特許第6984512号(P6984512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984512
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/02 20060101AFI20211213BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G05B9/02 E
   B60R16/02 650J
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-55001(P2018-55001)
(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公開番号】特開2019-168835(P2019-168835A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2021年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】丸井 大地
(72)【発明者】
【氏名】青木 充
【審査官】 大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−0600173(KR,B1)
【文献】 特開平1−298446(JP,A)
【文献】 特開2016−203764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/00− 9/05
B60R 16/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視信号を出力するマイクロコンピュータ(20)と、
前記監視信号に基づいて、前記マイクロコンピュータの状態を監視する外部監視回路(30)と、
を備え、
前記マイクロコンピュータは、
ソフトウェア処理により、前記監視信号を生成して前記外部監視回路へ出力する監視出力部(22)と、
前記マイクロコンピュータの内部を自己診断し、要因を特定して異常を検出する診断部(23)と、
前記監視出力部に関わる異常が検出された場合に、ハードウェア処理によって、前記外部監視回路への前記監視信号の入力を遮断するための遮断信号を生成して出力する遮断出力部(24)と、
を有する電子制御装置。
【請求項2】
前記遮断信号が入力されるとオンし、前記監視信号をグランド電位に固着させる遮断スイッチ(50)をさらに備える請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記外部監視回路は、
前記監視信号に基づいて前記マイクロコンピュータの異常を検出する異常検出部(32,32A)と、
前記異常検出部により前記マイクロコンピュータの異常が検出されると、所定のフェールセーフ処理を実行するフェールセーフ実行部(33)と、
を有する請求項1又は請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記フェールセーフ実行部は、前記異常検出部により前記マイクロコンピュータの異常が所定期間継続して検出されると、前記フェールセーフ処理を実行する請求項3に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記外部監視回路は、前記異常検出部としての第1異常検出部に加え、前記遮断信号に基づいて前記マイクロコンピュータの異常を検出する第2異常検出部(35)を有し、
前記フェールセーフ実行部は、前記第2異常検出部により前記マイクロコンピュータの異常が検出されると、前記フェールセーフ処理を実行する請求項3又は請求項4に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記フェールセーフ実行部は、前記第2異常検出部により前記マイクロコンピュータの異常が検出されると、前記第1異常検出部による検出結果によらず前記フェールセーフ処理を実行する請求項5に記載の電子制御装置。
【請求項7】
前記フェールセーフ実行部は、前記第2異常検出部により前記マイクロコンピュータの異常が所定期間継続して検出されると、前記フェールセーフ処理を実行する請求項5又は請求項6に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウォッチドッグ信号を出力するマイコンと、ウォッチドッグ信号に基づいてマイコンの状態を監視する監視ICと、を備えた電子制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−203764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイコン(マイクロコンピュータ)は、ソフトウェア処理によりウォッチドッグ信号を出力するWD出力部、すなわち監視信号を出力する監視出力部を有している。このため、WD出力部に異常が発生、具体的には、ウォッチドッグ信号の生成、出力に関わる記憶部としてのROM、RAM、演算部としてのCPUに異常が発生し、ウォッチドッグ信号が誤って出力され続けた場合、マイコン内部に異常が発生しているにもかかわらず、監視IC(外部監視回路)が異常を検出することができないという問題が生じる。
【0005】
本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、監視信号を出力する監視出力部に関わる異常が生じた場合でも、外部監視回路がマイクロコンピュータの異常を検出できる電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示のひとつである電子制御装置は、
監視信号を出力するマイクロコンピュータ(20)と、
監視信号に基づいて、マイクロコンピュータの状態を監視する外部監視回路(30)と、
を備え、
マイクロコンピュータは、
ソフトウェア処理により、監視信号を生成して外部監視回路へ出力する監視出力部(22)と、
マイクロコンピュータの内部を自己診断し、要因を特定して異常を検出する診断部(23)と、
監視出力部に関わる異常が検出された場合に、ハードウェア処理によって、外部監視回路への監視信号の入力を遮断するための遮断信号を生成して出力する遮断出力部(24)と、
を有する。
【0008】
この電子制御装置によれば、診断部により、マイクロコンピュータ内部の異常を検出するとともに、異常の要因を特定することができる。そして、監視出力部に関わる異常が特定されて検出されると、遮断出力部がハードウェア処理により遮断信号を生成して出力する。この遮断信号により、外部監視回路への監視信号の入力が遮断される。したがって、ソフトウェア処理により監視信号を生成して出力する監視出力部に異常が生じても、外部監視回路がマイクロコンピュータの異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示す図である。
図2】電子制御装置が実行する異常処理を示すフローチャートである。
図3】監視遮断信号の出力を説明するための図である。
図4】異常検出処理のうち、外部監視回路の処理を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示す図である。
図6】電子制御装置が実行する異常処理のうち、外部監視回路の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分には同一の参照符号を付与する。
【0011】
(第1実施形態)
先ず、図1を用いて、本実施形態に係る電子制御装置の概略構成を説明する。
【0012】
図1に示す電子制御装置10は、車両に搭載された内燃機関であるエンジンを制御するエンジンECUとして構成されている。電子制御装置10は、マイコン20、外部監視回路30、駆動部40、及び遮断スイッチ50を備えている。なお、ECUは、Electronic Control Unitの略称である。
【0013】
マイコン20は、図示しないCPU、ROM、RAM、及びI/Oポートなどを備えて構成されたマイクロコンピュータである。マイコン20のCPUは、各種センサなどから取得した情報を用い、RAMなどの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに記憶されたプログラムにしたがって演算などの所定処理を実行する。このように、マイコン20は、プログラムを格納する第1メモリとしてのROMと、プログラムにしたがって演算を実行する演算部としてのCPUと、演算のデータを格納する第2メモリとしてのRAMを有している。
【0014】
マイコン20は、制御対象を制御するために所定の演算を実行する。本実施形態では、マイコン20が、インジェクタ、点火プラグ、及び電子スロットル用モータの駆動を制御する。図1では、電子スロットル用モータをアクチュエータ100として示している。マイコン20は、機能ブロックとして、制御信号生成部21、監視信号出力部22、自己診断部23、及び遮断信号出力部24を有している。
【0015】
制御信号生成部21は、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、クランク角センサなどの出力信号を取得し、取得した信号に基づいて、アクチュエータ100に対する制御量を演算する。そして、その演算結果を制御信号として駆動部40に出力する。
【0016】
監視信号出力部22は、ソフトウェア処理により、監視信号を生成して外部監視回路30へ出力する。監視信号出力部22が、監視出力部に相当する。本実施形態では、監視信号としてウォッチドッグ信号WDCを生成し、出力する。ウォッチドッグ信号は、外部監視回路30が有するウォッチドッグタイマをクリアさせる信号であるため、ウォッチドッグクリア信号とも称される。
【0017】
監視信号出力部22は、マイコン20に異常が生じていないときには、周期的に監視信号(WDC)を出力する。自己診断部23によりマイコン20の異常が検出されると、監視信号の出力を停止する。監視信号出力部22は、監視信号の出力を停止することで、外部監視回路30へマイコン20の異常を通知する。監視信号出力部22は、自己診断部23による異常検出結果に基づいて、監視信号を生成する。
【0018】
自己診断部23は、マイコン20の内部を自己診断することで、マイコン20の異常を検出する。このように、マイコン20は、自己診断機能を有している。自己診断部23は、異常を検出するとともに、異常の要因を特定する。この自己診断部23が、診断部に相当する。自己診断部23は、マイコン20の異常を検出する異常検出部である。自己診断部23は、演算を実行するCPUの異常、プログラムが記憶されたROMの異常、データを保持するRAMの異常などを検出する。自己診断部23は、ROM及びRAMのメモリについて、異常の検出とともに、異常が生じた領域(アドレス)の特定を行う。よって、異常領域から異常要因を特定することができる。
【0019】
遮断信号出力部24は、ハードウェア処理によって、外部監視回路30への監視信号の入力を遮断するための遮断信号を生成し、出力する。遮断信号出力部24が遮断出力部に相当する。以下において、この遮断信号を、後述するフェールセーフ実行部33から出力される遮断信号と区別するために、監視遮断信号と示す。
【0020】
遮断信号出力部24は、自己診断部23によって監視信号出力部22に関わる異常(ソフトウェア異常)が検出された場合に、監視遮断信号を生成して出力する。監視信号出力部22に関係しない異常が検出された場合、マイコン20の異常が検出されない場合には、監視遮断信号を出力しない。監視信号出力部22は、たとえば監視遮断信号としてHレベルの信号を出力する。
【0021】
外部監視回路30は、監視信号に基づいてマイコン20の状態を監視する。外部監視回路30としては、ICや、マイコン20とは別のマイコンを採用することができる。本実施形態では、外部監視回路30としてICを採用している。外部監視回路30とマイコン20とは、双方向に通信可能に構成されている。外部監視回路30は、監視信号受信部31、異常検出部32、及びフェールセーフ実行部33を有している。監視信号受信部31は、監視信号出力部22から出力された監視信号を受信する。
【0022】
異常検出部32は、監視信号受信部31にて受信された監視信号に基づいて、マイコン20の異常を検出する。本実施形態では、異常検出部32が図示しないウォッチドッグタイマを有している。マイコン20の正常時には、監視信号が周期的に出力されるため、ウォッチドックタイマのカウントが閾値に達する前にクリアされる。マイコン20の異常時には、監視信号の出力が停止されるため、ウォッチドックタイマのカウントが閾値以上となる。このようにして、異常検出部32はマイコン20の異常を検出する。
【0023】
フェールセーフ実行部33は、異常検出部32によりマイコン20の異常が検出されると、フェールセーフ処理を実行する。本実施形態では、所定期間継続して異常が検出されると、フェールセーフ処理を実行する。フェールセーフ実行部33は、フェールセーフ処理として、マイコン20へリセット信号を出力するとともに、駆動部40へ遮断信号を出力する。マイコン20はリセット信号を受信すると、リセットを実行する。
【0024】
駆動部40は、制御信号に基づいてアクチュエータ100を駆動させる。本実施形態では、電子スロットル用モータを駆動させるために、駆動部40としてHブリッジ回路が構成されている。Hブリッジ回路を構成する各スイッチング素子は、制御信号によりオンオフが制御される。遮断信号が入力されると、駆動部40は、アクチュエータ100の駆動を停止させる。
【0025】
遮断スイッチ50は、監視遮断信号によってオンされる。遮断スイッチ50は、監視遮断信号であるHレベルの信号が入力されるとオンし、それ以外の期間、すなわちLレベルの信号が入力される期間はオフしている。遮断スイッチ50は、マイコン20と外部監視回路30との間に設けられ、監視信号を送信する通信線と、グランド(GND)との間に設けられている。遮断スイッチ50がオンすると、監視信号の通信線がグランドに接続され、監視信号がグランド電位に固着する。監視遮断信号が出力されて遮断スイッチ50がオンすると、監視信号出力部22が監視信号を出力していても、監視信号の出力を停止したときと同じ状態となる。遮断スイッチ50としては、たとえばMOSFET等の半導体スイッチを採用することができる。
【0026】
次に、図2図4に基づき、電子制御装置10が実行する異常処理について説明する。電子制御装置10は、電源が投入されると、以下に示す処理を実行する。
【0027】
図2に示すように、先ずマイコン20の自己診断部23が、マイコン20の内部を自己診断し(ステップS10)、異常が発生したか否かを判定する(ステップS20)。そして、異常が発生したと判定する、すなわち異常を検出すると、自己診断部23は、異常の要因を特定する(ステップS30)。異常が発生していないと判定した場合、すなわち異常を検出しない場合、自己診断部23は、ステップS10に戻り、ふたたび自己診断を実施する。
【0028】
ステップS30の処理が終了すると、次いで自己診断部23は、監視信号出力部22に関わる異常か否かを判定する(ステップS40)。自己診断部23は、判定結果を監視信号出力部22及び遮断信号出力部24に出力する。本実施形態では、自己診断部23が、異常の検出有無を示す信号を監視信号出力部22に出力する。また、自己診断部23は、監視信号出力部22に関わる異常を検出すると、遮断信号出力部24に対して監視遮断信号の出力を指示する。
【0029】
図3に示すように、自己診断部23は、マイコン20の内部を自己診断し、マイコン20の異常(エラー)を検出する。上記したように、自己診断部23は、異常の要因を特定する。自己診断部23は、ROMやRAMのアドレスから、監視信号出力部22に関わる異常を特定することができる。図3において、自己診断部23が異常として検出したエラー1〜エラーnのうち、エラー2とエラーnが監視信号出力部22に関わる異常である。このため、自己診断部23は、遮断信号出力部24に対して監視遮断信号の出力を指示している。なお、図3では、監視信号出力部22に関わる異常について、他の異常との区別のためにハッチングを施している。
【0030】
図2に戻り、ステップS40において、監視信号出力部22に関わる異常ではない、すなわち監視信号出力部22以外の異常であると判定された場合、監視信号出力部22は、外部監視回路30に対して異常が発生したことを通知する処理を実行する(ステップS50。本実施形態では、監視信号出力部22が、監視信号の出力を停止することで、異常を通知する。監視信号出力部22に関わる異常ではないため、監視信号出力部22は正常に動作することができる。
【0031】
一方、監視信号出力部22に関わる異常であると判定されると、遮断信号出力部24は、遮断処理を実行する(ステップS60)。本実施形態では、遮断信号出力部24が、監視遮断信号としてHレベルの信号を出力し、遮断スイッチ50をオンさせる。これにより、監視信号がグランド電位に固着し、監視信号の出力を停止したときと同じ状態となる。以上の処理については、マイコン20が実行する。
【0032】
ステップS50,S60の処理が終了すると、次いで外部監視回路30が処理を実行する(ステップS70)。そして、ステップS70の処理を実行すると、一連の処理を終了する。一連の処理を終了すると、電源が投入されている期間において、電子制御装置10は上記した異常検出処理をふたたび実行する。
【0033】
次に、図4に基づき、電子制御装置10が実行する異常処理のうち、本実施形態の外部監視回路30が実行するステップS70の処理、すなわち「外部監視回路の処理」について説明する。図4に示すように、先ず外部監視回路30の異常検出部32が、マイコン20の異常を検出したか否かを判定する(ステップS71)。本実施形態では、ウォッチドッグタイマのカウントが閾値以上になることで、異常検出部32がマイコン20の異常を検出する。
【0034】
異常を検出した場合、異常検出部32は、異常の検出が所定期間継続しているか否かを判定する(ステップS72)。たとえば異常検出回数を計測するカウンタの値が所定の複数回以上になることをもって、所定期間継続としてもよい。また、異常と検出し続けている時間が所定時間以上になることをもって、所定期間継続としてもよい。
【0035】
所定期間継続している場合、フェールセーフ実行部33は、フェールセーフ処理を実行する(ステップS73)。そして、一連の処理を終了する。所定期間継続していない場合、ステップS71に戻り、ふたたび異常を検出したか否かを判定する。ステップS71において異常が検出されない場合、フェールセーフ処理を実行することなく、一連の処理を終了する。
【0036】
次に、上記した電子制御装置10の効果について説明する。
【0037】
本実施形態に示した電子制御装置10によれば、自己診断部23により、マイコン20の内部の異常を検出するとともに、検出した異常の要因を特定することができる。このため、監視信号出力部22に関わる異常を検出することができる。監視信号出力部22にっ関わる異常が検出された場合、遮断信号出力部24がハードウェア処理により監視遮断信号を生成して出力する。この監視遮断信号により、外部監視回路30への監視信号の入力が遮断される。
【0038】
したがって、監視信号出力部22に異常(ソフトウェア異常)が生じ、異常が発生しているにもかかわらず監視信号を継続して出力し続けても、ハードウェア構成の遮断信号出力部24が出力した遮断信号により、外部監視回路30への監視信号の入力が遮断される。すなわち、監視信号出力部22に関わる異常が生じた場合でも、外部監視回路30がマイコン20の異常を検出することができる。そして、フェールセーフ処理を実行することができる。たとえばフェールセーフ実行部33がリセット信号を出力することで、マイコン20をリセットさせ、異常状態からの復帰を試みることができる。
【0039】
特に本実施形態では、電子制御装置10が遮断スイッチ50を備えている。そして、監視遮断信号により遮断スイッチ50がオンされ、監視信号がグランド電位に固着されることで監視信号をオフしたときと同じ状態となる。このように、簡素な構成で、監視信号出力部22に関わる異常が生じた場合でも、外部監視回路30がマイコン20の異常を検出することができる。
【0040】
また、監視信号出力部22の異常、すなわちソフトウェア異常は、継続することが予想される。本実施形態では、異常検出部32によってマイコン20の異常が所定期間継続して検出されると、フェールセーフ実行部33がフェールセーフ処理を実行する。このように、マイコン20の異常の検出精度を高めているため、異常の誤検出によりフェールセーフ処理が誤って実行されるのを抑制することができる。
【0041】
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子制御装置10と共通する部分についての説明は省略する。
【0042】
図5に示すように、本実施形態の電子制御装置10は、監視遮断信号が、遮断スイッチ50だけでなく、外部監視回路30にも出力される。外部監視回路30は、監視信号受信部31、異常検出部に相当する第1異常検出部32A、フェールセーフ実行部33に加えて、遮断信号受信部34と、第2異常検出部35を有している。第1異常検出部32Aの機能は、異常検出部32と同じである。また、それ以外の構成は、先行実施形態と同じである。
【0043】
遮断信号受信部34は、マイコン20の遮断信号出力部24から出力された監視遮断信号を受信する。第2異常検出部35は、遮断信号受信部34にて受信された監視遮断信号に基づいて、マイコン20の異常を検出する。本実施形態の第2異常検出部35は、遮断信号受信部34を介して監視遮断信号を受信することで、マイコン20に異常が生じたことを検出する。フェールセーフ実行部33は、2つの異常検出部32,35の検出結果に基づいて、フェールセーフ処理を実行する。フェールセーフ実行部33は、異常検出部35の検出結果を優先する。
【0044】
次に、図6に基づき、電子制御装置10が実行する異常処理のうち、本実施形態の外部監視回路30が実行するステップS70の処理、すなわち「外部監視回路の処理」について説明する。
【0045】
図6に示すように、先ず外部監視回路30の第2異常検出部35が、マイコン20の異常を検出したか否かを判定する(ステップS71A)。本実施形態では、監視遮断信号を受信することで、第2異常検出部35がマイコン20の異常を検出する。
【0046】
異常を検出した場合、第2異常検出部35は、異常の検出が所定期間継続しているか否かを判定する(ステップS72A)。たとえば異常検出回数を計測するカウンタの値が所定の複数回以上になることをもって、所定期間継続としてもよい。また、異常と検出し続けている時間が所定時間以上になることをもって、所定期間継続としてもよい。
【0047】
ステップS72Aにおいて所定期間継続している場合、フェールセーフ実行部33は、フェールセーフ処理を実行する(ステップS73)。そして、一連の処理を終了する。所定期間継続していない場合、ステップS71Aに戻り、ふたたび異常を検出したか否かを判定する。
【0048】
ステップS71Aにおいて異常が検出されない場合、第1異常検出部32Aが、マイコン20の異常を検出したか否かを判定する(ステップS71B)。ステップS71Bの処理は、先行実施形態に示したステップS71の処理と同じである。異常を検出した場合、第1異常検出部32Aは、異常の検出が所定期間継続しているか否かを判定する(ステップS72B)。ステップS72Bの処理は、先行実施形態に示したステップS72の処理と同じである。
【0049】
ステップS72Bにおいて所定期間継続している場合、フェールセーフ実行部33がステップS73の処理、すなわちフェールセーフ処理を実行する。そして、一連の処理を終了する。所定期間継続していない場合、ステップS71Bに戻り、ふたたび異常を検出したか否かを判定する。ステップS71Bにおいて異常が検出されない場合、フェールセーフ処理を実行することなく、一連の処理を終了する。
【0050】
次に、上記した電子制御装置10の効果について説明する。本実施形態によれば、先行実施形態に記載の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
【0051】
本実施形態に示した電子制御装置10によれば、第2異常検出部35が、監視遮断信号に基づいてマイコン20の異常を検出する。第2異常検出部35によりマイコン20の異常が検出されると、フェールセーフ実行部33がフェールセーフ処理を実行する。このように、ハードウェア構成の遮断信号出力部24にて生成された監視遮断信号を異常の検出に直接的に用いるため、監視信号出力部22に異常が生じたことを、より確実に検出することができる。たとえば遮断スイッチ50が故障した場合でも、外部監視回路30に対してマイコン20の異常を通知することができる。
【0052】
特に本実施形態では、フェールセーフ実行部33が、第2異常検出部35によりマイコン20の異常が検出されると、第1異常検出部32Aによる検出結果によらずフェールセーフ処理を実行する。このように、監視遮断信号を直接的に用いる第2異常検出部35の結果を優先するため、監視信号出力部22に異常が生じた場合において、異常の誤検出を抑制することができる。
【0053】
また、上記したように、監視信号出力部22の異常は、継続することが予想される。本実施形態では、第2異常検出部35によってマイコン20の異常が所定期間継続して検出されると、フェールセーフ実行部33がフェールセーフ処理を実行する。このように、マイコン20の異常の検出精度を高めているため、異常の誤検出によりフェールセーフ処理が誤って実行されるのを抑制することができる。なお、第1異常検出部32Aについては、先行実施形態に示した異常検出部32と同様である。
【0054】
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0055】
アクチュエータ100として、電子スロットル用モータの例を示したが、これに限定されない。たとえばインジェクタや、車両に搭載された他のモータをアクチュエータ100としてもよい。
【0056】
監視信号として、ウォッチドッグ信号の例を示したが、これに限定されない。たとえばマイコン20の自己診断結果をSPI通信によって外部監視回路30に出力する構成において、自己診断結果を監視信号としてもよい。
【0057】
所定期間継続して異常が検出されると、フェールセーフ処理を実行する例を示したが、これに限定されない。マイコン20の異常が検出されると、フェールセーフ処理が直ちにフェールセーフ処理を実行する構成としてもよい。
【0058】
第2異常検出部35の結果を優先してフェールセーフ処理を実行する例を示したが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0059】
10…電子制御装置、
20…マイコン、
21…制御信号生成部、
22…監視信号出力部、
23…自己診断部
24…遮断信号出力部、
30…外部監視回路、
31…監視信号受信部、
32…異常検出部、
32A…第1異常検出部、
33…フェールセーフ実行部、
34…遮断信号受信部、
35…第2異常検出部、
40…駆動部、
50…遮断スイッチ、
100…アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6