(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。
【0013】
〔ケアサポートシステム〕
図1は、本実施形態のケアサポートシステム1の概略の構成を示す説明図である。ケアサポートシステム1は、介護施設に入居している被介護者や、病院に入院している患者(被看護者)の日常の生活を支援するためのシステムであり、見守りシステムとも呼ばれている。被介護者および被看護者は、ケアサポートシステム1による支援の対象、つまり、後述する画像認識システム20や電波検出部30での認識や検出等によって管理される対象者(被検者)である。ここでは、例として、ケアサポートシステム1が介護施設内で構築されている場合について説明する。
【0014】
介護施設には、スタッフステーション100および居室101が設けられている。スタッフステーション100は、介護施設で過ごす被介護者の生活をサポートする介護者のいわゆる詰め所である。このスタッフステーション100には、管理サーバー100aおよび表示部100bが設けられている。管理サーバー100aは、通信回線200を介して、居室101に設置される後述の動体検知ユニット10と通信可能に接続される端末装置であり、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)を含んで構成される。なお、通信回線200は、例えば有線LAN(Local Area Network)で構成されるが、無線LANであっても勿論構わない。
【0015】
管理サーバー100aは、通信回線200を介して、動体検知ユニット10から送信される各種の情報(例えば居室101内の撮影画像や被介護者の生体情報(例えば呼吸状態を示す情報))を受信して管理するとともに、受信した情報を表示部100bに表示する処理を行う。これにより、介護施設の介護者は、表示部100bに表示された情報を見て、被介護者の健康状態等を把握することができる。表示部100bは、例えばパーソナルコンピュータのディスプレイで構成することができる。また、後述する画像認識システム20での画像認識処理により、被介護者が床面に転倒するなど、被介護者の動作が異常であることが認識されたときには、管理サーバー100aは、動体検知ユニット10からその旨の情報を受信して、動体検知ユニット10の光学検出部23で取得される居室101内の撮影画像のデータを、介護者が所有する携帯端末に送信し、被介護者の異常を介護者に知らせることも可能である。なお、動体検知ユニット10から管理サーバー100aへの画像データの送信時、および管理サーバー100aから上記携帯端末への画像データの送信時には、画像の容量、サイズ、解像度などが適宜調整される。
【0016】
居室101は、介護施設において少なくとも1つ設けられており、
図1では例として居室101が2つ設けられている場合を示している。居室101内には、被介護者が使用するベッド102が1つ設置されている。なお、1つの居室101内に被介護者が二人以上入居する場合、被介護者の各々に対応する複数のベッド102が設置される。
【0017】
図2は、動体検知ユニット10が設置された居室101内の様子を模式的に示す説明図である。
図1および
図2に示すように、動体検知ユニット10は、各居室101の天井部101aに設置され、通信回線200と通信可能に接続されている。居室101が複数のベッド102が設置された多床室である場合、動体検知ユニット10は、1つのベッド102に対して1つ設置される。
【0018】
〔動体検知ユニット〕
次に、上記した動体検知ユニット10の詳細について説明する。
図3は、動体検知ユニット10の概略の構成を示すブロック図である。動体検知ユニット10は、居室101内の動体としての被介護者(被検者)の情報を検知するユニットであり、画像認識システム20、電波検出部30およびユニット制御部40を備えている。なお、画像認識システム20の詳細については後述する。動体検知ユニット10は、上記の電波検出部30をはじめ、後述する光学検出部23など、種々のセンサを備えていることから、センサボックスとも呼ばれる。
【0019】
電波検出部30は、電波の放射および受信によって、居室101内での被介護者の状態を検知するセンサ(状態検知部)である。本実施形態では、電波検出部30は、電波を放射および受信して被介護者の生体情報を個別に検出するためのマイクロ波ドップラーセンサによって構成される。電波検出部30は、不図示の放射部および受信部を備えており、例えば24GHz帯のマイクロ波を各居室のベッドに向けて放射し、被介護者にて反射してドップラーシフトした反射波を受信する。これにより、電波検出部30は、受信した反射波から被介護者の呼吸状態や睡眠状態、心拍数などを生体情報として検出することができる。
【0020】
なお、被介護者が呼吸しているとき(睡眠中も含む)、被介護者の呼吸による体の微小な動き(微体動)が生じる。このため、被介護者の呼吸状態や睡眠状態を検出することは、被介護者の微体動を検出するのと同じである。このことから、電波検出部30は、被介護者(被検者)の微体動を検出する微体動検出部として機能しているとも言うことができる。
【0021】
ユニット制御部40は、画像認識システム20および電波検出部30の動作を制御するとともに、画像認識システム20および電波検出部30から得た情報に対して画像処理や信号処理を行い、得られた結果を被介護者の状態に関する情報として管理サーバー100aに出力する制御基板である。また、ユニット制御部40は、電波検出部30から放射される電波の放射周波数を制御するが、この点の詳細については後述する。
【0022】
ユニット制御部40は、主制御部41、情報処理部42、インターフェース部43、記憶部24および画像認識部25を備えている。記憶部24および画像認識部25は、ここではユニット制御部40に設けられているが、ユニット制御部40とは独立して設けられていてもよい。なお、記憶部24および画像認識部25の詳細については後述する。
【0023】
主制御部41は、動体検知ユニット10内の各部の動作を制御するCPUで構成されている。情報処理部42および画像認識部25は、上記のCPUで構成されてもよいし(主制御部41と一体化されていてもよいし)、他の演算部や、特定の処理を行う回路で構成されてもよい。
【0024】
情報処理部42は、画像認識システム20の後述する光学検出部23から出力される情報(例えば画像データ)や、電波検出部30から出力される情報(例えば呼吸状態に関するデータ)に対して、所定のアルゴリズムに基づいた信号処理を行う。信号処理によって得られた情報は、画像認識システム20(特に画像認識部25)での画像認識に利用される。
【0025】
インターフェース部43には、通信回線200のネットワークケーブル(不図示)が電気的に接続される。画像やマイクロ波に基づいて動体検知ユニット10が検出した被介護者の状態に関する情報は、インターフェース部43および通信回線200を介して管理サーバー100aに送信される。
【0026】
次に、画像認識システム20の詳細について説明する。画像認識システム20は、照明部21、照明制御部22および光学検出部23を備えている。
【0027】
照明部21は、暗闇での撮影を可能にすべく、赤外線(例えば近赤外光)を発光するLED(Light Emitting Diode)を含んで構成されており、居室101の天井部101aの中央部に位置して、居室101内を照明する。例えば、照明部21は、複数のLEDを有しており、居室101内の床面101b(
図2参照)や、天井部101aと床面101bとをつなぐ壁を照明する。照明部21による照明(赤外線の発光)の制御は、照明制御部22によって行われる。
【0028】
光学検出部23は、照明部21の照明のもとで居室101内を撮影して画像を取得する撮像部であり、例えばカメラで構成される。
図4は、光学検出部23の詳細な構成を示すブロック図であり、
図5は、光学検出部23での撮影によって取得された画像の一例を模式的に示している。光学検出部23は、居室101の天井部101aの中央部に、照明部21と隣接して配置されており、撮影によって視野方向が直下である直上視点の画像を取得する。この光学検出部23は、レンズ51、撮像素子52、AD(analog/digital)変換部53、画像処理部54および制御演算部55を備えている。
【0029】
レンズ51は、例えば固定焦点レンズであり、一般的な超広角レンズや魚眼レンズで構成されている。超広角レンズとしては、対角画角が150°以上のレンズを用いることができる。これにより、
図5で示したように、天井部101aから床面101bに向かって居室101の全体を撮影することが可能となり、居室101内の被介護者と部屋全体とを死角レスで撮影することが可能となる。
【0030】
撮像素子52は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)といったイメージセンサで構成されている。撮像素子52は、真っ暗な環境でも被介護者の状態が画像として検出できるように、IRカットフィルタを除去して構成されている。撮像素子52からの出力信号は、AD変換部53に入力される。
【0031】
AD変換部53は、撮像素子52によって撮像された画像のアナログの画像信号を受信し、そのアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。AD変換部53から出力されるデジタルの画像信号は、画像処理部54に入力される。
【0032】
画像処理部54は、AD変換部53から出力されるデジタルの画像信号を受信し、そのデジタルの画像信号に対して、例えば黒補正、ノイズ補正、色補間、ホワイトバランスなどの画像処理を実行する。画像処理部54から出力される画像処理後の信号は、画像認識部25に入力される。
【0033】
制御演算部55は、撮像素子52の制御に関する例えばAE(Automatic Exposure)などの演算を実行するとともに、撮像素子52に対して露光時間やゲインなどの制御を実行する。また、制御演算部55は、必要に応じて、照明部21に対して好適な光量設定や配光設定などの演算を実行するとともに、制御を実行する。なお、制御演算部55に、上述の照明制御部22の機能を持たせるようにしてもよい。
【0034】
上記した画像認識システム20は、さらに、上述した記憶部24および画像認識部25を備えている。
【0035】
記憶部24は、ユニット制御部40が実行する制御プログラムや各種の情報を記憶するメモリであり、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリなどで構成されている。
【0036】
また、本実施形態では、記憶部24は、居室101内の就寝領域R(
図6参照)の位置情報を予め記憶している。なお、就寝領域Rとは、居室101内で被介護者が就寝時に利用する領域であり、より具体的には、居室101内でベッド102が配置される領域である。居室101内には、ベッド102の代わりに布団が配置されてもよいが、この場合、居室101内で布団が配置される領域が就寝領域Rとなる。就寝領域Rの位置情報としては、例えば、床面101bに平行な面内で、居室101内の任意の位置を原点としたときの就寝領域Rの位置座標(平面座標)を考えることができる。なお、就寝領域Rの位置情報は、管理サーバー100aにて設定入力され、管理サーバー100aから動体検知ユニット10に送信されて記憶部24に記憶されてもよい。
【0037】
画像認識部25は、光学検出部23にて取得された画像の画像データに対して画像認識処理を行う。より具体的には、画像認識部25は、光学検出部23の画像処理部54が画像処理を実行した後の信号を受信し、例えば対象物の輪郭を抽出してパターンマッチング等の手法で形状を認識する画像認識処理を実行する。これにより、画像認識部25は、居室101内にいる被介護者の状態を認識することができる。
【0038】
ここで、居室101内にいる被介護者の状態としては、起床、離床、入床、転倒などが想定される。これらの被介護者の状態は、被介護者の体の大きさ動作(体動)を伴う点で、電波検出部30で検出される微体動(呼吸等による体の微小な動き)と区別される。
【0039】
図6は、
図5とは異なる居室101の天井部101aに動体検知ユニット10が設置されたときの、光学検出部23の撮影範囲と、電波検出部30の呼吸検知範囲とを模式的に示している。居室101内でベッド102(就寝領域R)以外の領域では、被介護者の転倒を検知する必要がある。このとき、天井設置の光学検出部23の撮影画像に基づく転倒検知では、被介護者が居室101内で動体検知ユニット10から遠い位置にいるときに転倒を精度よく検知できないことは前述の通りである。このため、本実施形態では、被介護者が居室101内でベッド102以外の領域にいるとき、つまり、被介護者の転倒を検知すべき状態であるときに、ユニット制御部40が電波検出部30に対する放射周波数の制御を切り替えることによって、被介護者の転倒の有無を検知(判断)するようにしている。以下、その詳細について説明する。
【0040】
〔ユニット制御部の制御について〕
ユニット制御部40(特に主制御部41)は、電波検出部30から放射される電波の放射周波数を制御する。放射周波数の制御としては、第1の駆動モードによる制御と、第2の駆動モードによる制御とがある。
【0041】
図7は、第1の駆動モードの周波数の波形を模式的に示しており、
図8は、第2の駆動モードの周波数の波形を模式的に示している。第1の駆動モードは、電波検出部30から放射される電波の放射周波数を無変調として(変調せずに)電波検出部30を駆動するモードであり、CW(Continuous Wave)モードまたはドップラーモードとも呼ばれる。第1の駆動モードによる駆動では、センサ感度が高く、電波検出部30による被介護者の呼吸検知が可能となるが、その反面、被介護者との距離を測定できないため、距離に基づく転倒検知を行うことができない。
【0042】
一方、第2の駆動モードは、放射周波数を変調して電波検出部30を駆動するモードであり、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)モードまたは距離計測モードとも呼ばれる。第2の駆動モードによる駆動では、電波検出部30と被介護者との距離を測定できるため、測定した距離の大小に基づいて被介護者の転倒を検知することができるが、その反面、センサ感度が低いため、電波検出部30での呼吸検知ができなくなる。
【0043】
ここで、例えば、
図9に示すように、周波数を直線的に変化させた場合、電波検出部30と被介護者までの距離D(m)は、送信波と反射波との周波数差(ビート周波数)等から求めることができる。具体的には、距離Dは、以下の式で求められる。
D=(c・T・fB)/(2・fw)
ただし、
c:光速(=3×10
8)(m/s)
T:送信時間(s)
fB:ビート周波数(=送信波の周波数−反射波の周波数)(Hz)
fw:周波数掃引幅(Hz)
【0044】
距離Dが求められると、ユニット制御部40は、距離Dの大小に基づいて、被介護者が立っている状態か、転倒している状態かを判断できる。例えば、居室101の床面101bから天井部101aまでの高さが2.4mであり、被介護者の身長が1.65mであり、光学検出部23にて撮影された画像に基づく画像認識により、被介護者が動体検知ユニット10の真下にいることが分かっている場合において、上記式によって求めた距離Dが0.70〜0.80mであった場合、被介護者は動体検知ユニット10の真下で立っている状態であると判断でき、求めた距離Dが2.2〜2.3mであった場合、被介護者は動体検知ユニット10の真下で転倒している状態であると判断できる。同様にして、被介護者が動体検知ユニット10から離れた位置にいる場合でも、被介護者が立っていると、動体検知ユニット10と被介護者(例えば頭部)との距離が相対的に小さく、被介護者が転倒していると上記距離Dが相対的に大きくなるため、距離Dの大小に基づいて、被介護者の転倒の有無を判断することができる。
【0045】
本実施形態では、ユニット制御部40(特に主制御部41)は、光学検出部23にて取得された画像に基づいて、放射周波数の制御を第1の駆動モードと第2の駆動モードとで切り替えるようにしている。以下、そのような制御も含めて、動体検知ユニット10全体の動作について説明する。
【0046】
図10は、本実施形態の動体検知ユニット10における動作の流れを示すフローチャートである。また、
図11は、被介護者Pがベッド102上にいる状態を模式的に示し、
図12は、被介護者Pがベッド102上にいない状態(ベッド102から離れている状態)を模式的に示している。まず、光学検出部23は、居室101内を天井部101aから床面101bに向かって撮影し、画像を取得する(S1)。次に、画像認識部25は、上記画像の画像データに対して画像認識処理を行い、居室101内での被介護者Pの位置を認識する(S2)。そして、ユニット制御部40は、上記画像上での被介護者Pとベッド102(就寝領域R)との位置関係を判断し、被介護者Pがベッド102上にいるか、いないかを判断する(S3)。
【0047】
なお、記憶部24には、実空間でのベッド102の位置情報(位置座標)が記憶されているが、居室101内に実在する物体の位置と、その居室101内を撮影した画像における上記物体の位置とは対応関係にあるため、ユニット制御部40は、記憶部24に記憶された上記位置情報から、上記画像上でのベッド102の位置(上記画像上で上記位置情報と対応する位置)を把握することが可能である。
【0048】
S3にて、被介護者Pがベッド102上にいると判断した場合(
図11参照)、ユニット制御部40は、放射周波数を無変調する第1の駆動モードで電波検出部30を駆動する(S4)。これにより、電波検出部30はベッド102上にいる被介護者Pの生体情報(例えば呼吸状態)を検知することが可能となる。
【0049】
一方、S3にて、被介護者Pがベッド102上にいないと判断した場合(
図12参照)、ユニット制御部40は、放射周波数を変調する第2の駆動モードで電波検出部30を駆動する(S5)。これにより、電波検出部30は、被介護者Pとの距離を測定することが可能となり、ユニット制御部40は、測定した距離に基づいて、上述のように被介護者Pの転倒の有無を判断することが可能となる。
【0050】
なお、
図10のフローチャートでは、S1からS4またはS5までの処理を一巡しか示していないが、S4またはS5の後、S1に戻って以降の処理を繰り返すことにより、常時、呼吸検知または転倒検知を行うことができる。
【0051】
以上のように、動体検知ユニット10のユニット制御部40は、光学検出部23にて取得された画像に基づいて、電波検出部30から放射される電波の放射周波数の制御を、放射周波数を変調しない第1の駆動モードと、放射周波数を変調する第2の駆動モードとで切り替える。これにより、電波検出部30によって、第1の駆動モードによる呼吸検知と、第2の駆動モードによる距離測定とを行うことができる。このとき、電波検出部30にて測定される距離は、所定の演算によって求められる距離であり、実際の距離にほぼ等しい。したがって、ユニット制御部40は、居室101内での被介護者Pの位置によらずに(被介護者Pが居室101内で動体検知ユニット10に近い位置にいても遠い位置にいても)、測定した距離に基づいて転倒の有無を精度よく判断することができる。しかも、転倒検知の際には、被介護者Pの呼吸状態を検知する電波検出部30を利用しているため、転倒検知専用のセンサを別途設ける必要がなく、装置(動体検知ユニット10)の簡単な構成で(現存の構成を有効利用して)、被介護者Pの転倒を精度よく検知することができる。
【0052】
また、ユニット制御部40は、光学検出部23にて取得された画像に基づいて、居室101内での被介護者Pの位置とベッド102(就寝領域R)との位置関係を判断し、判断した位置関係に応じて、放射周波数の制御を切り替えている。これにより、被介護者Pがベッド102上にいるか、いないかに応じて、検知すべき情報(生体情報または転倒)を確実に検知することができる。つまり、被介護者Pがベッド102上にいる場合は、放射周波数の制御を第1の駆動モードに切り替えて呼吸検知を行うことができ、被介護者Pがベッド102上にいない場合は、放射周波数の制御を第2の駆動モードに切り替えて距離測定および転倒検知を行うことができる。
【0053】
また、居室101内でのベッド102の位置情報が記憶部24に予め記憶されているため、ユニット制御部40は、光学検出部23にて取得された画像上での、画像認識部25にて認識された被介護者Pの位置と、記憶部24に記憶された上記位置情報と画像上で対応するベッド102の位置とに基づいて、被介護者Pとベッド102との位置関係(被介護者Pがベッド102上にいるか、いないか)を確実に判断することができる。
【0054】
また、ユニット制御部40は、放射周波数の制御を、放射周波数の変調の有無によって切り替えている。これにより、放射周波数を変調しない制御(第1の駆動モード)では、電波検出部30にて被介護者Pの呼吸状態を検知することが可能となる。一方、放射周波数を変調する制御(第2の駆動モード)では、電波検出部30が被介護者Pとの距離を測定できるため、ユニット制御部40は、測定した距離に基づいて、被介護者Pの転倒の有無を検知することが可能となる。
【0055】
また、ユニット制御部40は、被介護者Pの位置とベッド102との位置関係に応じて、放射周波数の制御を第1の駆動モードと第2の駆動モードとで切り替えている。これにより、電波検出部30は、第1の駆動モードにおいて被介護者Pの呼吸状態を検知し、第2の駆動モードにおいて被介護者Pとの距離を測定することができる。したがって、ユニット制御部40は、第2の駆動モードで測定された距離に基づいて、被介護者Pの転倒の有無を検知することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態のケアサポートシステム1は、動体検知ユニット10と、動体検知ユニット10から送信される情報を受信して管理する管理サーバー100aとを含む構成である。このようなシステムにおいても、上述した動体検知ユニット10を含んでいるため、転倒検知専用のセンサを別途設けることなく、居室101内での被介護者Pの位置によらずに、被介護者Pの転倒の有無を精度よく検知できるという本実施形態の効果を得ることができる。
【0057】
なお、以上では、動体検知ユニット10と被介護者との距離の測定(演算)を、電波を送受信する電波検出部30自体で行う例について説明したが、距離の演算は、ユニット制御部40にて行ってもよい。つまり、電波検出部30から出力される情報に基づいて、ユニット制御部40が被介護者との距離を測定し、転倒の有無を検知(判断)する構成であってもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0059】
以上で説明した本実施形態の動体検知ユニットおよびケアサポートシステムは、以下のように表現することができ、これによって以下の作用効果を奏すると言うことができる。
【0060】
本実施形態の動体検知ユニットは、居室の天井部に設置され、居室内の動体としての被検者の情報を検知する動体検知ユニットであって、居室内を撮影して画像を取得する光学検出部と、電波の放射および受信によって、被検者の状態を検知する状態検知部と、前記状態検知部から放射される電波の放射周波数を制御するユニット制御部とを備え、前記ユニット制御部は、前記光学検出部にて取得された前記画像に基づいて、前記放射周波数の制御を切り替える。
【0061】
動体検知ユニットは居室の天井部に設置されているため、動体検知ユニットが備える光学検出部は、居室の天井部から床面に向かって居室内を撮影することになる。ユニット制御部は、光学検出部にて取得された画像に基づいて、状態検知部から放射される電波の放射周波数の制御を切り替える。これにより、ユニット制御部は、例えば、上記画像から、被検者が居室内で特定の位置(例えばベッドの上)にいると判断した場合には、放射周波数を変調しない駆動モードで状態検知部を駆動し、被検者が他の位置(例えば床面上の位置)にいると判断した場合には、放射周波数を変調する駆動モードで状態検知部を駆動することができる。前者の場合、状態検知部は、電波の放射および受信によって被検者の生体情報(例えば呼吸状態)を検知することができる。一方、後者の場合、状態検知部は、電波の放射および受信によって状態検知部(動体検知ユニット)と被検者との距離を測定することができる。そして、ユニット制御部は、測定した距離に基づき、床面上で被検者がどの位置にいても、そこで被検者が立っている状態か、転倒している状態かを明確に区別して判断することができる。
【0062】
このように、ユニット制御部が、光学検出部で取得された画像に基づいて、放射周波数の制御を切り替えることにより、居室内での被検者の位置によらずに、被検者の転倒の有無を精度よく検知(判断)することができる。しかも、同じ状態検知部を利用して、被検者の生体情報と転倒とを検知できるため、転倒検知専用のセンサを別途設ける必要がなく、簡単な構成で、被検者の転倒を精度よく検知することができる。
【0063】
前記ユニット制御部は、前記画像に基づいて、居室内での被検者の位置と、居室内でベッドまたは布団が配置される就寝領域との位置関係を判断し、判断した位置関係に応じて、前記放射周波数の制御を切り替えてもよい。
【0064】
例えば、被検者が就寝領域にいる場合は、被検者の転倒を検知する必要はなく、被検者の呼吸状態を検知することが望ましい。一方、被検者が就寝領域外にいる場合は、被検者の呼吸状態を検知する必要はなく、被検者の転倒を検知する必要がある。上記のように、ユニット制御部が、居室内での被検者と就寝領域との位置関係に応じて、放射周波数の制御を切り替えることにより、居室内での被検者の位置に応じて、検知すべき情報(生体情報または転倒の有無)を確実に検知することができる。
【0065】
前記動体検知ユニットは、前記画像に対して画像認識処理を行うことにより、前記被検者の位置を認識する画像認識部と、居室内の前記就寝領域の位置情報を予め記憶する記憶部とをさらに備え、前記ユニット制御部は、前記画像認識部にて認識された前記被検者の位置と、前記記憶部に記憶された前記就寝領域の前記位置情報と前記画像上で対応する位置とに基づいて、前記位置関係を判断してもよい。
【0066】
就寝領域の位置情報が記憶部に予め記憶されているため、ユニット制御部は、記憶された就寝領域の位置情報と画像上で対応する位置と、画像認識部にて認識された被検者の位置とに基づいて、居室内での被検者と就寝領域との位置関係を確実に判断することができる。
【0067】
前記ユニット制御部は、前記放射周波数の制御を、前記放射周波数の変調の有無によって切り替えてもよい。
【0068】
ユニット制御部が放射周波数を変調しない制御では、状態検知部は、電波の放射および受信により、被検者の生体情報を検知することが可能となる。また、ユニット制御部が放射周波数を変調する制御では、状態検知部は、電波の放射および受信により、状態検知部と被検者との距離を測定できる。これにより、ユニット制御部は、測定した距離に基づいて、被検者の転倒の有無を検知(判断)することが可能となる。
【0069】
前記ユニット制御部は、前記被検者の位置と前記就寝領域との前記位置関係に応じて、前記放射周波数の制御を、放射周波数を無変調とする第1の駆動モードと、放射周波数を変調する第2の駆動モードとで切り替えてもよい。
【0070】
ユニット制御部が、上記位置関係に応じて、前記放射周波数の制御を第1の駆動モードと第2の駆動モードとで切り替えることにより、状態検知部は、第1の駆動モードにおいて被検者の生体情報を検知し、第2の駆動モードにおいて状態検知部と被検者との距離を測定することができる。これにより、ユニット制御部は、第2の駆動モードで測定された距離に基づいて、被検者の転倒の有無を検知(判断)することが可能となる。
【0071】
本実施形態のケアサポートシステムは、上述した動体検知ユニットと、前記動体検知ユニットから送信される情報を受信して管理する管理サーバーとを含んでいる。この場合、動体検知ユニットおよび管理サーバーを含むケアサポートシステムにおいて、上述の効果を得ることができる。