【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、複数のフィールドデバイスをマスタデバイスの単一マスタポートに接続するためのスイッチデバイスが提供され、マスタデバイスは、複数のフィールドデバイスと上位ネットワークの間のゲートウェイを提供し、上位ネットワークと複数のフィールドデバイスの間の通信を制御するように構成される。スイッチデバイスは、スイッチデバイスを単一マスタポートに接続し、マスタデバイスとスイッチデバイスの間にマスタ通信チャネルを確立する物理マスタ側ポートと、スイッチデバイスを複数のフィールドデバイスに接続し、各フィールドデバイスとスイッチデバイスの間に複数のフィールドデバイス通信チャネルを確立するための複数の物理フィールドデバイス側ポートと、を備える。スイッチデバイスは、自動化ネットワークのための単一通信プロトコルを使用して、マスタ通信チャネル及び複数のフィールドデバイス通信チャネルを介してマスタデバイスと複数のフィールドデバイスとの間でデータを転送するように構成される。
【0009】
さらなる態様によれば、自動化ネットワークが提供される。自動化ネットワークは、上位ネットワークと、複数のフィールドデバイスと、複数のフィールドデバイスと上位ネットワークとの間のゲートウェイを提供し、上位ネットワークと複数のフィールドデバイスとの間の通信を制御するように構成されたマスタデバイスと、上と下で定義されているスイッチデバイスと、を備える。
【0010】
実施形態において、スイッチデバイスは、マスタデバイスの単一物理IOリンクポートとフィールドデバイスとしてのIOリンクデバイスとの間に複数のIOリンクチャネルを確立することを可能とさせる。
【0011】
自動化ネットワークは、マイクロチップ又は自動車などの製品を製造するための、又は例えば生体試料又は集積回路の製品の特性を分析するための産業オートメーションシステムであることができる。
【0012】
上位ネットワークは、フィールドバス、バックプレーンバス、又は産業用イーサネット接続を介してマスタデバイスに接続できる、例えばパーソナルコンピュータ、ユーザインターフェイス、ストレージデバイスなどを含む自動化ネットワークに対する制御システムを備えることができる。
【0013】
マスタデバイスは、複数のフィールドデバイスと上位ネットワークとの間の接続を確立することができる。特に、マスタデバイスは、どのフィールドデバイスに接続されているかを示す情報を格納する。例えば、マスタデバイスは、フィールドデバイスのアーキテクチャが各フィールドデバイスに関連するパラメータとともにマッピングされるマスタ記憶ユニットを備える。フィールドデバイスは、あらゆる種類の複雑な及び/又はインテリジェントなセンサ及びアクチュエータであることができる。例えば、フィールドデバイスは、バルブ、ロボットツール、モータスタータ、I/Oモジュール、入力ユニットなどを備えることができる。複数のフィールドデバイスは、異なるフィールドデバイスの組み合わせでることができる。各フィールドデバイスは、フィールドデバイスのシステムをマッピングし、それに応じてスイッチデバイスを構成することを可能とさせる独自のアドレスを有することができる。
【0014】
特に、「コネクタ」とも称されるスイッチデバイスは、複数のフィールドデバイスとマスタデバイスの間に提供される物理デバイスである。マスタデバイスは、複数の物理ポートを備えることができ、そのそれぞれに1つのデバイス、例えば1つのフィールドデバイスを接続することができる。スイッチデバイスは、「単一マスタポート」とも称されるこれらの物理ポートの1つに接続される。順に、複数のフィールドデバイスをスイッチデバイスに接続できる。これにより、複数のフィールドデバイスがスイッチデバイスを介して単一マスタポートに接続される。スイッチデバイスを介して、例えばマスタデバイスに接続されるフィールドデバイスの数を増やすことができる。
【0015】
実施形態において、スイッチデバイスは、マスタデバイスで利用可能な物理ポートよりも多くのフィールドデバイスをマスタデバイスに結合することを可能にし、同時に、フィールドデバイスとマスタデバイスのそれぞれの間でポイント・ツー・ポイント通信を提供する。
【0016】
スイッチデバイスの設定には、スイッチデバイスが接続されているフィールドデバイスを示す情報をスイッチデバイスに提供することを含むことができる。特に、スイッチデバイスは自己設定できない場合がある。むしろ、マスタデバイスで構成する必要があり得る。これは、マスタデバイスとスイッチデバイスの大きな違いである。つまり、マスタデバイスは、接続されているフィールドデバイスから取得した情報に基づいて自己設定できるが、スイッチデバイスは使用準備を整えるためにマスタデバイスからの情報が必要であり得る。更に、スイッチデバイスは、マスタデバイスなしではネットワークで機能できない場合がある。特に、スイッチデバイスは、送信するためのデータを自己生成できない場合がある。スイッチデバイスは、特にインテリジェンスの点で、マスタデバイスよりもパフォーマンスが低いと見なすことができる。
【0017】
従って、実施形態において、スイッチデバイスは、如何なる制御機能、及び/又はマスタデバイス及びフィールドデバイスとの間で送受信されるデータに加えての送信データの生成も行わないように実装されることができる。
【0018】
マスタデバイスは、スイッチデバイスを介してフィールドデバイスと通信するためにスイッチデバイスをサポートする必要があり得る。例えば、マスタデバイスは、マスタデバイスと同じ生産者によって生産された特定タイプのスイッチデバイスのみをサポートする。スイッチデバイスは、あらゆるタイプのフィールドデバイスに適応できる。
【0019】
マスタデバイスとスイッチデバイスとの間の接続は、特に、マスタデバイスの単一マスタポートとスイッチデバイスの物理マスタ側ポートとの間に確立されるマスタ通信チャネルを介して実現できる。
【0020】
複数のフィールドデバイスとスイッチデバイスとの間の接続は、特に、スイッチデバイスの複数の物理フィールドデバイス側ポートと各フィールドデバイスとの間で確立される複数のフィールドデバイス通信チャネルを介して実現できる。複数のフィールドデバイスは、各フィールドデバイス上のフィールドポートを介して複数のフィールドデバイス側ポートに接続されることができる。
【0021】
単一マスタポート、マスタ側ポート、複数のフィールドデバイス側ポート、及び/又は複数のフィールドポートは、例えば、ピンポート、IOリンクポート、USBポート、無線受信機/送信機、又は任意のタイプの物理コネクタであることができる。マスタ側ポートと単一マスタポートとの間の接続、及びフィールドデバイス側ポートと各フィールドデバイスとの間の接続は、接続ケーブルを使用するか、又は例えばブルートゥース又はWi−Fiを使用してワイヤレスに実行されることができる。
【0022】
マスタデバイスから各フィールドデバイス又はフィールドデバイスからマスタデバイスに送信されるデータは、スイッチデバイスを介して、特に上記で定義されたマスタ通信チャネル及びフィールドデバイス通信チャネルを使用して送信され得る。特に、マスタ通信チャネルを介してデータを転送するために使用される通信プロトコルは、複数のフィールドデバイス通信チャネルを介してデータを転送するために使用される通信プロトコルと同一である。ここでは、同一の通信プロトコルを「単一通信プロトコル」と称する。前記単一の通信プロトコルは、IOリンク通信プロトコルであってもよく、これについては以下で詳述する。
【0023】
スイッチデバイスには、マスタデバイスとフィールドデバイスの間でデータをやり取りする排他的な機能がある。
【0024】
マスタデバイスと複数のフィールドデバイスとの間の通信は、ポイント・ツー・ポイント通信、特にSDCI(シングルドロップデジタル通信インターフェイス)通信であり得る。即ち、マスタデバイスは、フィールドデバイスから選択された特定のフィールドデバイスにデータを送ることができる。このようなポイント・ツー・ポイント通信を実現するために、マスタデバイスはスイッチデバイスを介してどのフィールドデバイスに接続されているかに関する認識を使用できる。
【0025】
マスタデバイスとフィールドデバイス間の通信で単一の通信プロトコルを使用することにより、情報の損失を回避できる。特に、転送されたデータはスイッチデバイスで変更又は交換なく維持されるため、データ転送の効率が改善される。例えば、データは、スイッチデバイス内を含め、マスタデバイスとフィールドデバイスの間で、生データとして排他的に送信される。
【0026】
提案のスイッチデバイスは、複数のフィールドデバイスをマスタデバイスの1つのマスタポートのみにリンクすることを可能にする。これにより、マスタデバイスに接続されるフィールドデバイスの数を大幅に増やすことができる。特に、いくつかのスイッチデバイスが同じマスタデバイスに接続できるため、マスタデバイスに接続できるフィールドデバイスの数を更に増やすことができる。従って、自動化ネットワークで使用されるフィールドデバイスの数は、追加のマスタデバイスを使用せずに増やすことができる。これにより、自動化ネットワークのコストを削減できる。
【0027】
更に、ケーブルを使用してフィールドデバイスをマスタデバイスに接続する場合、スイッチデバイスを使用して、マスタへのケーブルの量を減らすことができる。これにより、ケーブリングの間違いを回避できる。更に、使用されるケーブルの量を減らすことは、マスタデバイスが適切に到達できない場合に特に有利である。
【0028】
更に、提案のスイッチデバイスは、マスタデバイスに接続されたフィールドデバイスの交換を容易にする。実際に、フィールドデバイスのいくつかのセットは、いくつかのスイッチデバイスに予め接続できる。それから、マスタデバイスに接続されたスイッチデバイスが交換されると、マスタデバイスに接続されたフィールドデバイスも交換される。これは、例えば、ロボットヘッドなどの接続用のスペースが限られている応用で特に有効である。
【0029】
更に、マスタデバイスとフィールドデバイスの間の物理的距離は、マスタデバイスとスイッチデバイスの間、及びスイッチデバイスとフィールドデバイスの間の無線、特に光無線接続を使用して増長させることができる。これは、ケーブルの破損を防ぐことができるため、危険な環境で特に有利である。更に、ワイヤレス接続により、ケーブルを必要とせずに移動するフィールドデバイスに使用を可能とさせる。
【0030】
さらなる実施形態によれば、通信プロトコルは、IOリンク通信プロトコルである。特に、マスタ通信チャネル及び複数のフィールドデバイス通信チャネルを介して送信されるデータは、IOリンク規格に従って送信される。
【0031】
特に、IOリンク規格は、フィールドデバイスと通信するための国際的に規格化されたI/O技術(IEC61131−9)を指す。そのようなIOリンク通信の場合、単一マスタポート、マスタ側ポート、複数のフィールドデバイス側ポート及び/又は複数のフィールドポートは、IOリンク通信に適合されたIOリンクポートであることができる。
【0032】
IOリンク通信プロトコルは、特に、データが規格で定義されている伝送速度の1つで送信されるということに定義されている。交換されるデータのタイプは、プロセスデータの入力と出力を含む循環プロセスデータと、マスタデバイスからの要求時にのみフィールドデバイスによって送信される非周期的フィールドデバイスパラメータと、フィールドデバイスによって送信され、例えば、エラー、警告、又は通知を送信される非周期的なイベントデータと、を含む。データは、特定の構造を持つフレームで、例えば、選択されたフィールドデバイスに向けられたマスタデバイスからの第1又は要求メッセージと、フィールドデバイスからの第2又は応答メッセージを含むF又はMシーケンスとして転送される。特に、マスタデバイスと各フィールドデバイスの間でポイント・ツー・ポイントSDCI通信が実行される。
【0033】
通信プロトコルとしてIOリンク通信プロトコルを使用することで、マスタデバイスとフィールドデバイスの間のデータ伝送の信頼性を高めることができる。特に、マスタデバイスがフィールドデバイスからの要求に対する応答を受信しない場合、要求は2回再送信されることができる。これら2回の追加試行も失敗した場合にのみ、マスタによってエラー通知が発行されることができる。
【0034】
実施形態では、マスタ通信チャネル及び/又はフィールドデバイス通信チャネルは、フィールドバスではない。例えば、マスタ通信チャネル及び/又はフィールドデバイス通信チャネルは、イーサキャットなどのフィールドバスインフラストラクチャに依存するチャネルではなく、IOリンク通信チャネルであることができる。
【0035】
さらなる実施形態によれば、マスタデバイスはIOリンクマスタデバイスであり、複数のフィールドデバイスからの少なくとも1つのフィールドデバイスは、IOリンクデバイスである。
【0036】
特に、IOリンクデバイスはIOリンク仕様をサポートするフィールドデバイスである。IOリンクデバイスはSDCI準拠のフィールドデバイスであることができる。IOリンクデバイスは、特にIOリンク規格で定義された伝送速度の1つでスイッチデバイスとの間でデータを送受信できる。
【0037】
更に、IOリンクマスタは、IOリンク仕様をサポートするマスタデバイスであることができる。IOリンクマスタは、SDCI準拠のマスタデバイスであることができる。IOリンクマスタは、特にIOリンク規格で定義された全ての伝送速度でスイッチデバイスとの間でデータを送受信できる。
【0038】
IOリンクマスタ、IOリンクデバイス、及びスイッチデバイスは、単一IOリンクシステムを形成できる。特に、IOリンクシステムは、1つのIOリンクマスタのみを備える。上と下に定義されるスイッチデバイスを使用することで、単一IOリンクシステム内のフィールドデバイスの総数を増やすことができる。
【0039】
さらなる実施形態によれば、スイッチデバイスは、マスタ側ポートと複数のフィールドデバイス側ポートの間に提供されるダウンストリーム送信ユニットを更に備え、そのダウンストリーム送信ユニットは、マスタ側ポートでマスタデバイスから受信したダウンストリームデータを複数のフィールドデバイス側ポートから選択された被選択フィールドデバイス側ポートに周期的又は非周期的に送信するように構成され、その被選択フィールドデバイス側ポートは、ダウンストリームデータと共に受信され、ダウンストリームデータの送信先であるフィールドデバイスを示す送信先情報に従って選択される。
【0040】
ここで、「ダウンストリーム」とは、特にはスイッチデバイスを経由し、マスタデバイスからフィールドデバイスのうちの1つへ向かう方向を指す。マスタデバイスからフィールドデバイスの1つにデータを送信するには、例えばフィールドデバイスを制御するための制御データやフィールドデバイスへの要求などのデータは、マスタ通信チャネルを介してスイッチデバイスにダウンストリームデータとして送信できる。ダウンストリームデータは、複数のフィールドデバイスのうち、ダウンストリームデータの送信先であるフィールドデバイス(被選択フィールドデバイス)を示す送信先情報を包含するか、又はそれに関連付けることができる。送信先情報は、特にマスタデバイスによってダウンストリームデータに関連付けられる。
【0041】
ダウンストリーム送信ユニットは、受信したダウンストリームデータから送信先データを抽出し且つ/又は読み出し、その送信先データをダウンストリームデータが送信先情報に従って送信先とされた被選択フィールドデバイスに接続された被選択フィールドデバイス側ポートに送信することができる。これを拡張するには、スイッチデバイスは、どのフィールドデバイスが接続されているか、特にどのフィールドデバイスがスイッチデバイスのどのフィールドデバイス側ポートに接続されているかを知る必要がある。例えば、スイッチデバイスに接続されたフィールドデバイスに関する情報は、フィールドデバイス構成パラメータとしてスイッチデバイスのスイッチ記憶ユニットに格納できる。フィールドデバイス構成パラメータは、スイッチデバイスを構成するときにマスタデバイスによって記憶ユニットに格納されることができる。
【0042】
従って、スイッチデバイスは、ダウンストリームデータを送信先のフィールドデバイスに向ける機能を有する。特に、データがIO
リンクプロトコルに従って送信される場合、スイッチデバイスはポイント・ツー・ポイント通信を実現する上で主要な役割を果たすことができる。特に、現在のスイッチデバイスは、データ形式を変更せずに、マスタデバイスから被選択フィールドデバイスにダウンストリームデータを渡すことができる。
【0043】
さらなる実施形態によれば、マスタ側ポートでマスタデバイスから受信されるダウンストリームデータは、それぞれが送信先情報として関連付けされたダウンストリームメッセージ情報を有する複数のダウンストリームメッセージを含むダウンストリームデータパケットである。そして、スイッチデバイスは、ダウンストリームデータパケットのダウンストリームメッセージをアンパックし、それらをそれぞれのダウンストリームメッセージ情報とともにダウンストリーム送信ユニットに送信するように構成されたマスタ側ポートとダウンストリーム送信ユニットの間に提供されるアンパックユニットを更に備える。
【0044】
ダウンストリームデータパケットは、複数のフィールドデバイスとは異なるフィールドデバイスを送信先としたバルク又は複数のダウンストリームメッセージを含むことができる。各ダウンストリームメッセージは、マスタデバイスによって生成又は送信されることができ、更に、各ダウンストリームメッセージに送信先情報を追加又は関連付けし、ダウンストリームデータパケットにおいていくつかのダウンストリームメッセージをグループ化する。スイッチデバイスによって受信されたダウンストリームデータパケットは、異なるダウンストリームメッセージを分離するために、アンパッキングユニットによってアンパックされることができる。次に、異なるダウンストリームメッセージがアンパッキングユニットからダウンストリーム送信ユニットに送信されることができ、特に、ダウンストリームメッセージが送信先情報に従って送信先とされた被選択フィールドデバイスに接続された被選択フィールドデバイス側ポートに各ダウンストリームメッセージを転送する。アンパッキングユニットとダウンストリーム送信ユニットは、単一の物理ユニットであることができる。
【0045】
スイッチデバイスは、ダウンストリームデータパケットにおいて受信した異なるダウンストリームメッセージを、被選択フィールドデバイスに配信できる。ダウンストリームデータはダウンストリームデータパケットで送信されるため、マスタデバイスとスイッチデバイスの間でデータを送信するために伝送速度を上げることなく、大量のダウンストリームデータが各フィールドデバイスに転送されることができる。これにより、スイッチデバイスは更に改善される。
【0046】
さらなる実施形態によれば、スイッチデバイスは、マスタ側ポートと複数のフィールドデバイス側ポートの間に提供され、対応するフィールドデバイス側ポートでフィールドデバイスの1つから受信したアップストリームデータをマスタ側ポートに周期的又は非周期的に送信するように構成されたアップストリーム送信ユニットを更に備える。
【0047】
ここで、「アップストリーム」とは、特にスイッチデバイスを介して、フィールドデバイスの1つからマスタデバイスに向かう方向を指す。フィールドデバイスの1つからマスタデバイスにデータを送信するために、例えば、フィールドデバイスによって検知されたセンサデータ又はマスタデバイスから受信した要求への応答などのデータは、アップストリームデータとして、又はアップストリームメッセージとしてアップストリームデータの転送元のフィールドデバイスに対応するフィールドデバイス通信チャネルを介してスイッチデバイスに送信されることができる。
【0048】
さらなる実施形態によれば、アップストリーム送信ユニットは、アップストリームデータがどのフィールドデバイスから発信されたかを示す発信元情報とともにマスタ側ポートにアップストリームデータを送信する。
【0049】
アップストリーム送信ユニットは、複数のフィールドデバイスのうちのアップストリームデータが発信されているフィールドデバイスを示す発信元情報をアップストリームデータに関連付けることができる。
【0050】
発信元情報は、メタデータと見なされる。それは、例えば、記憶ユニットに格納されるスイッチデバイスに接続されたフィールドデバイスに関する情報を使用して、スイッチデバイス、特にアップストリーム送信ユニットによってアップストリームデータに関連付けされることができる。スイッチデバイス、特にアップストリーム送信ユニットは、更にメタデータをアップストリームデータに関連付けることができる。あるいは、発信元情報は、発信元フィールドデバイス自体によってアップストリームデータに関連付けられることができる。
【0051】
特にマスタデバイスがIOリンクマスタであり、且つフィールドデバイスがIOリンクデバイスである場合、ダウンストリームデータメッセージとそれに続くアップストリームデータメッセージは、マスタデバイスとフィールドデバイスによって交換されるシーケンスと見なすことができる。
【0052】
従って、スイッチデバイスは、発信元情報とともに、アップストリームデータをマスタデバイスに向ける機能がある。マスタデバイスは、スイッチデバイスを介して受信したアップストリームデータを管理可能であり得る。特に、現在のスイッチデバイスは、フィールドデバイスからマスタデバイスにアップストリームデータを渡すことができる。マスタデバイスは、受信したアップストリームデータを上位ネットワークに渡すことができる。
【0053】
さらなる実施形態によれば、対応するフィールドデバイス側ポートで各フィールドデバイスから受信されるアップストリームデータは、アップストリームメッセージである。そして、スイッチデバイスは、アップストリーム送信ユニットとマスタ側ポートの間に提供され、対応するフィールドデバイス側ポートを介して少なくとも2つのフィールドデバイスから受信した少なくとも2つのアップストリームメッセージをアップストリームパケットにパックし、そのアップストリームパケットをマスタ側ポートに送信するように構成されたパッキングユニットを更に備える。
【0054】
パッキングユニットは、いくつかのフィールドデバイスから受信したアップストリームメッセージを収集することができる。また、発信元情報を関連付けることもある。実施形態において、少なくとも2つのアップストリームメッセージをアップストリームパケットにパックすることは、パッキングユニットによる少なくとも
2つのアップストリームメッセージの圧縮又はカプセル化を含む。収集されたアップストリームメッセージは、特にバルクでクラスタ化又は圧縮されてアップストリームパケットを形成し、アップストリームパケットは、上記のアップストリームデータと同じ方法でアップストリーム送信ユニットに送信できる。アップストリーム送信ユニットは、フィールドデバイスから個々のアップストリームメッセージを取得するためにアップストリームパケットをアンパックできるマスタデバイスにアップストリームパケットを送信することができる。アップストリーム送信ユニットとパッキングユニットは1つの物理ユニットにすることができる。
【0055】
アップストリームデータがアップストリームデータパケットで送信されるため、マスタデバイスとスイッチデバイスの間でデータを送信するための伝送速度を上げることなく、大量のアップストリームデータが一度にマスタデバイスに転送されることができる。
【0056】
さらなる実施形態によれば、スイッチデバイスは、
対応するフィールドデバイスによってサポートされる伝送速度と符合して、各フィールドデバイス通信チャネルを介してデータが送信されることができるレートを示す各フィールドデバイス側ポートに対するフィールドデバイス伝送速度と、
マスタデバイスによってサポートされる伝送速度と符合して、前記マスタ通信チャネルを介してデータが送信されることができるレートを示すマスタ側ポートのマスタ伝送速度と、
マスタ通信チャネルを介してマスタデバイスとスイッチデバイスとの間でダウンストリーム又はアップストリームデータを送信するのにかかる時間を示すマスタサイクルタイムと、
対応するフィールドデバイス通信チャネルを介してフィールドデバイスの1つとスイッチデバイスとの間でダウンストリーム又はアップストリームデータを送信するのにかかる時間を示すフィールドデバイスサイクルタイムと、
の少なくとも1つを含む設定データを格納するための記憶ユニットを更に備える。
【0057】
フィールド及びマスタ伝送速度は、上記伝送速度の例であり得る。ここで、各伝送速度は、ボーレートに対応し得る。特に、各フィールドデバイスは、特定の伝送速度のみをサポートでき、それは、フィールドデバイス通信チャネルを介してフィールドデバイスと通信する場合、スイッチデバイスによって考慮されることができる。例えば、各フィールドデバイスに送信されるダウンストリームデータは、格納されたフィールドデバイスの伝送速度に従ってのみ送信されることができる。
【0058】
更に、マスタデバイスは、1つ又はいくつかの特定のマスタ伝送速度をサポートでき、それは、マスタ通信チャネルを介してマスタデバイスと通信する場合にスイッチデバイスによって考慮されることができる。例えば、マスタデバイスに送信されるアップストリームデータは、格納されたマスタ伝送速度に従ってのみ送信されることができる。
【0059】
マスタサイクルタイムは、マスタ通信チャネルで送信されるアップストリーム又はダウンストリームメッセージの長さと、マスタデバイス及びスイッチデバイスでの遅延時間で構成される。更に、各フィールドデバイスに固有であり得るフィールドデバイスサイクルタイムは、フィールドデバイス通信チャネルで送信されるアップストリーム又はダウンストリームメッセージの長さと、各フィールドデバイス及びスイッチデバイスの遅延時間で構成される。
【0060】
さらなる実施形態によれば、スイッチデバイスは、スイッチデバイスに接続された各フィールドデバイスに対して、各フィールドデバイスのフィールドデバイス伝送速度及びフィールドデバイスサイクルタイムのうちの少なくとも1つを含むフィールドデバイス構成パラメータを設定するため、及び/又は、スイッチデバイスに接続されたマスタデバイスに対して、マスタ伝送速度及びマスタサイクルタイムの少なくとも1つを含むマスタ構成パラメータを設定するための設定ユニットを更に含む。
【0061】
特に、フィールドデバイスがスイッチデバイスに最初に接続される時、スイッチデバイスの設定ユニットは、接続されたフィールドデバイスからフィールド構成パラメータを受信する。これらは、どのフィールドデバイスがスイッチデバイスのどのフィールドデバイス側ポートに接続されているかに関する情報も含むことができる。フィールドデバイス構成パラメータは、マスタデバイスからの要求に対する応答として取得されることができる。フィールドデバイス通信チャネルは、各受信されたフィールドデバイス構成パラメータを考慮して設定され得る。
【0062】
更に、スイッチデバイスがマスタデバイスに最初に接続される時、スイッチデバイスの設定ユニットは、接続されたマスタデバイスからマスタ構成パラメータを受信できる。マスタ通信チャネルは、受信したマスタ構成パラメータを考慮して設定され得る。マスタ及びフィールド構成パラメータは、特に記憶ユニットに格納される。
【0063】
さらなる実施形態によれば、マスタ通信チャネル及び/又はフィールドデバイス通信チャネルは、フィールドデバイス伝送速度、マスタ伝送速度、マスタサイクルタイム、及びフィールドデバイスサイクルタイムのうちの少なくとも1つを考慮して設定される。
【0064】
スイッチデバイスは、マスタデバイスとフィールドデバイスの間に最初に接続される時、マスタデバイスとフィールドデバイスから受信した構成パラメータに従って、フィールドとマスタ通信チャネルを柔軟に設定できる。1つ又はいくつかのフィールドデバイスが削除、追加、又は交換される時、設定ユニットは構成パラメータを更新することができる。従って、柔軟なスイッチデバイスが提供される。
【0065】
さらなる実施形態によれば、スイッチデバイスは、マスタデバイスとフィールドデバイスとの間のデータの送信を制御するためのフィールドデバイススタックを更に備える。特に、フィールドデバイススタックは、スイッチデバイスのパッキング及びアンパックユニット、ダウンストリーム及びアップストリーム送信ユニット、記憶ユニット、設定ユニット等のさまざまなユニットと連携して、マスタ通信チャネル及びフィールドデバイス通信チャネルを設定し、マスタデバイスとフィールドデバイスとの間のデータの送信を実現する。
【0066】
さらなる実施形態によれば、マスタデバイスは、マスタデバイスとスイッチデバイスとの間のデータの送信を制御するためのマスタスタックを含む。特に、マスタスタックはフィールドデバイスのマスタデバイスへの登録を制御し、スイッチデバイスとの通信を設定する。
【0067】
さらなる可能な実装又は代替解決策は、実施形態に関して上記又は下記で説明される特徴の組み合わせ(ここでは明示的に言及されていないもの)も包含する。当業者は、個々の実施形態に個々の又は独立した態様及び特徴を追加することもできる。