(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1モードは、前記間欠駆動の停止時間を、第1時間とするモードであり、前記第2モードは、前記間欠駆動の停止時間を、前記第1時間よりも長い第2時間とするモードであることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態について、添付図面に基づいて説明する。以下では、本発明の印刷装置として、布帛などの印刷媒体にインクを吐出して印刷画像を形成するインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」と称する。)を例に挙げて説明する。
【0008】
図1は、プリンター1の基本構成を示す斜視図である。プリンター1は、印刷媒体Tがセットされるセットトレイ3と、セットトレイ3を移動させる移動部9と、印刷媒体Tにインクを吐出する吐出ヘッド5と、吐出ヘッド5を搭載したキャリッジ17と、ユーザーインターフェースとなる操作パネル6と、を備えている。吐出ヘッド5は、本発明の「インク吐出部」の一例である。
【0009】
移動部9は、プリンター1の装置本体2の移動方向Aに沿って延びる支持ベース11と、支持ベース11の中央部において移動方向Aに沿って往復移動可能に設けられた支持台12と、支持台12を駆動するタイミングベルト13と、を備えている。移動部9は、支持台12の上面に取り付けられたセットトレイ3を、印刷媒体Tを着脱する位置であるセット位置Sと、印刷を開始する位置である印刷開始位置Kとの間で移動させる。セット位置Sと印刷開始位置Kとの間には、吐出ヘッド5により印刷が行われる印刷実行領域15が設けられている。
【0010】
キャリッジ17は、不図示のキャリッジ走査機構により、セットトレイ3の移動方向Aと交差する走査方向Bに移動可能に構成されている。キャリッジ17の走査方向Bにおける一端部は、ホームポジションとなっており、このホームポジションの下方には、吐出ヘッド5のノズル形成面を封止可能なキャッピング機構7が配設されている。
【0011】
吐出ヘッド5は、インクカートリッジ16からインク供給流路21(
図2参照)を介して供給されるインクを導入し、導入したインクを印刷媒体Tに吐出させることにより印刷を行う。本実施形態では、吐出ヘッド5として、キャリッジ17の走査方向Bにおける往復移動に連動して印刷を行う、シリアル型のヘッドを用いる。また、本実施形態の吐出ヘッド5には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、ホワイト(W)の5色のインクに対応する5本のノズル列が形成されている。これら各ノズル列は、例えば180個のノズル10(
図2参照)により構成される。
【0012】
ここで、上記のホワイトインクは、白色系の顔料成分を含有したインクであり、白色系液体の一種である。白色系顔料としては、例えば、二酸化チタンを好適に用いることができる。なお、「白色系」とは、視覚的に白色と認識される色であって、無彩色の白色に限らず、例えば、オフホワイトやアイボリーホワイトと呼ばれる多少色味がかった白色も含まれることを意味する。
【0013】
また、本実施形態において、ホワイトインクは、インクの溶媒成分よりも比重が大きい沈降成分を含んでおり、他色のインクよりも沈降成分が生じやすい性質があるものとする。沈降成分は、例えば顔料成分であり、時間の経過に伴って沈降成分が沈降すると、沈降成分の濃度に偏りが生じてインクの色味が変化してしまう。そこで、この問題を解消すべく、本実施形態のプリンター1は、インクカートリッジ16から吐出ヘッド5にインクを供給するインク供給流路21に、インクを攪拌するためのインク循環流路C(
図2参照)を設けている。
【0014】
図2は、上記のインク供給流路21およびインク循環流路Cを含むインク供給部20と、吐出ヘッド5のメンテナンスを行うメンテナンス部30と、を示す模式図である。インク供給部20は、インクカートリッジ16から吐出ヘッド5にインクを供給するための流路となるインク供給流路21と、インク供給流路21に設けられた逆止弁22と、インク供給流路21に連通されたキャリッジ17内部の流路であるキャリッジ内流路17aと、キャリッジ内流路17aに設けられたキャリッジフィルター23と、を色別に備えている。すなわち、インクカートリッジ16に収容された各色のインクは、インク供給流路21と、キャリッジ内流路17aと、を介して、吐出ヘッド5のノズル10に供給される。
【0015】
インク供給流路21は、可撓性のあるインクチューブにより構成され、キャリッジ17の移動に伴って摺動する摺動部分を含んでいる。
図2では、インク供給流路21の摺動部分を省略して示している。なお、インク循環流路Cも、可撓性のあるインクチューブにより構成され、その摺動部分を省略して示している。逆止弁22は、インク供給流路21においてインクの逆流を防止するものであり、インクカートリッジ16側から吐出ヘッド5側にインクが流れることを許容し、吐出ヘッド5側からインクカートリッジ16側にインクが逆流することを阻止する。
【0016】
キャリッジフィルター23は、インク供給流路21から異物が圧力発生室5aへ進入することを防ぐ。このキャリッジフィルター23の機能により、異物が吐出ヘッド5に供給されることにより生じる、ノズル10の目詰まりを抑制する。また、図示しないが、キャリッジ内流路17aのキャリッジフィルター23の下流側には、インクの流動圧を調整するための自己封止弁が設けられる。なお、下流側とは、インク供給流路21およびキャリッジ内流路17aにおいて、インクカートリッジ16側ではなく吐出ヘッド5側であることを指す。さらに、自己封止弁の下流側は、吐出ヘッド5のヘッド内流路に連通され、ヘッド内流路には、ノズル10に連通された圧力発生室5aが設けられる。圧力発生室5aには、圧電素子が設けられ、この圧電素子の伸縮を繰り返すことにより、ノズル10からインクが吐出される。なお、この圧電素子の代わりに、インクを熱することで発生した気泡によりインクノズル10からインクを吐出するためのヒーターが設けられてもよい。
【0017】
一方、5色のインクに対応した5つのインク供給流路21のうち、ホワイトインクに対応するインク供給流路21には、インク循環流路Cが設けられている。このインク循環流路Cにおいて、インクを循環させることにより、インクの溶媒成分と沈降成分を混ぜ合わせ、ノズル10から吐出されるインクの沈降成分を減らさないことによりインクの色味が変化してしまうことを抑制する。
【0018】
インク循環流路Cは、循環往路C1と、循環復路C2と、を備えている。循環往路C1は、インク供給流路21の一部であり、インクカートリッジ16から吐出ヘッド5へ供給されるインクが流れる。循環往路C1の下流端は、キャリッジ内流路17aにおいて、キャリッジフィルター23の下流側に位置する。つまり、キャリッジフィルター23は、循環往路C1に設けられる。また、循環往路C1の下流端は、循環復路C2の上流端に接続される。このように、本実施形態では、インク循環流路C内にキャリッジフィルター23を設けている。キャリッジフィルター23には、異物よりも粒子径が細かい凝集したインクがメッシュ部分に堆積し、目詰まりが発生する場合があるが、インク循環流路Cにおいて、印刷時よりも流速が速くなるようにインクを循環させることで、この凝集したインクを洗い流すことができ、キャリッジフィルター23の閉塞を防ぐことができる。
【0019】
なお、循環往路C1の下流端および循環復路C2の上流端は、上記の自己封止弁の上流側に位置してもよいし、自己封止弁の下流側、且つ、圧力発生室5aの上流側に位置してもよい。なお、上流側とは、インク供給流路21およびキャリッジ内流路17aにおいて、吐出ヘッド5側ではなくインクカートリッジ16側であることを指す。また、図示しないが、循環往路C1の下流端は、キャリッジ内流路17aにおいて、キャリッジフィルター23の上流側に位置していてもよい。この場合、インク供給流路21で凝集したインクは循環フィルター26で捕集さてしまうため、キャリッジフィルター23が凝集したインクで目詰まりすることを防ぐことができる。
【0020】
一方、循環復路C2は、吐出ヘッド5からインク供給流路21に戻るインクが流れる。つまり、インクカートリッジ16から循環往路C1を介して吐出ヘッド5に供給されたインクのうち、吐出ヘッド5から吐出されなかったインクが、循環復路C2を介してインク供給流路21に戻る。循環復路C2の下流端は、循環往路C1の上流端となる。
【0021】
循環復路C2には、上流側から順に、圧力センサー25と、循環フィルター26と、循環ポンプ27と、逆止弁28と、が設けられている。循環フィルター26は、本発明の「フィルター」の一例である。圧力センサー25は、インク循環流路Cの内部における圧力値を検出する。循環フィルター26は、インク循環流路Cにおいて、凝集したインクを濾過するフィルターであり、キャリッジフィルター23の閉塞を防ぐために設けられている。キャリッジフィルター23は、閉塞状態となった場合、キャリッジフィルター23だけでなく、キャリッジ内流路17aおよびインク供給流路21を交換しなければならず、手間とコストがかかってしまう。そのため、本実施形態では、インク循環流路Cに循環フィルター26を設けることで、キャリッジフィルター23の延命を図っている。なお、循環フィルター26は、キャリッジフィルター23よりも目が細かく、凝集したインクをより多く捕集することができる。
【0022】
しかしながら、インク循環流路Cに循環フィルター26を設けると、循環フィルター26が閉塞状態となった場合、インク循環流路Cの圧力値が高くなり、循環往路C1と循環復路C2の接続部分などからインク漏れが発生するおそれがあるため、インク循環流路Cの圧力値を調整する必要がある。そこで、本実施形態では、制御部40が、圧力センサー25の検出値に基づいて、循環フィルター26の閉塞状態を判定し、判定した循環フィルター26の閉塞状態に応じて、インク循環流路Cにおけるインクの循環処理を行う。詳細については、後述する。なお、制御部40は、本発明の「判定部」の一例である。
【0023】
循環ポンプ27は、インク循環流路Cにおいて、
図2に示す白抜き矢印の方向にインクを循環させる。循環ポンプ27としては、脈動を抑制でき、経時的な流量変動が少ないことから、ギアポンプを好適に用いることができる。また、循環ポンプ27は、循環モーター29により駆動される。循環モーター29は、本発明の「モーター」の一例である。また、循環ポンプ27および循環モーター29は、本発明の「循環部」の一例である。循環モーター29は、間欠駆動され、間欠駆動の駆動時間と停止時間は、制御部40により制御される。一方、逆止弁28は、インク循環流路Cにおいて、白抜き矢印の方向にインクが流れることを許容し、逆方向にインクが流れることを阻止する。
【0024】
続いて、メンテナンス部30について説明する。メンテナンス部30は、キャッピング機構7と、インクを廃液するための廃液流路34と、廃液を貯留する廃液貯留部37と、を備えている。
【0025】
キャッピング機構7は、上面側が開口したトレイ状の弾性材からなるキャップ部材7aと、キャッピング機構7を昇降させる昇降装置32と、昇降装置32の駆動源となるメンテナンスモーター33と、吐出ヘッド5のノズル形成面が封止された状態におけるキャップ部材7aの内部空間を負圧化する吸引ポンプ35と、吸引ポンプ35の駆動源となる吸引モーター36と、を備えている。
【0026】
キャッピング機構7は、昇降装置32の昇降動作により、キャップ部材7aが吐出ヘッド5のノズル形成面を封止する封止状態と、キャップ部材7aがノズル形成面から離隔した待避状態と、のいずれかに切り替えられる。具体的には、吐出ヘッド5が印刷媒体Tに対して印刷動作を行わない待機状態のとき、および、プリンター1の電源がOFFにされたとき、キャリッジ17はホームポジションに位置付けられて、キャッピング機構7によりノズル形成面がキャッピングされる。これにより、ノズル形成面からのインクの溶媒成分の蒸発を抑制する。
【0027】
また、吐出ヘッド5から増粘したインク等を強制的に排出する動作であるフラッシング動作時においては、キャップ部材7aは、待避状態でノズル形成面をキャッピングすることなく吐出ヘッド5から噴射されたインクを受けるインク受け部材として機能する。さらに、吐出ヘッド5内の増粘したインクや気泡等を除去してノズルの目詰まり等を回復する動作である吸引クリーニング動作においては、上記キャッピング状態において吸引ポンプ35を作動させてキャップ部材7aの内部空間を負圧にすることで、ノズルから強制的にインクをキャップ部材7aに排出させる。キャップ部材7aに排出された廃インクは、廃液流路34を介して、廃液貯留部37に排出される。なお、フラッシング動作およびインク吸引動作は、本発明の「メンテナンス」の一例である。
【0028】
なお、ホームポジションには、メンテナンス部30の他に、印刷休止時におけるノズル形成面のインクの蒸発を抑制するための乾燥防止キャップ、ノズル形成面からインクを払拭するワイパー、吐出ヘッド5から吐出されたインクを受容するフラッシングボックスなどを設けてもよい。
【0029】
次に、
図3を参照し、プリンター1の制御系について説明する。プリンター1は、制御系の構成として、制御部40と、圧力センサー25と、循環モーター29と、インターフェース51と、操作パネル6と、吐出ヘッド5と、キャリッジモーター52と、トレイモーター53と、メンテナンスモーター33と、吸引モーター36と、を備え、これらはバス49を介して接続されている。
【0030】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、タイマー44と、を備える。CPU41は、プリンター1内の各部とバス49を介して信号の入出力を行い、各種演算処理を行うプロセッサーである。なお、プロセッサーは、複数のCPUで構成されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路で構成されてもよい。
【0031】
ROM42は、不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムを記憶する。RAM43は、揮発性の記憶媒体であり、CPU41のワークエリアとして用いられる。タイマー44は、循環モーター29を間欠駆動させる際の駆動時間および停止時間を計測する。
【0032】
圧力センサー25は、制御部40からの指令にしたがって、インク循環流路Cの圧力値を検出する。循環モーター29は、制御部40から出力された駆動信号に基づいて、循環ポンプ27を駆動する。インターフェース51は、外部装置100から印刷ジョブを含む各種データを受信する。外部装置100としては、例えば、パソコンを用いることができる。制御部40は、外部装置100から受信した印刷ジョブに基づいて、吐出ヘッド5を駆動させるための駆動波形を生成する。
【0033】
操作パネル6は、ユーザーが各種操作を行うための操作ボタンと、各種情報を表示する液晶ディスプレー等が設けられている。操作パネル6は、例えば、制御部40により循環フィルター26が閉塞状態であると判定された場合、その旨のメッセージを通知する。ユーザーは、このメッセージに対し、操作パネル6を用いて、循環フィルター26を交換するか、継続使用するか、のいずれかを選択する。また、操作パネル6は、制御部40により循環フィルター26の閉塞状態が改善不可能と判定された場合、エラー表示を行う。
【0034】
吐出ヘッド5は、制御部40により生成された駆動波形に基づいて、ノズル10からインクを吐出する。キャリッジモーター52は、制御部40から出力された駆動信号に基づいて、キャリッジ走査機構を駆動し、キャリッジ17を移動させる。トレイモーター53は、制御部40から出力された駆動信号に基づいて、タイミングベルト13を駆動し、セットトレイ3が取り付けられた支持台12を移動させる。
【0035】
メンテナンスモーター33は、制御部40から出力された駆動信号に基づいて、昇降装置32を駆動し、キャッピング機構7を昇降させる。吸引モーター36は、制御部40から出力された駆動信号に基づいて、吸引ポンプ35を駆動し、キャッピング機構7にインク吸引動作を行わせる。
【0036】
上記の構成により、制御部40は、インク循環流路Cにおけるインク循環処理を行う。より具体的には、制御部40は、プリンター1が電源ONされた場合、およびプリンター1が動作していない状態が一定時間続いた場合に、インク循環処理を行う。前者の場合、電源ONされるまでの放置時間が、所定の時間より長い場合は、循環モーター29の駆動回数が第1の指定数となる第1のインク循環処理を行う。また、電源ONされるまでの放置時間が、所定の時間以下の場合は、循環モーター29の駆動回数が第1の指定数よりも少ない第2の指定数となる第2のインク循環処理を行う。さらに、プリンター1が動作していない状態が一定時間続いた場合は、循環モーター29の駆動回数が第2の実行回数よりも少ない第3の指定数となる第3のインク循環処理を行う。
【0037】
また、制御部40は、第1のインク循環処理、第2のインク循環処理、または、第3のインク循環処理において、処理開始後、圧力センサー25の検出結果から、循環フィルター26が閉塞状態であると判定するまでは、第1モードで循環モーター29を駆動し、循環フィルター26が閉塞状態であると判定した後は、第1モードよりも単位時間当たりの循環量が少ない第2モードで循環モーター29を駆動する。なお、循環量とは、インク循環流路Cにおけるインクの流速と、インクが循環している時間と、によって決まる量である。したがって、各モードにおける単位時間当たりの循環量は、インクが循環していない状態を流速ゼロと看做した場合、各モードの処理時間中におけるインクの流速の平均値によって決まる。制御部40は、循環モーター29の単位時間当たりの回転数、駆動時間および停止時間を制御することにより、循環量を変更する。
【0038】
ここで、
図4および
図5のフローチャートを参照し、第1モードで循環モーター29を駆動する第1モード処理と、第2モードで循環モーター29を駆動する第2モード処理と、を説明する。本実施形態では、循環モーター29の単位時間当たりの回転数は一定であるものとする。
【0039】
図4は、第1モード処理の流れを示すフローチャートである。制御部40は、第1モード処理を開始すると、まず、インク循環流路Cにインクが循環していない状態の圧力センサー25の検出値である基準圧力値を取得する(S01)。その後、制御部40は、循環モーター29を駆動させる(S02)。S02における駆動時間は、例えば1秒間など、所定の時間である。その後、制御部40は、循環モーター29を間欠停止させる(S03)。S03における停止時間は、例えば1秒間など、所定の時間である。なお、S03における停止時間は、本発明の「第1時間」の一例である。制御部40は、S03における停止時間終了時に、圧力センサー25の検出値である循環後圧力値を取得する(S04)。このように、圧力センサー25の検出は、循環モーター29の停止時間において行われる。
【0040】
制御部40は、S04で取得した循環後圧力値から、S01で取得した基準圧力値を指し引いた値である差分圧力値を算出し、算出した差分圧力値に応じて、循環フィルター26が閉塞状態であるか否かを判定する(S05)。具体的には、制御部40は、差分圧力値が、所定の閾値である第1の閾値以上のとき、循環フィルター26が閉塞状態であると判定し(S05:Yes)、第1の閾値未満のとき、循環フィルター26が閉塞状態ではないと判定する(S05:No)。第1の閾値は、本発明の「閾値」の一例である。制御部40は、循環フィルター26が閉塞状態ではないと判定した場合(S05:No)、循環モーター29の駆動回数が指定数に達したか否かを判別し(S06)、指定数に達したと判定した場合は(S06:Yes)、第1モード処理を終了する。ここで、指定数とは、インク循環処理の種類(第1のインク循環処理、第2のインク循環処理、または、第3のインク循環処理)に応じた第1の指定数、第2の指定数、第3の指定数のいずれかを指す。また、制御部40は、循環モーター29の駆動回数が指定数に達していないと判定した場合(S06:No)、S02に戻る。
【0041】
一方、制御部40は、循環フィルター26が閉塞状態であると判定した場合(S05:Yes)、循環フィルター26が閉塞状態となった旨のメッセージを操作パネル6に表示させる(S07)。このメッセージに対し、ユーザーが、循環フィルター26の交換を示す操作を行った場合(S08:Yes)、制御部40は、メンテナンス部30にメンテナンスを実行させ(S09)、第1モード処理を終了する。なお、S09におけるメンテナンスとは、所定の量のインクを排出させるフラッシング動作と、所定の量のインクを吸引させるインク吸引動作と、を指す。また、ユーザーが、循環フィルター26の交換を示す操作を行わなかった場合、または、循環フィルター26の継続使用を示す操作を行った場合(S08:No)、制御部40は、第2モード処理を開始する。
【0042】
図5は、第2モード処理の流れを示すフローチャートである。制御部40は、第2モード処理を開始すると、基準圧力値を取得し(S11)、循環モーター29を駆動させる(S12)。S12における駆動時間は、第1モード処理のS02における駆動時間と同様、例えば1秒間である。その後、制御部40は、循環モーター29を間欠停止させる(S13)。S13における停止時間は、S03における停止時間と同様、例えば1秒間である。また、制御部40は、S13における停止時間経過後、さらにインク循環流路C内の圧力値を低下させるため、例えば4秒間の停止時間をとる(S14)。なお、S13における停止時間と、S14における停止時間の合計は、本発明の「第2時間」の一例である。制御部40は、S14の停止時間終了時において、圧力センサー25の検出値である循環後圧力値を取得する(S15)。
【0043】
制御部40は、S15で取得した循環後圧力値から、S11で取得した基準圧力値を指し引いた値である差分圧力値を算出し、算出した差分圧力値が第1の閾値以上であるか否かに応じて、循環フィルター26が閉塞状態であるか否かを判定する(S16)。制御部40は、循環フィルター26が閉塞状態ではないと判定した場合(S16:No)、循環モーター29の駆動回数が指定数に達したか否かを判別し(S17)、指定数に達したと判定した場合は(S17:Yes)、第2モード処理を終了する。なお、S17では、第1モード処理における循環モーター29の駆動回数と、第2モード処理における循環モーター29の駆動回数と、の累計値、すなわちインク循環処理開始後の合計駆動回数が、指定数に達したか否かを判定する。制御部40は、循環モーター29の駆動回数が指定数に達していないと判定した場合(S17:No)、S12に戻る。
【0044】
一方、制御部40は、循環フィルター26が閉塞状態であると判定した場合(S16:Yes)、操作パネル6にエラー表示を行う(S18)。この場合、制御部40は、メンテナンス部30にメンテナンスを実行させ(S19)、プリンター1を緊急停止させる。なお、S18のエラー表示と、S19のメンテナンスの実行は、順不同である。
【0045】
以上説明したとおり、本実施形態に係るプリンター1は、インク循環流路Cに循環フィルター26を設けているため、キャリッジフィルター23の目詰まりを抑制することができる。これにより、キャリッジフィルター23の長寿命化を実現し、キャリッジフィルター23の交換に伴う手間とコストを削減することができる。なお、循環フィルター26の目詰まりが発生した場合、つまり循環フィルター26が使用不能となった場合は、循環フィルター26のみ交換すればよいため、キャリッジフィルター23の交換と比較し、手間とコストを抑えることができる。
【0046】
また、プリンター1は、インク循環流路Cに設けられた循環フィルター26が閉塞状態であると判定するまでは、第1モード処理を行い、循環フィルター26が閉塞状態であると判定された後は、第2モード処理を行うため、循環フィルター26が閉塞状態となった場合でも、循環フィルター26を継続使用することができる。つまり、循環フィルター26が閉塞状態に近づくと、インク循環流路Cの圧力値が上昇し、インク漏れが発生するおそれがあるが、単位時間当たりの循環量が少ない第2モード処理に切り替えることにより、圧力値の上昇を抑え、循環フィルター26の継続使用が可能となる。なお、
図5に示した第2モード処理は、
図4に示した第1モード処理に比べ、S14で圧力低下を目的とした停止時間を追加したことにより、単位時間あたりの、循環モーター29の回転数が少なくなり、その結果、単位時間当たりの循環量が少なくなっている。
【0047】
また、プリンター1は、圧力センサー25の検出結果に基づいて、循環フィルター26の閉塞状態を判定しているため、正確な判定結果が期待できる。また、プリンター1は、循環モーター29の間欠駆動の停止時間において圧力値を検出するため、インク流速の影響を受けることなく、検出を行うことができる。また、インク循環流路Cにおいて、圧力センサー25は、循環フィルター26の上流側に配置されているため、循環フィルター26の下流側に配置された場合と比べ、循環ポンプ27の影響を受けにくく、正確な検出を行うことができる。
【0048】
また、プリンター1は、第1モード処理では、循環モーター29の間欠駆動の停止時間を、第1時間(上記の実施形態では、1秒間)とし、第2モード処理では、第1時間よりも長い第2時間(上記の実施形態では、5秒間)としている。このように、第1時間および第2時間を固定時間とすることにより、循環モーター29の駆動制御を単純化し、CPU41の処理負荷を軽減することができる。
【0049】
また、プリンター1は、第1モード処理および第2モード処理の開始時に、インク循環流路Cにインクが循環していない状態の圧力値である基準圧力値を検出し、基準圧力値と、循環駆動後の圧力センサー25の検出値である循環後圧力値と、の差である差分圧力差が、第1の閾値以上であるか否かに応じて、循環フィルター26の閉塞状態を判定するため、気圧の影響を排除し、正確な判定を行うことができる。
【0050】
また、プリンター1は、第2モード処理において、循環フィルター26が閉塞状態であると判定された場合、メンテナンス部30にメンテナンスを実行させるため、インク循環流路Cの圧力を抜くことができる。これにより、プリンター1を緊急停止させた後、循環フィルター26の交換を行う場合などに、インク循環流路Cからインクが噴出することを抑止できる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、第2モード処理において、循環モーター29の間欠駆動の停止時間である第2時間を固定時間としたが、本実施形態では、第2時間を変動時間とする。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0052】
図6は、第2実施形態に係る第2モード処理の流れを示すフローチャートである。制御部40は、第2モード処理を開始すると、基準圧力値を取得し(S21)、循環モーター29を駆動させる(S22)。その後、制御部40は、循環モーター29を間欠停止させる(S23)。S23における停止時間は、第1実施形態のS13における停止時間と同様、例えば1秒間である。また、制御部40は、S23における停止時間終了時において、圧力センサー25の検出値である循環後圧力値を取得する(S24)。
【0053】
制御部40は、S24で取得した循環後圧力値から、S21で取得した基準圧力値を指し引いた値である差分圧力値を算出し、算出した差分圧力値が第1の閾値以上であるか否かに応じて、循環フィルター26が閉塞状態であるか否かを判定する(S25)。制御部40は、循環フィルター26が閉塞状態ではないと判定した場合(S25:No)、循環モーター29の駆動回数が指定数に達したか否かを判別し(S26)、指定数に達したと判定した場合は(S26:Yes)、第2モード処理を終了する。また、制御部40は、循環モーター29の駆動回数が指定数に達していないと判定した場合(S26:No)、S22に戻る。
【0054】
一方、制御部40は、循環フィルター26が閉塞状態であると判定した場合(S25:Yes)、S24,S25,S27,S28のループ処理における停止時間の合計が4秒間以上となったか否かを判別する(S27)。第2モード処理を開始し、最初にS25:Yesと判定されたときは、停止時間の合計は0秒間であるため、停止時間の合計が4秒間以上となっていないと判定する(S27:No)。この場合、制御部40は、インク循環流路C内の圧力値を低下させるため、例えば0.5秒間の停止時間をとり(S28)、S24に戻る。なお、S23とS28の停止時間の合計は、本発明の「第2時間」の一例である。
【0055】
また、制御部40は、S24,S25,S27,S28のループ処理を繰り返したことにより、停止時間の合計が4秒間以上となったと判定した場合は(S27:Yes)、操作パネル6にエラー表示を行い(S29)、メンテナンス部30にメンテナンスを実行させた後(S30)、プリンター1を緊急停止させる。なお、本実施形態では、S28で0.5秒間ずつ停止時間を追加していく構成であるため、第2モード処理を開始し、9回目にS25:Yesと判定されたとき、S27において、停止時間の合計が4秒間以上となったと判定する。したがって、本実施形態において、S23とS28の停止時間の合計の上限値は、5秒間となる。
【0056】
以上説明したとおり、本実施形態に係るプリンター1は、圧力センサー25の検出結果に応じて、循環モーター29の間欠駆動の停止時間である第2時間を変動させるため、第2時間を固定時間とした第1実施形態と比べて、インク循環処理の所要時間を削減することができる。また、本実施形態では、第1実施形態と比べて、停止時間が短くなるため、インク循環流路Cにおけるインクの流速が落ちにくく、循環性能も落ちにくいといった効果も奏する。
【0057】
以上、2つの実施形態を示したが、これらの実施形態によらず、以下の変形例を採用可能である。
[変形例1]
上記の実施形態では、圧力センサー25の検出結果に基づいて、循環フィルター26の閉塞状態を判定したが、他の方法により循環フィルター26の閉塞状態を判定してもよい。例えば、インク循環処理を行った回数が所定数に達したとき、循環フィルター26が閉塞状態であると判定してもよい。ここで、インク循環処理とは、予め定められた指定数だけ循環駆動(
図4のS02,
図5のS12,
図6のS22参照)を行うことを指す。また、循環駆動の回数が所定数に達したとき、または、循環モーター29の駆動回数が所定数に達したとき、循環フィルター26が閉塞状態であると判定してもよい。
【0058】
[変形例2]
上記の実施形態では、インク循環処理において、循環モーター29を間欠駆動させたが、必ずしも間欠駆動させなくてもよい。この場合、循環モーター29の単位時間当たりの回転数を調整することにより、単位時間当たりの循環量を変化させればよい。また、循環モーター29の単位時間当たりの回転数は、必ずしも第1モード処理時より第2モード処理時の方が小さくなる必要はなく、第2モード処理時において、一時的に回転数を上げ、インクの流速を上げてもよい。
【0059】
[変形例3]
上記の実施形態では、基準圧力値と循環後圧力値との差である差分圧力差に応じて、循環フィルター26の閉塞状態を判定したが、必ずしも基準圧力値を検出する必要はない。この場合、循環後圧力値が閾値以上であるか否かに応じて、循環フィルター26の閉塞状態を判定すればよい。
【0060】
[変形例4]
上記の実施形態では、ホワイトインクのインク供給流路21に、インク循環流路Cを設けたが、他色インクのインク供給流路21にも、インク循環流路Cを設けてもよい。
【0061】
[変形例5]
上記の実施形態では、循環フィルター26の閉塞状態を判定するための閾値(
図4のS05,
図5のS16,
図6のS25参照)は、全て同じ第1の閾値としたが、第1モード処理と第2モード処理で異なる閾値としてもよい。この場合、第1モード処理で用いる閾値より、第2モード処理で用いる閾値を高く設定することが好ましい。
また、さらなる変形例として、インクの色や環境温度によって、循環フィルター26の閉塞状態を判定するための閾値を変化させてもよい。
また、さらなる変形例として、循環フィルター26の閉塞状態を判定するための閾値を、ユーザーが指定してもよい。この場合、操作パネル6または外部装置100から、閾値を指定可能としてもよい。
【0062】
[変形例6]
上記の実施形態では、循環モーター29の循環駆動の駆動時間を(
図4のS02,
図5のS12,
図6のS22参照)、全て同じ時間としたが、第1モード処理と第2モード処理で異なる時間としてもよい。
また、さらなる変形例として、インクの色や環境温度によって、循環駆動の駆動時間を変化させてもよい。
また、さらなる変形例として、循環駆動の駆動時間を、ユーザーが指定してもよい。
【0063】
[変形例7]
第2実施形態において、
図6のS28における停止時間は、所定の時間(第2実施形態では、0.5秒間)としたが、S24で取得した循環後圧力値に応じて、停止時間を変動させてもよい。例えば、循環後圧力値が第2の閾値未満の場合より、循環後圧力値が第2の閾値以上の場合の停止時間を長く設定してもよい。この場合、第2の閾値は、S25の循環フィルター26の閉塞状態の判定閾値となる第1の閾値より、大きな値となる。また、S28における停止時間は、停止時間の合計値の上限値(第2実施形態では、3.5秒間)からS23の停止時間(第2実施形態では、1秒間)を指し引いた時間より、短い時間を上限値とする時間となる。
また、さらなる変形例として、
図6のS28における停止時間を、ユーザーが指定してもよい。また、
図6のS23における停止時間を、ユーザーが指定してもよい。
同様に、第1実施形態における停止時間(
図4のS03,
図5のS13およびS14参照)を、ユーザーが指定してもよい。
【0064】
[変形例8]
上記の実施形態では、循環復路C2において、循環フィルター26を、圧力センサー25と循環ポンプ27との間に配置したが、循環復路C2の循環ポンプ27より上流側であれば、他の配置でもよい。
【0065】
[変形例9]
上記の実施形態では、キャリッジ内流路17aをインク循環流路Cの一部としたが、キャリッジ内流路17aを用いることなく、インク循環流路Cを設けてもよい。この場合、インク供給流路21に分岐流路を設け、分岐流路の上流端と下流端を、それぞれインク供給流路21の一部である部分流路の下流端と上流端に接続し、分岐流路と部分流路でインク循環流路Cを構成すればよい。
また、さらなる変形例として、吐出ヘッド5内のヘッド内流路をインク循環流路Cの一部としてもよい。この場合、キャリッジフィルター23は、インク循環流路Cの一部となるヘッド内流路に設ければよい。
【0066】
[変形例10]
上記の実施形態では、プリンター1を緊急停止させる前のメンテナンスにおいて、所定の量のインクを排出させるフラッシング動作と、所定の量のインクを吸引させるインク吸引動作と、を行うものとしたが、いずれか一方の動作のみを行ってもよい。また、緊急停止前にS24で取得した循環後圧力値に応じて、フラッシング動作のみを行うか、インク吸引動作のみを行うか、両方を行うかを決定してもよい。さらに、緊急停止前にS24で取得した循環後圧力値に応じて、フラッシング動作におけるインクの排出量や、インク吸引動作におけるインクの吸引量を変動させてもよい。
【0067】
[その他の変形例]
上記の各実施形態および変形例に示したプリンター1の各処理を実行する方法、プリンター1の各処理を実行するためのプログラム、またそのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。また、本発明は、プリンター1に限らず、沈降が生じることがある成分を含む液体を吐出する液体吐出装置にも適用可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。