(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984498
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】車両運転システム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20211213BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20211213BHJP
F02B 77/08 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
B60W50/14
F02D45/00 360A
F02D45/00 372
F02B77/08 E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-42876(P2018-42876)
(22)【出願日】2018年3月9日
(65)【公開番号】特開2019-156039(P2019-156039A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 浩一
【審査官】
吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−074887(JP,A)
【文献】
特開2017−200812(JP,A)
【文献】
特開2016−050900(JP,A)
【文献】
特開2012−203551(JP,A)
【文献】
特開2005−112033(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/083206(WO,A1)
【文献】
特開2010−187526(JP,A)
【文献】
特開2015−110380(JP,A)
【文献】
特開2010−228591(JP,A)
【文献】
米国特許第6655326(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
B60W 10/00 − 10/30
B60W 30/00 − 60/00
B60T 7/12 − 8/1769
B60T 8/32 − 8/96
B62D 6/00 − 6/10
F02D 29/00 − 29/06
F02D 43/00 − 45/00
B60K 31/00 − 31/18
B60R 16/00 − 17/02
F02B 77/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両による自動運転とドライバーによる手動運転との切り替え制御が可能な車両運転システムであって、
自動運転を制御する自動運転ECUの温度を監視する温度監視部と、
前記自動運転ECUの温度に基づいて、自動運転時にドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動運転ECUの温度が自動運転実行時に許容される所定の上限温度より低い所定の第1の閾値温度以上になった場合、ドライバーに手動運転への切り替えを促す第1の動作を実行し、
前記第1の閾値温度を、前記上限温度と、前記第1の動作を実行してからドライバーが手動運転に切り替えるまでに十分な所定の時間と、前記自動運転ECUの温度上昇勾配と、に基づいて設定する、ことを特徴とする、
車両運転システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の動作の実行後も手動運転に切り替えられずに、前記自動運転ECUの温度が前記第1の閾値温度よりも高くかつ前記上限温度より低い所定の第2の閾値温度以上になった場合、ドライバーに手動運転への切り替えを促す第2の動作を実行する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の車両運転システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記自動運転ECUの温度上昇勾配を、前記自動運転ECUの冷却に用いられるリアエアコン及びブロワーの少なくとも1つの駆動状態に基づいて変化させる、ことを特徴とする、
請求項1に記載の車両運転システム。
【請求項4】
車両による自動運転とドライバーによる手動運転との切り替え制御が可能な車両運転システムのコンピュータが実行する運転権限移行方法であって、
自動運転を制御する自動運転ECUの温度を監視するステップと、
前記自動運転ECUの温度に基づいて、自動運転時にドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を制御するステップと、
前記自動運転ECUの温度が自動運転実行時に許容される所定の上限温度より低い所定の第1の閾値温度以上になった場合、ドライバーに手動運転への切り替えを促す第1の動作を実行するステップと、
前記第1の閾値温度を、前記上限温度と、前記第1の動作を実行してからドライバーが手動運転に切り替えるまでに十分な所定の時間と、前記自動運転ECUの温度上昇勾配と、に基づいて設定するステップと、を備えることを特徴とする、
運転権限移行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される運転システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1乃至3に、車両による自動運転とドライバーによる手動運転との切り替え制御が可能な車両運転システムが、開示されている。
【0003】
車両運転システムは、各種のセンサやメモリから画像情報、物標情報、及び地図情報などの様々な情報を取り込んで、自車周辺の状況を把握しながら適切な走行経路を計算して車両の自動運転を実行するために、処理性能の高いシステムオンチップ(SoC:System On a Chip)を自動運転を制御するECU(以下「自動運転ECU」という)に搭載している。
【0004】
上記SoCは、発熱量が多いことから、温度上昇によるハードウェアの故障を回避するために、SoC内に設けられた温度センサの値が所定値を超えた場合には、ハードIP(例えば画像処理機能を持つ回路ブロックなど)をシャットダウンする機構が予め備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−078530号公報
【特許文献2】特開2017−199299号公報
【特許文献3】特開平09−240502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動運転を行っている時に何らかの原因でSoCの温度が上昇してハードIPがシャットダウンしてしまった場合、自動運転ECUによる自動運転機能の一部が停止するので速やかに手動運転に切り替える必要がある。しかしながら、自動運転ECUによる自動運転機能の一部が停止してしまった後で、ドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を開始した場合には、車両による自動運転からドライバーによる手動運転への切り替えが速やかに行われないことがある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、SoCを含む自動運転ECUの温度上昇によって自動運転ECUによる自動運転機能の一部が停止する前に、ドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を開始することができる、車両運転システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両による自動運転とドライバーによる手動運転との切り替え制御が可能な車両運転システムであって、自動運転を制御する自動運転ECUの温度を監視する温度監視部と、自動運転ECUの温度に基づいて、自動運転時にドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成により、車両による自動運転を行っている時には、自動運転ECUの温度変化に基づき、必要に応じてドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を行うことができる。
【0010】
また、この一態様において、制御部は、自動運転ECUの温度が自動運転実行時に許容される所定の上限温度より低い所定の第1の閾値温度以上になった場合、ドライバーに手動運転への切り替えを促す第1の動作を実行してもよい。
【0011】
この構成により、何らかの原因で自動運転ECUの温度が自動運転実行時に許容される所定の上限温度に達してしまう(例えば、自動運転ECUがシャットダウンして自動運転機能の一部が停止してしまう)前に、ドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を速やかに開始することができる。
【0012】
また、この一態様において、制御部は、第1の閾値温度を、上限温度と、第1の動作を実行してからドライバーが手動運転に切り替えるまでに十分な所定の時間と、自動運転ECUの温度上昇勾配と、に基づいて設定してもよい。
【0013】
このように、所定の時間を設けることで、車両からドライバーへの運転操作の受け渡しを安全に行うことができる。
【0014】
また、この一態様において、制御部は、第1の動作の実行後も手動運転に切り替えられずに、自動運転ECUの温度が第1の閾値温度よりも高くかつ上限温度より低い所定の第2の閾値温度以上になった場合、ドライバーに手動運転への切り替えを促す第2の動作を実行してもよい。
【0015】
このように、閾値温度を段階的に設けることで、車両からドライバーへの運転操作の受け渡しをフェールセーフで実現できる。
【0016】
また、この一態様において、制御部は、自動運転ECUの温度上昇勾配を、自動運転ECUの冷却に用いられるリアエアコン及びブロワーの少なくとも1つの駆動状態に基づいて変化させてもよい。
【0017】
これにより、冷却機構の冷却能力に応じた自動運転ECUの温度変化を推定して、運転権限移行を実現することができる。
【0018】
また、本発明の他の一態様は、車両による自動運転とドライバーによる手動運転との切り替え制御が可能な車両運転システムのコンピュータが実行する運転権限移行方法であって、自動運転を制御する自動運転ECUの温度を監視するステップと、自動運転ECUの温度に基づいて、自動運転時にドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
この方法により、車両による自動運転を行っている時には、自動運転ECUの温度変化に基づき、必要に応じてドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
上記本発明の車両運転システムによれば、SoCを含む自動運転ECUの温度上昇によって自動運転ECUによる自動運転機能の一部が停止する前に、ドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両運転システムの概略構成を示す図
【
図2】本車両運転システムの自動運転ECUが実行する運転権限移行制御の処理手順を示すフローチャート
【
図3A】時間経過に伴う温度センサの温度上昇を説明するための図
【
図3B】時間経過に伴う温度センサの温度上昇を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0022】
[概要]
本発明の車両による自動運転とドライバーによる手動運転との切り替え制御が可能な車両運転システムは、自動運転ECUの温度に基づいて、自動運転時にドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を制御する。これにより、温度上昇によって自動運転ECUがシャットダウンして自動運転機能の一部が停止してしまう前に、車両からドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を速やかに開始させることができる。
【0023】
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両運転システム1の概略構成を示す図である。
図1に示した車両運転システム1は、情報取得部10と、自動運転ECU20と、アクチュエータ30と、冷却機構部40と、要求出力部50と、を備えている。
【0024】
情報取得部10は、車両周辺の状況及び車両本体の状態に関する各種の情報を取得するための装置であり、例えば、カメラ11、ミリ波レーダー12、レーザーレーダー13、地図情報データベース(DB)14、ドライバモニタ15、及び車両状態センサ16などで構成される。この情報取得部10で取得された様々な情報は、自動運転ECU20に出力される。
【0025】
自動運転ECU20は、車両による自動運転を制御するための電子制御ユニット(Electronic Control Unit)であり、SoC21と、MCU(Micro Controller Unit)22とを、少なくとも1つ以上含んで構成されている。SoC21は、情報取得部10で取得された様々な情報に基づいて、自動運転に関する所定の演算や処理を実行する。このSoC21には、図示しないハードIPを保護するためにSoC21の温度を監視する温度センサ23(請求項における「温度監視部」に該当)が内蔵されている。MCU22(請求項における「制御部」に該当)は、SoC21が実行した演算や処理の結果に基づき、アクチュエータ30を適切に動作させるための制御信号を出力して、車両の自動運転を制御する。また、MCU22は、温度センサ23が監視する温度と、冷却機構部40の駆動状態とに基づいて、要求出力部50を介して自動運転時にドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を制御する。
【0026】
アクチュエータ30は、車両の走行制御を実行するための装置であり、例えば、エンジンアクチュエータ(エンジン)31、操舵アクチュエータ(EPS)32、及びブレーキアクチュエータ(ブレーキ)33などで構成される。このアクチュエータ30は、自動運転ECU20からの制御信号に基づいて動作する。
【0027】
冷却機構部40は、自動運転ECU20を冷却するための装置であり、一例としてリアエアコン41及び/又はブロワー42などで構成される。冷却機構部40の駆動状態は、自動運転ECU20に出力される。なお、リアエアコン41は、フロントエアコンであっても構わない。
【0028】
要求出力部50は、自動運転ECU20からの指示に基づいて、自動運転時に車両からドライバーに運転権限を移行させるための所定の動作、すなわち車両による自動運転からドライバーによる手動運転への切り替えを促す動作をドライバーに要求する出力を行うための装置である。
【0029】
[制御]
次に、
図2、
図3A、及び
図3Bをさらに参照して、本発明の一実施形態に係る車両運転システム1が実行する制御を説明する。
図2は、本車両運転システム1の自動運転ECU20が実行する運転権限移行制御の処理手順を示すフローチャートである。
図3A及び
図3Bは、時間経過に伴う温度センサ23の温度上昇を説明するための図である。
【0030】
図2に示す運転権限移行制御は、車両の運転状態がドライバーによる手動運転から車両による自動運転に切り替えられると開始される。
【0031】
ステップS21:自動運転ECU20は、SoC21に内蔵された温度センサ23の温度Tempの監視を開始する。
【0032】
ステップS22:自動運転ECU20は、温度センサ23の温度Tempが所定の第1の閾値温度T1以上になったか否かを判断する。この第1の閾値温度T1は、正常であるうちに車両による自動運転からドライバーによる手動運転への切り替えを促す動作を行うか否かを判定する基準の温度である。より具体的には、
図3Aに示すように、この第1の閾値温度T1から所定の時間tが経過すると、SoC21の温度がハードIPがシャットダウンする温度Tshutに到達する温度に設定される。このハードIPがシャットダウンする温度Tshutとは、自動運転実行時に許容される自動運転ECU20の上限温度に相当する。また、所定の時間tは、ドライバーによる手動運転への切り替えを促す動作を行ってからドライバーが手動運転に切り替えるまでに十分な時間に設定され、一例としてACSF法規のカテゴリーB2における安全な受け渡しで規定されている「4秒」に設定することができる。また、この第1の閾値温度T1は、冷却機構部40の駆動状態で変化するSoC21の温度上昇勾配に基づいて決定することができる。
【0033】
例えば、
図3Bに示すように、リアエアコン41やブロワー42が何も駆動していなければ、SoC21は冷やされないので、曲線Cで示される急な勾配で温度Tempが上昇することとなる。これに対して、例えばブロワー42が駆動していれば、SoC21は送風で冷却されるため、曲線Cよりも緩やかな曲線Bで示される勾配で温度Tempが上昇する。さらに、リアエアコン41が駆動していれば、SoC21は冷風によって冷却されるため、曲線Bよりもさらに緩やかな曲線Aで示される勾配で温度Tempが上昇する。このようなことから、自動運転ECU20は、冷却機構部40の駆動状態に基づいて適切な温度上昇勾配を決定した上で、温度Tshutと所定の時間tとに基づいてステップS22で判断する第1の閾値温度T1を設定することができる。なお、これらの温度上昇勾配は、リアエアコン41やブロワー42がそれぞれ有しているばらつき(低温/常温/高温、回路など)を考慮して最悪値となるように設定されることが望ましい。
【0034】
温度Tempが第1の閾値温度T1未満である場合は(ステップS22、No)、ステップS26に処理が進み、温度Tempが第1の閾値温度T1以上である場合は(ステップS22、Yes)、ステップS23に処理が進む。
【0035】
ステップS23:自動運転ECU20は、温度センサ23の温度Tempが所定の第2の閾値温度T2以上になったか否かを判断する。第2の閾値温度T2は、上記第1の閾値温度T1と同様に、正常であるうちに車両による自動運転からドライバーによる手動運転への切り替えを促す動作を行うか否かを判定する基準である。この第2の閾値温度T2は、第1の閾値温度T1のフェールセーフとして設けられ、好適には
図3Aに示すように、SoC21のハードIPがシャットダウンする温度Tshutの直前の温度(T1<T2<Tshut)に設定される。
【0036】
温度Tempが第2の閾値温度T2未満である場合は(ステップS23、No)、ステップS24に処理が進み、温度Tempが第2の閾値温度T2以上である場合は(ステップS23、Yes)、ステップS25に処理が進む。
【0037】
ステップS24:自動運転ECU20は、所定の時間tの経過後にSoC21のハードIPがシャットダウンするおそれがあるため、車両による自動運転からドライバーによる手動運転への切り替えを促す第1の動作を実行する。この第1の動作は、具体的には、ドライバーに対して運転操作の受け渡しを要求する動作とすることができる。第1の動作が実行されると、ステップS26に処理が進む。
【0038】
ステップS25:自動運転ECU20は、まもなくSoC21のハードIPがシャットダウンするおそれがあるため、車両による自動運転からドライバーによる手動運転への切り替えを促す第2の動作を実行する。この第2の動作は、具体的には、第1の動作の実行後も手動運転に切り替えられずにいるため、ドライバーに対して運転操作の受け渡しをさらに強く要求する動作とすることができる。なお、第2の動作は、上記第1の動作と同じであってもよいし異なっていてもよい。第2の動作が実行されると、ステップS26に処理が進む。
【0039】
ステップS26:自動運転ECU20は、車両の運転状態が車両による自動運転からドライバーによる手動運転に切り替わったか否かを判断する。車両の運転状態が自動運転のままである場合(ステップS26、No)、ステップS21に処理が戻って温度Tempに基づく一連の制御が実行される。一方、車両の運転状態が手動運転に切り替わった場合は(ステップS26、Yes)、本運転権限移行制御が終了する。
【0040】
[本実施形態における作用・効果]
以上のように、本発明の一実施形態に係る車両運転システム1によれば、自動運転ECU20(SoC21)の温度Tempを監視する温度センサ23と、この温度Tempに基づいて、自動運転時にドライバーに手動運転への切り替えを促すための要求を要求出力部50を介して行うMCU22と、を備えている。
【0041】
この構成により、車両による自動運転を行っている時には、SoC21のハードIPがシャットダウンするおそれがあるような自動運転ECU20の温度変化がある場合、自動運転ECU20による自動運転機能の一部が停止する前に車両からドライバーに手動運転への切り替えを促す動作を速やかに開始することができる。
【0042】
特に、本実施形態の自動運転ECU20は、SoC21の温度Tempが第1の閾値温度T1以上になった場合と、シャットダウン直前の第2の閾値温度T2以上になった場合とで、ドライバーに手動運転への切り替えを促す動作(第1、第2)を段階的に設けたり、第1の閾値温度T1を、上限温度、所定の時間t、及びSoC21の温度上昇勾配に基づいて設定したりすることで、車両からドライバーへの運転操作の受け渡しをフェールセーフで安全に行うことができる。
【0043】
また、本実施形態の自動運転ECU20は、SoC21の温度上昇勾配を、自動運転ECU20の冷却に用いられるリアエアコン41及びブロワー42の少なくとも1つの駆動状態に基づいて変化させるので、冷却機構部40の冷却能力に応じた自動運転ECU20の温度変化を推定して、運転権限移行を実現することができる。
【0044】
なお、上記実施形態では、SoC21の温度TempをSoC21が内蔵する温度センサ23で監視する例を説明したが、温度センサ23の代わりに、外気温センサで測定された温度及びSoC21の内部負荷による実演算時間から、SoC21の温度Tempを推測してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、SoC21の温度Tempが第2の閾値温度T2以上になったことをSoC21が内蔵する温度センサ23で監視する例を説明したが、ハードIPの動作状況を把握しておき、ハードIPが所定の状態になったことを判断してシャットダウン直前であることを推測してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の車両運転システムは、車両による自動運転とドライバーによる手動運転との切り替え制御が可能な車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 自動運転システム
10 情報取得部
20 自動運転ECU
30 アクチュエータ
40 冷却機構部
50 要求出力部