワーコンディショナ10bから出力された交流電圧(交流電力)を回生するように構成(Back To Back回路)されている。また、パワーコンディショナ10aからは、パワーコンディショナ10b、トランス114、トランス113、および、パワーコンディショナ10cを含む閉じた回路において消費された電力分の交流電圧(交流電力)が供給される。
【0026】
そして、被試験装置としてのパワーコンディショナ10bに、様々な直流電圧が入力されるとともに、交流電源110を模擬するパワーコンディショナ10aにより、様々な交流電圧の電力系統が模擬されることによって、パワーコンディショナ10bの規格適合試験が行われる。
【0027】
なお、パワーコンディショナ10a、パワーコンディショナ10bおよびパワーコンディショナ10cは、同一の装置である。ここで、本実施形態では、パワーコンディショナ10a、パワーコンディショナ10bおよびパワーコンディショナ10cの各々の制御部20(
図2、
図3参照)は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧をインバータ回路部14から被試験装置としてのパワーコンディショナ10に対して出力する交流電源110を模擬する交流電源模擬モードと、交流電力を直流電力に変換する整流器動作モードとを切り替え可能に構成されている。つまり、パワーコンディショナシステム100において、交流電源模擬モードに切り替えられたパワーコンディショナ10aから、系統連系モードに切り替えられた被試験装置としてのパワーコンディショナ10bに、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧が出力されている。また、系統連系モードに切り替えられた被試験装置としてのパワーコンディショナ10bから出力された交流電圧が、整流器動作モードに切り替えられたパワーコンディショナ10cに入力されている。また、整流器動作モードに切り替えられたパワーコンディショナ10cに変換された直流電圧が、パワーコンディショナ10bに入力されている。
【0028】
次に、パワーコンディショナシステム100を用いたパワーコンディショナ10bの規格適合試験の手順について説明する。まず、交流電源模擬モードに切り替えられたパワーコンディショナ10aが起動される。これにより、パワーコンディショナ10aから任意の交流電圧が出力される。次に、整流器動作モードに切り替えられたパワーコンディショナ10cが起動される。これにより、パワーコンディショナ10cから任意の直流電圧が出力される。その結果、系統連系モードに切り替えられた被試験装置としてのパワーコンディショナ10bに対する交流電圧と直流電圧とが確立される。つまり、パワーコンディショナ10bが交流電力系統に連系されるとともに太陽電池などの直流電源から直流電圧が入力される状態が模擬される。これにより、被試験装置としてのパワーコンディショナ10bに対する規格適合試験を行うことが可能になる。
【0029】
なお、パワーコンディショナ10aおよびパワーコンディショナ10cとして、既に規格適合試験済みの(つまり、正常なパワーコンディショナ10)が使用されてもよい。また、規格適合試験がまだ行われていない、パワーコンディショナ10a〜パワーコンディショナ10cをローテーションしながら、パワーコンディショナ10a〜パワーコンディショナ10cの各々に対して規格適合試験を行ってもよい。
【0030】
(パワーコンディショナの構成)
次に、パワーコンディショナ10の構成について、具体的に説明する。
【0031】
パワーコンディショナ10は、交流電力系統に対して系統連系するように構成されている。また、パワーコンディショナ10は、太陽電池用、蓄電池用、および、燃料電池用などのパワーコンディショナ10として用いられる。
【0032】
図2に示すように、パワーコンディショナ10は、交流電力系統に給電する交流電源110(AC)側と、太陽電池などの直流電源(DC)側とに接続されるように構成されている。また、パワーコンディショナ10には、交流電源110側(AC側)に設けられるスイッチ11と、スイッチ11に直列に接続されるリアクトル12とが設けられている。また、スイッチ11とリアクトル12との間には、コンデンサ13が設けられている。
【0033】
また、パワーコンディショナ10は、インバータ回路部14を備えている。インバータ回路部14は、直流電力を交流電力に変換するように構成されている。インバータ回路部14は、制御部20によって制御される。具体的には、インバータ回路部14は、直流電源(DC)側から出力された直流電圧を、PWM(pulse width modulation)変調することにより、3相の交流電圧を生成する。インバータ回路部14によって生成された3相の交流電圧は、リアクトル12とコンデンサ13とにより形成されるLCフィルタによって高調波成分が除去された後、交流電源110が給電する交流電力系統に系統連系される。
【0034】
また、パワーコンディショナ10は、制御部20を備えている。制御部20は、インバータ回路部14を制御するように構成されている。
【0035】
ここで、本実施形態では、制御部20は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、交流電源110を模擬する交流電源模擬モードと、交流電力を直流電力に変換する整流器動作モードとを切り替え可能に構成されている。なお、これらのモードの切り替えは、制御部20によりソフトウェア上において行われる。つまり、制御部20は、ソフトウェア上において、系統連系モードを実行するソフトウェアのブロックと、交流電源模擬モードを実行するソフトウェアのブロックと、整流器動作モードを実行するソフトウェアのブロックとのうちのいずれかを選択して実行する。以下、制御部20のそれぞれのモードの構成について説明する。
【0036】
(系統連系モード)
図2に示すように、制御部20は、3相電圧指令信号生成手段21を備えている。3相電圧指令信号生成手段21は、電圧検出器15によって検出されたU相電圧VuおよびW相電圧Vwから、3相の電圧指令値Vuref、VvrefおよびVwrefを生成するように構成されている。
【0037】
また、制御部20は、基準信号生成手段22を備えている。基準信号生成手段22は、電圧検出器15によって検出された交流電力系統のU相電圧Vuから、基準正弦波信号sinωtおよび基準余弦波信号cosωtを生成するように構成されている。基準信号生成手段22により生成された基準正弦波信号sinωtおよび基準余弦波信号cosωtは、座標変換手段23に入力される。なお、基準正弦波信号sinωtおよび基準余弦波信号cosωtの角周波数ωは、電圧検出器15により検出された交流電力系統の電圧の角周波数に一致するように求められる。
【0038】
また、制御部20は、座標変換手段23を備えている。座標変換手段23は、基準信号生成手段22から入力される基準正弦波信号sinωtおよび基準余弦波信号cosωtに基づいて、有効電流指令IdrefとIqrefとを、U相の出力電流指令Iurefと、W相の出力電流指令Iwrefとに変換するように構成されている。系統連系モードでは、有効電流指令Idrefは、MPPT(Maximum power point tracking)制御や、外部からの電力指令になどに対応するように構成されている。
【0039】
また、制御部20は、出力電流制御手段24を備えている。出力電流制御手段24は、座標変換手段23から出力されたU相の出力電流指令IurefおよびW相の出力電流指令Iwrefが、それぞれ、電流検出器16により検出されたインバータ回路部14からの出力電流IuおよびIwに一致するように交流ACR(Automatic Current Regulator)制御を行うように構成されている。出力電流制御手段24は、交流ACR制御の結果として、3相電圧指令信号生成手段21から出力される各相の電圧指令値Vuref、VvrefおよびVwrefを各々補正するための補正量ΔVuref、ΔVvrefおよびΔVwrefを出力するように構成されている。
【0040】
また、制御部20は、ゲート信号生成回路25を備えている。ゲート信号生成回路25は、3相電圧指令信号生成手段21から出力される各相の電圧指令値Vuref、VvrefおよびVwrefに対して、それぞれ、補正量ΔVuref、ΔVvrefおよびΔVwrefを加算することにより、各相の変調信号を生成する。そして、ゲート信号生成回路25は、生成された各相の変調信号とキャリア信号とに基づいて、PWM(パルス幅変調)演算を行う。PWM演算の結果は、インバータ回路部14に、ゲート信号として出力される。これにより、インバータ回路部14によって生成された3相の交流電圧は、交流電力系統の電圧の位相に一致した状態で、交流電力系統に系統連系される。
【0041】
なお、制御部20に含まれる制御ブロック(3相電圧指令信号生成手段21、基準信号生成手段22、座標変換手段23、出力電流制御手段24およびゲート信号生成回路25)は、ソフトウェアにより構成されている。
【0042】
(整流器動作モード)
図2に示すように、整流器動作モードにおける制御部20の構成は、系統連系モードにおける制御部20の構成と同様である。本実施形態では、制御部20は、整流器動作モードにおいて、有効電流指令Idrefを、系統連系モードの際における極性と逆の極性にすることにより、交流電力を直流電力に変換する(整流器動作を行う)ように構成されている。具体的には、有効電流指令Idrefは、任意の直流電圧指令に対応するように構成されている。
【0043】
(交流電源模擬モード)
図3に示すように、制御部20は、交流電源模擬モードとして動作可能に構成されている。交流電源模擬モードとは、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧をインバータ回路部14から被試験装置としてのパワーコンディショナ10に対して出力する交流電源110を模擬するモードである。以下、具体的に説明する。
【0044】
図3に示すように、3相電圧指令信号生成手段21、座標変換手段23、出力電流制御手段24およびゲート信号生成回路25の構成は、上記の系統連系モードおよび整流器動作モードと同様である。
【0045】
ここで、本実施形態では、制御部20は、交流電源模擬モードにおいて、予め記憶部26に記憶された交流電力の波形を示す内部テーブル26a(
図4参照)に基づいてインバータ回路部14から所定の大きさの交流電圧を出力させることにより、交流電源110を模擬するように構成されている。具体的には、記憶部26には、交流電力の波形を示す内部テーブル26aが予め記憶されている。
図4に示すように、内部テーブル26aでは、交流電源110の交流電力を模擬するように、各位相(θ)に対して、交流電圧の大きさが対応付けられている。なお、内部テーブル26aは、特許請求の範囲の「テーブル」の一例である。
【0046】
また、
図3に示すように、制御部20は、PLL演算手段27を備えている。PLL演算手段27は、内部テーブル26aから入力される交流電圧の信号に基づいて、角周波数ω
0を出力するように構成されている。なお、角周波数ω
0は、内部テーブル26aに記憶されている交流電力の波形の角周波数と一致する。また、PLL演算手段27により演算された角周波数ω
0は、3相電圧指令信号生成手段21および座標変換手段23に入力される。このように、交流電源模擬モードでは、交流電源110がない状態で起動(動作)するため、制御部20は、内部テーブル26aに記憶された交流電力の波形とPLL演算手段27とによって、角周波数ω
0を生成するように構成されている。
【0047】
また、本実施形態では、制御部20は、交流電源模擬モードにおいて、系統連系に必要な系統保護継電器の試験のために、インバータ回路部14から出力される交流電圧の振幅および周波数のうちの少なくとも一方(本実施形態では、両方)を変化させる制御を行うように構成されている。以下、交流電圧の振幅および周波数を変化させる制御について具体的に説明する。
【0048】
制御部20は、擾乱発生用演算手段28を備えている。そして、本実施形態では、擾乱発生用演算手段28は、被試験装置としてのパワーコンディショナ10bの過電圧(OV)および不足電圧(UV)の試験において、3相電圧指令信号生成手段21から出力された電圧指令値Vu1、Vv1およびVw1の各々に対して、任意の変化量に対応するゲインを乗算する。たとえば、電圧指令値Vu1、Vv1およびVw1の各々に対して、1よりも大きいゲインを乗算することにより、電圧指令値Vu1、Vv1およびVw1の振幅が内部テーブル26aに記憶されている交流電圧の振幅よりも大きくなる。これにより、過電圧に対応する電圧指令値Vuref、VvrefおよびVwrefが生成される。また、電圧指令値Vu1、Vv1およびVw1の各々に対して、1よりも小さいゲインを乗算することにより、電圧指令値Vu1、Vv1およびVw1の振幅が内部テーブル26aに記憶されている交流電圧の振幅よりも小さくなる。これにより、不足電圧に対応する電圧指令値Vuref、VvrefおよびVwrefが生成される。
【0049】
また、本実施形態では、被試験装置としてのパワーコンディショナ10aの周波数上昇(OF)および周波数低下(UF)の試験において、PLL演算手段27は、PWM制御を行うためのキャリア周波数(角周波数)に、任意の周波数に対応するゲインを乗算する。たとえば、1よりも大きいゲインを乗算することによりキャリア周波数が内部テーブル26aに記憶されている交流電圧の周波数よりも大きくなる。これにより、周波数上昇に対応する電圧指令値Vuref、VvrefおよびVwrefが生成される。また、1よりも小さいゲインを乗算することによりキャリア周波数が内部テーブル26aに記憶されている交流電圧の周波数よりも小さくなる。これにより、周波数低下に対応する電圧指令値Vuref、VvrefおよびVwrefが生成される。
【0050】
また、本実施形態では、制御部20は、交流電源模擬モードにおいて、瞬時電圧低下時の運転継続機能の試験のために、インバータ回路部14から出力される交流電圧の振幅を変化させる制御を行うように構成されている。具体的には、制御部20(擾乱発生用演算手段28)は、電圧指令に対して、瞬時電圧低下の割合を表す残電圧レベルを乗算することにより、出力される交流電圧の振幅を変化させる制御を行うように構成されている。ここで、残電圧レベルとは、正常な状態の電圧(100%)に対する電圧の低下の割合(20%など)を意味する。たとえば、残電圧レベルが20%の場合には、パワーコンディショナ10の運転が継続される。また、残電圧レベルが0%の場合には、パワーコンディショナ10の運転が停止される。
【0051】
詳細には、瞬時電圧低下時の運転継続機能の試験において、擾乱発生用演算手段28は、3相電圧指令信号生成手段21からの電圧指令値Vu1、Vv1およびVw1の各々に対して、残電圧レベルを乗算する。これにより、電圧指令値Vu1、Vv1およびVw1の振幅(振幅値)を変化させることにより、電圧指令値Vuref、VvrefおよびVwrefを生成する。たとえば、3相の電圧が瞬時に低下した場合には、下記の式により、電圧指令値Vu1、Vv1およびVw1の振幅(振幅値)が変化される。なお、3相の電圧が低下している時間は、図示しないタイマなどを用いて調整される。
【数1】
【0052】
また、2相(たとえば、U相およびV相)の電圧が瞬時に低下した場合には、下記の式により、電圧指令値Vu1およびVv2の振幅(振幅値)が変化される。
【数2】
【0053】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0054】
本実施形態では、上記のように、制御部20は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧をインバータ回路部14から被試験装置としてのパワーコンディショナ10(10b)に対して出力する交流電源110を模擬する交流電源模擬モードとを切り替え可能に構成されている。これにより、互いに同一(同じ定格)の2台のパワーコンディショナ10を用意して、2台のパワーコンディショナ10のうちの交流電源模擬モードに切り替えられた一のパワーコンディショナ10(10a)から、2台のパワーコンディショナ10のうちの系統連系モードに切り替えられた被試験装置としての他のパワーコンディショナ10(10b)に対して、規格適合試験を行うための所定の大きさの交流電圧を出力することができる。つまり、被試験装置としてのパワーコンディショナ10の仕様(定格)が変更された場合でも、2台のパワーコンディショナ10以外の、規格適合試験を行うための設備を大幅に変更することなく、規格適合試験を行うことができる。その結果、被試験装置としてのパワーコンディショナ10の仕様が変更された場合でも、規格適合試験を行うための設備が大幅に変更されるのを抑制することができる。
【0055】
また、パワーコンディショナ10の定格レベルを低減させたミニモデルによって代替的に規格適合試験を行う場合と異なり、規格適合試験の信頼性が低下するのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、制御部20は、交流電源模擬モードにおいて、予め記憶部26に記憶された交流電力の波形を示す内部テーブル26aに基づいてインバータ回路部14から所定の大きさの交流電圧を出力させることにより、交流電源110を模擬するように構成されている。これにより、パワーコンディショナ10に交流電力が入力されない場合でも、交流電力の波形を示す内部テーブル26aに基づいて、容易に、所定の大きさの交流電圧を生成して出力することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、制御部20は、交流電源模擬モードにおいて、系統連系に必要な系統保護継電器の試験のために、インバータ回路部14から出力される交流電圧の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を変化させる制御を行うように構成されている。これにより、系統保護継電器の試験のための専用の設備を用いることなく、パワーコンディショナ10から、系統連系に必要な系統保護継電器の試験のための交流電圧を出力することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、制御部20は、電圧指令に対してゲインを乗算することによりインバータ回路部14から出力される交流電圧の振幅を変化させること、および、キャリア周波数に対してゲインを乗算することによりインバータ回路部14から出力される交流電圧の周波数を変化させることのうちの少なくとも一方を行うように構成されている。これにより、ゲインを乗算するだけで、容易に、交流電圧の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を変化させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、制御部20は、交流電源模擬モードにおいて、瞬時電圧低下時の運転継続機能の試験のために、インバータ回路部14から出力される交流電圧の振幅を変化させる制御を行うように構成されている。これにより、瞬時電圧低下時の運転継続機能の試験のための専用の設備を用いることなく、パワーコンディショナ10から、系統連系に必要な系統保護継電器の試験のための交流電圧を出力することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、制御部20は、電圧指令に対して、瞬時電圧低下の割合を表す残電圧レベルを乗算することにより、出力される交流電圧の振幅を変化させる制御を行うように構成されている。これにより、残電圧レベルを乗算するだけで、容易に、交流電圧の振幅を変化させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、制御部20は、交流電力系統に対して系統連系を行う系統連系モードと、交流電源110を模擬する交流電源模擬モードと、交流電力を直流電力に変換する整流器動作モードとを切り替え可能に構成されている。これにより、被試験装置としてのパワーコンディショナ10から出力された交流電圧を、整流器動作モードに切り替えられたパワーコンディショナ10により直流電圧に変換して、被試験装置としてのパワーコンディショナ10に入力することができる。つまり、被試験装置としてのパワーコンディショナ10と整流器動作モードに切り替えられたパワーコンディショナ10との間において、電力の回生を行うことができるので、規格適合試験における消費電力を低減することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、制御部20は、整流器動作モードにおいて、有効電流指令を、系統連系モードの際における極性と逆の極性にすることにより、交流電力を直流電力に変換するように構成されている。これにより、有効電流指令の極性を反転するだけで、容易に、系統連系モードと整流器動作モードとを切り替えることができる。
【0063】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0064】
たとえば、上記実施形態では、
図1に示されるように、被試験装置としてのパワーコンディショナ10bの規格適合試験を行うパワーコンディショナシステム100に、電力を回生するためのパワーコンディショナ10cが設けられる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図5に示すパワーコンディショナシステム200のように、電力の回生を行わない場合には、パワーコンディショナ10cを設けなくてもよい。この場合、パワーコンディショナ210は、系統連系モードと、交流電源模擬モードとの2つのモードに切り替え可能に構成されていてもよい。つまり、パワーコンディショナ210に、整流器動作モードを設けなくてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、交流電源模擬モードにおいて、予め記憶部26に記憶された交流電力の波形を示す内部テーブル26aに基づいて交流電源110を模擬する例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、交流電力の波形を数式に基づいた演算により求めて、演算により求められた交流電力の波形に基づいて交流電源110を模擬してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、交流電源模擬モードにおいて、インバータ回路部から出力される交流電圧の振幅を変化させる制御と、周波数を変化させる制御との両方が行われる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、インバータ回路部から出力される交流電圧の振幅を変化させる制御と、周波数を変化させる制御とのうちの一方のみを行ってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、系統連系規定への適合のための規格適合試験を行う例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、系統連系規定への適合のための規格適合試験以外の試験に、本発明のパワーコンディショナシステムを用いてもよい。