特許第6984477号(P6984477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984477
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】シリンダブロック
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   F01M13/00 Z
   F01M13/00 F
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-25126(P2018-25126)
(22)【出願日】2018年2月15日
(65)【公開番号】特開2019-138287(P2019-138287A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】板井 康秀
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−148156(JP,A)
【文献】 特開2000−220434(JP,A)
【文献】 実開平06−025516(JP,U)
【文献】 特開2015−110935(JP,A)
【文献】 米国特許第06234154(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00
F02F 1/00 − 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒と、前記気筒の内部から漏れ出たブローバイガスを外部へと導くためのブローバイガス通路とが区画されたシリンダブロックであって、
前記ブローバイガス通路は、
前記シリンダブロックの下面に開口し、当該シリンダブロックの下面から上側に向かって延びる縦穴部と、
前記縦穴部に連通しているとともに前記縦穴部の延設方向に対して交差する方向に延びる横穴部とを備え、
前記縦穴部は、前記横穴部における前記縦穴部との連通箇所よりも上側にまで延びており、
前記縦穴部は、前記横穴部の中心軸線に対して、前記縦穴部の延設方向及び前記横穴部の延設方向のいずれにも直交する方向にずれて配置されており、
前記縦穴部の内周面のうちのずれた方向側の内周面が、前記ずれた方向に膨らんだ円弧面になっている
ことを特徴とするシリンダブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のシリンダブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1における内燃機関のシリンダブロックの内部には、複数の気筒が区画されている。シリンダブロックの気筒内には、当該気筒の軸線方向に往復動可能にピストンが配置されている。シリンダブロックの下面には、略四角筒状のクランクケースが固定されている。クランクケースの下端面には、有底四角箱状の貯留ケースが固定されている。特許文献1の内燃機関においては、これらクランクケース及び貯留ケースで、内燃機関の各所を潤滑するオイル(エンジンオイル)を貯留するためのオイルパンが構成されている。
【0003】
特許文献1における内燃機関のシリンダブロックには、気筒の内部からオイルパンの内部へと漏れ出たブローバイガスをシリンダブロックの外部へと導くためのブローバイガス通路が区画されている。ブローバイガス通路の一端はシリンダブロックの下面に開口しており、ブローバイガス通路の他端はシリンダブロックの外側面に開口している。
【0004】
シリンダブロックの外側面には、ブローバイガス通路からのブローバイガスが導入されるオイルセパレータが設けられている。オイルセパレータの内部には、ブローバイガスに含まれる揮発したオイルを液化するためのオイル分離室と、オイル分離室で液化したオイルをブローバイガス通路に排出する排出通路とが区画されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−151905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような内燃機関において、揮発したオイルがブローバイガスと共にシリンダブロックの外部へと持ち出される量を低減するためには、オイルセパレータでのオイルの捕集能力(液化能力)を向上させることが考えられる。しかしながら、オイルセパレータのオイル捕集能力を向上させようとすると、オイルセパレータの構造が複雑化したり、オイルセパレータが大型化したりするため、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の気筒と、前記気筒の内部から漏れ出たブローバイガスを外部へと導くためのブローバイガス通路とが区画されたシリンダブロックであって、前記ブローバイガス通路は、前記シリンダブロックの下面に開口し、当該シリンダブロックの下面から上側に向かって延びる縦穴部と、前記縦穴部に連通しているとともに前記縦穴部の延設方向に対して交差する方向に延びる横穴部とを備え、前記縦穴部は、前記横穴部における前記縦穴部との連通箇所よりも上側にまで延びており、前記縦穴部は、前記横穴部の中心軸線に対して、前記縦穴部の延設方向及び前記横穴部の延設方向のいずれにも直交する方向にずれて配置されており、前記縦穴部の内周面のうちのずれた方向側の内周面が、前記ずれた方向に膨らんだ円弧面になっている。
【0008】
上記の構成によれば、縦穴部の内周面のうちの円弧面に案内されつつブローバイガスが流通することで、ブローバイガスは、円弧面に沿って旋回するように流れる。また、縦穴部が横穴部に対してずれて配置されているため、縦穴部から横穴部へとブローバイガスが流入する際に、横穴部においてブローバイガスが流入しやすい領域とブローバイガスが流入しにくい領域とが生じる。これに伴って生じるブローバイガスの圧力差によって、縦穴部と横穴部との連通箇所近傍において、ブローバイガスの旋回流が増強される。
【0009】
上記のようにして、旋回しつつ流れるブローバイガスは、縦穴部の上流端部に至って、この上流端部において、ブローバイガスに含まれるオイルが液化して縦穴部の内周面に付着する。すなわち、上記の構成によれば、ブローバイガス通路の縦穴部そのものがオイルを捕集する機能を発揮できる。したがって、構造が過度に複雑なオイルセパレータや過度に大型のオイルセパレータを採用しなくても、ブローバイガスに含まれるオイルを十分に捕集できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】内燃機関の概略断面図。
図2】シリンダブロックにおけるブローバイガス通路近傍の拡大断面図。
図3図2における3−3線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態のシリンダブロック10を適用した内燃機関Eについて説明する。
図1に示すように、内燃機関Eは、全体として直方体状のシリンダブロック10を備えている。内燃機関Eにおけるクランクシャフトの延設方向(図1において紙面厚み方向)及び上下方向のいずれにも直交する方向を内燃機関Eの幅方向としたとき、シリンダブロック10は、幅方向の寸法の違いにより、上側の一部である上側部分10Uと、当該上側部分10Uよりも下側の下側部分10Lとに大別できる。シリンダブロック10における下側部分10Lの幅方向の寸法は、上側部分10Uの幅方向の寸法よりも大きくなっている。その結果、シリンダブロック10の幅方向の両側面における上側部分10Uと下側部分10Lとの境界に、段差面10aが生じている。
【0012】
シリンダブロック10の上側部分10Uには、略円柱状の気筒11が複数(例えば4つ)区画されている。気筒11は、内燃機関Eにおけるクランクシャフトの延設方向(図1における紙面厚み方向)に並ぶように配置されている。なお、図1では、4つの気筒11のうちの1つのみが図示されている。
【0013】
シリンダブロック10における各気筒11よりも下側、すなわちシリンダブロック10における下側部分10Lには、空隙部12が区画されている。空隙部12は、上側が気筒11に連通しているとともに下側がシリンダブロック10の下面に開口している。すなわち、空隙部12を介して、気筒11がシリンダブロック10よりも下側の空間に連通している。空隙部12の幅方向の寸法は、気筒11の幅方向の寸法よりも大きくなっている。
【0014】
シリンダブロック10における各気筒11の内部には、当該気筒11内を往復動可能にピストン13が収容されている。ピストン13は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフトに連結されている。なお、図1では、コネクティングロッド14の一部及びクランクシャフトの図示を省略している。
【0015】
シリンダブロック10の上面には、シリンダヘッド20が固定されている。シリンダヘッド20の下面においては、シリンダブロック10の各気筒11に対応して、4つの燃焼室21が上側に向かって窪んでいる。各燃焼室21は、シリンダブロック10の各気筒11に対向配置されている。
【0016】
シリンダヘッド20には、各燃焼室21に吸気(外気)を導入するための吸気ポート22が区画されている。吸気ポート22の一端は燃焼室21に開口しており、吸気ポート22の他端はシリンダヘッド20の幅方向一方側(図1において右側)の側面に開口している。吸気ポート22の他端には、吸気通路23(インテークマニホールド)が接続されている。また、シリンダヘッド20には、吸気ポート22における燃焼室21側の開口を開閉するための吸気バルブ24が取り付けられている。
【0017】
シリンダヘッド20には、各燃焼室21からの排気を排出するための排気ポート25が区画されている。排気ポート25の一端は燃焼室21に開口しており、排気ポート25の他端はシリンダヘッド20の幅方向他方側(図1において左側)の側面に開口している。排気ポート25の他端には、排気通路26(エキゾーストマニホールド)が接続されている。また、シリンダヘッド20には、排気ポート25における燃焼室21側の開口を開閉するための排気バルブ27が取り付けられている。
【0018】
シリンダヘッド20の上面には、当該シリンダヘッド20を上側から覆うヘッドカバー28が固定されている。ヘッドカバー28の内面とシリンダヘッド20の上面とで区画される空間内には、上述した吸気バルブ24及び排気バルブ27を開閉動作させるための動弁機構が収容されている。なお、図1では、動弁機構の図示を省略している。
【0019】
シリンダブロック10の下面には、当該シリンダブロック10の外周縁に沿う略四角筒状のクランクケース31が固定されている。また、クランクケース31の下端面には、有底四角箱状の貯留ケース32が固定されている。これらクランクケース31及び貯留ケース32によってオイル(エンジンオイル)を貯留するためのオイルパン30が構成されている。
【0020】
シリンダブロック10における下側部分10Lには、気筒11の内部からオイルパン30の内部へと漏れ出たブローバイガスを外部へと導くためのブローバイガス通路40が区画されている。ブローバイガス通路40は、シリンダブロック10の幅方向一方側の壁部に設けられている。ブローバイガス通路40には、ブローバイガスに含まれるオイルを液化して捕集するオイルセパレータ45が接続されている。また、オイルセパレータ45は、吸気通路23に接続されている。オイルセパレータ45においてオイルが捕集された後のブローバイガスは、吸気通路23内の負圧にしたがって吸気通路23内へと吸引される。なお、図1では、オイルセパレータ45、当該オイルセパレータ45とブローバイガス通路40や吸気通路23との接続関係を簡略化して図示している。
【0021】
図2に示すように、ブローバイガス通路40は、シリンダブロック10の下面に開口しているとともに、シリンダブロック10の下面から上方向に延びる縦穴部41を備えている。縦穴部41には、ブローバイガス通路40の一部を構成する横穴部42が連通している。横穴部42は、シリンダブロック10の幅方向に延びており、シリンダブロック10における幅方向一方側の外側面に開口している。すなわち、この実施形態では、横穴部42の延設方向は、縦穴部41の延設方向に対して直交している。また、横穴部42は、当該横穴部42の延設方向から視ると円形状になっている。
【0022】
図2に示すように縦穴部41は、シリンダブロック10の幅方向において、下側部分10Lのうち、当該下側部分10Lが上側部分10Uよりも幅方向外側に張り出している部分に位置している。また、縦穴部41は、当該縦穴部41と横穴部42との連通箇所よりも上側にまで延びている。その結果として、縦穴部41の上端側の一部は、横穴部42に対して上側に窪んだようになっている。
【0023】
図3に示すように、縦穴部41は、当該縦穴部41の延設方向から視た場合に、略楕円形状になっている。より具体的には、縦穴部41は、楕円の短径方向の一方側に向かって膨らむように僅かに湾曲した楕円形状になっている。この実施形態では、平面視楕円形状の縦穴部41の長径方向の寸法は、横穴部42の内径よりもやや大きく、縦穴部41の短径方向の寸法は、横穴部42の内径の半分程度になっている。
【0024】
縦穴部41は、横穴部42の中心軸線A1に対して、縦穴部41の延設方向及び横穴部42の延設方向のいずれにも直交する方向(図2において上下方向)の一方側にずれて配置されている。この実施形態では、縦穴部41は、湾曲した楕円の膨らんでいる側(図3において下側)にずれて配置されている。また、縦穴部41は、横穴部42における中心軸線A1よりも一方側において当該横穴部42に連通している。
【0025】
縦穴部41は、当該縦穴部41の延設方向から視た場合に、楕円の長径方向D1が横穴部42の中心軸線A1に対して傾斜するように配置されている。この実施形態では、シリンダブロック10の幅方向一方側(図3において右側)ほど、縦穴部41における楕円の長径方向D1と横穴部42の中心軸線A1との距離が長くなるように、縦穴部41が配置されている。その結果として、縦穴部41の一部は、横穴部42よりも、湾曲した楕円の膨らんでいる側(図3において下側)に位置している。すなわち、縦穴部41の延設方向から視た場合に、縦穴部41の一部が横穴部42に対して窪んだようになっている。
【0026】
なお、上述したとおり、縦穴部41の平面視形状は、横穴部42に対してずれている側に膨らむように楕円が湾曲したような形状になっている。したがって、縦穴部41の内周面のうち、横穴部42に対してずれている側の内周面の全体が、上記ずれている側に向かって膨らんだ円弧面41aになっている。
【0027】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
内燃機関Eが運転していると、ピストン13と気筒11の内周面との間の僅かな隙間から、未燃燃料や排気がオイルパン30の内部へとブローバイガスとして漏れ出てくる。また、このブローバイガスには、オイルパン30の内部で揮発したオイルが含まれる。
【0028】
オイルパン30内部のブローバイガスは、吸気通路23内の負圧によって、シリンダブロック10の下面の開口を介してブローバイガス通路40の縦穴部41に流入する。縦穴部41内に流入したブローバイガスは、縦穴部41の延設方向に沿って上側へと流れる。このようにブローバイガスが縦穴部41を上側に向かって流れる際、縦穴部41の円弧面41aの近傍に流れるブローバイガスは、当該円弧面41aによって流れ方向が案内される。そのため、図2に示すように、ブローバイガスには円弧面41a円弧形状に沿う流れが付与され、ブローバイガス全体として緩やかに旋回しながら上側へと向かう流れF1が生じる。
【0029】
縦穴部41内を上側に向かって流れていったブローバイガスは、横穴部42内へと流入する。ここで、図3に示すように、縦穴部41は、横穴部42の中心軸線A1に対して一方側にずれて配置されている。したがって、横穴部42のうち、縦穴部41がずれている側(図3において下側)には比較的にブローバイガスが流入しやすい一方で、縦穴部41がずれている側とは反対側(図3において上側)には比較的にブローバイガスが流入しにくい。そのため、横穴部42においては、ブローバイガスの圧力差が生じ、横穴部42に流入したブローバイガスには、縦穴部41がずれている側からその反対側へと向かって旋回するような流れF2が生じる。このブローバイガスの流れF2に伴って、縦穴部41内部におけるブローバイガスの旋回流が増強される。そのため、縦穴部41の内部においては、下側の部分の流れF1よりも、上側の部分の流れF3の方が旋回の勢いが強くなる。
【0030】
横穴部42に流入するのに伴って旋回流の勢いが強められたブローバイガスの一部は、旋回しながら縦穴部41の上端部に至る。上述したとおり、この縦穴部41の上端部は、横穴部42に対して上側に窪んだようになっている。そのため、縦穴部41の上端部においてブローバイガスが旋回することにより、縦穴部41の上端部における内周面に、オイルの粒子が付着して、ブローバイガスからオイルが取り除かれる。なお、縦穴部41の上端部における内周面に付着したオイルは、自重により縦穴部41の内周面を伝って下側へと流下していく。
【0031】
ところで、本実施形態では、縦穴部41は、下側部分10Lのうち、当該下側部分10Lが上側部分10Uよりも幅方向外側に張り出している部分に位置している。そのため、縦穴部41の上端とシリンダブロック10の段差面10aとを隔てる壁部の厚みX1は、横穴部42の上端とシリンダブロック10の段差面10aとを隔てる壁部の厚みX2よりも相応に小さい。そのため、縦穴部41の上端部のブローバイガスは、シリンダブロック10の外部の温度、すなわち外気温度が伝わりやすく冷却されやすい。このようにブローバイガスが縦穴部41の上端部で冷却されることで、ブローバイガスに含まれるオイルが液化しやすくなる。また、ブローバイガスが冷却されることにより、冷却前よりもブローバイガスの密度を高くすることができる。このように密度を高めた上で、ブローバイガスをブローバイガス通路40からオイルセパレータ45へと供給することにより、オイルセパレータ45においてブローバイガス中のオイルを捕集されやすくなる。
【0032】
以上のとおり、本実施形態のシリンダブロック10は、ブローバイガス通路40そのものがオイルを捕集する機能を持つことにより、構造が過度に複雑なオイルセパレータ45や過度に大型のオイルセパレータ45を採用しなくても、ブローバイガスに含まれるオイルを十分に捕集できる。
【0033】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・シリンダブロック10全体の形状は適宜変更できる。例えば、シリンダブロック10の幅方向の寸法が上下方向の全体に亘って略一定で、上側部分10Uと下側部分10Lとの区別がない形状であってもよい。なお、この場合、ブローバイガス通路40における縦穴部41よりも上側に、シリンダブロック10の外部空間が位置しなくなる。
【0034】
・シリンダブロック10(上側部分10U及び下側部分10L)の幅方向の寸法に拘らず、ブローバイガス通路40における縦穴部41よりも上側にシリンダブロック10の外部空間が位置することもある。例えば、シリンダブロック10の外側面から内側に凹部が窪んでいる場合、この凹部の内部空間が縦穴部41よりも上側にシリンダブロック10の外部空間として位置していることもある。
【0035】
・シリンダヘッド20、ヘッドカバー28、オイルパン30の構成は、内燃機関Eの全体構成に合わせて適宜変更できる。例えば、クランクケース31と貯留ケース32とでオイルパン30を構成するのではなく、有底箱状の1つの部材でオイルパン30を構成してもよい。
【0036】
・ブローバイガス通路40は、複数設けられていてもよい。例えば、シリンダブロック10における幅方向一方側だけでなく他方側にも設けてもよい。なお、ブローバイガス通路40が複数設けられている場合、そのうちの少なくとも1つに、上記実施形態の縦穴部41及び横穴部42に関する構成が採用されていればよい。
【0037】
・ブローバイガス通路40の縦穴部41は、必ずしも上下方向に延びていなくてもよい。全体として、シリンダブロック10の下面から上側へと延びているのであれば、縦穴部41は上下方向に対して傾斜する方向に延びていてもよい。さらに、縦穴部41は、直線状に延びていなくてもよく、途中で湾曲するように延びていてもよい。
【0038】
・ブローバイガス通路40の横穴部42は、必ずしもシリンダブロック10の幅方向に延びていなくてもよい。例えば、横穴部42は、縦穴部41との接続箇所から斜め上側に延びていてもよい。なお、この変更例の場合、横穴部42の一部が、縦穴部41の上端よりも上側に位置することがある。この場合でも、縦穴部41が、横穴部42との接続箇所よりも上側にまで延びていれば、縦穴部41の上端部が横穴部42に対して窪んだようになる。
【0039】
・縦穴部41の延設方向から視たときの当該縦穴部41の平面視形状は、上記実施形態の形状に限らない。例えば、縦穴部41の平面視形状は、横穴部42の中心軸線A1からずれた方向側が円弧状になった半円形状や扇形状であってもよい。
【0040】
・縦穴部41の内周面のうちのずれた方向側の内周面全体が円弧面41aになっていなくてもよい。縦穴部41の内周面のうちのずれた方向側の内周面の少なくとも一部が、ずれた方向側へ膨らんだ円弧面41aになっていれば、縦穴部41の内部において多少なりとも旋回流が生じる。
【0041】
・横穴部42の延設方向から視たときの当該横穴部42の平面視形状は、上記実施形態の形状に限らない。例えば、横穴部42の平面視形状は楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0042】
・ブローバイガス通路40が、縦穴部41及び横穴部42以外の他の穴部を含んで構成されていることもある。例えば、縦穴部41の途中から連通穴部が延びており、その連通穴部を介して縦穴部41がシリンダブロック10の内部に区画されたオイルセパレータに連通していてもよい。
【符号の説明】
【0043】
E…内燃機関、10…シリンダブロック、10U…上側部分、10L…下側部分、10a…段差面、11…気筒、12…空隙部、13…ピストン、14…コネクティングロッド、20…シリンダヘッド、21…燃焼室、22…吸気ポート、23…吸気通路、24…吸気バルブ、25…排気ポート、26…排気通路、27…排気バルブ、28…ヘッドカバー、30…オイルパン、31…クランクケース、32…貯留ケース、40…ブローバイガス通路、41…縦穴部、41a…円弧面、42…横穴部、45…オイルセパレータ、A1…中心軸線、D1…長径方向。
図1
図2
図3