(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の電線は、前記複数の電線を一括して覆う外被覆と、前記外被覆の端末において前記複数の電線と前記外被覆との間を止水する止水部材とに覆われた状態で前記電線カバーから引き出されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電線カバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の複数の電線の長さ寸法を個別に管理することができず、電線カバー内に複数の電線がほぼ同一の長さ寸法で収容されている場合、電線カバーの電線導入位置から電線カバーの電線引出位置のカバー内距離が最も長い配置となる電線よりもカバー内距離が短い配置となる電線は、電線カバー内において余長が生じ、余長が電線カバー内において絡むことで電線カバーの組み付け作業性が低下してしまう。
【0005】
本明細書では、電線カバー内において電線が絡むことを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、ハウジングから引き出された複数の電線を覆う電線カバーであって、前記ハウジングから引き出された前記複数の電線が導入され、前記複数の電線が導入される方向と交差する方向に前記複数の電線を導出するカバー本体と、前記カバー本体内に設けられた余長収容空間と、前記カバー本体の内面に設けられた案内部とを備えており、前記カバー本体に対して前記電線が導入される電線導入位置から前記電線が導出される電線導出位置までの距離をカバー内距離としたとき、前記案内部は、前記複数の電線のうち前記カバー内距離が最も長くなる配置の基準電線よりも前記カバー内距離が短くなる配置の少なくとも1本の電線を前記余長収容空間に案内する構成とした。
【0007】
また、本明細書によって開示される技術は、電線カバー付きコネクタであって、複数の電線が引き出されるハウジングと、上記の電線カバーとを備えている構成とした。
【0008】
このような電線カバーによると、本来であればデッドスペースとなる余長収容空間に基準電線よりもカバー内距離が短い配置の電線を案内部によって案内し、電線の余長を余長収容空間に配索することができる。これにより、電線カバー内において電線が絡むことを抑制し、電線カバーの組み付け作業性が低下することを防ぐことができる。
【0009】
本明細書によって開示される電線カバーは、以下の構成としてもよい。
【0010】
前記電線カバー内の前記余長収容空間は、前記案内部を基準に前記電線導出位置とは反対側にそれぞれ設けられており、前記案内部は、前記電線導出位置とは異なる方向に向けて傾斜する傾斜部を有している構成としてもよい。
【0011】
このような構成によると、案内部を基準に電線導出位置とは反対側の本来ならデッドスペースとなるカバー本体内の領域を、電線の余長を収容する余長収容空間とすることができる。これにより、案内部よりも電線導出位置側の領域において電線の余長の全てを収容する必要がなく、電線カバー内において小径電線の余長が絡み合うことを抑制することができる。
【0012】
前記傾斜部は、それぞれの前記電線に対応するように複数に設けられており、前記傾斜部は、前記電線導出位置に近いほど前記傾斜部の傾斜開始位置が前記余長収容空間から離れている構成としてもよい。
【0013】
一般に、電線カバー内において斜め方向に離れた位置まで電線を配索する場合、電線を斜めに配索する部分が短いほど電線経路が長くなる。
つまり、カバー内距離が短くなる電線ほど余長が増加するけれども、基準電線から離れた電線に対応する傾斜部ほど傾斜開始位置が余長収容空間に近くなり電線経路が長くなるから、案内部において電線の余長を吸収し、限られた電線カバー内のスペースにおいて電線の余長を効率良く収容することができる。
【0014】
前記複数の電線は、前記複数の電線を一括して覆う外被覆と、前記外被覆の端末において前記複数の電線と前記外被覆との間を止水する止水部材とに覆われた状態で前記電線カバーから引き出されている構成としてもよい。
【0015】
このような構成のように、複数の電線が外被覆や止水部材に固定されており、ハウジングから引き出された複数の電線の長さ寸法を電線の導出部分において変更することができない場合には、上記の構成は、非常に有効である。
【0016】
前記ハウジングから引き出される前記電線には、前記ハウジングと前記電線とに弾性的に密着するゴム栓が外嵌されており、前記案内部は、前記ハウジングから引き出される前記電線を前記電線の引き出し方向に向かって直線的に保持する保持部を有している構成としてもよい。
【0017】
ハウジングと電線との間にゴム栓が装着されている場合、電線が屈曲されることでゴム栓が変形し、ハウジングと電線との間の止水性能が低下することが懸念される。
【0018】
ところが、このような構成によると、ゴム栓が外嵌された電線を保持部によって電線の引き出し方向に向かって直線的に保持しているから、ゴム栓が変形することを防ぐことができる。
つまり、保持部によってゴム栓が変形することを防ぎつつ、電線の余長を余長収容空間に配索し、電線カバー内において電線が絡むことを抑制することができる。
【0019】
前記ハウジングには、前記余長収容空間内に配された前記電線を係止する係止部が設けられている構成としてもよい。
【0020】
このような構成によると、余長収容空間内の電線の余長を係止部によって係止することで余長収容空間に配索された電線が余長収容空間からはみ出して絡んでしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書によって開示される技術によれば、電線カバー内において電線が絡むことを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
本明細書に開示された技術における一実施形態について
図1から
図3を参照して説明する。
【0024】
本実施形態は、車両のタイヤ周辺などのスペースが限られた場所に搭載される電線カバー付きコネクタ10を例示している。電線カバー付きコネクタ10は、
図1から
図3に示すように、合成樹脂製のハウジング50と、ハウジング50から後方に引き出される複数の電線Wを一括して覆う電線カバー20と、ハウジング50と電線カバー20とに亘って取り付けられるジョイントカバー80とを備えて構成されている。
【0025】
ハウジング50は、
図2および
図3に示すように、相手側コネクタCと嵌合可能とされており、相手側コネクタCに内嵌可能なインナハウジング51と、相手側コネクタCに外嵌可能なアウタハウジング60とを備えている。
【0026】
インナハウジング51は、左右方向に長い扁平な形態とされており、インナハウジング51の左右方向両側の側壁には、左右方向外側に突出する係止受け部53が設けられている。
【0027】
また、インナハウジング51は、雌端子Tが収容される複数のキャビティ54を有している。各キャビティ54は前後方向に延びて形成されており、左右方向に並んで配置されている。キャビティ54は、前後方向に開口しており、キャビティ54の後端開口から雌端子Tが挿入可能とされている。キャビティ54内に挿入された雌端子Tは、図示しないランス等の公知の手法により、抜け止め状態で収容されている。各キャビティ54の前端開口からは相手側コネクタCの図示しない雄端子が挿入可能とされ、キャビティ54の後端開口からは、各キャビティ54内の雌端子Tに接続された電線Wが後方に導出されている。
【0028】
また、キャビティ54の後端部は、電線Wの端末に外嵌されるゴム栓Gを収容するゴム栓収容部55とされている。電線Wに外嵌されたゴム栓Gがゴム栓収容部55内に収容されると、ゴム栓Gがゴム栓収容部55の内周面と電線Wとに密着し、キャビティ54の後端開口からキャビティ54内に水などが浸入することを防ぐことができるようになっている。
【0029】
また、複数のキャビティ54のうち左側の2つのキャビティ54は大型の雌端子Tが収容されるようになっており、左側2つのキャビティ54から引き出される2つの電線Wは、大径電線WLとされ、その他のキャビティ54から引き出される3つの電線Wは、大径電線WLよりも小径の小径電線WSとされている。
【0030】
アウタハウジング60は、前後方向に貫通した筒状に形成されており、アウタハウジング60の内部には、後方からインナハウジング51が嵌合可能とされている。
【0031】
アウタハウジング60の左右方向両側の側壁には、インナハウジング51の係止受け部53と係止する係止片62が設けられている。係止片62は、アウタハウジング60内にインナハウジング51が嵌合されると、
図2および
図3に示すように、係止受け部53と前後方向に係止することでアウタハウジング60内にインナハウジング51が保持されるようになっている。
【0032】
電線カバー20は、ハウジング50よりも左右方向に長い細長い形状をなしている。電線カバー20は、左右方向略中央部よりも左側の部分が前方に向かって開口する電線導入部21を有するカバー本体22とされ、カバー本体22よりも右側の部分が右方に向かって延びる電線導出部40とされている。
【0033】
カバー本体22は、
図2に示すように、インナハウジング51から後方に向かって直線的に延びる複数の電線Wを電線導入部21からカバー本体内に導入した後、全て電線Wを電線導出部40に向かって引き出している。
【0034】
ここで、電線導入部21からカバー本体22内に導入された複数の電線Wのうち最も左側に配された電線W1は、
図2に示すように、カバー本体22に導入される電線導入位置PI1から電線Wがカバー本体22から導出される電線導出位置PO1までのカバー内距離LW1が最も長くなっており、電線導入位置PIが右側の配置になるほどカバー内距離が短くなる。そして、電線導入部21からカバー本体22内に導入された複数の電線Wのうち最も右側に配された電線W2は、電線導入位置PI2から導出される電線導出位置PO2までのカバー内距離LW2が最も短くなっている。
【0035】
電線導出部40は、略筒状をなしており、電線導出部40の右側端部には、止水部材45が組み付けられている。
止水部材45は、複数の電線Wが挿通される一括ゴム栓46と、一括ゴム栓46に外嵌される合成樹脂製のキャップ49とを備えて構成されている。
【0036】
一括ゴム栓46は、略円筒状をなし、左半分が複数の電線Wがそれぞれ挿通される電線挿通孔47Aを有する電線挿通部47とされ、右半分が複数の電線Wを一括して覆うシース(「外被覆」の一例)Sに外嵌されるシース外嵌部48とされている。
【0037】
キャップ49は、左右方向に開口する略円筒状をなしている。キャップ49は、一括ゴム栓46に外嵌することで一括ゴム栓46を径方向内側に向かって押圧し、複数の電線WおよびシースSと一括ゴム栓46とを密着させることでシースSの端部から水などが浸入しないように止水している。また、複数の電線Wと一括ゴム栓46とが密着することで各電線Wが左右方向に位置ずれしないように固定される。
【0038】
また、電線カバー20は、上方に向かって開口する下側電線カバー25と、下方に向かって開口した状態で下側電線カバー25に上方から組み付けられる上側電線カバー26とを備えて構成されている。下側電線カバー25の前後方向両側の側壁には、上側電線カバー26の前後方向両側の側壁に設けられた複数のカバーロック受け部27と上下方向に係止する複数のカバーロック部28が形成されており、カバーロック受け部27とカバーロック部28とが上下方向に係止することで下側電線カバー25と上側電線カバー26とが一体となって電線カバー20を構成するようになっている。
【0039】
電線カバー20は、
図2に示すように、ハウジング50の後方のやや離れた位置に配置されるようになっており、ハウジング50の後部および電線カバー20の前端部の外周に組み付けられるジョイントカバー80によって一体に固定されるようになっている。
【0040】
ジョイントカバー80は、前後方向に開口する筒状をなしており、上方に向かって開口する正面視U字状をなす下側ジョイントカバー81と、下側ジョイントカバー81に上方から組み付けられる正面視逆U字状をなす上側ジョイントカバー82とによって構成される。
【0041】
上側ジョイントカバー82の左右方向両側の側壁には、下側ジョイントカバー81の左右方向両側の側壁に設けられたカバー係止受け部83と上下方向に係止可能なカバー係止部84がそれぞれ設けられている。カバー係止部84は、下側ジョイントカバー81に対して上側ジョイントカバー82が上方から組み付けた際に、カバー係止受け部83と上下方向に係止し、上側ジョイントカバー82と下側ジョイントカバー81とを一体に組み付けるようになっている。
【0042】
また、上側ジョイントカバー82および下側ジョイントカバー81は、ハウジング50の後部および電線カバー20の前端部に対して前後方向に係止可能とされている。
【0043】
したがって、下側ジョイントカバー81上にハウジング50のアウタハウジング60の後部と電線カバー20の前端部とを配置し、下側ジョイントカバー81に上側ジョイントカバー82を組み付けることで、ハウジング50の後部および電線カバー20の前端部の外周にジョイントカバー80が組み付けられ、ハウジング50と電線カバー20とがジョイントカバー80によって一体に固定されるようになっている。
【0044】
さて、電線カバー20のカバー本体22内には、
図2および
図3に示すように、電線導入部21の後方に設けられた案内部30と、案内部30の後方に設けられた電線配索部35とが設けられており、案内部30によって複数の電線Wが電線配索部35に案内されるようになっている。
案内部30は、カバー本体22の底壁22Aからカバー本体22内に向かって突出する複数の突出部31を有する。
【0045】
複数の突出部31は、カバー本体22内に導入された複数の電線Wのそれぞれの左右方向両側に配されるように左右方向に6つ並んで設けられており、左から順番に第1突出部31A、第2突出部31Bとされ、最も右側の突出部31が第6突出部31Fとされている。
【0046】
したがって、第1突出部31Aから第3突出部(左側の3つの突出部31)31Cの間には、
図2に示すように、大径電線WLの外径とほぼ同じ隙間寸法の2つの大径電線配索路32Lが形成され、第3突出部31Cから第6突出部(右側の4つの突出部31)31Fの間には、小径電線WSの外径とほぼ同じ隙間寸法の3つの小径電線配索路32Sが形成されている。
【0047】
第1突出部31A、第2突出部31Bおよび第6突出部31Fは、前後方向に延びた形態をなしており、第1突出部31A、第2突出部31Bおよび第6突出部31Fの電線W側の側部は、前後方向に真っ直ぐ延びる保持部33とされている。
【0048】
第3突出部31Cは、左側部が前後方向に真っ直ぐ延びる保持部33とされている。第3突出部31Cの右側部は、前端部が前後方向に真っ直ぐ延びる保持部33とされ、保持部33よりも後方が後方(ハウジング50から電線Wが引き出される方向)に向かうほど左側(電線導入部21とは異なる反対側)に向かって傾斜する傾斜部34とされている。
【0049】
第4突出部31Dおよび第5突出部31Eは、左右方向両側部が前後方向に真っ直ぐ延びる保持部33と、保持部33の後方に連なって形成された傾斜部34とによって構成されている。第4突出部31Dおよび第5突出部31Eの傾斜部34も、第3突出部31Cの傾斜部34と同様に、後方に向かうほど左側に向かって傾斜する形態とされており、第3突出部31Cから第5突出部31Eの傾斜部34の傾斜角度は、いずれも同じ角度に設定されている。
【0050】
また、第3突出部31Cの右側部から第5突出部31Eの右側部における保持部33および傾斜部34は、右側に向かうほど保持部33が前後方向が長くなり、これに伴って傾斜部34の傾斜開始位置である前端位置34Fが後方にずれた構成となっている。
【0051】
したがって、
図2に示すように、電線導入部21からカバー本体22内に導入された2本の大径電線WLは、それぞれの後方に配された大径電線配索路32Lに配置されて、2本の大径電線WLが平行となるように電線配索部35に向かって案内される。一方、3本の小径電線WSは、それぞれの後方に配された小径電線配索路32Sに配置されて、3本の小径電線WSが平行となるように電線配索部35に向かって案内される。
【0052】
詳しくは、2本の大径電線WLは、第1突出部31A、第2突出部31Bおよび第3突出部31Cの保持部33によってハウジング50から電線Wが引き出された電線Wの引き出し方向である後方に向かって直線的に延びた状態に保持されて電線配索部35に案内される。
【0053】
一方、3本の小径電線WSは、小径電線WSの前端部分が、第3突出部31C、第4突出部31D、第5突出部31Eおよび第6突出部31Fの保持部33によって後方に向かって直線的に延びた状態に保持され、その後、それぞれの傾斜部34によって左斜め後方に向かって直線的に延びた状態に保持されて電線配索部35に案内される。
【0054】
また、第3突出部31Cの右側部から第5突出部31Eの右側部における傾斜部34は、右側に向かうほど傾斜部34の傾斜開始位置ある前端位置34Fが後方にずれているから、3本の電線Wのうちカバー内距離が短い電線Wほど左斜め後方に向かう位置が後方となって左斜め後方に延びる距離が短くなり、電線配索部35の後述する係止部36の位置までの電線配索距離が長くなるようになっている。
【0055】
電線配索部35は、
図2および
図3に示すように、案内部30の後方に隣り合って設けられている。電線配索部35の前後方向の長さ寸法は、大径電線WLの外径よりもやや大きい長さ寸法に設定されており、上下方向の高さ寸法は、複数の電線Wを上下方向に並べることができる高さ寸法とされている。つまり、電線配索部35は、前後方向よりも上下方向に大きく形成されている。
【0056】
電線配索部35内には、電線配索部35の底壁35Aから電線配索部35内に向かって突出する係止部36が設けられている。係止部36は、細長い丸ピン状をなし、電線配索部35の左右方向略中央部よりもやや左寄りの位置であって、右側の大径電線配索路32Lの後方に配置されている。
【0057】
また、電線配索部35内には、案内部30から導入された2本の大径電線WLと3本の小径電線WSとが導入されており、2本の大径電線WLは、案内部30から導入された後、右方に向かって略直角に屈曲されて電線導出部40までほぼ直線的に延びた状態で電線配索部35内に収容されている。
【0058】
一方、3本の小径電線WSは、案内部30から導入された後、電線導出部40とは反対側の左方に向かって屈曲されて大径電線WLの下方を係止部36の位置までほぼ直線状に延びており、係止部36に対して時計回りに巻き付くように配索された後、電線導出部40までほぼ直線的に延びた状態で電線配索部35内に収容されている。
【0059】
つまり、電線配索部35内において3本の小径電線WSが配された空間(電線配索部35の下半分の空間)は、カバー内距離が長い配置の左側の大径電線WLよりもカバー内距離が短い小径電線WSの余長を収容する余長収容空間37とされている。また、係止部36は、余長収容空間37内に配された3本の小径電線WSを右方から時計回りに巻き付けるように引っ掛けることが可能となっており、引っ掛けられた小径電線WSが右方に引っ張られて余長収容空間37からはみ出すことがないように係止できるようになっている。
【0060】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、電線カバー付きコネクタ10の作用および効果について説明する。
ハウジングから引き出される複数の電線が電線カバー内において屈曲された電線カバー付きコネクタにおいて、ハウジングから引き出される複数の電線の長さ寸法を個別に管理することができず、全ての電線Wの長さ寸法がほぼ同一となる場合、電線カバーの電線導入位置から電線カバーの電線引出位置までのカバー内距離が短い配置の電線は、カバー内距離が長い配置の電線に比べて、電線カバー内において余長が生じてしまう。
【0061】
したがって、従来の電線カバー付きコネクタ1では、
図4に示すように、電線カバー3内においてカバー内距離が短い配置の電線2の余長を収容する空間に案内する構成がなく、電線2の余長が電線カバー3内において絡み合ってしまう。つまり、従来の電線カバー付きコネクタ1では、電線カバー3の組み付け作業性が低下してしまうことが懸念される。
【0062】
上記の課題を解決するため、本実施形態は、複数の電線Wが引き出されるハウジング50と、ハウジング50から引き出された複数の電線Wを覆う電線カバー20とを備えた電線カバー付きコネクタ10であって、電線カバー20は、ハウジング50から引き出された複数の電線Wが導入され、複数の電線Wが導入される方向と交差する方向(右方向)に複数の電線Wを導出するカバー本体22と、カバー本体22内に設けられた余長収容空間37と、カバー本体22の内面に設けられた案内部30とを備えており、カバー本体22に対して電線Wが導入される電線導入位置PIから電線Wが導出される電線導出位置POまでの距離をカバー内距離としたとき、案内部30は、複数の電線Wのうちカバー内距離が最も長くなる配置の基準電線(左側に配された大径電線WL
1)よりもカバー内距離が短くなる配置の少なくとも1本の電線(小径電線WS)を余長収容空間37に案内する構成とした。
【0063】
本実施形態のような電線カバー付きコネクタ10の電線カバー20によると、本来であればデッドスペースとなる電線配索部35の余長収容空間37に、基準電線(最も左側の大径電線WL
1)よりもカバー内距離が短い配置の小径電線WSを案内部30によって案内し、小径電線WSの余長を余長収容空間37に収容することができる。これにより、電線カバー20内において小径電線WSが絡むことを抑制し、電線カバー20の組み付け作業性が低下することを防ぐことができる。
【0064】
また、カバー本体22内における電線配索部35の余長収容空間37は、案内部30を基準に電線導出位置PO側(右側)とは反対側(左側)にそれぞれ設けられており、案内部30は、電線導出位置POとは反対方向(左方向)に向けて傾斜する傾斜部34を有している。
【0065】
このような構成によると、案内部30を基準に電線導出位置PO側(右側)とは反対側(左側)の本来ならデッドスペースとなるカバー本体22内の領域を、小径電線WSの余長を収容する余長収容空間37とすることができるから、案内部30よりも電線導出位置PO側の領域において小径電線WSの余長の全てを収容する必要がなく、電線カバー20内において小径電線WSの余長が絡み合うことを抑制することができる。
【0066】
また、傾斜部34は、それぞれの小径電線WSに対応するように複数に設けられており、傾斜部34は、電線導出位置POに近いほど傾斜部34の前端位置(傾斜開始位置)34Fが電線導入位置PIから遠くなるように配置されている。
【0067】
一般に、電線カバー内において斜め方向に離れた位置まで小径電線を配索する場合、小径電線を斜めに配索する部分が短いほど電線経路が長くなる。
つまり、カバー内距離が短い配置の小径電線WSほど余長が増加することになるけれども、カバー内距離が短い配置の小径電線WSに対応する傾斜部34ほど傾斜部34の前端位置(傾斜開始位置)34Fが電線導入位置PIから遠くなり電線経路が長くなるから、案内部30において各小径電線WSの余長を吸収し、限られた電線カバー20内のスペースにおいて小径電線WSの余長を効率良く収容することができる。
【0068】
また、複数の電線Wは、複数の電線Wを一括して覆うシース(「外被覆」の一例)Sと、シースSの端末において複数の電線WとシースSとの間を止水する止水部材45とに覆われた状態で電線カバー20から引き出されている。
本実施形態のように、複数の電線WがシースSや止水部材45に固定されており、ハウジング50から引き出された複数の電線Wの長さ寸法を個別に管理できない場合には、本実施形態のような構成は、非常に有効である。
【0069】
また、ハウジング50から引き出される電線Wには、ハウジング50と電線Wとに弾性的に密着するゴム栓Gが外嵌されており、案内部30は、ハウジング50から引き出される電線Wを電線Wの引き出し方向(後方)に向かって直線的に保持する保持部33を有している。
【0070】
本実施形態のように、ハウジング50と電線Wとの間にゴム栓Gが装着されている場合、電線Wが屈曲されるとゴム栓Gが変形し、ハウジング50と電線Wとの間の止水性能が低下することが懸念される。
【0071】
ところが、本実施形態のように、ゴム栓Gが外嵌された電線Wを保持部33によって電線Wの引き出し方向に向かって直線的に保持に保持しているから、ゴム栓Gが変形することを防ぐことができる。
つまり、保持部33によってゴム栓Gが変形することを防ぎつつ、小径電線WSの余長を余長収容空間37に配索して電線カバー20内において小径電線WSが絡むことを抑制することができる。
【0072】
また、ハウジング50には、余長収容空間37内に配された小径電線WSを係止する係止部36が設けられている。
本実施形態によると、余長収容空間37内の小径電線WSの余長を係止部36によって係止することで余長収容空間37に配索された小径電線WSの余長が余長収容空間37からはみ出して絡んでしまうことを防ぐことができる。
【0073】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、複数の電線Wが大径電線WLと小径電線WSとからなる構成にした。しかしながら、これに限らず、複数の電線が大径電線のみや小径電線のみによって構成されてもよく、3種類以上の線径の電線によって構成されてもよい。
【0074】
(2)上記実施形態では、カバー内距離が最も長い配置の電線Wが大径電線WLとされ、カバー内距離が最も短い配置の電線Wが小径電線WSとされた構成にした。しかしながら、これに限らず、カバー内距離が最も長い配置の電線を小径電線とし、カバー内距離が最も短い配置の電線を大径電線とする構成にしてもよい。
【0075】
(3)上記実施形態では、電線Wにゴム栓Gが外嵌された構成にした。しかしながら、これに限らず、電線にゴム栓が外嵌されていない構成にしてもよい。
(4)上記実施形態では、複数の電線Wが覆われたシースSの端部を止水部材45によって止水した構成にした。しかしながら、これに限らず、シースの端部を接着剤などによって止水する構成にしてもよい。
【0076】
(5)上記実施形態では、電線カバー20内に導入した複数の電線Wを保持部33によって後方に向かって直線的に延びた状態に保持する構成にした。しかしながら、これに限らず、電線にゴム栓が外嵌されていなければ、電線を保持部によって保持しない構成にしてもよい。
(6)上記実施形態では、傾斜部34によって小径電線WSを左斜め後方に向かって直線状に配置する構成にした。しかしながら、これに限らず、電線を左斜め後方に向かって円弧状に配置する構成にしてもよい。
【0077】
(7)上記実施形態では、ハウジング50と電線カバー20とをジョイントカバー80によって一体にする固定する構成にした。しかしながら、これに限らず、電線カバーをハウジングに直接固定する構成にしてもよい。
(8)上記実施形態では、3本の小径電線WSを案内部30によって案内する構成にした。しかしながら、これに限らず、案内部によって案内される電線は1本や2本でもよく、4本以上に構成してもよい。