(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。
【0013】
(第1実施形態)
先ず、
図1に基づき、本実施形態の燃料ポンプ制御システムの概略構成を説明する。
【0014】
燃料ポンプ制御システムは、車両のエンジンに対して燃料を供給する燃料ポンプを制御するシステムである。図示を省略するが、燃料ポンプは、燃料タンク内に配置されている。電動式の燃料ポンプは、燃料タンク内の燃料を吸入し、吸入した燃料の圧力を高めて、デリバリパイプに向けて吐き出す。デリバリパイプには、エンジンの各気筒に燃料を供給する燃料噴射弁が接続されている。
【0015】
図1に示すように、燃料ポンプ制御システム10は、燃料ポンプ、具体的には燃料ポンプのモータ100の駆動を制御する。モータ100が負荷に相当し、燃料ポンプ制御システム10が負荷制御システムに相当する。燃料ポンプ制御システム10は、エンジンECU(Electronic Control Unit)20と、FPC(Fuel Pump Controller)30と、信号線40を備えている。エンジンECU20が電子制御装置に相当し、FPC30が駆動装置に相当する。エンジンECU20とFPC30は、信号線40を介して通信可能に接続されている。
【0016】
エンジンECU20は、図示しない各種センサの検出信号から、エンジンの運転状態を含む車両の走行状態、及び、運転者の要求を取得する。エンジンECU20は、取得した走行状態及び運転者要求に基いて、燃料噴射弁の噴射量や噴射タイミングを制御するとともに、FPC30に対してエンジンが必要とする燃料量に応じた負荷制御信号を出力する。負荷制御信号が、負荷を制御するための制御信号に相当する。
【0017】
エンジンECU20は、信号生成回路21と、ダイアグ受信回路22と、停止判定部23を有している。信号生成回路21は、上記した負荷制御信号を含む制御信号を生成し、信号線40を介して、FPC30に出力する。信号生成回路21は、制御信号として、負荷制御信号と、FPC30によるダイアグ信号の出力を許可する許可信号を生成する。許可信号は、ダイアグ信号の出力を許可する信号である。このため、FPC30に対してダイアグ信号の出力を要求する要求信号とも言える。信号生成回路21が、ダイアグ許可部に相当する。本実施形態では、許可信号が、モータ100の駆動を停止させる信号を兼ねている。信号生成回路21は、制御信号として、所定の範囲内(たとえば0〜100%)で設定されたデューティ比のパルス信号を生成する。許可信号のデューティ比は、負荷制御信号のデューティ比の範囲とは重ならないように設定される。このため、モータ100を停止させる制御信号でも、負荷制御信号と許可信号とではデューティ比が異なる。
【0018】
ダイアグ受信回路22は、FPC30にて生成されたダイアグ信号を、信号線40を介して受信する。ダイアグ受信回路22は、ダイアグ情報を記憶する記憶部220を有している。記憶部220は、後述する第1の異常に関するダイアグ情報を記憶する記憶部と、第2の異常に関するダイアグ情報を記憶する記憶部を有している。記憶部220に記憶された第1の異常は、ディーラーなどで故障診断に用いられる。信号生成回路21は、記憶部220に第2の異常に関するダイアグ情報が記憶されていると、モータ100の駆動を制限する。
【0019】
停止判定部23は、モータ100、すなわち燃料ポンプを継続停止させる条件の成立可否を判定する。継続停止の成立条件とは、燃料ポンプの予想される停止時間が所定時間以上であることである。所定時間とは、エンジンECU20が許可信号を出力してからダイアグ信号の受信を完了するまでにかかる時間である。本実施形態では、停止判定部23が、エンジンECU20のIG端子24を介して、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチと示す)のオン・オフを示す情報を取得する。そして、IGスイッチがオフされると、継続停止させる条件が成立したと判定する。
【0020】
FPC30は、モータ100、すなわち燃料ポンプを駆動させる。FPC30は、モータ制御回路31と、異常検出部32と、保持部33と、許可判定部34と、ダイアグ制御部35を有している。
【0021】
モータ制御回路31は、信号線40を介してエンジンECU20から制御信号を取得し、取得した制御信号を制御量に変換する。そして、変換した制御量に応じてモータ100を駆動する。モータ制御回路31は、図示しない制御IC及びインバータを備えている。制御ICは、取得した制御信号に基づいてPWM信号を生成する。具体的には、図示しない回転数取得手段により取得した実回転数が、制御信号に応じた目標回転数に追従するようにフィードバック制御、たとえばPI制御を実行し、PWM信号を生成する。インバータは、生成されたPWM信号により制御され、直流を三相交流に変換してモータ100に供給する。このように、燃料ポンプのモータ100に供給する電力が制御される。
【0022】
なお、FPC30において、信号線40が接続された端子であるFPC端子36とモータ制御回路31とを繋ぐ配線37、すなわち信号線40は、プルアップ抵抗38を介して電源(+B)に接続されている。IGスイッチがオンされるとエンジンECU20が図示しないリレーをオンし、FPC30の+B端子39にバッテリから電源電圧が供給される。
【0023】
異常検出部32は、FPC30の異常を検出する。異常検出部32は、FPC30の異常に相関する物理量を取得して閾値と比較し、FPC30の異常を検出する。異常検出部32は、たとえばシャント抵抗を用いて、モータ制御回路31のインバータに流れる電源電流、及び、FPC30からモータ100の各相への出力線に流れる負荷電流の少なくとも一方を取得する。そして、取得した電流値と閾値とを比較して異常(過電流)を検出する。
【0024】
本実施形態では、異常検出部32が、電流値に対応する2つの閾値I1,I2を有している。閾値I2のほうが、閾値I1よりも大きい電流値(I2>I1)とされている。すなわち、閾値I2のほうが閾値I1よりも対応するFPC30の異常の度合い(程度)が大きい閾値とされている。閾値I1は、通常使用電流範囲よりも電流値が高いかを判定する閾値である。閾値I1は、直ちに故障には至らない軽微な異常、たとえば直ちに制御に影響することはないが劣化を促進するストレスが生じていることを検出するための閾値である。閾値I1は、潜在的な故障を検出するための閾値とも言える。一方、閾値I2は、即時の保護が必要な異常かを判定する閾値である。閾値I2は、故障を検出するための閾値とも言える。異常検出部32は、閾値I1<電流値≦閾値I2の場合に軽微な異常を検出する。また、電流値>閾値I2の場合に即時保護すべき異常を検出する。
【0025】
また、異常検出部32は、たとえばサーミスタから、FPC30の温度を取得する。そして、取得した温度と閾値とを比較して異常(過熱)を検出する。特にインバータを構成するスイッチ等の発熱量が大きいため、局所的な温度を検出してもよい。
【0026】
電流値同様、異常検出部32は、温度についても2つの閾値T1,T2を有している。閾値T2のほうが、閾値T1よりも高い温度(T2>T1)とされている。すなわち、閾値T2のほうが閾値T1よりも対応するFPC30の異常の度合いが大きい閾値とされている。閾値T1は、通常使用温度範囲よりも温度が高いかを判定する閾値である。閾値T1は、閾値I1同様、軽微な異常を検出するための閾値である。一方、閾値T2は、閾値I2同様、即時の保護が必要な異常かを判定する閾値である。異常検出部32は、閾値T1<温度≦閾値T2の場合に軽微な異常を検出する。また、温度>閾値T2の場合に即時保護すべき異常を検出する。以上において、閾値I1,T1が第1閾値に相当し、閾値I2,T2が第2閾値に相当する。また、即時保護すべき異常が第1の異常に相当し、軽微な異常が第2の異常に相当する。
【0027】
保持部33は、異常検出部32により検出された異常に関する情報(ダイアグ情報)を保持する。本実施形態では、異常検出部32にて異常が検出されると、保持部33に対応する異常フラグがセットされ、保持部33がダイアグ情報を保持する。ダイアグ信号の出力にともなって、異常フラグはリセットされる。
【0028】
許可判定部34は、ダイアグ信号の出力許可を判定する。許可信号が入力されると、許可判定部34は、保持部33に保持されたダイアグ情報をダイアグ制御部35に出力する。なお、即時保護すべき異常が検出された場合には、許可判定部34の許可に関わらず、ダイアグ情報が直ちにダイアグ制御部35に出力される。
【0029】
ダイアグ制御部35は、モータ停止部350と、出力スイッチ351を備えている。モータ停止部350は、保持部33からダイアグ情報を取得すると、ダイアグ情報に応じて出力スイッチ351をオンさせる。出力スイッチ351のオンにより、配線37、ひいては信号線40が、グランドに接続される。これにより、信号線40がLoレベルとなる。ダイアグ制御部35は、たとえばLoレベルの保持時間をダイアグ情報に応じて異ならせることで、ダイアグ情報ごとに異なるダイアグ信号を出力する。また、ダイアグ情報ごとに異なるようにLoレベル保持時間を複数組み合わせ、ダイアグ信号として出力してもよい。ダイアグ制御部35は、ダイアグ情報に応じたパターンのダイアグ信号を出力する。
【0030】
モータ停止部350は、ダイアグ信号の送出が完了するまでの間、モータ制御回路31に対して、モータ100の駆動を停止させる信号を出力する。なお、即時保護すべき異常の場合、モータ停止部350は、モータ制御回路31に対して、負荷制御信号に関わらず、ダイアグ信号の送出が完了するまでの間、モータ100の駆動を停止させる信号を出力する。
【0031】
次に、
図2に基づき、エンジンECU20が実行する処理について説明する。エンジンECU20は、IGスイッチがオンされて電源が供給されると、以下に示す処理を実行する。
【0032】
図2に示すように、先ずエンジンECU20は、運転者の要求を取得する(ステップS10)。次いで、エンジンECU20の停止判定部23が、取得した要求からIGスイッチのオフを判定する(ステップS11)。IGスイッチオフの場合、停止判定部23は、エンジン停止、すなわち燃料ポンプ停止による継続停止の条件成立と判定する。
【0033】
次いで、エンジンECU20は、エンジン及び燃料ポンプを停止させる(ステップS12)。たとえば信号生成回路21は、制御信号として、モータ100を停止させる負荷制御信号を出力し、これにより燃料ポンプを停止させる。
【0034】
次いで、信号生成回路21は、制御信号として許可信号を出力する(ステップS13)。本実施形態では、許可信号が、燃料ポンプの停止信号を兼ねるため、許可信号により燃料ポンプを停止させてもよい。
【0035】
次いで、ダイアグ受信回路22は、信号の受信処理を実行し(ステップS14)、ダイアグ信号を受信したか否かを判定する(ステップS15)。なお、ここでのダイアグ信号とは、軽微な異常のダイアグ信号である。
【0036】
ダイアグ信号受信の場合、ダイアグ受信回路22は、ダイアグ信号の情報(ダイアグ情報)を記憶部220に記憶する(ステップS16)。一方、ダイアグ信号受信なしの場合、記憶部220にダイアグ情報があればクリアする(ステップS17)。
【0037】
ステップS16又はステップS17の処理を終了すると、エンジンECU20は電源遮断処理を実行し(ステップS18)、一連の処理を終了する。
【0038】
一方、ステップS11において、IGスイッチがオフされていない、すなわちIGスイッチオンと判定すると、信号生成回路21は、記憶部220にダイアグ情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS19)。
【0039】
ダイアグ情報がある場合、信号生成回路21は、モータ100の上限回転数を制限する(ステップS20)。信号生成回路21は、たとえば上限回転数を通常時の70%に設定する。ダイアグ情報がない場合、信号生成回路21は、モータ100の上限回転数を制限を解除する(ステップS21)。このように、ダイアグ情報を記憶している場合には、所定のフェールセーフ処理を実行する。
【0040】
ステップS20又はステップS21の処理を終了すると、エンジンECU20はエンジン制御を実行する(ステップS22)。なお、ここでのエンジン制御とは、燃料ポンプの制御も含む。ステップS20で上限回転数を設定した場合、信号生成回路21は、設定した上限回転数の範囲内で負荷制御信号を生成する。ステップS22の処理が終了すると、ステップS10に戻る。
【0041】
なお、図示を省略するが、エンジンECU20は、即時保護すべき異常を示すダイアグ信号を受信すると、ダイアグ情報を記憶部220に記憶するとともに、ダイアグ情報に応じたエンジン制御を実行する。エンジンECU20は、たとえば退避走行制御を実行する。
エンジンECU20は、軽微な異常な場合に実行するフェールセーフ処理よりもモータ100の動作を大きく制限する。
【0042】
次に、
図3に基づき、FPC30が実行する処理について説明する。FPC30は、電源が供給されると、以下に示す処理を実行する。
【0043】
図3に示すように、先ずFPC30のモータ制御回路31が、制御信号を受信する(ステップS30)。次いで、モータ制御回路31は、受信した制御信号が、モータ100を停止するものであるか否かを判定する(ステップS31)。ここでの制御信号は、負荷制御信号又は許可信号である。モータ停止の場合、モータ制御回路31は、モータ100への通電を停止する(ステップS32)。すなわち、燃料ポンプを停止させる。
【0044】
次いで、FPC30の許可判定部34は、受信した制御信号が、許可信号であるか否かを判定する(ステップS33)。許可信号の場合、許可判定部34は、保持部33の異常フラグが設定されているか否かを判定する(ステップS34)。ここでの異常フラグとは、軽微な異常に対応する異常フラグである。
【0045】
異常フラグがある場合、許可判定部34は、異常フラグ情報、すなわちダイアグ情報を保持部33からダイアグ制御部35へ送出するとともに、異常フラグをリセットする(ステップS35)。これにより、ダイアグ制御部35のモータ停止部350が、モータ100の停止を保持する(ステップS36)。また、モータ停止部350がダイアグ情報に応じて出力スイッチ351をオンし、これによりダイアグ情報に応じたパターンのダイアグ信号を出力する(ステップS37)。
【0046】
ステップS37が終了すると、FPC30は電源オフか否かを判定し(ステップS38)、オフの場合に一連の処理を終了する。電源オフではない場合、ステップS30に戻る。なお、ステップS33において、許可信号ではない、すなわち負荷制御信号によるモータ停止と判定した場合にも、ステップS30に戻る。また、ステップS34において異常フラグが設定されていないと判定した場合には、以降の処理を実行せず、ステップS38の処理を実行する。
【0047】
ステップS31において、モータ停止なし、すなわち制御信号が負荷制御信号であり、且つ、モータ100を停止するものではない場合、モータ制御回路31は、負荷制御信号に基づいてモータ100、すなわち燃料ポンプを制御する(ステップS39)。そして、燃料ポンプの制御が実行されている状態で、異常検出部32は、電流値を取得する(ステップS40)とともに、温度を取得する(ステップS41)。なお、ステップS40,S41の実行順を逆にしてもよい。
【0048】
次いで、異常検出部32は、取得した電流値が閾値I2よりも大きいか否かを判定する(ステップS42)。閾値I2よりも大きい場合、即時保護すべき異常(過電流故障)が生じているとして、FPC保護処理を実行し(ステップS43)、ステップS30に戻る。
【0049】
ステップS42において、閾値I2以下と判定すると、異常検出部32は、取得した温度が閾値T2よりも高いか否かを判定する(ステップS44)。閾値T2よりも高い場合、即時保護すべき異常(過熱故障)が生じているとして、ステップS43同様のFPC保護処理を実行し(ステップS45)、ステップS30に戻る。なお、ステップS42,S44の実行順を逆にしてもよい。
【0050】
ステップS44において、閾値T2以下と判定すると、異常検出部32は、取得した電流値が閾値I1よりも大きいか否かを判定する(ステップS46)。閾値I1よりも大きい場合、軽微な異常が生じているとして、電流異常フラグをセットし(ステップS47)、ステップS30に戻る。
【0051】
ステップS46において、閾値I1以下と判定すると、異常検出部32は、取得した温度が閾値T1よりも高いか否かを判定する(ステップS48)。閾値T1よりも高い場合、軽微な異常が生じているとして、温度異常フラグをセットし(ステップS49)、ステップS30に戻る。なお、ステップS46,S48の実行順を逆にしてもよい。
【0052】
なお、ノイズ等による誤検出を抑制するために、ステップS42,S44,S46,S48において、所定時間以上、関係を満たすことで、異常を検出してもよい。また、所定時間の平均値を用いても判定してもよい。
【0053】
次に、
図4に基づき、FPC30が実行するFPC保護処理について説明する。FPC30は、ステップ43,S45において以下に示す処理を実行する。
【0054】
ステップS42又はステップS44により、異常検出部32が即時保護すべき異常を検出すると、ダイアグ制御部35が、
図4に示すように、先ずモータ100への通電を停止し(ステップS60)、次いで、ダイアグ信号を出力する(ステップS61)。具体的には、ダイアグ制御部35のモータ停止部350が、モータ100を停止させる。また、モータ停止部350がダイアグ情報に応じて出力スイッチ351をオンオフし、これによりダイアグ情報に応じたパターンのダイアグ信号を出力する。このダイアグ信号は、軽微な異常の場合に生成されるダイアグ信号とはオンオフのパターンが異なる。そして、一連の処理を終了し、ステップS30に戻る。
【0055】
このように、FPC30は、即時保護すべき異常を検出すると、燃料ポンプの駆動を停止させるとともに、許可信号を待たずに直ちにダイアグ信号を出力する。燃料ポンプは、ダイアグ信号の出力が終了するまで、ダイアグ制御部35により停止される。
【0056】
なお、即時保護すべき異常を検出した場合、一旦、保持部33に異常フラグをセットし、保持部33からダイアグ制御部35にダイアグ情報を送出するとともに異常フラグをリセットしてもよい。この場合、即時保護すべき異常が検出され、異常フラグが設定されると、直ちに設定された情報をダイアグ制御部35へ送出するとともに異常フラグをリセットする機能を、許可判定部34とは別の部分に設ければよい。たとえば、保持部33や異常検出部32にもたせてもよい。また、即時保護すべき異常を検出した場合、異常検出部32から、保持部33を介さずに、異常検出部32からダイアグ制御部35へダイアグ情報を送出してもよい。
【0057】
図5は、一例として、過電流検出時のタイミングチャートを示している。
図5において、IG信号とは、IGスイッチの状態を示し、IG端子24に入力される信号である。+B電圧とは、FPC30の+B端子39の電圧である。
図5では、信号を簡略化して示している。
【0058】
図5に示すように、時刻t10でIGスイッチがオンされると、エンジンECU20は、上記したようにリレーをオンする。これにより、+B端子39にバッテリから電源電圧が供給される。すなわち、FPC30に電源が供給される。また、IGスイッチのオンにより、エンジンECU20は、制御信号として負荷制御信号を生成し、信号線40に出力する。FPC30は、負荷制御信号を受信する。
【0059】
FPC30のモータ制御回路31は、負荷制御信号に基づいてモータ100を駆動する。モータ100は、入力に応じた回転数で動作する。
【0060】
異常検出部32の取得する電流値が、時刻t11で閾値I1<電流値≦閾値I2を満たし、この関係を満たしつつ所定時間t0経過した時刻t12で、異常検出部32は軽微な過電流異常を検出する。これにより、軽微な過電流に対応する異常フラグをセットする。
【0061】
時刻t13でIGスイッチがオフされると、エンジンECU20は燃料ポンプ(モータ100)の継続停止の条件成立と判定する。そして、制御信号として許可信号を生成し、信号線40に出力する。FPC30は、許可信号を受信する。
【0062】
異常フラグがセットされているため、FPC30は時刻t14で異常フラグに対応するダイアグ信号(図中の過電流ダイアグ信号)を生成し、信号線40に出力する。また、異常フラグをリセットする。
【0063】
時刻t15で過電流ダイアグ信号の出力が終了し、次いで時刻t16でFPC30の電源がオフされることで、信号線40の許可信号が消失する。
【0064】
次に、上記した燃料ポンプ制御システム10の効果について説明する。
【0065】
本実施形態では、エンジンECU20が、負荷であるモータ100(燃料ポンプ)の継続停止を判断し、継続停止の際にダイアグ信号の出力を許可する許可信号を信号線40に出力する。一方、FPC30は、FPC30の異常を検出すると、検出した異常に関する情報を保持しておき、許可信号が入力されると、保持している情報をダイアグ信号として出力する。このように、モータ100が継続停止される期間において、FPC30がダイアグ信号を出力する。したがって、信号線40を増やさずに、モータ100の制御性を低下させることなく、FPC30の異常をエンジンECU20に通知することができる。
【0066】
特に、異常検出部32が同一の物理量に対して2つの閾値を有している。そして、物理量が第2閾値(>第1閾値)を超えることで第1の異常が検出されると、FPC30は、許可信号の入力を待たずに、すなわち許可信号に関わらず、信号線40に対してダイアグ信号を出力する。これにより、異常の度合いが大きい第1の異常、たとえば即時保護すべき異常が生じた場合には、エンジンECU20に対して迅速に通知することができる。
【0067】
一方、物理量が第1閾値を超え、且つ、第2閾値以下であることで第1の異常よりも軽微な第2の異常が検出されると、FPC30は、許可信号の入力を待ってダイアグ信号を出力する。異常の度合いが小さい第2の異常は直ちに故障に至るものではないため、ダイアグ情報を保持しておき、モータ100が継続停止される期間において、ダイアグ信号を出力する。したがって、信号線40を増やさずに、モータ100の制御性を低下させることなく軽微な異常を通知することができる。
【0068】
上記通知により、エンジンECU20は、故障には至っていない軽微な段階の異常を認識し、軽微な異常を考慮したモータ100の制御を実行することができる。たとえば劣化が進行して故障に至るのを抑制するように、モータ100を制御することができる。これにより、走行中に燃料ポンプが故障し、エンジンが停止するのを抑制することができる。
【0069】
本実施形態では、物理量として電流値を取得し、2つの閾値と比較する。これにより、即時保護すべき異常である過電流故障、過電流故障には至らない軽微な過電流異常を検出することができる。また、これらの異常を、エンジンECU20に通知することができる。軽微な過電流異常については、信号線40を増やさずに、モータ100の制御性を低下させることなく通知することができる。さらに、物理量として温度も取得し、2つの閾値と比較する。したがって、電流値と同様に、即時保護すべき異常である過熱故障、過熱故障には至らない軽微な過熱異常を、エンジンECU20に通知することができる。軽微な過熱異常については、信号線40を増やさずに、モータ100の制御性を低下させることなく通知することができる。
【0070】
また、エンジンECU20が、許可信号に対応して入力されたダイアグ信号の情報、すなわち軽微な異常に関するダイアグ情報を記憶しておき、その後の負荷制御信号の生成に反映して、モータ100の駆動を制限する。具体的には、モータ100の上限回転数を制限する。したがって、軽微な異常が生じた後において、FPC30の処理負荷を軽減することができる。これにより、異常(劣化)の進展を抑制し、たとえば走行中に燃料ポンプが故障してエンジンが停止するのを抑制することができる。
【0071】
また、エンジンECU20が、IGスイッチのオフにより、継続停止の条件成立と判定する。通常、運転者は、車両(エンジン)を停止させる意思のもとでIGスイッチをオフする。したがって、オフしてから次にエンジンを始動するまでの時間、すなわち継続停止時間が十分長い。このため、エンジンECU20が許可信号を出力し、ダイアグ信号の受信が完了するまでの時間、すなわちダイアグ通信時間を確保しても、車両制御に影響が生じない。
【0072】
また、許可信号が、モータ100の駆動を停止させる信号を兼ねている。このため、許可信号によってモータ100が動作し、継続停止期間にポンプ動作にともなう異音が生じるのを抑制することができる。
【0073】
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した燃料ポンプ制御システム10と共通する部分についての説明は省略する。
【0074】
先行実施形態では、IGスイッチのオフにより継続停止の条件成立とする例を示した。本実施形態では、以下に示すように、アイドリングストップ時に推定停止時間を算出して条件が成立するか否かを判定する。
【0075】
燃料ポンプ制御システム10の構成は、
図1に示した構成と基本的に同じである。ただし、停止判定部23が、IG端子24から入力されるIG信号に基づいて、継続停止を判定するのではなく、IG端子24とは別に設けられた図示しない端子を介して車両外部から交通情報を取得し、継続停止の条件を判定する。車両外部としては、たとえば車両の走行を支援するセンタ、道路上に設置された路側機がある。
【0076】
図6は、エンジンECU20が実行する処理を示している。エンジンECU20は、IGスイッチがオンされて電源が供給されると、以下に示す処理を実行する。
【0077】
図6に示すように、先ずエンジンECU20は、ステップS70〜ステップS73の処理を実行する。これら処理は、先行実施形態(
図2参照)のステップS19〜S22に対応している。
【0078】
具体的には、信号生成回路21が、ダイアグ情報が記憶されているか否かを判定し(ステップS70)、ダイアグ情報がある場合、モータ100の上限回転数を制限する(ステップS71)。ダイアグ情報がない場合、モータ100の上限回転数を制限を解除する(ステップS72)。次いで、エンジンECU20はエンジン制御を実行する(ステップS73)。ここでのエンジン制御とは、燃料ポンプの制御も含む。
【0079】
次いで、エンジンECU20は、運転者の要求を取得し、取得した要求からIGスイッチのオフを判定する(ステップS74)。IGスイッチオフの場合、エンジンECU20は、エンジン及び燃料ポンプを停止させる(ステップS75)。信号生成回路21は、制御信号として、モータ100を停止させる負荷制御信号を出力し、これにより燃料ポンプを停止させる。そして、電源遮断処理を実行し(ステップS76)、一連の処理を終了する。
【0080】
IGスイッチオフではない場合、エンジンECU20はアイドリングストップ条件が成立するか否かを判定する(ステップS77)。アイドリングストップ条件が成立しない場合、ステップS70に戻る。
【0081】
アイドリングストップ条件が成立の場合、エンジンECU20は、エンジン及び燃料ポンプを停止させる(ステップS78)。信号生成回路21は、制御信号として、モータ100を停止させる負荷制御信号を出力し、これにより燃料ポンプを停止させる。
【0082】
次いで、停止判定部23は、図示しない端子を介して、車両外部から交通情報を取得すし(ステップS79)、停止時間t1を推定する(ステップS80)。たとえば、交通情報として、信号機の情報を取得し、青信号に切り替わるまでの時間を停止時間t1として推定する。また、踏切の遮断機の情報を取得し、遮断機が上がるまでの時間を停止時間t1として推定する。
【0083】
次いで、停止判定部23は、推定した停止時間t1が所定時間よりも長いか否かを判定する(ステップS81)。ここで、所定時間とは、上記したダイアグ通信時間である。停止時間t1が所定時間以下の場合、継続停止の条件不成立として、ステップS70に戻る。一方、停止時間t1が所定時間よりも長い場合、継続停止の条件成立として、信号生成回路21は、ステップS82〜S86の処理を実行する。これら処理は、先行実施形態のステップS13〜S17に対応している。
【0084】
具体的には、信号生成回路21が、制御信号として許可信号を出力する(ステップS82)次いで、ダイアグ受信回路22が、信号の受信処理を実行し(ステップS83)、ダイアグ信号を受信したか否かを判定する(ステップS84)。ダイアグ信号受信の場合、ダイアグ情報)を記憶し(ステップS85)、ステップS70に戻る。ダイアグ信号受信なしの場合、記憶部220にダイアグ情報があればクリアし(ステップS86)、ステップS70に戻る。なお、FPC30側の処理は、先行実施形態と同じである。
【0085】
このように、本実施形態では、停止判定部23が、アイドリングストップ時に車両外部から交通情報を取得してモータ100の停止時間t1を推定し、推定した停止時間t1に基づいて継続停止条件の成立可否を判定する。したがって、IGスイッチオフ以外のタイミングでも、信号線40を増やさずに、モータ100の制御性を低下させることなく異常を通知することができる。また、IGスイッチオフ時にダイアグ信号を出力する場合に較べて、ダイアグ信号の出力を早めることも可能となる。
【0086】
ところで、単にアイドリングストップ条件の成立を継続停止条件の成立とすると、エンジン始動までの時間が短い場合に、始動タイミングでダイアグ通信が終了しておらず、モータ100の制御性が低下する虞がある。これに対し、本実施形態では、交通情報を取得してモータ100の停止時間t1を推定し、停止時間t1が所定時間よりも長い場合に継続停止の条件成立と判定する。そして、エンジン始動までの時間が短いと推定される場合には許可信号を出力せず、エンジン始動までの時間がダイアグ通信可能に長いと推定される場合には、許可信号を出力する。したがって、モータ100の制御性を低下させることなく異常を通知することができる。
【0087】
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0088】
負荷制御システムとして燃料ポンプ制御システム10の例を示したが、これに限定されるものではない。負荷を駆動する駆動装置と、駆動装置に対して制御信号を出力する制御装置とを備え、信号線40を介して制御信号とダイアグ信号が送受信される構成であれば適用が可能である。
【0089】
異常検出部32が、2つの閾値によって第1の異常と第2の異常を検出する例を示したが、これに限定されない。異常検出部32が1つの閾値によって異常を検出すると、検出された異常に関する情報を保持しておき、許可信号の入力を待ってダイアグ信号を出力するようにしてもよい。
【0090】
異常検出部32が、異常を検出するために2つの物理量(電流値及び温度)を取得する例を示したが、これに限定されない。1つの物理量のみを用いてもよい。
【0091】
同じ物理量に対する異常の場合、即時保護すべき異常と、軽微な異常とで、ダイアグ信号のパターンを共通にしてもよい。この場合、エンジンECU20は、許可信号に対応して入力されたダイアグ信号の場合に軽微な異常に関するダイアグ情報として記憶し、それ以外の場合に即時保護すべき異常に関するダイアグ情報として記憶すればよい。