(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B−1)ビニル系共重合体と(B−2)ビニル系共重合体の重量比(B−1/B−2)が1〜4であり、かつ(B−1)ビニル系共重合体と(B−2)ビニル系共重合体の合計含有量が、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して20重量部から38重量部である、請求項1に記載の耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
(C)耐熱ビニル系共重合体が更にシアン化ビニル系単量体(i)を共重合してなり、そのシアン化ビニル系単量体(i)の成分含有率が33重量%以下である、請求項1または2に記載の耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
熱可塑性樹脂組成物を100重量部としたときに、(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体の含有量が0.5〜10重量部である、請求項4に記載の耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物。
(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体および(C)耐熱ビニル系共重合体を混合する工程と、混合されたものを溶融混練する工程を有してなる、請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、具体的に記載する。
本発明の耐熱・耐塗装性熱可塑性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と記載する場合がある)は、前述の(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体、(C)耐熱ビニル系共重合体を含有する。これら各成分について説明する。
【0014】
<(A)ゴム質含有グラフト共重合体>
本発明における(A)ゴム質含有グラフト共重合体とは、ゴム質重合体の存在下に、少なくともシアン化ビニル系単量体(i)および芳香族ビニル系単量体(ii)を含有する単量体混合物をグラフト共重合して得られるものである。かかる(A)ゴム質含有グラフト共重合体を含有することにより、成形品の耐衝撃性を向上させることができる。ここでいうゴム質含有グラフト共重合体とは、ゴム質重合体に単量体混合物をグラフト共重合したものの他に、グラフトしていないビニル系単量体混合物の共重合体を含んでもよい。かかるグラフトしていないビニル系単量体混合物の共重合体は、アセトンに溶解する。
【0015】
また、ゴム質含有グラフト共重合体(A)のグラフト率は特に制限はないが、耐衝撃性と耐熱性のバランスから、グラフト率は7〜40重量%が好ましく、より好ましくは20〜28重量%、さらに好ましくは22〜26重量%である。なお、グラフト共重合体(A)のグラフト率(重量%)は、次式で示される。
グラフト率(重量%)={[ゴム質重合体にグラフト重合した共重合体量]/[ゴム質含有グラフト共重合体のゴム質含有量]}×100
【0016】
(A)ゴム質含有グラフト共重合体を構成するゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体およびアクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム質重合体が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。ゴム質重合体のガラス転移温度は0℃以下が好ましい。一方、ガラス転移温度は実用上−80℃以上である。本発明においては、耐衝撃性の観点から、ポリブタジエンが好ましく採用される。
【0017】
(A)ゴム質含有グラフト共重合体を構成するシアン化ビニル系単量体(i)
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリル
から選ばれる。これらを2種以上用いてもよい。アクリロニトリルが好ましく採用される。
【0018】
(A)ゴム質含有グラフト共重合体を構成する芳香族ビニル系単量体(ii)
は、スチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレン
から選ばれる。これらを2種以上用いてもよい。なお本明細書において、芳香族ビニル系単量体(ii)はαメチルスチレンをふくまないものとする。成形加工時の流動性をより向上させる観点から、スチレンが好ましく採用される。
【0019】
また、本発明における(A)ゴム質含有グラフト共重合体には、本発明の効果を失わない程度に他の共重合可能な単量体を用いてもよい。他の共重合可能な単量体としては、例えば、硬度を向上させる目的でメタクリル酸メチルが挙げられる。
【0020】
ゴム質重合体の重量平均粒子径は、特に制限しないが、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、0.10μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましい。ここで、重量平均粒子径は、ゴム質重合体のラテックスを純水にて300〜500倍に希釈し、レーザー回析・散乱法による粒子径分布測定装置により測定することができる。
【0021】
(A)ゴム質含有グラフト共重合体を構成する原料中におけるゴム質重合体の重量分率は、特に制限はないが、40〜80重量%が好ましい。ゴム質重合体の重量分率が40重量%以上では耐衝撃性が向上し、一方、80重量%以下では耐熱性が向上するため好ましい。
【0022】
(A)ゴム質含有グラフト共重合体を構成する原料中におけるシアン化ビニル系単量体(i)の重量分率は、好ましくは5〜20重量%である。シアン化ビニル系単量体(i)の重量分率が9重量%以上の場合には、グラフト重合が進行しやすく、グラフト率が向上し、耐衝撃性が向上する傾向があり、17重量%以下の場合には、着色しにくい傾向がある。
【0023】
(A)ゴム質含有グラフト共重合体を構成する原料中における芳香族ビニル系単量体(ii)の重量分率は、好ましくは15〜45重量%である。芳香族ビニル系単量体(ii)の重量分率が26重量%以上の場合には、着色しにくい傾向があり、一方、43重量%以下の場合にはグラフト重合が進行しやすく、グラフト率が向上し、耐衝撃性が向上する傾向がある。
【0024】
<(B)ビニル系共重合体>
本発明における(B)ビニル系共重合体とは、少なくともシアン化ビニル系単量体(i)および芳香族ビニル系単量体からなる共重合体であり、シアン化ビニル系単量体(i)および芳香族ビニル系単量体(ii)を含有する単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体である。かかる(B)ビニル系共重合体を含有することにより、塗装時の塗装ワキの発生を抑えることができる。
【0025】
(B)ビニル系共重合体を構成するシアン化ビニル系単量体(i)
は、前述のゴム質含有グラフト共重合体(A)を構成するシアン化ビニル単量体(i)として
示したものが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
【0026】
(B)ビニル系共重合体を構成する芳香族ビニル系単量体(ii)
は、前述のゴム質含有グラフト共重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体(ii)として
示したものが挙げられ、特にスチレンが好ましく採用される。
【0027】
また、(B)ビニル系共重合体には、上記以外にも本発明の効果を失わない程度に他の共重合可能な単量体を用いてもよい。共重合可能な他の単量体としては、前述のゴム質含有グラフト共重合体(A)を構成する共重合可能な他の単量体として例示したものが挙げられる。ただし、後述するマレイミド系単量体およびαメチルスチレン単量体(iii)は、(B)ビニル系共重合体に共重合可能な他の単量体から除くものとする。
【0028】
(B)ビニル系共重合体は、上記単量体を用いて特定構造を有する下記(B−1)および(B−2)の少なくとも2つのビニル系共重合体を含むことが重要である。
【0029】
(B−1)ビニル系共重合体および(B−2)ビニル系共重合体は、いずれも少なくともシアン化ビニル系単量体(i)および芳香族ビニル系単量体(ii)からなる共重合体であり、互いに異なる組成および重量平均分子量を有する。すなわち、(B−1)ビニル系共重合体は重量平均分子量が250,000〜400,000かつシアン化ビニル系単量体(i)の成分含有率が25重量%以上、33重量%以下である。(B−2)ビニル系共重合体は、重量平均分子量が80,000〜100,000かつシアン化ビニル系単量体(i)の成分含有率が15重量%以上、25重量%未満である。
【0030】
(B−1)ビニル系共重合体の重量平均分子量が250,000未満では塗装ワキが発生しやすく、また400,000を超えても塗装ワキが発生しやすい。更に(B−1)ビニル系共重合体中のシアン化ビニル系単量体(i)成分含有量が25重量%未満では塗装ワキが発生しやすく、33%重量を超えると耐衝撃性が低下する。また(B−2)ビニル系共重合体の重量平均分子量が80,000未満では耐衝撃性が低下し、100,000を超えると塗装ワキが発生しやすい。さらに(B−2)ビニル系共重合体中のシアン化ビニル系単量体(i)成分含有量が15重量%未満では耐衝撃性が低下しやすく、25重量%以上では塗装ワキが発生しやすい。
【0031】
(B)ビニル系共重合体は少なくとも(B−1)ビニル系共重合体と(B−2)ビニル系共重合体からなり、その重量比(B−1/B−2)が1〜4であり、かつ熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して(B−1)ビニル系共重合体と(B−2)ビニル系共重合体の合計含有量が20重量部から80重量部であることが好ましい。重量比(B−1/B−2)および(B−1)と(B−2)の合計含有量を上記範囲にすることで塗装ワキの発生をさらに抑えることができる。
【0032】
(B)ビニル系共重合体
は、シアン化ビニル系単量体(i)の成分含有率が33重量%を超えて40重量%未満である(B−3)ビニル系共重合体を含有
する。(B−3)ビニル系共重合体を含有することで塗装ワキの発生を更に抑えることができる。さらに熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して(B−3)ビニル系共重合体の含有量が5重量部から30重量部であ
る。(B−3)ビニル系共重合体の含有量が5重量部未満だと塗装ワキの抑制効果が十分に得られない。一方30重量部を超えると耐衝撃性が低下する。
【0033】
<(C)耐熱ビニル系共重合体>
本発明における(C)耐熱ビニル系共重合体は、少なくとも芳香族ビニル系単量体(ii)、およびマレイミド系単量体またはαメチルスチレン単量体(iii)からなる共重合体であり、少なくとも芳香族ビニル系単量体(ii)並びに、マレイミド系単量体およびαメチルスチレン単量体からなる群(iii)から選択された単量体を共重合して得られる共重合体である。かかる(C)耐熱ビニル系共重合体を含有することにより、耐熱性を向上させることができる。
【0034】
(C)耐熱ビニル系共重合体を構成するマレイミド系単量体としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、4−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−エチルマレイミドが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中で、N−フェニルマレイミドがより好ましい。
【0035】
(C)耐熱ビニル系共重合体がマレイミド系単量体を共重合してなる場合、マレイミド系単量体の重量分率は、好ましくは30〜55重量%である。マレイミド系単量体の重量分率が30%未満では、樹脂組成物の耐熱性の向上効果が小さくなる。一方マレイミド系単量体の重量分率が55重量%を超えると、樹脂組成物の耐衝撃性が低下する。
【0036】
(C)耐熱ビニル系共重合体がαメチルスチレン単量体を共重合してなる場合、αメチルスチレン単量体の重量分率は、好ましくは20〜40重量%である。αメチルスチレンの重量分率が20%未満では、樹脂組成物の耐熱性の向上効果が小さくなる。一方αメチルスチレン単量体の重量分率が40重量%を超えると、樹脂組成物の耐衝撃性が低下する。
【0037】
(C)耐熱ビニル系共重合体を構成する芳香族ビニル系単量体(ii)
は、前述のゴム質含有グラフト共重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体(ii)として
示したものが挙げられ、特にスチレンが好ましく採用される。
【0038】
必要に応じて、(C)耐熱ビニル系共重合体にはシアン化ビニル系単量体(i)を共重合させてもよい。シアン化ビニル系単量体(i)としては、前述のゴム質含有グラフト共重合体(A)を構成するシアン化ビニル系単量体(i)として例示したものが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
【0039】
(C)耐熱ビニル系共重合体を構成するシアン化ビニル系単量体(i)および芳香族ビニル系単量体(ii)の重量分率は、(C)耐熱ビニル系共重合体100重量%中、シアン化ビニル系単量体(i)0〜33重量%、芳香族ビニル系単量体(ii)35〜80重量%が好ましい。シアン化ビニル系単量体(i)の重量分率が33重量%を超えると、耐熱性を付与するマレイミド系単量体またはαメチルスチレンの含有量が低下し、耐熱性が低下する。芳香族ビニル系単量体(ii)の重量分率が35重量%未満では、耐衝撃性が低下する。一方、芳香族ビニル系単量体(ii)の重量分率が80重量%を超えると、耐熱性を付与するマレイミド系単量体またはメチルスチレンの含有量が低下し、耐熱性が低下する。
【0040】
本発明において、(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体および(C)耐熱ビニル系共重合体の製造方法としては、例えば、塊状重合、懸濁重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合、沈殿重合などの重合方法が挙げられる。これらを2種以上組み合わせてもよい。各共重合体を構成する単量体の仕込み方法も特に制限はなく、初期に一括して仕込んでもよいし、共重合体の組成分布を所望の範囲に調整するために、単量体を数回に分けて仕込んでもよい。
【0041】
<(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体>
本発明において、(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体とは、少なくともエチレン、(メタ)アクリル酸エステルおよび一酸化炭素を共重合して得られる共重合体であって、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。これらと共重合可能な他の単量体を共重合してもよい。(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体を配合することによって、塗装ワキの発生をさらに抑えることができる。
【0042】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と、炭素数1〜8のアルコールのエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルが好ましい。
【0043】
エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(D)の共重合比は、エチレン10〜85重量%、(メタ)アクリル酸エステル10〜50重量%、一酸化炭素5〜40重量%が好ましく、エチレン40〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル15〜40重量%、一酸化炭素5〜20重量%がより好ましい。
【0044】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体)の含有量は、(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体、(C)耐熱ビニル系共重合体および(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体の合計、すなわち熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましい。
【0045】
本発明において、(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体および(C)耐熱ビニル系共重合体の重合に際して、開始剤を用いてもよい。開始剤としては、過酸化物またはアゾ系化合物などが好適に用いられる。これらを組み合わせてもよい。
【0046】
過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なかでもクメンハイドロパーオキサイドおよび1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。
【0047】
アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、および2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なかでもアゾビスイソブチロニトリルが好ましく用いられる。
【0048】
(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体および(C)耐熱ビニル系共重合体を製造するに際しては、メルカプタンやテルペンなどの連鎖移動剤を使用してもよく、重合度を所望の範囲に調節することができる。連鎖移動剤の具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンおよびテルピノレンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なかでも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびn−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
【0049】
本発明の樹脂組成物における(A)ゴム質含有グラフト共重合体の含有量は、(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体、(C)耐熱ビニル系共重合体および任意に(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体の合計、すなわち熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して15〜50重量部であ
る。(A)ゴム質含有グラフト共重合体の含有量が15重量部未満であると、耐衝撃性が低下する。一方、(A)ゴム質含有グラフト共重合体の含有量が50重量部を超えると、耐熱性が低下する。
【0050】
本発明の樹脂組成物におけるビニル系共重合体(B)の含有量は、(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体、(C)耐熱ビニル系共重合体および任意に(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体の合計、すなわち熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して20〜80重量部であることが好ましい。ビニル系共重合体(B)の含有量が20重量部未満であると、塗装ワキが発生しやすくなる。一方、ビニル系共重合体(B)の含有量が80重量部を超えると、耐熱性が低下する。
【0051】
本発明の樹脂組成物における(C)耐熱ビニル系共重合体の含有量は、(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体、(C)耐熱ビニル系共重合体および任意に(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体の合計、すなわち熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して5〜40重量部であ
る。(C)耐熱ビニル系共重合体の含有量が5重量部未満であると、耐熱性が低下する。一方、(C)耐熱ビニル系共重合体の含有量が40重量部を超えると、塗装ワキが発生しやすくなる。
【0052】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、含硫黄化合物系酸化防止剤、ヨウ化銅、ヨウ化カリウムなどの耐熱剤、含リン有機化合物系酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、銀系抗菌剤に代表される抗菌剤、抗カビ剤、カーボンブラック、酸化チタン、離型剤、潤滑剤、顔料および染料などを含有することもできる。
【0053】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、構成する各成分を混合した後、溶融混練することにより得ることができる。すなわち、(A)耐熱ビニル系共重合体、(B)ビニル系共重合体および(C)耐熱ビニル系共重合体を混合する工程と、混合されたものを溶融混練する工程を有する製造方法により熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。混合方法に関しては、特に制限はないが、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー等の一般的なドライブレンダーを使用することができる。また溶融混練方法に関しては、特に制限はないが、例えば、加熱装置、ベントを有するシリンダーで単軸または二軸のスクリューを使用して溶融混練する方法などが採用可能である。溶融混練の際の加熱温度は、通常210〜320℃の範囲から選択される。本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混練時の温度勾配等を自由に設定することも可能である。また、二軸のスクリューを用いる場合は、同一回転方向でも異回転方向でもよい。
【0054】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、成形品を得ることができる。成形方法としては、射出成形が好ましい。射出成形温度は、220〜300℃が一般的である。さらに好ましくは240〜280℃である。また、射出成形時の金型温度は、30〜80℃が一般的である。40〜70℃が好ましく、特に好ましくは50〜70℃である。
【0055】
得られた成形品の上に塗装を施すことにより、装飾層を有する装飾成形品を得ることができる。この装飾成形品は、塗装時の塗装ワキ(ブリスター)の発生が抑制され、塗装外観が優れる。
【0056】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性に優れ、塗装時の塗装ワキ(ブリスター)の発生を抑えることができる成形品を得ることができるため、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類などに限らず、自動車部品の用途に用いることができる。例えば、自動車内装用のパワーウインドパネル、センターコンソール、センタークラスター、コンソールシャッター、レバーコントローラー、コンソールボックスなどに好適に使用できるだけでなく、リアスポイラー、グリル、ガーニッシュ、ドアミラーに代表される自動車部品の用途には極めて有用である。
【実施例】
【0057】
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げるが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではない。ここで特に断りのない限り「%」は重量%を表し、「部」は重量部を表す。
まず、各実施例および比較例における評価方法を下記する。
【0058】
(1)ゴム質重合体の重量平均粒子径
ゴム質重合体の重量平均粒子径は、ゴム質重合体を水媒体で希釈、分散させ、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置“LS 13 320”(ベックマン・コールター株式会社製)により体積平均粒子径を測定した。
【0059】
(2)ゴム質含有グラフト共重合体(A)のグラフト率
ゴム質含有グラフト共重合体の所定量(m;約1g)にアセトン200mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流した。この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過した。この不溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥し、その重量(n)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。ここでLは、ゴム質含有グラフト共重合体のゴム質含有分率である。
グラフト率(重量%)={[(n)−((m)×L)]/[(m)×L]}×100
【0060】
(3)ビニル系共重合体(B)の重量平均分子量
各参考例により得られたビニル系共重合体について、Water社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用い、検出器として示差屈折計(Water2414)、カラムとしてポリマーラボラトリーズ社製MIXED−B(2本)、留出液としてアセトンを用いて、流速1ml/min、カラム温度40℃の条件で、ポリスチレン(PS)換算の重量平均分子量を測定した。
【0061】
(4)耐衝撃性
各実施例および比較例により得られたペレットから、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、JIS K 7139に規定される多目的試験片タイプA1を成形し、これを切り出したタイプB2試験片を用いて、ISO179/1eAに準拠してシャルピー衝撃強度を測定した。
【0062】
(5)耐熱性
熱変形温度:ISO75−2(1.8MPa条件で測定)に準拠して測定した。試験片は、シリンダー温度を250℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、JIS K 7139に規定される多目的試験片タイプA1を成形して得た。
【0063】
(6)塗装性(エッジ付成形品の塗装ワキ)
射出成形機を使用して、シリンダー温度を290℃、金型温度を10℃に設定し、
図1(a)(b)に模式的に示す、長手方向に角45°のエッジを有する幅70mm、長さ150mm、厚さ3mmの角形の平板Pを成形した(
図1(a)は、角形の平板Pの平面図、
図1(b)は、角形の平板Pの矢視A−A断面図である。また射出成形のゲートの位置を白抜き矢印で示した)。得られた成形品に、アクリル−ウレタン2液塗料(レタンPG60/ハードナー、関西ペイント(株)製)を、塗装ロボット:川崎重工株式会社製 KE610H、ABB社製 カートリッジベルを用い、塗膜厚み30μmでそれぞれ塗布した後、乾燥温度80℃で30分間乾燥させ、塗装成形品を得た。得られた塗装成形品について、両エッジ部を観察し、以下の基準により塗装ワキの有無を評価した。A(優)とB(良)を合格レベルとし、C(不良)とD(劣る)を不合格レベルとした。
A(優):両エッジ部にワキ発生がなく、外観が良好である。
B(良):両エッジ部のワキの発生が10個以下であり、問題とならないレベルである。
C(不良):両エッジ部にワキ発生が目立ち、外観に問題がある。
D(劣る):両エッジおよび成形品全体にワキが発生している。
【0064】
次に、各実施例および比較例に用いた原料を下記する。
(参考例1)[(A)ゴム質含有グラフト共重合体の製造]
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径が350nmであるポリブタジエンラテックスと800nmであるポリブタジエンラテックスを、質量比率8:2で混合したもの)45重量%(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量%とアクリロニトリル15重量%からなる単量体混合物を、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の0.3重量%希硫酸水溶液中に添加して凝集させた後、水酸化ナトリウム水溶液により中和し、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ゴム質含有グラフト共重合体(A−1)を調製した。グラフト率は25重量%であった。
【0065】
(参考例2)[(B−1)ビニル系共重合体の製造]
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量%のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量%のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、アクリロニトリル29重量%、スチレン71重量%、t−ドデシルメルカプタン0.04重量%、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.30重量%の混合溶液を反応系にて攪拌しながら添加し、70℃にて共重合反応を開始した。共重合開始から3時間かけて100℃に昇温して30分間保持し、その後冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−1−1)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−1−1)の重量平均分子量は、350,000であった。
【0066】
(参考例3)[(B−1)ビニル系共重合体の製造]
t−ドデシルメルカプタン0.11重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−1−2)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−1−2)の重量平均分子量は、250,000であった。
【0067】
(参考例4)[(B−1)ビニル系共重合体の製造]
t−ドデシルメルカプタン0.01重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−1−3)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−1−3)の重量平均分子量は、400,000であった。
【0068】
(参考例5)[(B−1)ビニル系共重合体の製造]
アクリロニトリル33重量%、スチレン67重量%、t−ドデシルメルカプタン0.13重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−1−4)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−1−4)の重量平均分子量は、250,000であった。
【0069】
(参考例6)[(B−1)ビニル系共重合体の製造]
アクリロニトリル25重量%、スチレン75重量%、t−ドデシルメルカプタン0.03重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−1−5)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−1−5)の重量平均分子量は、350,000であった。
【0070】
(参考例7)[(B−2)ビニル系共重合体の製造]
アクリロニトリル24重量%、スチレン76重量%、t−ドデシルメルカプタン0.40重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−2−1)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−2−1)の重量平均分子量は、98,000であった。
【0071】
(参考例8)[(B−2)ビニル系共重合体の製造]
アクリロニトリル20重量%、スチレン80重量%、t−ドデシルメルカプタン0.04重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−2−2)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−2−2)の重量平均分子量は、98,000であった。
【0072】
(参考例9)[(B−3)ビニル系共重合体の製造]
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量%のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量%のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、アクリロニトリル37重量%、スチレン63重量%、t−ドデシルメルカプタン0.44重量%、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系にて攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。共重合開始から2時間後に50分かけて100℃に昇温して5分間保持し、その後冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−3)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−3)の重量平均分子量は、110,000であった。
【0073】
(参考例10)[(B−4)ビニル系共重合体の製造]
アクリロニトリル29重量%、スチレン71重量%、t−ドデシルメルカプタン0.20重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−4−1)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−4−1)の重量平均分子量は、200,000であった。
【0074】
(参考例11)[(B−4)ビニル系共重合体の製造]
アクリロニトリル28重量%、スチレン72重量%、t−ドデシルメルカプタン0.22重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−4−2)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−4−2)の重量平均分子量は、150,000であった。
【0075】
(参考例12)[(B−4)ビニル系共重合体の製造]
アクリロニトリル26重量%、スチレン74重量%、t−ドデシルメルカプタン0.22重量%とする以外はビニル系共重合体(B−1−1)と同様の工程により、ビニル系共重合体(B−4−3)を調製した。アセトン溶媒(温度40℃)で測定したビニル系共重合体(B−4−3)の重量平均分子量は、98,000であった。
【0076】
(参考例13)[(C)耐熱ビニル系共重合体の製造]
N−フェニルマレイミド50重量%、スチレン50重量%からなる単量体混合物に対して、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合を行い、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、耐熱ビニル系共重合体(C−1)を調製した。
【0077】
(参考例14)[(C)耐熱ビニル系共重合体の製造]
N−フェニルマレイミド40重量%、アクリロニトリル10重量%、スチレン50重量%からなる単量体混合物に対して、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合を行い、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、耐熱ビニル系共重合体(C−2)を調製した。
【0078】
(参考例15)[(C)耐熱ビニル系共重合体の製造]
αメチルスチレン20重量%、アクリロニトリル30重量%、スチレン50重量%からなる単量体混合物に対して、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合を行い、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、耐熱ビニル系共重合体(C−3)を調製した。
【0079】
その他、各実施例および比較例に用いた原料を以下に示す。
エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体(D−1);商品名「“エルバロイ”(登録商標)HP−4051」、エチレン/アクリル酸n−ブチル/一酸化炭素共重合体、三井・デュポンポリケミカル(株)製
【0080】
以下、実施例および比較例について説明する。
(実施例1〜
5、参照例1〜13、比較例1〜6)
前記(A)ゴム質含有グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体、(C)耐熱ビニル系共重合体、(D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体を、表1、表2ならびに表3に示した重量部数で配合し、スクリュー径30mmの同方向回転のベント付二軸押出機((株)池貝製PCM30)を用いて、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量10kg/時間の条件で溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
【0081】
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを100℃に設定した箱形熱風乾燥機にて3時間以上乾燥させた後、射出成形機(成形温度250℃、金型温度60℃)を用いて試験片を作製し、前述の方法により評価を行った。ただし、前記(6)の塗装用の成形品は(6)に記載の条件で作製した。実施例
、参照例の結果を表1および表2、比較例の結果を表3に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
表1および表2の評価結果から、本発明の熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜
5)は、いずれも耐熱性、耐衝撃性および塗装性が優れていることが分かる。
【0086】
一方、比較例1では(B−1)ビニル系共重合体を含有しないため、実施例13に比較して塗装ワキが発生しやすい結果であった。また比較例2では(B−2)ビニル系共重合体を含有せず、実施例1〜3に比較して塗装ワキが発生しやすい結果であった。
【0087】
比較例3では(B−1)ビニル系共重合体の代わりに配合した(B−4−1)ビニル系共重合体の重量平均分子量が低いため、実施例3と比較して塗装ワキが発生しやすい結果であった。比較例4では(B−2)ビニル系共重合体の代わりに配合した(B−4−3)ビニル系共重合体におけるシアン化ビニル系単量体の含有量が高いため、実施例3と比較して塗装ワキが発生しやすい結果であった。
【0088】
さらに比較例5では(B−1)ビニル系共重合体および(B−2)ビニル系共重合体を含有しないため、実施例12〜14と比較して塗装ワキに大きく劣る結果であった。比較例6では(B−1)ビニル系共重合体および(C)耐熱ビニル系共重合体を含有せず、塗装性には優れるものの、実施例と比較して耐熱性が低い結果であった。