特許第6984552号(P6984552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6984552-内燃機関の制御装置 図000002
  • 特許6984552-内燃機関の制御装置 図000003
  • 特許6984552-内燃機関の制御装置 図000004
  • 特許6984552-内燃機関の制御装置 図000005
  • 特許6984552-内燃機関の制御装置 図000006
  • 特許6984552-内燃機関の制御装置 図000007
  • 特許6984552-内燃機関の制御装置 図000008
  • 特許6984552-内燃機関の制御装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984552
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/22 20060101AFI20211213BHJP
   F02D 17/00 20060101ALI20211213BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20211213BHJP
   F02D 41/34 20060101ALI20211213BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20211213BHJP
   F02M 63/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   F02D41/22
   F02D17/00 P
   F02D29/02 321A
   F02D41/34
   F02D45/00 345
   F02M63/00 P
   F02M63/00 U
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-127988(P2018-127988)
(22)【出願日】2018年7月5日
(65)【公開番号】特開2020-7932(P2020-7932A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2020年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大久保 直也
【審査官】 池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−139181(JP,A)
【文献】 特開2010−169038(JP,A)
【文献】 特開2013−177026(JP,A)
【文献】 特開2009−180171(JP,A)
【文献】 特開2012−202301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/22
F02D 17/00
F02D 29/02
F02D 41/34
F02D 45/00
F02M 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内に燃料を噴射する筒内噴射弁を有する筒内噴射系と、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁を有するポート噴射系とを備えており機関の自動停止が実施される内燃機関に適用されて、
前記筒内噴射弁のみから燃料が噴射される筒内噴射モード、前記ポート噴射弁のみから燃料が噴射されるポート噴射モード、及び前記筒内噴射弁と前記ポート噴射弁の両方から燃料が噴射されるデュアル噴射モードのうちのいずれか1つの噴射モードを機関運転状態に応じて切り替える処理と、前記筒内噴射モード及び前記ポート噴射モードのそれぞれを単独噴射モードとしたときに前記単独噴射モードの実行中に当該単独噴射モードを実施している噴射系に異常が生じているか否かを判定する異常判定処理と、を実行する制御装置であって、
前記単独噴射モードの実行中に当該単独噴射モードを実施している噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する仮判定処理と、
前記仮判定処理にて異常ありと仮判定された場合には、前記自動停止を禁止するとともにアイドル運転時には前記仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系のみを使用する噴射モードを実施して前記異常判定処理を実行するアイドル判定処理と、を実行する
内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記異常判定処理は、前記単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている連続時間を計測して、同連続時間が閾値を超えた場合に当該噴射系に異常ありと判定する処理を実行し、
前記仮判定処理は、前記単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている累積時間を計測して、同累積時間が閾値を超えた場合に当該噴射系に異常ありと仮判定する処理を実行する
請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記仮判定処理は、前記筒内噴射モードの実行中に前記筒内噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理と、前記ポート噴射モードの実行中に前記ポート噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理とを実行し、
前記仮判定処理にて前記筒内噴射系のみに異常ありと仮判定された場合、または前記ポート噴射系のみに異常ありと仮判定された場合に前記アイドル判定処理は実施されるとともに、
前記アイドル判定処理の実行時には、前記仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系のみを使用する噴射モードにて前記異常判定処理を実行し、
前記アイドル判定処理の実行中に実施される前記異常判定処理にて異常が確定されると前記自動停止の禁止を解除する処理を実行する
請求項1または2に記載に内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記仮判定処理は、前記筒内噴射モードの実行中に前記筒内噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理と、前記ポート噴射モードの実行中に前記ポート噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理とを実行し、
前記仮判定処理にて前記筒内噴射系及び前記ポート噴射系のいずれかに異常ありと仮判定された場合に前記アイドル判定処理は実施されるとともに、
前記アイドル判定処理の実行時には、前記筒内噴射モード及び前記ポート噴射モードのいずれか一方の噴射モードにて前記異常判定処理を実行した後、他方の噴射モードにて前記異常判定処理を実行し、
前記アイドル判定処理の実行中に実施される前記異常判定処理にて前記筒内噴射系及び前記ポート噴射系の少なくとも一方について異常が確定されると前記自動停止の禁止を解除する処理を実行する
請求項1または2に記載に内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼室内に燃料を噴射する筒内噴射弁を有する筒内噴射系と、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁を有するポート噴射系とを備えており、機関の自動停止や自動始動が実施される内燃機関が知られている。
【0003】
こうした内燃機関において筒内噴射系やポート噴射系の異常の有無を判定するために、例えば特許文献1に記載の装置では次の異常判定処理を行うようにしている。この異常判定処理では、アイドル運転時などのように機関負荷の低い運転状態において、筒内噴射弁のみから燃料が噴射される筒内噴射モードを実行するとともにその実行中における空燃比補正量に基づいて筒内噴射系の異常を判定するようにしている。また、同様に、機関負荷の低い運転状態において、ポート噴射弁のみから燃料が噴射されるポート噴射モードを実行するとともにその実行中における空燃比補正量に基づいてポート噴射系の異常を判定するようにしている。
【0004】
ここで、上記異常判定処理において異常ありと判定するためには、筒内噴射モードやポート噴射モードをある程度継続して実行する必要があるが、上述した自動停止制御が実施される内燃機関ではアイドル運転時などに機関運転が停止されてしまうため、異常判定処理の実行機会が少なくなってしまう。そこで、同文献1に記載の装置は、筒内噴射系やポート噴射系の異常判定処理が完了するまで自動停止の実行を禁止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−139181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、筒内噴射系やポート噴射系の異常判定処理が完了するまでは自動停止の実行が禁止されるため、筒内噴射系やポート噴射系といった各噴射系が正常な場合でも異常判定処理が完了するまでは自動停止を実行することができない。従って、各噴射系が正常な場合でも自動停止の実行機会が減少するようになり、例えば燃費が悪化するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する内燃機関の制御装置は、燃焼室内に燃料を噴射する筒内噴射弁を有する筒内噴射系と、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁を有するポート噴射系とを備えており、機関の自動停止が実施される内燃機関に適用される。この制御装置は、前記筒内噴射弁のみから燃料が噴射される筒内噴射モード、前記ポート噴射弁のみから燃料が噴射されるポート噴射モード、及び前記筒内噴射弁と前記ポート噴射弁の両方から燃料が噴射されるデュアル噴射モードのうちのいずれか1つの噴射モードを機関運転状態に応じて切り替える処理と、前記筒内噴射モード及び前記ポート噴射モードのそれぞれを単独噴射モードとしたときに前記単独噴射モードの実行中に当該単独噴射モードを実施している噴射系に異常が生じているか否かを判定する異常判定処理と、を実行する。そして、この制御装置は、前記単独噴射モードの実行中に当該単独噴射モードを実施している噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する仮判定処理と、前記仮判定処理にて異常ありと仮判定された場合には前記自動停止を禁止するとともにアイドル運転時には前記仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系のみを使用する噴射モードを実施して前記異常判定処理を実行するアイドル判定処理とを実行する。
【0008】
同構成によれば、上記仮判定処理によって噴射系に異常が生じている可能性があると仮判定された場合には、機関運転の自動停止が禁止されるためにアイドル運転を実施することが可能になる。そして、アイドル運転時には、仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系のみを使用する噴射モードを実施して上記異常判定処理が実行されるため、仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系の異常が、異常判定処理による噴射系異常の再判定により確定される。
【0009】
ここで、同構成では、筒内噴射系及びポート噴射系の各噴射系に異常が無く正常な場合には、上記仮判定処理にて噴射系に異常ありと仮判定されないため、自動停止は禁止されない。そのため、各噴射系が正常な場合において自動停止の実行機会が減少することを抑えることができるようになり、例えば燃費の悪化も抑えられるようになる。
【0010】
上記制御装置において、前記異常判定処理は、前記単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている連続時間を計測して、同連続時間が閾値を超えた場合に当該噴射系に異常ありと判定する処理を実行し、前記仮判定処理は、前記単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている累積時間を計測して、同累積時間が閾値を超えた場合に当該噴射系に異常ありと仮判定する処理を実行してもよい。
【0011】
同構成では、異常判定処理において、単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている連続時間を計測し、その計測した連続時間が閾値を超えた場合に当該噴射系に異常ありと判定するようにしている。この場合には、噴射系の異常が連続して継続していることを示す上記連続時間に基づいて噴射系の異常が判定されるため、噴射系の異常を適切に判定することができる。
【0012】
一方、仮判定処理では、単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている累積時間を計測し、その計測した累積時間が閾値を超えた場合に当該噴射系に異常ありと仮判定するようにしている。この累積時間に基づいて異常判定を実施する仮判定処理では、噴射系に異常が生じている場合、機関運転状態に基づいて実施される単独噴射モードの実行時間が短くても当該単独噴射モードが実行されるたびに上記累積時間は増大していく。従ってこの仮判定処理では、自動停止を禁止しなくても、噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定することができる。
【0013】
上記制御装置において、前記仮判定処理は、前記筒内噴射モードの実行中に前記筒内噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理と、前記ポート噴射モードの実行中に前記ポート噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理とを実行し、前記仮判定処理にて前記筒内噴射系のみに異常ありと仮判定された場合、または前記ポート噴射系のみに異常ありと仮判定された場合に前記アイドル判定処理は実施されるとともに、前記アイドル判定処理の実行時には、前記仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系のみを使用する噴射モードにて前記異常判定処理を実行し、前記アイドル判定処理の実行中に実施される前記異常判定処理にて異常が確定されると前記自動停止の禁止を解除する処理を実行してもよい。
【0014】
同構成によれば、仮判定処理にて筒内噴射系のみに異常あり(つまり筒内噴射系に異常があり且つポート噴射系に異常なしと判定された状態)と仮判定された場合、またはポート噴射系のみに異常あり(ポート噴射系に異常があり且つ筒内噴射系に異常なしと判定された状態)と仮判定された場合に上記アイドル判定処理は実施される。このように同構成では、仮判定処理にて、異常が生じている可能性のある噴射系と異常が生じていない噴射系とが特定される。そして、アイドル判定処理の実行に際しては、異常が生じている可能性のある噴射系についてのみ異常判定処理が実施されて、その異常判定処理にて異常が確定されると自動停止の禁止が解除される。このように、同構成では、アイドル判定処理の実行に際して一方の噴射系についてのみ異常判定処理を実施すればよいため、アイドル判定処理の実行に際して筒内噴射系及びポート噴射系の双方について異常判定処理を実施する場合と比較して、アイドル判定処理での異常判定処理が早期に終了するようになり、自動停止の禁止が解除される時期も早くなる。そのため、自動停止が禁止される期間を短くすることができる。
【0015】
上記制御装置において、前記仮判定処理は、前記筒内噴射モードの実行中に前記筒内噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理と、前記ポート噴射モードの実行中に前記ポート噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理とを実行し、前記仮判定処理にて前記筒内噴射系及び前記ポート噴射系のいずれかに異常ありと仮判定された場合に前記アイドル判定処理は実施されるとともに、前記アイドル判定処理の実行時には、前記筒内噴射モード及び前記ポート噴射モードのいずれか一方の噴射モードにて前記異常判定処理を実行した後、他方の噴射モードにて前記異常判定処理を実行し、前記アイドル判定処理の実行中に実施される前記異常判定処理にて前記筒内噴射系及び前記ポート噴射系の少なくとも一方について異常が確定されると前記自動停止の禁止を解除する処理を実行してもよい。
【0016】
同構成によれば、仮判定処理にて筒内噴射系またはポート噴射系に異常ありと仮判定された場合に上記アイドル判定処理は実施される。そして、アイドル判定処理の実行に際しては、筒内噴射モードまたはポート噴射モードのいずれか一方の噴射モードにて異常判定処理を実行した後、他方の噴射モードにて異常判定処理を実行することにより、筒内噴射系の異常やポート噴射系の異常が確定される。そしてアイドル判定処理の実行中に実施される異常判定処理にて筒内噴射系及びポート噴射系の少なくとも一方について異常が確定されると、自動停止の禁止が解除される。
【0017】
ここで、上述したように筒内噴射系のみに異常ありと仮判定された場合や、ポート噴射系のみに異常ありと仮判定された場合に上記アイドル判定処理を実施する場合には、一方の噴射系に異常があることだけではなく他方の噴射系に異常が無いことも判定するまではアイドル判定処理を実施することができない。そのため、仮判定処理の実行機会が少ない場合には、アイドル判定処理の実施が遅くなるおそれがある。一方、筒内噴射系またはポート噴射系に異常ありと仮判定された場合にアイドル判定処理を実施する同構成の場合には、一方の噴射系に異常があることを判定しさえすればアイドル判定処理が実施されるため、より早期にアイドル判定処理を開始することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】内燃機関の制御装置を具体化した第1実施形態にあって、これが適用される内燃機関の構造を示す模式図。
図2】同実施形態における噴射モードの実施領域を示す概念図。
図3】同実施形態における異常判定処理の手順を示すフローチャート。
図4】同実施形態におけるポート噴射系の仮判定処理の手順を示すフローチャート。
図5】同実施形態における筒内噴射系の仮判定処理の手順を示すフローチャート。
図6】同実施形態においてアイドル判定処理を含む一連の処理手順を示すフローチャート。
図7】同実施形態の作用を示すタイミングチャート。
図8】内燃機関の制御装置を具体化した第2実施形態においてアイドル判定処理を含む一連の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、内燃機関の制御装置を具体化した第1実施形態について、図1図7を参照して説明する。なお、本実施形態の内燃機関は車両に搭載される。
【0020】
図1に示すように、内燃機関11の各気筒12内にはピストン13が備えられている。ピストン13は、内燃機関11の出力軸であるクランク軸15にコネクティングロッド14を介して連結されており、コネクティングロッド14によりピストン13の往復運動がクランク軸15の回転運動に変換される。
【0021】
各気筒12内にあってピストン13の上方には燃焼室16が区画形成されており、この燃焼室16には、燃料及び空気の混合気に対して点火を行う点火プラグ18が取り付けられている。この点火プラグ18による混合気への点火タイミングは、点火プラグ18の上方に設けられたイグナイタ19によって調整される。
【0022】
また、燃焼室16には、吸気通路20及び排気通路21が連通されている。吸気通路20には燃焼室16に導入される空気量を調量するスロットルバルブ(図示略)が設けられており、排気通路21には混合気の空燃比が所定範囲内の値となっているときに排気を浄化する触媒100が設けられている。より詳細には、混合気の空燃比が理論空燃比となっているときに、触媒100では排気中の有害成分(主にHC、CO、NOx)が効果的に浄化される。
【0023】
吸気通路20の一部を構成する各吸気ポート20aには、吸気ポート20a内に燃料を噴射するポート噴射弁22が気筒12毎に設けられている。このポート噴射弁22は低圧デリバリパイプ42に接続されており、低圧デリバリパイプ42には、フィードポンプ41がくみ上げた燃料タンク40内の燃料が送油される。本実施形態では、ポート噴射弁22、低圧デリバリパイプ42、フィードポンプ41、及びこれら各部材を繋ぐ配管でポート噴射系が構成されている。
【0024】
また、内燃機関11には、各燃焼室16内に燃料をそれぞれ噴射する筒内噴射弁17が設けられている。この筒内噴射弁17は、高圧デリバリパイプ44に接続されており、高圧デリバリパイプ44には、フィードポンプ41が燃料タンク40からくみ上げた燃料を昇圧する高圧ポンプ43からの高圧燃料が圧送される。本実施形態では、筒内噴射弁17、高圧デリバリパイプ44、高圧ポンプ43、及びこれら各部材を繋ぐ配管で筒内噴射系が構成されている。
【0025】
制御装置30は、中央処理装置(以下、CPUという)31、制御用のプログラムやデータが記憶されたメモリ32を備えている。そして、メモリ32に記憶されたプログラムをCPU31が実行することにより、各種の機関制御を実行する。
【0026】
制御装置30には、クランク軸15の回転角を検出するクランク角センサ38、アクセル操作量ACCPを検出するアクセルセンサ33、吸入空気量GAを検出するエアフロメータ34が接続されており、それら各種センサからの出力信号が入力される。また、制御装置30には、触媒100よりも上流の排気通路21に設けられて空燃比Afを検出する空燃比センサ35や、機関の冷却水温を検出する水温センサ36や、内燃機関11を搭載した車両の車速SPを検出する車速センサ37も接続されており、これら各センサの出力信号も入力される。
【0027】
制御装置30は、クランク角センサ38の出力信号Scrに基づいて機関回転速度NEを演算する。また、制御装置30は、機関回転速度NE及び吸入空気量GAに基づいて機関負荷率KLを演算する。機関負荷率KLは、現在の機関回転速度NEにおいてスロットルバルブを全開とした状態で内燃機関11を定常運転したときのシリンダ流入空気量に対する、現在のシリンダ流入空気量の比率を表している。なお、シリンダ流入空気量は、吸気行程において各気筒12のそれぞれに流入する空気の量である。
【0028】
制御装置30は、内燃機関11の各種制御のひとつとして、筒内噴射弁17のみから燃料が噴射される筒内噴射モード、ポート噴射弁22のみから燃料が噴射されるポート噴射モード、及び筒内噴射弁17とポート噴射弁22の両方から燃料が噴射されるデュアル噴射モードのうちのいずれか1つの噴射モードを機関運転状態に応じて切り替える処理を実行する。
【0029】
図2に示すように、制御装置30は、例えば低回転且つ低負荷領域ではポート噴射モードを実施し、高負荷領域や高回転領域では筒内噴射モードを実施し、その他の機関運転領域ではデュアル噴射モードを実施する。なお、図2に示す各噴射モードの使い分けは一例であり、適宜変更することができる。また、以下では、筒内噴射モード及びポート噴射モードのことを単独噴射モードという。
【0030】
上述した噴射モードの切り替えは、機関運転状態に基づいて設定される燃料噴射量Qのうちでポート噴射弁22から噴射させる燃料量の割合を示すポート噴射割合Rpを種々変更することにより実行される。
【0031】
ポート噴射割合Rpは、機関負荷率KLや機関回転速度NE等の機関運転状態に基づき「0≦Rp≦1」の範囲内で可変設定され、燃料噴射量Qに対してポート噴射割合Rpを乗算した結果得られる燃料量がポート噴射弁22の燃料噴射量として設定される。一方、「1」からポート噴射割合Rpを減じた値が、燃料噴射量Qのうちで筒内噴射弁17から噴射させる燃料量の割合を示す筒内噴射割合Rdとして算出される(Rd=1−Rp)。そして、燃料噴射量Qに対して筒内噴射割合Rdを乗算した結果得られる燃料量が筒内噴射弁17の燃料噴射量として設定される。
【0032】
先の図2に示した例の場合には、アイドル運転時などのような低負荷且つ低回転領域では、ポート噴射割合Rpは「1」に、筒内噴射割合Rdは「0」に設定される。また、高負荷領域や高回転領域ではポート噴射割合Rpは「0」に、筒内噴射割合Rdは「1」に設定される。そして、その他の機関運転領域では、ポート噴射割合Rpは「0<Rp<1」の範囲内で可変設定され、これに伴い筒内噴射割合Rdも可変設定される。このように機関運転状態に応じてポート噴射割合Rpを可変設定することにより、自ずと筒内噴射割合Rdも可変設定される。
【0033】
制御装置30は、内燃機関11の各種制御のひとつとして、予め定められた自動停止条件が成立するときには内燃機関11の自動停止を実施する自動停止制御や、予め定めた自動始動条件が成立するときには内燃機関11の自動始動を実施する自動始動制御を実行する。本実施形態では、自動停止条件として、例えばアクセル操作量ACCPが「0」であって且つ車速SPが「0」であり且つ内燃機関11の暖機が完了しているという条件などが設定されている。これによりアクセルペダルが踏み込まれておらずアイドル運転条件が成立する場合でも、アイドル運転は実施されず内燃機関11は自動停止される。また、自動始動条件としては、例えば自動停止中にアクセル操作量ACCPが規定値以上になることなどが設定されている。これにより自動停止中にアクセルペダルが踏み込まれた場合などには、内燃機関11が自動始動される。
【0034】
制御装置30は、内燃機関11の各種制御のひとつとして、空燃比センサ35で検出される空燃比Afと目標空燃比Aftとを基に、上記燃料噴射量Qを補正する値である空燃比補正値FAFを算出する空燃比フィードバック制御を実施する。この空燃比フィードバック制御において制御装置30は、空燃比Afと目標空燃比Aftとの偏差が縮小するように空燃比補正値FAFを算出する。具体的には、制御装置30は、目標空燃比Aftと空燃比Afとの偏差を入力とする比例要素と積分要素と微分要素との和を空燃比補正値FAFとして算出する。
【0035】
制御装置30は、内燃機関11の各種制御のひとつとして、上述した単独噴射モードの実行中に当該単独噴射モードを実施している噴射系に異常が生じているか否かを判定する異常判定処理を実行する。
【0036】
図3に、上記異常判定処理の手順を示す。この図3に示す処理は、制御装置30のメモリ32に記憶されたプログラムをCPU31が実行することにより実施される。また、この異常判定処理は、機関運転中において所定周期毎に繰り返し実行される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、ステップ番号を表現する。
【0037】
本処理を開始すると、制御装置30のCPU31は、現在の連続異常カウンタCECが閾値Eを超えているか否かを判定する(S10)。この連続異常カウンタCECは、単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている連続時間を計測したものであり、CPU31によって算出されている。より詳細には、連続異常カウンタCECは、以下の条件(A)及び条件(B)がともに成立している状態で、単独噴射モード実施中の空燃比補正値FAFが異常な値になっていること、つまり同空燃比補正値FAFが正常であると判定される所定範囲の範囲外の値となっており、例えば同空燃比補正値FAFが過剰に多い場合や過剰に少ない場合にカウントアップされる値である。
【0038】
条件(A):空燃比フィードバック制御が実行されている。
条件(B):内燃機関11の暖機が完了している。
なお、連続異常カウンタCECは、噴射モードが変わった場合や、後述のS11の処理が実施された場合にリセットされて「0」になる。
【0039】
また、閾値Eとしては、連続異常カウンタCECがこの閾値Eを超えていることに基づき、現在、単独噴射モードを実施している噴射系に異常が生じていることを的確に判定することができるように、その値の大きさは設定されている。
【0040】
そして、CPU31は、現在の連続異常カウンタCECが閾値E以下であると判定する場合(S10:NO)、本処理を一旦終了する。
一方、CPU31は、現在の連続異常カウンタCECが閾値Eを超えていると判定する場合(S10:YES)、現在の単独噴射モードを実施している噴射系に異常ありと判定する(S11)。例えば、現在実施している単独噴射モードが筒内噴射モードの場合には、筒内噴射系に異常ありと判定し、現在実施している単独噴射モードがポート噴射モードの場合には、ポート噴射系に異常ありと判定する。そして、CPU31は、本処理を一旦終了する。
【0041】
ところで、上記異常判定処理において噴射系に異常があることを判定するには、連続異常カウンタCECが閾値Eを超えるまで、筒内噴射モードやポート噴射モードが継続して実行される必要がある。しかし、図2に示したように、筒内噴射モードは高負荷時や高回転時などのように通常運転時にはあまり使われない運転領域で実施されるモードであるため、通常運転中に異常判定処理にて筒内噴射系の異常が検出される機会は少ない。他方、ポート噴射モードは、アイドル運転時などのように通常運転時によく使われる運転領域で実施されるモードであるため、通常運転中に異常判定処理にてポート噴射系の異常が検出される機会は多い。ただし、上述した自動停止制御が実施される内燃機関11では、アイドル運転が実施されないことが多いため、異常判定処理にてポート噴射系の異常が検出される機会は少なくなってしまう。
【0042】
そこで、本実施形態の制御装置30は、単独噴射モードの実行中に当該単独噴射モードを実施している噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する仮判定処理を実行する。そして、仮判定処理にて異常ありと仮判定された場合には、自動停止を禁止するとともにアイドル運転時には仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系のみを使用する噴射モードを実施して上記の異常判定処理を実行するアイドル判定処理を実行するようにしている。ちなみに、アイドル運転時は、他の運転時と比較して燃焼室内の温度が低いため、筒内噴射モードの実行時に起きやすいポート噴射弁へのデポジット付着や、ポート噴射モードの実行時に起きやすい筒内噴射弁の熱害が抑えられる。そのため、アイドル運転時において筒内噴射モードやポート噴射モードを実行しても弊害は少ない。
【0043】
以下、仮判定処理及びアイドル判定処理について説明する。
上記仮判定処理としては、ポート噴射モードの実行中にポート噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理(ポート噴射系に関する仮判定処理)と、筒内噴射モードの実行中に筒内噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する処理(筒内噴射系に関する仮判定処理)とが実行される。
【0044】
図4に、ポート噴射系に関する仮判定処理の手順を示す。この図4に示す処理は、制御装置30のメモリ32に記憶されたプログラムをCPU31が所定周期毎に実行することにより実施される。
【0045】
本処理を開始すると、制御装置30のCPU31は、現在の第1累積判定カウンタADCpが閾値A以上であるか否かを判定する(S20)。第1累積判定カウンタADCpはCPU31によって算出される値であり、上述した条件(A)及び条件(B)に加えて以下の条件(C)及び条件(D)がすべて成立しているときにカウントアップされる値である。
【0046】
条件(C):噴射モードが切り替わってから規定時間(例えば数百ms程度)が経過している。
条件(D):ポート噴射モードを実施中である。
【0047】
また、この第1累積判定カウンタADCpは、条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(D)のうちのいずれかが不成立になると現状値がそのまま保持される。従って、この第1累積判定カウンタADCpは、機関運転中において条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(D)のすべてが成立している時間の累積値を表す値となっている。なお、第1累積判定カウンタADCpは、車両のイグニッションスイッチがオフ操作されるとリセットされて「0」になる。
【0048】
また、上記閾値Aとしては、第1累積判定カウンタADCpがこの閾値A以上になっている状態において後述のS21の処理にて否定判定されたことに基づき、ポート噴射系は正常であることを的確に判定することができるように、その値の大きさは設定されており、後述の閾値Bよりも大きい値が設定されている。
【0049】
そして、CPU31は、現在の第1累積判定カウンタADCpが閾値A未満であると判定する場合(S20:NO)、本処理を一旦終了する。
一方、CPU31は、現在の第1累積判定カウンタADCpが閾値A以上であると判定する場合(S20:YES)、現在の第1累積異常カウンタAECpが閾値Bを超えているか否かを判定する(S21)。この第1累積異常カウンタAECpは、ポート噴射モードを実施しているポート噴射系に異常が生じている累積時間を計測したものであり、CPU31によって算出されている。より詳細には、第1累積異常カウンタAECpは、上記条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(D)がすべて成立している状態で、ポート噴射モード実施中の空燃比補正値FAFが異常な値になっていること、つまり同空燃比補正値FAFが正常であると判定される所定範囲の範囲外の値となっており、例えば同空燃比補正値FAFが過剰に多い場合や過剰に少ない場合にカウントアップされる値である。なお、第1累積異常カウンタAECpは、車両のイグニッションスイッチがオフ操作されるとリセットされて「0」になる。
【0050】
また、上記閾値Bとしては、第1累積異常カウンタAECpがこの閾値Bを超えていることに基づき、現在、ポート噴射モードを実施しているポート噴射系に異常が生じている可能性があることを的確に判定することができるように、その値の大きさは設定されている。なお、本実施形態では、上記閾値Bは上記閾値Eよりも大きい値に設定されているが、閾値Bと閾値Eとの大小関係は適宜変更してもよい。
【0051】
そして、CPU31は、現在の第1累積異常カウンタAECpが閾値B以下であると判定する場合(S21:NO)、ポート噴射系は正常であると判定して(S23)、本処理を一旦終了する。
【0052】
一方、CPU31は、現在の第1累積異常カウンタAECpが閾値Bを超えていると判定する場合(S21:YES)、ポート噴射系に異常ありと仮判定して(S22)、本処理を一旦終了する。
【0053】
図5に、筒内噴射系に関する仮判定処理の手順を示す。この図5に示す処理も、制御装置30のメモリ32に記憶されたプログラムをCPU31が所定周期毎に実行することにより実施される。
【0054】
本処理を開始すると、制御装置30のCPU31は、現在の第2累積判定カウンタADCdが閾値C以上であるか否かを判定する(S30)。第2累積判定カウンタADCdはCPU31によって算出される値であり、上述した条件(A)及び条件(B)及び条件(C)に加えて以下の条件(E)がすべて成立しているときにカウントアップされる値である。
【0055】
条件(E):筒内噴射モードを実施中である。
また、第2累積判定カウンタADCdは、条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(E)のうちのいずれかが不成立になると現状値がそのまま保持される。従って、この第2累積判定カウンタADCdは、機関運転中において条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(E)のすべてが成立している時間の累積値を表す値となっている。なお、第2累積判定カウンタADCdは、車両のイグニッションスイッチがオフ操作されるとリセットされて「0」になる。
【0056】
また、上記閾値Cとしては、第2累積判定カウンタADCdがこの閾値C以上になっている状態において後述のS31の処理にて否定判定されたことに基づき、筒内噴射系は正常であることを的確に判定することができるように、その値の大きさは設定されており、後述の閾値Dよりも大きい値が設定されている。ちなみに、本実施形態では、上記閾値Cは上記閾値Aと同じ値になっているが、異なる値にしてもよい。
【0057】
そして、CPU31は、現在の第2累積判定カウンタADCdが閾値C未満であると判定する場合(S30:NO)、本処理を一旦終了する。
一方、CPU31は、現在の第2累積判定カウンタADCdが閾値C以上であると判定する場合(S30:YES)、現在の第2累積異常カウンタAECdが閾値Dを超えているか否かを判定する(S31)。この第2累積異常カウンタAECdは、筒内噴射モードを実施している筒内噴射系に異常が生じている累積時間を計測したものであり、CPU31によって算出されている。より詳細には、第2累積異常カウンタAECdは、上記条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(E)がすべて成立している状態で、筒内噴射モード実施中の空燃比補正値FAFが異常な値になっていること、つまり同空燃比補正値FAFが正常であると判定される所定範囲の範囲外の値となっており、例えば同空燃比補正値FAFが過剰に多い場合や過剰に少ない場合にカウントアップされる値である。なお、第2累積異常カウンタAECdは、車両のイグニッションスイッチがオフ操作されるとリセットされて「0」になる。
【0058】
また、上記閾値Dとしては、第2累積異常カウンタAECdがこの閾値Dを超えていることに基づき、現在、筒内噴射モードを実施している筒内噴射系に異常が生じている可能性があることを的確に判定することができるように、その値の大きさは設定されている。なお、本実施形態では、上記閾値Dは上記閾値Bと同じ値が設定されているが、異なる値を設定してもよい。
【0059】
そして、CPU31は、現在の第2累積異常カウンタAECdが閾値D以下であると判定する場合(S31:NO)、筒内噴射系は正常であると判定して(S33)、本処理を一旦終了する。
【0060】
一方、CPU31は、現在の第2累積異常カウンタAECdが閾値Dを超えていると判定する場合(S31:YES)、筒内噴射系に異常ありと仮判定して(S32)、本処理を一旦終了する。
【0061】
なお、図4図5に示した仮判定処理の判定結果は、例えば車両のイグニッションスイッチがオフ操作された場合にクリヤされる。
図6に、上記アイドル判定処理を含む一連の処理手順を示す。この図6に示す処理も、制御装置30のメモリ32に記憶されたプログラムをCPU31が実行することにより実施される。また、この一連の処理は、上記異常判定処理にてポート噴射系及び筒内噴射系の双方に異常ありと判定されている場合を除いて、所定周期毎に繰り返し実行される。
【0062】
本処理を開始すると、制御装置30のCPU31は、ポート噴射系のみに仮異常判定があるか、または筒内噴射系のみに仮異常判定があるか否かを判定する(S40)。「ポート噴射系のみに仮異常判定がある」とは、上述した仮判定処理にてポート噴射系のみに異常ありと仮判定された状態、つまりポート噴射系に異常ありと仮判定されており且つ筒内噴射系は正常と判定されている状態のことをいい、これは図4のS22の処理及び図5のS33の処理の双方が実施された状態である。また、「筒内噴射系のみに仮異常判定がある」とは、上述した仮判定処理にて筒内噴射系のみに異常ありと仮判定された状態、つまり筒内噴射系に異常ありと仮判定されており且つポート噴射系は正常と判定されている状態のことをいい、これは図4のS23の処理及び図5のS32の処理の双方が実施された状態である。
【0063】
そして、CPU31は、S40で否定判定すると、本処理を一旦終了する。
一方、CPU31は、S40においてポート噴射系のみに仮異常判定がある、または筒内噴射系のみに仮異常判定があると判定すると(S40:YES)、アイドル判定処理として以下のS41〜S49の処理を実施する。
【0064】
S41の処理において、CPU31は、初期値が「OFF」に設定されている自動停止禁止フラグを「ON」に設定する(S41)。この自動停止禁止フラグが「ON」になると、制御装置30は上記自動停止の実行を禁止する。
【0065】
次に、CPU31は、アクセル操作量ACCPが「0」であるか否かを判定する(S42)。そして、CPU31は、アクセル操作量ACCPが「0」ではないと判定すると(S42:NO)、本処理を一旦終了する。
【0066】
一方、CPU31は、アクセル操作量ACCPが「0」であると判定すると(S42:YES)、ポート噴射系のみに仮異常判定があるか否かを判定する(S43)。
そして、CPU31は、ポート噴射系のみに仮異常判定があると判定すると(S43:YES)、ポート噴射モードでアイドル運転を実行する(S44)。
【0067】
次に、CPU31は、S44で開始したアイドル運転中に上記異常判定処理を実行して、この異常判定処理にてポート噴射系に異常ありと判定されたか否かを判定する(S45)。そして、異常判定処理にてポート噴射系に異常ありと判定されない場合には(S45:NO)、CPU31は、本処理を一旦終了する。
【0068】
一方、異常判定処理にてポート噴射系に異常ありと判定された場合には(S45:YES)、CPU31は、ポート噴射系に異常ありと確定して(S46)、自動停止禁止フラグを「OFF」に設定する(S50)。そして、CPU31は、本処理を一旦終了する。
【0069】
他方、上記S43にて、ポート噴射系のみに仮異常判定があると判定されない場合、つまり筒内噴射系のみに仮異常判定がある場合には(S43:NO)、CPU31は、筒内噴射モードでアイドル運転を実行する(S47)。
【0070】
次に、CPU31は、S47で開始したアイドル運転中に上記異常判定処理を実行して、この異常判定処理にて筒内噴射系に異常ありと判定されたか否かを判定する(S48)。そして、異常判定処理にて筒内噴射系に異常ありと判定されない場合には(S48:NO)、CPU31は、本処理を一旦終了する。
【0071】
一方、異常判定処理にて筒内噴射系に異常ありと判定された場合には(S48:YES)、CPU31は、筒内噴射系に異常ありと確定して(S49)、自動停止禁止フラグを「OFF」に設定する(S50)。そして、CPU31は、本処理を一旦終了する。
【0072】
図7に、上記仮判定処理及び上記アイドル判定処理の作用についてその一例を示す。なお、図7には、ポート噴射系に異常があり且つ筒内噴射系は正常である場合の例を示す。また、図7に示す噴射モードの「PFI」はポート噴射モードを示し、「DUAL」はデュアル噴射モードを示し、「DI」は筒内噴射モードを示す。
【0073】
時刻t1において機関始動が開始された以降、上記の条件(A)及び条件(B)がともに成立しており、且つ単独噴射モード実施中の空燃比補正値FAFが異常な値になっている間は、連続異常カウンタCECの値が時間経過とともに増大していく。ここで、この例の場合には、筒内噴射系が正常であるために筒内噴射モード実施中の空燃比補正値FAFは異常な値ではない。従って、筒内噴射モードの実施中には連続異常カウンタCECの値は「0」のまま維持される。一方、ポート噴射系には異常があるため、ポート噴射モード実施中の空燃比補正値FAFは異常な値になる。従って、ポート噴射モードの実施中には連続異常カウンタCECの値は時間経過とともに増大していく。ただし、連続異常カウンタCECの値が閾値Eを超える前に噴射モードがポート噴射モードから別の噴射モードに切り替わると(時刻t2や時刻t4)、連続異常カウンタCECはリセットされて「0」になるとともに、ポート噴射系に異常ありとの判定は行われない。
【0074】
他方、時刻t1において機関始動が開始された以降、上記の条件(A)〜条件(D)のすべてが成立している間は、第1累積判定カウンタADCpの値が時間経過とともに増大していく。一方、上記の条件(A)〜条件(D)のうちのいずれかが不成立になると、第1累積判定カウンタADCpの値は現状値のまま保持される。そして、上記の条件(A)〜条件(D)のすべてが再び成立すると、第1累積判定カウンタADCpの値は再び増大していく。
【0075】
また、時刻t1において機関始動が開始された以降、上記の条件(A)〜条件(D)のすべてが成立しており、且つポート噴射モード実施中の空燃比補正値FAFが異常な値になっているときには、第1累積異常カウンタAECpの値が時間経過とともに増大していく。一方、上記の条件(A)〜条件(D)のうちのいずれかが不成立になる場合、あるいはポート噴射モード実施中の空燃比補正値FAFが異常な値になっていない場合には、第1累積判定カウンタADCpのカウントアップは停止されて現状値のまま保持される。そして、上記の条件(A)〜条件(D)のすべてが再び成立するとともにポート噴射モード実施中の空燃比補正値FAFが異常な値になっている場合には、時間経過とともに第1累積判定カウンタADCpの値は再び増大していく。
【0076】
そして、第1累積判定カウンタADCpが閾値A以上になったときに、第1累積異常カウンタAECpが閾値Bを超えていると(時刻t3)、CPU31は、ポート噴射系に異常ありと仮判定する。
【0077】
また、時刻t1において機関始動が開始された以降、上記の条件(A)〜条件(C)及び条件(E)のすべてが成立している間は、第2累積判定カウンタADCdの値が時間経過とともに増大していく。一方、上記の条件(A)〜条件(C)及び条件(E)のうちのいずれかが不成立になると、第2累積判定カウンタADCdの値は現状値のまま保持される。そして、上記の条件(A)〜条件(C)及び条件(E)のすべてが再び成立すると、第2累積判定カウンタADCdの値は再び増大していく。
【0078】
そして、時刻t1において機関始動が開始された以降、上記の条件(A)〜条件(C)及び条件(E)のすべてが成立しており、且つ筒内噴射モード実施中の空燃比補正値FAFが異常な値になっているときには、第2累積異常カウンタAECdの値が時間経過とともに増大していく。ここで、この例の場合には、筒内噴射系が正常であるために筒内噴射モード実施中の空燃比補正値FAFは異常な値になっていない。そのため、たとえ上記の条件(A)〜条件(C)及び条件(E)のすべてが成立していても、筒内噴射モード実施中の空燃比補正値FAFは異常な値になっていないことから、第2累積異常カウンタAECdの値は「0」のまま維持される。
【0079】
そして、第2累積判定カウンタADCdが閾値C以上になったときに、第2累積異常カウンタAECdが閾値D以下になっていると(時刻t5)、CPU31は、筒内噴射系は正常と判定する。これにより、ポート噴射系のみに異常ありと仮判定されて、自動停止禁止フラグが「OFF」から「ON」に変更される。
【0080】
そして、自動停止禁止フラグが「ON」に変更された以降において、自動停止条件が成立しても、内燃機関の自動停止は実行されることなくアイドル運転が開始される(時刻t6)。このアイドル運転では、仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系のみを使用する噴射モード、つまりこの例の場合にはポート噴射モードにてアイドル運転が行われて、そのアイドル運転中に上記異常判定処理が実行される。そして、このアイドル運転中に算出される連続異常カウンタCECが閾値Eを超えると(時刻t7)、ポート噴射系に異常ありと判定されることにより、ポート噴射系の異常が確定される。そして、自動停止禁止フラグが「ON」から「OFF」に変更されることにより、次回以降、自動停止条件が成立したときには自動停止が実行される。
【0081】
以上説明した本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)ポート噴射モードや筒内噴射モードといった単独噴射モードの実行中に当該単独噴射モードを実施している噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定する仮判定処理が実行される。そして、この仮判定処理によって噴射系に異常が生じている可能性があると仮判定された場合には、機関運転の自動停止が禁止されることにより、アイドル運転を実施することが可能になる。そして、アイドル運転時には、仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系のみを使用する噴射モードを実施して上記異常判定処理が実行されるため、仮判定処理にて異常ありと仮判定された噴射系の異常が、異常判定処理による噴射系異常の再判定により確定される。
【0082】
ここで、本実施形態では、筒内噴射系及びポート噴射系の各噴射系に異常が無く正常な場合には、上記仮判定処理にて噴射系に異常ありと仮判定されないため、自動停止は禁止されない。そのため、各噴射系が正常な場合において自動停止の実行機会が減少することを抑えることができるようになり、例えば燃費の悪化も抑えられるようになる。
【0083】
(2)上述した異常判定処理において、単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている連続時間である連続異常カウンタCECを計測し、その連続異常カウンタCECが閾値Eを超えた場合に当該噴射系に異常ありと判定するようにしている。この場合には、噴射系の異常が連続して継続していることを示す上記連続異常カウンタCECに基づいて噴射系の異常が判定されるため、噴射系の異常を適切に判定することができる。
【0084】
一方、上述した仮判定処理では、単独噴射モードを実施している噴射弁の噴射系に異常が生じている累積時間である第1累積異常カウンタAECpや第2累積異常カウンタAECdを計測し、第1累積異常カウンタAECpが閾値Bを超える場合にはポート噴射系に異常ありと仮判定するようにしている。また、第2累積異常カウンタAECdが閾値Dを超える場合には筒内噴射系に異常ありと仮判定するようにしている。こうした累積時間に基づいて異常判定を実施する仮判定処理では、噴射系に異常が生じている場合、機関運転状態に基づいて実施される単独噴射モードの実行時間が短くても当該単独噴射モードが実行されるたびに上記累積時間である第1累積異常カウンタAECpや第2累積異常カウンタAECdは増大していく。従って、この仮判定処理では、自動停止を禁止しなくても、噴射系に異常が生じている可能性があるか否かを仮判定することができるようになる。
【0085】
(3)仮判定処理にて筒内噴射系のみに異常ありと仮判定された場合、またはポート噴射系のみに異常ありと仮判定された場合に上記のアイドル判定処理を実施するようにしている。このように本実施形態では、仮判定処理の実施により、異常が生じている可能性のある噴射系と異常が生じていない噴射系とが特定される。そして、アイドル判定処理の実行に際しては、異常が生じている可能性のある噴射系についてのみ異常判定処理が実施されて、その異常判定処理にて異常が確定されると自動停止の禁止が解除される。このように、本実施形態では、アイドル判定処理の実行に際して一方の噴射系についてのみ異常判定処理を実施すればよいため、アイドル判定処理の実行に際して筒内噴射系及びポート噴射系の双方について異常判定処理を実施する場合と比較して、アイドル判定処理での異常判定処理が早期に終了するようになり、自動停止の禁止が解除される時期も早くなる。そのため、自動停止が禁止される期間を短くすることができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、内燃機関の制御装置を具体化した第2実施形態について、図8を参照して説明する。なお、本実施形態と上記実施形態とは、図6に示したアイドル判定処理を含む一連の処理手順が異なっている。そこで、以下では、そうした相異点を中心にして本実施形態の制御装置を説明する。
【0087】
図8に、本実施形態の制御装置30が実行するアイドル判定処理を含む一連の処理手順を示す。この図8に示す処理も、制御装置30のメモリ32に記憶されたプログラムをCPU31が実行することにより実施される。また、この一連の処理は、上記異常判定処理にてポート噴射系及び筒内噴射系の双方に異常ありと判定されている場合を除いて、所定周期毎に繰り返し実行される。
【0088】
本処理を開始すると、制御装置30のCPU31は、ポート噴射系に仮異常判定があるか、または筒内噴射系に仮異常判定があるか否かを判定する(S60)。「ポート噴射系に仮異常判定がある」とは、上述した仮判定処理にてポート噴射系に異常ありと仮判定された状態のことをいい、これは図4のS22の処理が実施された状態である。また、「筒内噴射系に仮異常判定がある」とは、上述した仮判定処理にて筒内噴射系に異常ありと仮判定された状態のことをいい、これは図5のS32の処理が実施された状態である。
【0089】
そして、CPU31は、S60で否定判定すると、本処理を一旦終了する。
一方、CPU31は、S60においてポート噴射系に仮異常判定がある、または筒内噴射系に仮異常判定があると判定すると(S60:YES)、アイドル判定処理として以下のS61〜S69の処理を実施する。
【0090】
S61の処理において、CPU31は、初期値が「OFF」に設定されている自動停止禁止フラグを「ON」に設定する(S61)。この自動停止禁止フラグが「ON」になると、制御装置30は上記自動停止の実行を禁止する。
【0091】
次に、CPU31は、アクセル操作量ACCPが「0」であるか否かを判定する(S62)。そして、CPU31は、アクセル操作量ACCPが「0」ではないと判定すると(S62:NO)、本処理を一旦終了する。
【0092】
一方、CPU31は、アクセル操作量ACCPが「0」であると判定すると(S62:YES)、ポート噴射モードでアイドル運転を実行する(S63)。
次に、CPU31は、S63で開始したアイドル運転中に上記異常判定処理を実行して、予め定められた時間DT内に異常判定処理にてポート噴射系に異常ありと判定されたか否かを判定する(S64)。この時間DTは、上記閾値Eに相当する時間よりもやや長い時間が設定されている。そして、異常判定処理にてポート噴射系に異常ありと判定された場合には(S64:YES)、CPU31は、ポート噴射系に異常ありと確定する(S65)。一方、異常判定処理にてポート噴射系に異常ありと判定されない場合や(S64:NO)、S65の処理が実行された場合には、次に、CPU31は、筒内噴射モードでアイドル運転を実行する(S66)。
【0093】
次に、CPU31は、S66で開始したアイドル運転中に上記異常判定処理を実行して、上記時間DT内に異常判定処理にて筒内噴射系に異常ありと判定されたか否かを判定する(S67)。そして、異常判定処理にて筒内噴射系に異常ありと判定されない場合には(S67:NO)、CPU31は、本処理を一旦終了する。
【0094】
一方、異常判定処理にて筒内噴射系に異常ありと判定された場合には(S67:YES)、CPU31は、筒内噴射系に異常ありと確定する(S68)。
次に、CPU31は、ポート噴射系及び筒内噴射系の少なくとも一方の異常が確定されたか否かを判定する(S69)。このS69では、上記S65の処理または上記S68の処理のうちの少なくとも一方の処理を実施した場合に、CPU31は肯定判定する。
【0095】
そして、ポート噴射系及び筒内噴射系の少なくとも一方の異常が確定されていない場合には(S69:NO)、CPU31は、本処理を一旦終了する。一方、ポート噴射系及び筒内噴射系の少なくとも一方の異常が確定されている場合には(S69:YES)、CPU31は、自動停止禁止フラグを「OFF」に設定して(S70)、本処理を一旦終了する。
【0096】
以上説明した本実施形態によれば、上記(1)及び上記(2)に記載の作用効果に加えて以下の作用効果を得ることができる。
(4)仮判定処理にて筒内噴射系またはポート噴射系に異常ありと仮判定された場合に上述したアイドル判定処理が実施される。そして、アイドル判定処理の実行に際しては、ポート噴射モードにて上記異常判定処理を実行した後、筒内噴射モードにて上記異常判定処理を実行することにより、筒内噴射系の異常やポート噴射系の異常が確定される。そしてアイドル判定処理の実行中に実施される異常判定処理にて筒内噴射系及びポート噴射系の少なくとも一方について異常が確定されると、自動停止の禁止が解除される。
【0097】
ここで、第1実施形態で説明したように、筒内噴射系のみに異常ありと仮判定された場合や、ポート噴射系のみに異常ありと仮判定された場合に上記アイドル判定処理を実施する場合には、一方の噴射系に異常があることだけではなく他方の噴射系に異常が無いことも判定するまではアイドル判定処理を実施することができない。そのため、仮判定処理の実行機会が少ない場合には、アイドル判定処理の実施が遅くなるおそれがある。一方、筒内噴射系またはポート噴射系に異常ありと仮判定された場合にアイドル判定処理を実施する本実施形態の場合には、一方の噴射系に異常があることを判定しさえすればアイドル判定処理が実施されるため、より早期にアイドル判定処理を開始することができるようになる。
【0098】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0099】
図4に示したポート噴射系に関する仮判定処理では、機関運転中において条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(D)のすべてが成立している時間の累積値を表す値として第1累積判定カウンタADCpを算出した。また、ポート噴射モードを実施しているポート噴射系に異常が生じている累積時間を表す値として第1累積異常カウンタAECpを算出した。この他、機関運転中において条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(D)のすべてが成立している連続時間を計測してこの計測した連続時間を予め定めた閾値Fと比較することにより、S21の処理を実行するか否かを判断する。そして、ポート噴射モードを実施しているポート噴射系に異常が生じている連続時間を計測して、この計測した連続時間を予め定めた閾値Gと比較することにより、S22の処理またはS23の処理を実行するようにしてもよい。なお、この変更例の場合には、閾値Gを上述した閾値Eよりも小さい値に設定することにより、上記異常判定処理による異常判定が確定する前に、ポート噴射系に異常が生じている可能性があることを仮判定処理にて仮判定することができる。
【0100】
同様に、図5に示した筒内噴射系に関する仮判定処理では、機関運転中において条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(E)のすべてが成立している時間の累積値を表す値として第2累積判定カウンタADCdを算出した。また、筒内噴射モードを実施している筒内噴射系に異常が生じている累積時間を表す値として第2累積異常カウンタAECdを算出した。この他、機関運転中において条件(A)及び条件(B)及び条件(C)及び条件(E)のすべてが成立している連続時間を計測してこの計測した連続時間を予め定めた閾値Hと比較することにより、S31の処理を実行するか否かを判断する。そして、筒内噴射モードを実施している筒内噴射系に異常が生じている連続時間を計測して、この計測した連続時間を予め定めた閾値Kと比較することにより、S32の処理またはS33の処理を実行するようにしてもよい。なお、この変更例の場合には、閾値Kを上述した閾値Eよりも小さい値に設定することにより、上記異常判定処理による異常判定が確定する前に、筒内噴射系に異常が生じている可能性があることを仮判定処理にて仮判定することができる。
【0101】
・上記第2実施形態では、ポート噴射モードでアイドル運転を実行した後に、筒内噴射モードでアイドル運転を実行した。この他、筒内噴射モードでアイドル運転を実行した後に、ポート噴射モードでアイドル運転を実行してもよい。
【0102】
図4に示したポート噴射系に関する仮判定処理において、S20の処理を省略するとともに、S21で否定判定される場合には、仮判定処理を一旦終了してもよい。この場合でも、ポート噴射系に異常が生じている可能性がある場合には、ポート噴射系に異常ありと仮判定することが可能である。
【0103】
同様に、図5に示した筒内噴射系に関する仮判定処理において、S30の処理を省略するとともに、S31で否定判定される場合には、仮判定処理を一旦終了してもよい。この場合でも、筒内噴射系に異常が生じている可能性がある場合には、筒内噴射系に異常ありと仮判定することが可能である。
【0104】
図3で説明した異常判定処理と同様な異常判定処理をデュアル噴射モードの実施中に実行してもよい。すなわち、上記条件(A)及び条件(B)がともに成立する状態で、デュアル噴射モードの実施中における空燃比補正値FAFが、正常であると判定される所定範囲の範囲外の値となっている場合には、デュアル噴射モードに関する連続異常カウンタCECの値をカウントアップする。そして、このデュアル噴射モードに関する連続異常カウンタCECが上記閾値E以上の場合には、例えばデュアル噴射モードを実施している筒内噴射系及びポート噴射系の少なくとも一方に異常ありと判定してもよい。
【符号の説明】
【0105】
11…内燃機関、12…気筒、13…ピストン、14…コネクティングロッド、15…クランク軸、16…燃焼室、17…筒内噴射弁、18…点火プラグ、19…イグナイタ、20…吸気通路、20a…吸気ポート、21…排気通路、22…ポート噴射弁、30…制御装置、31…中央処理装置(CPU)、32…メモリ、33…アクセルセンサ、34…エアフロメータ、35…空燃比センサ、36…水温センサ、37…車速センサ、38…クランク角センサ、40…燃料タンク、41…フィードポンプ、42…低圧デリバリパイプ、43…高圧ポンプ、44…高圧デリバリパイプ、100…触媒。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8