(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表示光を出力する表示装置と、前記表示装置から出力された表示光を反射させる平面鏡と、前記平面鏡で反射した表示光を反射させる凹面鏡とを収容する内部空間を有し、前記内部空間に形成される前記平面鏡から前記凹面鏡までの前記表示光の光路に面する第1面とそれ以外の第2面とを有するケースと、
前記ケースの前記内部空間外に固定された基板と、を備え、
前記基板は、一方の辺に設けられた第1の切欠と、前記一方の辺と対向する他方の辺に設けられた第2の切欠と、前記一方の辺に設けられた第3、第4の切欠と、前記他方の辺に設けられた穴とを有し、
前記ケースは、前記基板のほぼ面方向に沿って前記基板がスライドされることで前記第1の切欠に引っ掛かり前記基板を前記基板の厚さ方向に固定する第1のフックと、前記第1のフックが前記第1の切欠に引っ掛かった後、前記一方の辺を軸に前記基板が倒されることで前記第2の切欠に引っ掛かり前記基板を前記基板の厚さ方向に固定する第2のフックと、前記第3の切欠に挿入され前記基板を前記基板の面方向に固定する第1のピンと、前記第4の切欠に挿入され前記基板を前記基板の面方向に固定する第2のピンと、前記穴に挿入され前記基板を前記基板の面方向に固定する第3のピンとを有し、
前記第1のフック及び前記第2のフックは、前記第2面に設けられたことを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るヘッドアップディスプレイの実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明に係るヘッドアップディスプレイは、例えば自動車などの車両に搭載される。本実施形態においては、本発明に係るヘッドアップディスプレイが自動車に搭載される例を用いて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係るヘッドアップディスプレイの第1実施形態であり、全体構成を説明する斜視図である。
【0014】
図2は、上ケース21及び透光カバー30を外した状態のヘッドアップディスプレイ1の平面図である。
【0015】
図3は、
図2のヘッドアップディスプレイ1の縦断面図である。
【0016】
ヘッドアップディスプレイ1(以下、HUD1という。)は、自動車のインストルメントパネル内に配置される。HUD1は、表示装置3と、平面鏡4と、凹面鏡5と、ケース6と、制御基板7と、基板カバー31と、を主に有している。HUD1は、表示装置3が表示した表示画像を表す表示光を、リレー光学系を構成する平面鏡4と凹面鏡5とで反射させ、透過反射部の一例である自動車のフロントガラスに照射する。視認者(主に運転者)は、車両前方の実景と重ねて表示画像の虚像を視認することができる。
【0017】
表示装置3は、表示光を出力する。表示装置3は、例えばTFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示装置である。表示装置3は、バックライトユニットと、液晶表示パネルと、を有している。バックライトユニットは、光源基板、レンズ、及びヒートシンクなどを有している。表示装置3は、プロジェクタと表示面を構成するスクリーンとを備えるものであってもよい。
【0018】
平面鏡4は、例えば合成樹脂材料からなる基材と、蒸着などにより基材の表面に形成された反射膜とを有している。平面鏡4は、表示装置3から出力された表示光を凹面鏡5に向けて反射させる。
【0019】
凹面鏡5は、例えば合成樹脂材料からなる基材と、蒸着などの手段により基材の表面に形成された反射膜とを有している。凹面鏡5は、平面鏡4で反射した表示光をフロントガラスに向けて反射させる。凹面鏡5は、拡大鏡としての機能を有し、表示画像を拡大してフロントガラスへ反射する。これにより、視認者は、表示画像が拡大された虚像を視認する。凹面鏡5は、アクチュエータにより回転軸(図示せず)周りに回転する。アクチュエータは、凹面鏡5を回転させることで凹面鏡5の角度を調整し、表示光の照射位置を調整したり、外光が凹面鏡5によって表示装置3に向かうように反射されない角度に調整したりする。
【0020】
ケース6は、例えば黒色の遮光性を有する合成樹脂から形成される上ケース21と、下ケース22とを有している。ケース6は、上ケース21と下ケース22とを組み合わせることで、表示装置3と、平面鏡4と、凹面鏡5とを収容する内部空間23を有している。また、ケース6は、内部空間23に形成される平面鏡4から凹面鏡5までの表示光の光路に面する第1の面25とそれ以外の第2の面26とを有する。なお、
図2においては、第1の面25は点線で囲まれた面であり、第1の面25にはこの図示された面(内面28)の背面(外面29)も含む。上ケース21は、開口部27を有している。開口部27は、フロントガラスに対向する部分に設けられる。開口部27は、透光性を有する透光カバー30に覆われている。下ケース22は、表示装置3、平面鏡4、凹面鏡5、及び制御基板7を主に取り付けるための構造を有している。
【0021】
制御基板7は、表示装置3などの動作を制御する制御部(図示せず)が実装されたプリント回路板である。制御部は、例えば、記憶装置と、演算装置とを有するマイクロコンピュータとを有している。制御部は、車内ネットワークや各種センサから取得した各種車両情報に基づいて、記憶装置が予め記憶した動作プログラムに従い演算装置が適宜演算することにより、表示装置3に表示画像を表示させる。また、制御基板7は、コネクタ10a、10b(
図5及び
図7参照)を有している。コネクタ10aは、制御基板7とバックライトユニットの光源基板とをコード11aを介して接続する。コネクタ10bは、制御基板7とHUD1外に設けられた、自動車のECU(Electronic Control Unit)とをコード11bを介して接続する。制御基板7は、下ケース22の内部空間23外に仮固定及び本固定されることにより固定されている。具体的には、制御基板7は、下ケース22の外面29に仮固定されている。また、制御基板7は、下ケース22に仮固定された後、制御基板7を覆う基板カバー31とともに下ケース22にネジで本固定される。
【0022】
基板カバー31は、下ケース22にネジで固定されることにより、下ケース22に取り付けられた制御基板7を覆う。
【0023】
制御基板7は、少ないネジで本固定されるのが作業性及び製造性向上のためには好ましい。このため、制御基板7は、XYZ軸方向(
図4、5参照)に精度よく位置決めされるとともに仮固定されるのが好ましい。制御基板7を制御基板7の厚さ方向(Z軸方向)において仮固定する場合、例えば、制御基板7は下ケース22に設けられたフックに引っ掛かることにより仮固定され得る。このようなフックを下ケース22の外面29上に形成する場合、射出成形の金型の都合上、フック根元に下ケース22の内面28に貫通する穴(
図2、
図3の穴61c、62c参照)が形成されてしまう。
【0024】
ここで、HUD1がフロントガラスに表示画像を正確に表示するためには、表示装置3が表示した画像の表示光を、平面鏡4及び凹面鏡5で正しく反射させて、フロントガラスを介して虚像を結ぶことが重要である。このため、表示光の光路上に、何らかの構造物があると、この構造物が平面鏡4及び凹面鏡5に映り込んでしまう恐れがある。本実施形態においては、
図3に示すように、平面鏡4及び凹面鏡5の下端は、下ケース22の内面28にほぼ接する寸法を有している。このため、平面鏡4で反射した表示光が凹面鏡5に到達するまでの光路は内面28に面し、また近接して形成される。ゆえに、フックとともに穴が内面28に形成されてしまうと、この穴が平面鏡4及び凹面鏡5に映り込んでしまう恐れがある。さらに、表示画像の大型化及び虚像の結像位置を遠くする要求のため、限られた空間内で光路長は長く取る必要がある。このため、フックは、下ケース22において光路とならない非常に限定された箇所にしか設けられない。
【0025】
そこで、本実施形態におけるヘッドアップディスプレイ1は、制御基板7を固定するためのフックを好適な箇所に好適な寸法及び形状で設けることで、制御基板7をケース6に確実に仮固定すること、及び正確に表示画像を表示することを実現することができる。
【0026】
図4は、下ケース22を外面29側から見た斜視図である。
【0027】
図5は、制御基板7が仮固定された場合の下ケース22を外面29側から見た斜視図である。
【0028】
制御基板7は、制御基板7の一方の辺51(一辺51)に設けられた第1の切欠52と、一辺51と対向する他方の辺53(他辺53)に設けられた第2の切欠54とを有している。また、制御基板7は、一辺51に設けられた第3の切欠56と、一辺51に設けられた第4の切欠57と、他辺53に設けられた位置決め穴58とをさらに有している。
【0029】
下ケース22は、制御基板7を制御基板7の厚さ方向に仮固定するための、第1のフック61と、第2のフック62とを有している。第1のフック61及び第2のフック62は、第1の面25以外の面である第2の面26に設けられている。第1のフック61は、制御基板7のほぼ面方向(X軸負方向)に沿って制御基板7がスライドされて第1の切欠52に引っ掛かる形状を有している。具体的には、第1のフック61は、鉤部61aと、鉤部61aの内側にX軸負方向の制御基板7のスライドを案内する案内部61bとを有している。これにより、第1のフック61は、撓むことなく第1の切欠52と引っ掛かる。第2のフック62は、第1のフック61が第1の切欠52に引っ掛かった後、一方の辺51を軸に制御基板7が倒されて第2の切欠54に引っ掛かる形状を有している。具体的には、第2のフック62は、鉤部62aの先端に制御基板7のほぼ厚さ方向のスライドを案内する案内部62bを有している。これにより、第2のフック62は、撓みながら第2の切欠54と引っ掛かる。
【0030】
下ケース22は、制御基板7を制御基板7の面方向(XY軸方向)に仮固定するための、第1のピン71と、第2のピン72と、第3のピン73とをさらに有する。第1のピン71は、第3の切欠56に挿入される。第2のピン72は、第4の切欠57に挿入される。第3のピン73は、位置決め穴58に挿入される。第1及び第2のフック61、62、第1から第3のピン71、72、73は、他の部材や構造との関係を考慮しながら配置される。第1のフック61及び第2のフック62は、X軸方向に関してほぼ対向する位置に設けられるのが好ましい。また、第1のピン71、第2のピン72、及び第3のピン73は、互いの距離が大きい方が位置決めの観点から好ましい。
【0031】
また、下ケース22は、下ケース22を射出成形する際に形成された第2のフック62近傍の穴62cから基板カバー31が露出しないよう第2のフック62の周囲を覆う遮蔽壁(壁)80を有している。
図6は、遮蔽壁80を特に説明するための斜視図である。
【0032】
遮蔽壁80は、第2のフック62をほぼコ字状(U字状)に覆っている。遮蔽壁80は、制御基板7と下ケース22の基板設置面81との距離に相当する高さを有する。本実施形態においては、遮蔽壁80は、制御基板7の他辺53と平行な第1面80aと、第1面80aを囲む第2面80b及び第3面80cとを有している。
【0033】
また、下ケース22は、制御基板7のコネクタ10a、10bから配線されたコード11a、11bを保持する爪12a、12bを有している。
図7は、爪12a、12bを特に説明するための拡大図である。なお、
図7においては、基板カバー31の図示は省略されている。
図8(A)は
図7のA−A線に沿う断面図、(B)は
図7のB−B線に沿う断面図である。
【0034】
爪12aは、コネクタ10aから下ケース22の開口14へと配線されたコード11aを下ケース22に固定するために設けられている。爪12aは、コード11aを引っ掛け固定する。爪12bは、コード11a、及びコネクタ10bから開口14へと配線されたコード11bを下ケース22に固定するために設けられている。爪12bは、コード11a、11bを同時に引っ掛け固定する。爪12bは、開口14方向に突出して設けられている。爪12aは、爪12bに近い側のコネクタ10bよりも爪12b側に設けられ、且つ爪12bとコネクタ10aとの中間付近に設けられるのが、作業性の観点から好ましい。また、爪12a、12bの先端13a、13bの向く方向は、下ケース22の内側方向である。
【0035】
次に、制御基板7の下ケース22への取付手順について説明する。
【0036】
まず、制御基板7は、制御基板7の一辺51側から、下ケース22に位置決めされる。具体的には、制御基板7は、第1の切欠52において、案内部61bに案内されながら制御基板7のほぼ面方向に沿ってスライドする。第1のフック61は、第1の切欠52の開口側から挿入され、第1の切欠52の奥側で止まる。これにより、第1のフック61は、第1の切欠52に引っ掛かり、制御基板7を厚さ方向に仮固定する。同時に、第1のピン71及び第2のピン72が、第3の切欠56及び第4の切欠57の開口側からそれぞれ挿入され、第3の切欠56及び第4の切欠57の奥側で止まる。これにより、第1のピン71及び第2のピン72は、第3の切欠56及び第4の切欠57により制御基板7を位置決めし仮固定する。
【0037】
次に、制御基板7は、制御基板7の他辺53側において下ケース22に仮固定される。具体的には、すでに位置決めされた一辺51を軸に制御基板7が倒される。すると、制御基板7は、第2の切欠54において、案内部62bに案内されながら制御基板7のほぼ厚さ方向に沿ってスライドする。第2のフック62は、第2の切欠54の制御基板7の裏面7aから表面7bに向けて撓みながら挿入され、遮蔽壁80上端で止まる。これにより第2のフック62は、第2の切欠54に引っ掛かり、制御基板7を厚さ方向に仮固定する。同時に、第3のピン73が、制御基板7の裏面7aから表面7bに向けて位置決め穴58に挿入される。これにより、第3のピン73は、位置決め穴58により制御基板7を位置決めし仮固定する。
【0038】
制御基板7は、第1のフック61及び第2のフック62により、制御基板7の厚さ方向において下ケース22に対して位置決めされるとともに仮固定される。また、制御基板7は、第1のピン71、第2のピン72及び第3のピン73により、制御基板7の面方向(ほぼXY軸方向)において下ケース22に対して位置決めされるとともに仮固定される。
【0039】
最後に、基板カバー31が、制御基板7の3つのネジ孔90及び下ケース22の3つのネジ孔91に対してネジ止めされることで、制御基板7は本固定される。
【0040】
なお、基板カバー31が取り付けられる前に、コネクタ10a、10bにコード11a、11bがそれぞれ接続される。コード11a、11bは、下ケース22の内側方向に先端13a、13bが向いた爪12a、12bにより固定されている。このため、下ケース22に基板カバー31が取り付けられる際には、コード11a、11bが下ケース22の外縁側に撓むことがなく、取付作業を邪魔することがない。ゆえに、取付時の作業効率を向上させることができる。
【0041】
このような本実施形態におけるヘッドアップディスプレイ1は、製造性を向上させることができる。すなわち、下ケース22が第1のフック61及び第2のフック62を有することにより、制御基板7は下ケース22に対して制御基板7の厚さ方向に確実に仮固定される。これにより、本固定としてのネジ止めの際に制御基板7のずれを気にすることなく作業でき、製造性を向上させることができる。
【0042】
また、第1のフック61及び第2のフック62は、視認者が視認する表示画像に影響を及ぼさないよう、位置と形状とが考慮して設けられている。具体的には、第1のフック61は、第2のフック62のように撓む必要がないため第2のフック62よりも幅が小さくてよい。その結果、幅に対応して形状が決まる下ケース22に必要な穴61c(
図2、
図3)も小さくすることができる。このため各フック61、62は、表示画像に影響しない第2の面26内の限られた空間に設けることができ、ゆえに、ヘッドアップディスプレイ1は、上述した製造性の向上と、正確な表示画像の提供とを同時に実現することができる。
【0043】
また、第1のフック61及び第2のフック62が第2の面26に設けられた場合であっても、明るい環境下では、内部部品が下ケース22の穴62cから露出する恐れがある。例えば、白などの明るい色を有する基板カバー31が、穴62cから直接的または間接的に視認されてしまう恐れがある。しかし、本実施形態におけるヘッドアップディスプレイ1は、下ケース22に遮蔽壁80を有するため、穴62cが形成されたことに伴う影響を低減することができる。また、遮蔽壁80を設けることにより、ヘッドアップディスプレイ1は、基板カバー31などの内部部品の色を露出に配慮することなく決定することができる。
【0045】
本発明に係るヘッドアップディスプレイの第2実施形態を添付図面に基づいて説明する。第2実施形態におけるHUDが第1実施形態におけるHUD1と異なる点は、下ケースと基板カバーとの固定にフックを用いた点である。第1実施形態と対応する構成および部分については、重複する説明を省略する。
【0046】
図9は、下ケース122を外面側から見た斜視図である。
図10は、基板カバー131を外面側から見た斜視図である。
図11は、基板カバー131を内面側から見た斜視図である。
図12は、下ケース122に基板カバー131が取り付けられた状態の斜視図である。
図13は、
図10のXIII−XIII線に沿う断面図である。
図14は、
図12のXIV−XIV線に沿う断面図である。
図15は、
図12のXV−XV線に沿う断面図である。
【0047】
図9に示すように、下ケース122は、2つのフック161を有している。フック161は、基部162と、鉤部163と、を有している。基部162は、外面129から、外面129に対してほぼ垂直(Z軸負方向)に立ち上がっている。鉤部163は、基部162の先端に設けられている。鉤部163は、下ケース122の内側に向って設けられている。鉤部163は、フック161の先端161aに向けて細くなる傾斜面162aを有している。傾斜面162aは、基板カバー131の取付時において、フック受け部132のスライドを案内する。
【0048】
図10及び
図11に示すように、基板カバー131は、フック161を受ける2つのフック受け部132を有している。フック受け部132は、囲い壁133により囲われている。フック受け部132は、案内面135と、案内凸部136と、鉤受け面137と、を有している。
【0049】
案内面135は、鉤部163に対する基板カバー131のスライド方向(Z軸負方向)に沿って設けられた面であり、フック161を受ける際に、鉤部163をスライドさせる。案内面135は、鉤部163の傾斜面162aの傾斜方向に対応した傾斜を有している。すなわち、案内面135は、鉤部163のスライド方向に対して平行ではなく、傾斜しており、その傾斜方向は、傾斜面162aと同じである。案内凸部136は、鉤部163のスライド方向に沿って案内面135の両端に伸びて、設けられている。案内凸部136は、鉤部163のスライド方向に沿って案内面135を狭くするように設けられている。すなわち、案内凸部136は、
図13及び
図14に示すように、案内面135をV字形状に形成している。
【0050】
このような基板カバー131及び下ケース122は、基板カバー131を下ケース122に取り付ける際の作業性を向上させることができる。すなわち、フック受け部132は、案内凸部136を有しているため、作業者は基板カバー131の取付位置を視覚的に確認することができる。また、案内凸部136は、鉤部163のスライド方向に沿って案内面135が狭くなるように、案内面135をV字形状に形成している。このため、案内面135をスライドする鉤部163は、スライド開始時においては、案内凸部136に遮られることなく案内面135における位置決めが容易である。スライド開始後においては、鉤部163は、案内凸部136により適切な位置に案内され、最終的には鉤受け面137に確実に引っ掛かることができる。また、案内面135は傾斜しているため、スライド開始時にはフック161が案内面135にぶつかり撓むことを防止でき、スムーズに取り付けることができる。
【0051】
これにより、基板カバー131を下ケース122に取り付ける際には、取付位置を容易に把握できる。また、フック161が不用意に基板カバー131にぶつかったり、引っ掛かったり、誤った位置に取り付けられたりすることなく、スムーズに取り付けることができる。
【0052】
また、基板カバー131は、壁面138の内壁138a側に、多段面139を有している。
図16は、
図11のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【0053】
多段面139は、基板カバー131の構造が入り組んでいない部分の内壁138aに設けられている。多段面139は、角部139aと、段差切替部139bと、を有している。角部139a及び段差切替部139bは、基板カバー131の寸法(壁面138の高さ)等に応じて適宜設けられる個数(段140の数)が設定される。
【0054】
角部139aは、面取りされ、曲線的な形状を有している。角部139aは、段140が設けられることにより、壁面138の肉厚が最も大きくなる部分である。段差切替部139bは、壁面138の肉厚が最も小さくなる部分であり、多段面139が設けられていない壁面138cの肉厚(通常の肉厚)とほぼ同じである。
【0055】
このため、壁面138の肉厚は、段差切替部139bから角部139aに向けて曲線的に大きくなり、角部139aから次の段差切替部139bに向けて徐々に肉厚が小さくなる。このような肉厚の変化は、段140の数だけ繰り返される。
【0056】
このような多段面139が設けられることにより、基板カバー131の成形時においては、基板カバー131の変形を防止することができる。すなわち、射出成形時において、基板カバー131は可動側の金型であるコアブロックを、固定側の金型であるキャビティブロックに押し当てて、成形空間を密閉する。この成形空間に溶融樹脂が注入され、樹脂は固化される。樹脂の固化後、コアブロックがキャビティブロックから離れる方向に移動し、樹脂はコアブロックに残る。基板カバー131は、コアブロックから離されることにより完成する。
【0057】
ここで、基板カバー131の変形を防止するため、樹脂の固化後、コアブロックが移動する工程において、樹脂がキャビティブロック側に食いつくことにより引っ張られ変形してしまうことを防止する必要がある。そのためには、キャビティブロックと樹脂との剥離に抵抗が生じないよう、コアブロックと接する側の成形品の抜き勾配(キャビティブロックの移動方向に対する勾配)を小さくする必要がある。
【0058】
そこで、基板カバー131は、コアブロック側で形成される内壁138aに多段面139を有するため、多段面139が設けられていない壁面138よりもこの抜き勾配を小さくすることができる。すなわち、内壁138aを外壁138bと平行にし、壁面138の肉厚を一定にした場合に比べて、内壁138aに抜き勾配が小さい領域(例えば角部139aから段差切替部139bの領域)を形成することができる。これにより、キャビティブロックに樹脂が食いつき引っ張られることを防止でき、基板カバー131が変形することを防止できる。
【0059】
なお、外壁138b側と内壁138a側で抜き勾配が異なるため、壁面138の肉厚が増加する領域が生じる。その結果、成形時においては、ヒケ(歪み)が発生する恐れがある。これを防止するため、角部139aの寸法(肉厚)は、流動解析により、ヒケが発生しない寸法に設定されるのが好ましい。すなわち、ヒケが発生しない肉厚までは勾配を小さくし(肉厚を増加し)、一定の肉厚まで増加した箇所で、角部139aを設ける。また、段差切替部139bまで徐々に肉厚を減少し、段差切替部139bで通常の肉厚にする。さらに、角部139aを曲線的に形成することにより、角部139aの肉厚の増加量を小さくすることができ、ヒケの発生を防止することができる。
【0060】
また、このような多段面139は、成形時の変形を防止すると同時に、使用時における基板カバー131の変形を抑制したり、剛性を大きくしたりできる。
【0061】
また、コアブロックにより形成される内壁138a側に多段面139を設けることで、成形工程において必要な内壁138aの勾配に依存することなく、外壁138bの角度を設定することができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0063】
例えば、第1実施形態における遮蔽壁80は、第1のフック61側に設けてもよい。