特許第6984556号(P6984556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984556
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/44 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   B60Q1/44 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-133325(P2018-133325)
(22)【出願日】2018年7月13日
(65)【公開番号】特開2020-11545(P2020-11545A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2020年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水谷 彰孝
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−075963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ灯を備えた産業車両において、
前記ブレーキ灯の点灯及び消灯を制御する制御部と、
走行中の前記産業車両の走行方向を検出する走行方向検出部と、
走行中の前記産業車両の走行速度を検出する速度検出部と、
前記産業車両の走行方向を指示する操作手段と、
前記操作手段の操作方向を検出する操作方向検出部と、を備え、
前記制御部は、前記速度検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行速度が零ではなく、かつ前記操作方向検出部によって前記操作手段が中立位置であることが検出されている場合に、前記ブレーキ灯を点灯させる点灯制御を実行する産業車両。
【請求項2】
ブレーキ灯を備えた産業車両において、
前記ブレーキ灯の点灯及び消灯を制御する制御部と、
走行中の前記産業車両の走行方向を検出する走行方向検出部と、
走行中の前記産業車両の走行速度を検出する速度検出部と、
前記産業車両の走行方向を指示する操作手段と、
前記操作手段の操作方向を検出する操作方向検出部と、を備え、
前記制御部は、前記走行方向検出部によって検出された前記産業車両の走行方向と、前記操作方向検出部によって検出された前記操作手段の操作方向とが異なることを検出した場合に前記ブレーキ灯を点灯させる点灯制御を実行するとともに、前記点灯制御にて点灯させた前記ブレーキ灯を消灯させる消灯制御を実行することができ、
前記消灯制御には、前記速度検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行速度が零であり、かつ前記操作方向検出部によって前記操作手段が中立位置であることが検出されている場合に、前記制御部が前記ブレーキ灯を消灯させる制御を含む産業車両。
【請求項3】
ブレーキ灯を備えた産業車両において、
前記ブレーキ灯の点灯及び消灯を制御する制御部と、
走行中の前記産業車両の走行方向を検出する走行方向検出部と、
走行中の前記産業車両の走行速度を検出する速度検出部と、
前記産業車両の走行方向を指示する操作手段と、
前記操作手段の操作方向を検出する操作方向検出部と、
前記産業車両の走行速度を指示する指示手段と、
前記指示手段の操作量を検出する操作量検出部と、を備え、
前記制御部は、前記操作量検出部によって検出された前記指示手段の操作量が減少したことを検出した場合に、前記ブレーキ灯を点灯させる点灯制御を実行する産業車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記点灯制御にて点灯させた前記ブレーキ灯を消灯させる消灯制御を実行することができ、
前記消灯制御には、前記速度検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行速度が零であり、かつ前記操作量検出部によって前記指示手段の前記操作量が零であることが検出されている場合に、前記制御部が前記ブレーキ灯を消灯させる制御を含む請求項に記載の産業車両。
【請求項5】
ブレーキ灯を備えた産業車両において、
前記ブレーキ灯の点灯及び消灯を制御する制御部と、
走行中の前記産業車両の走行方向を検出する走行方向検出部と、
走行中の前記産業車両の走行速度を検出する速度検出部と、
前記産業車両の走行方向を指示する操作手段と、
前記操作手段の操作方向を検出する操作方向検出部と、を備え、
前記制御部は、前記走行方向検出部によって検出された前記産業車両の走行方向と、前記操作方向検出部によって検出された前記操作手段の操作方向とが異なることを検出した場合に前記ブレーキ灯を点灯させる点灯制御を実行するとともに、前記点灯制御にて点灯させた前記ブレーキ灯を消灯させる消灯制御を実行することができ、
前記消灯制御には、前記操作方向検出部によって検出された前記操作手段の操作方向と、前記走行方向検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行方向とが一致している場合に、前記制御部が前記ブレーキ灯を消灯させる制御を含む産業車両。
【請求項6】
ブレーキ灯を備えた産業車両において、
前記ブレーキ灯の点灯及び消灯を制御する制御部と、
走行中の前記産業車両の走行方向を検出する走行方向検出部と、
走行中の前記産業車両の走行速度を検出する速度検出部と、
前記産業車両の走行方向を指示する操作手段と、
前記操作手段の操作方向を検出する操作方向検出部と、
前記産業車両の走行速度を指示する指示手段と、
前記指示手段の操作量を検出する操作量検出部と、を備え、
前記制御部は、前記走行方向検出部によって検出された前記産業車両の走行方向と、前記操作方向検出部によって検出された前記操作手段の操作方向とが異なることを検出した場合に前記ブレーキ灯を点灯させる点灯制御を実行するとともに、前記点灯制御にて点灯させた前記ブレーキ灯を消灯させる消灯制御を実行することができ、
前記消灯制御には、前記操作量検出部によって検出された前記指示手段が指示している前記産業車両の走行速度と、前記速度検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行速度とが一致している場合に、前記制御部が前記ブレーキ灯を消灯させる制御を含む産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、後続する車両などに減速していることを報知するブレーキ灯を備えている。そして、従来、ブレーキ灯の点灯及び消灯を制御する制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の制御装置は、複数の速度閾値と複数の減速度閾値とを備えており、これらの速度閾値と減速度閾値との組み合わせによってブレーキ灯を点灯及び消灯させる制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−71290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の制御装置は、閾値を用いてブレーキ灯の点灯及び消灯を制御する構成であるから、速度閾値と減速度閾値との組み合わせに適合しない状況下ではブレーキ灯が点灯しない場合もあり得る。例えば、車両は減速を行っているが、速度閾値と減速度閾値の組み合わせが消灯の区分であればブレーキ灯は点灯しない。このため、特許文献1の制御装置は、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯の制御が実現されているとは言い難い。
【0006】
この発明は、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯の制御を実現し得る産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する産業車両は、ブレーキ灯を備えた産業車両において、前記ブレーキ灯の点灯及び消灯を制御する制御部と、走行中の前記産業車両の走行方向を検出する走行方向検出部と、走行中の前記産業車両の走行速度を検出する速度検出部と、前記産業車両の走行方向を指示する操作手段と、前記操作手段の操作方向を検出する操作方向検出部と、を備え、前記制御部は、前記走行方向検出部によって検出された前記産業車両の走行方向と、前記操作方向検出部によって検出された前記操作手段の操作方向とが異なることを検出した場合に前記ブレーキ灯を点灯させる点灯制御を実行することを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、産業車両の走行中に走行方向とは異なる方向に操作手段が操作されていることによってブレーキ灯が点灯され、車両周囲に車両が減速していることを報知することができる。つまり、ブレーキを作動させない状態で乗員が車両を減速させている場合においてブレーキ灯を点灯させることができ、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯の制御を実現することができる。
【0009】
上記産業車両において、前記制御部は、前記速度検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行速度が零ではなく、かつ前記操作方向検出部によって前記操作手段が中立位置であることが検出されている場合に、前記ブレーキ灯を点灯させる点灯制御を実行するようにしてもよい。この構成によれば、乗員が車両に駆動力を伝えず、車両を減速させる意思がある場合においてブレーキ灯を点灯させることができ、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯の制御を実現することができる。
【0010】
上記産業車両において、前記制御部は、前記点灯制御にて点灯させた前記ブレーキ灯を消灯させる消灯制御を実行することができ、前記消灯制御には、前記速度検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行速度が零であり、かつ前記操作方向検出部によって前記操作手段が中立位置であることが検出されている場合に、前記制御部が前記ブレーキ灯を消灯させる制御を含んでいる。この構成によれば、点灯させたブレーキ灯を消灯させることができ、車両周囲に減速していないこと、換言すれば減速していた状態を解除したことを報知することができる。
【0011】
上記産業車両において、前記産業車両の走行速度を指示する指示手段と、前記指示手段の操作量を検出する操作量検出部と、を備え、前記制御部は、前記操作量検出部によって検出された前記指示手段の操作量が減少したことを検出した場合に、前記ブレーキ灯を点灯させる点灯制御を実行するようにしてもよい。この構成によれば、乗員が車両に駆動力を伝えず、車両を減速させる意思がある場合においてブレーキ灯を点灯させることができ、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯の制御を実現することができる。
【0012】
上記産業車両において、前記制御部は、前記点灯制御にて点灯させた前記ブレーキ灯を消灯させる消灯制御を実行することができ、前記消灯制御には、前記速度検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行速度が零であり、かつ前記操作量検出部によって前記指示手段の前記操作量が零であることが検出されている場合に、前記制御部が前記ブレーキ灯を消灯させる制御を含んでいる。この構成によれば、点灯させたブレーキ灯を消灯させることができ、車両周囲に減速していないこと、換言すれば減速していた状態を解除したことを報知することができる。
【0013】
上記産業車両において、前記制御部は、前記点灯制御にて点灯させた前記ブレーキ灯を消灯させる消灯制御を実行することができ、前記消灯制御には、前記操作方向検出部によって検出された前記操作手段の操作方向と、前記走行方向検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行方向とが一致している場合に、前記制御部が前記ブレーキ灯を消灯させる制御を含んでいる。この構成によれば、点灯させたブレーキ灯を消灯させることができ、車両周囲に減速していないこと、換言すれば減速していた状態を解除したことを報知することができる。
【0014】
上記産業車両において、前記産業車両の走行速度を指示する指示手段と、前記指示手段の操作量を検出する操作量検出部と、を備え、前記制御部は、前記点灯制御にて点灯させた前記ブレーキ灯を消灯させる消灯制御を実行することができ、前記消灯制御には、前記操作量検出部によって検出された前記指示手段が指示している前記産業車両の走行速度と、前記速度検出部によって検出された走行中の前記産業車両の走行速度とが一致している場合に、前記制御部が前記ブレーキ灯を消灯させる制御を含んでいる。この構成によれば、点灯させたブレーキ灯を消灯させることができ、車両周囲に減速していないこと、換言すれば減速していた状態を解除したことを報知することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯の点灯及び消灯に係る制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】リーチ式フォークリフトの概略を示す側面図。
図2】電気的構成を示すブロック図。
図3】ブレーキ灯の点灯条件及び消灯条件を説明する説明図。
図4】別例の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、リーチ式のフォークリフトに具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、リーチ式のフォークリフト10は、車体11の前面下部から前方に延びる左右一対のリーチレグ12を有している。フォークリフト10は、車体11の前方にマスト装置13を有しており、そのマスト装置13は左右一対のマスト14とフォーク15とを備えている。各マスト14の下端部は、リーチレグ12に沿って移動可能なマストキャリッジ16に連結されている。これにより、各マスト14は、車体11に搭載されているリーチシリンダ17の伸縮動作によって前後移動、すなわちリーチ動作を行う。各リーチレグ12の先端部には、車輪としての前輪18が支持されている。また、車体11の下部には、後輪19が支持されている。また、車体11には、バッテリ20と走行用モータ21とが搭載されている。この実施形態のフォークリフト10は、バッテリ20の電力を動力源として走行する電気式のフォークリフトである。
【0018】
車体11の後部は、立席タイプの運転室22である。運転室22にあるインストルメントパネル23には、荷役操作のための荷役操作レバー24や、フォークリフト10の前後進操作のための操作手段としてのアクセル操作レバー25が設けられている。アクセル操作レバー25は、操作方向によってフォークリフト10の走行方向である前進又は後進を指示することができるとともに、操作量によってフォークリフト10の走行速度を指示することができる。アクセル操作レバー25は、乗員による操作が行われない場合、中立位置に復帰する。この実施形態においてアクセル操作レバー25は、走行方向を指示する機能と走行速度を指示する機能とを兼用した構成である。
【0019】
運転室22のフロアには、図2に図示するブレーキペダル26が配設されている。ブレーキペダル26は、フォークリフト10を走行させる時に踏み込み操作を行うことでブレーキを解除するものである。なお、フォークリフト10は、ブレーキペダル26の踏み込み操作を止めるとブレーキが掛かって停車状態に保持される。このように乗員の操作によってブレーキを解除し、乗員が操作を止めるとブレーキが掛かるブレーキシステムは、車両の安全装置の一つとして装備され、所謂デッドマンブレーキと称される。
【0020】
以下、この実施形態のフォークリフト10におけるブレーキ灯27の点灯及び消灯の制御について説明する。ブレーキ灯27は、車体11の後部に装備されている。
最初に、図2にしたがってブレーキ灯27の点灯及び消灯の制御を実現するための制御構成を説明する。
【0021】
車体11には、制御部としての車両コントローラ30が搭載されている。車両コントローラ30は、各種の制御を行う処理部31と、制御プログラムなどの各種情報を記憶する記憶部32と、を有する。また、車両コントローラ30には、ブレーキペダル26及びブレーキ灯27が接続されている。車両コントローラ30は、ブレーキ灯27の点灯及び消灯を制御する。
【0022】
車両コントローラ30は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。車両コントローラ30は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。
【0023】
車両コントローラ30には、フォークリフト10の走行方向を検出する走行方向検出部33が接続されている。走行方向検出部33は、走行用モータ21の回転方向を検出するセンサによって構成されている。走行用モータ21の回転方向は、フォークリフト10の走行方向である前進方向と後進方向のそれぞれに対応している。また、車両コントローラ30には、フォークリフト10の走行速度を検出する速度検出部34が接続されている。速度検出部34は、速度を検出するセンサによって構成されている。
【0024】
車両コントローラ30には、アクセル操作レバー25の操作方向を検出する操作方向検出部35が接続されている。操作方向検出部35は、操作方向を検出する、例えばポテンショメータなどのセンサによって構成されている。アクセル操作レバー25は、中立位置を基準に、フォークリフト10の前進を指示する第1方向と当該第1方向とは逆方向であって、フォークリフト10の後進を指示する第2方向とに傾動可能に構成されている。
【0025】
アクセル操作レバー25の傾動範囲には、前進を指示する前進範囲と後進を指示する後進範囲とがある。前進範囲は、中立位置から第1方向側に規定する最大傾動位置までの範囲であって、前進範囲におけるアクセル操作レバー25の操作量によって前進走行時の走行速度が指示される。また、後進範囲は、中立位置から第2方向側に規定する最大傾動位置までの範囲であって、後進範囲におけるアクセル操作レバー25の操作量によって後進走行時の走行速度が指示される。この実施形態において操作方向検出部35は、アクセル操作レバー25の操作方向を検出可能であるとともに、アクセル操作レバー25の操作量を検出可能である。アクセル操作レバー25の操作量は、車両コントローラ30に指示する走行速度に対応していることから、操作量はアクセル開度に相当すると言える。車両コントローラ30は、操作方向検出部35の検出結果を受信することにより、アクセル操作レバー25の操作方向に応じた走行方向に、かつアクセル操作レバー25の操作量に応じた走行速度でフォークリフト10が走行するように走行用モータ21を制御する。この実施形態においてアクセル操作レバー25は、フォークリフト10の走行速度を指示する指示手段を兼用している。また、この実施形態において操作方向検出部35は、アクセル操作レバー25の操作量を検出する操作量検出部を兼用している。
【0026】
また、車両コントローラ30は、ブレーキペダル26の踏み込み操作を解除することを示す信号を受信すると、ブレーキ灯27を点灯させる制御を行う。この場合、車両コントローラ30は、ブレーキペダル26の踏み込み操作が行われたことを示す信号を受信したとき、又はフォークリフト10の走行速度が零であって停車したとき、ブレーキ灯27を消灯させる制御を行う。ブレーキペダル26の操作は、乗員がブレーキを掛けるか否かの意思を直接、車両コントローラ30に伝える操作である。このため、ブレーキペダル26の操作に基づくブレーキ灯27の点灯及び消灯の制御は、乗員の直接的な意思をブレーキ灯27に伝える通常の制御である。
【0027】
次に、図3にしたがってブレーキペダル26の踏み込み操作が行われているとき、つまりブレーキが解除されて走行しているときに、所定条件が成立したことによってブレーキ灯27を点灯させるとともに点灯させたブレーキ灯27を消灯させる制御について説明する。
【0028】
最初に、ブレーキ灯27を点灯させる点灯条件を説明する。
図3に点灯条件として示すように、車両コントローラ30は、フォークリフト10の走行方向とは異なる方向のレバー操作を検出した場合にブレーキ灯27を点灯させる点灯制御を実行する。車両コントローラ30は、走行方向検出部33の検出結果である走行用モータ21の回転方向からフォークリフト10の走行方向を検出する。また、車両コントローラ30は、操作方向検出部35の検出結果からアクセル操作レバー25の操作方向を検出する。
【0029】
フォークリフト10の走行方向とは異なる方向のレバー操作には、アクセル操作レバー25の操作量を調整することによってフォークリフト10を減速させる操作と、アクセル操作レバー25の操作方向を前進から後進、又は後進から前進に切り替えるスイッチバックの操作がある。
【0030】
上記操作について具体例を挙げて説明する。
乗員はフォークリフト10を前進させる場合、アクセル操作レバー25を第1方向に操作するとともに、アクセル操作レバー25の操作量によって車両コントローラ30に指示する走行速度を調整する。そして、アクセル操作レバー25の操作によって減速させる場合、乗員は、アクセル操作レバー25を第1方向とは異なる第2方向に向けて操作する。これにより、アクセル操作レバー25の操作量は、前進範囲の中で小さくなるように変化する。その結果、車両コントローラ30へ指示される走行速度が低下することでフォークリフト10は減速する。
【0031】
フォークリフト10を減速させる場合、アクセル操作レバー25を操作しているときの位置は、例えば前進であればアクセル操作レバー25の傾動範囲である前進範囲の中にある。つまり、この場合のレバー操作は、フォークリフト10の走行方向としては同じ方向を指示するように操作されているが、減速させるためにアクセル操作レバー25の操作量を減らすように操作するため、その操作がフォークリフト10の走行方向とは異なる方向に操作していることになる。なお、フォークリフト10を減速させる場合のレバー操作としてはアクセル操作レバー25の操作位置を中立位置に戻すことも考えられる。このように中立位置に戻す操作も、フォークリフト10の走行方向とは異なる方向に操作していることになる。この場合であっても乗員はフォークリフト10を減速させる意思があることから、速度検出部34の検出結果からフォークリフト10の走行速度が零ではないことを検出した上で、ブレーキ灯27を点灯させる。速度検出部34の検出結果からフォークリフト10の走行速度が零である場合は、後述の消灯条件により、ブレーキ灯27を消灯させる。
【0032】
また、スイッチバックを行う場合のレバー操作は、走行方向の指示を例えば前進から後進に切り替える操作である。このため、この場合のレバー操作は、フォークリフト10の走行方向として異なる方向を指示するように操作されており、その操作がフォークリフト10の走行方向とは異なる方向に操作していることになる。
【0033】
次に、前述した点灯条件で点灯させたブレーキ灯27を消灯させる消灯条件を説明する。
図3には、3つの消灯条件を示している。
【0034】
車両コントローラ30は、ブレーキペダル26の踏み込み操作が行われているときに、以下に説明する3つの消灯条件のうち、何れか1つの消灯条件が成立すると、前述した点灯条件の成立によって点灯させたブレーキ灯27を消灯させる。
【0035】
3つの消灯条件のうち第1消灯条件は、アクセル操作レバー25のレバー操作がなく、かつフォークリフト10の走行速度が零になっていることである。車両コントローラ30は、操作方向検出部35の検出結果からアクセル操作レバー25の操作位置が中立位置であるときにレバー操作が行われていないことを検出する。なお、レバー操作が行われていないことはアクセル操作レバー25によって走行方向である前進又は後進が指示されていないことに相当する。また、車両コントローラ30は、速度検出部34の検出結果からフォークリフト10の走行速度が零であることを検出する。第1消灯条件は、フォークリフト10が停車したことによって成立し得る。
【0036】
また、3つの消灯条件のうち第2消灯条件は、アクセル操作レバー25の操作方向とフォークリフト10の走行方向が一致していることである。車両コントローラ30は、操作方向検出部35の検出結果からアクセル操作レバー25の操作方向によって指示されている走行方向が前進方向、後進方向又は中立の何れであるかを検出する。また、車両コントローラ30は、走行方向検出部33の検出結果から走行用モータ21の回転方向が前進時の回転方向であるか、後進時の回転方向であるかを検出する。第2消灯条件は、前進から後進へのスイッチバックの操作、又は後進から前進へのスイッチバックの操作を行った後、フォークリフト10がスイッチバックの操作後の走行方向で走行することによって成立し得る。
【0037】
また、3つの消灯条件のうち第3消灯条件は、フォークリフト10の走行速度がアクセル操作レバー25の操作量によって指示された指示速度に到達したことである。指示速度に到達することは、アクセル操作レバー25によって指示されている走行速度と速度検出部によって検出されるフォークリフト10の走行速度が一致することに相当する。車両コントローラ30は、操作方向検出部35の検出結果から指示される走行速度を検出する。また、車両コントローラ30は、速度検出部34の検出結果からフォークリフト10の走行速度を検出する。第3消灯条件は、アクセル操作レバー25の操作によって減速させる場合にフォークリフト10の走行速度が、アクセル操作レバー25の操作によって指示された走行速度に達することによって成立し得る。
【0038】
以下、この実施形態のフォークリフト10の作用を説明する。
フォークリフト10は、前進しているか、後進しているかを問わず、走行中に乗員がブレーキを掛けずに図3の点灯条件が成立するように減速の操作又はスイッチバックの操作を行うと、車両コントローラ30の制御によってブレーキ灯27が点灯する。これにより、フォークリフト10は、減速中であることを車両周囲に対して報知する。
【0039】
そして、フォークリフト10は、ブレーキ灯27の点灯中において図3の消灯条件の何れかが成立すると、車両コントローラ30の制御によってブレーキ灯27が消灯する。つまり、フォークリフト10は、第1消灯条件が成立したときには停車によってブレーキ灯27が消灯する。また、フォークリフト10は、第2消灯条件が成立したときにはアクセル操作レバー25の操作によって指示されている走行方向とフォークリフト10の走行方向とが一致することによってブレーキ灯27が消灯する。また、フォークリフト10は、第3消灯条件が成立したときにはアクセル操作レバー25の操作によって指示されている走行速度とフォークリフト10の走行速度とが一致することによってブレーキ灯27が消灯する。
【0040】
したがって、この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)走行中に走行方向とは異なる方向にアクセル操作レバー25が操作されていることによってブレーキ灯を点灯させることができる。その結果、乗員がフォークリフト10を意図的に減速させていることを車両周囲に報知することができる。つまり、ブレーキを作動させない状態で乗員が車両を減速させている場合においてブレーキ灯27を点灯させることができ、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯の制御を実現することができる。
【0041】
(2)点灯条件は、アクセル操作レバー25による操作量の減少やスイッチバックなどの複数の操作で成立し得る条件としたことで、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯の制御を実現することができる。
【0042】
(3)点灯条件の成立によって点灯させたブレーキ灯27を消灯条件の成立によって消灯させるので、車両周囲に減速していないこと、換言すれば減速していた状態を解除したことを報知することができる。つまり、減速していない状態であるにも拘わらず、何時までもブレーキ灯27が点灯していることを解除することができる。
【0043】
(4)複数の消灯条件を備え、何れかの消灯条件が成立したことによってブレーキ灯27を消灯させるので、車両周囲に減速していないことをブレーキ灯27の消灯によって確実に報知することができる。
【0044】
(5)アクセル操作レバー25の操作位置が中立位置においてブレーキ灯27を点灯させることができる。その結果、乗員がフォークリフト10を意図的に減速させていることを車両周囲に報知することができる。つまり、ブレーキを作動させない状態で乗員が車両を減速させている場合においてブレーキ灯27を点灯させることができ、乗員の意図を適切に捉えたブレーキ灯27の制御を実現することができる。また、乗員がフォークリフト10を意図的に減速させる意思があり、ブレーキ灯27を点灯させる際においてアクセル操作レバー25を操作する力を加え続ける必要がない。
【0045】
なお、実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図4は、実施形態のアクセル操作レバー25に代えて走行方向を指示する操作手段としてディレクションレバー37を搭載したフォークリフト10の電気的構成を示す。ディレクションレバー37は、フォークリフト10の走行方向として前進(F)、後進(R)又中立(N)をレバー操作によって指示することができる。なお、ディレクションレバー37は、実施形態のアクセル操作レバー25の構成とは異なり、前進を指示する操作位置と、後進を指示する操作位置と、中立を指示する操作位置の3位置へのレバー操作が可能である。このため、車両コントローラ30に接続されている操作方向検出部35は、ディレクションレバー37の操作方向として前進、後進又は中立の何れの操作位置に操作されているかを検出する。また、ディレクションレバー37を搭載したフォークリフト10には、走行速度を指示する指示手段としてアクセル操作部材38が搭載されている。アクセル操作部材38は、ペダル式、又はレバー式の何れでもよい。そして、車両コントローラ30には、操作量検出部としてのアクセル検出部39が接続されている。アクセル検出部39は、アクセル操作部材38の操作量、すなわちアクセル開度を検出するセンサによって構成されている。車両コントローラ30は、ディレクションレバー37の操作位置に対応する走行方向に、アクセル操作部材38の操作量に対応する走行速度でフォークリフト10を走行させる。このようなディレクションレバー37とアクセル操作部材38とを搭載したフォークリフト10においては、図3に示す点灯条件でブレーキ灯27を点灯させることができるほか、アクセル操作部材38の操作量が減少した場合においてブレーキ灯27を点灯させることができる。また、このようなディレクションレバー37とアクセル操作部材38とを搭載したフォークリフト10においては、点灯させたブレーキ灯27を図3に示す消灯条件で消灯させることができる。
【0046】
図3に示す消灯条件のうち、第2消灯条件と第3消灯条件についてはこれらの消灯条件が一定時間の間(例えば、1秒)、継続している場合にブレーキ灯27を消灯させるようにしてもよい。つまり、この場合は、条件の成立と同時にブレーキ灯27を消灯させるのではなく、遅延させてブレーキ灯27を消灯させることになる。この構成によれば、フォークリフト10が減速している状態が終了したことを確実に検出した後、ブレーキ灯27を消灯させることができる。
【0047】
○ アクセル操作レバー25は、乗員による操作が行われない場合、中立位置に復帰しなくてもよい。その場合、乗員はアクセル操作レバー25の操作位置を中立位置に戻したい場合、アクセル操作レバー25を操作して中立位置に移動させる。
【0048】
○ フォークリフト10は、ブレーキ灯27として、ブレーキペダル26の操作によって点灯及び消灯が制御されるブレーキ灯と、図3の点灯条件及び消灯条件の成立によって点灯及び消灯が制御されるブレーキ灯とを別部材として搭載されていてもよい。
【0049】
○ 点灯条件として、走行中にアクセル操作レバー25が操作されていることを検出せず、その一方で走行速度を検出しているときにブレーキ灯27を点灯させる条件を付加してもよい。この別例の点灯条件は、走行中にアクセル操作レバー25を中立に戻したときに成立し得る。つまり、実施形態では、走行中にアクセル操作レバー25を中立に戻したときを図3の点灯条件に含めていたが、走行中にアクセル操作レバー25を中立に戻したときを別の点灯条件としてもよい。
【0050】
○ 実施形態におけるブレーキ灯27の点灯及び消灯の制御は、カウンタバランス型のフォークリフトや、トーイングトラクタなどの他の産業車両にも適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10…フォークリフト、25…アクセル操作レバー、27…ブレーキ灯、30…車両コントローラ、33…走行方向検出部、34…速度検出部、35…操作方向検出部、37…ディレクションレバー、38…アクセル操作部材、39…アクセル検出部。
図1
図2
図3
図4