(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したエレベータの制御技術では、許可判断がなされた利用者ついての乗りかごへの割当て(呼び登録)が行われる際に、当該利用者を最適な乗りかごに割り当てるための様々な判断(割当判断)がなされる。また、そのような判断には、判断基準として、例えば1人の利用者が規制装置の通過に要する平均的な時間を利用することが考えられる。
【0005】
一例として、本発明者らは、規制装置が設置されたエレベータにおいて、当該エレベータの運行効率を向上させるためには、特定階に停止中又は到着直前である乗りかごに、当該特定階から見たときの行先方向が同じである一連の利用者(途切れることなく乗車できる利用者)を乗車させることが、乗車人数を増やしつつ、乗りかごをできるだけ短い停止時間で出発させることが可能になる点で好ましいと考えている。
【0006】
そこで本発明者らは、規制装置の通行を許可するとの許可判断がなされた利用者についての乗りかごへの割当て(呼び登録)を行う際に、当該呼び登録の対象になっている対象利用者において以下の条件(1)及び(2)が何れも満たされているか否かを判断し、何れの条件も満たされていると判断できた場合に、特定階に停止中又は到着直前である上記乗りかごに対象利用者を割り当てる、といった技術を提案している。
【0007】
条件:
(1)上記対象利用者に対して許可判断がなされるまでの所定期間中に、特定階から見たときの行先方向が対象利用者と同じである別の利用者に対して許可判断がなされていること
(2)上記別の利用者について割り当て済みの乗りかごが特定階に停止中又は到着直前であること
【0008】
上記条件(1)において、所定期間は、許可判断がなされた別の利用者との関係で上記対象利用者が一連の利用者であるか否かを判断するための判断基準として用いられる。そして、この所定期間には、例えば1人の利用者が規制装置の通過に要する平均的な時間が用いられる。
【0009】
近年、規制装置として、利便性や安全性などに応じて構造(種類)や動作設定などが異なる様々なセキュリティゲートが開発されている。このため、1人の利用者が規制装置の通過に要する平均的な時間が、エレベータに設置される規制装置の構造(種類)や動作設定などに応じて異なることが多くなってきている。このため、上記条件(1)を満たしているか否かの判断に用いられる所定期間などの判断基準についても、規制装置の構造(種類)や動作設定などに応じて見直すことが必要になってきている。しかし、そのような見直しを手動で行っていたのでは、煩雑な設定作業が作業者に強いられることになる。
【0010】
そこで本発明の目的は、規制装置が設置されたエレベータにおいて、規制装置の構造(種類)や動作設定などに応じた制御を、煩雑な設定作業を作業者に強いることなく行うことが可能な制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る制御装置は、乗場への進入を規制する規制装置が設置されたエレベータに適用可能であり、呼び登録処理部と、取得処理部と、更新処理部と、を備える。エレベータでは、利用者に対して規制装置の通行を許可するか否かが判断され、呼び登録処理部は、規制装置の通行を許可するとの許可判断がなされた利用者ごとに呼び登録を行い、当該呼び登録を行う際には、利用者を乗りかごに割り当てるための割当判断を行う。そして、取得処理部は、許可判断がなされるごとに、その許可判断の前に別の許可判断がなされている場合には、前回の許可判断から今回の許可判断までの時間間隔を取得し、更新処理部は、取得処理部が取得した時間間隔の少なくとも一部を用いて、上記割当判断に用いられる判断基準を更新する。
【0012】
上記制御装置によれば、取得処理部が取得した時間間隔に基づいて判断基準の更新が自動的に行われる。ここで、取得処理部が取得する時間間隔は、規制装置において前回の許可判断がなされてから今回の許可判断がなされるまでの時間間隔の実測値であり、当該規制装置の通過に必要な実際の時間が反映されたものである。そして、規制装置の通過に必要な実際の時間には、規制装置の構造(種類)や動作設定などが反映されやすい。従って、取得処理部が取得する時間間隔(実測値)に基づいて判断基準が更新されることにより、当該判断基準が、規制装置の構造(種類)や動作設定などに応じた最適な値に設定されやすくなる。
【0013】
上記エレベータは、規制装置が特定階に設置されたものであってもよく、そのようなエレベータに上記制御装置が適用されてもよい。その場合、呼び登録処理部は、割当判断として、呼び登録の対象になっている対象利用者において、(1)当該対象利用者に対して許可判断がなされるまでの所定期間中に、特定階から見たときの行先方向が対象利用者と同じである別の利用者に対して許可判断がなされているという条件と、(2)当該別の利用者について割り当て済みの乗りかごが特定階に停止中又は到着直前であるという条件とが何れも満たされているか否かを判断し、何れの条件も満たされていると判断した場合に、上記割り当て済みの乗りかごと同じ乗りかごに対象利用者を割り当ててもよい。また、更新処理部は、上記所定期間を、割当判断に用いられる判断基準として更新してもよい。この構成によれば、取得処理部が取得する時間間隔(実測値)に基づいて所定期間が更新されることにより、当該所定期間が、規制装置の構造(種類)や動作設定などに応じた最適な値(長さ)に設定されやすくなる。
【0014】
上記制御装置において、取得処理部は、所定長さの時間枠ごとに、上記時間間隔を取得すると共に、その時間枠内で許可判断がなされた利用者人数を更に取得してもよい。そして、更新処理部は、上記時間枠のうちの利用者人数の値が所定条件を満たす時間枠において取得された時間間隔を用いて、上記判断基準(上記所定期間を含む)を更新してもよい。
【0015】
より具体的には、上記エレベータは、規制装置が複数設置されたものであってもよく、そのようなエレベータに上記制御装置が適用されてもよい。その場合、取得処理部は、規制装置ごと及び時間枠ごとに、時間間隔及び利用者人数を何れも取得してもよい。そして、更新処理部は、規制装置と時間枠との組合せのうちの利用者人数の値が上記所定条件を満たす組合せにおいて取得された時間間隔を用いて、上記判断基準(上記所定期間を含む)を更新してもよい。
【0016】
これらの構成において、上記利用者人数の値が大きい場合には、規制装置での利用者の通過状況として、利用者が途切れることなく規制装置を通過したであろうことが想定される。従って、そのような利用者の通過状況を想定できる時間枠や組合せが抽出されるように上記所定条件を設定することにより、当該所定条件を満たす時間枠や組合せにおいて取得される時間間隔(実測値)は、利用者が途切れることがない状況での規制装置の通過に必要な最適な時間に近づきやすくなる。よって、上記判断基準(上記所定期間を含む)が、最適な値に更新されやすくなる。
【0017】
上記エレベータが、規制装置が複数設置されたものであって、そのようなエレベータに上記制御装置が適用された場合において、取得処理部は、規制装置ごとに、時間間隔を取得すると共に、その規制装置の通行を許可するとの許可判断がなされた利用者人数を更に取得してもよい。そして、更新処理部は、規制装置のうちの利用者人数の値が所定条件を満たす規制装置において取得された時間間隔を用いて、上記判断基準(上記所定期間を含む)を更新してもよい。ここでも、上記と同様、上記利用者人数の値が大きい場合には、規制装置での利用者の通過状況として、利用者が途切れることなく規制装置を通過したであろうことが想定される。従って、そのような利用者の通過状況を想定できる規制装置が抽出されるように上記所定条件を設定することにより、当該所定条件を満たす規制装置において取得される時間間隔(実測値)は、利用者が途切れることがない状況での規制装置の通過に必要な最適な時間に近づきやすくなる。よって、上記判断基準(上記所定期間を含む)が、最適な値に更新されやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、規制装置が設置されたエレベータにおいて、規制装置の構造(種類)や動作設定などに応じた制御を、煩雑な設定作業を作業者に強いることなく行うことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[1]エレベータの全体構成
図1は、エレベータの全体構成を示した概念図である。
図1に示されるように、エレベータは、乗りかご100と、規制装置101と、セキュリティサーバ102と、エレベータ制御装置103と、群管理制御装置104と、を備える。そして、群管理制御装置104が、本発明に係る制御装置の一実施形態である。以下、各部の構成について具体的に説明する。尚、特に限定されるものではないが、
図1では、エレベータの一例として、乗りかご100が3つ、規制装置101が3つ設けられた構成が示されている。
【0021】
<規制装置>
規制装置101は、セキュリティゲートなど、建物の特定階(ロビー階など)においてエレベータの乗場Hへの進入を規制する装置である。そして、規制装置101には、それらを識別するための装置情報Pdが設定されている。また、規制装置101には、利用者が所持する記録媒体Q(ICカードや磁気カードなど)から情報を読み取る読取装置1と、利用者が乗車すべき乗りかご100の情報などを表示する表示装置2と、が設けられている。ここで、記録媒体Qには、それを所持する利用者の識別情報Pi(記録媒体Qを識別する固有の情報。固有IDなど)が記録されており、読取装置1は、記録媒体Qから識別情報Piを読み取る。また、表示装置2には、乗りかご100の情報として、当該乗りかご100を識別する情報(番号や記号など。以下、この情報を「乗りかご情報Pg」と称す)などが表示される。
【0022】
尚、読取装置1による記録媒体Qの読取り方法は、接触式のものであってもよいし、NFC(Near Field Communication)等の近距離通信で情報を読み取る非接触式のものであってもよく、特に限定されるものではない。また、記録媒体Qは、カード状のものに限らず、スティック状やチップ状のものであってもよい。更に、読取装置1との近距離通信(NFC等)が可能なスマートフォン等の携帯情報端末が、記録媒体Qとして用いられてもよい。
【0023】
読取装置1で読み取られた識別情報Piは、セキュリティサーバ102において、利用者に対して規制装置101の通行を許可するか否かの判断を行うための認証などに用いられる。そこで、規制装置101は、読取装置1が識別情報Piを読み取った場合、その識別情報Piをセキュリティサーバ102に送信する(
図1参照)。このとき、規制装置101は、識別情報Piの送信元である自身の位置をセキュリティサーバ102に認識させるために、当該規制装置101の装置情報Pdを、識別情報Piと共にセキュリティサーバ102に送信する。尚、規制装置101は、装置情報Pdとして、自身に設けられている読取装置1(即ち、識別情報Piを読み取った読取装置1)の装置情報をセキュリティサーバ102に送信してもよい。
【0024】
<セキュリティサーバ>
セキュリティサーバ102は、高いセキュリティを維持するべく、規制装置101から送信されてくる識別情報Piの認証を行い、認証に成功した場合にのみ、利用者に対して規制装置101の通行を許可すると共に、認証に成功した識別情報Piに対応付けられている情報(即ち、後述する呼び登録処理に必要な情報)を群管理制御装置104に送信する(認証処理)。以下、認証処理の詳細について説明する。
【0025】
図2、セキュリティサーバ102で実行される認証処理を示したフローチャートである。認証処理は、セキュリティサーバ102が規制装置101から情報(識別情報Pi及び装置情報Pd)を受信した場合に開始される。認証処理が開始されると、セキュリティサーバ102は、利用者に対して規制装置101の通行を許可するか否かを判断するべく、受信した識別情報Piの認証を行う(ステップS101)。
【0026】
セキュリティサーバ102は、ステップS101にて識別情報Piの認証に成功した場合、そのことを以て、利用者に対して規制装置101の通行を許可するとの許可判断を行う。その場合、セキュリティサーバ102は、認証に成功した識別情報Piの送信元である規制装置101を、受信した装置情報Pdに基づいて特定する。そして、セキュリティサーバ102は、特定した規制装置101を制御してゲートを開くことにより、当該規制装置101の通行を利用者に対して許可する(ステップS102A)。
【0027】
具体的には、セキュリティサーバ102は、装置管理データD1を有している。
図3(A)は、装置管理データD1の一例を示した概念図である。装置管理データD1では、装置情報Pdごとに、当該装置情報Pdで識別される規制装置101への情報送信に使用される装置アドレスPa(IPアドレスなど)と、その規制装置101の設置階Fsと、が対応付けられている。そして、セキュリティサーバ102は、受信した装置情報Pdに対応する装置アドレスPaを装置管理データD1から読み出し、読み出した装置アドレスPaで特定される規制装置101を制御してゲートを開くことにより、当該規制装置101の通行を利用者に対して許可する。
【0028】
ステップS102Aの後、セキュリティサーバ102は、ステップS101での認証に成功した識別情報Piに対応付けられている情報(即ち、後述する呼び登録処理に必要な情報)を群管理制御装置104に送信する(ステップS103)。
【0029】
具体的には、セキュリティサーバ102は、上述した装置管理データD1に加えて、対応管理データD2を更に有している。
図3(B)は、対応管理データD2の一例を示した概念図である。対応管理データD2では、記録媒体Qの識別情報Piごとに、その識別情報Piで識別される利用者の降車階として初期設定された初期設定階Fdが対応付けられている。また、対応管理データD2では、識別情報Piの漏洩を防止するべく、記録媒体Qの識別情報Piごとに、その識別情報Piに1対1で対応する管理情報Pj(例えば、ICカードに付される通し番号のようなもの)が対応付けられている。
【0030】
そして、セキュリティサーバ102は、ステップS101での認証に成功した識別情報Piに対応付けられている管理情報Pj及び初期設定階Fdを対応管理データD2から読み出す。また、群管理制御装置104は、規制装置101から識別情報Piと共に送信されてきた装置情報Pdを用いて、当該装置情報Pdに対応付けられている設置階Fsを装置管理データD1から読み出す。
【0031】
その後、セキュリティサーバ102は、読み出した情報(管理情報Pj、初期設定階Fd、及び設置階Fs)を群管理制御装置104に送信する(
図1参照)。このとき、セキュリティサーバ102は、ステップS102Aで読み出した装置アドレスPaも群管理制御装置104に送信する。尚、上述した装置管理データD1及び対応管理データD2内のデータは、それらの少なくとも一部が、セキュリティサーバ102に代えて群管理制御装置104で管理されてもよい。この場合、群管理制御装置104が、呼び登録処理に必要な情報の少なくとも一部を、自身が管理するデータから読み出すことになる。
【0032】
セキュリティサーバ102は、ステップS101にて識別情報Piの認証に失敗した場合、そのことを以て、利用者に対して規制装置101の通行を許可しないとの不許可判断を行う。その場合、セキュリティサーバ102は、認証に失敗した識別情報Piの送信元である規制装置101を、受信した装置情報Pdに基づいて特定する。そして、セキュリティサーバ102は、特定した規制装置101を制御してゲートを閉じることにより、当該規制装置101における利用者の通行を規制(禁止)する(ステップS102B)。
【0033】
このような認証処理は、セキュリティサーバ102内に回路を構築することによってハードウェアで構成された処理部で実行されてもよいし、セキュリティサーバ102が備えるCPU等の処理装置にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成された処理部で実行されてもよい。また、当該プログラムは、携帯可能な記憶装置(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で記憶されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、ダウンロードされたものがセキュリティサーバ102の記憶部(不図示)に記憶されてもよい。
【0034】
<エレベータ制御装置>
エレベータ制御装置103は、乗りかご100に1つずつ対応させて設けられており、自身に対応する乗りかご100の動作を制御する。そして、エレベータ制御装置103は、群管理制御装置104によって一元的に管理及び制御される。
【0035】
<群管理制御装置>
群管理制御装置104は、規制装置101の通行を許可するとの許可判断が利用者に対してなされるごとに、セキュリティサーバ102から情報(管理情報Pj、初期設定階Fd、設置階Fs、及び装置アドレスPaを含む)を受信し、受信した当該情報(以下、「受信情報Pr」と称す)を用いて呼び登録を行う(呼び登録処理。
図4参照)。具体的には、以下のとおりである。
【0036】
呼び登録処理では、群管理制御装置104は、受信情報Pr内の初期設定階Fd及び設置階Fsを、許可判断がなされた利用者の行先階Fc1及び出発階Fc2として用い、当該行先階Fc1及び出発階Fc2を、1つの乗場呼びとして何れか1つの乗りかご100に割り当てる(
図4のステップS203A及びS203B参照)。その後、群管理制御装置104は、割り当てた乗りかご100を識別する情報(乗りかご情報Pg)を、受信情報Pr内の装置アドレスPaで特定される規制装置101の表示装置2に表示する。これにより、利用者は、規制装置101の通過時に、表示装置2に表示された乗りかご情報Pgを確認することにより、自身が乗車すべき乗りかご100を認識できる。
【0037】
群管理制御装置104は、セキュリティサーバ102にて許可判断がなされた利用者についての乗りかご100への割当て(呼び登録)を行う際に、当該利用者を最適な乗りかご100に割り当てるための様々な判断(割当判断)を行う。
【0038】
一例として、規制装置101が設置されたエレベータにおいて、当該エレベータの運行効率を向上させるためには、特定階に停止中又は到着直前である乗りかご100に、当該特定階から見たときの行先方向が同じである一連の利用者(途切れることなく乗車できる利用者)を乗車させることが、乗車人数を増やしつつ、乗りかご100をできるだけ短い停止時間で出発させることが可能になる点で好ましい。
【0039】
そこで本実施形態では、群管理制御装置104は、セキュリティサーバ102にて許可判断がなされた利用者についての乗りかご100への割当て(呼び登録)を行う際に、当該呼び登録の対象になっている対象利用者において以下の条件(1)及び(2)が何れも満たされているか否かを判断する。
【0040】
条件:
(1)上記対象利用者に対して許可判断がなされるまでの所定期間Tc中に、特定階から見たときの行先方向が対象利用者と同じである別の利用者に対して許可判断がなされていること(
図4のステップS201参照)
(2)上記別の利用者について割り当て済みの乗りかご100が特定階に停止中又は到着直前であること(
図4のステップS202参照)
【0041】
ここで、上記条件(1)は、許可判断がなされた別の利用者(即ち、前回の利用者)との関係で上記対象利用者が一連の利用者であることを条件としたものであり、所定期間Tcは、そのような条件が満たされているか否かを判断するための判断基準(即ち、割当判断のための判断基準)として用いられる。また、所定期間Tcには、初期設定された値(長さ)が用いられる。
【0042】
そして、群管理制御装置104は、上記条件(1)及び(2)が何れも満たされていると判断した場合に、上記割り当て済みの乗りかご100と同じ乗りかご100に対象利用者を割り当てる(
図4のステップS203A参照)。
【0043】
このような呼び登録処理では、判断基準である所定期間Tcの最適な値(長さ)は、規制装置101の構造(種類)や動作設定などに応じて異なるため、当該構造(種類)や動作設定などに応じて見直されることが好ましい。しかし、そのような見直しを手動で行っていたのでは、煩雑な設定作業が作業者に強いられることになる。
【0044】
そこで本実施形態では、判断基準である所定期間Tcの最適な値(長さ)を自動的に更新することが可能となるように、群管理制御装置104は、次のような処理を更に行う。即ち、群管理制御装置104は、許可判断がなされるごとに、その許可判断の前に別の許可判断がなされている場合には、前回の許可判断から今回の許可判断までの時間間隔Tを取得する(取得処理)。また、群管理制御装置104は、取得した時間間隔Tの少なくとも一部を用いて、判断基準である所定期間Tcを更新する(更新処理)。これにより、規制装置101が特定階に設置されたエレベータにおいて、規制装置101の構造(種類)や動作設定などに応じた制御を、煩雑な設定作業を作業者に強いることなく行うことが可能になる。
【0045】
本実施形態では、呼び登録処理、取得処理、及び更新処理はそれぞれ、群管理制御装置104内に構成される呼び登録処理部104A、取得処理部104B、及び更新処理部104Cによって実行される(
図1参照)。そして、これらの処理部は、群管理制御装置104内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよいし、群管理制御装置104が備えるCPU等の処理装置にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成されてもよい。また、当該プログラムは、携帯可能な記憶装置(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で記憶されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、ダウンロードされたものが群管理制御装置104の記憶部(不図示)に記憶されてもよい。
【0046】
以下、呼び登録処理、取得処理、及び更新処理の詳細について説明する。
【0047】
[2]群管理制御装置で実行される制御処理
<呼び登録処理>
図4は、群管理制御装置104で実行される呼び登録処理を示したフローチャートである。呼び登録処理は、群管理制御装置104がセキュリティサーバ102から情報(管理情報Pj、初期設定階Fd、設置階Fs、及び装置アドレスPaを含む)を受信した場合に、呼び登録処理部104Aによって開始される。
【0048】
呼び登録処理が開始されると、呼び登録処理部104Aは先ず、呼び登録の対象になっている対象利用者(セキュリティサーバ102にて許可判断がなされた利用者)に対して許可判断がなされるまでの所定期間Tc中に、特定階から見たときの行先方向が対象利用者と同じである別の利用者に対して許可判断がなされたか否かを判断する(ステップS201)。このステップS201は、許可判断がなされた別の利用者(即ち、前回の利用者)との関係で今回の利用者が一連の利用者であるか否かを判断するためのステップである。そして、所定期間Tcは、そのような判断(割当判断)を行うための判断基準として用いられる。
【0049】
本実施形態では、呼び登録処理部104Aは、上記対象利用者についてセキュリティサーバ102から情報(受信情報Pr)を受信したときの時刻を、当該対象利用者に対して許可判断がなされた時刻とし、その時刻に至るまでの所定期間Tc中に、別の利用者についての情報(受信情報Pr)をセキュリティサーバ102から受信したか否かを判断することにより、別の利用者に対して許可判断がなされた否かを判断する。
【0050】
呼び登録処理部104Aは、ステップS201にて「別の利用者に対して許可判断がなされた(Yes)」と判断した場合、当該別の利用者について割り当て済みの乗りかご100が特定階に停止中又は到着直前であるか否かを判断する(ステップS202)。
【0051】
一例として、呼び登録処理部104Aは、セキュリティサーバ102にて許可判断がなされた利用者ごとに、当該利用者を割り当てた乗りかご100の情報を記憶部(不図示)に記憶させる。そして、呼び登録処理部104Aは、記憶部(不図示)に記憶されている情報を参照することにより、上記別の利用者について割り当て済みの乗りかご100を特定する。また、呼び登録処理部104Aは、特定した乗りかご100の運行状況を、当該乗りかご100の動作を制御するエレベータ制御装置103から取得する。そして、呼び登録処理部104Aは、取得した乗りかご100の運行状況に基づいて、当該乗りかご100が特定階に停止中又は到着直前であるか否かを判断する。
【0052】
呼び登録処理部104Aは、ステップS202にて「特定階に停止中又は到着直前である(Yes)」と判断した場合には、判断対象になっている割り当て済みの乗りかご100と同じ乗りかご100に対象利用者(具体的には、当該対象利用者の乗場呼び)を割り当てる(ステップS203A)。
【0053】
一方、呼び登録処理部104Aは、ステップS201にて「別の利用者に対して許可判断がなされていない(No)」と判断するか、又は、ステップS202にて「特定階に停止中又は到着直前でない(No)」と判断した場合には、対象利用者(具体的には、当該対象利用者の乗場呼び)を、受信情報Pr内の初期設定階Fdなどを考慮して最適な乗りかご100に割り当てる(ステップS203B)。
【0054】
ステップS203A及びS203Bの後、呼び登録処理部104Aは、割り当てた乗りかご100を識別する情報(乗りかご情報Pg)を、受信情報Pr内の装置アドレスPaで特定される規制装置101の表示装置2に表示する(ステップS204)。これにより、利用者は、規制装置101の通過時に、表示装置2に表示された乗りかご情報Pgを確認することにより、自身が乗車すべき乗りかご100を認識することが可能になる。尚、表示装置2には、行先階Fc1や管理情報Pjなどが乗りかご情報Pgと共に表示されてもよい。
【0055】
このような呼び登録処理によれば、特定階に停止中又は到着直前である乗りかご100に、当該特定階から見たときの行先方向が同じである一連の利用者(途切れることなく乗車できる利用者)を乗車させることが可能になる。よって、乗車人数を増やしつつ、乗りかご100をできるだけ短い停止時間で特定階から出発させることが可能になり、その結果として、エレベータの運行効率を向上させることが可能になる。
【0056】
<取得処理>
取得処理は、規制装置101ごとに、取得処理部104Bによって実行される。また、取得処理部104Bは、予め設定された開始時刻(例えば、8:00)から終了時刻(例えば、8:30)まで、所定長さ(例えば、5分間)の時間枠TFごとに実行される。ここで、開始時刻及び終了時刻は、1日のうちで規制装置101を通過する利用者の数が最も多くなる時間帯(出勤時間帯など)が開始時刻と終了時刻との間に含まれるように設定される。
【0057】
具体的には、取得処理部104Bは、規制装置101と時間枠TFとの組合せのそれぞれにおいて、許可判断がなされるごとに、その許可判断(今回の許可判断)の前に別の許可判断(前回の許可判断)がなされている場合には、前回の許可判断から今回の許可判断までの時間間隔Tを取得する。また、取得処理部104Bは、上記組合せごと(即ち、規制装置101ごと及び時間枠TFごと)に、その時間枠TF内で許可判断がなされた利用者人数Nを更に取得する。
【0058】
図5は、取得処理の実行によって取得されるデータの一例を示した概念図である。
図5では、データとして、取得処理部104Bが取得した時間間隔Tを個々に示すことに変えて、それらを合算した値(合算値Ts)が示されている。また、
図5では、3つの規制装置101が、1〜3の数字によってナンバリングされている(m=1〜3)。更に、取得処理の開始時刻から終了時刻まで時間枠TFが6つに区切られており、6つの時間枠TFが、1〜6の数字によってナンバリングされている(n=1〜6)。尚、時間枠TFの数は、6つに限定されるものでなく、取得処理の開始時刻から終了時刻までの時間長さと、時間枠TFの長さと、によって適宜決定される。また、規制装置101の数は、3つに限定されるものでなく、エレベータにおける規制装置101の設置数に応じて適宜決定される。
【0059】
そして
図5の例では、3番目の時間枠TF(n=3)において利用者人数Nが大きくなり、その中でも2番目の規制装置101(m=2)で利用者人数Nが最も大きくなった場合(N(1,3)=20人、N(2,3)=25人、N(3,3)=22人)が示されている。
【0060】
<更新処理>
更新処理は、取得処理の完了後(即ち、上記終了時刻の経過後)に、更新処理部104Cによって実行される。具体的には、更新処理部104Cは、取得処理部104Bが取得したデータ(
図5参照)を用いて、以下のような処理を行う。
【0061】
更新処理部104Cは、規制装置101と時間枠TFとの組合せ(
図5の例では、3つの規制装置×6つの時間枠=18種類の組合せ。以下、m番目の規制装置101とn番目の時間枠TFとの組合せを(m,n)で表す)のうちの利用者人数Nの値が最も大きい組合せ(
図5の例では、(m,n)=(2,3))において取得された時間間隔T(
図5の例では、時間間隔Tの合算値Ts(2,3)=105秒)を用いて、判断基準である所定期間Tcを更新する。一例として、更新処理部104Cは、時間間隔Tの平均値(=T/(N−1))を求め、求めた平均値(
図5の例では、平均値=4.2秒)で所定期間Tcを更新する。
【0062】
尚、所定期間Tcの更新は、更新処理部104Cが時間間隔Tの平均値を求めた場合に、その都度行われてもよいし、平均値が特定の条件を満たした場合にのみ行われてもよい。例えば、所定期間Tcが過大になることで、一連の利用者とみなす条件が緩やかになり過ぎて乗りかご100の停止時間が長くなってしまうことや、所定期間Tcが過小になることで、一連の利用者とみなす条件が厳しくなり過ぎて乗りかご100の乗車人数が減ってしまうといった弊害が生じないように、時間間隔Tの平均値が所定範囲内であることを条件として、その条件が満たされた場合にのみ所定期間Tcの更新が行われてもよい。このとき、所定期間Tcが、更新前の所定期間Tcの値(長さ)よりも小さくならないように、当該更新前の所定期間Tcの値(長さ)が所定範囲の下限値として用いられてもよい。尚、所定期間Tcの更新を行うか否かを判断する基準となる条件(上記特定の条件)には、ここで説明したものに限らず、最適な更新が可能となるように適宜変更されてもよい。
【0063】
上述した制御処理によれば、取得処理部104Bが取得した時間間隔T(本実施形態では合算値Ts)に基づいて所定期間Tc(判断基準)の更新が自動的に行われる。ここで、取得処理部104Bが取得する時間間隔Tは、規制装置101において前回の許可判断がなされてから今回の許可判断がなされるまでの時間間隔の実測値であり、当該規制装置101の通過に必要な実際の時間が反映されたものである。そして、規制装置101の通過に必要な実際の時間には、規制装置101の構造(種類)や動作設定などが反映されやすい。従って、取得処理部104Bが取得する時間間隔T(実測値)に基づいて所定期間Tcが更新されることにより、当該所定期間Tcが、規制装置101の構造(種類)や動作設定などに応じた最適な値(長さ)に設定されやすくなる。よって、規制装置101が特定階に設置されたエレベータにおいて、規制装置101の構造(種類)や動作設定などに応じた制御(本実施形態では、上述した呼び登録処理)を、煩雑な設定作業を作業者に強いることなく行うことが可能になる。
【0064】
また、利用者人数Nの値が大きい場合には、規制装置101での利用者の通過状況として、利用者が途切れることなく規制装置101を通過したであろうことが想定される。そして、本実施形態では、そのような利用者の通過状況を想定できる組合せとして、利用者人数Nの値が最も大きい組合せが抽出される。従って、抽出された組合せにおいて取得される時間間隔T(実測値)は、利用者が途切れることがない状況での規制装置101の通過に必要な最適な時間に近づきやすくなる。よって、判断基準である所定期間Tcが、最適な値(長さ)に更新されやすくなる。
【0065】
[3]変形例
[3−1]第1変形例
上述した制御処理において、更新処理部104Cは、利用者人数Nの値が最も大きい組合せにおいて取得された時間間隔Tに限らず、別の所定条件を満たす組合せにおいて取得された時間間隔Tを用いて所定期間Tc(判断基準)を更新してもよい。ここで、所定条件は、それが満たされた場合に、利用者が途切れることなく規制装置101を通過したであろうことを想定できるものであることが好ましい。そして、そのような所定条件として、特に限定されるものではないが、利用者人数Nが所定値以上であるという条件や、利用者人数Nを大きいものから順位付けしたときに上位1番目からSp番目(Spは1以上の整数)までのものであるという条件などを用いることができる。
【0066】
図5の例では、利用者人数Nが20人(所定値=20人)以上であるという条件を満たす組合せは、(m,n)=(1,3)、(2,3)、(3,3)、(2,4)、及び(3,4)である。また、上位1番目から3番目(Sp=3)であるという条件を満たす組合せは、上位から(2,3)、(2,4)、及び(3,3)である。
【0067】
そして、更新処理部104Cは、上記所定条件を満たす組合せにおいて取得された全ての時間間隔Tを用いて、判断基準である所定期間Tcを更新する。一例として、更新処理部104Cは、それら全ての時間間隔Tを用いて平均値を求め、求めた平均値で所定期間Tcを更新する。
【0068】
[3−2]第2変形例
上述した制御処理において、更新処理部104Cは、時間枠TFごとに利用者人数N(m,n)を全ての規制装置101(m=1〜3)について合算して得られる合算値Ns1(即ち、時間枠TFごとの利用者人数Nの合算値)を用いて、次のような更新処理を行ってもよい。即ち、更新処理部104Cは、時間枠TFのうちの合算値Ns1が所定条件を満たす時間枠TFにおいて取得された時間間隔Tを用いて、判断基準である所定期間Tcを更新してもよい。ここで、所定条件には、特に限定されるものではないが、合算値Ns1が最も大きいという条件、合算値Ns1が所定値以上であるという条件、合算値Ns1を大きいものから順位付けしたときに上位1番目からSq番目(Sqは1以上の整数)までのものであるという条件などを用いることができる。
【0069】
また、上述した制御処理において、更新処理部104Cは、規制装置101ごとに利用者人数N(m,n)を全ての時間枠TF(n=1〜6)について合算して得られる合算値Ns2(即ち、規制装置101ごとの利用者人数Nの合算値)を用いて、次のような更新処理を行ってもよい。即ち、更新処理部104Cは、規制装置101のうちの合算値Ns2が所定条件を満たす規制装置101において取得された時間間隔Tを用いて、判断基準である所定期間Tcを更新してもよい。ここで、所定条件には、特に限定されるものではないが、合算値Ns2が最も大きいという条件、合算値Ns2が所定値以上であるという条件、合算値Ns2を大きいものから順位付けしたときに上位1番目からSr番目(Srは1以上の整数)までのものであるという条件などを用いることができる。
【0070】
そして、更新処理部104Cは、上記所定条件を満たす時間枠TF又は規制装置101において取得された時間間隔Tを用いて、判断基準である所定期間Tcを更新する。一例として、更新処理部104Cは、時間間隔Tの平均値を求め、求めた平均値で所定期間Tcを更新する。尚、更新処理部104Cは、取得処理部104Bが取得した時間間隔Tを、条件を設けずに全て用いて、判断基準である所定期間Tcを更新してもよい。
【0071】
[3−3]第3変形例
上述した制御処理において、呼び登録処理部104Aは、セキュリティサーバ102にて許可判断がなされた利用者についての乗りかご100への割当て(呼び登録)を行う際に、呼び登録の対象になっている対象利用者が乗場Hに到着する予測時刻(到着予測時刻tp)を算出してもよい。ここで、到着予測時刻tpは、対象利用者に対して許可判断がなされた判断時刻tに、規制装置101の通過に必要な時間として設定された通過時間Tdと、規制装置101から乗場Hまでの移動に必要な時間として設定された移動時間Teと、を加算することで得られる。
【0072】
そして、呼び登録処理部104Aは、割当判断として、特定階に停止中又は到着予定である乗りかご100のうちの、当該特定階からの出発予定時刻trが利用者の到着予測時刻tpよりも早いものを除いた残りの乗りかご100から、最適なものを選択し、その最適な乗りかご100に対象利用者を割り当ててもよい。
【0073】
上記呼び登録処理によれば、対象利用者が割り当てられる乗りかご100の候補から、当該対象利用者が出発予定時刻trまでに乗場Hに到着できないと判断された乗りかご100が排除される。従って、利用者は、特定階からの出発に間に合う乗りかご100だけに割り当てられ、その結果として、利用者の乗遅れが生じにくくなる。
【0074】
一方、このような呼び登録処理では、到着予測時刻tp(上記割当判断のための判断基準)の算出に用いられる通過時間Tdの最適な値(長さ)は、規制装置101の構造(種類)や動作設定などに応じて異なるため、当該構造(種類)や動作設定などに応じて見直されることが好ましい。そこで、更新処理部104Cは、上述した実施形態と同様、取得処理部104Bが取得した時間間隔Tの少なくとも一部を用いて、判断基準である通過時間Tdを更新してもよい。
【0075】
尚、このような割当判断のための判断基準の更新は、上述した所定期間Tcや通過時間Tdの更新に限らず、規制装置101の構造(種類)や動作設定などに応じて見直す必要のある他の判断基準の更新にも適用できる。
【0076】
[3−4]他の変形例
上述したエレベータの全体構成は、セキュリティサーバ102を設けずに、規制装置101又は群管理制御装置104で識別情報Piの認証を行うように変形されてもよい。この場合、管理情報Pjを用いずに識別情報Piでエレベータの制御が行われてもよい。
【0077】
また、上述した制御処理は、乗りかご100を1つだけ備えたエレベータにも適用可能である。この場合、当該制御処理は、エレベータ制御装置103で実行されてもよい。
【0078】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。