特許第6984472号(P6984472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984472
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 37/16 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   G04B37/16 Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-23779(P2018-23779)
(22)【出願日】2018年2月14日
(65)【公開番号】特開2019-138826(P2019-138826A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年8月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 平成30年1月30日に ウェブサイト(http://www.epson.jp/products/trume/mcollection/)に掲載 (2) 平成30年2月2日に 刊行物 クロノス日本版2018年03月号にて公開 (3) 平成30年2月4日に ウェブサイト(https://www.webchronos.net/)(https://www.webchronos.net/features/18563/)(https://www.webchronos.net/features/18563/2/)に掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】三島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤志
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−84974(JP,U)
【文献】 特開平9−51808(JP,A)
【文献】 特開平11−183658(JP,A)
【文献】 仏国特許発明第2748373(FR,A)
【文献】 米国特許第5363351(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 − 99/00
G04G 3/00 − 99/00
A44C 5/00 − 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに設けられた第1ばね棒支持部及び第2ばね棒支持部と、
複数の第1つばを有する第1ピンと、複数の第2つばを有する第2ピンと、前記第1ピ
ンと前記第2ピンとの間に位置するばねと、を有し、前記第1ばね棒支持部及び前記第2
ばね棒支持部に支持されるばね棒と、
前記ばね棒が挿入され、前記第1ばね棒支持部と前記第2ばね棒支持部との間に設けら
れるカバー部材と、
前記カバー部材と前記ケースとの間に配置されるバンドと、を有し、
前記カバー部材の長手方向の寸法は、前記ばね棒が前記第1ばね棒支持部及び前記第2
ばね棒支持部に支持されたときの、前記複数の第1つばのうち前記第1ばね棒支持部に最
も近いつばと前記複数の第2つばのうち前記第2ばね棒支持部に最も近いつばとの間の距
離以上であることを特徴とする時計。
【請求項2】
磁気センサーが前記ケースに収容され、
前記ケース、前記ばね棒、及び前記カバー部材は、チタン材であることを特徴とする請
求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記ケースは、裏蓋と、カバーガラスと、を有し、
前記ばね棒は、前記裏蓋の外表面を延長した仮想面と、前記カバーガラスの外表面を延
長した仮想面と、の間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の時計。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記カバー部材の端の縁部が面取り部を有することを特徴とする請
求項1〜3のいずれか一項に記載の時計。
【請求項5】
前記カバー部材と前記ケースとの間の距離は、前記バンドの厚さ方向の寸法より長いこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の時計。
【請求項6】
前記カバー部材と前記ケースとの間の距離は、前記バンドの厚さ方向の寸法より短いこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の時計。
【請求項7】
前記カバー部材は、形状が筒状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に
記載の時計。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記カバー部材の端の縁部に切欠き部を有することを特徴とする請
求項1〜7のいずれか一項に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、時計用バンドを時計ケースのかん(バンド支持部)に取り付けるばね棒が知られている。時計用バンドは、時計ケース(ケース本体)とばね棒(ブリッジ部)とで構成されるバンド通過穴に挿入されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−145003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1ではバンド通過穴に直接時計バンドが挿入されている。そのため、装着者等の動きに従って時計バンドが動くことにより、時計バンドとばね棒との間の摩擦が発生し時計バンドが劣化(摩耗)するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の時計は、ケースと、前記ケースに設けられた第1ばね棒支持部及び第2ばね棒支持部と、前記第1ばね棒支持部及び前記第2ばね棒支持部に支持されるばね棒と、前記ばね棒が挿入され、前記第1ばね棒支持部と前記第2ばね棒支持部との間に設けられるカバー部材と、前記カバー部材と前記ケースとの間に配置されるバンドと、を有することを特徴とする。
【0006】
上記の時計では、磁気センサーが前記ケースに収容され、前記ケース、前記ばね棒、及び前記カバー部材は、チタン材であることが好ましい。
【0007】
上記の時計では、前記ケースは、裏蓋と、カバーガラスと、を有し、前記ばね棒は、前記裏蓋の外表面を延長した仮想面と、前記カバーガラスの外表面を延長した仮想面と、の間に設けられていることが好ましい。
【0008】
上記の時計では、前記カバー部材は、前記カバー部材の端の縁部が面取り部を有することが好ましい。
【0009】
上記の時計では、前記カバー部材と前記ケースとの間の距離は、前記バンドの厚さ方向の寸法より長いことが好ましい。
【0010】
上記の時計では、前記カバー部材と前記ケースとの間の距離は、前記バンドの厚さ方向の寸法より短いことが好ましい。
【0011】
上記の時計では、前記カバー部材は、形状が筒状であることが好ましい。
【0012】
上記の時計では、前記カバー部材は、前記カバー部材の端の縁部に切欠き部が設けられていることが好ましい。
【0013】
上記の時計では、前記ばね棒は、第1つばと第2つばとが設けられた伸縮部を有し、前
記カバー部材の長手方向の寸法は、前記伸縮部が縮したときの、前記第1つばと前記第
2つばとの間の距離より長いことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る磁気センサー付き時計を示す正面図。
図2】本実施形態に係る磁気センサー付き時計を示す斜視図。
図3】本実施形態に係る引き通しバンドの取付け構造を示す拡大断面図。
図4】本実施形態に係るカバー部材を示す正面、側面、及び断面図。
図5】本実施形態に係るかんとバンドとを連結するばね棒を示す断面図。
図6】変形例1のカバー部材を示す正面及び側面図。
図7】変形例2のカバー部材を示す正面図。
図8】変形例3のカバー部材を示す正面及び側面図。
図9】変形例4のカバー部材を示す断面図。
図10】変形例4のカバー部材を示す断面図。
図11】変形例4のカバー部材を示す断面図。
図12】変形例4のカバー部材を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の時計としての磁気センサー付き時計を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る磁気センサー付き時計を示す正面図である。図2は、本実施形態に係る磁気センサー付き時計を示す斜視図である。
【0016】
本実施形態に係る磁気センサー付き時計2(以下、時計2と略す)は、ユーザーの手首に装着される腕時計である。時計2は、図1及び図2に示すように、ケースとしての外装ケース10と、外装ケース10に設けられた第1ばね棒支持部及び第2ばね棒支持部としての一対のかん44と、一対のかん44に支持されるばね棒46と、ばね棒46が挿入され、一対のかん44の間に設けられるカバー部材66と、カバー部材66と外装ケース10との間に配置されるバンドとしての引き通しバンド12(以下、バンド12と略す)と、を備えている。外装ケース10には、図示略のムーブメントと、円板状の文字板14と、指針16と、操作部材であるリューズ18、Aボタン20、Bボタン22、及びCボタン24と、が設けられる。
【0017】
文字板14は、メインダイヤル26と、サブダイヤル28と、を備えている。指針16は、メインダイヤル26を指示するセンター針(時針30、分針32、及び方位指示針34)と、サブダイヤル28を指示する小秒針36と、を備えている。時針30、分針32、方位指示針34、及び小秒針36は、ムーブメントに設けられたモーターでそれぞれ駆動されている。
【0018】
本実施形態の時計2では、図1に示すように、磁気センサー50は、文字板14のユーザーが視認する面に交差する方向(狭義には直交)からの平面視では文字板14の12時に近い位置に配置されている。外装ケース10は、磁気センサー50を内蔵する。そして、操作部材の操作によって、方位を指示するコンパスモードが選択されると、磁気センサー50が作動されて方位計測が実行され、方位指示針34は、計測結果に基づき、「北」の方角を指示する。
【0019】
胴38の12時側及び6時側には、バンド12が取り付けられる一対のかん44がそれぞれ設けられている。一対のかん44は、外装ケース10に設けられる。一対のかん44が対向する対向面には、ばね棒46が挿入されるかん穴48が設けられている。ばね棒46は、一対のかん44に支持されている。
【0020】
バンド12は、レザーバンド、樹脂バンド、シリコンバンドなどの非金属製の引き通しバンドで構成されている。バンド12は、ポリアミド系合成繊維、革やゴム、ワイヤーを編み込んだものなどであってもよい。また、バンド12は、メタルバンドであってもよい。さらに、バンド12は、メタルバンドに限らず、レザーバンド(皮革バンド)や樹脂バンド(ウレタンバンド、ナイロンバンド、シリコンバンド)などでもよい。すなわち、バンド12は、ばね棒46を用いて固定できるバンドであればよい。バンド12は、カバー部材66と外装ケース10との間に配置される。バンド12は、外装ケース10の12時側のばね棒46と外装ケース10との間から、裏蓋40部分を介して、6時側のばね棒46と外装ケース10との間に挿通されて、外装ケース10に取り付けられる。
【0021】
図3は、本実施形態に係るバンド12の取付け構造を示す拡大断面図である。
外装ケース10は、図3に示すように、胴38、裏蓋40、及びガラス縁42を備えている。これらの部品は、純チタン等のチタン材で構成されている。なお、胴38と裏蓋40とが一体に形成されていてもよい。外装ケース10は、外装ケース10の表側に設けられる透明のカバーガラス68を備えている。カバーガラス68は、ガラス、樹脂、セラミックス、サファイア等で構成されている。また、カバーガラス68は、ガラス、樹脂、セラミックス、サファイア等での複合材で構成されてもよい。
【0022】
ばね棒46は、裏蓋40の外表面を延長した仮想面78と、カバーガラス68の外表面を延長した仮想面80と、の間に設けられていることが好ましい。これにより、バンド12が外装ケース10とカバー部材66との間で湾曲するので外装ケース10をバンド12に対して安定して保持することができる。なお、外装ケースの裏側に裏蓋が設けられていない場合(胴38と裏蓋40とが一体に形成されている場合)は、外装ケースの裏側の外表面を延長して仮想面78としてもよい。
【0023】
また、カバー部材66は、裏蓋40の外表面を延長した仮想面78と、カバーガラス68の外表面を延長した仮想面80と、の間に設けられていることが好ましい。これにより、バンド12が外装ケース10とカバー部材66との間で湾曲するので外装ケース10をバンド12に対して安定して保持することができる。ばね棒46が、裏蓋40の外表面を延長した仮想面78と、カバーガラス68の外表面を延長した仮想面80と、の間に設けられていると比較すると、カバー部材66は、裏蓋40の外表面を延長した仮想面78と、カバーガラス68の外表面を延長した仮想面80と、の間に設けられている方が、バンド12が外装ケース10とカバー部材66との間でより湾曲するので外装ケース10をバンド12に対してより安定して保持することができる。なお、外装ケースの裏側に裏蓋が設けられていない場合(胴38と裏蓋40とが一体に形成されている場合)は、外装ケースの裏側の外表面を延長して仮想面78としてもよい。
【0024】
ここまで、裏蓋40とカバーガラス68とは略平面であることを前提に仮想面78及び仮想面80を定義したが、裏蓋40及びカバーガラス68の少なくとも一方が湾曲していたり、凸部が設けられていてもよい。この場合、裏蓋40又はカバーガラス68の外表面の文字板14から最も離れた部分を基準として、文字板14に平行な仮想面を定義してもよい。
【0025】
[カバー部材の構成]
図4は、本実施形態に係るカバー部材66を示す正面、側面、及び断面図である。
カバー部材66は、図4に示すように、中空形状になっており、ばね棒46を挿入することができる。カバー部材66は、ばね棒46に対して回動可能である。
【0026】
カバー部材66は、形状が筒状であることが好ましい。これにより、ばね棒46に対して、カバー部材66を容易に着脱することができる。カバー部材66は、形状が円筒状であることが好ましい。
【0027】
カバー部材66は、カバー部材66の両端の縁部をそれぞれ面取り加工することにより形成された面取り部76を備えることが好ましい。これにより、カバー部材66の面取り部76とバンド12との接触によるバンド12の劣化を抑制することができる。なお、面取り加工とは、部材の角部を削り角面や丸面などの形状に加工する工法であり、丸み面取りや角度を指定した面取りを含む。丸み面取りを行った場合、面取り部76は、カバー部材66の縁部が曲面を備える。また、角度を指定した面取りを行った場合、面取り部76は、カバー部材66の外表面に対して指定した角度を成す面を備える。
【0028】
また、図3に示すように、カバー部材66と外装ケース10との間の距離t1は、バンド12の厚さ方向の寸法t2より長いことが好ましい。バンド12の厚さ方向の寸法t2は、バンド12の厚さである。これにより、バンド12の取付けを容易に行うことができる。
【0029】
なお、カバー部材66と外装ケース10との間の距離t1は、バンド12の厚さ方向の寸法t2より短くてもよい。バンド12の厚さ方向の寸法t2は、バンド12の厚さである。この場合、外装ケース10をバンド12に対して安定して保持することができる。
【0030】
カバー部材66は、カバー部材66の両端の縁部の一部が切り欠かれる切欠き部70が設けられていることが好ましい。切欠き部70は、カバー部材66の縁部からカバー部材66の長軸方向に設けられた溝や、スリットを含む。これにより、切欠き部70からばね棒用の治具(図示せず)を差し込み、かん44に対して、ばね棒46を容易に着脱することができる。また、かん穴48がかん44を貫通しない袋穴でもばね棒46を容易に外すことができる。なお、カバー部材66の一方の端の縁部のみに切欠き部70が設けられていてもよい。また、切欠き部70が設けられない構成としてもよい。
【0031】
ばね棒46は、第1つば72と第2つば74とが設けられた伸縮部としてのピン54を
備えている(図5参照)。カバー部材66の長手方向の寸法t3は、ピン54が縮した
ときの、第1つば72と第2つば74との間の距離t4(図5参照)より長いことが好ま
しい。これにより、つば72,74とバンド12との接触によるバンド12の劣化を抑制
することができる。
【0032】
なお、カバー部材66の寸法t3は、外装ケース10の一対のかん44の間の幅が22.05mmの寸法の場合、カバー部材66の両端とそれぞれのかん44との隙を10mmの寸法に設定され、例えば、21.85mmである。
【0033】
カバー部材66の内径φ1は、ばね棒46の外径が1.80mmの場合、ばね棒46に対するカバー部材66が回転良好な寸法に設定され、例えば、2.10mmとされている。
【0034】
カバー部材66の外径φ2は、カバー部材66と外装ケース10との間にバンド12が挿入可能な寸法に設定され、例えば、2.70mmとされている。
【0035】
外装ケース10に磁気センサー50が内蔵されている場合、外装ケース10、ばね棒46、及びカバー部材66は、チタン材で形成されていることが好ましい。これにより、磁気センサー50への磁場の影響を抑制することができる。
【0036】
また、カバー部材66及びばね棒46の材質は、チタン材、SUS材を選択することができるが、方位を指示するコンパスモードが搭載される場合は、影響の少ないチタン材を選択してもよい。なお、チタン材以外にも、ガラス、セラミックス、及び樹脂等の磁化し難い材料であってもよい。
【0037】
[ばね棒の構成]
図5は、本実施形態に係るかん44とバンド12とを連結するばね棒46を示す断面図である。
ばね棒46は、円筒状のパイプ52と、パイプ52の両端に挿入される一対のピン54と、パイプ52の内部で一対のピン54の間に位置し、両方のピン54をパイプ52の外側に向けて付勢するばね56と、を備えている。ばね棒46は、非磁性材料製のカバー部材66で被覆されている。
【0038】
パイプ52は、着磁し難い非磁性材料である純チタン材で製造されたチタン管である。パイプ52の開口端部58は、パイプ52の中心軸側に曲げられて開口の径寸法がパイプ52の内径よりも小さくなるように加工されている。この開口端部58は、ピン54の段差部(後述する大径部60と小径部62との段差部)に係合し、ピン54がパイプ52から外れることを防止する。
【0039】
各ピン54は、着磁し難い非磁性材料であるチタン合金等のチタン材で製造されたものである。各ピン54は、大径部60と、小径部62と、第1つば72(第2つば74)と、挿入部64と、を備えている。
【0040】
大径部60は、パイプ52内に配置されてばね56が当接する部分であり、その径寸法は、パイプ52の開口端部58の開口の寸法よりも大きくされている。
【0041】
小径部62は、大径部60に連続して形成され、開口端部58の開口の寸法よりも小さい径寸法とされている。このため、小径部62は、開口端部58の開口を通してパイプ52の外側に突出して設けられる。
【0042】
第1及び第2つば72,74は、小径部62の端部において軸方向に間隔を空けて2つ形成されている。第1及び第2つば72,74の径寸法は、小径部62よりも大きい寸法とされている。さらに、第1及び第2つば72,74は、開口端部58の開口寸法よりも大きい寸法とされ、ピン54をパイプ52内に押し込んだ際に、第1及び第2つば72,74が開口端部58に当接することで、それ以上押し込むことができないように構成されている。また、第1及び第2つば72,74は、かん穴48の開口寸法よりも大きい寸法とされ、挿入部64がかん穴48に挿入された際に、第1及び第2つば72,74がかん44に当接するように構成されている。
【0043】
挿入部64は、第1及び第2つば72,74に連続して形成され、小径部62の径寸法よりも小さい径寸法とされている。この挿入部64は、一対のかん44のかん穴48に挿入可能な寸法とされている。このように構成されたピン54は、パイプ52の軸方向に沿ってスムーズに進退可能とされている。
【0044】
ばね56は、スプロン材(SPRON:登録商標)で製造されたコイルばねである。スプロン材は、コバルト−ニッケル合金であり、ばね性(弾性)を有し、かつ、着磁し難い特性を有する非磁性材料である。なお、ばね56は、スプロン材に限定されず、弾性を有し磁化されにくい非磁性材料であればよい。
【0045】
このように構成されたばね棒46において、ピン54は、図5の上図に示すように、ばね56に付勢されて小径部62がパイプ52の外側に突出した状態と、図示は略すが、ピン54がパイプ52の内側に向かって押し込まれ、第1及び第2つば72,74がパイプ52の開口端部58に当接する状態と、の間で進退可能とされている。図5の下図は、ばね棒46とカバー部材66とが、一対のカン44の間に設けられている状態を示している。
【0046】
ばね棒46は、カバー部材66に挿入され、一対のかん44の間に設けられる。ばね棒46は、SUS材やチタン材で製造された金属パイプであるカバー部材66内に挿入することで被覆されている。これにより、ばね棒46のピン54の第1及び第2つば72,74は、外部に露出せず、バンド12は、カバー部材66に接触して挿通されている。
【0047】
ばね棒46をカバー部材66で被覆しているので、ばね棒46の第1及び第2つば72,74が露出してバンド12に接触することを抑制できる。このため、バンド12がつば72,74に引っ掛かって裂けることも抑制できる。
【0048】
また、ばね棒46及びカバー部材66が非磁性材料で構成されているので、ばね棒46及びカバー部材66が着磁することを抑制でき、磁気センサー50によって正しい方位を検出して、方位指示針34で指示することができる。
【0049】
ばね棒46のかん44への取付けは、専用の治具を第1つば72と第2つば74との間に嵌め、つば72,74を内側に押して、ばね56のばね力に抗してピン54をパイプ52の内部に引っ込ませることにより、ばね棒46の全体の寸法を短くし、この状態で、ピン54の先端部をかん穴48に嵌入させることで行えるようになっている。
【0050】
また、装着用のバンド12を交換するなどのためにばね棒46は、取り外す必要があるので、取り付ける場合と同様に、専用の治具を用いて、つば72,74を内側に押すことで、ピン54をパイプ52の内部に縮ませて、ピン54の先端部をかん穴48から外すことが可能となっている。
【0051】
次に、ばね棒46を用いてバンド12を、外装ケース10のかん44に連結する工程について説明する。
まず、カバー部材66にばね棒46を挿入する。
【0052】
次に、ピン54をパイプ52内側に押し込みながら、カバー部材66及びばね棒46を一対のかん44の間に配置する。そして、挿入部64をかん穴48の位置に合わせてピン54の押し込み力を弱めると、ピン54は、ばね56の付勢力で外側に移動し、挿入部64がかん穴48内に挿入される。カバー部材66をばね棒46にセットした状態で、外装ケース10にばね棒46を固定する。カバー部材66がセットされたばね棒46が12時、6時方向の外装ケース10のかん穴48位置に固定される。
【0053】
次に、カバー部材66がセットされたばね棒46にバンド12を引き通す。カバー部材66と外装ケース10との間(12時側)にバンド12を挿し込み、裏蓋40側を通してもう一方(6時側)のカバー部材66と外装ケース10との間にバンド12を通す。バンド12の長さは、図示しない美錠で調整することが可能である。
【0054】
なお、カバー部材66及びばね棒46を外す場合には、かん穴48から治具を差し込んでピン54をパイプ52内側に移動してかん穴48から外す。これにより、ばね棒46とかん穴48との係合が解除され、カバー部材66及びばね棒46をかん44から取り外すことができる。
【0055】
[実施形態の作用効果]
このような実施形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
ばね棒46にセットされたカバー部材66があることで、ばね棒46とバンド12との摩擦を抑制できるので、バンド12の劣化を低減することができる。また、ナイロン系合成樹脂や、ポリアミド系合成繊維等のバンド12もばね棒46に引っ掛かることがなく裂けを抑制することができる。
【0056】
バンド12を外装ケース10に引き通す場合、ばね棒46の外側にカバー部材66を配置することにより、バンド12の裂けの抑制と商品外観の向上の少なくとも一方を実現することができる。また、カバー部材66が回動することで、バンド12の引き通し性もスムーズであり、取付け性を向上することができる。なお、バンド12は、引き通しバンドに限らず、バンド12の一方の端部に設けられた筒状部にカバー部材66が挿入された場合でもバンド12の裂け抑制を実現することができる。
【0057】
カバー部材66の表面に図示しないレーザー等により柄や文字(文字列)84を加飾することで(図4参照)、機能部の外観を向上させることができる。また、かん44とバンド12とは、ばね棒46を用いて連結しているので、チタン材のネジピンを用いて連結する場合に比べて、かん穴48も小さな径にでき、デザイン性も向上することができる。
【0058】
また、バンド12をかん44に連結するばね棒46として、チタン材のパイプ52、ピン54と、スプロン材のばね56と、を用いたので、磁化し難い材料でばね棒46を構成することができる。このため、ばね棒46が着磁を抑制でき、ばね棒46の磁界による影響が抑えられた磁気センサー50による方位検出ができるので、方位指示針34での指示の精度が向上する。
【0059】
ばね棒46を共通化することができる。また、ばね棒46は、共通のものを使用しているため、カバー部材66を外せば、メタルバンドや固定かん合のレザーバンド等も取り付けることが可能である。
【0060】
なお、バンド12用のばね棒として、つばが形成されていないばね棒を用いた場合にはカバー部材66を不要にできる。ただし、チタン材のばね棒46は、コストが高いため、一対のかん44の間の幅寸法に加えて、つばの有無で複数種類のばね棒46を用意することが難しい。一方、カバー部材66を設ければ、ばね棒46は、通常のバンド及びバンド12とで兼用できるので、ばね棒46の種類を少なくすることができ、コストも低減することができる。
【0061】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0062】
(変形例1)
図6は、本変形例のカバー部材86を示す正面及び断面図である。
カバー部材86は、図6に示すように、両端の切欠き部70は、連続していてもよい。具体的には、カバー部材86の長手方向に垂直な断面がC文字形状であってもよい。
【0063】
(変形例2)
図7は、本変形例のカバー部材88を示す正面図である。
カバー部材88は、図7に示すように、連結されていないカバー部材88aとカバー部材88bとの構成であってもよい。これにより、カバー部材88aとカバー部材88bとは、ばね棒46に対して、別々に回動可能となり、バンド12の引き通し性もスムーズであり、取付け性が向上する。なお、本変形例では、カバー部材88をカバー部材88aとカバー部材88bとの2個の構成にしたが、3個以上の構成であってもよい。
【0064】
また、カバー部材66は、形状が円筒状であることが好ましいが、円筒状に限らず、多角形の筒状、その他の任意の筒形状であってもよい。
【0065】
(変形例3)
図8は、本変形例のカバー部材90を示す正面及び断面図である。
カバー部材90は、図8に示すように、軸方向に何本かの溝82が切ってあり、カバー部材86の長手方向に垂直な断面が歯車のようになっていてもよい。これにより、カバー部材90とバンド12との接触面積が小さくなり、バンド12の引き通し性もスムーズであり、取付け性が向上する。
【0066】
(変形例4)
図9図12は、本変形例のカバー部材92〜98を示す断面図である。
【0067】
例えば、カバー部材92は、図9に示すように、カバー部材92の長手方向に垂直な断面の外周形状が楕円形であってもよい。
【0068】
また、カバー部材94は、図10に示すように、カバー部材94の長手方向に垂直な断面の外周形状が三角形であってもよい。
【0069】
また、カバー部材96は、図11に示すように、カバー部材96の長手方向に垂直な断面の外周形状が四角形であってもよい。
【0070】
また、カバー部材98は、図12に示すように、カバー部材98の長手方向に垂直な断面の外周形状が五角形であってもよい。
【0071】
なお、上述ではカバー部材66,86〜98の長手方向に垂直な断面の内周形状を円形状としたが、円形状以外であってもよい。例えば、カバー部材92〜98の長手方向に垂直な断面の内周形状が外周形状と同じ形状であってもよい。また、カバー部材66,86〜98の長手方向に垂直な断面の内周形状の中心と外周形状の中心とは、ずれていてもよい。
【0072】
カバー部材66,86〜98は、バンド12を使用する様々な小型機器に展開が可能である。
【0073】
なお、ばね棒46をつば無しのばね棒とする構成もあるが、外装ケースへの取付け性が悪くなってしまう。例えば、つばの部分を治具等でつかんでばね棒を外装ケースに固定しているが、治具を使用することができない。また、かん穴がかんを貫通しない袋穴だとばね棒が外せないことから通し穴にする必要がある。さらに、ばね棒の仕様が増えてしまう。
【0074】
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
【0075】
時計は、ケースと、前記ケースに設けられた第1ばね棒支持部及び第2ばね棒支持部と、前記第1ばね棒支持部及び前記第2ばね棒支持部に支持されるばね棒と、前記ばね棒が挿入され、前記第1ばね棒支持部と前記第2ばね棒支持部との間に設けられるカバー部材と、前記カバー部材と前記ケースとの間に配置されるバンドと、を有することを特徴とする。これにより、ばね棒とバンドとの摩擦を抑制できるので、バンドの劣化を低減することができる。
【0076】
上記の時計は、磁気センサーが前記ケースに収容され、前記ケース、前記ばね棒、及び前記カバー部材は、チタン材であることが好ましい。これにより、磁気センサーへの磁場の影響を抑制することができる。
【0077】
上記の時計では、前記ケースは、裏蓋と、カバーガラスと、を有し、前記カバー部材は、前記裏蓋の外表面を延長した仮想面と、前記カバーガラスの外表面を延長した仮想面と、の間に設けられていることが好ましい。これにより、バンドがケースとカバー部材との間で湾曲するのでケースをバンドに対して安定して保持することができる。
【0078】
上記の時計では、前記ばね棒は、前記カバー部材の端の縁部が面取り部を有することが好ましい。これにより、カバー部材の両端の縁部とバンドの接触によるバンドの劣化を抑制することができる。
【0079】
上記の時計では、前記カバー部材と前記ケースとの間の距離は、前記バンドの厚さ方向の寸法より長いことが好ましい。これにより、バンドの取付けを容易に行うことができる。
【0080】
上記の時計では、前記カバー部材と前記ケースとの間の距離は、前記バンドの厚さ方向の寸法より短いことが好ましい。これにより、ケースをバンドに対して安定して保持することができる。
【0081】
上記の時計では、前記カバー部材は、形状が筒状であることが好ましい。これにより、ばね棒に対して、カバー部材を容易に着脱することができる。
【0082】
上記の時計では、前記カバー部材は、前記カバー部材の端の縁部に切欠き部を有することが好ましい。これにより、切欠き部からばね棒用の治具を差し込み、第1ばね棒支持部及び第2ばね棒支持部に対して、ばね棒を容易に着脱することができる。
【0083】
上記の時計では、前記ばね棒は、第1つばと第2つばとが設けられた伸縮部を有し、前
記カバー部材の長手方向の寸法は、前記伸縮部が縮したときの、前記第1つばと前記第
2つばとの間の距離より長いことが好ましい。これにより、第1及び第2つばとバンドと
の接触によるバンドの劣化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
2…磁気センサー付き時計(時計) 10…外装ケース(ケース) 12…引き通しバンド(バンド) 14…文字板 16…指針 18…リューズ 20…Aボタン 22…Bボタン 24…Cボタン 26…メインダイヤル 28…サブダイヤル 30…時針 32…分針 34…方位指示針 36…小秒針 38…胴 40…裏蓋 42…ガラス縁 44…かん(第1ばね棒支持部、第2ばね棒支持部) 46…ばね棒 48…かん穴 50…磁気センサー 52…パイプ 54…ピン 56…ばね 58…開口端部 60…大径部 62…小径部 64…挿入部 66…カバー部材 68…カバーガラス 70…切欠き部 72…第1つば 74…第2つば 76…面取り部 78,80…仮想面 82…溝 84…文字(文字列) 86〜98…カバー部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12