(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算装置は、前記使用率のデータを取得した期間が所定期間よりも短い場合には、前記期間が前記所定期間よりも長い場合と比べて、前記第1の係数による前記実効台数の重み付けを大きくする、請求項3に記載のサーバ。
前記演算装置は、前記実効台数が所定台数よりも少ない場合には、前記実効台数が前記所定台数よりも多い場合と比べて、前記第2の係数による前記使用率の重み付けを大きくする、請求項3に記載のサーバ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に説明する実施の形態では、複数の車両の各々に対し、どの充電器を選択することが望ましいかを示す「充電情報」が提供される。この充電情報を提供するシステムを「充電情報提供システム」と称し、以下、その構成について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0030】
[実施の形態1]
<充電情報提供システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る充電情報提供システムの全体構成を概略的に示す図である。充電情報提供システム9は、複数の車両1〜4と、サーバ5とを含む。車両1〜4の各々は、たとえば、バッテリ110(
図2参照)が搭載された電気自動車である。各車両1〜4は、充電器A〜Fのうちのいずれかから供給される電力によりバッテリ110を充電(プラグイン充電)することが可能に構成されている。
【0031】
なお、ここでは説明が煩雑になるのを防ぐため、充電情報提供システム9に4台の車両1〜4が含まれる構成を例に説明するが、実際には、充電情報提供システム9には、より多くの車両(たとえば数千台〜数十万台)が含まれ得る。また、6台よりも多くの充電器が設けられていてもよい。
【0032】
車両1とサーバ5とは、双方向の通信が可能に構成されている。他の車両2〜4とサーバ5とについても同様である。これにより、サーバ5は、各車両1〜4との間で必要な情報の授受を行なう。
【0033】
さらに、充電器Aとサーバ5とは、双方向に通信可能に構成されている。他の充電器B〜Fについても同様である。これにより、サーバ5は、各充電器A〜Fの使用実績に関する情報を収集する。この情報については
図4および
図5にて説明する。
【0034】
図2は、充電情報提供システム9の構成をより詳細に示す図である。車両2〜4は、車両1と基本的に共通の構成を有する。よって、
図2では車両1の構成について代表的に説明する。
【0035】
車両1は、ECU(Electronic Control Unit)100と、バッテリ110と、電力変換装置120と、ナビゲーション装置130と、通信モジュール140とを備える。ECU100、ナビゲーション装置130および通信モジュール140は、CAN(Controller Area Network)などの有線の車載ネットワーク150により互いに接続されている。
【0036】
バッテリ110は、複数のセル(図示せず)を含んで構成された組電池である。各セルは、リチウムイオン二次電池またはニッケル水素電池等の二次電池である。バッテリ110は、いずれも図示しないが、電力制御装置(PCU:Power Control Unit)を介してモータジェネレータに駆動用の電力を供給する。このモータジェネレータは、回生制動によって発電することも可能である。モータジェネレータにより発電された交流電力は、電力制御装置により直流電力に変換されてバッテリ110に充電される。
【0037】
電力変換装置120は、ECU100からの制御信号に従って、充電器A〜Fから供給される電力をバッテリ110に充電可能な電圧の直流電力に変換する。
【0038】
ナビゲーション装置130は、人工衛星(図示せず)からの電波に基づいて車両1の位置を特定するためのGPS(Global Positioning System)受信機131と、ユーザの様々な操作を受け付けるタッチパネル付きのディスプレイ132とを含む。ナビゲーション装置130は、GPS受信機131により特定された車両1の位置情報(以下、「GPS情報」とも称する)を用いて、車両1の各種ナビゲーション処理を実行する。
【0039】
より具体的には、ナビゲーション装置130は、車両1のGPS情報とメモリ(図示せず)に記憶された道路地図データとに基づいて、車両1の周辺の道路地図に車両1の現在地とともに、1または複数の充電器の位置を重ね合わせてディスプレイ132に表示させる。また、ナビゲーション装置130は、ディスプレイ132上に表示された1または複数の充電器のなかから、いずれかの充電器をユーザが選択する操作を受け付ける。ナビゲーション装置130は、車両1の現在地からユーザが選択した充電器までの推奨経路を案内してもよい。なお、ナビゲーション装置130は、本開示に係る「報知装置」に相当する。
【0040】
通信モジュール140は、車載DCM(Data Communication Module)であって、ECU100とサーバ5とが双方向に通信可能なように構成されている。
【0041】
ECU100は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力ポートと、タイマとを含んで構成されている。ECU100は、各種センサ(図示せず)の検出値およびメモリに格納されたプログラムに基づいて、車両1が所望の状態となるように車両1内の各機器を制御する。
【0042】
サーバ5は、たとえばアプリケーションサーバである演算装置500と、記憶装置510と、通信装置520とを備える。記憶装置510は、位置情報データベース511と、到達範囲データベース512と、使用実績データベース513と含む。
【0043】
位置情報データベース511は、車両1〜4のGPS情報を格納する。車両1〜4のGPS情報は、車両1〜4からサーバ5に定期的に送信される。また、位置情報データベース511は、充電器A〜Fの位置情報を格納する。新規に充電器が設置されたり既存の充電器が廃止されたりする場合もある。したがって、位置情報データベース511に格納された充電器の位置情報は、位置情報データベース511の管理者により定期的に最新の状態に更新されている。なお、位置情報データベース511は、2つのデータベース、すなわち、車両1〜4のGPS情報を格納するデータベースと、充電器A〜Fの位置情報を格納するデータベースとに分けて構成されていてもよい。
【0044】
到達範囲データベース512は、車両1〜4の各々の現在地と走行可能距離とに基づいて、各車両1〜4が到達可能な範囲に関する情報(到達範囲情報)を格納する。使用実績データベース513は、充電器A〜Fの時間帯毎の使用率に関する情報(使用実績情報)を格納する。これらの情報については後に詳細に説明する。なお、使用実績データベース513は、本開示に係る「データベース」に相当する。
【0045】
通信装置520は、車両1に搭載された通信モジュール140との間で双方向のデータ通信を行なうことが可能に構成されている。図示しないが、通信装置520は、充電器A〜Fに設けられた通信モジュールとの間でも双方向のデータ通信を行なうことが可能に構成されている。
【0046】
演算装置500は、通信装置520を介して充電器A〜Fの使用実績に関する情報(
図3参照)を収集し、収集された情報から各充電器A〜Fの時間帯毎の使用率(
図4参照)を算出する。そして、演算装置500は、算出された使用率に関する情報を使用実績データベース513に格納させる。さらに、演算装置500により実行される主要な制御として、どの充電器でプラグイン充電を行なうかをユーザが選択するのを支援する「選択支援処理」が挙げられる。充電器の選択支援処理については後に詳細に説明する。
【0047】
<使用率の算出>
図3は、充電情報提供システム9が使用される状況の一例を示す図である。実施の形態1においては、
図3に示すように6箇所に充電器A〜Fが配置されており、4台の車両1〜4が走行している状況を想定する。充電情報提供システムにおいては、ユーザによる充電器の選択を支援するために、充電器A〜Fでプラグイン充電を行なう潜在的な需要(潜在的な混雑度合い)を示す指標が充電情報として各車両1〜4に提供される。なお、以下では記載の簡略化のため、演算装置500により実行される処理を「サーバ5」により実行される処理と記載する。
【0048】
サーバ5は、各充電器A〜Fから、その充電器の使用実績を示す情報(使用実績情報)を収集する。すべての充電器A〜Fの使用実績情報は同等であるため、以下では充電器Aの使用実績情報について代表的に説明する。
【0049】
図4は、充電器Aの使用実績情報の一例を示す図である。
図4に示すように、使用実績情報には、充電器Aの使用時間[単位:分]が時間帯別に測定された情報が含まれている。この時間帯は、たとえば、1日(24時間)を6等分して4時間に定められている。また、使用時間が測定された日の曜日が区別されているとともに、その日が平日であったのか、祝日であったのか、休日であったのかも区別されている。
【0050】
図4に示す例から、たとえば、ある月の1日目が水曜日であり、その日の深夜〜早朝(0時〜4時)の時間帯における充電器Aの使用時間が20分であったことが読み取れる。また、3日目の金曜日が祝日であり、その日の昼〜夕(12時〜16時)の時間帯における充電器Aの使用時間が200分であったことなどが読み取れる。
【0051】
このような使用時間に関する情報は、充電器Aが設置されてから現在に至るまで継続的に取得されて使用実績データベース513に蓄積されている。そして、使用時間を時間帯別、かつ、測定日の属性(平日、休日または祝日)別に平均化することで、以下で説明するように充電器Aの「使用率」が算出される。
【0052】
図5は、充電器Aの使用率を説明するための図である。
図5を参照して、たとえば、
図4に示した使用時間は、平日と休日または祝日との別に区分され、さらに、時間帯毎に区分される。そして、区分毎に使用時間[単位:分]の測定結果が平均化されることによって、時間帯毎の充電器Aの使用率[単位:%]が算出される。
図5に示す例では、たとえば、平日の深夜〜早朝(0時〜4時)の時間帯における充電器Aの使用率は5%と非常に低いが、休日または祝日の昼〜夕(12時〜16時)の時間帯における充電器Aの使用率は68%と十分に高いと算出されている。
【0053】
充電器Aの使用率の算出結果も使用実績データベース513に格納されている。図示しないが、残りの充電器B〜Fについても同様に時間帯毎の使用率が算出され、使用実績データベース513に格納されている。
【0054】
なお、
図4および
図5では、使用率の算出に時間帯や測定日の属性別が用いられる例を説明したが、使用率に影響し得る他のパラメータにより使用時間を区分することで使用率を算出してもよい。たとえば、図示しない気象情報データベースから晴れ、曇り、雨などの天気を取得し、天気別に各充電器の使用率を算出してもよい。また、外気温別に各充電器の使用率を算出してもよい。あるいは、時間帯、測定日の属性、天気および外気温のうち任意のパラメータを組み合わせてもよい。
【0055】
<実効台数の算出>
このような充電器A〜Fの使用実績に加えて、本実施の形態では、車両1〜4の各々の走行状況も考慮される。具体的には、まず、車両1〜4の各々について、その車両が到達可能な範囲(「到達範囲」と記載する)内に設けられた充電器の台数が算出され、算出された充電器の台数が多いほど当該車両の台数が少なく換算される。この換算後の台数を以下では「換算台数n」と称する。
【0056】
図6は、各車両1〜4の換算台数nを説明するための図である。
図6には、車両1の到達範囲が円形領域R1により表されている。円形領域R1とは、車両1の現在地を中心とし、車両1の走行可能距離を半径とする円形の領域である。
【0057】
より詳細には、サーバ5は、車両1の現在地を示す情報と、車両1のバッテリ110に蓄えられた電力量(残存電力量)を示す情報とを車両1から定期的に収集している。これらの情報に基づいて、サーバ5は、車両1の平均電費(単位距離当たりの平均消費電力量)を算出している。そのため、サーバ5は、バッテリ110の電力量による走行可能距離を算出することができる。このようにして、サーバ5は、車両1の円形領域R1を取得する。
【0058】
図6に示す例では、充電器Aは円形領域R1の内部に位置しているが、残りの充電器B〜Fは円形領域R1の外部に位置している。この場合、車両1は、充電器B〜Fには到達できず、充電器Aにしか到達することができない。このことは、充電器Aの視点で考えると、いつの時点になるかは分からないが、車両1のプラグイン充電は必ず充電器Aで行なわれることを意味する。車両1の換算台数nは、車両1が到達可能な充電器数の逆数により定義され、n=1/1=1.00と算出される。
【0059】
次に、車両2に関しては、現時点では車両2のバッテリ110には十分な量の電力が残っている。そのため、車両2の到達範囲(円形領域R2)は、他の車両1,3,4の到達範囲よりも広い。円形領域R2の内部には4箇所の充電器A,B,C,Eが設けられている。この場合、車両2のプラグイン充電は、充電器A,B,C,Eのいずれによっても行なわれる可能性がある。よって、車両2の換算台数nは、n=1/4=0.25と算出される。
【0060】
同様に、車両3に関し、円形領域R3の内部には、充電器Fのみが設けられている。この場合、車両3の換算台数nは、n=1/1=1.00と算出される。また、車両4に関し、円形領域R4の内部には2台の充電器C,Dが設けられている。この場合、車両4の換算台数nは、n=1/2=0.50と算出される。
【0061】
続いて、充電器A,B,C,E毎に、その充電器でプラグイン充電を行なう可能性がある車両の実効的な台数である「実効台数N」が車両1〜4の換算台数nから算出される。
【0062】
図6に示す例では、充電器Aに到達可能な車両は、車両1,2の2台である。車両1の換算台数nはn=1.00であり、車両2の換算台数nはn=0.25である。そのため、充電器Aの実効台数Nは、車両1,2の換算台数nの合計であるN=1+0.25=1.25と算出される。
【0063】
同様に、充電器Bに到達可能な車両は、車両2のみである。そのため、充電器Bの実効台数Nは、N=0.25である。また、充電器Cに到達可能な車両は、車両2,4の2台である。そのため、充電器Cの実効台数Nは、N=0.25+0.50=0.75と算出される。残りの充電器D〜Fの実効台数Nの算出手法も同様である。
【0064】
そして、充電器の実効台数Nと、充電器の現在の時間帯における使用率Uとをパラメータとして含む関数により、充電器A〜Fでプラグイン充電を行なう潜在的な需要を示す指標が算出される。この指標を「混雑指数」と称し、Iで表す。また、混雑指数Iを算出するための上記関数を「評価関数」と称し、fで表す。混雑指数Iは、実効台数Nおよび使用率Uをパラメータとする評価関数fにより下記式(1)のように表される。
I=f(N,U) ・・・(1)
【0065】
具体的な評価関数fとしては様々なものが採用され得る。実施の形態1では、最も単純な例として、実効台数Nと使用率Uとの積により評価関数fが定義される(下記式(2)参照)。
I=N×U ・・・(2)
【0066】
図7は、充電器A〜Fの混雑指数Iの算出手法を説明するための図である。
図7を参照して、前述のように、充電器Aの実効台数Nは、N=1.25である。一方、現在が平日の8時〜12時の時間帯である場合、
図5に示した使用率の一覧表によれば、充電器Aの使用率UはU=35%である。したがって、現在の充電器Aの混雑指数Iは、1.25×35%≒0.44と算出される。
【0067】
車両2の実効台数は、N=0.25である。平日の8時〜12時の時間帯の充電器Bの使用率Uは、U=40%であるとする(図示せず)。この場合、充電器Bの混雑指数Iは、0.25×40%=0.10と算出される。他の充電器C〜Fの混雑指数Iの算出手法も同様であるため、詳細な説明は繰り返さない。
【0068】
充電器Aの実効台数Nが多いほど、充電器Aでプラグイン充電を行なうことが可能な車両の台数が多い。しかし、単に充電器Aでのプラグイン充電が可能な車両の台数が多いだけでは、実際にプラグイン充電が行なわれるとは必ずしも限らない。時間帯によっては、車両台数が多くてもプラグイン充電の需要が小さい場合もあり得るし、反対に、車両台数が少なくてもプラグイン充電の需要が大きい場合もあり得る。そのため、現在の時間帯における充電器Aの過去の使用実績(使用率U)がさらに考慮される。たとえば使用率Uが高いということは、過去の同じ時間帯に充電器Aの需要が大きかったことを意味するので、現在も充電器Aの需要が大きい可能性が高い。
【0069】
このように、本実施の形態によれば、実効台数Nおよび使用率Uの両方を考慮することにより、充電器Aの混雑指数Iが算出される。混雑指数Iが高い充電器ほど、実際に使用されるかどうか確定的ではないものの、その充電器でのプラグイン充電の潜在的な需要が大きく、その充電器が混雑する可能性が高い。したがって、ユーザは、自身の車両の到達範囲内に複数の充電器が設けられている場合には、できるだけ混雑指数Iが低い充電器を選択することで、混雑を回避したり待ち時間を短くしたりすることができる可能性が高くなる。このように、サーバ5は、充電器A〜F毎に混雑指数Iを算出し、その算出結果をユーザに提供することによって、ユーザによる充電器の選択を支援する。
【0070】
<選択支援処理フロー>
以下のフローチャートでは、
図6に示した例を念頭に、サーバ5が車両2のユーザによる充電器の選択を支援する構成を例に説明する。
【0071】
図8は、実施の形態1における充電器の選択支援処理を示すフローチャートである。
図8および後述する
図10のフローチャートでは、図中左側に車両2(車両2のECU100)により実行される一連の処理を示し、図中右側にサーバ5(サーバ5の演算装置500)により実行される一連の処理を示す。また、これらのフローチャートに含まれる各ステップ(以下「S」と略す)は、基本的にはECU100または演算装置500によるソフトウェア処理によって実現されるが、ECU100または演算装置500内に作製された専用のハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0072】
図示しないが、車両2は、車両2の現在地を示すGPS情報と、車両2の走行可能距離を示す情報とを定期的にサーバ5に送信している。他の車両1,3,4についても同様である。これらの情報に基づき、サーバ5は、車両1〜4の各々の到達範囲を算出し、その算出結果を到達範囲データベース512に格納している。これにより、到達範囲データベース512に格納されたデータは、常に最新の状態に更新されているものとする。
【0073】
図8を参照して、S11において、車両1は、プラグイン充電を希望するとして充電情報(車両1の周辺の充電器の混雑指数I)を提供するようにサーバ5に要求する。
【0074】
S21において、サーバ5は、到達範囲データベース512を参照して各車両1〜4の到達範囲を読み出す。
【0075】
S22において、サーバ5は、位置情報データベース511に格納された充電器の位置情報を参照することによって、S21にて読み出された車両2の到達範囲内に設けられた充電器を抽出する。
図6に示した例では、車両2の到達範囲(円形領域R2)内に位置する4箇所の充電器A,B,C,Eが抽出される。
【0076】
S23において、サーバ5は、車両2の到達範囲内に設けられた充電器の各々の使用率Uを使用実績データベース513から読み出す。
図6に示した例では、4箇所の充電器A,B,C,Eについて、たとえば本日が平日の所定時間帯である場合には、過去の平日の同じ時間帯における使用率Uが読み出される。
【0077】
S24において、サーバ5は、S22にて抽出された充電器に関連し得る車両毎の換算台数nを算出する。前述のように、ある車両の換算台数nは、その車両の到達範囲内に設けられた充電器の台数の逆数により算出される。
図6に示した例では、車両2の到達範囲内に位置する充電器A,B,C,Eのうち、まず充電器Aに到達可能な車両の換算台数nが算出される。具体的には、充電器Aに到達可能な車両1,2について、車両1の換算台数nは、n=1であり、車両2の換算台数nは、n=0.25である。
【0078】
S25において、サーバ5は、充電器毎に換算台数nを合計することによって、その充電器に到達可能な車両の実効台数Nを算出する。
図6に示した例では、充電器Aに到達可能な車両の実効台数Nは、N=1+0.25=1.25と算出される(
図7参照)。
【0079】
S26において、サーバ5は、S25にて算出された実効台数Nに、S23にて読み出された使用率U(平日、休日、祝日別の時間帯毎の値)を乗算することによって、充電器毎の混雑指数Iを算出する。一例として、充電器Aに到達可能な車両の実効台数NであるN=1.25に、充電器Aの使用率UであるU=35%を乗算することで、充電器Aの混雑指数Iは、I=N×U=0.44と算出される(
図7参照)。
【0080】
S27において、サーバ5は、S32にて抽出されたすべての充電器の混雑指数Iが算出されたか否かを判定する。すべての充電器の混雑指数Iが算出されていなければ(S27においてNO)、処理がS23に戻され、次の充電器の混雑指数Iが算出される。これにより、残りの充電器B,C,Eについても混雑指数Iが算出される。すべての充電器A,B,C,Eの混雑指数Iの算出が完了すると(S27においてYES)、サーバ5は、各充電器A,B,C,Eの混雑指数Iを車両2に送信する(S28)。
【0081】
S12において、車両2のECU100は、サーバ5から充電器A,B,C,E毎の混雑指数Iを受けると、その混雑指数Iをナビゲーション装置130のディスプレイ132に表示させる。混雑指数Iを示す数値を表示させてもよいが、以下のような表示手法を採用することが望ましい。
【0082】
図9は、ナビゲーション装置130のディスプレイ132上の混雑指数Iの表示手法を説明するための図である。本実施の形態では、ディスプレイ132上の地図表示(たとえば
図3参照)に、車両2の現在地を示すアイコンとともに、充電器の位置を示すアイコンが含まれている。充電器のアイコンには、その充電器の混雑指数Iに応じて段間的に定められた色が付されている。より詳細には、混雑指数Iが複数の区分に分けられ、その区分に応じた色が設定されている。
【0083】
一例として、
図9(A)に示すように、充電器の混雑指数Iが予め定められた値I1〜I4により5段階に区分される。そして、混雑指数IがI4以上の場合にはアイコンを赤色で表示し、混雑指数IがI3以上かつI4未満の場合にはアイコンを橙色で表示し、混雑指数IがI2以上かつI3未満の場合にはアイコンを黄色で表示し、混雑指数IがI1以上かつI2未満の場合にはアイコンを緑色で表示し、混雑指数Iが(0以上かつ)I1未満の場合にはアイコンを青色で表示する。このように、混雑指数Iを充電器のアイコンの色により視覚化することで、混雑指数Iが相対的に低い充電器(混雑度合いが低い充電器)をユーザがより容易に選択することが可能になる。
【0084】
図9(A)では混雑指数I(絶対値)によりアイコンの色分けを行なう例を説明したが、色分けの手法は、特に限定されるものではない。たとえば混雑指数Iの相対値によりアイコンの色分けを行なってもよい。
【0085】
より詳細に説明すると、
図8のフローチャートでは、混雑指数Iの算出対象とする充電器が車両2の到達範囲内に位置する4箇所の充電器A,B,C,Eである場合について説明した。しかし、実際には、サーバ5は、様々な車両からの要求に応じて、より広域に設置された多数の充電器の混雑指数Iを算出している。そのため、サーバ5は、車両2が走行中の地域内(たとえば同じ市内)に設置されたすべての充電器の混雑指数Iに対する充電器A,B,C,Eの混雑指数Iの相対値に応じて、アイコンの色分けを行なってもよい。
【0086】
具体例を挙げて説明する。サーバ5は、車両2が走行中の地域内(同じ市内)に設置された充電器の混雑指数Iの最大値を求める。そして、サーバ5は、その最大値に対する充電器Aの混雑指数Iの割合(=充電器Aの混雑指数I/混雑指数Iの最大値)により、充電器Aの混雑指数Iの相対値を算出する。この相対値(相対混雑指数P)は、0%〜100%の範囲内の数値により表される。
【0087】
そして、たとえば
図9(B)に示すように、相対混雑指数Pが90%以上(かつ100%以下)の場合にはアイコンを赤色で表示し、相対混雑指数Pが70%以上かつ90%未満の場合にはアイコンを橙色で表示し、相対混雑指数Pが50%以上かつ70%未満の場合にはアイコンを黄色で表示し、相対混雑指数Pが30%以上かつ50%未満の場合にはアイコンを緑色で表示し、相対混雑指数Pが(0%以上かつ)30%未満の場合にはアイコンを青色で表示することができる。
【0088】
車両2のユーザは、ナビゲーション装置130のディスプレイ132に表示されたアイコンの色を参考に、ディスプレイ132上のタッチパネルを操作することにより、いずれかの充電器(たとえば混雑指数Iまたは相対混雑指数Pが最も低い充電器)を選択する。そうすると、ナビゲーション装置130は、車両1の現在地から、選択された充電器までの走行ルート(推奨ルート)をディスプレイ132に表示させるとともに、選択された充電器までのルート案内を開始する。なお、ナビゲーション装置130でのディスプレイ表示に代えて、混雑指数Iや相対混雑指数Pを音声によりユーザに報知してもよい。
【0089】
以上のように、実施の形態1においては、ある充電器に到達し得る範囲内に位置し、その充電器でのプラグイン充電が可能な車両の実効的な台数を示す実効台数Nが算出される。そして、充電器の実効台数Nと、その充電器の過去の使用実績とに基づき、その充電器でのプラグイン充電の潜在的な需要の大きさを示す指標である混雑指数I(=N×U)が算出される。混雑指数Iを用いることにより、ユーザは、混雑しない可能性が高い充電器を好適に選択することができる。このように、実施の形態1によれば、どの充電器を選択することが望ましいかをユーザが判断するための適切な情報を提供することができる。
【0090】
本実施の形態では、混雑指数Iの算出に実効台数Nおよび使用率Uの両方が用いられると説明したが、使用率Uの使用は必須ではない。ある充電器に到達可能な実効台数Nが多いことは、その充電器でプラグイン充電を行なう可能性がある車両の台数が多いことを意味するので、その充電器が混雑する可能性が高い。つまり、実効台数Nのみからでも、その充電器が混雑する可能性を推定することが可能である。したがって、ある充電器の過去の使用実績を考慮せず、単に混雑指数I=実効台数Nとしてもよい。
【0091】
なお、S21,S22においてサーバ5により抽出される充電器は、
図6に示したような車両を中心とする円形領域内の充電器に限定されるものではない。たとえば、サーバ5が車両の走行可能距離に加えて、車両の走行予定ルートを示す情報を車両から取得してもよい。この場合には、車両の現在地からの走行予定ルート上(あるいは走行予定ルートの周囲)に位置する充電器を抽出することができる。
【0092】
また、実施の形態1では、車両1〜4がいずれも電気自動車である場合を例に説明したが、車両1〜4はプラグインハイブリッド車であってもよい。プラグインハイブリッド車では、走行可能距離が減ってきたときに給油を行なうことも可能であるため、電気自動車と比べると、プラグイン充電の需要が相対的に小さいと考えられる。したがって、サーバ5は、車両毎に電気自動車/プラグインハイブリッド車の別を取得し、車両がプラグインハイブリッド車である場合の換算台数nを、その車両が電気自動車である場合の換算台数nよりも小さく算出することができる。
【0093】
[実施の形態2]
実施の形態1では、充電器の実効台数Nと使用率Uとの積により混雑指数Iが定義される例について説明した(上記式(2)参照)。しかし、これは、充電器Aの混雑指数Iを算出するための評価関数fの一例に過ぎず、評価関数fの形式は特に限定されるものではない。実施の形態2では、他の評価関数fが用いられる例を説明する。なお、実施の形態2に係る充電情報提供システム9の構成は、実施の形態1における構成(
図1および
図2参照)と同等である。
【0094】
実施の形態2においては、下記式(3)に示すように、実効台数Nと使用率Uとを所定の割合で加算することにより、混雑指数Iが定義される。
I=αN+βU ・・・(3)
【0095】
式(3)における実効台数Nの係数αおよび使用率Uの係数βは、多数の車両のプラグイン充電の際に実際に取得されたデータ(混雑指数I、実効台数Nおよび使用率Uの多数の組合せ、いわゆるビッグデータ)に対して最も良く当てはまるように、最適化アルゴリズムにより決定される。以下に説明するように、係数α,βは、勾配法を用いた機械学習により決定することができる。
【0096】
ある車両(ここでは「車両V」と記載する)のプラグイン充電がある充電器(「充電器CHG」と記載する)で行なわれた場合を考える。この場合に、サーバ5により前述のように充電器CHGについての実効台数Nが算出されるとともに、充電器CHGの使用率Uが使用実績データベース513から読み出される。また、車両Vが充電器CHGに到達した際に、充電器CHGが他の車両により使用中であれば、混雑指数I=1とし、充電器CHGが空いていれば、混雑指数I=0とする。上記3つの値の組合せ(N,U,I)を式(3)に代入すると、係数α,βを未知数とする1つの方程式が得られる。
【0097】
車両V以外の車両のプラグイン充電が行なわれた場合についても同様に、実効台数N、使用率Uおよび混雑指数Iの値を式(3)に代入することで、係数α,βを未知数とする別の方程式が得られる。このようにすることで、プラグイン充電の機会があった数と同数の方程式が得られることとなる。
【0098】
このようにして得られた多数の方程式に最も良く当てはまるように、2つの係数α,βの組合せが勾配法により算出される。より具体的には、式(3)の平均二乗誤差J=(αN+βU−I)
2が最小になるような係数α,βの組合せが機械学習により算出される。算出された係数α,βを用いることにより、車両のプラグイン充電が新たに行なわれる場合に、実効台数Nおよび使用率Uから混雑指数Iを算出することができる。
【0099】
図10は、実施の形態2における充電器の選択支援処理を示すフローチャートである。このフローチャートの実行前に前述の機会学習が実行済みであり、係数α,βは算出されている。
【0100】
図10を参照して、このフローチャートは、S26の処理に代えてS36の処理を含む点において、実際の形態1におけるフローチャート(
図8参照)と異なる。S36において、サーバ5は、S35にて算出された実効台数Nと、S33にて読み出された使用率U(平日、休日、祝日別の時間帯毎の値)とを上記式(3)に代入することによって、各充電器の混雑指数Iを算出する。S36以外の処理は、実施の形態1における対応する処理と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
【0101】
以上のように、実施の形態2においては、係数αにより重み付けを行なった実効台数Nと、係数βにより重み付けを行なった使用率Uとの和により、混雑指数Iが算出される。このように混雑指数Iを定義する場合にも、多数のデータに対する機械学習により係数α,βが十分に最適化されていれば、プラグイン充電の潜在的な需要の大きさを混雑指数Iにより適切に表現することができる。したがって、実施の形態2によっても、実施の形態1と同様に、どの充電器を選択することが望ましいかをユーザが判断するための適切な情報を提供することができ、それにより、ユーザは、混雑しない可能性が高い充電器を容易に選択することができる。
【0102】
[実施の形態2の変形例1]
実施の形態1,2では、実効台数Nの算出に際し、車両の現在地および走行可能距離に関する情報がサーバ5により収集されると説明した。しかしながら、サーバ5は、すべての車両から、その現在地および走行可能距離に関する情報を収集できるとは限らず、上記情報をサーバ5に送信しない車両(すなわち、充電情報提供システム9に未登録の車両)も存在し得る。このような「未登録車両」によるプラグイン充電により充電器が混雑する可能性も考えられる。また、充電器のなかには、たとえば、新たに設置されてから、あまり時間が経過していないなどの理由により、その存在を多くのドライバに認識されていないものが含まれる場合もある。実施の形態2においては、充電情報提供システム9に未登録の車両や新たに設置された充電器などの影響を考慮して混雑指数Iが算出される。
【0103】
図11は、ある充電器についての実効台数Nと、その充電器の使用率Uとの関係を定性的に説明するための図である。
図11において、横軸は、充電器の実効台数Nを表し、縦軸は、充電器の使用率Uを表す。
【0104】
現在の充電器の実効台数Nと、過去の充電器の使用実績である使用率Uとの間には、対応関係が存在する。より詳細に説明すると、一般に、ある充電器の実効台数Nが多いほど、その充電器で近い将来にプラグイン充電を行なうことになる車両の台数も多くなる。この傾向は過去においても同様であったと考えられる。よって、充電器の実効台数Nが多いほど、その充電器の使用率Uも高くなる。このような例の一例として、
図11では、実効台数Nが増加するに従って使用率Uが線形に増加する例が示されている(直線L1参照)。
【0105】
通常は、実効台数Nが定まれば、使用率Uも直線L1を含むある一定の範囲内に含まれている。この範囲を使用率Uの「標準範囲」と称する。
図11では標準範囲の最大値を示す直線をL2で表し、標準範囲の最小値を示す直線をL3で表す。
【0106】
以下では、ある充電器(充電器Xと記載する)の実効台数Nが、ある時間帯(時間帯Tと記載する)においてN0であった場合について説明する。
図11に示すように、実効台数N=N0の場合における使用率Uの標準範囲は、最小値Uminと最大値Umaxとの間の範囲である。
【0107】
使用実績データベース513に格納された、時間帯Tにおける充電器Xの使用率Uが標準範囲内のUbであったとする。この場合には、実施の形態2と同様に、上記式(3)に従って混雑指数Iが算出される。
【0108】
続いて、時間帯Tにおける充電器Xの使用率UがUaであったとする。Uaは、標準範囲の最大値Umaxよりも高い。つまり、時間帯Tにおける充電器Xの使用率Uは、実効台数Nから通常想定される使用率よりも有意に高い。このような場合、充電器Xの過去の使用実績において、時間帯Tには未登録車両が充電器Xの周囲に多数存在したり、何らかのイベント等により多くの車両が充電器Xの周囲に存在し、それらの車両により充電器Xが多く使用された可能性がある。
【0109】
上記事情に鑑み、ある時間帯における充電器の使用率が、充電器の実効台数から算出される標準範囲の最大値よりも高い場合には、未登録車両等の存在を考慮すべく、充電器の使用率が標準範囲内である場合とは異なる算出式に従って混雑指数Iが算出される。具体的には、充電器の使用率が標準範囲内である場合、混雑指数Iの算出に係数α,βが用いられるのに対し(上記式(3)参照)、充電器の使用率が標準範囲の最大値よりも高い場合には、下記式(4)に示すように、別の係数γ,δが用いられる。
I=γN+δU ・・・(4)
【0110】
式(4)における係数γ,δも係数α,βと同様に、充電器の使用率が標準範囲の最大値よりも高い場合に取得された多数のデータに対して、勾配法を用いた機械学習を行なうことにより決定することができる。
【0111】
式(3)と式(4)とを比較すると、係数γに対する係数δの大きさ(=δ/γ)は、係数αに対する係数βの大きさ(=β/α)よりも大きい。このことは、充電器の使用率が標準範囲の最大値よりも高い場合には、式(4)の第2項(δU)を第1項(γN)よりも相対的に重視すること、言い換えれば、使用率Uの重み付けを実効台数Nの重み付けよりも大きくすることを意味している。
【0112】
逆に、時間帯Tにおける充電器Xの使用率Uが標準範囲の最小値Umin未満のUcであった場合について説明する。この場合には、時間帯Tにおける充電器Xの使用率Uが、実効台数Nから通常想定される使用率よりも有意に低い。これは、たとえば、充電器Xが比較的最近設置され、設置直後には充電器Xの存在が十分に認識されていなかったなどの理由により、充電器Xの過去の使用実績において使用率Uが過小に低くなっている可能性がある。このような場合にも、さらに別の係数ε,ζを用いた算出式に従って混雑指数Iが算出される(下記式(5)参照)。
I=εN+ζU ・・・(5)
【0113】
ここで、係数ζに対する係数εの大きさ(=ε/ζ)は、係数βに対する係数αの大きさ(=α/β)よりも大きい。このことは、充電器の使用率が標準範囲の最小値未満である場合には、式(5)の第1項(εN)を第2項(ζU)よりも相対的に重視すること、言い換えれば、実効台数Nの重み付けを使用率Uの重み付けよりも大きくすることを意味している。
【0114】
なお、
図11では、実効台数Nが増加するに従って使用率Uが線形に増加する例を説明した。しかし、実効台数Nが増加するに従って使用率Uが単調に増加するのであれば、使用率Uの増加態様を表す関数は、特に限定されるものではない。
【0115】
図12は、実施の形態2の変形例1における充電器の選択支援処理を示すフローチャートである。
図12を参照して、このフローチャートは、S46〜S475の処理を含む点において、実際の形態2におけるフローチャート(
図10参照)と異なる。
【0116】
なお、S41〜S45の処理は、実施の形態2おけるS31〜S35の処理とそれぞれ同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。また、
図12および後述する
図13では、紙面の都合上、車両2により実行される処理(
図8または
図10のフローチャートの左側参照)は記載していないが、車両2による処理は共通である。
【0117】
S46において、サーバ5は、S45にて算出された実効台数Nに応じた使用率Uの標準範囲を算出する。より詳細には、
図11に示したような標準範囲の最大値と最小値とが実効台数N毎に予め求められ、マップ(関数、関係式などでもよい)としてサーバ5のメモリ(図示せず)に格納されている。サーバ5は、このマップを参照することによって、実効台数Nから標準範囲の最大値と最小値とを算出する。
【0118】
S471において、サーバ5は、S43にて読み出された使用率UがS46にて算出された標準範囲内であるか否かを判定する。使用率Uが標準範囲内である場合(S471においてYES)、サーバ5は、上記式(3)に従って充電器の混雑指数Iを算出する(S473)。具体的には、サーバ5は、メモリから係数α,βを読み出し、係数α,βと、S45にて算出された実効台数Nと、S43にて読み出された使用率Uとを上記式(3)に代入することによって、その充電器の混雑指数Iを算出する。
【0119】
これに対し、使用率Uが標準範囲外である場合(S471においてNO)、サーバ5は、使用率Uが標準範囲の最大値Umaxよりも大きいか否かを判定する(S472)。使用率Uが標準範囲の最大値Umaxよりも大きい場合(S472においてYES)、サーバ5は、処理をS474に進め、上記式(4)に従って充電器の混雑指数Iを算出する。具体的には、サーバ5は、メモリから読み出された係数γ,δと、S45にて算出された実効台数Nと、S43にて読み出された使用率Uとを式(4)に代入することによって、その充電器の混雑指数Iを算出する。
【0120】
一方、使用率Uが標準範囲の最小値Umin未満である場合(S472においてNO)、サーバ5は、処理をS475に進め、上記式(5)に従って充電器の混雑指数Iを算出する。具体的には、サーバ5は、メモリから読み出された係数ε,ζと、S45にて算出された実効台数Nと、S43にて読み出された使用率Uとを式(5)に代入することによって、その充電器の混雑指数Iを算出する。
【0121】
S473〜S475のいずれかの処理が終了すると、サーバ5は、S42にて抽出されたすべての充電器の混雑指数Iが算出されたか否かを判定する。すべての充電器の混雑指数Iが算出されていなければ(S48においてNO)、処理がS43に戻され、次の充電器の混雑指数Iが算出される。すべての充電器の混雑指数Iの算出が完了すると(S48においてYES)、サーバ5は、各充電器の混雑指数Iを車両2に送信する(S49)。
【0122】
以上のように、実施の形態2の変形例1においては、実施の形態2と同様に、係数により重み付けを行なった実効台数Nと、係数により重み付けを行なった使用率Uとの和により、混雑指数Iが算出される。この際、変形例2では、充電器の使用率Uが標準範囲内であるか、使用率Uが標準範囲の最大値Umaxよりも高いか、使用率Uが標準範囲の最小値Uminよりも低いかによって、異なる係数が用いられる。これにより、充電情報提供システム9に未登録車両等の存在や新たに設置された充電器の影響を混雑指数Iに、より正確に反映させることが可能になる。したがって、実施の形態2の変形例1によれば、実施の形態2と比べて、ユーザが充電器を選択するための充電情報の精度をさらに向上させることができる。
【0123】
なお、
図12に示した例では、充電器の使用率Uと標準範囲との間の大小関係に応じて3通りの場合分けを行なう例を説明した。しかし充電器の使用率Uが標準範囲内であるか、標準範囲の最大値Umaxよりも高いかの2通りの場合分けのみを行なってもよい。また、充電器の使用率Uが標準範囲内であるか、標準範囲の最小値Uminよりも低いかの2通りの場合分けのみを行なってもよい。
【0124】
[実施の形態2の変形例2]
前述のように、係数α,βは、多数のデータ(ビッグデータ)に対して勾配法を用いた機械学習などの最適化アルゴリズムを適用することで算出される。一般に、機械学習の精度を確保するためには、十分な量のデータを準備することを要する。したがって、充電器の使用実績(使用率U)に関するデータ量が十分でない場合には、係数α,βの算出精度が低くなってしまう可能性がある。
【0125】
また、ある充電器の到達範囲内に1台または複数台の車両が存在する場合でも、その充電器でのプラグイン充電が実際に行なわれるかどうかは確率的である。充電器の到達範囲内に存在する車両の台数(実効台数N)が十分に多ければ、混雑指数Iには、その充電器でのプラグイン充電の潜在的な需要が適切に反映される。しかし、充電器の実効台数Nが過度に少ない場合には、ばらつきの影響が大きくなり、混雑指数Iを算出しても、それが信頼に足るものではない可能性がある。このように、実施の形態2の変形例2においては、充電器の使用率Uのデータ量が不十分であったり、充電器の実効台数Nが不足したりしている場合が考慮される。
【0126】
図13は、実施の形態2の変形例2における充電器の選択支援処理を示すフローチャートである。
図13を参照して、このフローチャートは、S561〜S566の処理を含む点において、実際の形態2におけるフローチャート(
図10参照)と異なる。S51〜S55の処理は、実施の形態2におけるS31〜S35の処理とそれぞれ同等である。
【0127】
S561において、サーバ5は、対象とする充電器について、使用率Uのデータ量が十分であり、かつ、実効台数Nが所定の基準台数Nc以上であるか否かを判定する。一例として、
図4に示したような充電器の使用実績のデータが使用実績データベース513に所定期間(たとえば1年)以上蓄積されていた場合に、使用率Uのデータ量が十分であると判定される。一方、充電器の使用実績のデータの蓄積期間が1年未満である場合には、使用率Uのデータ量が不十分であると判定される。
【0128】
使用率Uのデータ量が十分であり、かつ、実効台数Nが基準台数Nc以上である場合(S561においてYES)、サーバ5は、上記式(3)に従って充電器の混雑指数Iを算出する(S564)。この処理は、既に詳細に説明した処理と同一である。これに対し、使用率Uのデータ量が十分でないか、あるいは実効台数Nが基準台数Nc未満である場合(S561においてNO)には、処理がS562に進められる。
【0129】
使用率Uのデータ量は十分であるものの、実効台数Nが基準台数Nc未満である場合(S562においてNO)、サーバ5は、下記式(6)に従って充電器の混雑指数Iを算出する(S565)。
I=α’N+βU ・・・(6)
【0130】
式(6)における実効台数Nの係数α’は、式(3)における係数αよりも所定値だけ小さい(α’<α)。このように、式(6)は、実効台数Nの重み付けが小さくなるように式(3)が補正されたものである。
【0131】
使用率Uのデータ量が十分でなく、かつ、実効台数Nが基準台数Nc以上である場合(S563においてNO)、サーバ5は、下記式(7)に従って充電器の混雑指数Iを算出する(S566)。
I=αN+β’U ・・・(7)
【0132】
式(7)における使用率Uの係数β’は、式(3)における係数βよりも所定値だけ小さい(β’<β)。このように、S566では、使用率Uの重み付けが小さくなるように式(3)を補正した式(7)に従って、充電器の混雑指数Iが算出される。
【0133】
ある充電器の使用率Uのデータ量が十分でなく、かつ、実効台数Nが基準台数Nc未満である場合(S563においてNO)には、サーバ5は、その充電器の混雑指数Iを算出せず、混雑指数Iを算出していない旨を車両2へと送信する。そうすると、車両2のナビゲーション装置130のディスプレイ132上には、混雑指数Iが算出されていない充電器のアイコンが無色で表示される。これにより、ユーザは、混雑指数Iが算出されていない充電器を選択しないようにすることができる。なお、S57以降の処理は、実施の形態2におけるS37以降の処理と同等であるため、説明は繰り返さない。
【0134】
以上のように、実施の形態2の変形例2においては、充電器の使用率Uのデータ量が不十分である場合には、充電器の使用率Uのデータ量が十分であり、かつ、実効台数Nが十分である場合(サンプルサイズが多い場合)と比べて、使用率Uの重み付けが低く設定される。また、充電器の実効台数Nが不足している場合には、サンプルサイズが多い場合と比べて、実効台数Nの重み付けが低く設定される。これにより、充電器の使用率Uおよび実効台数Nのうち信頼度が高い方のパラメータの影響が大きくなるので、混雑指数Iの精度が向上する。したがって、実施の形態2の変形例2によれば、ユーザが充電器を選択するための充電情報の精度をさらに向上させることができる。
【0135】
ただし、充電器の使用率Uのデータ量および充電器の実効台数Nの両方を考慮することは必須ではない。
図13に示した例に代えて、充電器の使用率Uのデータ量が十分であるか否かのみを判定し、その判定結果に応じて使用率Uの重み付けを異ならせる処理を行なってもよい。また、充電器の実効台数Nと基準台数Ncとの大小関係のみを判定し、その判定結果に応じて実効台数Nの重み付けを異ならせる処理を行なってもよい。
【0136】
なお、車両外部から供給される電力によりバッテリ110を充電(外部充電)するための構成は、上述のプラグイン充電(接触充電)の構成に限定されるものではない。車両と外部電源との電磁的結合を利用する非接触充電方式に従ってバッテリ110が充電されてもよい。具体的には外部電源側に一次コイルが設けられるとともに車両側に二次コイルが設けられる。一次コイルと二次コイルとの間の相互インダクタンスを利用することによって、車両は、外部電源に接触しなくともその外部電源から電力を受けることが可能となる。
【0137】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。