(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フレームの、前記BCと前記ECとの間に配置されるフレームデータには、DC(Direct Current)制御を行うDCC(Direct Current Control)ビットが規則的に配置される
請求項7に記載のディスク状記録媒体。
同期をとるための同期パターンを、ディスク状記録媒体の隣接する2つのトラックで、トラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずらして記録する記録部を備え、
前記記録部は、
ECC(Error Correction Coding)処理に用いられるパリティを含むECCブロックの始まりを表すRun_inを記録し、
複数の前記同期パターンが、前記Run_inに含まれ、
トラック方向に並ぶ2つの前記同期パターンの間隔が、前記Run_inの中でユニークになるように、前記同期パターンを記録する
記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<本技術を適用した記録再生装置の一実施の形態>
【0020】
図1は、本技術を適用した記録再生装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0021】
図1において、記録再生装置は、ECC(Error Correction Coding)処理部11、DCC(Direct Current Control)付加部12、チャネル符号化部13、RUB(Recording Unit Block)構成部14、記録再生系15、光ディスク16、信号処理部17、チャネル復号部18、DCC削除部19、ECC処理部20、及び、制御部21を有する。
【0022】
ECC処理部11には、光ディスク16に記録する対象のユーザデータ(画像や音声等のコンテンツ、コンピュータプログラム、その他の各種のデータ)が供給される。
【0023】
ECC処理部11は、ユーザデータの所定の単位ごとに、その所定の単位のユーザデータを含み、ECC処理の対象となるECC対象データを構成する。
【0024】
さらに、ECC処理部11は、ECC対象データに、パリティを付加するECC処理を施すことで、ECCブロックを構成し、DCC付加部12に供給する。
【0025】
DCC付加部12は、ECC処理部11からのECCブロックを所定の単位のデータとしてのrowデータに分割し、各rowデータに、DC(Direct Current)制御用のDCCビットを付加(挿入)する。
【0026】
さらに、DCC付加部12は、DCCビットが付加されたrowデータに、フレームの先頭(又は終わり)を表すFS(Frame Sync)等の必要なデータを付加することでフレームを構成し、チャネル符号化部13に供給する。
【0027】
チャネル符号化部13は、DCC付加部12からのフレームを、所定のチャネル符号に符号化し、RUB構成部14に供給する。
【0028】
ここで、チャネル符号としては、例えば、PCWA(Parity-Complementary Word Assignment)符号、特に、例えば、PCWA110符号、その他、任意のRLL(Run-Length Limited)符号を採用することができる。また、PCWA110符号は、2値の符号であるが、チャネル符号としては、3値以上の多値の符号を採用することができる。
【0029】
なお、最小ランがdで、最大ランがkのRLL符号は、(d,k)RLL符号と呼ばれる。PCWA110符号は、2ビットの情報を3ビットの符号に符号化する、符号化率が2/3の符号であり、NRZI(Non Return to Zero Inversion)表現で、最小ランdが1で、最大ランkが10の(1,10)RLL符号である。PCWA110符号については、例えば、特許第4998472号公報に記載されている。
【0030】
また、記録再生装置のチャネルクロックの周期をTで表すこととすると、NRZ(Non Return to Zero)表現では、PCWA110の最小ランd及び最大ランkは、それぞれ、2T及び11Tである。
【0031】
以下、最小ランd及び最大ランk等のランについては、NRZI表現のランには、Tを付けずに表記し、NRZ表現のラン(及びサイズ)には、Tを付けて表記する。
【0032】
さらに、本明細書でのNRZI表現は、例えば、1が、直前のビットの反転を意味し、0が、直前のビットをそのまま維持することを表すこととする。
【0033】
RUB構成部14は、チャネル符号化部13からのフレーム(チャネル符号に符号化されたフレーム)の集合(後述するフレームクラスタ)に、ECCブロックの始まり及び終わりをそれぞれ表すRun_in及びRun_outを付加することで、RUBを構成し、記録再生系15に供給する。
【0034】
記録再生系15は、図示せぬピックアップ等で構成される。記録再生系15は、光ディスク16にレーザ光等の光を照射してマークを形成することで、光ディスク16にデータを記録する記録部として機能する。また、記録再生系15は、光ディスク16にレーザ光を照射し、そのレーザ光に対する、光ディスク16からの反射光を受光し、その反射光に応じた再生信号を出力することで、光ディスク16に記録されたデータを再生する再生部として機能する。
【0035】
記録再生系15は、RUB構成部14からのRUBに応じて、光ディスク16にレーザ光を照射し、そのRUBを、光ディスク16に記録する。また、記録再生系15は、光ディスク16にレーザ光を照射することで、光ディスク16に記録されたRUB等に対応する再生信号(RF(Radio Frequency)信号)を再生し、信号処理部17に供給する。
【0036】
光ディスク16は、ディスク状記録媒体の1種で、トラックとして、ランド(トラック)とグルーブ(トラック)とが隣接して形成されている。
【0037】
グルーブは、溝になっているトラックであり、アドレッシングのために、ウォブリングしている。ランドは、(隣接する)2つのグルーブの間に挟まれたトラックである。
【0038】
光ディスク16については、データを高密度に記録するため、ランド及びグループの両方に、データが記録される(マークが形成される)。
【0039】
以上のように、光ディスク16には、ランド及びグループの両方に、データが記録されるため、あるトラックTK0(
図1では、グルーブ)が再生対象のトラックになっている場合、記録再生系15が、再生対象のトラックTK0に照射するレーザ光(のスポット)は、トラックTK0の他、トラックTK0に隣接するトラックTK1及びTK2(さらには、トラックTK1やTK2の、トラックTK0とは隣接していない側に隣接するトラック)にも照射される。
【0040】
その結果、再生対象のトラックTK0の再生にあたっては、そのトラックTK0に隣接するトラックTK1及びTK2からのクロストークが生じ、トラックTK0を再生対象とする再生信号は、そのトラックTK0に隣接するトラックTK1及びTK2からのクロストークにより劣化する。すなわち、トラックTK0を再生対象とする再生信号は、トラックTK0に隣接するトラックTK1及びTK2からのクロストークに起因するクロストーク成分を含み、トラックTK0を再生対象とする再生信号は、本来の波形(クロストークがない場合の波形)から変形する。
【0041】
後述する信号処理部17では、信号処理の1つとして、再生信号のクロストーク(成分)をキャンセルするクロストークキャンセル(以下、XTC(Cross Talk Cancel)ともいう)が行われ、本来の波形の再生信号が求められる。
【0042】
ここで、記録再生系15では、光ディスク16からの反射光を受光する図示せぬ受光素子の受光面が、例えば、光ディスク16の半径方向(に対応する方向)の3つの領域に分割されている。この3つの領域では、それぞれ、その領域に入射する、光ディスク16からの反射光が受光され、その反射光に対応する信号成分rs0,rs1、及び、rs2が得られる。その結果、記録再生系15では、再生信号として、信号成分rs0,rs1、及び、rs2が、それぞれ出力される。
【0043】
信号成分rs0は、再生対象のトラックTK0からの反射光に主として対応する信号成分である。また、信号成分rs1は、トラックTK0の内周及び外周のうちの一方に隣接するトラックTK1(の少なくとも一部)からの反射光に主として対応する信号成分であり、信号成分rs2は、トラックTK0の内周及び外周のうちの他方に隣接するトラックTK2(の少なくとも一部)からの反射光に主として対応する信号成分である。
【0044】
以上のように、記録再生系15で得られる再生信号には、光ディスク16の半径方向の異なる複数の領域(例えば、トラックTK0,TK1,TK2)それぞれに対応する複数の信号成分としての、例えば、信号成分rs0,rs1、及び、rs2が含まれる。
【0045】
なお、ここでは、記録再生系15の受光素子の受光面を、光ディスク16の半径方向の3つの領域に分割することとしたが、受光素子の受光面の分割方法は、これに限定されるものではない。すなわち、受光素子の受光面は、例えば、光ディスク16の半径方向の4以上の領域に分割することができる。また、受光素子の受光面は、光ディスク16の半径方向とトラック方向とに分割することで、任意の複数の数の領域に分割することができる。記録再生系15では、受光素子の受光面の分割数に等しい数の信号成分を、再生信号として得ることができる。
【0046】
さらに、再生信号として、例えば、信号成分rs0,rs1、及び、rs2等の複数の信号成分を得るにあたっては、受光素子の受光面を分割するのではなく、光ディスク16からの反射光を、複数の受光素子で受光してもよい。
【0047】
また、再生信号としては、上述のように、複数の信号成分を採用するのではなく、受光面を分割していない1個の受光素子で、光ディスク16からの反射光を受光して得られる信号を採用することができる。
【0048】
信号処理部17は、記録再生系15からの再生信号の信号処理を行うことにより、理想的には、チャネル符号化部13が出力するのと同様のチャネル符号のフレームを復元し、チャネル復号部18に供給する。
【0049】
さらに、信号処理部17は、再生信号の信号処理を行うことにより、チャネル符号のフレームの、FS以外の部分のデータであるフレームデータ、すなわち、DCCビットが付加されたrowデータの区間を表すデータゲート信号を生成し、チャネル復号部18に供給する。
【0050】
チャネル復号部18は、信号処理部17からのチャネル符号のフレームから、同じく信号処理部17からのデータゲート信号が表す区間のフレームデータとなっているチャネル符号としての、例えば、PCWA110符号を抽出する。さらに、チャネル復号部18は、フレームから抽出したフレームデータとなっているPCWA110符号の復号(チャネル復号)を行い、その復号により得られるフレームデータ、すなわち、DCCビットが付加されたrowデータを、DCC削除部19に供給する。
【0051】
DCC削除部19は、チャネル復号部18からのフレームデータから、DCCビットを削除し、その結果得られるrowデータを、ECC処理部20に供給する。
【0052】
ECC処理部20は、DCC削除部19からのrowデータを集めて、ECCブロックを構成する。さらに、ECC処理部20は、ECCブロックに、ECC処理を施すことで、ECCブロックに含まれるECC対象データに生じているエラーを訂正し、ECC対象データに含まれるユーザデータを出力する。
【0053】
制御部21は、記録再生装置を構成する各ブロックを制御する。すなわち、制御部21は、レジスタ群21Aを内蔵する。レジスタ群21Aには、例えば、図示せぬ操作部の操作等に応じて、コマンドその他の各種の情報が記憶(設定)される。制御部21は、レジスタ群21Aの記憶値(設定値)に応じて、記録再生装置を構成する各ブロックを制御する。
【0054】
なお、
図1において、記録再生装置は、再生及び記録の両方を行う装置として構成する他、再生のみを行う再生専用装置、又は、記録のみを行う記録専用装置として構成することができる。
【0055】
また、
図1において、記録再生装置は、光ディスク16をあらかじめ内蔵する形に構成することもできるし、光ディスク16を着脱可能な形に構成することもできる。
【0056】
さらに、
図1の記録再生装置を構成するECC処理部11ないしRUB構成部14、及び、信号処理部17ないし制御部21は、1チップで構成することができる。
【0058】
図2は、
図1の記録再生装置が光ディスク16にユーザデータを記録する記録処理の例を説明するフローチャートである。
【0059】
ステップS11において、ECC処理部11は、そこに供給されるユーザデータを用いて、そのユーザデータを含むECC対象データを構成する。さらに、ECC処理部11は、ECC対象データにECC処理を施すことで、ECC対象データにパリティを付加したECCブロックを構成し、DCC付加部12に供給して、処理は、ステップS11からステップS12に進む。
【0060】
ステップS12において、DCC付加部12は、ECC処理部11からのECCブロックをrowデータに分割し、各rowデータに、DCCビットを付加するとともに、FS(Frame Sync)等の必要なデータを付加することでフレームを構成する。
【0061】
DCC付加部12は、フレームを、チャネル符号化部13に供給して、処理は、ステップS12からステップS13に進む。
【0062】
ステップS13では、チャネル符号化部13は、DCC付加部12からのフレームを、PCWA110符号等のチャネル符号に符号化し、RUB構成部14に供給して、処理は、ステップS14に進む。
【0063】
ステップS14では、RUB構成部14は、チャネル符号化部13からのフレームを受信し、1個のECCブロックから得られたフレームを集め、そのフレームの集合に、Run_in及びRun_outを付加する。RUB構成部14は、RUBを、記録再生系15に供給して、処理は、ステップS14からステップS15に進む。
【0064】
ステップS15では、記録再生系15は、RUB構成部14からのRUBに応じて、光ディスク16にレーザ光を照射することで、そのRUBを、光ディスク16に記録する。
【0065】
以下、同様の処理が行われることで、光ディスク16には、RUB単位で、ユーザデータが記録される。すなわち、光ディスク16に対する記録は、RUBを記録単位として行われる。
【0067】
図3は、
図1の記録再生装置が光ディスク16に記録されたユーザデータを再生する再生処理の例を説明するフローチャートである。
【0068】
ステップS21において、記録再生系15は、光ディスク16にレーザ光を照射することで、光ディスク16に記録されたRUBに対応する再生信号を再生し、信号処理部17に供給して、処理は、ステップS22に進む。
【0069】
ステップS22では、信号処理部17は、記録再生系15からの再生信号の信号処理を行う。
【0070】
再生信号の信号処理では、再生信号の等化や、PCWA110符号等のチャネル符号のフレームの復元、データゲート信号の生成等が行われる。
【0071】
再生信号の信号処理で得られるチャネル符号のフレーム、及び、データゲート信号は、信号処理部17からチャネル復号部18に供給され、処理は、ステップS22からステップS23に進む。
【0072】
ステップS23では、チャネル復号部18は、信号処理部17からのチャネル符号のフレームから、信号処理部17からのデータゲート信号が表す区間のフレームデータとなっているチャネル符号としての、例えば、PCWA110符号を抽出する。さらに、チャネル復号部18は、フレームから抽出したフレームデータとなっているチャネル符号のチャネル復号を行う。そして、チャネル復号部18は、チャネル復号により得られるフレームデータ(DCCビットが付加されたrowデータ)を、DCC削除部19に供給して、処理は、ステップS23からステップS24に進む。
【0073】
ステップS24では、DCC削除部19は、チャネル復号部18からのフレームデータから、DCCビットを削除し、その結果得られるrowデータを、ECC処理部20に供給して、処理は、ステップS25に進む。
【0074】
ステップS25では、ECC処理部20は、DCC削除部19からのrowデータを集めて、ECCブロックを構成する。さらに、ECC処理部20は、ECCブロックに、そのECCブロックに含まれるパリティを用いて、ECC処理を施すことにより、ECCブロックのエラーを訂正し、そのECCブロックのECC対象データに含まれるユーザデータを出力する。
【0075】
以下、同様の処理が行われることで、光ディスク16からは、RUB単位で、ユーザデータが再生される。
【0077】
図4は、
図1の信号処理部17の構成例を示すブロック図である。
【0078】
図4において、信号処理部17は、ADC(Analog to Digital Converter)31、PLL(Phase Lock Loop)32、メモリ33、適応等化部34、復元部35、畳み込み部36、誤差演算部37、符号処理部38、HPF(High Pass Filter)41、及び、AGC(Auto Gain Controller)42を有する。
【0079】
ADC31には、記録再生系15から再生信号が供給される。ADC31は、記録再生系15からのアナログの再生信号のAD変換を、PLL32から供給されるチャネルクロックに同期して行い、その結果得られるディジタルの再生信号を出力する。ADC31が出力する再生信号は、HPF41及びAGC42を介して、PLL32及びメモリ33に供給される。
【0080】
PLL32は、ADC31からHPF41及びAGC42を介して供給される再生信号に同期したクロックを、チャネルクロックとして生成し、ADC31、その他、記録再生装置を構成する必要なブロックに供給する。
【0081】
メモリ33は、ADC31からHPF41及びAGC42を介して供給される再生信号としての、例えば、信号成分rs0,rs1,rs2を一時記憶する。
【0082】
ここで、
図1で説明したように、信号成分rs0は、再生対象のトラックTK0からの反射光に主として対応する信号成分である。また、信号成分rs1は、トラックTK0の内周及び外周のうちの一方に隣接するトラックTK1からの反射光に主として対応する信号成分であり、信号成分rs2は、トラックTK0の内周及び外周のうちの他方に隣接するトラックTK2からの反射光に主として対応する信号成分である。
【0083】
適応等化部34は、メモリ33に記憶された再生信号を適応的に等化し、所望のPR(Partial Response)チャネルから得られるPR信号のように、再生信号を等化した等化信号yを、復元部35、及び、誤差演算部37に供給する。
【0084】
ここで、適応等化部34には、誤差演算部37から、等化信号yの誤差eが供給される。適応等化部34での再生信号の等化は、誤差演算部37からの誤差eを小さくするように適応的に行われる。
【0085】
また、適応等化部34では、例えば、メモリ33に記憶された再生信号としての信号成分rs0,rs1,rs2が、独立に等化され、その信号成分rs0,rs1,rs2それぞれの等化結果が加算されることで、等化信号yが求められる。
【0086】
なお、適応等化部34での再生信号の等化では、再生信号としての信号成分rs0,rs1,rs2を、独立に等化するのではなく、信号成分rs0,rs1,rs2を合成(加算した)信号を等化することができる。
【0087】
復元部35は、適応等化部34からの等化信号yの最尤復号等を行うことで、その等化信号yから、チャネル符号であるPCWA110符号(のフレーム)等を復元し、その復元結果を、チャネル復号部18に供給するとともに、畳み込み部36及び符号処理部38に供給する。
【0088】
ここで、復元部35は、等化信号yの最尤復号のうちの、フレームの先頭のFSの最尤復号のみについては、その最尤復号を、FS用に時刻に応じて状態及び状態遷移を制限した時変トレリスに従って行うことにより、FSを復元する。
【0089】
なお、FS以外の部分の最尤復号についても、その部分用に時変トレリスを用意して、その時変トレリスに従って行うことができる。
【0090】
また、復元部35での、FS以外のPCWA110符号の復元は、最尤復号以外の方法、すなわち、例えば、閾値処理による2値化等によって行うことができる。
【0091】
畳み込み部36は、復元部35からの復元結果と、所望のPRチャネルのインパルス応答とを畳み込むことで、適応等化部34の等化結果である等化信号yの目標とする目標信号を生成し、誤差演算部37に供給する。
【0092】
誤差演算部37は、適応等化部34からの等化信号yの、畳み込み部36からの目標信号に対する誤差eを求め、適応等化部34に供給する。
【0093】
ここで、例えば、光ディスク16に記録されるRUBに含まれるRun_inは、既知パターンになっている。このような既知パターンの再生信号を等化した等化信号yの目標信号は、その等化信号yから復元された復元結果と所望のPRチャネルのインパルス応答との畳み込みにより求める他、既知パターンと所望のPRチャネルのインパルス応答との畳み込みにより求めることができる。
【0094】
符号処理部38は、復元部35からの復元結果を処理することで、復元部35での時変トレリスに従った最尤復号に用いる時刻情報を生成し、復元部35に供給する。復元部35において、FSの最尤復号は、符号処理部38からの時刻情報を用いて行われる。
【0095】
また、符号処理部38は、復元部35からの復元結果に応じて、データゲート信号を生成し、チャネル復号部18に供給する。
【0096】
HPF41は、ADC31が出力する再生信号をフィルタリングすることにより、その再生信号のDC(Direct Current)成分をカットし、AGC42に供給する。
【0097】
AGC42は、HPF41からの再生信号のゲインを調整するAGC(Auto Gain Control)の処理を行い、PLL32及びメモリ33に供給する。
【0099】
図5は、
図4の適応等化部34の構成例を示すブロック図である。
【0100】
図5において、適応等化部34は、記録再生系15が出力する再生信号としての信号成分rs0,rs1,rs2と同一の数である3個の適応イコライザ51
0,51
1,51
2、及び、加算部52を有する。
【0101】
適応イコライザ51
iには(
図5では、i=0,1,2)、メモリ33から、信号成分rs#iが供給される。適応イコライザ51
iは、例えば、FIR(Finite Impulse Response)フィルタで構成され、メモリ33からの信号成分rs#iを、FIRフィルタでフィルタリングすることにより、等化する。適応イコライザ51
iは、信号成分rs#iを等化結果である等化成分y#iを、加算部52に供給する。
【0102】
なお、適応イコライザ51
iには、誤差演算部37から、等化信号yの、目標信号に対する誤差eが供給される。適応イコライザ51
iは、誤差演算部37からの誤差eに応じて、等化を行うFIRフィルタのタップ係数を、例えば、-e×a(aは、所定の係数)だけ調整することで、信号成分rs#iの等化を適応的に行う。
【0103】
すなわち、FIRフィルタのタップ係数が、-e×aだけ調整されることにより、その調整後のタップ係数は、等化信号yの、目標信号に対する自乗誤差を小さくするように設定される。
【0104】
したがって、適応イコライザ51
iでは、信号成分rs#iの等化が、等化信号yと目標信号との誤差eを小さくするタップ係数を用いて行われる。
【0105】
以上のように構成される適応等化部34では、以下のように、XTC(クロストークキャンセル)が行われる。
【0106】
すなわち、適応イコライザ51
iにおいて、FIRフィルタのタップ係数が、誤差演算部37からの誤差eに応じて設定される。さらに、適応イコライザ51
iにおいて、信号成分rs#iが、FIRフィルタでフィルタリングされることにより、独立に等化される。
【0107】
そして、加算部52において、適応イコライザ51
0はいし51
2で得られた、信号成分rs#0ないしrs#2の等化結果である等化成分y#0ないしy#2が加算されることで、光ディスク16からの再生信号から、クロストーク成分が除去され、所望のPRチャネルを経由したかのような等化信号yが得られる。
【0108】
ここで、適応イコライザ51
iにおいて、上述のように、等化信号yの誤差eが小さくなるように、FIRフィルタのタップ係数が調整される処理を、XTCの学習ともいう。XTCの学習では、上述したように、タップ係数は、等化信号yの、目標信号に対する自乗誤差を小さくするように調整されるので、XTCの学習は、LMS(Least Mean Square)学習である。
【0110】
図6は、
図4の符号処理部38の構成例を示すブロック図である。
【0111】
図6において、符号処理部38は、sync検出部61、時刻情報生成部62、クロックずれ検出部63、及び、データゲート信号生成部64を有する。
【0112】
sync検出部61には、復元部35から復元結果としてのPCWA110符号等が供給される。
【0113】
sync検出部61は、復元部35からの復元結果から、同期をとるための同期パターンsyn0等の所定のパターンを検出し、その検出結果に応じて、適応等化部34から復元部35に供給される等化信号yに含まれるフレームの先頭のFSの区間を表すFSゲート信号を生成する。そして、sync検出部61は、FSゲート信号を、時刻情報生成部62に供給する。
【0114】
時刻情報生成部62は、sync検出部61からのFSゲート信号からFSの位置(タイミング、区間)を認識する。さらに、時刻情報生成部62は、FSの位置を基準とする時刻を、PLL32で生成されるチャネルクロックに同期してカウントし、時刻情報として、復元部35に供給する。
【0115】
クロックずれ検出部63には、復元部35から復元結果が供給される。
【0116】
クロックずれ検出部63は、復元部35から復元結果のうちのFS(の復元結果)に応じて、チャネルクロックのクロックずれ(に起因する(光ディスク16から再生されたデータの位置ずれ)を検出する。さらに、クロックずれ検出部63は、クロックずれの検出結果を表すずれ検出情報を、データゲート信号生成部64に供給する。
【0117】
データゲート信号生成部64は、クロックずれ検出部63からのずれ検出情報に応じて、フレームの先頭のFSに続くフレームデータの区間を表すデータゲート信号を生成し、チャネル復号部18に供給する。
【0119】
図7は、
図1のECC処理部11で構成されるECCブロックの例を説明する図である。
【0120】
ECC処理部11は、例えば、256kB(kilo Byte)のユーザデータに、EDC(Error Detection Code)を含めてスクランブルし、そのスクランブル結果にアドレスを付加することで、262,740B(Byte)のデータを、ECC対象データとして構成する。
【0121】
ここで、例えば、1シンボルを10ビットとすると、ECC処理部11は、横×縦が232×906シンボルのECC対象データを構成する。1シンボルが10ビットである場合、232×906シンボルのECC対象データは、上述のように、262,740B=232シンボル×10ビット×906行/8ビットのデータである。
【0122】
ECC処理部11は、例えば、232×906シンボルのECC対象データの各行に、4シンボルのパリティ(PI(Parity Inner))を付加するとともに、各列に、76シンボルのパリティ(PO(Parity Outer))を付加することで、236×982シンボルのECCブロックを構成する。ECC処理部11で構成されるECCブロックは、10bitシンボル(2^10のガロア体)の積符号である。
【0123】
ECCブロックの1行のシンボル系列は、2,360dbit(data bit)=236シンボル×10ビットのデータであり、この1行の2,360dbitのデータを、rowデータということとすると、ECCブロックは、rowデータに分割されて、光ディスク16に記録される。
【0125】
図8は、
図1のDCC付加部12で構成されるフレームの例を説明する図である。
【0126】
DCC付加部12は、ECCブロックを、1行の2,360dbitのデータであるrowデータに分割する。
【0127】
さらに、DCC付加部12は、ECCブロックから分割した各rowデータを、40個の、59dbitのデータdata1ないしdata40に分割する。そして、DCC付加部12は、各データdata#i(
図8では、i=1,2,・・・,40)の先頭に、1ビットのDCCビットdcc#iを付加し、これにより、2,360dbitのrowデータから、2,400dbitのフレームデータを構成する。
【0128】
2,400dbitのフレームデータは、40セットのデータdata#i及びDCCビットdcc#iのセットから構成される。
【0129】
DCC付加部12は、フレームデータの先頭に、FSを付加し、これにより、先頭にFSが配置され、そのFSに続いてフレームデータが配置されたフレームframe#iを構成する。
【0130】
1個のECCブロックは、982個(行)のrowデータで構成されるため、1個のECCブロックからは、982個のフレームframe1ないしframe982が構成される。
【0131】
FSは、26dbitのパターンであり、したがって、1個のフレームframe#iは、26dbitのFSと、2,400dbitのフレームデータとからなる2,426dbitのデータとなる。
【0132】
但し、1個のECCブロックから得られる982個のフレームframe1ないしframe982のうちの、最初の1フレームframe1のFSとしては、26dbitのFSのうちの先頭の6dbitがない20dbitのFSが採用される。
【0133】
そのため、1個のECCブロックから得られる982個のフレームframe1ないしframe982のうちの、最初の1フレームframe1だけは、2,420dbitのデータとなる。
【0134】
DCC付加部12は、1個のECCブロックから得られる982個のフレームframe1ないしframe982のうちの、最後のフレームframe982の最後に、FSを構成する、後述する6dbitのデータのEC(End Code)を付加する。
【0135】
これにより、DCC付加部12は、982個のフレームframe1ないしframe982、及び、ECでなるフレームクラスタを構成し、チャネル符号化部13(
図1)に供給する。
【0137】
図9は、
図1のRUB構成部14で構成されるRUBの例を説明する図である。
【0138】
チャネル符号化部13は、DCC付加部12から供給されるフレームクラスタを、例えば、PCWA110符号等にチャネル符号化する。PCWA110符号は、
図1で説明したように、符号化率が2/3の符号であるため、チャネル符号化後のフレームクラスタのサイズ(ビット数)は、チャネル符号化前の3/2倍のサイズになる。
【0139】
すなわち、フレームクラスタを構成する先頭のフレームframe1以外のフレームframe2ないしframe982それぞれのサイズは、2,426dbitの3/2倍の3,639cbit(channel bit)となる。なお、フレームframe2ないしframe982それぞれの先頭のFSのサイズは、26dbitの3/2倍の39T(39cbit)となる。
【0140】
フレームクラスタを構成する先頭のフレームframe1のサイズは、2,420dbitの3/2倍の3,630cbitとなる。なお、フレームframe1の先頭のFSのサイズは、20dbitの3/2倍の30T(30cbit)となる。
【0141】
フレームクラスタを構成するECのサイズは、6dbitの3/2倍の9T(9cbit)となる。
【0142】
ここで、フレームクラスタを構成する先頭のフレームframe1のサイズは、他のフレームのサイズ3,639cbitよりも、9dbitのECの分だけ小さい3,630cbitであるが、フレームクラスタの最後には、9dbitのECが配置されるため、結局、982個のフレームframe1ないしframe982、及び、ECで構成されるフレームクラスタのサイズは、3,639cbitのフレームの982個分のサイズである3,573,498 cbit(=3,639cbit×982個)になる。
【0143】
チャネル符号化部13でPCWA110符号に符号化されたフレームクラスタは、RUB構成部14に供給される。
【0144】
RUB構成部14は、チャネル符号化部13からのフレームクラスタの先頭と最後とに、RUBの先頭を表すRun_inとRUBの最後を表すRun_outとをそれぞれ付加することで、RUBを構成する。
【0145】
図9では、Run_inのサイズは、例えば、6,828Tになっており、Run_outのサイズは、例えば、450Tになっている。ここで、Run_in及びRun_outの合計のサイズ6,828T+450Tは、3,639cbitのフレームの2個分のサイズ3,639cbit×2に等しい。
【0146】
なお、Run_inの最後は、9T(のサイズ)のECになっている。
【0147】
また、フレームframe2ないしframe982それぞれの先頭の39TのFSの先頭は、後述するように、9TのECになっている。
【0148】
RUBは、フレームクラスタの先頭に、Run_inを付加することで構成されるため、RUBでは、Run_inに続いて、フレームクラスタの先頭のフレームframe1が配置される。
【0149】
フレームframe1の30TのFSには、他のフレーム(frame2ないしframe982)の39TのFSの先頭にある9TのECが存在しないが、Run_inの最後には、ECが配置されているため、そのRun_inの最後のECを考慮すれば、フレームframe1の先頭には、他のフレームと同様に、39TのFSが配置されることになる。
【0151】
図10は、PCWA110符号の概要を説明する図である。
【0152】
すなわち、
図10は、PCWA110符号への符号化(PCWA110符号化)に用いられる符号テーブル及び置換テーブルを示す図である。
【0153】
PCWA110符号化では、5個の符号化状態S1,S2,S3,S4,S5が存在し、符号化の対象の情報ビットの他、現在の符号化状態に応じて、PCWA110符号が決定される。
【0154】
PCWA110符号の決定は、符号テーブルに従って行われる。
【0155】
図10の符号テーブルにおいて、一番左の列は、PCWA110符号化の対象の2ビットの情報ビット00,01,10,11を表している。2ビットの情報ビットに続くかっこ内の数字は、2ビットの情報ビットの10進数表記である。
【0156】
図10の符号テーブルにおいて、一番上の行は、現在の符号化状態(として取り得る状態)S1,S2,S3,S4,S5を表している。
【0157】
ここで、符号テーブルにおいて、左からC列目で、上からR行目の欄を、欄(C,R)ともいう。
【0158】
また、PCWA110符号については、特に断らない限り、NRZI表現で表す。
【0159】
例えば、現在の符号化状態がS1である場合において、情報ビット00をPCWA110符号化する場合には、符号化テーブルの、符号化状態が現在の状態S1の列(2列目)で、情報ビットが00の行(2行目)の欄(2,2)に従い、情報ビット00は、欄(2,2)に記載されているPCWA110符号000に符号化される。
【0160】
さらに、符号化状態が、現在の状態S1から、欄(2,2)に記載されている状態S3に遷移する。
【0161】
次のPCWA110符号化の対象の情報ビットが、例えば、前回と同様の00である場合、符号化テーブルの、符号化状態が現在の状態S3の列(4列目)で、情報ビットが00の行(2行目)の欄(4,2)に従い、情報ビット00は、欄(4,2)に記載されているPCWA110符号010に符号化される。
【0162】
さらに、符号化状態が、現在の状態S3から、欄(4,2)に記載されている状態S3に遷移する。
【0163】
以下同様に、PCWA110符号化は、現在の符号化状態に応じ、符号テーブルに従って行われる。
【0164】
但し、PCWA110符号化では、特定の条件が満たされる場合、符号テーブルに従って決定されたPCWA110符号の符号系列を置換する符号系列置換が行われる。
【0165】
符号系列置換は、置換テーブルに従って行われる。
【0166】
図10の置換テーブルにおいて、出発状態は、ある6ビットの情報ビット(の系列)のPCWA110符号化を開始するときの状態を表し、到着状態は、その6ビットの情報ビットのPCWA110符号化後に到達する状態を表す。
【0167】
出発状態が(符号化)状態S1である場合、符号テーブルによれば、6ビットの情報ビット10 10 10,10 10 11,10 10 00,10 10 01については、いずれも、PCWA110符号000 000 000に符号化される。また、6ビットの情報ビット10 10 10,10 10 11,10 10 00,10 10 01のPCWA110符号化後の到着状態は、それぞれ、状態S1,S2,S3,S4になる。
【0168】
この場合、置換テーブルに従い、6ビットの情報ビット10 10 10,10 10 11,10 10 00,10 10 01それぞれのPCWA110符号000 000 000は、いずれも、置換符号系列000 101 010に置換される。
【0169】
また、出発状態が状態S5である場合、符号テーブルによれば、6ビットの情報ビット00 10 10,00 10 11,00 10 00,00 10 01については、いずれも、PCWA110符号100 000 000に符号化される。また、6ビットの情報ビット00 10 10,00 10 11,00 10 00,00 10 01のPCWA110符号化後の到着状態は、それぞれ、状態S1,S2,S3,S4になる。
【0170】
この場合、置換テーブルに従い、6ビットの情報ビット00 10 10,00 10 11,00 10 00,00 10 01それぞれのPCWA110符号100 000 000は、いずれも、置換符号系列100 101 010に置換される。
【0172】
図11は、
図9の39TのFSの構成例を示す図である。
【0173】
39TのFS(フレームframe2ないしframe982の、PCWA符号化等後のFS)は、9TのEC、2個の12TのデータからなるFSエンティティ、及び、6TのBC(Begin Code)が、その順で配置されて構成される。
【0174】
なお、フレームframe1の30TのFS(
図9)は、39TのFSの先頭の9TのECがない構成になっている。
【0175】
図11において、EC(End Code)テーブルは、ECとなるパターンを示しており、BC(Begin Code)テーブルは、BCとなるパターンを示している。EC及びBCは、チャネル符号としてのPCWA110符号((d,k)RLL符号の一種)の符号規則を満たすランを有するパターンになっている。
【0176】
すなわち、ECは、PCWA110符号化の符号化状態を、取り得る状態S1ないしS5(
図10)のそれぞれから、特定の1状態に終端させる9Tのパターンになっている。
【0177】
図11では、特定の1状態として、状態S3が採用されている。なお、特定の1状態は、状態S3に限定されるものではない。
【0178】
ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が状態S1になった場合、ECテーブルのec1に示すように、9TのEC(PCWA110符号化後のEC(Code))としては、000 010 000が採用される。
【0179】
符号化状態が状態S1から出発する場合、PCWA110符号化後のECである000 010 000は、6ビットの情報ビット(Data)00 10 00のPCWA110符号化によって得られる。このPCWA110符号化では、符号化状態(State)は、状態S1から、状態S3,S1,S3の順に遷移し、状態S3で終端する(終わる)。
【0180】
ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が状態S2になった場合、ECテーブルのec2に示すように、9TのEC(Code)としては、001 010 000が採用される。
【0181】
符号化状態が状態S2から出発する場合、PCWA110符号化後のECである001 010 000は、6ビットの情報ビット(Data)10 10 00のPCWA110符号化によって得られる。このPCWA110符号化では、符号化状態(State)は、状態S2から、状態S3,S1,S3の順に遷移し、状態S3で終端する。
【0182】
ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が状態S3になった場合、ECテーブルのec3に示すように、9TのEC(Code)としては、010 010 000が採用される。
【0183】
符号化状態が状態S3から出発する場合、PCWA110符号化後のECである010 010 000は、6ビットの情報ビット(Data)00 10 00のPCWA110符号化によって得られる。このPCWA110符号化では、符号化状態(State)は、状態S3から、状態S3,S1,S3の順に遷移し、状態S3で終端する。
【0184】
ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が状態S4になった場合、ECテーブルのec4に示すように、9TのEC(Code)としては、100 010 000が採用される。
【0185】
符号化状態が状態S4から出発する場合、PCWA110符号化後のECである100 010 000は、6ビットの情報ビット(Data)00 10 00のPCWA110符号化によって得られる。このPCWA110符号化では、符号化状態(State)は、状態S4から、状態S3,S1,S3の順に遷移し、状態S3で終端する。
【0186】
ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が状態S5になった場合、ECテーブルのec5に示すように、9TのEC(Code)としては、100 001 000が採用される。
【0187】
符号化状態が状態S5から出発する場合、PCWA110符号化後のECである100 001 000は、6ビットの情報ビット(Data)01 00 00のPCWA110符号化によって得られる。このPCWA110符号化では、符号化状態(State)は、状態S5から、状態S2,S1,S3の順に遷移し、状態S3で終端する。
【0188】
なお、ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が状態S1になった場合、ECテーブルのec1に示す6ビットの情報ビット(Data)00 10 00の最初の2ビットの情報ビット00のPCWA110符号化によって、符号化状態は、符号化テーブル(
図10)に従って、状態S1から状態S3に遷移する。
【0189】
この場合、ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が、状態S1,S3,S1の順で遷移しているとき、その後、ECの最初の2ビットの情報ビット00のPCWA110符号化後に、符号化状態は、状態S3に遷移する。
【0190】
以上のような符号化状態の遷移が生じる場合、出発状態が状態S1であり、到着状態が状態S3であるから、そのような出発状態S1から到着状態S3に至る遷移(状態S1,S3,S1,S3の順の遷移)が生じるPCWA110符号化において、PCWA110符号000 000 000が得られることがある。
【0191】
この場合、
図10の置換テーブル(の上から4行目)に示したように、PCWA110符号000 000 000は、置換符号系列000 101 010に置換される。
【0192】
かかる置換符号系列000 101 010への置換によれば、ECの最初の2ビットの情報ビット00のPCWA110符号化で得られるPCWA110符号000(ECテーブルのec1に示す最初のPCWA110符号000)は、置換符号系列000 101 010の最後の3ビット010に置換される。
【0193】
したがって、ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が状態S1になった場合には、置換符号系列000 101 010への置換が行われないケースでは、上述のように、9TのEC(Code)は、000 010 000となるが、置換符号系列000 101 010への置換が行われるケースでは、9TのEC(Code)は、000 010 000の最初の3ビット000が、置換符号系列000 101 010の最後の3ビット010に置換された010 010 000となる。
【0194】
したがって、ECの直前のデータのPCWA110符号化において、符号化状態が状態S1になった場合には、ECは、000 010 000になるときと、010 010 000になるときとがある。
【0195】
以上のようなECは、最後のランがNRZI表現で4又は3(NRZ表現では、5T又は4T)のパターンになる。
【0196】
すなわち、ECテーブルにおいて、ec1ないしec4に示すECは、最後のランが4(NRZ表現では、5T)のパターンになり、ec5に示すECは、最後のランが3(NRZ表現では、4T)のパターンになる。
【0197】
BCは、PCWA110符号化の符号化状態を、取り得る状態S1ないしS5(
図10)のうちの所定の1状態から開始させる6Tのパターンになっている。
【0198】
図11では、所定の1状態として、状態S5が採用されている。なお、所定の1状態は、状態S5に限定されるものではない。
【0199】
そして、6TのBC(PCWA110符号化後のBC(Code))としては、100 001が採用される。
【0200】
BCとしてのPCWA110符号100 001は、最初のランが4(NRZ表現では、5T)のパターンである。
【0201】
符号化状態が状態S5から出発する場合、PCWA110符号化後のBCである100 001は、4ビットの情報ビット(Data)01 01のPCWA110符号化によって得られる。このPCWA110符号化では、符号化状態(State)は、状態S5から、状態S2,S2の順に遷移する。
【0202】
なお、以上のようなBCによれば、BCの直後のデータのPCWA110符号化が行われる際に、符号化状態が状態S2になっているため、符号化テーブル(
図10)によれば、BCの直後のデータは、PCWA110符号001又は000に符号化される。
【0203】
したがって、BCの後には、ランが、少なくとも2又は3(NRZ表現では、3T又は4T)のパターンが続く。
【0204】
図9に示したように、フレームの先頭には、FSが配置され、最後のフレームframe982の後には、ECが配置される。したがって、フレームのFSに続くフレームデータの直前には、FSの最後のBCが存在し、フレームデータの直後には、次のフレームのFSの最初のEC、又は、最後のフレームframe982の後に配置されたECが存在する。
【0205】
したがって、フレームデータは、BCとECとで挟まれており、RUBは、BC、フレームデータ、ECが、その順で並んだデータ構造を有する。BC、フレームデータ、ECの順で並んだデータ構造では、符号化状態が、状態S5から開始し、状態S3に終端する。
【0206】
以上のように、固定の状態(例えば、状態S5)から開始し、固定の状態(例えば、状態S3)に終端するデータ構造を構成するフレームデータでは、PCWA110符号化前のフレームデータのエッジの数、すなわち、NRZI表現での1の数の奇遇性と、PCWA110符号化後のフレームデータのエッジの数の奇遇性との関係が一定になる。
【0207】
すなわち、PCWA110符号化前のフレームデータのエッジの数が奇数である場合、PCWA110符号化後のフレームデータのエッジの数は偶数になる。また、PCWA110符号化前のフレームデータのエッジの数が偶数である場合、PCWA110符号化後のフレームデータのエッジの数は奇数になる。
【0208】
したがって、PCWA110符号化前のフレームデータ(rowデータ)へのDCCビットの付加により、DC制御を行うことができる。
【0209】
FSエンティティは、PCWA110符号の最大ランk=10(NRZ表現では、11T)よりも大のランが繰り返されるパターンであり、
図11では、例えば、PCWA110符号の最大ランk=11Tよりも1Tだけ長い12Tのランのパターンを2回繰り返すパターンが、FSエンティティとして採用されている。
【0210】
なお、FSエンティティとしては、その他、例えば、12Tのランのパターンが3回以上繰り返されるパターンや、12Tより大のランのパターンが2回以上繰り返されるパターンを採用することができる。
【0211】
FSは、12Tのランを有するFSエンティティを、12Tの半分程度の4T又は5Tのランを有するECと、5Tのランを有するBCとで挟んだデータ構造を有する。かかるデータ構造によれば、FSエンティティの前のECやそのECの前のデータ、及び、FSエンティティの後のBCやそのBCの後のデータからのISI(Intersymbol Interference)の影響によるFSエンティティの再生信号の波形の乱れを抑制し、FSエンティティ、ひいては、FSの検出性能を向上させることができる。
【0213】
図12は、
図9の6,828TのRun_inの構成例を示す図である。
【0214】
ここで、データの高密度記録が可能な光ディスクとして、AD(Archival Disc)1が提案されている。
【0215】
AD1では、隣接する2つのトラックであるランドとグルーブとに、隣り合う形で同一パターンのRun_inが記録されると、隣接するランド及びグルーブに記録された同一パターンのRun_inの極性によって、Run_inの再生信号が減衰するか、又は、強調される。そこで、AD1では、Run_inの再生信号の減衰や強調を防止するため、隣接するランド及びグルーブには、異なるパターンのRun_inが記録される。
【0216】
但し、AD1では、隣接するランド及びグルーブにそれぞれ記録されるRun_inは、相互相関がゼロになるパターンではなく、かつ、サイズが60cbitの短いパターンであるため、そのようなRun_inでは、XTCの学習を十分に行うことが難しいことがある。
【0217】
また、かかるAD1では、データをより高密度に記録し、そのように、高密度に記録されたデータを再生する場合に、同期パターンをロバストに検出することが難しくなる。
【0218】
さらに、AD1では、XTCの学習、ゲインリカバリ、及び、タイミングリカバリは、Run_inの再生信号や、ユーザデータの再生信号を用いて行われる。
【0219】
図1の記録再生装置でも、AD1の場合と同様に、XTCの学習、ゲインリカバリ(AGC42(
図4)でのゲインの調整)、タイミングリカバリ(PLL32(
図4)でのチャネルクロックの調整)は、Run_inの再生信号や、フレームの再生信号を用いて行うことができる。
【0220】
XTCの学習、ゲインリカバリ、及び、タイミングリカバリ等を、Run_inやフレームの再生信号を用いて行う場合には、Run_inの再生信号は、フレームの再生信号と同様の特性の信号であることが望ましい。Run_inの再生信号の特性と、フレームの再生信号の特性とが、大きく異なる場合には、Run_inの再生信号を用いて行われるXTCの学習等と、フレームの再生信号を用いて行われるXTCの学習等とで、大きく異なる傾向の処理が行われ、例えば、XTCを行うFIRフィルタのタップ係数として、Run_inの再生信号を用いて行われるXTCの学習と、フレームの再生信号を用いて行われるXTCの学習とで、大きく異なるタップ係数が求められ、Run_inの再生信号を用いて行われたXTCの学習により求められたタップ係数では、フレームデータの再生が開始された直後のXTCを適切に行うことが困難になることがあるからである。
【0221】
ここで、フレームの、特に、フレームデータは、比較的ランダムなユーザデータから構成されるため、隣接する2つのトラックのフレームデータどうしの相互相関は、ゼロ、又は、ゼロに近い小さい値になる傾向がある。
【0222】
したがって、隣接する2つのトラックのRun_inとしては、隣接する2つのトラックのフレームデータと同様に、相互相関がゼロになるパターン、又は、ゼロに近いパターンを採用することが望ましい。
【0223】
そこで、光ディスク16のRun_inは、同期パターンが、隣接する2つのトラックで、一定のずれ量だけトラック方向にずれて記録されているように構成されている。
【0224】
すなわち、
図12は、光ディスク16の隣接する2つのトラックに記録されるRun_inの例を示している。
【0225】
図12では、ランドLに記録されるRun_in(以下、ランドRun_inともいう)と、そのランドLの内周側及び外周側のうちの一方のグルーブGに記録されるRun_in(以下、グルーブRun_inともいう)とを示している。
【0226】
光ディスク16において、ランドLと、そのランドLの内周側及び外周側のうちの少なくとも一方のグルーブGとは、ペアになっている。ペアのランドL及びグルーブGには、トラック方向の同一位置に並ぶ形で、Run_in(ひいてはRUB)が記録される。
図12は、ペアのランドL及びグルーブGのRun_inを示している。
【0227】
Run_inは、
図9で説明したように、6,828Tのパターンであり、その先頭から、5,880Tのプリアンブルと、948Tのsyncエリア(シンクエリア)とが配置されて構成される。
【0228】
ここで、
図12において、ランドRun_inのプリアンブル及びsyncエリアを、それぞれ、Aパターンプリアンブル及びAパターンsyncエリアともいう。また、グルーブRun_inのプリアンブル及びsyncエリアを、それぞれ、Bパターンプリアンブル及びBパターンsyncエリアともいう。なお、ランドRun_in及びグルーブRun_inの構成は、逆でもよい。すなわち、ランドRun_inを、Bパターンプリアンブル及びBパターンsyncエリアで構成し、グルーブRun_inを、Aパターンプリアンブル及びAパターンsyncエリアで構成することができる。
【0229】
Run_inは、同期パターンsyn0を有する。同期パターンsyn0は、6T/12T×4/6Tの60Tのパターンになっている。
【0230】
ここで、以下では、適宜、パターンを、「6T/12T×4/6T」等のような表記で表す。「6T/12T×4/6T」は、6Tのランが配置され、その後に、12Tのランが4個配置され、その後に、6Tのランが配置されたパターンを表す。
【0231】
Run_inにおいて、プリアンブルは、60T(のサイズ)の同期パターンsyn0と、360Tの所定のパターンとしてのAパターン又はBパターンとが交互に配置されて構成される。
【0232】
すなわち、ランドRun_inのAパターンプリアンブルは、同期パターンsyn0とAパターンとが交互に配置されて構成される。グルーブRun_inのBパターンプリアンブルは、同期パターンsyn0とBパターンとが交互に配置されて構成される。
【0233】
また、Aパターンプリアンブルと、Bパターンプリアンブルとでは、同期パターンsyn0が、同期パターンsyn0の長さ(サイズ)である60Tだけずれて配置されている。
【0234】
すなわち、Aパターンプリアンブルは、例えば、その先頭から、60Tの同期パターンsyn0と、360TのAパターンとのセットが、14セットだけ配置されて構成される。したがって、Aパターンプリアンブルは、5,880T=(60T+360T)×14のパターンである。
【0235】
Bパターンプリアンブルでは、例えば、その先頭から同期パターンsyn0の長さである60Tだけずれた位置から、60Tの同期パターンsyn0と、360TのBパターンとのセットが、13セットだけ配置されている。
【0236】
さらに、Bパターンの最後の、同期パターンsyn0と同一の長さである60Tのパターンを、B1パターンというとともに、Bパターンの先頭側の、B1パターンを除く部分のパターンを、B0パターンということとすると、Bパターンプリアンブルでは、その先頭に、B1パターンが配置されている。
【0237】
そして、Bパターンプリアンブルでは、13セットの同期パターンsyn0及びBパターンのセットの後に、同期パターンsyn0とB0パターンとが配置されている。
【0238】
すなわち、Bパターンプリアンブルは、14セットの同期パターンsyn0及びBパターンのセットの並びを、同期パターンsyn0の長さである60Tだけ、右方向にローテンションしたデータ構造になっている。
【0239】
したがって、Bパターンプリアンブルは、Aパターンプリアンブルと同様に、5,880T=(60T+360T)×14のパターンである。
【0240】
以上のように、Bパターンプリアンブルでは、同期パターンsyn0が、Aパターンプリアンブルの同期パターンsyn0の位置から、同期パターンsyn0の長さである60Tだけずれた位置に配置される。
【0241】
そのため、Bパターンプリアンブルに配置されるBパターンも、同期パターンsyn0と同様に、Aパターンプリアンブルに配置されるAパターンの位置から、同期パターンsyn0の長さである60Tだけずれた位置に配置される。
【0242】
Aパターン及びBパターンは、例えば、90 cbit周期でDC制御が行われた、360 cbit(360T)のチャネル符号としての、例えば、PCWA110符号である。
【0243】
さらに、Aパターン及びBパターンは、エッジの数(NRZI表現での1の数)が奇数で、終端DSV(Digital Sum Value)がゼロのパターンになっている。
【0244】
ここで、パターンの終端DSVとは、NRZ表現のパターンを構成するビットのうちの1を+1とするとともに、0を-1として求められる、パターンを構成するすべてのビットの総和である。
【0245】
Bパターンは、同期パターンsyn0及びAパターンの420Tの区間において、その同期パターンsyn0及びAパターンと対応するBパターンプリアンブルの区間との相互相関がゼロになるパターンになっている。この場合、AパターンプリアンブルとBパターンプリアンブルとの相互相関は、任意の位置の420Tの区間でゼロになる。
【0246】
以上のように、AパターンプリアンブルとBパターンプリアンブルとの相互相関が、同期パターンsyn0及びAパターンの420Tの区間でゼロになる場合、プリアンブルの再生信号に生じるDC成分や、オフセット、ゲイン等の傾向は、隣接するトラックでの相互相関がゼロ、又は、ゼロに近い小さい値になる傾向になるフレームデータの再生信号に生じるDC成分等の傾向と同様になる。
【0247】
すなわち、プリアンブルの再生信号は、フレームデータの再生信号と同様の特性の信号になる。
【0248】
Run_inにおいて、syncエリアは、60Tの同期パターンsyn0と、その同期パターンsyn0との相互相関がゼロの、60Tの相関ゼロパターンNC0とが交互に配置されて構成される。
【0249】
すなわち、ランドRun_inのAパターンsyncエリアは、同期パターンsyn0と相関ゼロパターンNC0とが交互に配置されて構成される。グルーブRun_inのBパターンsyncエリアは、同期パターンsyn0と相関ゼロパターンNC0とが交互に配置されて構成される。
【0250】
また、Aパターンsyncエリアと、Bパターンsyncエリアとでは、同期パターンsyn0が、同期パターンsyn0の長さである60Tだけずれて配置されている。
【0251】
すなわち、Aパターンsyncエリアでは、例えば、その先頭から、60Tの相関ゼロパターンNC0と、60Tの同期パターンsyn0とのセットが、7セットだけ配置される。そして、Aパターンsyncエリアの最後には、60Tの相関ゼロパターンNC0と、48Tの第1のパターンNC1が配置される。したがって、Aパターンsyncエリアは、948T=(60T+60T)×7+60T+48Tのパターンである。
【0252】
Bパターンsyncエリアでは、例えば、その先頭から同期パターンsyn0や相関ゼロパターンNC0の長さである60Tだけずれた位置から、60Tの相関ゼロパターンNC0と、60Tの同期パターンsyn0とのセットが、7セットだけ配置される。
【0253】
さらに、Bパターンsyncエリアでは、その先頭に、60TのB1パターンが配置され、その最後に、48Tの第2のパターンNC2が配置される。
【0254】
したがって、Bパターンsyncエリアは、Aパターンsyncエリアと同様に、948T=60T+(60T+60T)×7+48Tのパターンである。
【0255】
第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2は、相互相関がゼロの、48 cbit(48T)のPCWA110符号であり、終端DSVがゼロのパターンになっている。
【0256】
さらに、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の最後は、ECになっている。したがって、Run_inは、ECで終端している。
【0257】
なお、上述のように、Bパターンsyncエリアの先頭には、B1パターンが配置される。Bパターンsyncエリアの前にあるBパターンプリアンブルの最後には、上述したように、同期パターンsyn0とB0パターンとが配置されるため、Bパターンプリアンブルの最後の同期パターンsyn0から見ると、その同期パターンsyn0の後には、B0パターン及びB1パターン、すなわち、Bパターンが配置されていることになる。
【0258】
以上のように、Aパターンsyncエリア及びBパターンsyncエリアでは、Aパターンプリアンブル及びBパターンプリアンブルと同様に、同期パターンsyn0が、同期パターンsyn0の長さである60Tだけずれた位置に配置される。
【0259】
その結果、Aパターンsyncエリア及びBパターンsyncエリアのうちの一方のsyncエリアの同期パターンsyn0は、他方のsyncエリアの、同期パターンsyn0との相互相関がゼロの相関ゼロパターンNC0に隣接する。
【0260】
したがって、syncエリアの再生信号は、プリアンブルの再生信号と同様に、フレームデータの再生信号と同様の特性の信号になる。
【0261】
以上から、Run_in全体の再生信号は、フレームデータの再生信号と同様の特性の信号になる。
【0262】
その結果、Run_inの再生信号を用いて行われるXTCの学習等と、フレームデータの再生信号を用いて行われるXTCの学習等とで、同じ傾向の処理が行われることになり、大きく異なるタップ係数が求められることを防止することができる。これにより、例えば、Run_inの再生信号を用いて行われたXTCの学習により求められたタップ係数で、フレームデータの再生が開始された直後のXTC等を適切に行うことができる。HPF41(
図4)でのDC成分のカット(再生信号のオフセット)やAGC42(
図4)での再生信号のゲインの学習及び調整等についても同様である。
【0263】
なお、ペアのランドL及びグルーブGの同期パターンsyn0のずれ量は、同期パターンsyn0の長さに限定されるものではなく、同期パターンsyn0の長さより短い長さであっても良いし、同期パターンsyn0よりも長い長さであっても良い。
【0264】
また、ペアのランドL及びグルーブGの同期パターンsyn0は、一部が重複(隣接)する形でずれていても良い。但し、AパターンプリアンブルとBパターンプリアンブルとの相互相関を、ペアのランドL及びグルーブGに記録されたフレームデータどうしの相互相関と同様に小さくする観点からは、ペアのランドL及びグルーブGの同期パターンsyn0は、重複しない形でずれていることが望ましい。
【0265】
ここで、光ディスク16の内周側からn番目のトラックをトラックTK(n)ということとする。同期パターンが、隣接する(ペアの)2つのトラックで、一定のずれ量だけトラック方向にずれている場合としては、光ディスク16の任意の1つのトラックTK(n)と、そのトラックTK(n)に隣接する内周側のトラックTK(n-1)、及び、外周側のトラックTK(n+1)のそれぞれとで、同期パターンが一定のずれ量だけずれている場合、光ディスク16の奇数番目のトラックTK(2n'-1)と、そのトラックTK(2n'-1)の外周側の偶数番目のトラックTK(2n')とで、同期パターンが一定のずれ量だけずれている場合がある。奇数番目のトラックTK(2n'-1)と、偶数番目のトラックTK(2n')とで、同期パターンが一定のずれ量だけずれている場合、偶数番目のトラックTK(2n')と、そのトラックTK(2n')の外周側の奇数番目のトラックTK(2n'+1)とで、同期パターンが一定のずれ量だけずれているかどうかは、問わない。
【0266】
<同期パターンsyn0及び相関ゼロパターンNC0>
【0267】
図13は、同期パターンsyn0及び相関ゼロパターンNC0の例を説明する図である。
【0268】
図13のAは、同期パターンsyn0の(再生信号の)例を示している。
【0269】
同期パターンsyn0は、
図12で説明したように、6T/12T×4/6Tの60Tのパターンになっている。
【0270】
すなわち、同期パターンsyn0は、12T×4のパターンのシンクエンティティの前後それぞれを、6Tの付加パターンで挟んだ60Tのパターンになっている。
【0271】
図12で説明したように、同期パターンsyn0は、隣接する(ペアの)2つのトラックで、同期パターンsyn0の長さだけずらして記録されるが、同期パターンsyn0のシンクエンティティの前後に、6Tの付加パターンが配置されているため、隣接する2つのトラックにずらして記録された同期パターンsyn0のシンクエンティティどうしの間には、付加パターンによって、ある程度の距離が確保される。
【0272】
その結果、隣接する2つのトラックにずらして記録された同期パターンsyn0のシンクエンティティのうちの一方のシンクエンティティが、他方のシンクエンティティに干渉することによる再生信号のRF変動を抑制することができる。
【0273】
図13のBは、相関ゼロパターンNC0の例を示している。
【0274】
相関ゼロパターンNC0は、例えば、3T×2/(4T/2T/2T/4T)×4/3T×2の60Tのパターンであり、同期パターンsyn0との相互相関がゼロのパターンになっている。
【0275】
さらに、相関ゼロパターンNC0は、エッジの数(NRZI表現での1の数)が偶数で、終端DSVがゼロのパターンになっている。
【0277】
図14は、
図12のRun_inに配置されるAパターン及びBパターンを説明する図である。
【0278】
ここで、
図1のRUB構成部14で構成されるRUBは、データ(ビット)の反転を1で表すとともに、非反転を0で表すNRZI表現で表すことができる。記録再生系15では、初期値が+1又は-1で始まり、NRZI表現のRUBのデータが1の場合に反転するNRZ表現の±1のデータとして、RUBが、光ディスク16に記録される。
【0279】
DSVは、NRZ表現の±1のデータの積算値であり、例えば、式(1)に従って求めることができる。
【0280】
DSV(K)=ΣNRZ(k)
・・・(1)
【0281】
式(1)において、DSV(K)は、DSVを求めるパターンの1ビット目からKビット目までのDSVを表す。Σは、kを、1ないしKの範囲の整数に変えてのサメーションを表す。NRZ(k)は、DSVを求めるパターンのkビット目の値(+1又は-1)を表す。
【0282】
また、2つのパターンP1及びP2の相互相関は、例えば、式(2)に従って求めることができる。
【0283】
XC(K)=ΣP1(k)P2(k)
・・・(2)
【0284】
式(2)において、XC(K)は、パターンP1及びP2の1ビット目からKビット目までの相互相関を表す。Σは、kを、1ないしKの範囲の整数に変えてのサメーションを表す。P1(k)及びP2(k)は、パターンP1及びP2のkビット目の値(+1又は-1)を、それぞれ表す。
【0285】
Run_inに配置するAパターン及びBパターンとして、適切なパターンは、例えば、以下のようにして求めることができる。
【0286】
まず、一様乱数によって、230dbitのデータを求め、その230dbitのデータに、フレームにDCCビットを付加するのと同一の周期(DCC周期)である59dbit周期(
図8)で、DCCビットを付加する。DCCビットの付加は、DSVの絶対値が最小(望ましくは、0)になるように行う。
【0287】
なお、230dbitのデータに、59dbit周期で、DCCビットを付加する場合には、全部で、4ビットのDCCビットが付加され、230dbitのデータは、234dbitのデータとなる。
【0288】
DCCビットが付加された234dbitのデータについては、チャネル符号であるPCWA110符号へのPCWA110符号化を行う。PCWA110符号化は、例えば、フレームデータの直前に配置されるBC(
図11)と同様に、状態S5から開始する。
【0289】
234dbitのデータのPCWA110符号化によれば、351cbitのPCWA110符号が得られる。
【0290】
351cbitのPCWA110符号には、終端符号としての9cbitのPCWA110符号を、最後に付加することにより、符号化状態を状態S5で終端させる。
【0291】
351cbitのPCWA110符号に付加することで、符号化状態を状態S5で終端させる9cbitの終端符号が得られる符号化状態の状態遷移としては、
図10の符号テーブルから、例えば、以下の5通りがある。
【0292】
S1→11/000→S2→01/001→S2→11/000→S5
S2→01/001→S2→01/001→S2→11/000→S5
S3→11/010→S2→01/001→S2→11/000→S5
S4→00/100→S3→11/010→S2→11/000→S5
S5→11/101→S2→01/001→S2→11/000→S5
・・・(ST)
【0293】
ここで、状態遷移(ST)の中の、例えば、1番上のS1→11/000→S2→01/001→S2→11/000→S5は、符号化状態が状態S1である場合に、情報ビット11が、PCWA110符号000に符号化され、状態S2に遷移し、その状態S2において、情報ビット01が、PCWA110符号001に符号化され、状態S2に遷移し、その状態S2において、情報ビット11が、PCWA110符号000に符号化され、状態S5に遷移することを表す。
【0294】
この場合、符号化状態を状態S5で終端させる終端符号は、000 001 000になる。
【0295】
上述の5通りの状態遷移(ST)によれば、符号化状態が状態S1である場合に、符号化状態を状態S5で終端させる9cbitの終端符号は、000 001 000になり、符号化状態が状態S2である場合に、符号化状態を状態S5で終端させる9cbitの終端符号は、001 001 000になり、符号化状態が状態S3である場合に、符号化状態を状態S5で終端させる9cbitの終端符号は、010 001 000になり、符号化状態が状態S4である場合に、符号化状態を状態S5で終端させる9cbitの終端符号は、100 010 000になり、符号化状態が状態S5である場合に、符号化状態を状態S5で終端させる9cbitの終端符号は、101 001 000になる。
【0296】
351cbitのPCWA110符号の最後の符号化状態が、例えば、状態S1である場合には、符号化状態が状態S1である場合の終端符号000 001 000を、351cbitのPCWA110符号に付加し、その付加により得られる360cbitのPCWA110符号を、状態S5に終端させる。
【0297】
以上のようにして得られる360cbitのPCWA110符号の中で、終端DSVである式(1)のDSV(360)が0で、かつ、エッジの数(NRZI表現での1の数)が奇数になっており、PCWA110符号の最大ランkである11Tのランを1個以上有するPCWA110符号を、Aパターン及びBパターンの候補(以下、A/B候補符号ともいう)として、所定数としての、例えば、100個等だけ生成する。
【0298】
100個のA/B候補符号から、2個のA/B候補符号の組み合わせを選択し、その2個のA/B候補符号のうちの一方のA/B候補符号をAパターンとして用いるとともに、他方のA/B候補符号をBパターンとして用いて、同期パターンsyn0及びAパターンと、同期パターンsyn0及びBパターンとを構成する。
【0299】
さらに、同期パターンsyn0及びAパターンを繰り返し配置したパターンと、同期パターンsyn0及びBパターンとを繰り返し配置したパターンとを、
図12のRun_inと同様に、同期パターンsyn0の長さだけずらして配置し、同期パターンsyn0及びAパターンの区間において、その同期パターンsyn0及びAパターンと、同期パターンsyn0及びBパターンとの相互相関である式(2)のXC(420)がゼロになる2個のA/B候補符号の組み合わせを求める。
【0300】
本件発明者が行ったシミュレーションによれば、以上のような2個のA/B候補符号の組み合わせとして、256組のA/B候補符号の組み合わせが得られた。
【0301】
ここで、以上のような256組のA/B候補符号の組み合わせにおいて、式(2)のXC(420)の計算で、Aパターンとして用いたA/B候補符号を、A候補符号ともいい、Bパターンとして用いたA/B候補符号を、B候補符号ともいう。
【0302】
図14は、256組のA候補符号及びB候補符号の組み合わせ(の一部)に関する情報を示している。
【0303】
図14では、256組のA候補符号及びB候補符号の組み合わせについて、同期パターンsyn0及びAパターンの区間での各時刻(位置)k=1,2,...,420の相互相関XC(1),XC(2),...,XC(420)の分散が小さい順の順位(相互相関分散順位)の順番で、情報が示されている。
【0304】
すなわち、
図14では、256組のA候補符号及びB候補符号の組み合わせ(の一部)について、相互相関XC(1)ないしXC(420)の分散が小さい順に、その相互相関XC(1)ないしXC(420)の分散が、「相互相関の分散」として示されている。
【0305】
さらに、
図14では、256組のA候補符号及びB候補符号の組み合わせについて、相互相関XC(1)ないしXC(420)の分散が小さい順に、A候補符号の各時刻k=1,2,...,360のDSV(1),DSV(2),...,DSV(360)の分散、及び、B候補符号の各時刻k=1,2,...,360のDSV(1),DSV(2),...,DSV(360)の分散が、それぞれ、「AのDSVの分散」、及び、「BのDSVの分散」として示されている。
【0306】
また、
図14では、256組のA候補符号及びB候補符号の組み合わせについて、相互相関XC(1)ないしXC(420)の分散が小さい順に、A候補符号のDSV(1)ないしDSV(360)と、B候補符号のDSV(1),DSV(2),...DSV(360)との両方を合わせたDSVの分散が、「A及びBそれぞれのDSVの分散」として示されている。
【0307】
さらに、
図14では、256組のA候補符号及びB候補符号の組み合わせについて、A候補符号に含まれる11Tのランのパターンと、B候補符号に含まれる11Tのランのパターンとの距離(11Tのパターンのトラック方向のずれ量)のうちの最小値が、「最小距離」として示されている。
【0308】
図15は、
図14で説明した256組のA候補符号及びB候補符号の組み合わせの中で、相互相関XC(1)ないしXC(420)の分散が小さい順の順位が第1位から第4位までのA候補符号及びB候補符号の組み合わせに関する情報を示す図である。
【0309】
すなわち、
図15のA,B,C,Dは、第1位、第2位、第3位、第4位のA候補符号及びB候補符号の組み合わせに関する情報を、それぞれ示している。
【0310】
図15では、A候補符号及びB候補符号を、Aパターン及びBパターンとして、同期パターンsyn0とともに、Run_inに配置する場合と同様に配置し、Run_inの先頭を時刻k=1とした場合の、同期パターンsyn0及びA候補符号の各時刻k=1,2,...,420のDSV(1),DSV(2),...,DSV(420)が、「AのDSV」として示されているとともに、同期パターンsyn0及びB候補符号の各時刻k=1,2,...,420のDSV(1),DSV(2),...,DSV(420)が、「BのDSV」として示されている。
【0311】
さらに、
図15では、A候補符号及びB候補符号を、Aパターン及びBパターンとして、同期パターンsyn0とともに、Run_inに配置する場合と同様に配置し、Run_inの先頭を時刻k=1とした場合の、同期パターンsyn0及びA候補符号の区間の各時刻k=1,2,...,420の、同期パターンsyn0及びA候補符号と、同期パターンsyn0及びB候補符号との相互相関XC(1),XC(2),...,XC(420)が、「相互相関」として示されている。
【0312】
ここで、Run_inが再生されている場合と、フレームデータが再生されている場合とで、再生信号のオフセットやゲイン、XTCの学習として、同様の傾向の処理が行われるようにするには、Run_inの再生信号のDC成分は、フレームデータの再生信号のDC成分と同様の特性を有すること、すなわち、例えば、平均的に小さいことが望ましい。
【0313】
そこで、Aパターン及びBパターンとしては、DSV(1)ないしDSV(420)の分散が閾値TH1以下で、相互相関XC(1)ないしXC(420)の分散が閾値TH2以下のA候補符号及びB候補符号の組み合わせの中で、DSV(1)ないしDSV(420)、及び、相互相関XC(1)ないしXC(420)が平均的に小さいA候補符号及びB候補符号の組み合わせを採用することができる。
【0314】
図15によれば、第1位ないし第4位のA候補符号及びB候補符号の組み合わせの中では、
図15のDの第4位のA候補符号及びB候補符号の組み合わせが、同期パターンsyn0及びA候補符号のDSV(1)ないしDSV(420)や、同期パターンsyn0及びB候補符号のDSV(1)ないしDSV(420)、相互相関XC(1)ないしXC(420)が、平均的に小さい組み合わせになっている。
【0315】
そこで、Aパターン及びBパターンとしては、
図15のDの第4位のA候補符号及びB候補符号の組み合わせを採用することができる。
【0316】
図16は、Aパターン及びBパターンの例を示す図である。
【0317】
すなわち、
図16は、
図15のDの第4位のA候補符号及びB候補符号の組み合わせを示している。
【0318】
図16では、Aパターン及びBパターンが、同期パターンsyn0とともに、Run_inに配置する場合と同様に配置されている。
【0319】
すなわち、Aパターンについては、同期パターンsyn0及びAパターンの順で配置されており、Bパターンについては、B0パターンとB1パターンと分けて、B1パターン、同期パターンsyn0、B0パターンの順で配置されている。
【0320】
図16において、横軸は、Run_inの先頭からの位置(時刻)を表し、縦軸は、横軸が表す位置で終わる、NRZ表現の±1のデータのランの長さを表す。
【0321】
図16によれば、Aパターン及びBパターンには、いずれも、1個の11Tのランが含まれること、及び、Aパターンに含まれる11Tのランと、Bパターンに含まれる11Tのランとは、比較的離れていること等を確認することができる。
【0322】
図17は、
図16のAパターン及びBパターンに関する情報を示す図である。
【0323】
図17では、Aパターン及びBパターンを、同期パターンsyn0とともに、Run_inに配置する場合と同様に配置し、Run_inの先頭を時刻k=1とした場合の、同期パターンsyn0及びAパターンのDSV(1)ないしDSV(420)が、「AのDSV」として示されているとともに、同期パターンsyn0及びBパターンのDSV(1)ないしDSV(420)が、「BのDSV」として示されている。
【0324】
さらに、
図17では、Aパターン及びBパターンを、同期パターンsyn0とともに、Run_inに配置する場合と同様に配置し、Run_inの先頭を時刻k=1とした場合の、同期パターンsyn0及びAパターンの区間の、同期パターンsyn0及びAパターンと、同期パターンsyn0及びBパターンとの相互相関XC(1)ないしXC(420)が、「相互相関」として示されている。
【0325】
図12で説明したように、Aパターン及びBパターンは、エッジの数(NRZI表現での1の数)が奇数になっている。
【0326】
Run_inのプリアンブルには、同期パターンsyn0及びAパターンは、繰り返し配置されるが、Aパターンのエッジの数が奇数であるため、同期パターンsyn0及びAパターンのある420Tの区間pdと、同期パターンsyn0及びAパターンの次の420Tの区間pd+1とでは、AパターンのDSV(1)ないしDSV(420)の極性が反転する。この点、BパターンのDSV(1)ないしDSV(420)についても同様である。
【0327】
図17のAは、同期パターンsyn0及びAパターンのある420Tの区間pdの「AのDSV」、「BのDSV」、及び、「相互相関」を示しており、
図17のBは、同期パターンsyn0及びAパターンの次の420Tの区間pd+1の「AのDSV」、「BのDSV」、及び、「相互相関」を示している。
【0328】
図17によれば、区間pd(
図17のA)と、次の区間pd+1(
図17のB)とで、「AのDSV」、及び、「BのDSV」の極性が反転していることを確認することができる。
【0329】
この場合、再生信号のオフセット(をキャンセルするための)学習を、効果的に行うことができる。
【0330】
<第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2>
【0331】
図18は、
図12のRun_inの最後に配置される第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の例を示す図である。
【0332】
第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2は、相互相関がゼロの、48 cbit(48T)のPCWA110符号であり、終端DSVがゼロのパターンになっている。
【0333】
さらに、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の最後は、9T(9cbit)のECになっている。
【0334】
図12に示したように、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2は、Run_inの最後に配置されるので、Run_inは、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の最後に配置されたECで終端する。
【0335】
第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2は、例えば、以下のようにして求めることができる。
【0336】
まず、一様乱数によって、26dbitのデータを求め、その26dbitのデータを、チャネル符号であるPCWA110符号に符号化(PCWA110符号化)する。PCWA110符号化は、例えば、Aパターン及びBパターンを求める場合と同様に、状態S5から開始する。
【0337】
26dbitのデータのPCWA110符号化によれば、39cbitのPCWA110符号が得られる。
【0338】
39cbitのPCWA110符号の最後に、9cbitのECを付加し、これにより、48cbitのPCWA110符号を完成させる。
【0339】
ECが付加された48cbitのPCWA110符号については、そのECによって、4T又は5Tのランが保証される。
【0340】
ここで、
図9で説明したように、Run_inの最後に配置される第1のパターンNC1や第2のパターンNC2の後には、フレームframe1の、先頭にECを有しないFS、すなわち、FSエンティティ及びBCのみがその順で並んだFS(以下、簡易FSともいう)が配置される。
【0341】
簡易FSの直前に配置されるデータによっては、その簡易FSのFSエンティティに対する、ISIの影響が大になるが、簡易FSが配置される前のRun_inの最後(第1のパターンNC1や第2のパターンNC2の最後)には、ECが配置され、上述のように、4T又は5Tのランが保証される。この場合、簡易FSのFSエンティティに対する、ISIの影響を小にすることができる。
【0342】
以上のようにして得られる、ECが付加された48cbitのPCWA110符号の中で、終端DSVである式(1)のDSV(48)が0で、PCWA110符号の最大ランkである11Tのランを有しないPCWA110符号を、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の候補(以下、NC1/2候補符号ともいう)として、所定数としての、例えば、100個等だけ生成する。
【0343】
ここで、Run_inの再生信号を用いて、再生信号のオフセットやゲイン、XTCの学習を行う観点からは、Run_inでは、チャネル符号としてのPCWA110符号で生じうる、2T,3T,・・・,11Tのランのそれぞれが現れることが望ましい。
【0344】
但し、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2は、Run_inの最後に配置されるパターンであり、したがって、第1のパターンNC1や第2のパターンNC2の再生時には、それまでにRun_inに現れる2T,3T,・・・,11Tのランの再生信号によって、再生信号のオフセットやゲイン、XTCの学習が十分に行われる。
【0345】
一方、Run_inの直後には、簡易FSが配置されるため、Run_inの最後の第1のパターンNC1や第2のパターンNC2に、長いランが存在すると、再生信号のレベルが大きくなり、簡易FSのFSエンティティの検出に大きな影響を及ぼすことがある。
【0346】
そこで、NC1/2候補符号としては、上述のように、PCWA110符号の最大ランkである11Tのランを有しないPCWA110符号(11T未満のランを有するPCWA110符号)を採用することができる。
【0347】
なお、NC1/2候補符号としては、その他、例えば、PCWA110符号の最大ランkである11Tのランを有するPCWA110符号を採用することもできるし、PCWA110符号の最大ランkである11Tのラン、及び、その次に長い10Tのランを有しないPCWA110符号(10T未満のランを有するPCWA110符号)等を採用することもできる。
【0348】
また、NC1/2候補符号については、エッジの数(NRZI表現での1の数)が奇数及び偶数のいずれであっても良いが、ここでは、NC1/2候補符号として、エッジの数が偶数のPCWA110符号を採用することとする。
【0349】
100個のNC1/2候補符号から、2個のNC1/2候補符号の組み合わせを選択し、その2個のNC1/2候補符号の相互相関XC(48)がゼロになる2個のNC1/2候補符号の組み合わせを求める。
【0350】
本件発明者が行ったシミュレーションによれば、以上のような2個のNC1/2候補符号の組み合わせとして、309組のNC1/2候補符号の組み合わせが得られた。
【0351】
ここで、以上のような309組のNC1/2候補符号の組み合わせにおいて、各組み合わせの2個のNC1/2候補符号のうちの、一方のNC1/2候補符号を、NC1候補符号ともいい、他方のNC1/2候補符号を、N2候補符号ともいう。
【0352】
図19は、309組のNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせ(の一部)に関する情報を示す図である。
【0353】
図19では、309組のNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせについて、NC1候補符号とNC2候補符号との相互相関XC(1),XC(2),...,XC(48)の分散が小さい順の順位(相互相関分散順位)の順番で、情報が示されている。
【0354】
すなわち、
図19では、309組のNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせ(の一部)について、相互相関XC(1)ないしXC(48)の分散が小さい順に、その相互相関XC(1)ないしXC(48)の分散が、「相互相関の分散」として示されている。
【0355】
さらに、
図19では、309組のNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせについて、相互相関XC(1)ないしXC(48)の分散が小さい順に、NC1候補符号のDSV(1),DSV(2),...,DSV(48)の分散、及び、NC2候補符号のDSV(1),DSV(2),...,DSV(48)の分散が、それぞれ、「NC1のDSVの分散」、及び、「NC2のDSVの分散」として示されている。
【0356】
また、
図19では、309組のNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせについて、相互相関XC(1)ないしXC(48)の分散が小さい順に、NC1候補符号のDSV(1)ないしDSV(48)と、NC2候補符号のDSV(1),DSV(2),...DSV(48)との両方を合わせたDSVの分散が、「NC1及びNC2それぞれのDSVの分散」として示されている。
【0357】
NC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせの中からの、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の選択は、例えば、
図14ないし
図17で説明したAパターン及びBパターンの選択と同様に行うことができる。
【0358】
すなわち、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2としては、DSV(1)ないしDSV(48)の分散が閾値TH1'以下で、相互相関XC(1)ないしXC(48)の分散が閾値TH2'以下のNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせの中で、DSV(1)ないしDSV(48)、及び、相互相関XC(1)ないしXC(48)が平均的に小さいNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせを採用することができる。
【0359】
図19に相互相関の分散等を示したNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせの中では、相互相関XC(1)ないしXC(48)の分散が最も小さいNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせが、DSV(1)ないしDSV(48)の分散が閾値TH1'以下で、相互相関XC(1)ないしXC(48)の分散が閾値TH2'以下で、かつ、DSV(1)ないしDSV(48)、及び、相互相関XC(1)ないしXC(48)が平均的に小さいNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせになっている。
【0360】
そこで、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2としては、
図19に相互相関の分散等を示したNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせの中で、相互相関XC(1)ないしXC(48)の分散が最も小さいNC1候補符号及びNC2候補符号の組み合わせを採用することができる。
【0361】
図20は、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の例を示す図である。
【0362】
図20のAは、
図19で説明したようにして得られた第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2を示している。
【0363】
図20のAにおいて、横軸は、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の先頭からの位置(時刻)を表し、縦軸は、横軸が表す位置で終わる、NRZ表現の±1のデータのランの長さを表す。
【0364】
図20のAによれば、第1のパターンNC1の最大ランが6Tで、第2のパターンNC2の最大ランが7Tであること等を確認することができる。
【0365】
図20のBは、
図20のAの第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2に関する情報を示す図である。
【0366】
図20のBでは、第1のパターンNC1のDSV(1)ないしDSV(48)が、「NC1のDSV」として示されているとともに、第2のパターンNC2のDSV(1)ないしDSV(48)が、「NC2のDSV」として示されている。
【0367】
さらに、
図20のBでは、第1のパターンNC1及び第2のパターンNC2の相互相関XC(1)ないしXC(48)が、「相互相関」として示されている。
【0368】
図20のBによれば、「NC1のDSV」、「NC2のDSV」、及び、「相互相関」が平均的に小さいことを確認することができる。
【0370】
図21は、Run_outの例を説明する図である。
【0371】
Run_outは、30Tのパターンsyn1と、60Tの同期パターンsyn0と、360TのAパターン又はBパターンとが配置されて構成される450Tのパターンである。
【0372】
すなわち、隣接する2つのランドL及びグルーブGのうちの一方である、例えば、ランドLのRun_outは、パターンsyn1、同期パターンsyn0、及び、360TのAパターンがその順で配置されて構成される。
【0373】
また、隣接する2つのランドL及びグルーブGのうちの他方であるグルーブGのRun_outは、パターンsyn1、B1パターン、同期パターンsyn0、及び、B0パターンがその順で配置されて構成される。
【0374】
したがって、ランドLのRun_outと、グルーブGのRun_outとでは、同期パターンsyn0が、Run_inと同様に、同期パターンsyn0の長さである60Tだけずれて配置されている。
【0375】
また、ランドLのRun_outのパターンsyn1の後の同期パターンsyn0及びAパターンと、グルーブGのRun_outのパターンsyn1の後のB1パターン、同期パターンsyn0、及び、B0パターンとの相互相関は、
図12で説明したRun_inと同様にゼロである。
【0376】
したがって、Run_outの再生信号は、Run_inの再生信号と同様に、フレームデータの再生信号と同様の特性の信号になる。
【0377】
パターンsyn1は、
図11の12T×2のFSエンティティと、その後に配置される3Tのパターンと、さらに、その後に配置される別の3Tのパターンとで構成される。
【0378】
パターンsyn1としては、例えば、
図11の12T×2のFSエンティティと、そのFSエンティティの後に配置される6TのBCとで構成されるパターンを採用することができる。
【0380】
図22は、
図6のsync検出部61が行うsync検出処理の例を説明する図である。
【0381】
復元部35において、最尤復号としてのビタビ復号が、Run_inの先頭から開始され、同期パターンsyn0が正確に復元された場合には、sync検出部61では、復元部35から供給されるビタビ復号結果から、6T/12T/12T/12T/12T/6Tのパターンである同期パターンsyn0が検出される。
【0382】
いま、同期パターンsyn0が、NRZ表現の±1のデータで表される場合に、そのNRZ表現の+1を、1と表すとともに、-1を、0と表すこととする。
【0383】
この場合、同期パターンsyn0は、NRZ表現で、 000000_111111111111_000000000000_111111111111_000000000000_111111、又は、 111111_000000000000_111111111111_000000000000_111111111111_000000と表される。
【0384】
かかる同期パターンsyn0において、中心部分の4個の12Tのパターン111111111111や000000000000が、シンクエンティティである。
【0385】
いま、同期パターンsyn0において、シンクエンティティの最初の12Tのパターンのrビット前から、シンクエンティティの最後の12Tのパターンのr+1ビット後までの12×4+r×2+1ビットのパターンを、検出の対象の検出対象パターンとする。
【0386】
例えば、rビットが2ビットである場合、53ビット=12×4+2×2+1の検出対象パターンは、NRZI表記で、00_100000000000_100000000000_100000000000_100000000000_100と表すことができる。
【0387】
以上のような検出対象パターンは、5個のエッジ(NRZI表現での1)を有するが、PLL32(
図4)のロックや、HPF41(
図4)でのDC成分のカット、AGC42(
図4)でのゲインの調整、XTCの学習等が十分に進行していない(遂行されていない)場合には、ビタビ復号結果が多くのエラーを含み、検出対象パターンのエッジの位置が前後にずれることがある。
【0388】
そこで、sync検出部61は、例えば、上述の53ビットの検出対象パターンにおいて、正しい位置に現れたエッジの数cをカウントし、その数cが、式5-(5-1)/2=3<=cを満たし、かつ、残りの5-c個のエッジが、正しい位置のr=2ビット前後の範囲内に位置する場合には、同期パターンsyn0(のシンクエンティティ)が検出されたこととする。
【0389】
sync検出部61は、以上のようにして同期パターンsyn0を検出するsync検出処理を行う。
【0390】
図22は、
図6のsync検出部61が行うsync検出処理のシーケンスの例を示している。
【0391】
sync検出部61は、まず初期状態になる。初期状態では、sync検出部61は、Run_in(
図12)内のプリアンブルに含まれる同期パターンsyn0の数をカウントする連続検出数ab_cntを0にリセットする。さらに、sync検出部61は、復元部35からの復元結果(最尤復号の復号結果)からの同期パターンsyn0の検出を開始し、同期パターンsyn0を検出するたびに、連続検出数ab_cntを1だけインクリメントする。
【0392】
ここで、初期状態では、sync検出部61は、Run_inのプリアンブルのAパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0を検出する。初期状態では、Aパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0が連続して検出された数が、連続検出数ab_cntによってカウントされる。
【0393】
初期状態において、連続検出数ab_cntが、連続検出数ab_cntの閾値ABth以上になると、sync検出部61は、Run_inのプリアンブル(
図12)が再生されていると認識し、初期状態からプリアンブル状態に遷移する。
【0394】
プリアンブル状態では、sync検出部61は、Aパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0の検出を続行する。そして、sync検出部61は、Aパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0が検出されなかった場合、Run_inのsyncエリア(
図12)の再生が開始された可能性があると認識し、プリアンブル状態からsyncエリア可能性状態に遷移する。
【0395】
syncエリア可能性状態では、sync検出部61は、Run_inのsyncエリアに含まれる同期パターンsyn0の数をカウントする検出数s_cntを0にリセットする。さらに、sync検出部61は、syncエリアに含まれる同期パターンsyn0の検出を開始し、同期パターンsyn0を検出するたびに、検出数s_cntを1だけインクリメントする。
【0396】
syncエリア可能性状態において、検出数s_cntが、検出数s_cntの閾値Sth以上になると、sync検出部61は、Run_inのsyncエリアが再生されていると認識し、syncエリア可能性状態からsyncエリア確定状態に遷移する。
【0397】
一方、syncエリア可能性状態において、syncエリアの再生中(と推定される時間内)に、検出数s_cntが、閾値Sth以上にならない場合には、sync検出部61は、syncエリアの同期パターンsyn0の検出に失敗したと認識し、syncエリア可能性状態から初期状態に戻る。
【0398】
syncエリア確定状態では、sync検出部61は、syncエリアの同期パターンsyn0のカウント数である検出数s_cntから、Run_inの最後のEC(Run_inの第1のパターンNC1又は第2のパターンNC2(
図18)の最後に配置されたEC)のタイミングを認識する。
【0399】
さらに、sync検出部61は、Run_inの最後のECの先頭から、Run_inに続くフレームframe1(
図9)のFSの最後までの区間を表す信号を生成し、フレームframe1のFSの区間を表すFSゲート信号として、時刻情報生成部62に供給する。
【0400】
その後、sync検出部61は、Run_out(
図9、
図21)(のパターンsyn1に含まれるFSエンティティ等)を検出すると、そのRun_outの終端において、syncエリア確定状態から初期状態に遷移する。
【0401】
図23は、
図6のsync検出部61が行うsync検出処理の例を説明するフローチャートである。
【0402】
ステップS41において、sync検出部61は、初期状態になり、連続検出数ab_cntを0にリセットする。さらに、sync検出部61は、復元部35からの復元結果からの、Aパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0の検出を開始し、同期パターンsyn0を検出するたびに、連続検出数ab_cntをインクリメントする。
【0403】
その後、処理は、ステップS41からステップS42に進み、sync検出部61は、連続検出数ab_cntが閾値ABth以上になったかどうかを判定する。
【0404】
ステップS42において、連続検出数ab_cntが閾値ABth以上になっていないと判定された場合、処理は、ステップS42に戻る。
【0405】
また、ステップS42において、連続検出数ab_cntが閾値ABth以上になったと判定された場合、処理は、ステップS43に進み、sync検出部61は、初期状態からプリアンブル状態に遷移して、処理は、ステップS44に進む。
【0406】
ステップS44では、sync検出部61は、Aパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0の検出を続行する。さらに、ステップS44では、sync検出部61は、Aパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0が検出されているかどうかを判定する。
【0407】
ステップS44において、Aパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0が検出されていると判定された場合、すなわち、Run_inのプリアンブル(
図12)が再生されている場合、ステップS44の処理が繰り返される。
【0408】
また、ステップS44において、Aパターン又はBパターンの直前に配置された同期パターンsyn0が検出されなかったと判定された場合、すなわち、Run_inのsyncエリア(
図12)の再生が開始された可能性がある場合、処理は、ステップS45に進む。
【0409】
ステップS45では、sync検出部61は、プリアンブル状態からsyncエリア可能性状態に遷移し、検出数s_cntを0にリセットする。さらに、sync検出部61は、復元部35からの復元結果からの、syncエリアに含まれる同期パターンsyn0の検出を開始し、同期パターンsyn0を検出するたびに、検出数s_cntを1だけインクリメントする。
【0410】
その後、処理は、ステップS45からステップS46に進み、sync検出部61は、検出数s_cntが閾値Sth以上であるかどうかを判定する。
【0411】
ステップS46において、検出数s_cntが閾値Sth以上でないと判定された場合、処理は、ステップS47に進む。
【0412】
ステップS47では、sync検出部61は、syncエリア可能性状態になってから、syncエリアの再生に要する時間として推定される所定の時間が経過したかどうかを判定する。
【0413】
ステップS47において、syncエリア可能性状態になってから所定の時間が経過したと判定された場合、処理は、ステップS41に戻り、sync検出部61は、syncエリア可能性状態から初期状態に遷移し、以下、同様の処理を繰り返す。
【0414】
また、ステップS47において、syncエリア可能性状態になってから所定の時間が経過していないと判定された場合、処理は、ステップS46に戻る。
【0415】
そして、ステップS46において、検出数s_cntが閾値Sth以上であると判定された場合、処理は、ステップS48に進み、sync検出部61は、syncエリア可能性状態からsyncエリア確定状態に遷移し、処理は、ステップS49に進む。
【0416】
ステップS49では、sync検出部61は、syncエリアの同期パターンsyn0のカウント数である検出数s_cntから、
図22で説明したように、フレームframe1のFSの区間を表すFSゲート信号を生成し、時刻情報生成部62に供給して、処理は、ステップS50に進む。
【0417】
ステップS50では、sync検出部61は、復元部35からの復元結果から、Run_out(
図9)(
図21)を検出したかどうかを判定し、検出していないと判定した場合、処理は、ステップS50に戻る。
【0418】
また、ステップS50において、Run_outが検出されたと判定された場合、処理は、ステップS41に戻る。
【0419】
以上のように、
図1の記録再生装置では、光ディスク16において、同期パターンsyn0が、隣接する2つのトラックとしてのランド及びグルーブで、一定のずれ量だけトラック方向にずれて記録されるので、光ディスク16からの同期パターンsyn0の再生時に、隣接するトラックからの干渉が抑制される。
【0420】
さらに、
図1の記録再生装置では、光ディスク16のRun_inに、複数の同期パターンsyn0が記録される。
【0421】
したがって、同期パターンsyn0、ひいては、同期パターンsyn0を含むRun_inの後のフレームの先頭のFSを正確に検出することができ、その結果、光ディスク16に、データを高密度に記録し、さらに、そのように高密度に記録されたデータをロバストに再生することができる。
【0422】
なお、
図12では、プリアンブルに、複数のセットの同期パターンsyn0及びAパターン又はBパターンのセットを配置することとしたが、プリアンブルには、1セットの同期パターンsyn0及びAパターン又はBパターンのセットを配置することができる。
【0423】
同様に、
図12では、syncエリアに、複数セットの同期パターンsyn0及び相関ゼロパターンNC0のセットを配置することとしたが、syncエリアには、1セットの同期パターンsyn0及び相関ゼロパターンNC0のセットを配置することができる。
【0424】
<隣接する2つのトラックへのFSの記録>
【0425】
図24は、光ディスク16の隣接する2つのトラックへのFSの記録の例を説明する図である。
【0426】
上述の場合には、光ディスク16の隣接する2つのトラックであるランド及びグルーブへのフレームへの記録については、特に言及しなかったが、隣接するランド及びグルーブにフレームを記録する方法としては、例えば、同期パターンsyn0と同様に、フレームを、隣接するランド及びグルーブでトラック方向に一定のずれ量だけずらして記録する方法と、フレームを、隣接するランド及びグルーブでトラック方向に同一位置に記録する方法とがある。
【0427】
図24のAは、隣接するランドL及びグルーブGでトラック方向にずらして記録されたフレームの例を示している。
【0428】
図24のAでは、フレームが、隣接するランドL及びグルーブGで、一定のずれ量としての、例えば、FSの長さだけトラック方向にずれて記録されている。
【0429】
以上のように、フレームを、隣接するランドL及びグルーブGでトラック方向にずらして記録する場合には、再生対象のトラックのフレームデータの再生信号に、その再生対象のトラックに隣接するトラックのFSが干渉し、再生対象のトラックのフレームデータの復号性能を低下させるおそれがある。
【0430】
図24のBは、隣接するランドL及びグルーブGでトラック方向に同一位置に記録されたフレームの例を示している。
【0431】
図24のBでは、フレームが、隣接するランドL及びグルーブGで、トラック方向に同一の位置に記録されているので、再生対象のトラックに隣接するトラックのFSの干渉は、再生対象のトラックのFSだけに留まる。
【0432】
したがって、フレームを、隣接するランドL及びグルーブGでトラック方向に同一位置に記録する場合には、FSの干渉による、フレームデータの復号性能の低下を防止することができる。
【0433】
そこで、
図1の記録再生装置では、
図24のBのように、フレームを、隣接するランドL及びグルーブGでトラック方向に同一位置に記録する。
【0434】
しかしながら、フレームを、隣接するランドL及びグルーブGでトラック方向に同一位置に記録する場合には、再生対象のトラックに隣接するトラックのFSが、再生対象のトラックのFSの再生信号に干渉し、FSの復号性能が低下するおそれがある。
【0435】
そして、FSの復号性能が低下すると、PLL32(
図4)のチャネルクロックのクロックずれ(クロックシフト)(クロックスリップ)があった場合に、フレームデータの区間を正しく特定することができず、高密度に記録されたデータをロバストに再生することを妨げるおそれがある。
【0436】
ところで、FSは既知のパターンである。そこで、
図1の記録再生装置では、FSが既知のパターンであることを利用することで、再生対象のトラックに隣接するトラックのFSの干渉による、再生対象のトラックのFSの復号性能の低下を抑制し、高密度に記録されたデータをロバストに再生することを可能とする。
【0437】
すなわち、
図1の記録再生装置では、復元部35(
図4)において、光ディスク16から再生された再生信号の最尤復号のうちの、FSの最尤復号のみを、時刻に応じて状態及び状態遷移を制限した時変トレリスに従って行うことにより、FSを復元する。
【0438】
FSの最尤復号に用いる時変トレリスは、既知のパターンであるFSにおいて取り得る状態と行い得る状態遷移とに応じて制限される。
【0439】
また、時変トレリスは、光ディスク16で採用するチャネル符号としての、例えば、PCWA110符号の最小ラン、最大ラン、及び、RMTR(Repeated Minimum Transition Runlength)に応じて適宜制限される。
【0440】
なお、本実施の形態では、FSの最尤復号において、クロックずれがない場合のFS、及び、クロックずれがある場合のFSを考慮する。したがって、FSにおいて取り得る状態と行い得る状態遷移としては、クロックずれがない場合のFS、及び、クロックずれがある場合のFSのそれぞれにおいて取り得る状態と行い得る状態遷移があり、時変トレリスは、クロックずれがない場合のFS、及び、クロックずれがある場合のFSのそれぞれにおいて取り得る状態と行い得る状態遷移とに応じて制限される。
【0441】
<FSの最尤復号に用いる時変トレリスの例>
【0442】
図25は、拘束長(ISI長)が11で、最小ランd=1(NRZ表現では、2T)の符号のPRML(Partial Response Maximum Likelihood)を説明する図である。
【0443】
ここで、
図1の記録再生装置で採用されるPCWA110符号は、最小ランd=1の符号の1種である。
【0444】
いま、拘束長が11のPRチャネルに入力される入力データとしての、最小ランd=1の符号のうちの、現在時刻tの入力データ(NRZ表現)を、d0と表すこととし、現在時刻tよりもn時刻前の時刻t-nの入力データ(NRZ表現)を、d#nと表すこととする。
【0445】
拘束長が11である場合、現在時刻tの入力データd0は、その入力データd0の直前の、拘束長−1個の入力データ、すなわち、過去の10時刻t-1,t-2,...,t-nの入力データd1,d2,...,d10の影響を受ける。
【0446】
そこで、拘束長−1の数である10個のレジスタを用意し、その10個のレジスタに、過去の10時刻t-1,t-2,...,t-10の入力データd1,d2,...,d10を記憶することとする。
【0447】
拘束長が11で、最小ランd=1の符号のPRMLのトレリスは、10個のレジスタに記憶される過去の入力データd1ないしd10で表される状態、すなわち、入力データd10,d9,...,d1を、その順(時刻順)で並べた10ビットで表される1024=2
10個の状態を有し得る。
【0448】
FSの最尤復号に用いる時変トレリスは、以上のような1024=2
10個の状態を含み得る。
【0449】
図26は、拘束長が11で、最小ランd=1の符号のPRMLに用いられるトレリスの例を示す図である。
【0450】
ここで、以下、0xの後に続く値は、16進数を表し、b'の後に続く値は、2進数を表す。
【0451】
また、以下、適宜、トレリスが有する状態、及び、状態遷移(ブランチ)を、10進数、2進数、又は、16進数を用いて表す。
【0452】
例えば、1024個の状態を有するトレリスの各状態を、状態0x000,0x001,...0x3FFと表す。
【0453】
また、トレリスにおいて、状態#iから状態#jへの状態遷移又はブランチを、状態遷移前の状態#iと、状態#iから状態#jへの状態遷移が生じるときに入力される現在時刻の入力データd0とを用いて表す(トレリスが1024個の状態を有する場合には、i,j=0,1,...,1023)。
【0454】
例えば、状態0x000=b'00_0000_0000(アンダーバーは、値の見やすさのために付してあり、2進数としての値には関係ない)において、現在時刻の入力データd0として、b'1があった場合に、状態0x000=b'00_0000_0000から、状態0x001=b'00_0000_0001に遷移するが、この、状態b'00_0000_0000から状態b'00_0000_0001への状態遷移又はブランチを、状態遷移前の状態b'00_0000_0000を上位ビットとするとともに、現在時刻の入力データd0=b'1を最下位ビットとする11ビットにより、状態遷移b'000_0000_0001又はブランチb'000_0000_0001と表す。
【0455】
この場合、状態遷移又はブランチb'000_0000_0001の下位10ビットb'00_0000_0001は、状態遷移の遷移先の状態を表す。
図25で説明したように、状態を表すビット列は、その状態に至るまでの過去の10時刻の入力データd1,d2,...,d10を時刻順に並べたビット列d10,d9,...,d1に等しい。
【0456】
復元部35において、拘束長が11で、最小ランd=1の符号のPRMLが行われる場合、最小ランd=1により、NRZ表現の入力データでは、1及び0のそれぞれは、2ビット以上連続する。すなわち、入力データにおいて、1及び0のそれぞれが、1ビットだけ単独で出現することはない。
【0457】
したがって、FSの最尤復号に用いる時変トレリスは、1が、1ビットだけ単独で出現する、例えば、状態0x002=b'00_0000_0010を有しない。
【0458】
同様に、時変トレリスは、例えば、状態b'00_0000_0100等も有しない。但し、時変トレリスでは、例えば、状態b'00_0000_0001等は、存在し得る。状態b'00_0000_0001については、現在時刻の入力データd0が1であれば、現在時刻とその1時刻前の時刻(状態b'00_0000_0001の最下位ビット)とで、1が連続するからである。
【0459】
また、最小ランd=1により、FSの最尤復号に用いる時変トレリスは、0又は1が、1ビットだけ単独で出現するブランチを有しない。
【0460】
したがって、時変トレリスは、例えば、状態0x001=b'00_0000_0001において、現在時刻の入力データd0として0が入力され、状態b'00_0000_0010に状態遷移するブランチb'000_000_0010を有しない。
【0461】
同様に、時変トレリスは、ブランチb'000_0000_0100等も有しない。但し、時変トレリスでは、例えば、ブランチb'000_0000_0001等は、存在し得る。ブランチb'000_0000_0001については、そのブランチb'000_0000_0001の遷移先の状態b'00_0000_0001で、次の時刻の入力データが1であれば、現在時刻とその次の時刻とで、1が連続するからである。
【0462】
拘束長が11で、最小ランd=1の符号のPRMLでは、FSの最尤復号に用いる時変トレリスは、最小ランd=1により、178個の状態と、288個のブランチとを有するトレリスに制限される。
【0463】
ここで、最小ランd=1の制限だけでは、トレリスの構造は、時刻によって変化しない。したがって、最小ランd=1により、状態及びブランチ(状態遷移)を制限しただけのトレリスは、時変トレリスではない。
【0465】
FSは、
図11で説明したように、EC、FSエンティティ、及び、BCで構成される。
【0466】
そして、ECは、
図11で説明したように、PCWA110符号化の符号化状態を、取り得る状態S1ないしS5のそれぞれから、特定の1状態である状態S3に終端させるパターンになっている。
【0467】
すなわち、ECとしては、状態S1ないしS5のそれぞれから始まり、状態S3に終端する5個のパターンがある。さらに、
図11で説明したように、状態S1から始まり、状態S3に終端するパターンについては、置換符号系列による置換が行われる場合がある。
【0468】
したがって、ECには、6個のパターンがあり、FSには、その6個のパターンのECそれぞれを有する6パターンが存在する。
【0469】
図27は、その6パターンのFSを、NRZI表現で示している。
【0470】
図27において、FS0は、状態S1から始まり状態S3に終端するECを有するFSであり、FS1は、状態S1から始まり状態S3に終端するパターンについて、置換符号系列による置換が行われたECを有するFSである。
【0471】
FS2,FS3,FS4,FS5は、状態S2,S3,S4,S5から、状態S3に終端するECをそれぞれ有するFSである。
【0472】
FSの区間を仮定すると、時刻によって、FSのどのビットを復号しているのかを仮定することができる。この場合、復元部35では、FS0ないしFS5として取り得る状態、及び、行い得る状態遷移に、FSの最尤復号に用いる時変トレリスを制限し(FS0ないしFS5としてとり得ない状態、及び、行い得ない状態遷移を、時変トレリスから削除し)、FSの最尤復号を行うことができる。
【0473】
本実施の形態では、復元部35は、チャネルクロックのクロックずれを検出するため、FSとして、クロックずれがない場合のFS、及び、クロックずれがある場合のFSを考慮する。
【0474】
すなわち、復元部35は、FSの最尤復号に用いる時変トレリスを、クロックずれがない場合のFS、及び、クロックずれがある場合のFSのそれぞれにおいて取り得る状態と行い得る状態遷移とに応じて制限する。
【0475】
ここで、クロックずれがない場合のFS、及び、クロックずれがある場合のFSのそれぞれにおいて取り得る状態と行い得る状態遷移とに応じて、FSの最尤復号に用いるトレリスの状態及び状態遷移が制限されることにより、そのトレリスは、時変トレリスとなる。
【0476】
図28は、
図27の6パターンのFSについて、クロックずれがない場合のFS、及び、クロックずれがある場合のFSの例を示す図である。
【0477】
図28では、クロックずれがない場合のFSを拡張した拡張FS符号列FSB#i、並びに、クロックずれがある場合のFSを拡張した拡張FS符号列FSA#i及びFSC#iが示されている(i=0,1,2,3,4,5)。
【0478】
すなわち、
図28では、チャネルクロックのクロックずれとして、+1クロックのクロックずれ、及び、-1クロックのクロックずれを検出するため、
図27のFS#iの前後が1ビットずつ拡張され、その拡張後の符号列が、拡張FS符号列FSB#iになっている。
【0479】
さらに、
図28では、
図28のFS#iの後ろ側が2ビット拡張され、その拡張後の符号列が、拡張FS符号列FSC#iになっているとともに、
図27のFS#iの前側が2ビット拡張され、その拡張後の符号列が、拡張FS符号列FSA#iになっている。
【0480】
拡張FS符号列FSB#iが、クロックずれがないFSを含む符号列であるとすると、拡張FS符号列FSA#iは、+1クロックのクロックずれがあるFSを含む符号列であり、拡張FS符号列FSC#iは、-1クロックのクロックずれがあるFSを含む符号列である。
【0481】
なお、
図28において、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iに含まれるアスタリスク(*)が、
図27のFS#iに対して拡張されたビットを表し、その値は、ドントケア(don't care)である。
【0482】
また、ここでは、±1クロックのクロックずれを検出することとしたが、クロックずれとしては、±1クロック以外の任意のクロック数のクロックずれを検出することができる。例えば、±2クロック以上の任意の±Nクロックのクロックずれを検出する場合、FS#iの前側が2Nビット拡張された拡張FS符号列、FSの前側が2N-1ビット拡張され、FSの後ろ側が1ビット拡張された拡張FS符号列、・・・、FS#iの前側がN+1ビット拡張され、FSの後ろ側がN-1ビット拡張された拡張FS符号列、FS#iの前後がそれぞれNビットずつ拡張された拡張FS符号列、FS#iの前側がN-1ビット拡張され、FSの後ろ側がN+1ビット拡張された符号列、・・・、FSの前側が1ビット拡張され、FSの後ろ側が2N-1ビット拡張された拡張FS符号列、FS#iの後ろ側が2Nビット拡張された拡張FS符号列を考慮すれば良い。
【0483】
図29は、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iの関係を示す図である。
【0484】
図29では、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iが、横軸を時刻として、並んで示されている。
【0485】
図29では、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iのうちの、例えば、拡張FS符号列FSA#iに含まれるFS#iの先頭ビット(左から1ビット目)、すなわち、拡張FS符号列FSA#iの左から3ビット目の時刻tを、所定の時刻としての、例えば、時刻t=5として、その時刻t=5を基準として、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iが並んでいる。
【0486】
ここで、FS#iの左からk+1番目のビットを、FS#i(k)と表すこととする。
【0487】
この場合、FS#iの先頭のビットFS#i(0)の時刻を、基準時刻t=5に合わせることとすると、kとtとの関係は、式t=k+5で表される。
【0488】
また、拡張FS符号列FSA#iの時刻t=k+5のビットは、FS#i(k)で表される。さらに、拡張FS符号列FSB#iの時刻t=k+5のビットは、FS#i(k+1)で表され、拡張FS符号列FSC#iの時刻t=k+5のビットは、FS#i(k+2)で表される。
【0489】
いま、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iの左からp+1番目のビットを、FSA#i(p),FSB#i(p),FSC#i(p)と、それぞれ表すこととする。
【0490】
FSA#i(k+2),FSB#i(k+2),FSC#i(k+2)は、FS#i(k),FS#i(k+1),FS#i(k+2)に、それぞれ等しい。
【0491】
ここで、上述のように、時刻t=5を基準とすると、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iの時刻tのビットは、FSA#i(t-3),FSB#i(t-3),FSC#i(t-3)と、それぞれ表される。
【0492】
FSの最尤復号において、FSが、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iのうちのいずれかとして復号される場合、そのFSの最尤復号に用いる時変トレリスでは、各時刻tにおいて、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iのいずれに対しても取り得ないブランチを削除することにより、状態遷移が制限される。
【0493】
時刻tの、時変トレリス(の状態遷移)の制限は、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iのうちのビット列FSA#i(0)ないしFSA#i(t-3),FSB#i(0)ないしFSB#i(t-3),FSC#i(0)ないしFSC#i(t-3)に基づき、時刻tの各ブランチが取り得るかどうかが判断される。
【0494】
ここで、時変トレリスの制限に用いられる拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iのビット列FSA#i(0)ないしFSA#i(t-3),FSB#i(0)ないしFSB#i(t-3),FSC#i(0)ないしFSC#i(t-3)は、FSとして取り得るビット列であり、以下、FS候補ビット列ともいう。
【0495】
また、拡張FS符号列FSA#iの左からp+1番目のビットFSA#i(p)から、p'+1番目のビットFSA#i(p')までのビット列を、FSA#i[p:p']と表す(p<p')。拡張FS符号列FSB#i,FSC#iについても、同様である。
【0496】
FS候補ビット列FSA#i[0:t-3],FSB#i[0:t-3],FSC#i[0:t-3]のうちの、ビットFSA#i(0),FSA#i(1),FSB#i(0)は、ドントケアになっている。
【0497】
ドントケアになっているビットFSA#i(0),FSB#i(0)は、時刻t=3のときのビットであり、ドントケアになっているビットFSA#i(1)は、時刻t=4のときのビットである。
【0498】
また、時刻t=3よりも前の時刻には、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iは、存在しない。
【0499】
したがって、時刻t=4までは、FS候補ビット列が出現しないか、又は、FS候補ビット列が出現しても、そのFS候補ビット列の各時刻のビットには、ドントケアが存在するので、時変トレリスは、任意の状態及びブランチを取り得る。
【0500】
拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iでは、時刻t=5以降に、ドントケアのビットが存在しなくなり、そのため、時刻t=5以降において、時変トレリスは、FS候補ビット列により制限され得る。
【0501】
時刻t=5では、ビットFSA#i[0:5-3],FSB#i[0:5-3],FSC#i[0:5-3]、すなわち、ビットFSA#i[0:2],FSB#i[0:2],FSC#i[0:2]が、FS候補ビット列となる。
【0502】
FS候補ビット列FSA#i[0:2],FSB#i[0:2],FSC#i[0:2]については、時刻t=3,4の2ビットFSA#i[0:1],FSB#i[0:1],FSC#i[0:1]として、ドントケアを含むビットが存在する。さらに、時刻t=5のビットFSA#i[2:2],FSB#i[2:2],FSC#i[2:2](FSA#i,FSB#i,FSC#iの左から3ビット目)としては、NRZI表現で、0及び1のうちのいずれをも取り得る。
【0503】
したがって、時刻t=5では、時変トレリスは、結果として、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iには制限されない。
【0504】
時刻t=6では、ビットFSA#i[0:6-3],FSB#i[0:6-3],FSC#i[0:6-3]、すなわち、ビットFSA#i[0:3],FSB#i[0:3],FSC#i[0:3]が、FS候補ビット列となる。
【0505】
FS候補ビット列FSA#i[0:3],FSB#i[0:3],FSC#i[0:3]については、時刻t=3,4の2ビットFSA#i[0:1],FSB#i[0:1],FSC#i[0:1]として、ドントケアを含むビットが存在する。さらに、時刻t=5,6の2ビットFSA#i[2:3],FSB#i[2:3],FSC#i[2:3]としては、NRZI表現で、00,01,10のいずれかを取り得る。
【0506】
したがって、時刻t=6では、下位2ビットが、NRZI表現で、00,01,10のうちのいずれでもないブランチが制限される。
【0507】
ここで、本実施の形態では、
図25で説明したように、PRMLの対象とする符号の最小ランdは、1である。
【0508】
NRZI表現で、11は、2ビット続けての反転を表すため、最小ランdが1である場合には、NRZI表現で、11は、取り得ない。
【0509】
すなわち、最小ランdが1である場合に取り得る2ビットは、NRZI表現で、00,01,10のうちのいずれかだけである。
【0510】
上述のように、時刻t=6では、下位2ビットが、NRZI表現で、00,01,10のうちのいずれでもないブランチが制限されるが、NRZI表現で、00,01,10は、最小ランdが1である場合に取り得る2ビットのすべてである。
【0511】
そのため、結果として、時変トレリスは、FS候補ビット列FSA#i[0:3],FSB#i[0:3],FSC#i[0:3]によっては制限されない。
【0512】
時刻t=7では、ビットFSA#i[0:7-3],FSB#i[0:7-3],FSC#i[0:7-3]、すなわち、5ビットのビットFSA#i[0:4],FSB#i[0:4],FSC#i[0:4]が、FS候補ビット列となる。
【0513】
図30は、時刻t=7の場合のFS候補ビット列FSA#i[0:4],FSB#i[0:4],FSC#i[0:4]を示す図である。
【0514】
図30のFS候補ビット列FSA#i[0:4],FSB#i[0:4],FSC#i[0:4]は、
図28のFSA#i,FSB#i,FSC#iの左側の5ビットである。
【0515】
時刻t=7では、下位5ビットが、NRZI表現で、FS候補ビット列FSA#i[0:4],FSB#i[0:4],FSC#i[0:4]のうちのいずれでもないブランチが制限される。
【0516】
ここで、時刻t=6以前では、時変トレリスには、例えば、状態12=b'00_0000_1100から、状態25=b'00_0001_1001へのブランチb'000_0001_1001が存在する。
【0517】
ブランチb'000_0001_1001は、NRZ表現であるが、このブランチb'000_0001_1001を表す数値b'000_0001_1001は、NRZI表現では、b'00_0001_0101となる。
【0518】
この、NRZI表現のブランチb'00_0001_0101の下位5ビットは、b'1_0101であるが、この5ビットb'1_0101は、
図30のFS候補ビット列FSA#i[0:4],FSB#i[0:4],FSC#i[0:4]のいずれにも一致しない。
【0519】
したがって、NRZI表現のブランチb'00_0001_0101は、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iのいずれとしても取り得ないブランチである。
【0520】
そのため、時刻t=7では、NRZI表現のブランチb'00_0001_0101、すなわち、NRZ表現のブランチb'000_0001_1001は、時変トレリスから削除され、時変トレリスは、ブランチb'000_0001_1001を取り得ないトレリスに制限される。
【0521】
以下、同様に、時刻t=7において、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iのいずれとしても取り得ないブランチが削除される。
【0522】
さらに、時変トレリスの時刻t=7の状態のうちの、ブランチの接続がない状態、すなわち、前の時刻からの状態遷移がない状態が削除される。
【0523】
図26で説明したように、最小ランd=1により、178個の状態と、288個のブランチとに制限された時変トレリスは、時刻t=7では、178個の状態と、272個のブランチとが残るトレリスとなる。
【0524】
以下、同様に、時変トレリスの各時刻において、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iのいずれとしても取り得ないブランチと、ブランチの接続がない状態とが削除され、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iにより、状態及びブランチ(状態遷移)が制限された時変トレリスが完成する。
【0525】
なお、
図29で説明したように、時刻t=5を基準とする場合、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iの中では、拡張FS符号列FSC#iのビットFSC#i(39)(
図29)が、最も早い時刻t=42で、ドントケアとなる。そのため、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iの、時刻t=42以降のビットは、時刻t=4までの場合と同様に、実質的に、時変トレリスを制限しない。
【0526】
したがって、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iの中で、時変トレリスの制限に影響する最も遅い時刻のビットは、拡張FS符号列FSC#iの、時刻t=41のビットFSC#i(38)であるが、そのビットFSC#i(38)が干渉するビットは、ビットFSC#i(38)から、そのビットFSC#i(38)を含んで、拘束長−1ビットだけ後のビットまでである。
【0527】
すなわち、ビットFSC#i(38)が干渉するビットは、ビットFSC#i(38)から、そのビットFSC#i(38)を含む10ビットだけ後のビットまでである。
【0528】
したがって、ビットFSC#i(38)が干渉する最も後(未来)のビットは、ビットFSC#i(38)の時刻t=41から、その時刻t=41を含む10時刻先の時刻t=50=41+10-1のビットBLになる。
【0529】
以上から、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iによれば、拡張FS符号列FSC#iのビットFSC#i(38)等の時刻t=41のビットによって、時刻t=50まで、時変トレリスが制限される。
【0530】
したがって、時刻t=5を基準とする場合(時刻t=5を、FSA#iに含まれるFS#iの左端のビットの時刻とする場合)には、時刻t=5から、時刻t=50まで、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iにより、時変トレリスが制限される。
【0531】
ここで、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iにより、時変トレリスが制限され得る最初の時刻(=5)を、制限開始時刻ともいい、最後の時刻t(=50)を、制限最終時刻ともいう。
【0532】
なお、
図29及び
図30で説明したことから、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iによる時変トレリスの制限は、実質的には、時刻t=7から時刻t=50まで行われる。すなわち、基準の時刻t=5や、その次の時刻t=6では、時変トレリスは、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iによっては、実質的には制限されない。
【0533】
また、本件発明者が行ったシミュレーションによれば、制限開始時刻に近い時刻、及び、制限最終時刻に近い時刻では、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iにより、時変トレリスから削除される状態及びブランチの数が少なくなり、制限開始時刻から離れた時刻、及び、制限最終時刻から離れた時刻では、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iにより、時変トレリスから削除される状態及びブランチの数が多くなることが確認されている。
【0535】
図31は、特別状態を説明する図である。
【0536】
FSの最尤復号に用いる時変トレリスは、何らの制限もしなければ、
図25で説明したように、拘束長に応じた数としての1024=2
10個の状態を有し得る。ここで、拘束長に応じた数の状態を有し得る時変トレリスを、標準時変トレリスともいう。
【0537】
ところで、FSは、
図12で説明したように、PCWA110符号の最大ランk=11Tよりも1Tだけ長い12Tのラン(最大ランkを超えるラン)のパターンを2回繰り返すFSエンティティを有する。
【0538】
かかるFSの最尤復号を、標準時変トレリスに従って行う場合には、標準時変トレリスにおいて、例えば、PCWA110符号の最大ランk=11Tよりも長い12Tのランを含むFSエンティティのパスと、PCWA110符号の長いランである、例えば、10Tや11Tのラン(のパターン)のパスとがマージすることがある。
【0539】
ここで、例えば、拘束長が11のPRMLでは、拘束長−1である10T以上の異なるランのパスは、拘束長に応じた数としての1024個の状態の中で、状態0x000から状態0x000への状態遷移や、状態0x3FFから状態0x3FFへの状態遷移のように、同一の状態への状態遷移を繰り返し、同一の状態(状態0x000や0x3FF)にマージする。
【0540】
トレリスにおいて、PCWA110符号の最大ランk=11Tよりも長い12Tのランを含むFSエンティティのパスと、PCWA110符号の10T以上のランのパスとがマージする場合には、FSエンティティ、ひいては、FSの検出精度が劣化する。
【0541】
そこで、FS(FSエンティティ)の検出精度を向上させるため、標準時変トレリスに、特別状態を導入する。
【0542】
ここで、標準時変トレリスが有し得る拘束長に応じた数の状態を、通常状態ともいう。また、標準時変トレリスに特別状態を導入して得られるトレリスを、拡張時変トレリスともいう。
【0543】
特別状態としては、拘束長−1の長さのランから、FSエンティティの12Tのランまでの各長さのランのパスどうしがマージしないように、拘束長の長さのランから、FSエンティティの12Tのランまでの各長さのランのパスが到達する状態を導入する。
【0544】
したがって、本実施の形態では、11Tの0のランのパスが到達する状態、11Tの1のランのパスが到達する状態、12Tの0のランのパスが到達する状態、12Tの1のランのパスが到達する状態が、特別状態として導入される。
【0545】
ここで、11Tの0のランのパスが到達する状態を、(特別)状態-1又は状態b'000_0000_0000と記載するとともに、11Tの1のランのパスが到達する状態を、(特別)状態1024又は状態b'111_1111_1111と記載する。また、12Tの0のランのパスが到達する状態を、(特別)状態-2又は状態b'0000_0000_0000と記載するとともに、12Tの1のランのパスが到達する状態を、(特別)状態1025又は状態b'1111_1111_1111と記載する。
【0546】
以上のように、特別状態-2,-1,1024,1025を導入した拡張時変トレリスによれば、10Tのラン、11Tのラン、及び、FSエンティティの12Tのランの各長さのランのパスどうしがマージすることを抑制することができる。
【0547】
すなわち、拡張時変トレリスでは、例えば、10Tの1のランのパスは、状態1023に到達し、11Tの1のランのパスは状態1024に到達し、12Tの1のランのパスは状態1025に到達する。
【0548】
したがって、10Tのランのパスや、11Tのランのパス、12Tのランのパスが、同一の状態にマージすることを防止することができ、FS(FSエンティティ)の検出精度を向上させることができる。
【0549】
例えば、クロックずれが生じていない場合に、時刻tに、FSエンティティが有する2個の12Tのランのうちの1個目の12TのランのパスP0が、特別状態1025に到達することとする。パスP0は、状態1023、さらには、特別状態1024を経由して、特別状態1025に到達する。
【0550】
以上のように、クロックずれが生じていない場合に、時刻tに、パスP0が、特別状態1025に到達するときには、例えば、-1クロックのクロックずれが生じている場合には、1時刻前の時刻t-1に、パスP0は、特別状態1025に到達する。
【0551】
また、例えば、+1クロックのクロックずれが生じている場合には、1時刻後の時刻t+1に、パスP0は、特別状態1025に到達する。
【0552】
したがって、パスP0が特別状態1025に到達する時刻(FSエンティティが有する2個の12Tのランの1個目の12Tのランの最後の時刻)により、クロックずれの量と方向とを検出することができる。
【0553】
なお、PCWA110符号には、最小ランd=1及び最大ランk=10の制限の他、RMTRが2であるという制限がある。
【0554】
拡張時変トレリスは、最小ランd=1、及び、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iの他、RMTRが2であることに応じて制限することができる。
【0555】
拡張時変トレリスを、最小ランd=1、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#i、RMTRが2であることにより制限した場合、拡張時変トレリスが各時刻で取り得る状態の最大数は170個になり、取り得るブランチの最大数は272個になる。
【0557】
図32は、
図4の復元部35の構成例を示すブロック図である。
【0558】
すなわち、
図32は、復元部35の中で、拡張時変トレリスに従って最尤復号を行う最尤復号装置として機能し得る部分の構成例を示している。
【0559】
図32において、最尤復号装置としての復元部35は、ブランチメトリック生成部111、制限信号生成部112、ACS(Add Compare Select)部113
i、接続制御部114、及び、復号結果出力部115を有する。
【0560】
ブランチメトリック生成部111には、適応等化部34(
図4)から、等化信号yが供給される。
【0561】
ブランチメトリック生成部111は、適応等化部34からの等化信号yを用い、式(3)に従って、状態jから状態iへのブランチのブランチメトリックbm
jを計算することにより生成する。
【0562】
bm
j=(y−Σa
m×d(j,i)
CL-1-m)
2
・・・(3)
【0563】
式(3)において、a
mは、PRチャネルのインパルス応答列のm+1番目(Pr(a
0,a
1,...,a
CL-1)のm+1番目の係数a
m)を表す。d(j,i)
kは、状態jから状態iへのブランチを含むパスに対する、最新のCL個の時刻分の時系列の入力データのうちのk+1番目の入力データ(k+1番目に新しい入力データ)を表す(k=0,1,...,CL-1)。CLは、PRチャネルの拘束長を表す。Σは、mを、0からCL-1までの整数に変えてのサメーションを表す。
【0564】
式(3)によれば、ブランチメトリックbm
jは、PRチャネルのインパルス応答列a
0,a
1,...,a
CL-1、及び、状態jから状態iへのブランチを含むパスに対する、最新のCL個の時刻分の時系列の入力データd(j,i)
0,d(j,i)
1,...,d(j,i)
CL-1を畳み込んで得られるリファレンスレベルΣa
m×d(j,i)
CL-1-mと、等化信号yとの差の自乗として求められる。
【0565】
ここで、リファレンスレベルΣa
m×d(j,i)
CL-1-mは、CL個の時刻分の時系列の入力データd(j,i)
0,d(j,i)
1,...,d(j,i)
CL-1のすべてについて、あらかじめ求めておくことができる。
【0566】
ブランチメトリック生成部111は、拡張時変トレリスが取り得る各状態iについて、その状態iへのブランチとして取り得るブランチのブランチメトリックbm
jを計算し、状態iに対応するACS部113
iに供給する。
【0567】
制限信号生成部112には、符号処理部38の時刻情報生成部62(
図6)から、時刻情報が供給される。
【0568】
ここで、符号処理部38(の時刻情報生成部62)が制限信号生成部112に供給する時刻情報は、例えば、
図29で説明したように、拡張FS符号列FSA#iの左から3ビット目の時刻を、時刻t=5とする時刻tを表し、FS(と推測される位置)を基準とする時刻である。
【0569】
制限信号生成部112は、符号処理部38(の時刻情報生成部62)からの時刻情報が表す時刻tに応じて、拡張時変トレリスを、PCWA110符号の最小ランd,RMTR、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iに応じて制限する制限信号tLを生成し、ACS部113
iに供給する。
【0570】
ACS部113
iでは、制限信号tLに応じて、現在時刻の状態のステートメトリックの選択と、現在時刻の状態まで生き残る生き残りパスの選択とが制御され、これにより、PCWA110符号の最小ランd,RMTR、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#iに応じて制限された拡張時変トレリスに従って、FSの最尤復号が行われる。
【0571】
すなわち、ACS部113
iは、拡張時変トレリスの状態iに対応し、1時刻前の1以上の状態である、例えば、状態j=j0,j1,j2それぞれについて、その状態jのステートメトリックsm
jと、現在時刻の状態iへのブランチのブランチメトリックbm
jとを加算することにより、現在時刻の状態iのステートメトリックの候補を求める。
【0572】
さらに、ACS部113
iは、現在時刻の状態iのステートメトリックの候補を比較し、そのステートメトリックの候補から、値が最も小さい候補を、現在時刻の状態iのステートメトリックsm
iとして選択する。
【0573】
また、ACS部113
iは、1時刻前の状態j=j0,j1,j2それぞれまでの生き残りパスから、現在時刻の状態iまで生き残る生き残りパスを選択する。
【0574】
すなわち、ACS部113
iは、1時刻前の状態j=j0,j1,j2から、現在時刻の状態iのステートメトリックsm
iを求めるのに、ステートメトリックsm
jが用いられた状態jを、生き残り状態として、その生き残り状態jまでの生き残りパスに、生き残り状態jから現在時刻の状態iへのブランチを接続したパスを、現在時刻の状態iまで生き残る生き残りパスとして選択する。
【0575】
ACS部113
iは、以上のように、現在時刻の状態iのステートメトリックsm
iの選択と、現在時刻の状態iまで生き残る生き残りパスの選択とを行うが、これらの選択は、制限信号生成部112からの制限信号tLにより制御される。制限信号Tlによる制御により、FSの最尤復号に用いられる拡張時変トレリスは、最小ランd=1、及び、拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#i、RMTRに応じて制限される。
【0576】
ACS部113
iは、拡張時変トレリスが取り得る状態iに対応する。そのため、復元部35は、少なくとも、拡張時変トレリスが取り得る状態と同一の数だけのACS部113
iを有する。
【0577】
復元部35に、拘束長11に応じた数としての1024=2
10個の状態と、
図31で説明した特別状態-2,-1,1-24,1025との合計で1028個の状態に対応するACS部113
iを設けることにより、復元部35では、拡張時変トレリスに従ったFSの最尤復号だけでなく、拘束長が11の任意のPRについての最尤復号を行うことができる。
【0578】
以下、説明を簡単にするため、復元部35は、拘束長11に応じた数としての1024=2
10個の状態(通常状態)と、特別状態-2,-1,1-24,1025との合計で1028個の状態に対応するACS部113
iを有することとする。
【0579】
接続制御部114には、符号処理部38の時刻情報生成部62(
図6)から、時刻情報が供給される。
【0580】
接続制御部114は、符号処理部38(の時刻情報生成部62)からの時刻情報が表す時刻tに応じて、任意のACS部113
iとACS部113
jとの間の接続を制御し、ACS部113
iとACS部113
jとの間でのデータのやりとりを可能とする。
【0581】
また、接続制御部114は、符号処理部38からの時刻情報が表す時刻tに応じて、任意のACS部113
iと復号結果出力部115とを間の接続を制御し、ACS部113
iと復号結果出力部115との間でのデータのやりとりを可能とする。
【0582】
復号結果出力部115は、ACS部113
iから、接続制御部114を介して、各状態iのステートメトリックsm
iを受信し、ステートメトリックsm
iが最も小の状態iを認識する。
【0583】
さらに、復号結果出力部115は、ステートメトリックsm
iが最も小の状態iに対応するACS部113
iから、状態iまで生き残った生き残りパスを受信し、その生き残りパスに応じて、最尤復号の復号結果としてのビット列を求めて、チャネル復号部18(
図1)及び符号処理部38(
図4)に出力する。
【0585】
図33は、
図32のACS部113
iの構成例を示すブロック図である。
【0586】
図33において、ACS部113
iは、演算部121
0,121
1,121
2、選択制御部122、セレクタ123、ステートメトリックメモリ124、セレクタ131
1,131
2,・・・,131
L−1、及び、パスメモリ132
0,132
1,・・・,132
L−1を有する。
【0587】
演算部121
kは(k=0,1,2)、端子j#kを有する。演算部121
kの端子j#kには、状態j#kに対応するACS部113
j#kのステートメトリックメモリ124に記憶された、1時刻前の状態j#kのステートメトリックsm
j#kが、接続制御部114(
図32)を介して供給される。
【0588】
ここで、演算部121
kの端子j#kには、拡張時変トレリスに従い、現在時刻に、状態iに状態遷移が可能な状態j#kに対応するACS部113
j#kのステートメトリックメモリ124が、接続制御部114によって接続される。
【0589】
また、演算部121
kには、ブランチメトリック生成部111(
図32)から、状態j#kから状態iへのブランチのブランチメトリックbm
j#kが供給される。
【0590】
演算部121
kは、その演算部121
kの端子j#kに供給されるステートメトリックsm
j#kと、ブランチメトリック生成部111からのブランチメトリックbm
j#kとを加算することにより、現在時刻の状態iのステートメトリックの候補sm
j#k+bm
j#kを求め、セレクタ123の端子j#kに供給する。
【0591】
なお、演算部121
0及び121
1は、現在時刻の状態iのステートメトリックの候補sm
j0+bm
j0及びsm
j1bm
j1を、選択制御部122にも供給する。
【0592】
選択制御部122には、制限信号生成部112(
図32)から、制限信号tLが供給される。
【0593】
選択制御部122は、制限信号生成部112からの制限信号tLに応じて、選択信号sel
iを生成する。さらに、選択制御部122は、選択信号sel
iを、セレクタ123、及び、セレクタ131
1ないし131
L−1に供給することで、セレクタ123の端子j#kの選択、及び、セレクタ131
1ないし131
L−1それぞれの端子j#kの選択を制御する。
【0594】
なお、選択制御部122は、必要に応じて、演算部121
0及び121
0それぞれからの現在時刻の状態iのステートメトリックの候補sm
j0+bm
j0及びsm
j1bm
j1にも応じて、選択信号sel
iを生成する。
【0595】
セレクタ123の端子j#kの選択が、現在時刻の状態iのステートメトリックsm
iの選択に相当し、セレクタ131
1ないし131
L−1それぞれの端子j#kの選択が、現在時刻の状態iまでの生き残りパスの選択に相当する。
【0596】
セレクタ123は、選択制御部122からの選択信号sel
iに応じて、セレクタ123の端子j#kを選択し、これにより、その端子j#kに供給されるステートメトリックの候補sm
j#k+bm
j#kを、現在時刻の状態iのステートメトリックsm
iとして選択する。
【0597】
そして、セレクタ123は、現在時刻の状態iのステートメトリックsm
iを、ステートメトリックメモリ124に供給する。
【0598】
ステートメトリックメモリ124は、セレクタ123からの現在時刻の状態iのステートメトリックsm
iを記憶する。
【0599】
セレクタ131
rは(r=1,2,...,L-1)、端子j#kを有する。ここで、Lは、パスメモリ長を表す。セレクタ131
rの端子j#kには、ACS部113
j#kのパスメモリ132
rに記憶された、1時刻前の状態j#kまでの生き残りパスを構成するブランチを表すブランチ情報pm
j#k,rが、接続制御部114(
図32)を介して供給される。
【0600】
すなわち、演算部121
kの端子j#kと同様に、セレクタ131
rの端子j#kには、拡張時変トレリスに従い、現在時刻に、状態iに状態遷移が可能な状態j#kに対応するACS部113
j#kのパスメモリ132
rが、接続制御部114によって接続される。
【0601】
なお、本実施の形態では、演算部121
k及びセレクタ131
rの端子j#kに接続されるACS部113
j#kは、拡張時変トレリスに応じて、あらかじめ設定されている。
【0602】
すなわち、端子j0には、拡張時変トレリスに応じて、ACS部113
iに対応する状態iに遷移し得る状態のうちの、状態iの番号以下の番号の状態(通常状態又は特別状態)j0に対応するACS部113
j0が接続され、端子j1には、拡張時変トレリスに応じて、ACS部113
iに対応する状態iに遷移し得る状態のうちの、状態iの番号より大の番号の状態(通常状態又は特別状態)j1に対応するACS部113
j1が接続され得る。
【0603】
端子j2には、拡張時変トレリスに応じて、特別状態j2に対応するACS部113
j2のみが接続され得る。
【0604】
セレクタ131
rは、選択制御部122からの選択信号sel
iに応じて、セレクタ131
rの端子j#kを選択し、これにより、その端子j#kに供給される、1時刻前の状態j#kまでの生き残りパスを構成するブランチのブランチ情報pm
j#k,rを、現在時刻の状態iまで生き残る生き残りパスを構成するブランチのブランチ情報pm
i,r-1として選択する。
【0605】
そして、セレクタ131
rは、現在時刻の状態iまで生き残る生き残りパスを構成するブランチのブランチ情報pm
i,r-1を、パスメモリ132
r−1に供給する。
【0606】
パスメモリ132
rのうちの(r=0,1,...,L-1)、パスメモリ132
0ないし131
L−2であるパスメモリ132
rは、セレクタ131
r+1から供給される、現在時刻の状態iまで生き残る生き残りパスを構成するブランチのブランチ情報pm
i,r+1を記憶する。
【0607】
パスメモリ132
L−1は、状態j#kから状態iへのブランチを表すブランチ情報b
iを記憶する。
【0608】
ここで、状態j#kから状態iへのブランチのブランチ情報b
iは、状態遷移先の状態iによって一意に決まり、状態iを表す2進数の最下位ビットに等しい。
【0609】
セレクタ131
rにおいて、1時刻前の状態j#kまでの生き残りパスを構成するブランチのブランチ情報pm
j#k,rを、現在時刻の状態iまで生き残る生き残りパスを構成するブランチのブランチ情報pm
i,r-1として選択し、そのブランチ情報pm
i,r-1を、パスメモリ132
0ないし131
L−2に記憶するとともに、状態j#kから状態iへのブランチを表すブランチ情報b
iを、パスメモリ132
L−1に記憶することで、パスメモリ132
0ないし131
L−1の記憶内容は、状態iまでの生き残りパス(を構成するブランチ)に更新される。かかるパスメモリ132
0ないし131
L−1の記憶内容の更新の処理は、レジスタエクスチェンジと呼ばれる。
【0610】
以上のように構成されるACS部113
iでは、上述したように、セレクタ123及び131
rは、選択制御部122からの選択信号sel
iに応じて、端子j#kを選択するが、選択信号sel
iは、制限信号生成部112からの制限信号tLに応じて生成される。
【0611】
本実施の形態において、制限信号生成部112からの制限信号tLには、tL=0,1,2,3,4の5種類がある。
【0612】
制限信号tL=0である場合、選択制御部122は、ACS部131
iが対応する状態iが無効である(存在しない)として、選択信号sel
i=-1を出力する。選択信号sel
i=-1である場合、セレクタ123及び131
rは、動作を停止する(端子j#kの選択を行わない)。
【0613】
制限信号tL=1である場合、選択制御部122は、端子j0の選択を指示する選択信号sel
i=0を出力する。選択信号sel
i=0である場合、セレクタ123及び131
rは、端子j0を選択する。
【0614】
制限信号tL=2である場合、選択制御部122は、端子j1の選択を指示する選択信号sel
i=1を出力する。選択信号sel
i=1である場合、セレクタ123及び131
rは、端子j1を選択する。
【0615】
制限信号tL=3である場合、選択制御部122は、端子j0及びj1のうちの、演算部121
0及び121
0それぞれからの現在時刻の状態iのステートメトリックの候補sm
j0+bm
j0及びsm
j1bm
j1の中で小さい方の候補sm
j#k+bm
j#kが供給される方の端子j#kの選択を指示する選択信号sel
i=0又は1を出力する。上述したように、選択信号sel
i=0である場合、セレクタ123及び131
rは、端子j0を選択し、選択信号sel
i=1である場合、セレクタ123及び131
rは、端子j1を選択する。
【0616】
制限信号tL=4である場合、選択制御部122は、端子j2の選択を指示する選択信号sel
i=2を出力する。選択信号sel
i=2である場合、セレクタ123及び131
rは、端子j2を選択する。
【0617】
ここで、セレクタ123及び131
rの端子j0の選択は、その端子j0に接続されるACS部113
j0に対応する状態j0から状態iへのブランチの選択に相当し、端子j1の選択は、その端子j1に接続されるACS部113
j1に対応する状態j1から状態iへのブランチの選択に相当する。また、端子j2の選択は、その端子j2に接続されるACS部113
j2に対応する状態(特別状態)j2から状態iへのブランチの選択に相当する。
【0619】
図34は、
図6の符号処理部38の時刻情報生成部62が行う時刻情報生成処理の例を説明するフローチャートである。
【0620】
ステップS111において、時刻情報生成部62は、sync検出部61から、RUB(
図9)の先頭のフレームframe1のFSの区間を表すFSゲート信号が供給されるのを待って、そのFSゲート信号を受信することにより取得し、処理は、ステップS112に進む。
【0621】
ステップS112では、時刻情報生成部62は、sync検出部61からのFSゲート信号に応じて、フレームframe1のFSのFSエンティティの直前のECの始端のタイミングを認識する。そして、時刻情報生成部62は、フレームframe1のFSのFSエンティティの直前のECの始端のタイミング(FSエンティティの9Tだけ前のタイミング)で、時刻tを、初期値としての、例えば、4にリセットし、処理は、ステップS112からステップS113に進む。
【0622】
ここで、sync検出部61からのFSゲート信号が表すFSを含むフレームframe1を有するRUBを、注目RUBともいう。
【0623】
ステップS113では、時刻情報生成部62は、PLL32(
図4)が出力するチャネルクロックに同期した時刻tのカウント、及び、その時刻tを表す時刻情報の出力を開始し、処理は、ステップS114に進む。
【0624】
ステップS114では、時刻情報生成部62は、時刻tが、拡張時変トレリスが制限され得る最後の制限最終時刻(本実施の形態では、
図29及び
図30で説明した時刻t=50)以降の時刻である、例えば、51以内の時刻であるかどうかを判定する。
【0625】
ステップS114において、時刻tが51以内の時刻であると判定された場合、処理は、ステップS114に戻り、同様の処理が繰り返される。この場合、時刻tのカウント、及び、その時刻tを表す時刻情報の出力が続行される。
【0626】
一方、ステップS114において、時刻tが51以内の時刻でないと判定された場合、処理は、ステップS115に進み、時刻情報生成部62は、時刻tのカウント、及び、その時刻tを表す時刻情報の出力を停止し、処理は、ステップS116に進む。
【0627】
ステップS116では、時刻情報生成部62は、注目RUBの次のフレームのFSのFSエンティティの直前のECの始端のタイミング(FSエンティティの9Tだけ前のタイミング)になったかどうかを判定する。
【0628】
ここで、
図9に示したように、RUBでは、フレームのFSの後に、3,600cbitのフレームデータが続き、その後、次のフレームのFSが続く。
【0629】
そこで、時刻情報生成部62は、FSの終了後、3,600cbitのフレームデータ分のチャネルクロック、すなわち、3,600クロックのチャネルクロックをカウントすることで、注目RUBの次のフレームのFSのFSエンティティの直前のECの始端のタイミングになったかどうかを判定する。
【0630】
ステップS116において、注目RUBの次のフレームのFSのFSエンティティの直前のECの始端のタイミングになったと判定された場合、処理は、ステップS117に進む。
【0631】
ステップS117では、時刻情報生成部62は、注目RUBの次のフレームのFSのFSエンティティの直前のECの始端のタイミングで、ステップS112と同様に、時刻tを、初期値としての4にリセットして、処理は、ステップS113に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0632】
また、ステップS116において、注目RUBの次のフレームのFSのFSエンティティの直前のECの始端のタイミングになっていないと判定された場合、処理は、ステップS118に進む。
【0633】
ステップS118では、時刻情報生成部62は、注目RUBのRun_out(のsyn1)の再生が終了したかどうか、すなわち、sync検出部61が
図22で説明したsyncエリア可能性状態から初期状態に戻ったかどうかを判定する。
【0634】
ステップS118において、sync検出部61が初期状態に戻っていないと判定された場合、処理は、ステップS116に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0635】
また、ステップS118において、sync検出部61が初期状態に戻ったと判定された場合、すなわち、注目RUBの再生が終了し、次のRUBの再生が開始される場合、処理は、ステップS111に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0636】
以上の時刻情報生成処理によれば、時刻情報生成部62は、理想的には、FSエンティティの直前のECの始端のタイミング(FSエンティティの9Tだけ前のタイミング)で、時刻tを4にリセットして、チャネルクロックに同期した時刻tのカウントを開始し、制限最終時刻である50以降の時刻である、例えば、51までの時刻tをカウントすることを繰り返す。
【0638】
図35は、
図32の最尤復号装置としての復元部35が行う最尤復号処理を説明するフローチャートである。
【0639】
ステップS121において、制限信号生成部112及び接続制御部114は、符号処理部38の時刻情報生成部62(
図6)から、時刻情報(が表す時刻t)が供給されるのを待って、その時刻情報を取得し、処理は、ステップS122に進む。
【0640】
ここで、以降では、接続制御部114は、時刻情報生成部62からの時刻情報が表す時刻tに応じて、拡張時変トレリスで状態遷移が可能な状態i及び状態jそれぞれに対応するACS部113
i及びACS部113
jの間を接続し、ACS部113
iとACS部113
jとの間でのデータのやりとりを可能とする。
【0641】
すなわち、接続制御部114では、ACS部113
iの演算部121
kの端子j#kと、ACS部113
j#kのステートメトリックメモリ124とが接続されるとともに、ACS部113
iのセレクタ131
rの端子j#kと、ACS部113
j#kのパスメモリ132
rとが接続される。
【0642】
ステップS122では、制限信号生成部112は、時刻情報生成部62からの時刻情報が表す(現在)時刻tでの、拡張時変トレリスの(状態遷移の)制限を実行するための制限信号tLを、時刻tに存在する各状態iについて生成する。さらに、制限信号生成部112は、時刻tに存在する各状態iについて生成した制限信号tLを、その各状態iに対応するACS部113
iに供給して、処理は、ステップS122からステップS123に進む。
【0643】
ステップS123では、ブランチメトリック生成部111は、時刻tに存在する各状態iに状態遷移し得る、時刻t-1の状態jから、状態iへのブランチのブランチメトリックbm
jを、式(3)に従って計算することにより生成する。さらに、ブランチメトリック生成部111は、状態jから、状態iへのブランチのブランチメトリックbm
jを、状態iに対応するACS部113
iに供給し、処理は、ステップS123からステップS124に進む。
【0644】
ステップS124ないしS126では、拡張時変トレリスに存在する各状態iに対応するACS部113
iが、ACS処理を行う。
【0645】
すなわち、ステップS124において、ACS部113
iの演算部121
kが、その演算部121
kの端子j#kに供給される、状態iへの状態遷移が可能な状態(遷移可能状態)j#kに対応するACS部113
j#kからのステートメトリックsm
j#kと、ブランチメトリック生成部111からのブランチメトリックbm
j#kとを加算することにより、現在時刻tの状態iのステートメトリックの候補sm
j#k+bm
j#kを求める。さらに、演算部121
kは、現在時刻tの状態iのステートメトリックの候補sm
j#k+bm
j#kを、セレクタ123の端子j#kに供給し、処理は、ステップS124からステップS125に進む。
【0646】
なお、演算部121
0及び121
1は、現在時刻の状態iのステートメトリックの候補sm
j0+bm
j0及びsm
j1bm
j1を、選択制御部122にも供給する。
【0647】
ステップS125では、選択制御部122は、制限信号生成部112からの制限信号tLを用いるとともに、必要に応じて、演算部121
0及び121
1からの現在時刻の状態iのステートメトリックの候補sm
j0+bm
j0及びsm
j1bm
j1を用いて、選択信号sel
iを生成する。さらに、選択制御部122は、選択信号sel
iを、セレクタ123、及び、セレクタ131
rに供給し、処理は、ステップS125からステップS126に進む。
【0648】
ステップS126では、ACS部113
iは、選択制御部122で生成された選択信号sel
iに応じて動作する。
【0649】
選択信号sel
i=-1である場合、ACS部113
iは、動作を停止する。したがって、ACS部113
iのセレクタ123及び131
rも、動作を停止する(端子j#kの選択を行わない)。
【0650】
選択信号sel
i<>-1である場合、ACS部113
iは、選択信号sel
iに応じて、以下の選択処理を行う。
【0651】
すなわち、選択信号sel
i=0である場合、セレクタ123及び131
rが端子j0を選択することで、現在時刻tでの、ACS部113
iに対応する状態iへの状態遷移(ブランチ)の遷移元の状態として、状態j0が選択される。
【0652】
そして、セレクタ123が端子j0を選択することで、ステートメトリックメモリ124には、現在時刻tの状態iのステートメトリックの候補sm
j#k+bm
j#kのうちの、遷移元の状態j0のステートメトリックsm
j0を用いて求められた候補sm
j0+bm
j0が、現在時刻tの状態iのステートメトリックsm
iとして、セレクタ123を介して供給されて記憶される。
【0653】
また、セレクタ131
rが端子j0を選択することで、パスメモリ132
0ないし131
L−1の記憶内容を更新するレジスタエクスチェンジが行われる。すなわち、パスメモリ132
r−1(r=1,2,...L-1)には、遷移元の状態j0に対応するACS部113
j0からのブランチ情報pm
j0,rが、セレクタ131
rを介して供給されて記憶される。さらに、パスメモリ132
L−1に、遷移元の状態j0から状態iへのブランチを表すブランチ情報b
iが記憶される。
【0654】
選択信号sel
i=1である場合、セレクタ123及び131
rが端子j1を選択することで、現在時刻tでの、ACS部113
iに対応する状態iへの状態遷移(ブランチ)の遷移元の状態として、状態j1が選択される。
【0655】
そして、セレクタ123が端子j1を選択することで、ステートメトリックメモリ124には、現在時刻tの状態iのステートメトリックの候補sm
j#k+bm
j#kのうちの、遷移元の状態j1のステートメトリックsm
j1を用いて求められた候補sm
j1+bm
j1が、現在時刻tの状態iのステートメトリックsm
iとして、セレクタ123を介して供給されて記憶される。
【0656】
また、セレクタ131
rが端子j1を選択することで、パスメモリ132
0ないし131
L−1の記憶内容を更新するレジスタエクスチェンジが行われる。すなわち、パスメモリ132
r−1(r=1,2,...L-1)には、遷移元の状態j1に対応するACS部113
j1からのブランチ情報pm
j1,rが、セレクタ131
rを介して供給されて記憶される。さらに、パスメモリ132
L−1に、遷移元の状態j1から状態iへのブランチを表すブランチ情報b
iが記憶される。
【0657】
選択信号sel
i=2である場合、セレクタ123及び131
rが端子j2を選択することで、現在時刻tでの、ACS部113
iに対応する状態iへの状態遷移(ブランチ)の遷移元の状態として、状態j2が選択される。
【0658】
そして、セレクタ123が端子j2を選択することで、ステートメトリックメモリ124には、現在時刻tの状態iのステートメトリックの候補sm
j#k+bm
j#kのうちの、遷移元の状態j2のステートメトリックsm
j2を用いて求められた候補sm
j2+bm
j2が、現在時刻tの状態iのステートメトリックsm
iとして、セレクタ123を介して供給されて記憶される。
【0659】
また、セレクタ131
rが端子j2を選択することで、パスメモリ132
0ないし131
L−1の記憶内容を更新するレジスタエクスチェンジが行われる。すなわち、パスメモリ132
r−1(r=1,2,...L-1)には、遷移元の状態j2に対応するACS部113
j2からのブランチ情報pm
j2,rが、セレクタ131
rを介して供給されて記憶される。さらに、パスメモリ132
L−1に、遷移元の状態j2から状態iへのブランチを表すブランチ情報b
iが記憶される。
【0660】
その後、処理は、ステップS126からステップS121に戻り、以下、ステップS121ないしS126の処理が繰り返される。
【0661】
ステップS121ないしS126の処理が繰り返されることで、各状態iに対応するACS部113
iのステートメトリックメモリ124に記憶された状態iのステートメトリックsm
i、及び、パスメモリ132
rに記憶されたブランチ情報pm
i,rは、適宜、接続制御部114を介して、復号結果出力部115に供給される。
【0662】
復号結果出力部115は、各状態iのACS部113
iからの、各状態iのステートメトリックsm
iの中から、ステートメトリックsm
iが最も小の状態i(min)を認識する。
【0663】
さらに、復号結果出力部115は、ステートメトリックsm
iが最も小の状態i(min)に対応するACS部113
i(min)から、パスメモリ132
rに記憶されたブランチ情報pm
i,rを、接続制御部114を介して取得する。そして、復号結果出力部115は、ACS部113
i(min)のパスメモリ132
rから取得したブランチ情報pm
i,rで構成されるパスを、現在時刻tの状態i(min)まで生き残った生き残りパスとして、その生き残りパスに応じて、最尤復号の復号結果を求め、チャネル復号部18や符号化処理部38に供給する。
【0664】
<最尤復号処理の具体例>
図36は、拡張時変トレリスに従って行われる最尤復号処理の具体例を説明する図である。
【0665】
<<状態31に対応するACS部113
31>>
【0666】
拡張時変トレリスにおいて、状態31(=0x01F=b'00_0001_1111)を、注目状態として注目すると、注目状態31に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のAに示すように、状態15(=0x00F=b'00_0000_1111)及び状態527(=0x20F=b'10_0000_1111)が存在する。
【0667】
そのため、注目状態31に対応するACS部113
31の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0には、状態j0=15に対応するACS部113
15が接続され、状態15に関する情報が供給される。ACS部113
31の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1には、状態j1=527に対応するACS部113
527が接続され、状態527に関する情報が供給される。ACS部113
31の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、何も接続されない。
【0668】
図26で説明したことから、ブランチは、状態遷移前の状態を表す10ビットを上位ビットとするとともに、現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)を最下位ビットとする11ビットで表される。さらに、11ビットのブランチの下位10ビットは、状態遷移後の状態iを表す。
【0669】
したがって、状態15(=b'00_0000_1111)から注目状態31(=b'00_0001_1111)へのブランチは、ブランチb'000_0001_1111で表され、状態527(=b'10_0000_1111)から注目状態31へのブランチは、b'100_0001_1111で表される。
【0670】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態31については、ブランチ情報b
31は、1である。
【0671】
制限信号生成部112は、注目状態31については、時刻tに応じて、以下の制限信号tLを生成し、注目状態31に対応するACS部113
31に供給する。
【0672】
すなわち、時刻t<10である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=3を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態15に関する情報が供給される端子j0、又は、状態527に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0673】
状態15のステートメトリックsm
15を用いて求められる現在時刻tの注目状態31のステートメトリックの候補sm
15+bm
15と、状態527のステートメトリックsm
527を用いて求められる現在時刻tの注目状態31のステートメトリックの候補sm
527+bm
527との中で、状態15のステートメトリックsm
15を用いて求められる候補sm
15+bm
15の方が小さい場合、端子j0が選択される。
【0674】
また、状態527のステートメトリックsm
527を用いて求められる候補sm
527+bm
527の方が小さい場合、端子j1が選択される。
【0675】
時刻t=10である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31は、動作しない。
【0676】
時刻tが11<=t<14で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=3を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態15に関する情報が供給される端子j0、又は、状態527に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0677】
時刻tが14<=t<16で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31は、動作しない。
【0678】
時刻tが16<=t<19で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態527に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0679】
時刻tが19<=t<28で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31は、動作しない。
【0680】
時刻tが28<=t<31で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態15に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0681】
時刻tが31<=t<40で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31は、動作しない。
【0682】
時刻tが40<=t<43で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態15に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0683】
時刻tが43<=t<45で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31は、動作しない。
【0684】
時刻tが45<=t<48で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態527に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0685】
時刻tが48<=t<50で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31は、動作しない。
【0686】
時刻t=50である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態527に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0687】
時刻t>=51である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=3を生成する。この場合、注目状態31に対応するACS部113
31では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態15に関する情報が供給される端子j0、又は、状態527に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0688】
<<状態511に対応するACS部113
511>>
【0689】
拡張時変トレリスにおいて、状態511(=0x1FF=b'01_1111_1111)を、注目状態として注目すると、注目状態511に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のBに示すように、状態255(=0x0FF=b'00_1111_1111)が存在する。
【0690】
そのため、注目状態511に対応するACS部113
511の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0には、状態j0=255に対応するACS部113
255が接続され、状態255に関する情報が供給される。ACS部113
511の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1、並びに、ACS部113
511の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、何も接続されない。
【0691】
図26で説明したことから、ブランチは、状態遷移前の状態を表す10ビットを上位ビットとするとともに、現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)を最下位ビットとする11ビットで表される。さらに、11ビットのブランチの下位10ビットは、状態遷移後の状態iを表す。
【0692】
したがって、状態255(=b'00_1111_1111)から注目状態511(=b'01_1111_1111)へのブランチは、ブランチb'001_1111_1111で表される。
【0693】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態511については、ブランチ情報b
511は、1である。
【0694】
制限信号生成部112は、注目状態511については、時刻tに応じて、以下の制限信号tLを生成し、注目状態511に対応するACS部113
511に供給する。
【0695】
すなわち、時刻t<9である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態511に対応するACS部113
511では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態255に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0696】
時刻tが9<=t<20で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態511に対応するACS部113
511は、動作しない。
【0697】
時刻tが20<=t<23で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態511に対応するACS部113
511では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態255に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0698】
時刻tが23<=t<32で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態511に対応するACS部113
511は、動作しない。
【0699】
時刻tが32<=t<35で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態511に対応するACS部113
511では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態255に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0700】
時刻tが35<=t<49で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態511に対応するACS部113
511は、動作しない。
【0701】
時刻t>=49である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態511に対応するACS部113
511では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態255に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0702】
<<状態574に対応するACS部113
574>>
【0703】
拡張時変トレリスにおいて、状態574(=0x23E=b'10_0011_1110)を、注目状態として注目すると、注目状態574に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のCに示すように、状態799(=0x31F=b'11_0001_1111)が存在する。
【0704】
そのため、注目状態574に対応するACS部113
574の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1には、状態j1=799に対応するACS部113
799が接続され、状態799に関する情報が供給される。ACS部113
574の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0、並びに、ACS部113
574の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、何も接続されない。
【0705】
図26で説明したことから、ブランチは、状態遷移前の状態を表す10ビットを上位ビットとするとともに、現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)を最下位ビットとする11ビットで表される。さらに、11ビットのブランチの下位10ビットは、状態遷移後の状態iを表す。
【0706】
したがって、状態799(=b'11_0001_1111)から注目状態574へのブランチは、b'110_0011_1110で表される。
【0707】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態574については、ブランチ情報b
574は、0である。
【0708】
制限信号生成部112は、注目状態574については、時刻tに応じて、以下の制限信号tLを生成し、注目状態574に対応するACS部113
574に供給する。
【0709】
すなわち、時刻t<11である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態574に対応するACS部113
574では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態799に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0710】
時刻t=11である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態574に対応するACS部113
574は、動作しない。
【0711】
時刻tが12<=t<15で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態574に対応するACS部113
574では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態799に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0712】
時刻tが15<=t<49で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態574に対応するACS部113
574は、動作しない。
【0713】
時刻t>=49である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態574に対応するACS部113
574では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態799に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0714】
<<状態-1に対応するACS部113
−1>>
【0715】
拡張時変トレリスにおいて、特別状態-1を、注目状態として注目すると、注目状態-1に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のDに示すように、状態0が存在する。
【0716】
そのため、注目状態-1に対応するACS部113
−1の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0には、状態j0=0に対応するACS部113
0が接続され、状態0に関する情報が供給される。ACS部113
−1の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1、並びに、ACS部113
−1の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、何も接続されない。
【0717】
状態0(=b'00_0000_0000)から注目状態-1へのブランチは、ブランチb'000_0000_0000で表される。
【0718】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態-1については、ブランチ情報b
-1は、0である。
【0719】
制限信号生成部112は、注目状態-1については、時刻tに応じて、以下の制限信号tLを生成し、注目状態-1に対応するACS部113
−1に供給する。
【0720】
すなわち、時刻t<22である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態-1に対応するACS部113
−1は、動作しない。
【0721】
時刻tが22<=t<25で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態-1に対応するACS部113
−1では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態0に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0722】
時刻tが25<=t<34で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態-1に対応するACS部113
−1は、動作しない。
【0723】
時刻tが34<=t<37で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態-1に対応するACS部113
−1では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態0に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0724】
時刻t>=37である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態-1に対応するACS部113
−1は、動作しない。
【0725】
<<状態1024に対応するACS部113
1024>>
【0726】
拡張時変トレリスにおいて、特別状態1024を、注目状態として注目すると、注目状態1024に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のEに示すように、状態1023が存在する。
【0727】
そのため、注目状態1024に対応するACS部113
1024の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1には、状態j1=1023に対応するACS部113
1023が接続され、状態1023に関する情報が供給される。ACS部113
1024の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0、並びに、ACS部113
1024の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、何も接続されない。
【0728】
状態1023(=b'11_0001_1111)から注目状態1024へのブランチは、b'111_1111_1111で表される。
【0729】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態1024については、ブランチ情報b
1024は、1である。
【0730】
制限信号生成部112は、注目状態1024については、時刻tに応じて、以下の制限信号tLを生成し、注目状態1024に対応するACS部113
1024に供給する。
【0731】
すなわち、時刻t<22である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1024に対応するACS部113
1024は、動作しない。
【0732】
時刻tが22<=t<25で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態1024に対応するACS部113
1024では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態1023に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0733】
時刻tが25<=t<34で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1024に対応するACS部113
1024は、動作しない。
【0734】
時刻tが34<=t<37で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態1024に対応するACS部113
1024では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態1023に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0735】
時刻t>=37である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1024に対応するACS部113
1024は、動作しない。
【0736】
<<状態-2に対応するACS部113
−2>>
【0737】
拡張時変トレリスにおいて、特別状態-2を、注目状態として注目すると、注目状態-2に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のFに示すように、状態-1が存在する。
【0738】
そのため、注目状態-2に対応するACS部113
−2の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0には、状態j0=-1に対応するACS部113
−1が接続され、状態-1に関する情報が供給される。ACS部113
−2の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1、並びに、ACS部113
−2の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、何も接続されない。
【0739】
状態-1から注目状態-2へのブランチは、ブランチb'000_0000_0000で表される。
【0740】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態-2については、ブランチ情報b
-2は、0である。
【0741】
制限信号生成部112は、注目状態-2については、時刻tに応じて、以下の制限信号tLを生成し、注目状態-2に対応するACS部113
−2に供給する。
【0742】
すなわち、時刻t<23である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態-2に対応するACS部113
−2は、動作しない。
【0743】
時刻tが23<=t<26で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態-2に対応するACS部113
−2では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態-1に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0744】
時刻tが26<=t<35で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態-2に対応するACS部113
−2は、動作しない。
【0745】
時刻tが35<=t<38で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=1を生成する。この場合、注目状態-2に対応するACS部113
−2では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態-1に関する情報が供給される端子j0が選択される。
【0746】
時刻t>=38である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態-2に対応するACS部113
−2は、動作しない。
【0747】
<<状態1025に対応するACS部113
1025>>
【0748】
拡張時変トレリスにおいて、特別状態1025を、注目状態として注目すると、注目状態1025に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のGに示すように、状態1024が存在する。
【0749】
そのため、注目状態1025に対応するACS部113
1025の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1には、状態j1=1024に対応するACS部113
1024が接続され、状態1024に関する情報が供給される。ACS部113
1025の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0、並びに、ACS部113
1025の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、何も接続されない。
【0750】
状態1024から注目状態1025へのブランチは、b'111_1111_1111で表される。
【0751】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態1025については、ブランチ情報b
1025は、1である。
【0752】
制限信号生成部112は、注目状態1025については、時刻tに応じて、以下の制限信号tLを生成し、注目状態1025に対応するACS部113
1025に供給する。
【0753】
すなわち、時刻t<23である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1025に対応するACS部113
1025は、動作しない。
【0754】
時刻tが23<=t<26で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態1025に対応するACS部113
1025では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態1024に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0755】
時刻tが26<=t<35で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1025に対応するACS部113
1025は、動作しない。
【0756】
時刻tが35<=t<38で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=2を生成する。この場合、注目状態1025に対応するACS部113
1025では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態1024に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0757】
時刻t>=38である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1025に対応するACS部113
1025は、動作しない。
【0758】
<<状態1に対応するACS部113
1>>
【0759】
拡張時変トレリスにおいて、状態1(=0x001=b'00_0000_0001)を、注目状態として注目すると、注目状態1に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のHに示すように、状態0(=0x000=b'00_0000_0000)、状態512(=0x200=b'10_0000_0000)、及び、状態-2が存在する。
【0760】
そのため、注目状態1に対応するACS部113
1の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0には、状態j0=0に対応するACS部113
0が接続され、状態0に関する情報が供給される。ACS部113
1の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1には、状態j1=512に対応するACS部113
512が接続され、状態512に関する情報が供給される。ACS部113
1の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、状態(特別状態)j2=-2に対応するACS部113
−2が接続され、状態-2に関する情報が供給される。
【0761】
状態0(=b'00_0000_0000)から注目状態1(=b'00_0000_0001)へのブランチは、ブランチb'000_0000_0001で表される。状態512(=b'10_0000_0000)から注目状態1へのブランチは、b'100_0000_0001で表される。状態-2から注目状態1へのブランチは、b'000_0000_0001で表される。
【0762】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態1については、ブランチ情報b
1は、1である。
【0763】
制限信号生成部112は、注目状態1については、時刻tに応じて、以下の制限信号tLを生成し、注目状態1に対応するACS部113
1に供給する。
【0764】
すなわち、時刻t<10である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=3を生成する。この場合、注目状態1に対応するACS部113
1では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態0に関する情報が供給される端子j0、又は、状態512に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0765】
状態0のステートメトリックsm
0を用いて求められる現在時刻tの注目状態1のステートメトリックの候補sm
0+bm
0と、状態512のステートメトリックsm
512を用いて求められる現在時刻tの注目状態1のステートメトリックの候補sm
512+bm
512との中で、状態0のステートメトリックsm
0を用いて求められる候補sm
0+bm
0の方が小さい場合、端子j0が選択される。
【0766】
また、状態512のステートメトリックsm
512を用いて求められる候補sm
512+bm
512の方が小さい場合、端子j1が選択される。
【0767】
時刻tが10<=t<24で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1に対応するACS部113
1は、動作しない。
【0768】
時刻tが24<=t<27で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=4を生成する。この場合、注目状態1に対応するACS部113
1では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態-2に関する情報が供給される端子j2が選択される。
【0769】
時刻tが27<=t<36で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1に対応するACS部113
1は、動作しない。
【0770】
時刻tが36<=t<39で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=4を生成する。この場合、注目状態1に対応するACS部113
1では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態-2に関する情報が供給される端子j2が選択される。
【0771】
時刻tが39<=t<50で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1に対応するACS部113
1は、動作しない。
【0772】
時刻t>=50である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=3を生成する。この場合、注目状態1に対応するACS部113
1では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態0に関する情報が供給される端子j0、又は、状態512に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0773】
<<状態1022に対応するACS部113
1022>>
【0774】
拡張時変トレリスにおいて、状態1022(=0x3FE=b'11_1111_1110)を、注目状態として注目すると、注目状態1022に状態遷移が可能な遷移可能状態としては、
図36のIに示すように、状態511(=0x1FF=b'01_1111_1111)、状態1023(=0x3FF=b'11_1111_1111)、及び、状態1025が存在する。
【0775】
そのため、注目状態1022に対応するACS部113
1022の演算部121
0及びセレクタ131
rの端子j0には、状態j0=511に対応するACS部113
511が接続され、状態511に関する情報が供給される。ACS部113
1022の演算部121
1及びセレクタ131
rの端子j1には、状態j1=1023に対応するACS部113
1023が接続され、状態1023に関する情報が供給される。ACS部113
1022の演算部121
2及びセレクタ131
rの端子j2には、状態(特別状態)j2=1025に対応するACS部113
1025が接続され、状態1025に関する情報が供給される。
【0776】
状態511(=b'01_1111_1111)から注目状態1022(=b'11_1111_1110)へのブランチは、ブランチb'011_1111_1110で表される。状態1023(=b'11_1111_1111)から注目状態1022へのブランチは、b'111_1111_1110で表される。状態1025から注目状態1022へのブランチは、b'111_1111_1110で表される。
【0777】
現在時刻の入力データ(最尤復号の復号結果)であるブランチの最下位ビットは、そのブランチのブランチ情報b
iであり、注目状態1022については、ブランチ情報b
1022は、0である。
【0778】
制限信号生成部112は、注目状態1022については、時刻tに応じて、上述の状態1の場合と同様の制限信号tLを生成し、注目状態1022に対応するACS部113
1022に供給する。
【0779】
すなわち、時刻t<10である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=3を生成する。この場合、注目状態1022に対応するACS部113
1022では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態511に関する情報が供給される端子j0、又は、状態1023に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0780】
状態511のステートメトリックsm
511を用いて求められる現在時刻tの注目状態1022のステートメトリックの候補sm
511+bm
511と、状態1023のステートメトリックsm
1023を用いて求められる現在時刻tの注目状態1022のステートメトリックの候補sm
1023+bm
1023との中で、状態511のステートメトリックsm
511を用いて求められる候補sm
511+bm
511の方が小さい場合、端子j0が選択される。
【0781】
また、状態1023のステートメトリックsm
1023を用いて求められる候補sm
1023+bm
1023の方が小さい場合、端子j1が選択される。
【0782】
時刻tが10<=t<24で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1022に対応するACS部113
1022は、動作しない。
【0783】
時刻tが24<=t<27で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=4を生成する。この場合、注目状態1022に対応するACS部113
1022では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態1025に関する情報が供給される端子j2が選択される。
【0784】
時刻tが27<=t<36で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1022に対応するACS部113
1022は、動作しない。
【0785】
時刻tが36<=t<39で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=4を生成する。この場合、注目状態1022に対応するACS部113
1022では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態1025に関する情報が供給される端子j2が選択される。
【0786】
時刻tが39<=t<50で表される範囲の時刻である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=0を生成する。この場合、注目状態1022に対応するACS部113
1022は、動作しない。
【0787】
時刻t>=50である場合、制限信号生成部112は、拡張時変トレリスの制限を実現するために、制限信号tL=3を生成する。この場合、注目状態1022に対応するACS部113
1022では、セレクタ123及び131
rにおいて、状態511に関する情報が供給される端子j0、又は、状態1023に関する情報が供給される端子j1が選択される。
【0788】
拡張時変トレリスは、
図36に示したように、2個の通常状態のうちのいずれかから通常状態へのブランチ(
図36のA)、1個の通常状態から通常状態へのブランチ(
図36のB及びC)、1個の通常状態から特別状態へのブランチ(
図36のD及びE)、1個の特別状態から特別状態へのブランチ(
図36のF及びG)、並びに、2個の通常状態及び1個の特別状態のうちのいずれかから通常状態へのブランチ(
図36のH及びI)を有する。
【0789】
上述の場合には、状態31,511,574,-1,1024,-2,1025,1,1022のそれぞれについて行われる最尤復号処理を説明したが、拡張時変トレリスの他の状態についても、同様の最尤復号処理が行われる。
【0790】
<クロックずれの検出と、データゲート信号の生成>
【0791】
図37は、クロックずれの検出と、データゲート信号の生成とを説明する図である。
【0792】
拡張FS符号列FSA#i,FSB#i,FSC#i(
図28)により制限された拡張時変トレリスに従ってFSのFSエンティティの最尤復号を行うことにより、その最尤復号の復号結果としての、NRZI表現でのFSエンティティの中心の1の位置は、クロックずれが生じている方向に、クロックずれの量に応じたビット数だけずれる。したがって、FSエンティティの最尤復号(ビタビ復号)の復号結果から、クロックずれを、精度良く検出することができる。
【0793】
すなわち、FSエンティティの最尤復号の復号結果として、拡張FS符号列FSA#iが得られた場合には、+1クロックのクロックずれがあることを検出することができる。FSエンティティの最尤復号の復号結果として、拡張FS符号列FSB#iが得られた場合には、クロックずれがないことを検出することができる。FSエンティティの最尤復号の復号結果として、拡張FS符号列FSC#iが得られた場合には、-1クロックのクロックずれがあることを検出することができる。
【0794】
クロックずれ検出部63(
図6)は、復元部35からのFS(のFSエンティティ)の最尤復号の復号結果に応じて、クロックずれを検出し、そのクロックずれの検出結果を表すずれ検出情報を、データゲート信号生成部64に供給する。
【0795】
データゲート信号生成部64は、クロックずれ検出部63からのずれ検出情報に応じて、FSに続くフレームデータ(
図9)の区間を正確に表すデータゲート信号を生成し、チャネル復号部18に供給する。
【0796】
チャネル復号部18は、復元部35からの最尤復号の復号結果としてのPCWA110符号の符号列から、データゲート信号生成部64からのデータゲート信号が表す区間の符号列、すなわち、フレームデータを抽出する。
【0797】
そして、チャネル復号部18は、フレームデータとしてのPCWA110符号の復号(チャネル復号)を行い、その復号により得られるフレームデータ、すなわち、DCCビットが付加されたrowデータを、DCC削除部19(
図1)に供給する。
【0798】
以上のように、
図1の記録再生装置1では、光ディスク16に、Run_in(
図9)の同期パターンsyn0が、隣接する2つのランド及びグルーブで、一定のずれ量だけトラック方向にずれて記録されるので、Run_inの同期パターンsyn0をロバストに検出することができる。
【0799】
さらに、Run_inの同期パターンsyn0をロバストに検出することができることから、Run_inに続くフレームの先頭のFS(のFSエンティティ)の区間を、ある程度の精度で特定することができる。
【0800】
そして、そのように、ある程度の精度で特定された、FSの区間を対象に、拡張時変トレリスを用いて、FS(のFSエンティティ)の最尤復号を行うことができる。
【0801】
また、FSには、PRの拘束長以上の長さ(本実施の形態では12T)のランを有するFSエンティティが含まれるとともに、拡張時変トレリスには、PRの拘束長に応じた状態である通常状態と、通常状態以外の特別状態とが含まれる。
【0802】
この場合、FSエンティティの、PRの拘束長以上の長さのランに対応するパスは、拡張時変トレリスにおいて、特別状態に到達し(状態遷移し)、FSエンティティの、PRの拘束長以上の長さのランに対応するパスと、PRの拘束長未満の長さのランに対応するパスとが、同一の状態(通常状態)にマージすることが抑制される。その結果、FS(FSエンティティ)の検出精度を向上させることができる。
【0803】
さらに、クロックずれがない場合のFS、及び、クロックずれがある場合のFSに応じて、状態及びブランチ(状態遷移)を制限した拡張時変トレリスに従って、FSの最尤復号を行いことにより、その最尤復号の復号結果から、クロックずれを精度良く検出することができる。
【0804】
また、クロックずれの検出結果により、FSに続くフレームデータの区間を、正確に特定することができる。
【0805】
その結果、高密度に記録されたフレームデータをロバストに再生することができる。
【0806】
以下、
図9の場合と異なるRUBのフォーマット、すなわち、RUBのフォーマットのバリエーションについて説明する。
【0808】
図38は、
図1のDCC付加部12で構成されるフレームの他の例を説明する図である。
【0809】
DCC付加部12は、
図8で説明したように、ECCブロックから、フレームデータを構成する。
【0810】
すなわち、DCC付加部12は、ECCブロックを、1行の2,360dbitのデータであるrowデータに分割する。
【0811】
さらに、DCC付加部12は、ECCブロックから分割した各rowデータを、40個の、59dbitのデータdata1ないしdata40に分割する。そして、DCC付加部12は、各データdata#i(
図38では、i=1,2,・・・,40)の先頭に、1ビットのDCCビットdcc#iを付加し、これにより、2,360dbitのrowデータから、2,400dbitのフレームデータを構成する。
【0812】
2,400dbitのフレームデータは、40セットのデータdata#i及びDCCビットdcc#iのセットから構成される。
【0813】
DCC付加部12は、フレームデータの先頭に、FSを付加するとともに、フレームデータの終わりに、ECを付加し、これにより、先頭から、FS、フレームデータ、及び、ECが配置されたフレームframe#iを構成する。
【0814】
1個のECCブロックは、982個(行)のrowデータで構成されるため、1個のECCブロックからは、982個のフレームframe1ないしframe982が構成される。
【0815】
ここで、
図8では、(チャネル符号化前の)FSは、26dbitのパターンであったが、
図38(以降)では、FSは、20dbitのパターンになっており、その詳細については、後述する。さらに、フレームデータに付加される(チャネル符号化前の)ECは、
図8の場合と同様の6dbitのパターンである。
【0816】
したがって、
図38において、1個のフレームframe#iは、20dbitのFS、2,400dbitのフレームデータ、6dbitのECからなる2,426dbitのデータとなり、フレーム長(データ長)は、
図8のフレームと一致する。
【0817】
DCC付加部12は、982個のフレームframe1ないしframe982の集まりを、フレームクラスタとして、チャネル符号化部13(
図1)に供給する。
【0819】
図39は、
図38のフレームクラスタを対象とした、チャネル符号化部13でのチャネル符号化の例を説明する図である。
【0820】
チャネル符号化部13は、DCC付加部12から供給される
図38のフレームクラスタを、例えば、PCWA110符号等にチャネル符号化する。PCWA110符号は、
図1で説明したように、符号化率が2/3の符号であるため、チャネル符号化後のフレームクラスタのサイズ(ビット数)は、チャネル符号化前の3/2倍のサイズになる。
【0821】
すなわち、
図38のフレームクラスタを構成する各フレームframe#iのサイズは、2,426dbitの3/2倍の3,639cbitとなる。なお、フレームframe#iの先頭の20dbitのFSのサイズは、20dbitの3/2倍の30T(30cbit)となり、フレームframe#iの終わりの6dbitECのサイズは、6dbitの3/2倍の9T(9cbit)となる。
【0822】
チャネル符号化後のフレームクラスタのサイズは、3,639cbitのフレームの982個分のサイズである3,573,498 cbit(=3,639cbit×982個)になる。
【0823】
チャネル符号化部13でPCWA110符号に符号化されたフレームクラスタは、RUB構成部14に供給される。RUB構成部14では、チャネル符号化部13からのフレームクラスタを用いて、RUBが構成される。
【0825】
図40は、
図39の30TのFSの構成例を示す図である。
【0826】
30TのFS(20cbitのFSのPCWA符号化等後のFS)は、12T×2のFSエンティティ、及び、6TのBCが、その順で配置されて構成される。
【0827】
したがって、30TのFSは、
図11の39TのFSから、先頭の9TのECを除いたパターン(簡易FS)になっている。
【0828】
ここで、以下、
図40の30TのFSを、新FSともいう。
【0830】
図41は、
図1のRUB構成部14で構成されるRUBの他の例を説明する図である。
【0831】
RUB構成部14は、チャネル符号化部13からの
図39のフレームクラスタの先頭と最後とに、RUBの先頭を表すRun_inとRUBの最後を表すRun_outとをそれぞれ付加するとともに、フレームクラスタを構成するフレームの1つ以上の先頭に、光ディスク16の記録や再生の処理の制御に補助的に用いられる補助制御パターンAPCSYを付加することで、RUBを構成する。
【0832】
図41において、Run_inのサイズは、4,614Tになっており、Run_outのサイズは、252Tになっている。
【0833】
補助制御パターンAPCSYは、例えば、3つのフレームframe247,frame492、及び、frame738の先頭にそれぞれ付加される。補助制御パターンAPCSYのサイズは、804Tになっている。
【0834】
RUBにおいて、フレームクラスタ以外の部分のサイズ、すなわち、RUB構成部14でフレームクラスタに付加されるRun_in,Run_out、及び、3つの補助制御パターンAPCSYの合計のサイズ4,614T+252T+804T×3は、3,639cbitのフレームの2個分のサイズ3,639T×2=7,278Tに等しい。
【0835】
ここで、補助制御パターンAPCSYは、主として、(PLL32のチャネルクロックの)タイミングリカバリに用いられるパターンであり、そのため、3つの補助制御パターンAPCSYは、ほぼ等間隔になるように、フレームクラスタに挿入(付加)される。
【0836】
すなわち、フレームクラスタの先頭(Run_inの終わり)から、1番目の補助制御パターンAPCSY(フレームframe247の先頭に付加される補助制御パターンAPCSY)までのフレーム数は、246フレームになっている。さらに、1番目の補助制御パターンAPCSYから、2番目の補助制御パターンAPCSY(フレームframe492の先頭に付加される補助制御パターンAPCSY)までのフレーム数は、245フレームになっている。また、2番目の補助制御パターンAPCSYから、3番目の補助制御パターンAPCSY(フレームframe738の先頭に付加される補助制御パターンAPCSY)までのフレーム数は、246フレームになっている。そして、3番目の補助制御パターンAPCSYから、フレームクラスタの終わり(Run_outの先頭)までのフレーム数は、245フレームになっている。
【0837】
以上のように、補助制御パターンAPCSYの間隔は、245フレーム又は246フレームになっている。
【0838】
ここで、
図41のRUBを、以下、標準RUBともいう。
【0839】
標準RUBでは、Run_in(及びRun_out)の他、補助制御パターンAPCSYでも、タイミングリカバリ等を行うことができる。
【0840】
標準RUBにおいて、フレームframe#iの先頭には、新FSが配置され、フレームframe#iの終わりには、ECが配置される。したがって、フレームframe#i内のフレームデータは、新FSを構成するBCとECとで挟まれており、標準RUBは、
図9のRUBと同様に、BC、フレームデータ、ECが、その順で並んだデータ構造を有する。BC、フレームデータ、ECの順で並んだデータ構造では、
図11で説明したように、符号化状態が、状態S5から開始し、状態S3に終端する。
【0841】
以上のように、固定の状態(例えば、状態S5)から開始し、固定の状態(例えば、状態S3)に終端するデータ構造を構成するフレームデータでは、
図11で説明したように、PCWA110符号化前のフレームデータのエッジの数の奇遇性と、PCWA110符号化後のフレームデータのエッジの数の奇遇性との関係が一定になる。その結果、PCWA110符号化前のフレームデータ(rowデータ)へのDCCビットの付加により、DC制御を行うことができる。
【0842】
ところで、光ディスク16の記録領域には、ユーザデータが記録されるユーザデータ領域と、管理情報が記録される管理領域とがある。
【0843】
管理情報は、それほどのデータ量ではないため、そのような管理情報を、982フレームをも有する標準RUBで記録すると、管理情報が配置されないフレームが生じ、光ディスク16の記録領域を無駄に消費することがあり得る。
【0844】
そこで、RUB構成部14では、標準RUBの他、標準RUBよりもフレーム数が少ない短縮RUBを構成することができ、光ディスク16には、標準RUBの他、短縮RUBの単位で、記録を行うことができる。
【0845】
図42は、
図1のRUB構成部14で構成される短縮RUBの例を説明する図である。
【0846】
短縮RUBでは、フレームクラスタが、121フレームで構成される。したがって、短縮RUBを構成する場合、DCC付加部12(
図1)は、121フレームで構成されるフレームクラスタを構成する。
【0847】
RUB構成部14は、フレームクレスタの先頭と最後とに、標準RUBと同様のRun_inとRun_outとをそれぞれ付加するとともに、Run_outに続けて、2,412Tの付加Run_outを付加することで、短縮RUBを構成する。
【0848】
短縮RUBのサイズは、標準RUBのサイズの約1/8になる。
【0849】
なお、短縮RUBは、標準RUBが有する3つの補助制御パターンAPCSYを有しない。フレーム数が982フレームと多い標準RUBでは、245又は246フレームごとに、タイミングリカバリ等に用いることができる補助制御パターンAPCSYがあることは、効果的であるが、フレーム数が121フレームと少ない短縮RUBでは、標準RUBの補助制御パターンAPCSYの間隔よりも短い間隔で、タイミングリカバリ等に用いることができるRun_inが存在するからである。
【0850】
また、RUB構成部14は、短縮RUBを構成するにあたって、標準RUBと短縮RUBとの親和性を考慮し、短縮RUBにおいて、フレームクラスタ以外の部分のサイズを、標準RUBと同様の、フレームの2個分のサイズ3,639T×2=7,278Tとするため、短縮RUBに、付加Run_outを付加する。付加Run_outのサイズは、3つの補助制御パターンAPCSYの合計のサイズ804T×3=2,412Tに等しい。
【0852】
図43は、
図41及び
図42の4,614TのRun_inの構成例を示す図である。
【0853】
図12で説明したように、隣接する2つのトラックのフレームデータどうしの相互相関は、ゼロ、又は、ゼロに近い小さい値になる傾向があるため、隣接する2つのトラックのRun_inとしては、隣接する2つのトラックのフレームデータと同様に、相互相関が小さいパターン(理想的には、相互相関がゼロのパターン)を採用することが望ましい。
【0854】
そこで、光ディスク16のRun_inは、同期パターンsyn0が、隣接する2つのトラックで、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれて記録されているように構成されている。
【0855】
図43は、光ディスク16の隣接する2つのトラックとしての、ペアになっているグルーブG及びランドLに記録されるRun_inの例を示している。
【0856】
図12で説明したように、光ディスク16のペアのグルーブG及びランドLには、トラック方向の同一位置に並ぶ形で、Run_in(ひいてはRUB)が記録される。
【0857】
図43において、Run_inは、4,614Tのパターンであり、その先頭から、4,050Tの引き込みエリアと、564TのRUBSYNCエリアとが配置されて構成される。
【0858】
なお、
図12の場合と同様に、グルーブRun_in(グルーブGに記録されるRun_in)及びランドRun_in(ランドLに記録されるRun_in)の構成は、逆でもよい。
【0859】
Run_inにおいて、引き込みエリアは、90Tのa1パターン又はa2パターンと、90Tのb1パターン又はb2パターンとが、合計で45個だけ配置されて構成される。
【0860】
すなわち、グルーブRun_inの引き込みエリア(以下、グルーブ引き込みエリアともいう)は、N個の90Tのa1パターンと、45-N個の90Tのb1パターンとが、その順で配置されて構成される。ランドRun_inの引き込みエリア(以下、ランド引き込みエリアともいう)は、N個の90Tのa2パターンと、45-N個の90Tのb2パターンとが、その順で配置されて構成される。
【0861】
a1パターン及びa2パターンとしては、相互相関が小さいパターン(理想的には、相互相関がゼロのパターン)を採用することができる。同様に、b1パターン及びb2パターンとしては、相互相関が小さいパターン(理想的には、相互相関がゼロのパターン)を採用することができる。
【0862】
引き込みエリア(の再生信号)は、XTCの学習や、PLL32でのチャネルクロックの所望の周波数への引き込み、HPF41のタップ係数の調整、AGC42でのゲインの調整等に用いられる。
【0863】
a1パターン及びa2パターンそれぞれとしては、PLL32が早期にロックすることを優先させるために、2T及び3Tを含まないパターン、すなわち、1Tと、4T以上のランとで構成されるパターンを採用することができる。
【0864】
b1パターン及びb2パターンそれぞれとしては、XTCの学習としてのLMSを考慮して、ランダムなパターン、すなわち、PCWA110符号がとり得る、様々な長さのランが出現するパターンを採用することができる。
【0865】
ここで、a1パターン及びa2パターンをまとめて、aパターンともいう。同様に、b1パターン及びb2パターンをまとめて、bパターンともいう。
【0866】
aパターン及びbパターンとするパターンや、aパターンの数N(及びbパターンの数45-N)は、例えば、レジスタ群21Aに設定される。RUB構成部14は、レジスタ群21A(
図1)の設定値(記憶値)に従い、Run_inを構成する。
【0867】
なお、オプションとして、引き込みエリアの先頭には、記録再生系15が光ディスク16に照射するレーザ光のAPC(Auto Power Control)に用いる200TのAPCパターンを配置することができる。
【0868】
引き込みエリアの先頭に、APCパターンを配置するかどうかは、例えば、外部からコマンドを入力することにより指定することができる。コマンドでは、併せて、APCパターンを配置するRUBを指定することができる。
【0869】
引き込みエリアの先頭に、APCパターンを配置する場合、APCパターンは、aパターンに上書きするような形で配置される。
【0870】
ここで、後述するように、補助制御パターンAPCSYにも、オプションで、APCパターンを配置することができる。引き込みエリアの先頭に、APCパターンが配置される場合、補助制御パターンAPCSYにも、APCパターンが配置される。一方、引き込みエリアの先頭に、APCパターンが配置されない場合、補助制御パターンAPCSYにも、APCパターンは配置されない。
【0871】
Run_inにおいて、RUBSYNCエリアは、複数としての、例えば、4個の60Tの同期パターンsyn0(
図13)が配置されて構成される。
【0872】
また、グルーブRun_inのRUBSYNCエリア(以下、グルーブRUBSYNCエリアともいう)の同期パターンsyn0と、ランドRun_inのRUBSYNCエリア(以下、ランドRUBSYNCエリアともいう)の同期パターンsyn0とは、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずらして配置される。
【0873】
そのため、RUBSYNCエリアでは、同期パターンsyn0どうしの間に、1つのnc0パターン、0個以上のスペーサパターンsp1、及び、0個以上のスペーサパターンsp2が配置される。
【0874】
すなわち、
図43において、グルーブRUBSYNCエリアは、同期パターンsyn0#G1、nc0パターン、同期パターンsyn0#G2、スペーサパターンsp1、nc0パターン、スペーサパターンsp2、同期パターンsyn0#G3、スペーサパターンsp1,sp2、nc0パターン、スペーサパターンsp1,sp2、同期パターンsyn0#G4、スペーサパターンsp1,sp2,sp1、nc0パターン、スペーサパターンsp1、及び、終端パターンtp1が、その順で配置されて構成される。
【0875】
ランドRUBSYNCエリアは、nc0パターン、同期パターンsyn0#L1、nc0パターン、スペーサパターンsp2、同期パターンsyn0#L2、スペーサパターンsp1、nc0パターン、スペーサパターンsp2,sp1、同期パターンsyn0#L3、スペーサパターンsp2,sp1、nc0パターン、スペーサパターンsp2,sp1,sp2、同期パターンsyn0#L4、スペーサパターンsp2、及び、終端パターンtp2が、その順で配置されて構成される。
【0876】
nc0パターンは、同期パターンsyn0と同一のサイズの60Tのパターンであり、nc0パターンとしては、同期パターンsyn0との相互相関が小さいパターン(理想的には、相互相関がゼロのパターン)を採用することができる。
【0877】
スペーサパターンsp1は、6T(のラン)のパターンであり、スペーサパターンsp2は、3T/3T(のラン)のパターンである。3T/3Tのスペーサパターンsp2は、6Tのスペーサパターンsp1によるDC成分の増加を抑制する。
【0878】
スペーサパターンsp1及びsp2は、トラック方向に並ぶ2つの同期パターンsyn0の間隔を、ユニークな間隔にするために配置される。
【0879】
ここで、スペーサパターンsp1及びsp2をまとめて、スペーサパターンspともいう。
【0880】
終端パターンtp1及びtp2は、RUBSYNCエリアの最後に配置される24Tのパターンである。
【0881】
図43では、Run_in、さらには、RUBの中で、トラック方向に並ぶ2つの同期パターンsyn0の間隔を、ユニークな間隔にするように、グルーブRUBSYNCエリアの2つの同期パターンsyn0の間には、偶数個(0は偶数とする)のスペーサパターンspが配置され、ランドRUBSYNCエリアの2つの同期パターンsyn0の間には、奇数個のスペーサパターンspが配置されている。
【0882】
すなわち、グルーブRUBSYNCエリアの1番目の同期パターンsyn0#G1と、2番目の同期パターンsyn0#G2との間には、0個のスペーサパターンspが配置され、これにより、同期パターンsyn0#G1とsyn0#G2との間隔は、1つのnc0パターンと0個のスペーサパターンspとの合計のサイズである60T=60T+0Tになっている。
【0883】
グルーブRUBSYNCエリアの2番目の同期パターンsyn0#G2と、3番目の同期パターンsyn0#G3との間には、2個のスペーサパターンsp(1個のスペーサパターンsp1及び1個のスペーサパターンsp2)が配置され、これにより、同期パターンsyn0#G2とsyn0#G3との間隔は、1つのnc0パターンと2個のスペーサパターンspとの合計のサイズである72T=60T+6T×2になっている。
【0884】
グルーブRUBSYNCエリアの3番目の同期パターンsyn0#G3と、4番目の同期パターンsyn0#G4との間には、4個のスペーサパターンsp(2個のスペーサパターンsp1及び2個のスペーサパターンsp2)が配置され、これにより、同期パターンsyn0#G3とsyn0#G4との間隔は、1つのnc0パターンと4個のスペーサパターンspとの合計のサイズである84T=60T+6T×4になっている。
【0885】
ランドRUBSYNCエリアの1番目の同期パターンsyn0#L1と、2番目の同期パターンsyn0#L2との間には、1個のスペーサパターンsp(1個のスペーサパターンsp2)が配置され、これにより、同期パターンsyn0#L1とsyn0#L2との間隔は、1つのnc0パターンと1個のスペーサパターンspとの合計のサイズである66T=60T+6Tになっている。
【0886】
ランドRUBSYNCエリアの2番目の同期パターンsyn0#L2と、3番目の同期パターンsyn0#L3との間には、3個のスペーサパターンsp(2個のスペーサパターンsp1及び1個のスペーサパターンsp2)が配置され、これにより、同期パターンsyn0#L2とsyn0#L3との間隔は、1つのnc0パターンと3個のスペーサパターンspとの合計のサイズである78T=60T+6T×3になっている。
【0887】
ランドRUBSYNCエリアの3番目の同期パターンsyn0#L3と、4番目の同期パターンsyn0#L4との間には、5個のスペーサパターンsp(2個のスペーサパターンsp1及び3個のスペーサパターンsp2)が配置され、これにより、同期パターンsyn0#L3とsyn0#L4との間隔は、1つのnc0パターンと5個のスペーサパターンspとの合計のサイズである90T=60T+6T×5になっている。
【0888】
図43のRun_inでは、以上のように、隣り合う任意の2個の同期パターンsyn0の間隔がユニークになっているので、同期パターンsyn0を検出することにより、最新の同期パターンsyn0と、その直前に検出された同期パターンsyn0との間隔から、最新の同期パターンsyn0(及び直前に検出された同期パターンsyn0)の位置を特定することができる。
【0889】
図43では、スペーサパターンspのサイズ(長さ)が6Tであるため、2個の同期パターンsyn0の間隔は、6Tの単位で異なる間隔にすることができる。
【0890】
図44は、
図43のnc0パターン、並びに、終端パターンtp1及びtp2の例を示す図である。
【0891】
nc0パターンとしては、例えば、3T/3T/5T/7T/5T/7T/7T/5T/7T/5T/3T/3Tの60Tのパターンを採用することができる。
【0892】
終端パターンtp1としては、例えば、8T/8T/4T/4Tの24Tのパターンを採用することができ、終端パターンtp2としては、例えば、4T/8T/8T/4Tの24Tのパターンを採用することができる。
【0893】
ここで、終端パターンtp1及びtp2としては、
図44に示したように、4T(のラン)で終端するパターンを採用することができる。
【0894】
標準RUBでは、
図41に示したように、フレームの先頭及び終わりに、30Tの新FS及び9TのECが、それぞれ配置される。
【0895】
いま、説明を簡単にするため、補助制御パターンAPCSYを無視することとすると、標準RUBでは、フレームframe1以外のフレームframe#iでは、そのフレームframe#iの先頭の新FSの直前に、1フレーム前のフレームframe#i-1のECが存在する。
【0896】
ECは、
図11で説明したように、最後のランが、5T又は4Tのパターンであるから、フレームframe1以外のフレームframe#iの新FSの直前には、最小でも、4Tのランが存在する。
【0897】
終端パターンtp1及びtp2として、
図44に示したように、4Tで終端するパターンを採用することにより、フレームframe1の新FSの直前に、終端パターンtp1及びtp2の終端の4Tのランが存在することとなり、その結果、フレームframe1と、フレームframe1以外のフレームframe#iとの親和性を向上させることができる。
【0898】
なお、同期パターンsyn0が、隣接する(ペアの)2つのトラックで、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれている場合としては、
図12で説明した、同期パターンsyn0が、隣接する2つのトラックで、一定のずれ量だけトラック方向にずれている場合と同様の場合がある。
【0899】
すなわち、同期パターンsyn0が、隣接する2つのトラックで、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれている場合としては、光ディスク16の任意の1つのトラックTK(n)と、そのトラックTK(n)に隣接する内周側のトラックTK(n-1)、及び、外周側のトラックTK(n+1)のそれぞれとで、同期パターンsyn0が、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれている場合、光ディスク16の奇数番目のトラックTK(2n'-1)と、そのトラックTK(2n'-1)の外周側の偶数番目のトラックTK(2n')とで、同期パターンsyn0が、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれている場合がある。
【0900】
奇数番目のトラックTK(2n'-1)と、偶数番目のトラックTK(2n')とで、同期パターンsyn0が、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれている場合、偶数番目のトラックTK(2n')と、そのトラックTK(2n')の外周側の奇数番目のトラックTK(2n'+1)とで、同期パターンsyn0が、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれているかどうかは、問わない。
【0902】
図45は、
図41の804Tの補助制御パターンAPCSYの構成例を示す図である。
【0903】
すなわち、光ディスク16の隣接する2つのトラックとしての、ペアになっているグルーブG及びランドLに記録される補助制御パターンAPCSYの例を示している。
【0904】
図12で説明したように、光ディスク16のペアのグルーブG及びランドLには、トラック方向の同一位置に並ぶ形で、Run_in(ひいてはRUB)が記録されるため、補助制御パターンAPCSYも、グルーブG及びランドLに、トラック方向の同一位置に並ぶ形で記録される。
【0905】
グルーブGに記録される補助制御パターンAPCSY(以下、グルーブ補助制御パターンAPCSYともいう)は、8個の60Tのnc1パターン、同期パターンsyn0、スペーサパターンsp1,sp2,sp1、nc0パターン、スペーサパターンsp1,sp2,sp1、同期パターンsyn0、スペーサパターンsp1,sp2,sp1,sp2,nc0パターン、及び、終端パターンtp1が、その順で配置されて構成される。
【0906】
ランドLに記録される補助制御パターンAPCSY(以下、ランド補助制御パターンAPCSYともいう)は、8個の60Tのnc2パターン、nc0パターン、スペーサパターンsp2,sp1,sp2、同期パターンsyn0、スペーサパターンsp2,sp1,sp2、nc0パターン、スペーサパターンsp2,sp1,sp2,sp1、同期パターンsyn0、及び、終端パターンtp2が、その順で配置されて構成される。
【0907】
なお、
図43で説明したように、Run_inの引き込みエリアの先頭には、オプションで、200TのAPCパターンを配置することができる。
【0908】
Run_inの引き込みエリアの先頭に、APCパターンを配置する場合、補助制御パターンAPCSYにも、APCパターンが配置される。
【0909】
すなわち、補助制御パターンAPCSYには、先頭から60Tだけ空けた位置に、200TのAPCパターンを、nc1パターンやnc2パターンに上書きするような形で配置することができる。
【0910】
補助制御パターンAPCSYにおいて、nc1パターン及びnc2パターンとしては、相互相関が小さいパターン(理想的には、相互相関がゼロのパターン)を採用することができる。
【0911】
また、グルーブ補助制御パターンAPCSYの同期パターンsyn0と、ランド補助制御パターンAPCSYの同期パターンsyn0とは、
図43のRUBSYNCエリアと同様に、ドラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずらして配置される。
【0912】
そのため、補助制御パターンAPCSYでは、
図43のRUBSYNCエリアと同様に、同期パターンsyn0どうしの間に、1つのnc0パターン、0個以上のスペーサパターンsp1、及び、0個以上のスペーサパターンsp2が配置される。
【0913】
図45では、RUBの中で、トラック方向に並ぶ2つの同期パターンsyn0の間隔を、ユニークな間隔にするように、グルーブ補助制御パターンAPCSYの2つの同期パターンsyn0の間には、グルーブRUBSYNCエリア(
図43)と同様に、偶数個のスペーサパターンspが配置され、ランド補助制御パターンAPCSYの2つの同期パターンsyn0の間には、ランドRUBSYNCエリア(
図43)と同様に、奇数個のスペーサパターンspが配置されている。
【0914】
すなわち、グルーブ補助制御パターンAPCSYの1番目の同期パターンsyn0と、2番目の同期パターンsyn0との間には、6個のスペーサパターンsp(4個のスペーサパターンsp1及び2個のスペーサパターンsp2)が配置され、これにより、1番目の同期パターンsyn0と2番目の同期パターンsyn0との間隔は、1つのnc0パターンと6個のスペーサパターンspとの合計のサイズである96T=60T+6T×6になっている。
【0915】
ランド補助制御パターンAPCSYの1番目の同期パターンsyn0と、2番目の同期パターンsyn0との間には、7個のスペーサパターンsp(3個のスペーサパターンsp1及び4個のスペーサパターンsp2)が配置され、これにより、1番目の同期パターンsyn0と2番目の同期パターンsyn0との間隔は、1つのnc0パターンと7個のスペーサパターンspとの合計のサイズである102T=60T+6T×7になっている。
【0916】
したがって、Run_inの同期パターンsyn0の他、補助制御パターンAPCSYの同期パターンsyn0についても、2個の同期パターンsyn0の間隔から、最新の同期パターンsyn0の位置を特定することができる。
【0917】
なお、
図41で説明したように、補助制御パターンAPCSYは、3つのフレームframe247,frame492、及び、フレームframe738の先頭にそれぞれ付加されるが、ここでは、フレームframe247,frame492、及び、フレームframe738に付加される補助制御パターンAPCSYは、同一のパターンであるため、その補助制御パターンAPCSYの2個の同期パターンsyn0の間隔だけでは、検出(再生)された同期パターンsyn0が、3つのフレームframe247,frame492、及び、フレームframe738のうちのいずれのフレームに付加された補助制御パターンAPCSYの同期パターンsyn0であるのかまでは、特定することができない。
【0918】
補助制御パターンAPCSYの2個の同期パターンsyn0の間隔だけで、検出された同期パターンsyn0が、3つのフレームframe247,frame492、及び、フレームframe738のうちのいずれのフレームに付加された補助制御パターンAPCSYの同期パターンsyn0であるのかまでを特定するには、フレームframe247に付加される補助制御パターンAPCSY、フレームframe492に付加される補助制御パターンAPCSY、及び、フレームframe738に付加される補助制御パターンAPCSYのそれぞれとして、2個の同期パターンsyn0の間隔がユニークな、別個の補助制御パターンAPCSYを用意する必要がある。
【0919】
同期の観点からは、フレームframe247に付加される補助制御パターンAPCSY、フレームframe492に付加される補助制御パターンAPCSY、及び、フレームframe738に付加される補助制御パターンAPCSYのそれぞれとして、2個の同期パターンsyn0の間隔がユニークな補助制御パターンAPCSYを用意することが望ましい。
【0920】
但し、この場合、2個の同期パターンsyn0の間隔が長くなり、補助制御パターンAPCSYのサイズ(長さ)を、
図45の804Tよりも大にする必要が生じる。
【0921】
補助制御パターンAPCSYのサイズを大にする場合、
図41で説明したように、RUBのRun_in,Run_out、及び、3つの補助制御パターンAPCSYの合計のサイズを、フレームの2個分のサイズに維持しようとすると、補助制御パターンAPCSYのサイズを大にする分だけ、例えば、Run_inの引き込み区間等を小にする必要が生じる。Run_inの引き込み区間を小にすると、例えば、PLL32でのチャネルクロックの引き込み等に影響する。
【0922】
したがって、フレームframe247に付加される補助制御パターンAPCSY、フレームframe492に付加される補助制御パターンAPCSY、及び、フレームframe738に付加される補助制御パターンAPCSYのそれぞれとして、2個の同期パターンsyn0の間隔がユニークな補助制御パターンAPCSYを用意するかどうかは、同期の観点と、PLL32でのチャネルクロックの引き込み等への影響の観点とのうちのいずれを優先すべきか等によって決定することができる。
【0923】
なお、補助制御パターンAPCSYは、終端パターンtp1又はtp2で終端している。したがって、補助制御パターンAPCSYに続くフレームframe247,frame492、及び、フレームframe738の新FSの直前には、終端パターンtp1又はtp2の終端の4Tのランが存在する。
【0924】
したがって、補助制御パターンAPCSYが付加されるフレームframe247,frame492、及び、フレームframe738と、補助制御パターンAPCSYが付加されないフレーム(直前のフレームのECに続けて配置されるフレーム)とでは、いずれのフレームでも、新FSの直前に、最小でも、4Tのランが存在する。
【0925】
これにより、補助制御パターンAPCSYが付加されるフレームframe247,frame492、及び、フレームframe738と、補助制御パターンAPCSYが付加されないフレームとの親和性を向上させることができる。
【0926】
図46は、
図45の補助制御パターンAPCSYの先頭に配置される60Tのnc1パターン及びnc2パターンの例を示す図である。
【0927】
nc1パターンとしては、例えば、4T/4T/8T/4T/3T/7T/4T/4T/8T/4T/3T/7Tの60Tのパターンを採用することができる。
【0928】
nc2パターンとしては、例えば、8T/4T/4T/7T/3T/4T/8T/4T/4T/7T/3T/4Tの60Tのパターンを採用することができる。
【0929】
nc1パターン及びnc2パターンは、例えば、レジスタ群21Aに設定される。RUB構成部14は、レジスタ群21A(
図1)の設定値に従い、Run_in(の補助制御パターンAPCSY)を構成する。
【0930】
<Run_out及び付加Run_out>
【0932】
隣接する2つのグルーブG及びランドLのうちのグルーブGの252TのRun_out(以下、グルーブRun_outともいう)は、72TのSY1パターン、及び、2個の90Tのa1パターンが、その順で配置されて構成される。
【0933】
また、隣接する2つのグルーブG及びランドLのうちのランドLの252TのRun_out(以下、ランドRun_outともいう)は、72TのSY1パターン、及び、2個の90Tのa2パターンが、その順で配置されて構成される。
【0934】
72TのSY1パターンとしては、例えば、12T/12T/12T/12T/12T/12Tのパターンを採用することができる。
【0935】
a1パターン及びa2パターンとしては、
図43のRun_inで説明したように、相互相関が小さいパターンを採用することができる。
【0936】
グルーブRun_outに続く2,412Tの付加Run_outは、例えば、26個のa1パターン、及び、12個の6Tの所定のパターンが、その順で配置されて構成される。
【0937】
ランドRun_outに続く2,412Tの付加Run_outは、例えば、26個のa2パターン、及び、12個の6Tの所定のパターンが、その順で配置されて構成される。
【0939】
図48は、RUB構成する14が標準RUB(
図41)や短縮RUB(
図42)を構成する場合の、
図6のsync検出部61が行うsync検出処理の例を説明するフローチャートである。
【0940】
ステップS211において、sync検出部61は、復元部35(
図6)からの復元結果から、同期パターンsyn0を検出したかどうかを判定し、検出していないと判定した場合、処理は、ステップS211に戻る。
【0941】
そして、ステップS211において、同期パターンsyn0を検出したと判定された場合、処理は、ステップS212に進み、sync検出部61は、今回検出された最新の同期パターンsyn0と、前回検出された同期パターンsyn0(以下、前回の同期パターンsyn0ともいう)との間隔(以下、syn0間隔ともいう)を検出する。
【0942】
その後、処理は、ステップS212からステップS213に進み、sync検出部61は、syn0間隔が不正な間隔になっているかどうかを判定する。ここで、不正な間隔とは、syn0間隔として取り得ない短すぎる間隔や、長すぎる間隔を意味する。
【0943】
ステップS213において、syn0間隔が不正な間隔になっていると判定された場合、すなわち、例えば、最新の同期パターンsyn0や前回の同期パターンsyn0の検出が誤検出であり、そのため、syn0間隔が不正な間隔になっている場合、処理は、ステップS211に戻る。
【0944】
また、ステップS213において、syn0間隔が不正な間隔になっていないと判定された場合、処理は、ステップS214に進む。ステップS214では、sync検出部61は、syn0間隔に応じて、最新の同期パターンsyn0の位置(復元部35からの復元結果に含まれる最新の同期パターンsyn0の位置)を特定し、処理は、ステップS215に進む。
【0945】
図43及び
図45で説明したように、syn0間隔は、RUBの中でユニークな間隔になっているので、syn0間隔に応じて、最新の同期パターンsyn0の、RUB内の位置を特定することができる(但し、補助制御パターンAPCSY内の同期パターンsyn0については、フレームを特定することができないことがある)。
【0946】
ステップS215では、sync検出部61は、ステップS214で特定した最新の同期パターンsyn0の位置に基づき、その最新の同期パターンsyn0が、Run_in内の同期パターンsyn0であるかどうかを判定する。
【0947】
ステップS215において、最新の同期パターンsyn0が、Run_in内の同期パターンsyn0でないと判定された場合、処理は、ステップS211に戻る。
【0948】
また、ステップS215において、最新の同期パターンsyn0が、Run_in内の同期パターンsyn0であると判定された場合、処理は、ステップS216に進む。
【0949】
ステップS216では、sync検出部61は、最新の同期パターンsyn0の位置に応じて、その最新の同期パターンsyn0の直後に出現するフレームframe1のFS(
図41、
図42、
図43)の区間を表すFSゲート信号を生成する。そして、sync検出部61は、FSゲート信号を、時刻情報生成部62(
図6)に供給して、処理は、ステップS216からステップS211に戻る。
【0950】
以上のように、標準RUB(
図41)(及び短縮RUB(
図42))では、光ディスク16において、同期パターンsyn0が、隣接する2つのトラックとしてのグルーブG及びランドLで、トラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれて記録されるので、グルーブG及びランドLのうちの一方のトラックの同期パターンsyn0の再生時に、他方のトラックの同期パターンsyn0による干渉を抑制することができる。したがって、光ディスク16に、データを高密度に記録し、さらに、そのように高密度に記録されたデータをロバストに再生することができる。
【0951】
また、同期パターンsyn0は、トラック方向に並ぶ2つの同期パターンsyn0の間隔がユニークになるように記録されるので、光ディスク16の再生にあたっては、2つの同期パターンsyn0の間隔から、同期パターンsyn0の位置を特定することができる。そして、Run_in内の同期パターンsyn0の位置が特定された場合には、その同期パターンsyn0を含むRun_inの直後のフレームの先頭のFSを正確に検出することができ、その結果、光ディスク16に、データを高密度に記録し、さらに、そのように高密度に記録されたデータをロバストに再生することができる。
【0952】
<本技術を適用したコンピュータの説明>
【0953】
次に、上述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0954】
図49は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0955】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク205やROM203に予め記録しておくことができる。
【0956】
あるいはまた、プログラムは、リムーバブル記録媒体211に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体211は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。ここで、リムーバブル記録媒体211としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0957】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体211からコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵するハードディスク205にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
【0958】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)202を内蔵しており、CPU202には、バス201を介して、入出力インタフェース210が接続されている。
【0959】
CPU202は、入出力インタフェース210を介して、ユーザによって、入力部207が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)203に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU202は、ハードディスク205に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)204にロードして実行する。
【0960】
これにより、CPU202は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU202は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース210を介して、出力部206から出力、あるいは、通信部208から送信、さらには、ハードディスク205に記録等させる。
【0961】
なお、入力部207は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部206は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
【0962】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0963】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0964】
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0965】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0966】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0967】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0968】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0969】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0970】
なお、本技術は、以下の構成をとることができる。
【0971】
<1>
同期をとるための同期パターンが、隣接する2つのトラックで、トラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれて記録されている
ディスク状記録媒体。
<2>
前記隣接する2つのトラックは、ランド及びグルーブである
<1>に記載のディスク状記録媒体。
<3>
トラック方向に並ぶ2つの前記同期パターンの間隔が、ユニークである
<1>又は<2>に記載のディスク状記録媒体。
<4>
前記ディスク状記録媒体の記録及び再生のうちの少なくとも一方を行う装置のチャネルクロックの周期をTとするとき、
前記同期パターンの間隔は、6Tの単位で異なる
<3>に記載のディスク状記録媒体。
<5>
ユーザデータが、(d,k)RLL符号に符号化されて記録され、
前記同期パターンは、前記(d,k)RLL符号の最大ランkより大のランが繰り返されるパターンである
<1>ないし<4>のいずれかに記載のディスク状記録媒体。
<6>
ECC(Error Correction Coding)処理に用いられるパリティを含むECCブロックの始まりを表すRun_inが記録され、
複数の前記同期パターンが、前記Run_inに含まれ、
トラック方向に並ぶ2つの前記同期パターンの間隔は、前記Run_inの中でユニークである
<1>ないし<5>のいずれかに記載のディスク状記録媒体。
<7>
前記ディスク状記録媒体に対する記録は、RUB(Recording Unit Block)を記録単位として行われ、
前記RUBは、
前記Run_inと、
前記ECCブロックを分割したデータを含む複数のフレームと、
前記ディスク状記録媒体の処理の制御に用いられる制御パターンと、
前記ECCブロックの終わりを表すRun_outと
を含み、
複数の前記同期パターンが、前記制御パターンにも含まれる
<6>に記載のディスク状記録媒体。
<8>
前記制御パターンに含まれる2つの前記同期パターンの間隔は、前記RUBの中でユニークである
<7>に記載のディスク状記録媒体。
<9>
前記RUBに含まれる2つの前記同期パターンの間隔は、前記RUBの中でユニークである
<7>又は<8>に記載のディスク状記録媒体。
<10>
前記RUBは、所定のBC(Begin Code)、及び、所定のEC(End Code)を含み、
前記BCは、前記フレームの先頭に配置され、
前記ECは、前記フレームの終わりに配置される
<6>ないし<9>のいずれかに記載のディスク状記録媒体。
<11>
前記EC及び前記BCは、ユーザデータの符号化に用いる(d,k)RLL符号の符号規則を満たすランを有するパターンである
<10>に記載のディスク状記録媒体。
<12>
前記(d,k)RLL符号は、PCWA(Parity-Complementary Word Assignment)110符号であり、
前記ECは、PCWA110符号へのPCWA符号化により遷移する符号化状態が取り得る各状態から、特定の1状態に終端するパターンであり、
前記BCは、前記符号化状態が取り得る状態のうちの所定の1状態から前記符号化状態が開始するパターンである
<11>に記載のディスク状記録媒体。
<13>
所定のFSエンティティと前記BCとを含むFS(Frame Sync)が、前記フレームの先頭に配置され、
前記FSエンティティは、前記(d,k)RLL符号の最大ランkより大のランが繰り返されるパターンである
<11>又は<12>に記載のディスク状記録媒体。
<14>
前記フレームの、前記BCと前記ECとの間に配置されるフレームデータには、DC(Direct Current)制御を行うDCC(Direct Current Control)ビットが規則的に配置される
<10>ないし<13>のいずれかに記載のディスク状記録媒体。
<15>
同期をとるための同期パターンを、ディスク状記録媒体の隣接する2つのトラックで、トラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずらして記録する記録部を備える
記録装置。
<16>
前記記録部は、トラック方向に並ぶ2つの前記同期パターンの間隔が、ユニークになるように、前記同期パターンを記録する
<15>に記載の記録装置。
<17>
同期をとるための同期パターンを、ディスク状記録媒体の隣接する2つのトラックで、トラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずらして記録する
ことを含む記録方法。
<18>
同期をとるための同期パターンが、隣接する2つのトラックで、トラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれて記録されているディスク状記録媒体から再生信号を再生する再生部を備える
再生装置。
<19>
トラック方向に並ぶ2つの前記同期パターンの間隔がユニークになるように、前記同期パターンが記録されており、
前記再生信号から、前記同期パターンを検出し、2つの前記同期パターンの間隔に応じて、前記同期パターンの位置を特定する検出部をさらに備える
<18>に記載の再生装置。
<20>
同期をとるための同期パターンが、隣接する2つのトラックで、トラック方向の位置が重複しないようにトラック方向にずれて記録されているディスク状記録媒体から再生信号を再生する
ことを含む再生方法。