特許第6984612号(P6984612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984612
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】化粧料用蛍光体及び化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/24 20060101AFI20211213BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20211213BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20211213BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20211213BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   A61K8/24
   A61K8/02
   A61K8/19
   A61Q1/02
   A61Q1/12
【請求項の数】2
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-558008(P2018-558008)
(86)(22)【出願日】2017年12月19日
(86)【国際出願番号】JP2017045586
(87)【国際公開番号】WO2018117117
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2020年6月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-246607(P2016-246607)
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】佐古絵美
(72)【発明者】
【氏名】江副諒太
(72)【発明者】
【氏名】緒方七重
(72)【発明者】
【氏名】森 健治
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−117127(JP,A)
【文献】 特開2016−141781(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/063847(WO,A1)
【文献】 特開2015−054950(JP,A)
【文献】 ZHAO Xin, et al.,High efficient blue emission of Ce3+ activated Ca4P2O9 phosphor for white LEDs,OPTICS EXPRESS,2013年12月13日,Vol.21, No.25,pp.31660-31667
【文献】 大野和久,発光粉体の開発と化粧品への応用,FRAGRANCE JOURNAL,1994年02月,pp.11-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
C01B 25/00−25/46
C09K 11/00−11/89
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式 Ca(3.2≦a≦5.0、b=2、c=a+5)で表される化合物にCeを0.0005〜0.05(分子中のリン1molに対するモル比)の範囲で含む複合酸化物で、平均粒子径が1〜10μmであり、
カリウムを化粧料用蛍光体の重量に対して20〜10000ppm含むことを特徴とする化粧料用蛍光体。
【請求項2】
請求項記載の化粧料用蛍光体を含有することを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用の蛍光体であるリン酸カルシウム複合酸化物及びこれを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料に蛍光体を処方することは公知であり、蛍光体によって生じる発色によって、特異的な色調の従来にない化粧特性が期待されている。特に、青色(450nm付近)の光は肌が美しい人が最も強く反射する波長であり、青色の蛍光を有する化合物は、化粧品に配合した際に、肌に透明感が出て美しく見せる効果が期待できる。しかし、従来提案された青色の蛍光体は人体への悪影響が懸念されたり、発色が十分でないものであったり、量産化に不向きのものであったりした。実用化されているものはクマリン誘導体等に代表される有機系蛍光体が主である。しかし、このような化合物は経時安定性が懸念されるため、無機材料への置き換えが望まれている。
【0003】
特許文献1には、天然鉱物由来の蛍光体を化粧料に配合することが記載されている。しかし、これは天然鉱物を使用するものであることから、安定した品質の粉体を得ることが困難であり、安全性が担保されるものでもなく、更にはコストが高くなってしまうという欠点も有する。
【0004】
一方、ディスプレイやWLED(白色LED)用途等で研究されている青色蛍光体は、Euを発光中心とするものがほとんどである。しかし、Euの人体への安全性は証明されていない。
【0005】
Ca(POO:Ce3+は公知の物質であるが(特許文献2、非特許文献1,2等)、WLED用途への研究がなれているのみで、化粧料に配合する検討はされていなかった。すなわち、発光強度を高めるため、大きく成長した粒子の研究が主として行われてきた。粒子成長した蛍光体は、手触りが悪く化粧料への配合には適していない。このため、化粧料への配合に適した粉体は知られていなかった。
【0006】
本発明者らは、特許文献3,4において、シリカ粒子にセリウムとリン及び/又はマグネシウムとを含む青色蛍光体を開示した。しかし、ここに記載された化合物はシリカ粒子を基体とするものであり、リン酸カルシウムを基体とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−206613号
【特許文献2】特開2015−054950号
【特許文献3】特開2016−141781号
【特許文献4】特開2016−141780号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“Single-phased white-light-emitting Ca4(PO4)2O:Ce3+,Eu2+ phosphors based on energy transfer” Dalton Trans., 2015, 44 11399-11407
【非特許文献2】“High efficient blue emission of Ce3+ activated Ca4P2O9 phosphor for white LEDs” OPTICS EXPRESS Vol21, No. 25 (16, December 2013) 31660-31667
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、安全かつ高い発色性を示す蛍光体について検討を行い、人体への悪影響が懸念されない元素で構成され、皮膚に塗布した際の感触においても優れる無機系の青色蛍光体を得ることを目的として検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般式 Ca(3.2≦a≦5.0、b=2、c=a+5)で表される化合物に、Ceを0.0005〜0.05(分子中のリン1molに対するモル比)の範囲で含む複合酸化物で、平均粒子径が1〜10μmであり、
カリウムを化粧料用蛍光体の重量に対して20〜10000ppm含むことを特徴とする化粧料用蛍光体である。
【0011】
本発明は、上記化粧料用蛍光体を含有する化粧料でもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧料用蛍光体は、優れた発色性を有し、安全性も高く、化粧料に配合して肌に塗布した際の使用感が良好である、といった優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1によって得られた蛍光体P1の電子顕微鏡写真を示す図である。
図2】実施例2によって得られた蛍光体P2の電子顕微鏡写真を示す図である。
図3】実施例3によって得られた蛍光体P3の電子顕微鏡写真を示す図である。
図4】比較例1によって得られた蛍光体Q1の電子顕微鏡写真を示す図である。
図5】比較例2によって得られた蛍光体Q2の電子顕微鏡写真を示す図である。
図6】実施例1〜3によって得られた蛍光体の発光スペクトル及び励起スペクトルを示す図である。
図7】実施例1〜3によって得られた蛍光体の発光スペクトル及び励起スペクトルを示す図である。
図8】実施例1によって得られた蛍光体の粉末X線回折の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、一般式 Ca(3.2≦a≦5.0、b=2、c=a+5)で表される化合物にCeを0.0005〜0.05(分子中のリン1molに対するモル比)の範囲で含む複合酸化物であって、平均粒子径が1〜10μmであることを特徴とする化粧料用蛍光体である。
すなわち、リン酸カルシウム中にセリウム元素をドープした化学構造を有する。このような構造を有する化合物は、人体へ悪影響を与えるとされる元素種を使用することなく得られる、青色の蛍光を有する粉体である。その発光特性は、幅広い波長領域での発光を生じるものであることから、自然で視認しやすいものとなる点で、好ましい材料である。
【0015】
また、このような蛍光体は公知の化合物であるが、WLED用途での研究開発がなされているものであることから、発光性能を向上させることが非常に重要な研究課題とされてきた。このため、化粧料用途について好ましい上記化合物についての検討はなされていなかった。すなわち、化粧料として使用したときに優れた感触が得られるような粒子については知られていない。本発明者らは、上記組成を有し、かつ、平均粒子径が1〜10μmの粒子範囲を有する蛍光体が化粧料原料として良好な性能を有することを見出すことによって、本発明を完成したものである。
【0016】
上記組成式は、リン酸カルシウム中において部分的にセリウムがドープしたものであるが、化学的な等量から若干のずれを持ったものであってもよく、このような観点から、3.2≦a≦5.0の範囲のものとすることができる。好ましくは、3.6≦a≦4.7である。更に好ましくは、4.0<aという、カルシウムが若干過多のものとしてもよい。カルシウムが過多のものは、発光特性が良好なものとなる点で好ましい。更に、カルシウム過多であると、過剰な焼結を防ぎ、解砕を容易とすることができるため、平均粒子径を本発明の1〜10μmの範囲内に制御する上で有利なものとなる点でも好ましい。
【0017】
更に、特許文献2等に記載された従来の蛍光体においては、カルシウムの一部をSrやBaに置換することが行われている。これは、SrやBaを併用することで、発光特性が変化したり、発光強度が高められたりするためである。しかし、本願においては、SrやBaの含有量は低減することが望ましい。すなわち、SrやBaは、化粧料における安全性が証明された元素ではないという点で好ましくないと考えられるためである。より具体的には、SrとBaの合計量で、化粧料用蛍光体の重量に対して500ppm以下であることが好ましい。
【0018】
また、Ceの含有量は、0.0005〜0.05(分子中のリン1molに対するモル比)の範囲である。当該範囲とすることによって、良好な発光性能を得ることができる。上記Ceの含有量の下限は、0.0015であることがより好ましく、0.0025であることが更に好ましい。上記Ceの含有量の上限は、0.035であることがより好ましく、0.025であることが更に好ましい。
【0019】
上記Ceの含有量は、発光の主波長に影響を与えることも発明者らの検討によって明らかとなった。すなわち、Ce量の増加に伴って主波長が長波長側へとシフトする。このような点を利用することで、本発明の化粧料用蛍光体の色調を調整することもできる。
【0020】
上記化粧料用蛍光体は、波長が365nmの励起光を照射した際の、発光スペクトルの極大発光波長(主波長ともいう)が420nmから480nmの間であることが好ましい。主波長が420nm以上であると、発光の中に紫外線を含む割合が低くなる点で好ましい。このような主波長は、組成の調整や後述する添加物によって変化するものであり、これらの要素を調整することによって、主波長が420nmから480nmの間のものとすることができる。上記主波長が430nmから475nmの間であることがより好ましく、440nmから470nmであることが更に好ましい。なお、本明細書における主波長は、実施例に記載した方法によって測定された値である。
【0021】
また、本発明の化粧料用蛍光体は、可視光領域の励起光によって発光するものとすることもできる。可視光領域の励起光によって発光する蛍光体とは、波長が405nmの励起光を照射した際に、発光スペクトルの主波長が485nmから510nmの間である発光を示す蛍光体である。
【0022】
上記可視光領域の励起光によって発光する蛍光体は、可視光領域の励起光でも蛍光を発するものであるため、紫外線を有さず主として可視光領域からなるような室内光に対しても蛍光を発するものである。このため、屋外・室内ともに発光するような化粧料材料として使用することができる。
【0023】
上記化粧料用蛍光体は、その他の元素を人体への安全性や性能に影響が及ぼさない範囲で含有していても良い。その他の元素としては例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属元素、Be、Ra等のアルカリ土類金属元素、Y、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、Si、Ge、Sn、Pb、Gd等のその他金属元素、S等の非金属元素を挙げることができる。具体的な含有量は特に限定されるものではないが、上記その他の元素は、「化粧料用蛍光体」に対して10重量%以下であることが好ましい。
【0024】
本発明の化粧料用蛍光体は、化粧料用蛍光体の重量に対してカリウムを20〜10000ppm含むものであってもよい。
以下で詳述するように、本発明の化粧料用蛍光体は、粉砕を効率よく行い、本発明で必要とされる粒子径のものとするためには、製造時においてカリウム化合物を使用することが好ましい。このような製造工程で使用したカリウムが残存する場合がある。このような場合であっても、蛍光特性や使用感に影響を与えることなく好適に使用することができる。上記カリウム量の下限は、50ppmであることがより好ましい。上記カリウム量の上限は、5000ppmであることがより好ましく、1000ppmであることが更に好ましい。
【0025】
本発明の化粧料用蛍光体の平均粒子径は1〜10μmである。上記平均粒子径の下限は、2μmであることがより好ましく、3μmであることが更に好ましい。上記平均粒子径の上限は、9μmであることがより好ましく、8μmであることが更に好ましい。
なお、本明細書における平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布装置にて粒度分布を測定して、D50を算出するという方法によって測定した値である。
【0026】
本発明の化粧料用蛍光体は、レーザー回折式粒度分布装置にて測定した体積基準粒度分布曲線において、30μm以上の粒子が15体積%以下であることが好ましい。上記範囲であると、肌へ塗布したときにざらつきを感じにくい。また、粒径分布において、粒子径0.5μm以下の粒子が10体積%以下とすることが好ましい。上記範囲であると、発光強度の低下を抑制できる。
なお、当該粒径分布は、レーザー回折式粒度分布装置(日機装株式会社製 MT3000)にて測定した。この時、回折光量(DV)が0.01〜0.2になるようにイオン交換水とサンプルを混合して測定を行った。
【0027】
本発明の化粧料用蛍光体は、D90/D50が3以下であることが好ましい。当該数値が3以下であると、粗大粒子が充分に少ないものとなるため、粒子の使用感を良好にする点で好ましい。当該D90は、上述したレーザー回折式粒度分布装置にて粒度分布を測定して、D90を算出するという方法によって測定した値である。
【0028】
本発明の化粧料用蛍光体は、BET比表面積が、0.15〜30m/gであることが好ましい。上記範囲であると、高い発光強度と化粧料としての感触の良さを好適に示す点で好ましい。
【0029】
本発明の蛍光体粒子の沈降速度は、5cm/min以下が好ましい。蛍光体粒子の沈降速度がこのような範囲にあると、蛍光体粒子を水性ディスパージョンの化粧料として用いる場合の蛍光体粒子の沈降性が抑えられる。蛍光体粒子の沈降速度はより好ましくは、4cm/min以下であり、さらに好ましくは1cm/min以下である。蛍光体粒子の沈降速度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0030】
沈降速度は、粒子径や粒子密度、形状、表面状態等を調整することによって、上述した範囲内のものとすることができる。
【0031】
本発明の化粧料用蛍光体は、一次粒子であっても、一次粒子が凝集した凝集粒子であってもよい。凝集粒子は、粒子径の大きい粒子や真球状の形状とすることが容易である点で好ましい。
【0032】
本発明の化粧料用蛍光体は、その製造方法を特に限定されるものではないが、例えば、本発明の化粧料用蛍光体を構成する各元素の化合物を所定の割合で混合し、これを還元焼成することで製造することができる。更に、原料化合物を混合した後、必要に応じて予備焼成・分級・水洗・粉砕・乾燥を行ってもよいし、これらの工程(特に予備焼成・分級・水洗・粉砕の工程)を2回以上繰り返して行ってもよい。
【0033】
更に、還元焼成の後に、分級・水洗・粉砕を行ってもよい。また、還元焼成後、必要に応じて分級・洗浄・粉砕等を行った粒子を再度還元焼成する工程を1度もしくは2度以上繰り返してもよい。
このような工程を経て得られた粒子は、平均粒子径が本発明において好適である1〜10μmとすることができる。
【0034】
このような化粧料用蛍光体の製造方法において、使用される原料としては特に限定されず、以下のものを挙げることができる。
カルシウム源化合物としては、カルシウムの炭酸塩、酸化物、リン酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、有機酸塩、ホウ酸塩、等を挙げることができる。これらのなかでも、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、炭化カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、二リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、二リン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、次亜リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、硝酸カルシウム、過酸化カルシウム、リン酸三カルシウム、リン化カルシウム、ピロリン酸カルシウム、が好ましく、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、二リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、次亜リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロリン酸カルシウム、が特に好ましい。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0035】
リン源化合物としては、リン酸、リン酸塩、酸化物、ハロゲン化物、有機リン化合物があげられる。これらの中では、リン酸及び/又はリン酸塩が好ましい。これらのなかでも、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸、リン、二リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、二リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、次亜リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン化カルシウム、ピロリン酸カルシウムが特に好ましい。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0036】
セリウム源化合物としては、セリウムの炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、臭化物、フッ化物、水酸化物、有機酸塩等を挙げることができる。これらのなかでも、酸化セリウム、炭酸セリウム、塩化セリウム、硝酸セリウム、が特に好ましい。また、これらを2種以上組み合わせて使用するものであってもよい。
【0037】
上記本発明の化粧料用蛍光体の好ましい製造方法においては、まず、上述した各原料化合物を目的とする組成に応じた割合で混合する。
これらの原料化合物の混合方法は、従来から知られるいかなる方法でも良い。混合方法としては、乾式混合、湿式混合、共沈等が挙げられる。乾式混合としては例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー、Vブレンダー等の一般的な混合装置や、ハンマーミルや高圧エアージェットミル、あるいはこれらの組み合わせたものを用いて混合する方法が挙げられる。湿式混合としては例えば、原料化合物を水性ディスパージョンとし、攪拌もしくはビーズミルや遊星ボールミルなどの湿式メディアミルを用いて混合する方法が挙げられる。湿式混合した後に全量を蒸発乾燥すれば、混合粉が得られる。共沈物は、原料化合物の水溶液を中和して沈殿物として得られる。
【0038】
上述した方法で得られた混合物を還元焼成する前に、予備焼成を行ってもよい。予備焼成を行うことによって、還元焼成において原料由来で発生するガス(例えば、炭酸ガス等)を予め揮発させることができる。これによって、原料由来のガスによる焼成雰囲気への影響を低減できるという点で好ましい。予備焼成の具体的な手法は、従来から知られる、いかなる方法でも良い。例えばセラミックス製ルツボを用いて焼成する方法でもよく、ロータリーキルンを用いて回転させながら焼成する方法でも良い。
【0039】
また、当該予備焼成は、カリウム化合物存在下において行ってもよい。このようにカリウム添加を行うと、所望の粒子径を有する化粧料用蛍光体が容易に得られるという点で好ましい。即ち、焼成時の焼結や、乾燥時の乾燥凝集を抑制することが出来、以下の工程において行う粉砕を効率よく行うことができる点で好ましい。使用することができるカリウム化合物としては、例えば、カリウムの炭酸塩、酸化物、リン酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、有機酸塩、ホウ酸塩、等を挙げることができる。これらのなかでも、炭酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、二リン酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。
【0040】
カリウム化合物を添加する場合、その添加量は、得られる化粧料用蛍光体の重量に対してカリウム量基準で50〜10000ppmであることが好ましい。このような量とすることで、上述した効果を好適に得ることができる。上記カリウム量の下限は、60ppmであることがより好ましく、70ppmであることが更に好ましい。上記カリウム量の上限は、7000ppmであることがより好ましく、5000ppmであることが更に好ましい。
【0041】
上記予備焼成の雰囲気は特に限定されず、酸化雰囲気、還元雰囲気、不活性雰囲気等で行う事が出来る。雰囲気ガスは適宜選択すれば良く、例えば、大気、二酸化炭素、酸素、水素、窒素、アルゴン、あるいはこれらの混合ガス等が使用できる。
大気中での焼成等の酸化性の焼成条件下で行ってもよく、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で行ってもよく、二酸化炭素雰囲気下で行ってもよく、還元雰囲気下で行ってもよい。焼成温度は特に限定されるものではないが、500〜1600℃において行うことが好ましい。さらに好ましくは、600〜1550℃において行う。500℃以上であると、原料からの揮発物を充分に揮発させることが出来、後の還元焼成時の雰囲気が変化することを十分に防ぐことが出来るため好ましい。1600℃以下であると、過剰な焼結を抑制でき、化粧料に用いた時の分散性をより好適とすることが出来るために好ましい。
【0042】
予備焼成後の粒子は、必要に応じて、篩による分級、水又は酸又はアルカリによる洗浄、粉砕等を行ってもよい。また、予備焼成後、必要に応じて分級・洗浄・粉砕等を行った粒子を再度予備焼成する工程を1度もしくは2度以上繰り返してもよい。特に予備焼成後の粒子を再度予備焼成する工程を1度もしくは2度以上繰り返して得た粒子は、発光強度が向上するため好ましい。
【0043】
上記方法においては、予備焼成を行った後の粒子に対して、粉砕を行っても良い。このように、還元焼成を行う前に一旦粉砕を行っておくことで、原料がより均一に混合される点で好ましい。当該工程は、湿式粉砕(例えば、ビーズミルや遊星ボールミルなどの湿式メディアミルを用いた粉砕)、乾式粉砕(例えば、ハンマーミルや高圧エアージェットミル)等の公知の方法によって行うことができる。
【0044】
また、上記粉砕の前後又は粉砕中に、カリウム化合物を添加するものであってもよい。このようなカリウム化合物の添加によって、所望の粒子径を有する化粧料用蛍光体が容易に得られるという点で好ましい。この場合の添加量や使用できる化合物は、上記予備焼成の前に添加する場合と同様である。
【0045】
上記原料化合物を目的とする組成に応じた割合で混合する工程の後、必要に応じて上述した任意の工程を経て、還元焼成を行うことが好ましい。
これによって、輝度が高く、所定の粒子径を有する化粧料用蛍光体を得ることができる点で好ましい。
還元条件下での焼成の具体的方法は特に限定されず通常の方法で行うことができるが、例えば、水素含有雰囲気が挙げられる。水素含有雰囲気としては、例えば水素を0.01〜40体積%含有する窒素雰囲気下で行うことができる。
焼成温度は特に限定されるものではないが、1150〜1600℃において行うことが好ましい。さらに好ましくは、1200〜1550℃において行う。1150℃以上であると、効率よくCaの求める蛍光体の化合物を生成することが出来、十分に輝度が高い発光を示す蛍光体を得ることが出来る点で好ましい。1600℃以下であると、過剰な焼結を抑制でき、化粧料へ用いた時の分散性をより好適とすることが出来るために好ましい。
【0046】
上記還元焼成の後、必要に応じて、篩による分級、水又は酸又はアルカリによる洗浄、粉砕等を行ったものであってもよい。また、還元焼成後、必要に応じて分級・洗浄・粉砕等を行った粒子を再度還元焼成する工程を1度もしくは2度以上繰り返してもよい。
【0047】
本発明の化粧料用蛍光体は、そのまま化粧料へ配合することもできるが、必要に応じて、従来知られている様々な表面処理を施して配合しても良い。特に、本発明の化粧料用蛍光体は疎水性の表面処理を施すことによって、耐水性を向上させることが好ましい。
【0048】
表面処理の種類については、化粧料に使用できる物質であれば、いかなる物質で処理しても良く、特に制限されないが、例えば、ケイ素、亜鉛、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の酸化物あるいは水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等の無機化合物の被覆層を設けることもできる。また、撥水性を付与する目的で、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジハイドロジェン等又はそれらの共重合体、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸およびそれらの金属塩(アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、アミノシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、メルカプトシラン、クロロアルキルシラン、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン、ヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0049】
また、これらの表面処理は、1種でもよく、2種以上を組み合わせて積層又は混合処理しても良い。更に、無機化合物で処理した後又は処理する前に有機化合物の被覆層を設けても良いが、本来もつ発光を損なわないことが重要である。
【0050】
無機化合物、有機化合物の被覆量は、被覆後の化粧料用蛍光体に対し、0.1〜30重量%の範囲が好ましく、0.1〜20重量%の範囲が更に好ましい。0.1重量%以上とすることで、表面処理による機能性向上効果を好適に発現することができる。また、30重量%以下とすることで、本来の発光特性を損なわず処理することができ、また経済的な観点で有利である。
【0051】
表面処理方法は、特に限定されないが、例えば、湿式方法、乾式方法が挙げられる。湿式方法としては例えば、水溶媒中や有機溶媒中において、蛍光体表面に無機化合物あるいは有機化合物を処理する方法が挙げられる。より具体的には、化粧料用蛍光体の水性ディスパージョン中で、無機化合物あるいは有機化合物を添加した後、pHを調整することで被覆することができる。また、別の具体的な方法として、被覆したい無機化合物の水溶液中に化粧料用蛍光体を添加して、必要に応じて粉砕や混合を行った後、pHを調整することで被覆することもできる。また、別の具体的な方法として、予めpHを高く調整した水性溶媒に、無機化合物あるいは有機化合物と蛍光体を添加して、必要に応じて粉砕や混合を行った後、pHを調整することで被覆することもできる。
【0052】
また、湿式による表面処理方法としては、上述したpH調整によるもの以外の公知の方法も適用することができる。より具体的には、例えば化粧料用蛍光体の水性又は有機溶媒ディスパージョン中で、無機化合物あるいは有機化合物を添加した後、溶媒を揮発させる方法によって被覆させる方法等を挙げることができる。
【0053】
乾式方法としては例えば、無機化合物あるいは有機化合物を添加した水溶媒や有機溶媒を、蛍光体表面に処理する方法が挙げられる、より具体的には、蛍光体に、無機化合物あるいは有機化合物を添加した水溶媒や有機溶媒を噴霧などによって添加し、混合する方法が挙げられる。また、水溶性ではない有機化合物を被覆するには、有機化合物を乾式にて添加し、粉砕や混合を行い、必要に応じて加熱することで、表面処理することができる。
【0054】
本発明は、上述した化粧料用蛍光体を含有する化粧料でもある。
本発明の化粧料は、上述したような化粧料用蛍光体を0.1〜90重量%の割合で含有することが好ましい。含有量が0.1重量%未満であると、効果を充分に得られないおそれがあり、含有量が90重量%を超えると、粉体が過剰となり、液状成分を十分に含有させることが出来なくなるなど化粧料として配合の自由度が小さくなり、扱いづらくなるという点で好ましくない場合がある。上記含有量は、0.1〜50重量%がより好ましく、0.1〜30重量%が更に好ましい。
【0055】
本発明の化粧料としては、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、サンスクリーン剤等を挙げることができる。本発明の化粧料は、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料の任意の形態とすることができる。なかでも、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料やサンスクリーン剤において特に好適に使用することができる。
【0056】
本発明の化粧料は、上記化粧料用蛍光体以外に、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。また、本発明の化粧料用蛍光体以外の化粧料用蛍光体を含有するものであってもよい。具体的には、以下に列挙した配合成分の1種又は2種以上を任意に配合して常法により目的の化粧料を製造することが可能である。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0057】
上記油分としては特に限定されず、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。
【0058】
上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤、その他の界面活性剤を挙げることができる。
上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α´−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0059】
上記親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0060】
上記その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0061】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0062】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0063】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0064】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0065】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0066】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0067】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0068】
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等を挙げることができる。
【0069】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0070】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる。
【0071】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用してもよい。
【実施例】
【0072】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0073】
(化粧料用蛍光体の製造方法)
実施例1
炭酸カルシウム10.51g(製品名「CWS−20」、堺化学工業株式会社製)、酸化セリウム0.17g(信越化学工業株式会社製)、ピロリン酸カルシウム12.71g(太平窯業薬品株式会社製)、を秤量し、乾式混合した。ついで、その混合物をアルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/hで850℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて充分に混合粉砕した。粉砕スラリーを130℃の乾燥機で1晩蒸発乾燥させて乾燥粉を得た。ついでその乾燥粉をアルミナ製坩堝に充填して、水素3体積%の窒素雰囲気で200℃/hで1400℃まで昇温し、そのまま8時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて粉砕した。こうして平均粒子径5.1μmの蛍光体P1を得た。
こうして得たP1の電子顕微鏡写真を図1に示した。
なお、P1の組成を分析した結果を請求項1の一般式にあてはめると、a=4.08、b=2.00、c=9.08である。Ceは、リン1モルに対して0.01である。蛍光体の組成分析はICP発光分光分析装置(セイコー電子工業製SPS1700 HVR型)を用いて分析した。以下の実施例においても同様の方法で分析した。
【0074】
実施例2
炭酸カルシウム16.21g(製品名「CWS−20」、堺化学工業株式会社製)、酸化セリウム0.14g(信越化学工業株式会社製)、リン酸二水素アンモニウム9.37g(試薬)、炭酸カリウム0.052g(試薬)を秤量し、遊星ボールミルを用いて充分に混合粉砕した。混合スラリーを130℃の乾燥機で1晩蒸発乾燥させて乾燥粉を得た。ついで、その乾燥粉をアルミナ製坩堝に充填して、水素3体積%の窒素雰囲気で200℃/hで1400℃まで昇温し、そのまま8時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて粉砕した。こうして平均粒子径6.8μmの蛍光体P2を得た。
こうして得たP2の電子顕微鏡写真を図2に示した。
なお、P2の組成を分析した結果を請求項1の一般式にあてはめると、a=3.67、b=2.00、c=8.67である。Ceは、リン1モルに対して0.009である。Kは54ppmであった。
【0075】
実施例3
炭酸カルシウム1.72kg(製品名「CWS−20」、堺化学工業株式会社製)、酸化セリウム28g(信越化学工業株式会社製)、ピロリン酸カルシウム2.08kg(太平窯業薬品株式会社製)を秤量し、Vブレンダーで混合した。ついで、その混合物をアルミナ製こうばちに充填して、大気雰囲気中で150℃/hで1200℃まで昇温し、そのまま5時間保持後、150℃/hで降温した。その焼成粉と炭酸カリウム12g(試薬)とイオン交換水とアルミナボールを入れてビーズミルを用いて十分に混合粉砕した。粉砕スラリーをスプレードライヤー)にて乾燥させて乾燥粉を得た。ついでその乾燥粉をアルミナ製こうばちに充填して、水素3体積%の窒素雰囲気で150℃/hで1300℃まで昇温し、そのまま8時間保持後、 150℃/hで降温した。その焼成粉を高圧エアージェットミルを用いて粉砕した。こうして平均粒子径4.5μmの蛍光体P3を得た。
こうして得たP3の電子顕微鏡写真を図3に示した。
なお、P3の組成を分析した結果を請求項1の一般式にあてはめると、a=4.02、b=2.00、c=9.02である。Ceは、リン1モルに対して0.01である。Kは489ppmであった。
【0076】
実施例4
炭酸カルシウム10.51g(製品名「CWS−20」、堺化学工業株式会社製)、酸化セリウム0.085g(信越化学工業株式会社製)、ピロリン酸カルシウム12.71g(太平窯業薬品株式会社製)、を秤量し、乾式混合した。ついで、その混合物をアルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/hで850℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて充分に混合粉砕した。粉砕スラリーを130℃の乾燥機で1晩蒸発乾燥させて乾燥粉を得た。ついでその乾燥粉をアルミナ製坩堝に充填して、水素0.3体積%の窒素雰囲気で200℃/hで1400℃まで昇温し、そのまま8時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて粉砕した。こうして平均粒子径5.3μmの蛍光体P4を得た。
なお、P4の組成を分析した結果を請求項1の一般式にあてはめると、a=4.07、b=2.00、c=9.07である。Ceは、リン1モルに対して0.005である。
【0077】
実施例5
炭酸カルシウム10.51g(製品名「CWS−20」、堺化学工業株式会社製)、酸化セリウム0.26g(信越化学工業株式会社製)、ピロリン酸カルシウム12.71g(太平窯業薬品株式会社製)、を秤量し、乾式混合した。ついで、その混合物をアルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/hで850℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて充分に混合粉砕した。粉砕スラリーを130℃の乾燥機で1晩蒸発乾燥させて乾燥粉を得た。ついでその乾燥粉をアルミナ製坩堝に充填して、水素0.3体積%の窒素雰囲気で200℃/hで1400℃まで昇温し、そのまま8時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて粉砕した。こうして平均粒子径4.9μmの蛍光体P5を得た。
なお、P5の組成を分析した結果を請求項1の一般式にあてはめると、a=4.05、b=2.00、c=9.05である。Ceは、リン1モルに対して0.015である。
【0078】
比較例1
炭酸カルシウム10.51g(製品名「CWS−20」、堺化学工業株式会社製)、酸化セリウム0.17g(信越化学工業株式会社製)、ピロリン酸カルシウム12.71g(太平窯業薬品株式会社製)、を秤量し、乾式混合した。ついで、その混合物をアルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/hで850℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて充分に混合粉砕した。粉砕スラリーを130℃の乾燥機で1晩蒸発乾燥させて乾燥粉を得た。ついでその乾燥粉をアルミナ製坩堝に充填して、水素3体積%の窒素雰囲気で200℃/hで1605℃まで昇温し、そのまま2時間保持後、200℃/hで降温した。こうして平均粒子径110.5μmの蛍光体Q1を得た。
こうして得たQ1の電子顕微鏡写真を図4に示した。
なお、Q1の組成を分析した結果を請求項1の一般式にあてはめると、a=4.09、b=2.00、c=9.09である。Ceは、リン1モルに対して0.01である。
【0079】
比較例2
炭酸カルシウム1.72kg(製品名「CWS−20」、堺化学工業株式会社製)、酸化セリウム28g(信越化学工業株式会社製)、ピロリン酸カルシウム2.08kg(太平窯業薬品株式会社製)を秤量し、Vブレンダーで混合した。ついで、その混合物をアルミナ製こうばちに充填して、大気雰囲気中で150℃/hで1200℃まで昇温し、そのまま5時間保持後、150℃/hで降温した。その焼成粉と炭酸カリウム12g(試薬)とイオン交換水とアルミナボールを入れてビーズミルを用いて十分に混合粉砕した。粉砕スラリーをスプレードライヤーにて乾燥させて乾燥粉を得た。ついでその乾燥粉をアルミナ製坩堝に充填して、水素3体積%の窒素雰囲気で200℃/hで1100℃まで昇温し、そのまま8時間保持後、200℃/hで降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて粉砕した。こうして平均粒子径0.72μmの蛍光体Q2を得た。
こうして得たQ2の電子顕微鏡写真を図5に示した。
なお、Q2の組成を分析した結果を請求項1の一般式にあてはめると、a=4.02、b=2.00、c=9.02である。Ceは、リン1モルに対して0.01である。Kは489ppmであった。
【0080】
評価例1(蛍光体としての評価)
実施例及び比較例で得た蛍光体サンプルを評価した。
[励起スペクトル、発光スペクトルの測定]
蛍光分光光度計(日本分光社製FP−6500)を用いて励起スペクトル、及び、発光スペクトルの測定を行った。蛍光積分球にはISF−513型を使用し、光電子倍増管(PMT)の電圧の設定値を340とした。励起スペクトルは、発光波長を固定し、励起光の波長を走査して発光強度を測定したものである。発光スペクトルは、励起光の波長を固定して、発光強度を測定したものである。
実施例1〜3で得られたP1〜P3について、発光波長460nmのときの励起スペクトル、及び、波長365nmの励起光を照射したときの発光スペクトルを図6に示す。
また、実施例1〜3で得られたP1〜P3について、発光波長495nmのときの励起スペクトル、及び、波長405nmの励起光を照射したときの発光スペクトルを図7に示す。
【0081】
[輝度Y、色度(x、y)の測定]
上記、発光スペクトルの測定で得られた結果を、日本分光社製FP−6500の発光色解析プログラムを用いて解析し、輝度Y、色度(x、y)を評価した。
実施例1〜5及び比較例1〜2で得られたP1〜P5及びQ1〜Q2について、波長365nmの励起光を照射したときの発光スペクトルを評価した結果を表1に示す。
また、実施例1〜3で得られたP1〜P3について、波長405nmの励起光を照射したときの発光スペクトルを評価した結果を表2に示す。
【0082】
[主波長の測定]
上記、発光スペクトルの測定で得られた結果について、スムージングを行い、次いでピーク検出を行って主波長(極大発光波長)と発光強度を求めた。この時の発光強度は、実施例1で得られた蛍光体P1の波長365nmの励起光を照射したときの発光強度を100として、P2〜P5及びQ1〜Q2の相対発光強度を求めた。
実施例1〜5及び比較例1〜2で得られたP1〜P5及びQ1〜Q2について、波長365nmの励起光を照射したときの発光スペクトルの主波長及び発光強度を評価した結果を表1に示す。
また、実施例1〜3で得られたP1〜P3について、波長405nmの励起光を照射したときの発光スペクトルの主波長及び発光強度を評価した結果を表2に示す。
【0083】
[蛍光体粒子の形状]
走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子製7000F)を用いて蛍光体粒子の形状と大きさを観測した。実施例1〜3で得られたP1〜P3及び比較例1〜2で得られた蛍光体Q1〜Q2のSEM写真を撮影した結果を図1〜5に示す。
【0084】
[蛍光体の同定]
粉末X線回折(XRD)装置(Rigaku社製 RINT−TTRIII、X線=CuKα、λ=1.5406Å、50kV、300mA)を用いて、粉末X線回折パターンを測定し、生成物の同定を行った。
実施例1で得られたP1の測定結果を図8に示す。P2〜P5及びQ1についてもP1と同様に測定を行った結果、P1〜P5及びQ1の各粉末X線回折パターンはPDFカード #00−025−1137と一致し、P1〜P5及びQ1の母体の組成がCaとほぼ同一であることが確認できた。
【0085】
[比表面積の測定]
マウンテック製Macsorb HM−1220を用い、脱気温度230℃、脱気時間35分の条件で、比表面積を測定した。実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた蛍光体P1〜P5及びQ1〜Q2を測定した結果を表1に示した。
【0086】
[粒度分布の測定]
レーザー回折式粒度分布装置(日機装株式会社製 MT3000)にて粒度分布を測定し、体積基準粒度分布曲線(粒径分布ともいう)を得た。この時、回折光量(DV)が0.01〜0.2になるようにイオン交換水とサンプルを混合して測定を行った。体積基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を、平均粒子径D50(μm)とした。同様に、積算値が10%のときの粒径値を、D10(μm)とし、積算値が90%のときの粒径値を、D90(μm)とした。D90/D50は、上記D90の値を上記D50の値で除した値である。実施例1〜5及び比較例1〜2で得た蛍光体P1〜P5及びQ1〜Q2について測定した結果を表1に示した。
また、当該粒径分布の測定結果において粒子径30μm以上の粒子、0.5μm以下の粒子の割合も表1に示した
【0087】
【表1】
【0088】
表1の色度xと色度yの値を色度図に当てはめると、P1〜P5すべてが青色に発光していることがわかる。輝度Yも1以上と高い。図6の励起スペクトルから、紫外線のみならず、可視光でも励起することがわかる。特に400nm以上の可視光領域まで励起帯が広がっていることがわかる。
【0089】
【表2】
【0090】
表2の色度xと色度yの値を色度図に当てはめると、P1〜P3すべてが青緑色に発光していることがわかる。輝度Yも1以上となった。
【0091】
評価例2(官能評価)
実施例1及び比較例1〜2で得た蛍光体P1、Q1及びQ2を、10人のパネラーに対して肌へ塗布してもらい、粉体の感触および、365nmの光を照射したときの発光について官能試験を行った。感触を評価した結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
評価例3(蛍光体粒子の沈降速度)
実施例1及び比較例1〜2で得た蛍光体P1、Q1及びQ2に対し、蛍光体粒子2gを0.025wt%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液40mLに分散させ、超音波ホモジナイザーにて周波数20kHz、出力90Wの超音波を2分間照射した。得られたスラリーを、内径2.5cm、容量100mLの沈降筒に入れて1分間静置し、静置時間に対する沈降高さ(スラリー全体の高さ−沈降したケーキの高さ)から蛍光体粒子の沈降速度を算出した。結果を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
評価例4(化粧料としての評価)
実施例1〜3で得られた蛍光体P1〜P3を用いて、以下の表5にある配合で、パウダーファンデーションF1〜F3を調製した。また、本発明の蛍光体粒子を含有しないパウダーファンデーションF4を下記配合表6にある配合で調製した。なお、下記ファンデーションに用いた材料は、表のグレードのとおりであり、P1〜P3以外はすべて化粧品グレードのものである。
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
【0098】
このような配合で各素材を測り採り、コーヒーミルを用いて1分30秒間攪拌混合した。得られた粉体状の混合物を、直径20mmφの金型に0.8g測り採り、プレス機を用いて、200kgf/cmの圧力にて30秒間保持して、パウダーファンデーションF1〜F4を得た。
【0099】
パウダーファンデーションF1〜F4を10人のパネラーに対して番号を分からないようにして塗布してもらい、365nmブラックライト照射下における肌の美しさについて試験を行った。肌の美しさの感じ方を5段階で評価した結果を表7に示す。なお、評価の基準は以下のとおりである。
5:8人以上または全員が美しく感じた、4:5〜7人が美しく感じた、3:2〜4人が美しく感じた、2:1人が美しく感じた、1:美しく感じた人がいなかった
【0100】
【表7】
【0101】
パウダーファンデーションF1〜F4を10人のパネラーに対して番号を分からないようにして塗布してもらい、屋外で自然光下における肌の美しさについて試験を行った。肌の美しさの感じ方を5段階で評価した結果を表8に示す。
【0102】
【表8】
【0103】
パウダーファンデーションF1〜F4を10人のパネラーに対して番号を分からないようにして塗布してもらい、屋内で蛍光灯の照明下における肌の美しさについて試験を行った。肌の美しさの感じ方を5段階で評価した結果を表9に示す。
【0104】
【表9】
【0105】
本発明の化粧料用蛍光体を、化粧料に配合した場合、屋外の自然光下、屋内での蛍光灯下で肌の美しさを感じることができ、良好な化粧外観を実現できる。特に、肌の黄色味を補正して色白で透明感を感じる仕上がりとなる。これらの結果から、本発明の蛍光体が、光学的な機能を高めることができるものであることが明らかとなった。
また、P1〜P5は、感触においても優れた性質を有する。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の化粧料用蛍光体は、手触りが良く、肌に透明感を与えたり、色味を補正して美しい肌色に見せる優れた効果を有するため、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料やサンスクリーン剤等において好適に使用することができる。
特に、365nmという自然光(太陽光)に含まれる紫外線を吸収することで青色を発するので、本発明の化粧料は自然光のもとやブラックライト照射下で効力を発揮する。また、可視領域の励起光によっても発光するものとすることもでき、屋内や写真撮影時のフラッシュやストロボを使用した場合でも効力を発揮する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8