(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記応力緩和部は、平面視において、前記上外装体の天面の外縁に沿って、該天面の外縁と同心状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貼付型生体用デバイス。
前記上外装体は、外力により生じる応力が作用する方向に対して略平行に延在し、かつ、該応力に抗するように、筋状に形成された補強部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の貼付型生体用デバイス。
前記補強部は、前記上外装体の側面部に、前記上外装体の天面の外縁部から底部にかけて、かつ、平面視において、前記上外装体の天面の外縁部から放射状に拡がるように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の貼付型生体用デバイス。
前記上外装体は、外力により生じる応力が作用する方向に対して略平行に延在し、かつ、応力に抗するように該応力が作用する方向に対して筋状に形成された補強部をさらに備え、
前記補強部は、前記上外装体の側面部に、前記内張り部材の外縁上の位置から底部にかけて、かつ、平面視において、前記内張り部材の外縁上の位置から放射状に拡がるように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の貼付型生体用デバイス。
前記補強部は、前記上外装体の側面部に、前記上外装体の天面の外縁部から底部にかけて、かつ、平面視において、前記上外装体の天面の外縁部から放射状に拡がるように設けられていることを特徴とする請求項7に記載の貼付型生体用デバイス。
前記凸状部又は凹状部は、平面視において、前記上外装体の天面部の外縁に沿って、該天面部の外縁と同心状に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の貼付型生体用デバイス。
前記凸状部又は凹状部は、平面視において、前記内張り部材の外縁位置の外側に、該内張り部材の外縁と同心状に設けられていることを特徴とする請求項10又は11に記載の貼付型生体用デバイス。
前記上外装体は、外力により生じる応力が作用する方向に対して略平行に延在し、かつ、該応力に抗するように形成された補強部をさらに備えることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の貼付型生体用デバイス。
前記補強部は、前記上外装体の連結部に、前記上外装体の天面部の外縁から底部にかけて、かつ、平面視において、前記上外装体の天面部の外縁から放射状に拡がるように設けられていることを特徴とする請求項13に記載の貼付型生体用デバイス。
前記補強部は、前記上外装体の連結部に、前記上外装体の天面部の外縁から底部にかけて、かつ、平面視において、前記上外装体の天面部の外縁から放射状に拡がるように設けられていることを特徴とする請求項15に記載の貼付型生体用デバイス。
前記補強部は、前記上外装体の連結部に、前記内張り部材の外縁上の位置から前記底部にかけて、かつ、平面視において、前記内張り部材の外縁上の位置から放射状に拡がるように設けられていることを特徴とする請求項15又は16に記載の貼付型生体用デバイス。
前記電子回路は、前記上外装体の裏面と対向するように配設され、使用者による操作を受け付ける操作スイッチを含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の貼付型生体用デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。なお、ここでは、本発明に係る貼付型生体用デバイスとして非加熱型の深部体温計(以下、単に「深部体温計」という)を例にして説明する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図7を併せて用いて、第1実施形態に係る深部体温計1の構成について説明する。
図1は、深部体温計1の外観を示す平面図、及び、底面図である。
図2は、深部体温計1の構成を示す断面図(
図1のII−II線に沿った断面図)である。
図3は、深部体温計1を構成する下外装体20を示す平面図である。
図4は、深部体温計1を構成する熱抵抗体層30を示す平面図である。
図5は、深部体温計1を構成する配線基板40を示す平面図、及び、底面図である。
図6は、深部体温計1を構成するフレキシブル基板50を示す平面図である。
図7は、深部体温計1を構成する貼付部材60を示す平面図、及び、分解図である。
【0015】
深部体温計1は、第1温度センサ701と第2温度センサ702により検出された生体信号に該当する温度の差、及び、第3温度センサ703と第4温度センサ704により検出された生体信号に該当する温度の差に基づいて、使用者(被検者)の深部からの熱流量を求め、深部体温を取得する非加熱型の深部体温計である。また、深部体温計1は、使用者(被験者)の体表面に貼り付けて、連続的に体温を測定して体温データを取得する貼付型(パッチ型)の深部体温計である。特に、深部体温計1は、装着感を損なうことなく、しわの発生を抑制することができる深部体温計である。
【0016】
深部体温計1は、主として、上外装体10、下外装体20、体温測定部15、内張り部材80、緩衝部材90、及び、貼付部材60を備えて構成されている。また、体温測定部15は、主として、熱抵抗体層30、第2温度センサ702、第4温度センサ704が実装された配線基板40、第1温度センサ701、第3温度センサ703が実装されたフレキシブル基板50を有して構成されている。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0017】
上外装体10は、例えば、可撓性、防水性、及び保温性を有する独立気泡又は半独立気泡の発泡素材から形成される。上外装体10は、外気温の急激な変動(変化)により体温測定部15の温度が局所的に変化することを防ぐために、熱伝導率の低い発泡素材を用いることが好ましい。なお、素材としては、例えば、ポリウレタンや、ポリスチレン、ポリオレフィン等が好適に用いられる。上外装体10は、体温測定部15(熱抵抗体層30、配線基板40、フレキシブル基板50など)を収納できるように、断面が略ハット状に形成されている。すなわち、上外装体10は、角が丸められた矩形状の天面部と、平面視において該天面部の外側に同心状に形成された環状の底部と、該天面部と該底部とをつなぐ連結部とを有して構成されている。そのため、発泡素材によって熱抵抗体層30の側面が覆われ、熱抵抗体層30の側面が外気に曝されることが防止される。
【0018】
上外装体10の表面には、外部から加えられる外力により生じる応力を緩和(吸収)するように、該応力が作用する方向に対して滑らかに湾曲した応力緩和部10a(特許請求の範囲に記載の凸状部又は凹状部に相当)が形成されている。応力緩和部10aは、例えば、縦断面が半円状に窪んだ形状(凹状部に相当)、又は、半円状に突出した形状(凸状部に相当)に形成される。なお、応力緩和部10aは、縦断面が波状や蛇腹状に形成されていてもよい。なお、応力が作用する方向は、例えば、構造解析(シミュレーション)や、歪みゲージを用いた実験等によって特定することができる。
【0019】
また、応力緩和部10aは、応力が作用する方向に対して交わる方向(例えば略垂直方向)に延在するように形成される。より具体的には、応力緩和部10aは、平面視において、上外装体10の天面(天面部)の外縁(輪郭)に沿って(すなわち周方向に)、該天面の外縁と同心状に設けられる。特に、応力緩和部10aは、平面視において、内張り部材80の外縁位置の外側に、該内張り部材80の外縁と同心状に設けられる。本実施形態では、
図1に示されるように、内張り部材80の外縁と同心状に3つの応力緩和部10aを配置した。なお、応力緩和部10aは、必ずしも環状につながっている必要はなく、切れていてもよい。
【0020】
ここで、上外装体10の加工方法としては、例えば、真空成型が好適に用いられる。すなわち、金型の上に発泡素材からなるシートを置いた後、該シートをヒータで加熱するとともに、金型側から真空吸引することにより、柔らかくなったシートが金型に張りつくことによって、上外装体10が形成される。その際に、応力緩和部10aや、後述する補強部(補強リブ)10bも同時に形成される。なお、真空成型により上外装体10を形成する場合には、側面部が延ばされる(すなわち、変形量が大きくなる)ため、側面部の厚みが薄くなる傾向がある。
【0021】
下外装体20は、例えば、防水性を有し(水分透過性が低く)、かつ、上外装体10よりも熱伝導率が高い非発泡性樹脂フィルムから形成される。素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミドなどが挙げられ、特に、ポリエチレンテレフタラート(PET)が好適に用いられる。下外装体20は、第1温度センサ701、第3温度センサ703が取り付けられたフレキシブル基板50(体温測定部15)を密着して固定できるように、平板状(フラット)に形成されている。なお、体温測定部15と下外装体20との間に隙間ができると熱抵抗が変わり、熱流束に影響するため、体温測定部15と下外装体20とは、両面テープで貼り合わせる方法や、接着剤で固定する方法などにより、密着して固定することが好ましい。上外装体10と下外装体20のサイズ(外形寸法)は、同一(又は略同一)となるように形成されており、例えば、縦40〜100mm、横20〜60mm程度の大きさに形成される。
【0022】
そして、断面が略ハット状に形成された上外装体10の周縁部と、平板状に形成された下外装体20の周縁部とは、例えば、両面テープでの貼り合わせ、接着剤での固定、又は、ヒートシールなどによって、密着して固定される。なお、防水性能を実現するため、上外装体10と下外装体20を密着固定する部分は、平坦で、しわがよりにくい構造であることが望ましい。すなわち、下外装体20の外縁部が平坦で、対向する上外装体10の外縁部も平坦であり、それらを貼り合わせて密着固定することが好ましい。このようにすれば、密着固定部に均一に力がかかるため、しわがよるなどの防水性能に悪影響を及ぼす問題が発生しにくくなる。
【0023】
体温測定部15は、
図2に示されるように、下外装体20側から順に、フレキシブル基板50、熱抵抗体層30、配線基板40の順に積層されて構成される。
【0024】
熱抵抗体層30は、2つの熱流束を形成するために、熱抵抗値が異なる2つの熱抵抗体、すなわち、第1熱抵抗体301、及び、第2熱抵抗体302を有している(
図4参照)。第1熱抵抗体301には、第2熱抵抗体302よりも熱伝導率が高い(熱抵抗値が低い)素材、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン、アクリルやポリカーボネート、エポキシ樹脂等のプラスチック類が好適に用いられる。第2熱抵抗体302には、第1熱抵抗体301よりも熱伝導率が低い(熱抵抗値が高い)素材、例えば、ポリウレタンやポリスチレン、ポリオレフィン等の発泡プラスチック(フォーム材)が好適に用いられる。ただし、発泡状でないプラスチックやゴムなども用いることができる。なお、ここで、銅やアルミなどの金属の熱伝導率が100[W/m/K]以上であるのに対し、ポリプロピレンやポリエチレン、アクリルやポリカーボネート、エポキシ樹脂等のプラスチック類の熱伝導率は、約0.1〜0.5[W/m/K]程度であり、3桁程小さい。発泡プラスチックの熱伝導率はさらに1桁近く小さい。空気の熱伝導率はさらに小さく0.024[W/m/K]である。第1熱抵抗体301と、第2熱抵抗体302とは、配線基板40やフレキシブル基板50と積層可能とすることによる低コスト化を図るため、厚みが略同一となるように形成されている。
【0025】
熱抵抗体層30を構成する第1熱抵抗体301には、厚さ方向に貫通する第1貫通孔301aが形成されている。同様に、熱抵抗体層30を構成する第2熱抵抗体302には、厚さ方向に貫通する第2貫通孔302aが形成されている。第1貫通孔301aは、平面視した場合に、第1温度センサ701、第2温度センサ702が内側に納まるように形成されている。すなわち、第1貫通孔301aの内部(内側)には、対となる第1温度センサ701と第2温度センサ702とが第1熱抵抗体301の厚さ方向に沿って配置される。同様に、第2貫通孔302aは、平面視した場合に、第3温度センサ703、第4温度センサ704が内側に納まるように形成されている。すなわち、第2貫通孔302aの内部(内側)には、対となる第3温度センサ703と第4温度センサ704とが第2熱抵抗体302の厚さ方向に沿って配置される。
【0026】
ここで、第1温度センサ701〜第4温度センサ704(以下、総括的に、「温度センサ(特許請求の範囲に記載の生体センサに相当)70」ということもある)としては、例えば、温度によって抵抗値が変化するサーミスタや測温抵抗体などが好適に用いられる。なお、温度センサ70は、応答性を高める観点から、できるだけ熱容量が小さいことが好ましい。よって、温度センサ70としては例えばチップサーミスタが好適に用いられる。第1温度センサ701〜第4温度センサ704それぞれは、プリント配線を介して、後述する処理回路と電気的に接続されており、温度に応じた電気信号(電圧値)が処理回路で読み込まれる。
【0027】
ところで、熱流式の深部体温計1のサイズを小さくするためには、熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)を小さくすることが重要になるが、熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)を小さくすると、対となる温度センサ70の出力値の差が小さくなるため、測定誤差が大きくなるおそれがある。ここで、温度センサ70(チップサーミスタ)は略直方体であり厚さがあるため、熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)が薄くなるとその厚さを無視できなくなる。温度センサ70(チップサーミスタ)が熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)の側面に接触していると、その接触箇所から熱が伝達されるため、温度センサ70(チップサーミスタ)の温度(検出値)が熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)の表面温度からずれた温度(値)になるおそれがある。そこで(その影響を低減するため)、温度センサ70(チップサーミスタ)周囲の熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)に貫通孔301a,302aを形成し、温度センサ70(チップサーミスタ)が熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)の側面に接触しない構造とした。
【0028】
配線基板40(特許請求の範囲に記載の電子回路に相当)は、例えば、ガラスエポキシ基板のようなリジッド基板である。配線基板40には、第1温度センサ701〜第4温度センサ704それぞれの出力信号を処理して深部体温データを取得する処理回路が実装されている。また、配線基板40には、取得した深部体温データを送信(出力)する無線通信部403、及び、処理回路や無線通信部403に電力を供給するコイン電池404が実装されている。処理回路は、主として、温度入力回路と、演算処理回路とを有している。温度入力回路は、温度センサ70の検出信号(出力電圧)を読み込むため、例えば、増幅器(例えばオペアンプ)やアナログ/デジタル・コンバータ(A/Dコンバータ)などを含んで構成されている。温度入力回路は、各温度センサ70から出力されたアナログ信号を増幅して、デジタル信号に変換し、演算処理回路に出力する。
【0029】
演算処理回路は、読み込まれた測定(温度)データから深部体温を算出する。演算処理回路は、例えば、MCU(Micro Control Unit)や、EEPROM、RAM等により構成され、温度入力回路を介して読み込まれた各温度センサ70の検出値に基づいて深部体温を算出する。また、演算処理回路は、算出した深部体温データをRAMなどのメモリに記憶させる。さらに、演算処理回路は、算出した深部体温データを無線通信部403に出力することにより、外部機器に無線で出力(送信)する。
【0030】
なお、ここで、演算処理回路では、2つの熱抵抗の異なる熱抵抗体301,302を用いて形成される2つの熱流束の差によって生じる熱抵抗体301,302の表裏の温度差に基づいて深部体温を演算(推定)する。より具体的には、演算処理回路では、例えば、次式(1)に基づいて、深部体温Tbを算出する。
Tb={T1(T3−T4)*Ra1−T3(T1−T2)*Ra2}/{(T3−T4)*Ra1−(T1−T2)*Ra2} ・・・(1)
なお、Tbは深部体温を、T1は第1温度センサ701により検出された温度を、T2は第2温度センサ702により検出された温度を、Ra1は第1熱抵抗体301の熱抵抗値をそれぞれ示している。また、T3は第3温度センサ703により検出された温度を、T4は第4温度センサ704により検出された温度を、Ra2は第2熱抵抗体302の熱抵抗値をそれぞれ示している。
ここで、Ra1及びRa2は既知であるため、4つの温度(T1、T2、T3、T4)を検出することによって、一義的に深部体温Tbを求めることができる。
【0031】
配線基板40の下面には、第1熱抵抗体301の上面(外気側)の温度を取得する第2温度センサ702、第2熱抵抗体302の上面(外気側)の温度を検出する第4温度センサ704が実装されている。より詳細には、配線基板40の下面には、周辺の温度分布を均一化する熱均一化パターン401,402が形成されており、第2温度センサ702の一方の電極が熱均一化パターン401に接続され、第4温度センサ704の一方の電極が熱均一化パターン402に接続されている。熱均一化パターン401,402は、例えば、金属膜のような熱伝導率が高い材料で形成される。
【0032】
また、外気温などの影響によって配線基板40の一部の温度のみが変化してしまうことを防止するため、第2温度センサ702、第4温度センサ704が実装されている配線層の背面側(外気側)に、外気温の温度分布の影響を熱的に均一化する熱伝導率の高い均一化部材(金属膜)を設けることが好ましい。ここで、均一化部材としては、金属箔や金属薄板などを使用してもよいが、配線基板40に形成される配線層と同様に、配線基板40(多層リジッド基板)の内層の配線パターン(ベタパターン)として形成することが望ましい。その場合、均一化部材として使用する内層の配線パターン(ベタパターン)はグランドパターンでもよいが、電気回路とは接続されておらず電流が流れない独立パターンであることが好ましい。
【0033】
無線通信部403は、取得された深部体温データ(生体情報)を外部の管理機器や情報端末(例えばスマートフォン等)に送信する。ここで、無線通信部403は、例えば、Bluetooth(登録商標)などを用いて、外部の管理機器や情報端末に深部体温データを送信する。薄型のコイン電池(バッテリ)404は、上述した処理回路(電子部品)及び無線通信部403などに電力を供給する。コイン電池404は、配線基板40に実装された(取り付けられた)電池ホルダ95に収納されている。電池ホルダ95は、配線基板40と内張り部材80との間に配設される。すなわち、電池ホルダ95は、内張り部材80を支持するスペーサ部材を兼ねている。なお、体温測定部15(深部体温計1)の平面積(貼り付け面積)を小さくするために、また、外気温の変化や無線通信部403の動作に伴う発熱の影響を防止するために、無線通信部403、及び、コイン電池404(電池ホルダ95)は、配線基板40を挟んで、温度センサ70と反対側(上面側)に配設される。
【0034】
配線基板40の上面(主面)には、上外装体10を介して使用者による電源のオン/オフ操作を受け付ける電源スイッチ406(特許請求の範囲に記載の操作スイッチに相当)が実装されている。配線基板40は、電源スイッチ406が上外装体10の裏面(背面)と対向するように、上外装体10と下外装体20とにより画成される密閉空間内に収納される。電源スイッチ406としては、例えば、押しボタンスイッチやロッカースイッチなどが好適に用いられる。なお、押しボタンスイッチの場合には、指先を離してもオン状態を保持するオルタネイト動作のものが好ましい。また、電源スイッチ406としては、表面実装タイプのものが好ましいが、リードタイプのものを用いてもよい。
【0035】
ここで、誤って(偶発的に)電源スイッチ406が押下されて電源がオン/オフされてしまうことを防止するために、また、電源スイッチ406が上外装体10を押し上げないようにするために、電源スイッチ406は、上外装体10と接触しないように配設されている。より具体的には、電源スイッチ406のボタン上面(天面)と上外装体10の裏面(背面)との間隔は、例えば、0〜4mmの範囲に設定されることが好ましく、0.5〜1.5mmの範囲に設定されることがより好ましい。また、電源スイッチ406のストロークは、例えば、0.1〜1mmの範囲に設定されることが好ましく、0.1〜0.3mmの範囲に設定されることがより好ましい。
【0036】
また、配線基板40の上面には、使用者による操作や体温の測定状態(例えば、電源スイッチ406のオン/オフ、測定開始/終了等)に応じて点灯又は点滅するLED405が実装されている。なお、LEDに代えて、例えば、VCSEL等を用いてもよい。さらに、配線基板40の下面側にはフレキシブル基板50を電気的に接続するためのFPCコネクタ407が取り付けられている。
【0037】
フレキシブル基板(FPC)50は、例えば、ポリイミドやポリエステル(PET)などから形成されており、可撓性を有する。フレキシブル基板50には、第1熱抵抗体301の皮膚側の温度を取得する第1温度センサ701、第2熱抵抗体302の皮膚側の温度を取得する第3温度センサ703が実装されている。より詳細には、
図6に示されるように、フレキシブル基板50には、周辺の温度分布を均一化するために、熱均一化パターン501,502が形成されており、第1温度センサ701の一方の端子が熱均一化パターン501に接続され、第3温度センサ703の一方の端子が熱均一化パターン502に接続されている。熱均一化パターン501,502は、例えば、金属膜のような熱伝導率が高い材料で形成されている。第1温度センサ701、第3温度センサ703それぞれは、配線パターン53及び、上記FPCコネクタ407を介して、配線基板40(処理回路)に接続されており、温度に応じた電気信号(電圧値)が処理回路(温度入力回路)で読み込まれる。なお、上述したように、下外装体20、フレキシブル基板50、熱抵抗体層30、及び、配線基板40は、熱流束を形成するため、間に隙間が生じないように、例えば、両面テープなどで密着して固定される。
【0038】
上外装体10の裏面(背面)、すなわち、上外装体10と緩衝部材90、電池ホルダ(スペーサ部材)95との間には、後述する緩衝部材90よりも薄い薄板状(シート状)に形成された内張り部材80が配設されている。内張り部材80は、平面視において上外装体10の天面の外縁と略相似形に形成される。そして、内張り部材80は、上外装体10の天面の外縁に対して同心状に配置される。内張り部材80は、上外装体10のシワを抑制するために、一方の面が、例えば両面テープなどによって上外装体10の裏面(背面)に貼り付けて取り付けられている。内張り部材80は、例えば、可撓性を有するPET等の樹脂材料により、電源スイッチ406の操作方向(例えば押下方向)へのたわみ性を有するように(湾曲可能)に形成されている。なお、内張り部材80は、金属薄板等から形成されていてもよい。
【0039】
内張り部材80には、平面視した場合に電源スイッチ406が内側に収まる貫通孔80aが厚み方向に形成されている。なお、貫通孔80aは、孔の周囲が完全に閉じられていてもよいし、完全には閉じられていなくてもよい。内張り部材80の貫通孔80aは、指先がすべて入ってしまわないように指先の外径よりも小さく、かつ、電源スイッチ406を押せるように指先の腹が入る程度の大きさに形成されている。より具体的には、指先の外径は個人差があるため、貫通孔80aの内径は、例えば、10〜20mmの範囲に設定することが好ましく、13〜16mmの範囲に設定することがより好ましい。なお、上外装体10の厚みが厚い場合(例えば2mm以上の場合)、上外装体10の厚さに応じて貫通孔80aの内径を大きくすることが好ましい。
【0040】
配線基板40の上面(主面)と内張り部材80との間には、緩衝性(クッション性)を有し、板状に形成された緩衝部材90が配設されている。緩衝部材90は、配線基板40に実装された電源スイッチ406の配線基板40の実装面からの高さ(背高)、及び、電子部品の配線基板40の実装面からの高さ(背高)よりも厚く形成されている。緩衝部材90は、例えば両面テープなどによって内張り部材80の他方の面に貼り付けて取り付けられている。
【0041】
緩衝部材90には、平面視した場合に電源スイッチ406が内側に収まる貫通孔90aが厚み方向に形成されている。緩衝部材90に形成された貫通孔(開口部)90aは、平面視した場合に内張り部材80に形成された貫通孔(開口部)80aの内側に収まるように形成されて配設されている。すなわち、緩衝部材90の貫通孔90aは、内張り部材80の貫通孔80aよりも小さく形成されている。また、緩衝部材90に形成された貫通孔90a、及び、内張り部材80に形成された貫通孔80aそれぞれは、略円形(例えば楕円形等も含む)に形成されており、かつ、それぞれの内径が、指先の外径よりも小さく設定(形成)されている。より具体的には、緩衝部材90の貫通孔90aの内径は、例えば、8〜18mmの範囲に設定されることが好ましく、11〜14mmの範囲に設定されることがより好ましい。なお、上外装体10が厚い(例えば厚さ2mm以上)場合には、その厚さに応じて貫通孔90aの内径を大きくすることが好ましい。
【0042】
貼付部材60は、
図7に示されるように、下外装体20の外側の面に貼り付けられる第1接着層601、該第1接着層601に貼り付けられる通気性を有する通気層603(すなわち、水分を通す水分透過層)、及び、該通気層603に貼り付けられる第2接着層602を有して構成される。ところで、深部体温計1を皮膚に貼り付けて使用する場合、汗が皮膚と深部体温計1(下外装体20)との間に長時間たまったままになると、皮膚が炎症を起こすおそれがあるが、貼付部材60に水分を通す通気層603を設けることで、汗等での蒸れを抑制する。通気層603(水分透過層)としては、例えば、不織布を好適に用いることができる。なお、不織布に代えて、織物や編物の布を用いてもよい。また、紙や、木材、スポンジ/連続気泡の発泡材料などを用いてもよいし、体温測定部15の中央から周縁に向かう溝や孔が形成されたプラスチックやゴム、金属の構造体を用いてもよい。
【0043】
通気層603(水分透過層)は空気を内部に含むため、通常、熱伝導率が低くなる。そのため、通気層603(水分透過層)が皮膚との間にあると体温測定精度に影響する。そこで(安定して体温を測定するために、)皮膚の温度を測定する第1温度センサ701、第3温度センサ703、及び、これらに接続された熱均一化パターン501,502と重なる領域には、通気層603(水分透過層)を配置しないようにする。
【0044】
ここで、通気層603(水分透過層)に不織布を用いた場合を例にして説明する。
図7に示されるように、不織布(通気層603)の両面には、生体適合性のある両面テープ(第1接着層601、第2接着層602)が貼り付けられる。通気層603及び第2接着層602には、平面視した場合に、第1温度センサ701、第3温度センサ703が内側に納まる貫通孔60a,60bが、厚み方向に形成されている。ここで、下外装体20に貼り付けられる両面テープ(第1接着層601)には貫通孔を形成しないことが好ましい。なぜならば、貫通孔が形成されていると(すなわち第1接着層601がないと)下外装体20が皮膚に密着しなくなり、測定精度が低下するおそれが生じるためである。
【0045】
また、通常、両面テープ(第2接着層602)は、不織布(通気層603)よりも水分透過性が悪いため、少なくとも第2接着層602には、厚み方向に形成された複数(
図7の例では7個)の貫通孔60cを形成することが好ましい。その場合、例えば、直径1〜10mm程度の貫通孔60cを2〜20mm程度の間隔で配置することが好ましい。なお、貫通孔60cに代えて、例えば、交差部を有する切り込み(すなわち十字状に交差している切り込み)を形成してもよい。その場合、長さ1〜10mm程度の切り込みを交差させたものを2〜20mm程度の間隔で配置することが好ましい。
【0046】
次に、
図8及び
図9を併せて参照しつつ、深部体温計1の組立て方法(製造方法)について説明する。
図8は、深部体温計1の組立て方法を説明するための図(その1)である。
図9は、深部体温計1の組立て方法を説明するための図(その2)である。
【0047】
深部体温計1は、例えば、次の(1)〜(6)の工程で組み立てられる。
(1)配線基板40の裏面に熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)の一方の面が両面テープで密着固定される。
(2)フレキシブル基板50が、配線基板40のFPCコネクタ407に接続された後、熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)の他方の面に両面テープで密着固定される。
(3)コイン電池404が配線基板40に装着される(すなわち、配線基板40上に実装された電池ホルダ95に挿入される)。
(4)体温測定部15(配線基板40、熱抵抗体層30、フレキシブル基板50)のフレキシブル基板50側が下外装体20の中央部分に両面テープで密着固定される。
(5)内張り部材80の一方の面が上外装体10の裏面(背面)に両面テープで貼り付けられ、該内張り部材80の他方の面に緩衝部材90が両面テープで貼り付けられる。
(6)内張り部材80と緩衝部材90が貼り付けられた上外装体10の周縁部と、体温測定部15が固定された下外装体20の周縁部とが両面テープで密着固定される。
(7)貼付部材60が下外装体20の底面に貼り付けられる。以上のようにして、深部体温計1が組み立てられる(製造される)。なお、本実施形態では、第1温度センサ701及び第3温度センサ703が、下外装体20の中心から対称な位置に配置されていないため、貼付部材60の貼付方向を示すための印20aを下外装体20に付けた。第1温度センサ701及び第3温度センサ703を下外装体20の中心から対称な位置に配置して、貼付部材60の貼付方向を示す印20aをなくしてもよい。
【0048】
上述したように組み立てられた深部体温計1を使用する際には、まず、貼付部材60の第2接着層602(両面テープ)に付着しているセパレータ(剥離紙)を剥がす。そして、上外装体10の外側から電源スイッチ406を押して電源をオンにした後、使用者(被測定者)の測定部位に貼り付ける。なお、測定中に誤って電源スイッチ406を押してしまうことがあり得るため、電源のオン・オフは、例えば、数秒以上の長押しや複数回の押しこみによって操作を受け付けるようにすることが好ましい。操作を受け付けた際には、LED405が所定の発光パターンで発光し、操作が受け付けられたことを使用者に知らせる。電源がオンになると深部体温測定と測定データのメモリへの保存、及び、無線によるデータ出力が開始される。なお、測定部位としては、深部体温を測定する場合には、胸部、腋下、背中、腰部、頸部、後頭部、額が好ましいが、体温変動を測定する場合であれば、腹部、脇腹、大腿、足首、腕、手首等でもよい。
【0049】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、独立気泡又は防水性を有する半独立気泡の発泡素材から形成され可撓性を有する上外装体10と、下外装体20との周縁部が密着され、その内部(上外装体と下外装体とにより画成される収容空間内)に配線基板(電子回路)40が収納されており、さらに、下外装体20に貼付部材60が貼り付けられている。そのため、生体の体表面に密着させて貼り付けることができ、また、生体の動き(体動)に合わせて追従することができる。よって、良好な装着感を得ることができる。一方、上外装体10が、外力により生じる応力が作用する方向に対して交わる方向に延在し、かつ、該応力を緩和するように、該応力が作用する方向に対して滑らかに湾曲した応力緩和部10aを備えている。そのため、応力緩和部10aが応力を受けて変形することによって応力が緩和(吸収)されるため、しわの発生が抑制される。また、しわが発生したとしても、応力緩和部10aにしわを集中させることにより、他の部位にしわがよることを防止できる。その結果、装着感を損なうことなく、しわの発生を抑制することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態によれば、応力緩和部10aが、平面視において、上外装体10の天面の外縁に沿って、該天面の外縁と同心状に設けられているため、上外装体10の天面のしわを効果的に抑制することができる
【0051】
特に、本実施形態によれば、応力緩和部10aが、平面視において、内張り部材80の外縁位置の外側に、該内張り部材80の外縁と同心状に設けられているため、上外装体10と内張り部材80との境目に生じるしわを効果的に抑制することができる。
【0052】
本実施形態によれば、内張り部材80が上外装体10の裏面(背面)に貼り付けて取り付けられているため、上外装体10にしわがより難くなり、上外装体10の表面に張りを持たせることができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、
図10及び
図11を併せて用いて、第2実施形態に係る深部体温計2について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と同一・同様な構成については説明を簡略化又は省略し、異なる点を主に説明する。
図10は、深部体温計2の構成を示す平面図、及び、底面図である。
図11は、深部体温計2の構成を示す断面図である。なお、
図10,11において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0054】
深部体温計2は、応力緩和部10aに代えて、補強部(補強リブ)10bを備えている点で上述した深部体温計1と異なっている。
【0055】
すなわち、上外装体10Bには、外部から加えられる外力により生じる応力が作用する方向に対して略平行に延在し、かつ、該応力に抗するように、筋状に形成された補強部(補強リブ)10bが形成されている。
【0056】
より具体的には、補強部10bは、上外装体10Bの側面部に、上外装体10Bの天面(天面部に相当)の外縁部から鍔部(底部に相当)にかけて、かつ、平面視において、上外装体10Bの天面の外縁部から放射状に拡がるように設けられている。
【0057】
特に、補強部10bは、上外装体10Bの側面部(連結部に相当)に、内張り部材80の外縁上の位置から鍔部(フランジ)にかけて、かつ、平面視において、内張り部材80の外縁から放射状に拡がるように設けられることが好ましい。
【0058】
本実施形態では、
図10に示されるように、上外装体10Bの四隅、及び、各辺の中央部に、合計8個の補強部10bを設けた。なお、衣服などが引っかかり難くなるように、補強部10bは、断面(延在方向に垂直に交わる面で切った断面)が滑らかな半円状(又は円弧状)に形成されることが好ましい。
【0059】
本実施形態によれば、上外装体10Bが、外力により生じる応力が作用する方向に対して略平行に延在し、かつ、該応力に抗するように、筋状に形成された補強部(補強リブ)10bを備えている。そのため、補強部10bが応力に抗して上外装体の変形を抑制(低減)することにより、しわの発生が抑制される。その結果、装着感を損なうことなく、しわの発生を抑制することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態によれば、補強部10bが、上外装体10Bの側面部に、上外装体10Bの天面の外縁部から鍔部(フランジ)にかけて、かつ、平面視において、上外装体10Bの天面の外縁部から放射状に拡がるように設けられているため、上外装体10Bの天面のしわを効果的に抑制することができる。
【0061】
特に、本実施形態によれば、補強部10bが、上外装体10Bの側面部に、内張り部材80の外縁上の位置から鍔部にかけて、かつ、平面視において、内張り部材80の外縁から放射状に拡がるように設けられているため、上外装体10Bと内張り部材80との境目に生じるしわを効果的に抑制することができる。
【0062】
さらに、補強部10bを断面半円状に形成することにより、衣服等と接触するときに、衣服等と上外装体10Bとの接触面積が減少し、その結果摩擦が小さくなり、衣服等の引っ掛かりを低減できる。特に、側面の傾斜方向に沿って補強部10bを形成することで、上外装体10Bの変形を抑制するとともに、衣服等のひっかかりを低減することができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明を2熱流束型の深部体温計に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、1熱流束型の深部体温計に適用してもよい。また、深部体温計以外の体温計に適用することもできる。さらに、本発明は、例えば、心電計、及び、呼吸や脈拍を測定する貼付型生体用デバイスなどにも適用することができる。
【0064】
また、応力緩和部10aの形状、サイズ、数や配置などは上記実施形態には限られない。同様に、補強部10bの形状、サイズ、数や配置などは上記実施形態には限られない。例えば、
図12(a)(b)に示されるように、応力緩和部10aを、上外装体10の鍔部(フランジ)の角部周辺(
図12(a)参照)や、電源スイッチ406の周辺部(
図12(b)参照)などに設けてもよい。
【0065】
上記第1実施形態では応力緩和部10aを備える形態を示し、上記第2実施形態では補強部10bを備える形態を示したが、応力緩和部10a及び補強部10b双方を組み合わせた構成としてもよい。
【0066】
上述した熱抵抗体層30(第1熱抵抗体301、第2熱抵抗体302)、配線基板40、フレキシブル基板50、内張り部材80、緩衝部材90それぞれの形状や、大きさ、配置、及び、第1温度センサ701〜第4温度センサ704の配置等は、上記実施形態に限られることなく、例えば、精度等の要件にしたがって任意に設定することができる。例えば、内張り部材80をトレー形状に形成し、上外装体10の内側面に回り込むように貼り付ける構成としてもよい。また、緩衝部材90の貫通孔90aは必須ではなく、形成されていなくてもよい。また、上記実施形態では、深部体温の算出を演算処理回路で行ったが、深部体温の算出を、例えば、外部の管理機器や情報端末(例えばスマートフォン等)で行う構成としてもよい。