特許第6984660号(P6984660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984660
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】環境監視装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20211213BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20211213BHJP
【FI】
   F25B49/02 520M
   F24F11/36
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-549690(P2019-549690)
(86)(22)【出願日】2017年10月23日
(86)【国際出願番号】JP2017038205
(87)【国際公開番号】WO2019082242
(87)【国際公開日】20190502
【審査請求日】2020年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 晃
(72)【発明者】
【氏名】川島 充
(72)【発明者】
【氏名】石村 亮宗
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−286668(JP,A)
【文献】 特開2004−116836(JP,A)
【文献】 特開2014−224612(JP,A)
【文献】 特開2017−053571(JP,A)
【文献】 特許第6704522(JP,B2)
【文献】 国際公開第2017/068686(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F24F 11/00 − 11/89
G01N 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雰囲気中の冷媒濃度に応じた検出信号を出力する半導体式センサと、
前記半導体式センサの検出信号が予め設定された第1の基準値以上の場合に、冷媒が漏洩していると判定する判定部とを備え、
前記判定部は、
前記半導体式センサの検出信号が、前記第1の基準値より小さい第2の基準値以上となってから予め設定された一定時間が経過する前に前記第1の基準値以上となった場合に冷媒が漏洩していると判定し、
前記半導体式センサの検出信号が、前記第2の基準値以上となってから前記一定時間が経過しても前記第1の基準値未満の場合に、前記半導体式センサが劣化していると判定する環境監視装置。
【請求項2】
前記半導体式センサは、空気調和装置の室内機の筐体内及び空気調和装置のリモコンの少なくとも一方に設けられる請求項1に記載の環境監視装置。
【請求項3】
前記第2の基準値は、前記空気調和装置の据付後に最初に運転した時の前記半導体式センサからの出力信号を用いて設定される請求項2に記載の環境監視装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記リモコンが操作される度に、前記半導体式センサが劣化しているか否かの判定を行う請求項2又は請求項3に記載の環境監視装置。
【請求項5】
前記室内機及び前記リモコンの少なくとも一方に設けられ、前記判定部の判定結果に応じた前記空気調和装置の動作状況を報知する報知手段をさらに備えた請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の環境監視装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記室内機、前記リモコン及び前記空気調和装置の室外機の少なくともいずれかに設けられた点検ボタンが操作された場合に、前記半導体式センサが劣化しているか否かの判定を行う請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の環境監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、環境監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーシングと、ケーシング内に配置され、可燃性の冷媒が流れる熱交換器と、ケーシングに取り付けられ、冷媒の漏れを検知する検知センサと、検知センサから出力された出力値の一定時間における傾きが予め設定された設定値よりも大きいとされたとき冷媒の漏れが発生していると判定する判定部とを備えた空気調和機の室内機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2015−094524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような装置において、ガスセンサとして半導体式ガスセンサを用いた場合、冷媒を検知可能な状態にするために金属酸化物(感ガス材料)を予熱する必要がある。このため、センサが冷媒を検知可能な状態を長時間にわたって継続すると、高温に加熱され続けた感ガス材料が酸化又はシリコン等の雑ガスによって変質し、半導体式ガスセンサの感度が低くなる。劣化により感度が低くなった半導体式ガスセンサでは、同量の冷媒が漏洩したとしても出力値の一定時間における傾きが小さくなる。そして、特許文献1の装置では、半導体式ガスセンサの劣化自体を検知することができないため、半導体式ガスセンサの劣化が進んだ場合には、冷媒漏洩の検知精度が大きく低下してしまう。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、冷媒漏洩を検知するための半導体式ガスセンサの劣化を判定することができ、冷媒漏洩の検知精度が大きく低下する前に半導体式ガスセンサの交換等の対策を促すことが可能である環境監視装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る環境監視装置は、雰囲気中の冷媒濃度に応じた検出信号を出力する半導体式センサと、前記半導体式センサの検出信号が予め設定された第1の基準値以上の場合に、冷媒が漏洩していると判定する判定部とを備え、前記判定部は、前記半導体式センサの検出信号が、前記第1の基準値より小さい第2の基準値以上となってから予め設定された一定時間が経過する前に前記第1の基準値以上となった場合に冷媒が漏洩していると判定し、前記半導体式センサの検出信号が、前記第2の基準値以上となってから前記一定時間が経過しても前記第1の基準値未満の場合に、前記半導体式センサが劣化していると判定する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る環境監視装置によれば、冷媒漏洩を検知するための半導体式ガスセンサの劣化を判定することができ、冷媒漏洩の検知精度が大きく低下する前に半導体式ガスセンサの交換等の対策を促すことが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係る環境監視装置が適用される部屋の構成を模式的に示す断面図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る環境監視装置の構成を示すブロック図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る環境監視装置の判定基準を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1から図3は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は環境監視装置が適用される部屋の構成を模式的に示す断面図、図2は環境監視装置の構成を示すブロック図、図3は環境監視装置の判定基準を説明する図である。
【0011】
図1に示すように、この発明の実施の形態1に係る環境監視装置が適用される部屋10には、空気調和装置の室外機20及び室内機30が設置されている。室外機20は、部屋10の外壁11より外に設置される。室内機30は、部屋10の例えば内壁12の上方寄りの位置に固定されている。このように、室内機30は、空気調和の対象となる部屋10の室内に設置され、室外機20は、当該部屋の室外に設置される。
【0012】
室外機20は、室外機熱交換器21、室外機ファン22及び圧縮機23を備えている。室内機30は、室内機熱交換器31及び室内機ファン32を備えている。室内機30と室外機20とは冷媒配管40で接続されている。冷媒配管40は、室内機熱交換器31と室外機熱交換器21との間で循環して設けられている。冷媒配管40内には冷媒が封入されている。
【0013】
冷媒配管40内に封入される冷媒は、地球温暖化係数(GWP)の小さいものを用いることが地球環境保護上の観点からいって望ましい。また、冷媒配管40内に封入される冷媒は、可燃性のガスである。この冷媒は空気よりも平均分子量が大きく(空気に対する比重が1よりも大きく)、空気中では重力方向の下方へと沈んでいく性質を持っている。
【0014】
このような冷媒として、具体的に例えば、ジフルオロメタン(CH2F2:R32)、テトラフルオロプロパン(CF3CF=CH2:HFO−1234yf)、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、1.1.1.2−テトラフルオロエタン(C2H2F4:R134a)、ペンタフルオロエタン(C2HF5:R125)、1.3.3.3−テトラフルオロ−1−プロペン(CF3−CH=CHF:HFO−1234ze)等の中から選ばれる1つ以上の冷媒からなる(混合)冷媒を用いることができる。
【0015】
圧縮機23は、室内機熱交換器31と室外機熱交換器21との間における冷媒の循環経路の一側に設けられている。圧縮機23は、供給された冷媒を圧縮して当該冷媒の圧力及び温度を高める機器である。なお、ここでは図示を省略しているが、同循環経路の他側には膨張弁が設けられている。膨張弁は、流入した冷媒を膨張させ、当該冷媒の圧力を低下させる。そして、冷媒配管40により形成された冷媒の循環経路と、当該循環経路上に冷媒配管40により接続された、室内機熱交換器31、室外機熱交換器21、四方弁、圧縮機23及び膨張弁により、冷凍サイクル(冷媒回路)が構成されている。
【0016】
このようにして構成された冷凍サイクルは、室内機熱交換器31及び室外機熱交換器21のそれぞれにおいて冷媒と空気の間で熱交換を行うことにより、室内機30と室外機20との間で熱を移動させるヒートポンプとして働く。この際、四方弁を切り換えることにより、冷凍サイクルにおける冷媒の循環方向を反転させて冷房運転と暖房運転とを切り換えることができる。
【0017】
空気調和装置には、リモコン50が備えられている。リモコン50の前面には、表示部51が設けられている。表示部51は、例えばタッチパネルを備えている。使用者は、リモコン50の表示部51のタッチパネルに表示されたボタン等を操作することにより、空気調和装置の電源のON/OFF、風向、風量等の設定等を行うことができる。また、リモコン50の表示部51には、空気調和装置の運転状況等の各種の情報が使用者に対し表示される。なお、表示部51は、タッチパネルでなく液晶ディスプレイであってもよい。その場合、リモコン50には、空気調和装置の電源のON/OFF、風向、風量等の設定等を行うボタン・スイッチ類が備えられる。
【0018】
空気調和装置の室内機30の筐体内及び空気調和装置のリモコン50の少なくとも一方には、半導体式センサ100が設けられている。図1に示すのは、半導体式センサ100が室内機30の筐体内に設けられた例である。半導体式センサ100は、冷媒を検知するためのものである。すなわち、半導体式センサ100は、冷媒配管40に封入されたものと同種の冷媒の雰囲気中における濃度に応じた検出信号を出力する。具体的に例えば、半導体式センサ100は、雰囲気中の冷媒濃度に比例した電圧の検出信号を出力する。
【0019】
半導体式センサ100は、例えばアルミナ等の絶縁基板上に設けられた酸化スズ等の感ガス材料を備えている。また、半導体式センサ100は、絶縁基板の下面に設けられたヒータをさらに備えている。これらの感ガス材料及びヒータは、半導体式センサ100のセンサケース内に収納されている。半導体式センサ100が冷媒を検知可能な状態にするためには、ヒータに通電して感ガス材料を300℃〜450℃に加熱する必要がある。
【0020】
次に、図2を参照しながら、環境監視装置の構成について説明を続ける。環境監視装置は、半導体式センサ100のヒータに通電する電力を供給するための図示しない電力供給部を備えている。電力供給部から半導体式センサ100に供給された電力は、半導体式センサ100のヒータに通電される。ヒータに通電されると、半導体式センサ100の感ガス材料が加熱され、半導体式センサ100が冷媒を検知可能な状態になる。このように、電力供給部は、半導体式センサ100が冷媒を検知可能な状態にするためのセンサ駆動電力を半導体式センサ100に供給する。
【0021】
環境監視装置は、判定部61を備えている。判定部61は、半導体式センサ100の検出信号に基づいて、冷媒が漏洩しているか否かを判定する。より詳しくは、判定部61は、半導体式センサ100の検出信号が第1の基準値以上の場合に、冷媒が漏洩していると判定する。第1の基準値は、例えば室内機30の出荷時等に予め設定される。予め設定された、第1の基準値の具体的な値は、記憶部62に予め記憶されている。判定部61は、半導体式センサ100の検出信号を、記憶部62に記憶された第1の基準値と比較することで、冷媒が漏洩しているか否かの判定を行う。
【0022】
また、判定部61は、半導体式センサ100の検出信号に基づいて、当該半導体式センサ100が劣化しているか否かも判定する。このセンサ劣化判定のため、この発明の実施の形態1に係る環境監視装置は、前述した冷媒漏洩判定のための第1の基準値の他に、もう1つの基準値、すなわち、第2の基準値を用いる。この第2の基準値は、前述の第1の基準値より小さい値に設定される。そして、判定部61は、半導体式センサ100の検出信号が、第2の基準値以上で、かつ、前述した第1の基準値未満の場合に、半導体式センサ100が劣化していると判定する。
【0023】
この第1の基準値及び第2の基準値を用いた、冷媒漏洩判定及びセンサ劣化判定について、図3を参照しながら説明する。図3は、雰囲気中の実際の冷媒濃度(雰囲気濃度)と、半導体式センサ100から出力される検出信号から算出される冷媒濃度(これを「出力濃度」という)の関係を示すものである。雰囲気濃度と出力濃度の単位はいずれもppmである。具体的な数値例として、図3には、半導体式センサ100の暴露時間が0時間、1000時間、2000時間、3000時間、5000時間及び10000時間のそれぞれの場合における雰囲気濃度と出力濃度との関係を示している。
【0024】
まず、前述したように、半導体式センサ100は、冷媒を検知可能な状態にするために金属酸化物(感ガス材料)を予熱する必要がある。このため、半導体式センサ100が冷媒を検知可能な状態を継続すると、高温に加熱され続けた感ガス材料が酸化又はシリコン等の雑ガスによって変質し感度が低下していく。したがって、暴露時間が長くなるほど、半導体式センサ100の感度は低下する。
【0025】
同図に示すように、暴露0時間では、雰囲気濃度と出力濃度とは一致している。しかし、暴露時間が長くなると、雰囲気濃度が低いときの出力濃度が高くなる。具体的に同図の例では、雰囲気濃度が1000ppmの時の出力濃度が、暴露0時間では1000ppmであるのに対し、暴露1000時間で1500ppm、暴露2000時間で2000ppm、・・・というように、暴露時間が長くなるほど、雰囲気濃度が同じ1000ppmであっても、半導体式センサ100の出力濃度が高くなっていく。
【0026】
一方、雰囲気濃度が高いときの出力濃度は、暴露時間が長いほど低くなる。具体的に同図の例では、雰囲気濃度が10000ppmの時の出力濃度が、暴露0時間では10000ppmであるのに対し、暴露1000時間で9500ppm、暴露2000時間で9000ppm、・・・というように、暴露時間が長くなるほど、雰囲気濃度が同じ10000ppmであっても、半導体式センサ100の出力濃度が低くなっていく。したがって、暴露時間が長いほど、雰囲気濃度が変化したときの出力濃度の変化の割合が小さくなる。すなわち、暴露時間が長いほど、半導体式センサ100の感度が低下する。
【0027】
同図の例では、第1の基準値は8000ppmに設定され、第2の基準値は2500ppmに設定されている。前述したように、暴露時間が長くなるにつれて、雰囲気濃度が低いときの出力濃度が高くなり、雰囲気濃度が高いときの出力濃度が低くなる。このため、暴露時間が長くなると、冷媒漏洩が発生していなくとも出力濃度が次第に上昇し、第2の基準値である2500ppmを上回るようになる。また、暴露時間が長くなると、冷媒漏洩が発生していても出力濃度が第1の基準値である8000ppmを下回るまで低下してしまう。
【0028】
そこで、この発明の実施の形態1に係る環境監視装置においては、判定部61は、半導体式センサ100の検出信号が冷媒漏洩を判定するための第1の基準値未満であって、かつ、第2の基準値以上である場合には、当該半導体式センサ100が劣化していると判定する。このようにすることで、冷媒漏洩を検知するための半導体式ガスセンサの劣化を判定することができ、冷媒漏洩の検知精度が大きく低下する前に半導体式ガスセンサの交換等の対策を促すことが可能である。
【0029】
なお、半導体式センサ100の検出信号が第1の基準値となる前には、検出信号が第2の基準値以上かつ第1の基準値未満である状態を必ず経ることになる。そこで、検出信号が第2の基準値以上となってから、予め設定された一定時間が経過する前に検出信号が第1の基準値以上となった場合には、判定部61は半導体式センサ100の劣化ではなく、冷媒漏洩であると判定するようにしてもよい。そして、検出信号が第2の基準値以上となってから、前述の一定時間が経過しても検出信号が第1の基準値以上とならなかった場合に、判定部61は半導体式センサ100の劣化であると判定してもよい。
【0030】
第2の基準値も、第1の基準値と同様に、記憶部62に記憶されている。第2の基準値の具体的な値は、例えば室内機30の出荷時等に予め設定してもよいし、空気調和装置の据付後に最初に運転した時の半導体式センサ100からの出力信号を用いて設定してもよい。後者の場合、空気調和装置の据付後に最初に運転した時の半導体式センサ100からの出力信号による出力濃度に対して、予め定められた一定値を加えたものを第2の基準値とする。この際、半導体式センサ100の出力濃度が第1の基準値である時における、実際の雰囲気濃度と出力濃度との差が一定範囲内、例えば雰囲気濃度の±25%以内となるように第2の基準値を設定することが望ましい。
【0031】
判定部61による半導体式センサ100が劣化しているか否かの判定は、1年に1回以上自動で行うようにすることが望ましい。また、この判定は、判定を開始してから30秒以内に判定結果が出るようにすることが望ましい。
【0032】
なお、判定部61は、1年に1回以上の頻度で定期的に半導体式センサ100が劣化しているか否かの判定を行う他、以下のような場合に判定を行うようにしてもよい。すなわち、まず、判定部61は、リモコン50が操作される度に、半導体式センサ100が劣化しているか否かの判定を行うようにしてもよい。このようにすることで、使用者が空気調和装置を使用しようとする毎に、半導体式センサ100の劣化を確認することができる。
【0033】
また、判定部61は、点検ボタン63が操作された場合に、半導体式センサ100が劣化しているか否かの判定を行うようにしてもよい。この点検ボタン63は、室内機30、リモコン50及び室外機20の少なくともいずれかに設けられる。このようにすることで、使用者又は保守作業員は、所望の時に半導体式センサ100の劣化を確認することができる。
【0034】
なお、空気調和装置が、HEMS(Home Energy Management System)等を介してインターネットに接続されている場合には、例えばスマートフォン、PC等からインターネットを介して半導体式センサ100が劣化しているか否かの判定を行わせることができるようにしてもよい。このように、遠隔からの操作で半導体式センサ100が劣化しているか否かの判定を行わせることができるようにすることで、利便性をより向上できる。
【0035】
空気調和装置の動作は、判定部61の判定結果に応じて制御される。例えば、判定部61の判定結果が、冷媒が漏洩したというものであった場合、空気調和装置の運転は非常停止する。また、判定部61の判定結果が、半導体式センサ100が劣化したというものであった場合、空気調和装置の運転は異常停止する。
【0036】
この実施の形態1の構成例では、判定部61の判定結果は、リモコン50に送信される。判定部61の判定結果を受信したリモコン50は、表示部51に、判定部61の判定結果に応じた空気調和装置の動作状況を、例えば文字情報で表示する。
【0037】
具体的に例えば、判定部61の判定結果が冷媒が漏洩したというものであって、空気調和装置の運転が非常停止した場合、表示部51には「非常停止」と表示される。また、判定部61の判定結果が半導体式センサ100が劣化したというものであって、空気調和装置の運転が異常停止した場合、表示部51には「異常停止」と表示される。なお、空気調和装置の運転状態が通常の停止である場合には、表示部51に例えば単に「停止」と表示される。また、空気調和装置の運転の場合には、運転種別に応じて例えば「冷房」、「暖房」、「除湿」、「送風」等と表示部51に表示される。
【0038】
以上のように構成されたリモコン50の表示部51は、この発明の実施の形態1において、判定部61の判定結果に応じた空気調和装置の動作状況を報知する報知手段の一例である。なお、報知手段の構成は、この例に限られない。例えば、報知手段は、室内機30及びリモコン50の少なくとも一方に設けられればよい。また、報知手段による報知形態も文字情報の表示に限られない。他に例えば、スピーカによる音声の鳴動、LEDの発光、図形情報の表示等であってもよく、これらの組み合わせでもよい。また、報知手段は、判定部61の判定結果そのものを報知してもよい。
【0039】
このような報知手段を設けることで、使用者は空気調和装置の運転が停止した原因を容易に知ることができる。また、半導体式センサ100が劣化した際に、センサの交換等の対応を促すことができる。さらに、冷媒漏洩が検知された場合にも迅速な対応を促すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、半導体式センサの検出信号に基づいて冷媒が漏洩していることを検知する環境監視装置に利用できる。また、このような環境監視装置を備えた空気調和装置、給湯器、ショーケース、冷蔵庫等にも利用できる。
【符号の説明】
【0041】
10 部屋
11 外壁
12 内壁
20 室外機
21 室外機熱交換器
22 室外機ファン
23 圧縮機
30 室内機
31 室内機熱交換器
32 室内機ファン
40 冷媒配管
50 リモコン
51 表示部
61 判定部
62 記憶部
63 点検ボタン
100 半導体式センサ
図1
図2
図3