特許第6984522号(P6984522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984522
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】クランプ力測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20211213BHJP
   F16L 33/10 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G01L5/00 103Z
   F16L33/10
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-63898(P2018-63898)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-174329(P2019-174329A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2021年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 太郎
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6384181(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
F16L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプのクランプ力を測定するクランプ力測定装置であって、
中心軸に沿って延在し且つ前記中心軸の周回り方向に分割して配置された複数の分割部を含み、前記クランプが外嵌される筒状体と、
前記複数の分割部のそれぞれに連続し、前記中心軸から離れる遠心方向へ延在する複数のフランジ部と、
前記複数のフランジ部に設けられ、前記クランプから前記複数の分割部にかかる応力を個別に検知する複数の検知部と、
を備える、
クランプ力測定装置。
【請求項2】
前記複数の検知部はそれぞれ、ひずみゲージである、
請求項1に記載のクランプ力測定装置。
【請求項3】
前記周回り方向で隣接する前記フランジ部の遠心方向端部同士は、相互に連続している、
請求項1または2に記載のクランプ力測定装置。
【請求項4】
前記複数のフランジ部の遠心方向端部はそれぞれ、外部に固定される固定部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のクランプ力測定装置。
【請求項5】
前記複数のフランジ部はそれぞれ、当該フランジ部における他の部分より前記周回り方向の幅を狭くした幅狭部を有し、
前記検知部は、前記幅狭部に設けられる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のクランプ力測定装置。
【請求項6】
前記複数の分割部は、前記周回り方向に等間隔で配置される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のクランプ力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クランプ力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、接続用管に嵌められるゴム等のホースを締め付ける手段として、ホースクランプが知られている。ホースクランプには、ネジ込み力(トルク)によりホースを締め付けるネジ式のものがある。
【0003】
しかし、ホースを一定のトルクで締め付けても、ホースを締め付ける力であるクランプ力(又は面圧)の分布が周方向で均一になるとは限らない。その理由は、例えば、接続用管やホースクランプの形状にバラツキがあることなどによる。
【0004】
そこで、クランプ力測定装置による測定結果に基づいて、予め定められたクランプ力を得るためのトルクを求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−105122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、予め定められたクランプ力を得るためのトルクを求めるためには、クランプ力を高精度で測定する必要がある。
【0007】
本開示の目的は、クランプ力の測定精度を上げることができるクランプ力測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るクランプ力測定装置は、
クランプのクランプ力を測定するクランプ力測定装置であって、
中心軸に沿って延在し且つ前記中心軸の周回り方向に分割して配置された複数の分割部を含み、前記クランプが外嵌される筒状体と、
前記複数の分割部のそれぞれに連続し、前記中心軸から離れる遠心方向へ延在する複数のフランジ部と、
前記複数のフランジ部に設けられ、前記クランプから前記複数の分割部にかかる応力を個別に検知する複数の検知部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、クランプ力の測定精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施の形態に係るクランプ力測定装置の構成の一例を示す図
図2図1のA−A線断面図
図3】クランプ力測定装置の一部を示す図
図4】比較例に係るクランプ力測定装置一部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
まず、本開示の一実施の形態に係るクランプ力測定装置100の構成について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本開示の一実施の形態に係るクランプ力測定装置100の構成の一例を示す図である。図2は、図1のA−A線断面図である。なお、図2にはX軸が描かれている。以下の説明では、図2における上方向を「上方向」といい、下方向を「下方向」という。さらに、X軸から離れる方向を「遠心方向」という。X軸に向かう方向を「求心方向」という。X軸に沿う方向を「上下方向」という。X軸を中心軸という場合がある。
【0013】
図1に示すように、クランプ力測定装置100は、8個の円弧部10(本発明の「分割部」に対応)と、8個のフランジ部20と、8個のひずみゲージ30(本発明の「検知部」に対応)とを備えている。
【0014】
各円弧部10は、X軸(中心軸)に沿ってそれぞれ延在している。各円弧部10は、X軸の周回り方向に分割して配置される。各円弧部10は、周回り方向に等間隔で配置される。周回り方向で隣接する円弧部10同士は、スリットSL1により分離されている。8個の円弧部10により筒状体10Aが構成される。
【0015】
筒状体10Aにはホース40(図2参照)が外嵌される。ホース40にはホースクランプ50(図2参照)が外嵌される。ホースクランプ50には、ネジ込み力(トルク)によりホース40を締め付けるネジ式のものが用いられる。図2に、ホース40が締め付けられる力をクランプ力Fで示す。クランプ力Fの方向は、求心方向である。なお、図1にはホース40及びホースクランプ50が省略されている。
【0016】
図1に示すように、各フランジ部20は、各円弧部10に対応して配置されている。フランジ部20は、対応する円弧部10に連続している。
【0017】
図1に示すように、フランジ部20は、求心方向端部22から遠心方向へ延在している。周回り方向で隣接するフランジ部20は、スリットSL2により分離されている。スリットSL2の終端部から周回り方向両側へ延在する長孔HL1が連続している。
【0018】
図2に示すように、フランジ部20の求心方向端部22は、円弧部10の下方向端部12に連続している。スリットSL2は、上下方向のスリットSL1に連続している。
【0019】
図1に示すように、周回り方向で隣接するフランジ部20の遠心方向端部24同士は、相互に連続している。つまり、遠心方向端部24同士を相互に連続した部分は、環状部25になっている。
【0020】
図1に示すように、フランジ部20の求心方向端部22と遠心方向端部24との間の中央部26には最狭部28が設けられている。最狭部28は、周回り方向で隣接する長孔HL1間の領域であって、求心方向の力に対して応力集中を起こすように周回り方向の幅がフランジ部20の他の部分より狭い領域である。
【0021】
図3は、クランプ力測定装置100の一部を示す図である。図4は、比較例に係るクランプ力測定装置の一部を示す図である。図3および図4に、円弧部10およびそれに連続するフランジ部20を示す。また、図3に、円弧部10にクランプ力Fがかかるときの求心方向端部22から中央部26にわたる領域におけるひずみγを示す。また、図4に、円弧部10にクランプ力Fがかかるときの円弧部10におけるひずみγ’を示す。
【0022】
図3に示すように、求心方向端部22から中央部26にわたる領域にひずみゲージ30を設けた場合、クランプ力F(面圧)がかかる方向のひずみγを測定することができる。したがって、ひずみゲージ30の測定結果からクランプ力を正確に求めることができる。
【0023】
これに対して、図4に示すように、円弧部10にひずみゲージ30を設けた場合、クランプ力FによるモーメントMで生じる軸方向のひずみを測定することになる。クランプ力Fがかかる軸方向の位置が異なると、モーメントが異なるため、ひずみゲージ30の測定結果も異なる。これにより、ひずみゲージ30の測定結果からクランプ力を正確に求めることが困難となる。
【0024】
また、図1に示すように、フランジ部20における求心方向端部22から中央部26にわたる領域は、周回り方向両側にスリットSL2が設けられているため、周回り方向の力がかかりくい領域である。
【0025】
フランジ部20に求心方向のクランプ力がかかる場合において、最狭部28における求心方向のひずみは、最狭部28以外の部分における求心方向のひずみよりも大きい。
【0026】
ひずみゲージ30は、最狭部28に設けられている。ひずみゲージ30は、求心方向のひずみを検出するように配置されている。
【0027】
環状部25には、ひずみゲージ30より遠心方向側に貫通孔HL2が設けられている。貫通孔HL2に通されたボルト(図示略)によりベース(図示略)に締結される。
【0028】
クランプ力Fとひずみγとの関係は、次の式(1)で表される。
F=αγ ・・・(1)
ここで、αは一定である。
【0029】
次に、クランプ力測定装置100による測定方法の一例について説明する。なお、クランプ力は、予め決められている。ここでは、予め決められたクランプ力(面圧)を得るために、ホースクランプ50をねじ込むときの必要トルクを求める。
【0030】
筒状体10Aにホース40を外嵌する。ホース40にホースクランプ50を外嵌する。ホースクランプ50をねじ込むことにより、ホース40を締め付ける。所定のトルクでねじ込んだ場合のひずみγを、クランプ力測定装置100により測定する。
【0031】
測定されたひずみγから、上記式(1)を参照してクランプ力Fが求められる。これにより、トルクとクランプ力Fとの関係が求められる。
【0032】
以上のようにして求められたトルクとクランプ力Fとの関係から、予め決められたクランプ力を得るために必要なトルクが求められる。
【0033】
本実施の形態に係るクランプ力測定装置100は、クランプのクランプ力を測定するものであって、X軸に沿って延在し且つX軸の周回り方向に分割して配置された8個の円弧部10を含み、ホースクランプ50が外嵌される筒状体10Aと、各円弧部10のそれぞれに連続し、X軸から離れる遠心方向へ延在する8個のフランジ部20と、各フランジ部20に設けられ、クランプから8個の円弧部10にかかる応力を個別に検知する8個のひずみゲージ30とを備える。これにより、フランジ部20に設けたひずみゲージ30によって、クランプ力(面圧)がかかる方向のひずみを測定することができる。したがって、ひずみゲージ30の測定結果からクランプ力を正確に求めることができる。その結果、クランプ力の測定精度を上げることができる。また、周回り方向で分割されたフランジ部20にひずみゲージ30がそれぞれ設けられているため、周回り方向でのクランプ力(面圧)の分布を求めることができる。
【0034】
周回り方向で隣接するフランジ部20の遠心方向端部24同士は相互に連続している。これにより、クランプ力測定装置100を一体的に取り扱うことができるため、円弧部10およびフランジ部20から成るピースをそれぞれ取り扱う場合に比較して、取り扱いが容易である。また、測定時において、ピースをそれぞれ位置決めする必要がないため、クランプ力測定装置100を容易にセットすることができる。
【0035】
ひずみゲージ30は最狭部28に設けられる。フランジ部20に求心方向のクランプ力がかかる場合に、最狭部28における求心方向のひずみが他の部分における求心方向のひずみよりも大きくなるため、クランプ力に対するひずみゲージ30の感度が高くなり、ひずみに対するクランプ力をより細かく測定できるため、クランプ力の測定精度を上げることができる。なお、ひずみゲージ30が設けられる場所は、最狭部28に限定されず、例えば、フランジ部20における他の部分より周回り方向の幅が狭い幅狭部であってもよい。これによっても、ひずみゲージ30の感度を上げることが可能となる。
【0036】
円弧部10は等間隔に配置される。クランプ力の分布が周回り方向で均一であれば、ひずみゲージ30の測定値間に大きな差が生じない。反対に、クランプ力の分布が周回り方向で均一でなければ、ひずみゲージ30の測定値間に大きな差が生じる。つまり、ひずみゲージ30の測定結果に基づいて、クランプ力の分布が周回り方向で均一であるかどうかを容易に調べることができる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、同一円弧長の円弧部10を周回り方向に等間隔で配置したが、本発明はこれに限らず、各円弧部10の円弧長は同一でなくてもよい。また、各円弧部10の配置は等間隔でなくてもよい。この場合、測定したひずみを、各円弧部10の円弧長及び配置に基づいて補正することにより、同一円弧長の円弧部10を等間隔で配置した場合におけるクランプ力とトルクとの関係を求めことが可能である。
【0038】
また、上記実施の形態では、スリットSL2の周回り方向の幅を一定にしたが、本発明はこれに限らない。例えば、スリットSL2の周回り方向の幅を、求心方向側から遠心方向側に向かって徐々に広くし、スリットSL2の遠心方向側を長孔HL1と滑らかに連続させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本開示のクランプ力測定装置は、クランプ力の高い測定精度が求められる産業界において有用である。
【符号の説明】
【0040】
HL1 長孔
HL2 貫通孔
SL1 スリット
SL2 スリット
10 円弧部
10A 筒状体
12 下方向端部
20 フランジ部
22 求心方向端部
24 遠心方向端部
25 環状部
26 中央部
28 最狭部
30 ひずみゲージ
40 ホース
50 ホースクランプ
100 クランプ力測定装置
図1
図2
図3
図4