(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
以下に説明する実施形態等は本開示の好適な具体例であり、本開示の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。
【0011】
<1.一実施形態>
[オーディオ信号再生装置の構成例]
始めに、オーディオ信号再生装置の構成例について説明する。本実施形態に係るオーディオ信号再生装置は、例えば携帯可能な程度の大きさであり、オーディオ信号を再生できるスピーカ装置(ワイヤレススピーカ等と称される。)である。
【0012】
図1は、本実施形態に係るオーディオ信号再生装置(オーディオ信号再生装置1)の構成例を示すブロック図である。オーディオ信号再生装置1は、制御部10と、デジタル信号処理部11と、入力端子12と、A/D(Analog to Digital)変換部13と、アンプ14Lと、アンプ14Rと、スピーカユニット15Lと、スピーカユニット15Rと、通信部16と、LED(Light Emitting Diode)ドライバ17と、LED18と、電池ユニット20とを有している。
【0013】
制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成されており、オーディオ信号再生装置1の各部を制御する。制御部10は、制御部10により実行されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)やワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)等を有している。詳細は後述するが、制御部10は、電池ユニット20から供給される温度情報および電圧情報に基づいて、オーディオ信号再生装置1の出力を制御する。
【0014】
デジタル信号処理部11は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により構成されている。デジタル信号処理部11は、オーディオ信号の音圧レベルを一律に調整(変更)する機能(ボリューム調整機能)や、オーディオ信号の周波数特性を補正する機能や、音圧レベルがリミット値以上の場合に当該音圧レベルをリミット値の範囲内に圧縮(抑圧)する機能(以下、DRC(Dynamic Range Compression)と適宜、称する)等を有している。デジタル信号処理部11は、制御部10の制御に応じて、上述した機能を適宜、実行する。
【0015】
入力端子12は、オーディオ信号再生装置1と外部の電子機器とを有線により接続するための端子である。外部の電子機器としては、スマートフォンやテレビジョン受信装置、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)等の再生装置を挙げることができる。例えば、2チャンネルのオーディオ信号が入力端子12を介してオーディオ信号再生装置1に入力可能な構成とされている。
【0016】
A/D変換部13は、入力端子12を介して取り込まれたアナログオーディオ信号をデジタルオーディオ信号に変換する。
【0017】
デジタル信号処理部11による信号処理が施されたオーディオ信号のうち、L(Left)チャンネルのオーディオ信号がアンプ14Lに供給される。アンプ14Lは、供給されるオーディオ信号を所定の増幅率をもって増幅し、増幅したオーディオ信号をスピーカユニット15Lに供給する。デジタル信号処理部11による信号処理が施されたオーディオ信号のうち、R(Right)チャンネルのオーディオ信号がアンプ14Rに供給される。アンプ14Rは、供給されるオーディオ信号を所定の増幅率をもって増幅し、増幅したオーディオ信号をスピーカユニット15Rに供給する。出力部としてのスピーカユニット15L、15Rからオーディオ信号が再生される。
【0018】
通信部16は、所定の無線通信規格に対応した無線による通信を外部の電子機器と行う。外部の電子機器としては、パーソナルコンピュータやスマートフォン、携帯型のオーディオ再生装置等を挙げることができる。また、所定の無線通信規格としては、無線LAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、赤外線による通信等を挙げることができる。例えば、通信部16により外部の電子機器から2チャンネルのオーディオ信号が受信される。通信部16は、オーディオ信号に対して復調処理、エラー訂正処理、A/D変換処理等を行う。これらの処理が施されたオーディオ信号が制御部10を介してデジタル信号処理部11に供給される。
【0019】
LEDドライバ17は、制御部10による制御に応じて、LED18の発光を制御する回路である。LED18は、赤色、青色等のダイオードである。LEDドライバ17は、例えば、通信部16が外部の電子機器と通信を行う際にLED18を発光させる。LED18を複数のLEDにより構成し、後述する電池部の残容量に応じて、発光させる複数のLEDの数を変化させるようにしてもよい。
【0020】
電池ユニット20は、電池部(バッテリー)21と、電池部21に接続される充放電回路22とを有している。
【0021】
電池部21は、例えば充電可能な二次電池である。本実施形態では、電池部21をリチウムイオン二次電池として説明する。本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、例えば円筒形状を有している。1個当たりのリチウムイオン二次電池(単セル)の平均的な出力は3.7V(ボルト)程度である。また、例えば2.7V〜4.2Vが通常の使用領域とされている。また、電池部21の使用温度範囲は、例えば、0℃〜60℃とされている。電池部21は、例えば2個のリチウムイオン二次電池の単セルが直列に接続された構成を有している。もちろん、電池部21を構成するリチウムイオン二次電池のセル数やセルの接続構成は適宜、変更することができる。
【0022】
電池部21からオーディオ信号再生装置1の各部に対して電力が供給される。例えば、制御部10やデジタル信号処理部11、アンプ14L、14R等を駆動するための電力が電池部21から供給される。なお、DC(Direct Current)−DCコンバータ、レギュレータ等により、電池部21の出力が適宜、変換されて各部に供給されるようにしてもよい。
【0023】
電池部21は内部に抵抗を有している(電池部21の内部インピーダンス)。この内部インピーダンスは、温度に応じてその値が変化する。
図2は、本実施形態に係る電池部21における、温度と内部インピーダンスとの関係例を示すグラフである。
図2のグラフにおいて、横軸はリチウムイオン二次電池セルの温度(℃)を示しており、縦軸はリチウムイオン二次電池セルの内部インピーダンス(Ω)を示している。
図2に示すように、リチウムイオン二次電池の内部インピーダンスは温度に応じて変化し、内部インピーダンスは温度が低いほど大きくなる。
【0024】
図1に戻り説明する。充放電回路22は、電池部21の充放電を制御する回路である。充放電回路22は、例えば、FET(Field effect transistor)等のスイッチング素子から成る放電制御スイッチおよび充電制御スイッチ等を有するほか、電圧検出部22Aと、電流検出部22Bと、温度検出部22Cとを有している。電圧検出部22Aは、電池部21の電圧を検出する。電流検出部22Bは、例えば電流検出抵抗であり、充放電回路22に流れる電流を検出する。温度検出部22Cは、サーミスタ等の温度検出素子であり、電池部21の温度を検出する。各検出部で検出した電圧、電流、温度は、制御部10が周期的に電圧等を検出する。制御部10は、例えば、100ms(ミリ秒)毎に電圧等を検出する。
【0025】
電圧検出部22Aが電池部21の電圧を検出することにより、電圧を示す情報(以下、電圧情報と適宜、称する)が得られる。電流検出部22Bが充放電回路22に流れる電流を検出することにより、電流を示す情報(以下、電流情報と適宜、称する)が得られる。温度検出部22Cが電池部21の温度を検出することにより、温度を示す情報(以下、温度情報と適宜、称する)が得られる。これらの電圧情報、電流情報、温度情報等は、電池部21の過充電、過放電、過電流、異常発熱を防止するための公知の保護動作において用いられる。電池部21の保護動作は、制御部10により行われてもよいし、電池ユニット20内のマイクロコンピュータによって行われてもよい。温度情報および電圧情報は、電池ユニット20から制御部10に対して供給され、後述する出力の制御において用いられる。
【0026】
なお、構成の図示は省略しているが、オーディオ信号再生装置1を商用電源やパーソナルコンピュータ等に対して接続することにより、それらから供給される電力で電池部21を充電できるように構成されている。
【0027】
[オーディオ信号再生装置の動作例]
次に、オーディオ信号再生装置1の通常の動作例について説明する。オーディオ信号再生装置1に対して、オーディオ信号が入力端子12または通信部16を介して入力される。オーディオ信号がA/D変換部13若しくは通信部16によりデジタル形式のオーディオ信号に変換される。変換後のオーディオ信号に対してデジタル信号処理部11による信号処理が施される。デジタル信号処理部11による信号処理が施されたオーディオ信号のうち、Lチャンネルのオーディオ信号がアンプ14Lに供給される。そして、アンプ14Lにより所定の増幅率をもって増幅されたオーディオ信号がスピーカユニット15Lから再生される。デジタル信号処理部11による信号処理が施されたオーディオ信号のうち、Rチャンネルのオーディオ信号がアンプ14Rに供給される。アンプ14Rにより所定の増幅率をもって増幅されたオーディオ信号がスピーカユニット15Rから再生される。
【0028】
[オーディオ信号再生装置において考慮すべき問題]
ここで、
図3および
図4を参照して、オーディオ信号再生装置1において考慮すべき問題について説明する。
図3A、
図3B、
図4A、
図4Bの各図における横軸は時間軸を示し、縦軸は電池部21の電圧を示している。また、
図3A、
図3Bにおける電池仕様電圧とは電池部21の電圧が過放電とならない程度の閾値であり、電池部21が単セルであれば例えば2.5Vである。また、
図4A、
図4Bにおけるシステムダウン電圧とは制御部10等を動作させるために必要な動作電圧であり、例えば3.3Vまたは5Vである。電池部21の電圧がシステムダウン電圧を下回ると、制御部10等のオーディオ信号再生装置1のシステムがダウンするおそれがある。
【0029】
電池部21は、上述したように内部インピーダンスを有しており、電池部21から取り出される電流に応じて電池部21の電圧が降下する、すなわち、電圧降下(電圧ドロップ)が生ずる。ここで、ソースとしてのオーディオ信号に音圧レベルが大きな出力領域が存在し、当該出力領域で音響出力が行われる場合、スピーカユニット15L、15Rに流れる負荷電流Iが増大する。この場合、負荷電流Iが電池部21から供給されることにより内部抵抗Rでの電圧降下(V=RI)が大きくなる。この電圧降下により、
図3A、
図4Aに示すように、電池部21の電圧が電池仕様電圧やシステムダウン電圧を下回るおそれがある。このため、
図3B、
図4Bに模式的に示すように、オーディオ信号再生装置1の出力を適切に制御することにより、電圧降下を抑制することが望まれる。以下、このような観点に基づいてなされたオーディオ信号再生装置1における出力制御の具体例について説明する。
【0030】
[温度情報に基づく出力の制御例]
始めに、温度情報に基づく出力の制御例として、第1の制御例および第2の制御例について説明する。第1の制御例は、温度情報に基づいて、オーディオ信号のボリューム値を変化させる例である。
図5は、第1の制御例を説明するための図である。
図5を参照して第1の制御例について説明する。
【0031】
図5において、電池部21の温度が0℃〜42℃の範囲では、ボリューム値に対するゲインを変化しない。例えば、オーディオ信号の音圧レベルが大きくなることにともなってアンプ14L、14Rへの負荷電流が増加し、電池部21が発熱する。そして、温度検出部22Cにより検出される電池部21の温度が閾値(例えば、42℃)を超えたとする。この場合、制御部10はデジタル信号処理部11に対して現在のボリューム値に対するゲインを−0.5dB(デシベル)に設定する旨を指示する。ゲインの値は適宜な値とすることができるが、リスナーがボリュームの変化を聴覚的に気づきにくい値とすることが好ましい。本制御を、例えば3分間隔で繰り返す。例えば、3分後にはゲインが−1.0dBに設定される。このようにボリューム値を徐々に小さくする。但し、−6dBを制限値とする。デジタル信号処理部11は、設定されたゲインに基づいて、オーディオ信号のボリュームを変更する。
【0032】
上述した制御によってもなお電池部21の温度が上昇したとする。例えば、温度検出部22Cにより検出される電池部21の温度が他の閾値(例えば、50℃)を超えたとする。この場合、制御部10はデジタル信号処理部11に対してその時点でのボリューム値に対するゲインを−2dBに設定する旨を指示する。ボリューム値に対するゲインが−2dBの場合ではリスナーがボリュームの変化を聴覚的に気づきやすくなるものの、ここでは電池部21の温度を下げることを優先した値としている。本制御を、例えば3分間隔で繰り返す。例えば、3分後にはゲインが−4.0dBに設定される。電池部21の温度を下げることを優先するため制限値は設定されていない。なお、上述した制御を行うことにより負荷電流が小さくなるため一般的に電池部21の温度は低下する。しかしながら、電池部21の温度が例外的に60℃に達した場合は、オーディオ信号再生装置1の動作を停止させる制御が行われる。
【0033】
上述した制御に応じて電池部21の温度が低下したとする。例えば、温度検出部22Cにより検出される電池部21の温度が閾値(例えば、40℃)以下となったとする。電池部21の温度が低下したか否かの判断で用いられる閾値は、電池部21の温度が上昇したか否かの判断で用いられる閾値(上述した42℃)に対してヒステリシスをもたせている。これにより、ボリューム値が頻繁に変化することを防止することができる。
【0034】
温度検出部22Cにより検出される電池部21の温度が40℃以下となった場合には、制御部10はデジタル信号処理部11に対してその時点でのボリューム値に対するゲインを+0.5dBに設定する旨を指示する。本制御を、例えば、3分間隔で繰り返し、ボリューム値を徐々に大きくする。そして、上述した42℃以上になった時点でのボリューム値(初期のボリューム値)までボリューム値を戻した時点で本制御を停止する。なお、ボリューム値を大きくする制御の途中で電池部21の温度が42℃を超えた場合には、上述したボリューム値を小さくする制御が行われる。
【0035】
第2の制御例は、温度情報に基づいて、DRCにおけるリミット値を変化させる例である。
図6は、第2の制御例を説明するための図である。
【0036】
図6において、電池部21の温度が0℃〜42℃の範囲では、リミット値を変化しない、換言すれば、DRCがかかっていない状態と等価な状態であり、フルスケールのオーディオ信号が再生される。例えば、オーディオ信号の音圧レベルが大きくなることにともなってアンプ14L、14Rへの負荷電流が増加し、電池部21が発熱する。そして、温度検出部22Cにより検出される電池部21の温度が閾値(例えば、42℃)を超えたとする。この場合、制御部10はデジタル信号処理部11に対してDRCにおけるリミット値を現在のリミット値から−0.5dBに設定する旨を指示する。設定されるリミット値は、適宜な値とすることができるが、リスナーがDRCによる圧縮効果を聴覚的に気づきにくい値とすることが好ましい。本制御を、例えば3分間隔で繰り返す。例えば、3分後にはDRCのリミット値が−1.0dBに設定され、DRCの効果が徐々に大きくなる。但し、−6dBを制限値とする。
【0037】
上述した制御によってもなお電池部21の温度が上昇したとする。例えば、温度検出部22Cにより検出される電池部21の温度が閾値(例えば、50℃)を超えたとする。この場合、制御部10はデジタル信号処理部11に対してその時点でのリミット値から−1dBにリミット値を設定する旨を指示する。この場合ではリスナーがDRCによる圧縮効果に気づきやすくなるものの、ここでは電池部21の温度を下げることを優先した値としている。本制御を、例えば3分間隔で繰り返し、リミット値を変化させDRCの圧縮効果を大きくする。なお、電池部21の温度を下げることを優先するため、制限値は設定していない。上述した制御を行うことにより負荷電流が小さくなるため一般的に電池部21の温度は低下する。しかしながら、電池部21の温度が60℃に達した場合は、オーディオ信号再生装置1の動作を停止させる制御が行われる。
【0038】
上述した制御に応じて電池部21の温度が低下したとする。例えば、温度検出部22Cにより検出される電池部21の温度が閾値(例えば、40℃)以下となったとする。第1の制御例と同様に、電池部21の温度が低下したか否かの判断で用いられる閾値は、電池部21の温度が上昇したか否かの判断で用いられる閾値(上述した42℃)に対してヒステリシスをもたせている。これにより、DRCにおけるリミット値が頻繁に変化することを防止することができる。
【0039】
温度検出部22Cにより検出される電池部21の温度が40℃以下となった場合には、制御部10はデジタル信号処理部11に対してその時点でのリミット値から+0.5dBにリミット値を設定する旨を指示する。本制御を、例えば、3分間隔で繰り返し、リミット値を徐々に大きくする。そして、上述した42℃以上になった時点でのリミット値までリミット値を戻した時点で本制御を停止する。なお、リミット値を戻す制御の途中で電池部21の温度が42℃を超えた場合には、上述したDRCの効果を大きくする制御が行われる。
【0040】
以上説明したように、温度情報に基づいて出力の制御を行うことにより、電池部21の温度が使用温度範囲を超えてしまうことを防止することができる。
【0041】
[電圧情報に基づく出力の制御例]
次に、電圧情報に基づく出力の制御例として、第3の制御例および第4の制御例について説明する。なお、第3、第4の制御例では、電池部21が、2個のリチウムイオン二次電池が直列に接続された構成を有するものとして説明する。
【0042】
第3の制御例は、電圧情報に基づいて、オーディオ信号のボリューム値の最大値(以下、最大ボリューム値と適宜、称する)を変化させる例である。なお、ボリューム値の設定は0〜50のステップで変更できるものとして説明する。
【0043】
図7は、第3の制御例を説明するための図である。
図7を参照して第3の制御例について説明する。
図7に示すように、電池部21の残容量が7.2V〜8.2Vの範囲では、ゲイン=0dBとし、最大ボリューム値を変更しない。電池部21の残容量が6.8V〜7.2V未満の範囲では、最大ボリューム値を−0.5dBに設定する。電池部21の残容量が6.6V〜6.8V未満の範囲では、最大ボリューム値を−1.0dBに設定する。電池部21の残容量が6.4V〜6.6V未満の範囲では、最大ボリューム値を−2.0dBに設定する。電池部21の残容量が6.2V〜6.4V未満の範囲では、最大ボリューム値を−4.0dBに設定する。電池部21の残容量が6.0V〜6.2V未満の範囲では、最大ボリューム値を−6.0dBに設定する。電池部21の残容量が5.0V〜6.0V未満の範囲では、最大ボリューム値を−12dBに設定する。
【0044】
本制御により、電池部21の残容量の低下に応じて最大ボリューム値の制限が大きくなるため、オーディオ信号の音圧レベルが大きい場合でもアンプ14L、14Rに流れる負荷電流を小さくすることができ、電圧降下を小さくすることができる。したがって、電池部21の電圧が仕様電圧やシステムダウン電圧を下回ることを防止することができる。
【0045】
オーディオ信号再生装置1に対して充電がなされ、電池部21の電圧が上昇(回復)した場合には、当該電圧に応じてゲインが再設定され、最大ボリューム値の制限を緩和する制御が行われる。なお、本制御では最大ボリューム値を制限するため、ボリュームに関するUI(User Interface)を変更するようにしてもよい。例えば、最大ボリューム値が50dBの場合で、上述した制御により設定されたゲインが−12dBの場合には、38dBと表示されるようにUIを変更してもよい。
【0046】
第4の制御例は、電圧情報に基づいて、DRCのリミット値を変化させる例である。
図8は、第4の制御例を説明するための図である。
図8を参照して第4の制御例について説明する。
【0047】
電池部21の電圧が7.2V〜8.2Vの範囲では、リミット値を変化しない、換言すれば、フルスケールのオーディオ信号がそのまま再生される。電池部21の残容量が6.8V〜7.2V未満の範囲では、リミット値を−0.5dBに設定する。電池部21の残容量が6.6V〜6.8V未満の範囲では、リミット値を−1.0dBに設定する。電池部21の残容量が6.4V〜6.6V未満の範囲では、リミット値を−2.0dBに設定する。電池部21の残容量が6.2V〜6.4V未満の範囲では、リミット値を−4.0dBに設定する。電池部21の残容量が6.0V〜6.2V未満の範囲では、リミット値を−6.0dBに設定する。電池部21の残容量が5.0V〜6.0V未満の範囲では、リミット値を−12dBに設定する。
【0048】
本制御により、電池部21の残容量の低下に応じてDRCによるオーディオ信号の圧縮効果が大きくなり、オーディオ信号の音圧レベルが大きい場合に当該音圧レベルを圧縮することができる。したがって、アンプ14L、14Rに流れる負荷電流を小さくすることができ、電圧降下を小さくすることができる。したがって、電圧降下により電池部21の電圧が仕様電圧やシステムダウン電圧を下回ることを防止することができる。
【0049】
オーディオ信号再生装置1に対して充電がなされ、電池部21の電圧が上昇(回復)した場合には、当該電圧に応じてリミット値が再設定され、DRCによる圧縮効果を緩和する制御が行われる。
【0050】
[温度情報および電圧情報に基づく出力の制御例]
次に、温度情報および電圧情報に基づく出力の制御例(第5の制御例)について
図9、
図10および
図11を参照して説明する。第5の制御例では、出力の制御としてDRCによるオーディオ信号の制御を例にして説明するが、第1の制御例のようにオーディオ信号のボリューム制御であっても構わない。
【0051】
制御部10は、出力の制御を行うための制御情報と温度とが対応付けられた第1のテーブルを有している。また、制御部10は、出力の制御を行うための制御信号と電圧とが対応付けられた第2のテーブルを有している。
【0052】
図9Aは、第1のテーブルの一例であるテーブルTA1を示している。
図9Aに示すようにテーブルTA1には、電池部21の温度と、制御情報の一例であるDRCのリミット値とが対応付けられて記述されている。温度は適宜な範囲で区分されており、各区分に対応して状態番号(ステイト)が付与されている。
【0053】
図9Bは、第2のテーブルの一例であるテーブルTA2を示している。
図9Bに示すようにテーブルTA2には、電池部21の電圧と、DRCのリミット値とが対応付けられて記述されている。電圧は適宜な範囲で区分されており、各区分に対応して状態番号(ステイト)が付与されている。テーブルTA1、TA2は、例えば、制御部10が有するRAMに記憶されている。
【0054】
制御部10は、テーブルTA1とテーブルTA2とを参照して出力の制御を行う。例えば、電池ユニット20から制御部10に対して、電池部21の温度情報として20℃、電池部21の電圧情報として6.0Vが供給されたとする。制御部10は、テーブルTA1を参照して、温度情報20℃に対応する制御情報を取得する。本例では、制御情報として0dBが取得される。また、制御部10は、テーブルTA2を参照して、電圧情報6.0Vに対応する制御情報を取得する。本例では、制御情報として−4.0dBが取得される。
【0055】
制御部10は、取得した2個の制御情報を比較し条件の厳しい方、換言すれば、DRCの効果が大きくなる制御情報を選択する。本例では、2個の制御情報はそれぞれ0dB、−4.0dBであることから、−4.0dBが選択される。制御部10は、選択した制御情報をデジタル信号処理部11に設定する。デジタル信号処理部11は、制御部10により選択された制御情報に基づいて、オーディオ信号に対する処理を行う。なお、制御情報の値が同一の場合は、どちらを選択してもよい。
【0056】
以上説明したように、効果が大きい制御情報に基づいた制御が行われるので、電池部21の温度が使用温度範囲を超えてしまったり、電圧降下により電池部21の電圧が仕様電圧やシステムダウン電圧を下回ることを防止することができる。
【0057】
なお、
図2を参照して説明したように、電池部21の内部インピーダンスは、電池部21の温度が低温であるほど大きくなる。内部インピーダンスが大きくなる分、電圧降下が大きくなる。したがって、電池部21の温度が低温である場合には、電池部21の温度よりも電池部21の残容量に応じた制御が行われることが好ましい。一方で、電池部21の温度が高い場合には、電池部21の内部インピーダンスは小さくなる。内部インピーダンスが小さくなる分、電圧降下が小さくなる。したがって、電池部21の温度が高温である場合には、電池部21の残容量よりも電池部21の温度に応じた制御が行われることが好ましい。かかる点に鑑みて、本実施形態では、複数の第2のテーブルを用意し、電池部21の温度情報に応じて制御部10が参照するテーブルを切り替えるようにしている。
【0058】
図10Aは、上述したテーブルTA1を示す。
図10Bは、電池部21の温度情報が0℃である場合に用いられるテーブルTA2aを示す。テーブルTA2aには、電池部21の残容量が小さい場合にDRCによる制御の効果が大きくなるように、制御情報が記述されている。例えば、状態番号6(電池部21の電圧(Vbat)が6.0≦Vbat<6.2の範囲)に対応する制御情報は、テーブルTA2では−4.0dBが記述されるのに対し、テーブルTA2aでは−6.0dBが記述される。テーブルTA2を参照した制御によっては、電池部21の温度が低温である場合に大きくなる電圧降下により、電池部21の電圧が仕様電圧やシステムダウン電圧を下回ってしまうおそれがある。しかしながら、電池部21の温度が低温である場合に制御部10がテーブルTA2aを参照することで、電池部21の残容量に応じた制御を優先的に実現でき、且つ、DRCの効果が大きくなる制御を実現することができる。このため電圧降下が大きくなる場合でも、電池部21の電圧が仕様電圧やシステムダウン電圧を下回ることを防止することができる。
【0059】
図11Aは、上述したテーブルTA1を示す。
図11Bは、電池部21の温度情報が55℃である場合に用いられるテーブルTA2bを示す。テーブルTA2bには、電池部21の残容量が小さい場合でもDRCによる制御の効果がそれほど大きくならないように、制御情報が記述されている。例えば、状態番号6(電池部21の電圧(Vbat)が6.0≦Vbat<6.2の範囲)に対応する制御情報は、テーブルTA2では−4.0dBが記述されるのに対し、テーブルTA2bでは−3.0dBが記述される。
【0060】
例えば、電池ユニット20から制御部10に対して、電池部21の温度情報として55℃、電池部21の電圧情報として6.0Vが供給されたとする。制御部10は、テーブルTA1を参照して、温度情報55℃に対応する制御情報を取得する。本例では、制御情報として−4.5dBが取得される。また、制御部10は、テーブルTA2bを参照して、電圧情報6.0Vに対応する制御情報を取得する。本例では、制御情報として−3.0dBが取得される。
【0061】
制御部10は、取得した2個の制御情報を比較し条件の厳しい方、換言すれば、DRCの効果が大きくなる制御情報を選択する。本例では、2個の制御情報はそれぞれ−4.5dB、−3.0dBであることから、−4.5dBが選択される。制御部10は、選択した制御情報をデジタル信号処理部11に設定する。デジタル信号処理部11は、制御部10により選択された制御情報に基づいて、オーディオ信号に対する処理を行う。
【0062】
上述したように電池部21の温度が高温である場合には、電池部21の内部インピーダンスが小さくなるので電圧降下は小さくなる。一方で、電池部21の温度が高温であるので温度情報に応じた制御が行われることが望ましい。電池部21の温度が高温である場合に制御部10がテーブルTA2bを参照することで、電池部21の温度に応じた制御を優先的に実現することができ、電池部21の温度が使用温度範囲を上回ることを防止することができる。
【0063】
上述した第5の制御例では、第2のテーブルの一例として3個のテーブル(テーブルTA2、TA2a、TA2b)を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。温度の範囲毎に対応して適宜な数のテーブルを用意して上述した制御に適用することができる。
【0064】
本実施形態に係るオーディオ信号再生装置1は、少なくとも第5の制御例に対応する制御を行う。残容量が一定以上の場合は、制御を簡略化するために、温度情報のみに応じた制御(例えば、第1または第2の制御例)を行うようにしてもよい。
【0065】
以上、本開示の一実施形態について説明した。一実施形態によれば、以下の効果が得られる。電池部21において、初期の条件(電池部の温度や残容量)において出力可能な最大出力が継続した場合、電池部21の使用温度範囲の上限に達し、当該電池部21にダメージを与え劣化の進行につながる。しかしながら、一実施形態に係る制御を行うことにより出力部の出力が減じられ、電池部21の使用温度範囲以上にならないように出力が制御されるため、電池部21を安全に使用することができる。
【0066】
また、電池部21の継続的な使用にともなって電圧が徐々に低下していくことに加えて、出力負荷の増加に応じて、瞬間的な電圧ドロップが発生する。電圧ドロップにより電池部21が過放電状態に達し、保護回路が働きオーディオ信号再生装置1の動作が停止したり、電池部21にダメージを与え電池部21の劣化が進行する。しかしながら、一実施形態に係る制御を行うことにより出力部の出力が減じられ、電圧ドロップにより電池部21の電圧が仕様電圧を下回らないように出力が制御されるので、電池部21を安全に使用することができる。また、一実施形態に係る制御を行うことにより出力部の出力が減じられ、電圧ドロップがシステムの動作を維持するためのシステムダウン電圧を下回らないように出力が制御されるので、より長い時間、オーディオ信号再生装置1におけるシステムを駆動することが可能となる。
【0067】
<2.変形例>
以上、本開示の一実施形態について具体的に説明したが、本開示の内容は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0068】
上述した一実施形態におけるオーディオ信号再生装置において、図示しない構成が追加されてもよい。例えば、操作を受け付ける入力部や表示部が設けられていてもよい。オーディオ信号再生装置は、リモートコントロール装置による遠隔操作が可能であってもよい。オーディオ信号再生装置にUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型のメモリが挿入される挿入口が設けられていてもよい。出力部はオーディオアンプに限らず、モータを駆動するためのアンプでもよい。
【0069】
電池部は、リチウムイオン二次電池に限らず、ニッケル水素電池等、他の電池であってもよい。また、電池部の電圧情報は電池部の残容量を示す情報であれば電圧に限定されるものではなく、例えば充電の程度を示すSOC(State Of Charge)であってもよい。テーブルTA等についても同様であり、制御情報が電圧ではなくSOCに対応付けられていてもよい。
【0070】
制御部とデジタル信号処理部の機能が1チップのIC(Integrated Circuit)で構成されてもよく、この場合、当該ICが特許請求の範囲における制御部に対応する構成であってもよい。
【0071】
DRCは、周波数のバンドを分けてリミット値を制御するマルチバンドDRCと称される機能であってもよい。一実施形態における制御において、特定の周波数に対応する信号(例えば、電池部にとって大きな負荷となる周波数に対応する信号)に対するリミット値のみがコントロールされるようにしてもよい。
【0072】
上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよい。上述した実施形態および変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0073】
本開示は、以下の構成も採ることができる。
(1)
電池部の温度を検出する温度検出部と、
電池部の電圧を検出する電圧検出部と、
前記温度検出部により検出される温度情報および前記電圧検出部により検出される電圧情報に基づいて、出力の制御を行う制御部と
を有するオーディオ信号再生装置。
(2)
前記制御部は、
前記電池部の温度と出力の制御を行うための制御情報とが対応付けられた第1のテーブルと、前記電池部の電圧と出力の制御を行うための制御情報とが対応付けられた第2のテーブルとを参照して出力の制御を行う
(1)に記載のオーディオ信号再生装置。
(3)
前記制御部は、
前記第1のテーブルを参照して前記温度検出部により検出された温度情報に対応する第1の制御情報を取得し、
前記第2のテーブルを参照して前記電圧検出部により検出された電圧情報に対応する第2の制御情報を取得し、
前記第1の制御情報および前記第2の制御情報のうち、制御の効果が大きくなる制御情報を選択し、選択した制御情報に基づいて出力の制御を行う
(2)に記載のオーディオ信号再生装置。
(4)
前記電池部の温度に対応して複数の前記第2のテーブルが設定され、
前記制御部は、
前記複数の第2のテーブルの中から、前記温度検出部により検出された温度情報に対応する第2のテーブルを参照する
(2)または(3)に記載のオーディオ信号再生装置。
(5)
前記制御部は、出力の制御として、オーティオ信号のレベルを変更する
(1)〜(4)のいずれかに記載のオーディオ信号再生装置。
(6)
前記制御部は、出力の制御として、オーディオ信号のレベルが閾値以上の場合に、当該オーディオ信号のレベルを前記閾値内に圧縮する
(1)〜(4)のいずれかに記載のオーディオ信号再生装置。
(7)
前記電池部を有する
(1)〜(6)のいずれかに記載のオーディオ信号再生装置。
(8)
前記電池部は、温度の変化に伴って内部インピーダンスが変化する特性を有する
(7)に記載のオーディオ信号再生装置。
(9)
前記電池部は、リチウムイオン二次電池から構成されている
(8)に記載のオーディオ信号再生装置。
(10)
他の機器と通信を行う通信部を有する
(1)〜(9)のいずれかに記載のオーディオ信号再生装置。
(11)
温度検出部が、電池部の温度を検出し、
電圧検出部が、前記電池部の電圧を検出し、
制御部が、前記温度検出部により検出された温度情報および前記電圧検出部により検出された電圧情報に基づいて出力の制御を行う
オーディオ信号再生装置における制御方法。
(12)
前記制御部は、
前記電池部の温度と出力の制御を行うための制御情報とが対応付けられた第1のテーブルと、前記電池部の電圧と出力の制御を行うための制御情報とが対応付けられた第2のテーブルとを参照して出力の制御を行い、
前記電池部の温度に対応して設定される複数の前記第2のテーブルの中から、前記温度検出部により検出された温度情報に対応する第2のテーブルを参照する
(11)に記載の制御方法。
(13)
前記制御部は、出力の制御として、オーティオ信号のレベルを変更する
(11)に記載の制御方法。
(14)
前記制御部は、出力の制御として、オーディオ信号のレベルが閾値以上の場合に、当該オーディオ信号のレベルを前記閾値内に圧縮する
(11)に記載の制御方法。