特許第6984680号(P6984680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984680
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   B66B13/30 N
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-48489(P2020-48489)
(22)【出願日】2020年3月18日
(65)【公開番号】特開2021-147171(P2021-147171A)
(43)【公開日】2021年9月27日
【審査請求日】2020年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100176016
【弁理士】
【氏名又は名称】森 優
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】片山 知
(72)【発明者】
【氏名】新井 晋治
(72)【発明者】
【氏名】中川 淳一
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−068647(JP,A)
【文献】 特開平06−056377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用ドアの開閉移動に伴うドアシューの移動を案内する敷居溝が設けられたエレベータであって、
前記敷居溝に嵌まり込むことにより前記敷居溝を閉塞可能に構成された閉塞帯と前記ドアシューよりも前記ドアの開き方向における端部側に取り付けられ前記閉塞帯が架け渡されたガイドローラとを含み、前記ガイドローラに架け渡された前記閉塞帯に張力を付与する機能を有し、前記ドアの開く動作に伴って前記敷居溝に嵌まり込むように前記閉塞帯を送り出すとともに前記ドアの閉じる動作に伴って前記敷居溝から前記閉塞帯を引き出す敷居溝閉塞機構を備え、
前記敷居溝の底部は前記ドアの開く動作に伴って前記敷居溝に前記閉塞帯が嵌まり込むとともに前記ドアの閉じる動作に伴って前記敷居溝から前記閉塞帯が退避する一時閉塞領域の長手方向全域と対向するように排出孔が中央部に設けられており、且つ、前記敷居溝の底部は前記中央部に向かって下方に傾斜し、
前記閉塞帯の下端側両端部には、前記敷居溝に嵌まり込んだときに前記敷居溝の底部の傾斜にフィットするように傾斜面が各々形成されることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
エレベータ用ドアの開閉移動に伴うドアシューの移動を案内する敷居溝が設けられたエレベータであって、
前記敷居溝に嵌まり込むことにより前記敷居溝を閉塞可能に構成された閉塞帯と、前記ドアシューよりも前記ドアの開き方向における端部側に取り付けられ前記閉塞帯が架け渡されたガイドローラとを含み、前記ガイドローラに架け渡された前記閉塞帯に張力を付与する機能を有し、前記ドアの開く動作に伴って前記敷居溝に嵌まり込むように前記閉塞帯を送り出すとともに前記ドアの閉じる動作に伴って前記敷居溝から前記閉塞帯を引き出す敷居溝閉塞機構を備え、
前記敷居溝には前記ドアの開く動作に伴って前記敷居溝に前記閉塞帯が嵌まり込むとともに前記ドアの閉じる動作に伴って前記敷居溝から前記閉塞帯が退避する一時閉塞領域の長手方向全域と対向するように排出孔が設けられており、前記排出孔は前記敷居溝の壁面に沿って落下する異物を前記敷居溝から排出するために前記敷居溝における底部側の角部に設けられていることを特徴とするエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に、エレベータドアを案内する敷居溝を塞ぐ閉塞帯を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗降口には、エレベータドアが開閉する際、同ドア下端部に取り付けられているドアシューを案内するために敷居溝が設けられている。この敷居溝に小石や埃などの異物が溜まるとエレベータドアの開閉動作が阻害され、エレベータの運転に支障をきたすおそれがある。このため、敷居溝に異物を排出するための貫通孔を設けることで敷居溝内に異物が溜まるのを抑制できるようにしたエレベータがある。
【0003】
しかしながら、敷居溝に貫通孔を設けると、乗客が自転車の鍵などを落とした場合に同貫通孔から昇降路内に鍵が落下し易くなる。このため、従来のエレベータでは、敷居溝に大きな貫通孔を設けるのが難しく、敷居溝に異物が溜まるのを充分に防ぐことができないという問題がある。
【0004】
一方、エレベータの中には、乗場扉や、かご扉などのエレベータドアが開いているときに敷居溝を塞ぐことにより異物が敷居溝に入り込み難くしたエレベータもある。
【0005】
例えば、特許文献1には、エレベータドアの開く動作に連動して敷居溝を閉塞帯で塞ぐとともに、同ドアの閉じる動作に連動して敷居溝から閉塞帯を退避させつつ清掃用回転ブラシで閉塞帯の上面に付着している異物を取り除くようにしたエレベータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−227394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載のエレベータでは、敷居溝と閉塞帯の隙間から敷居溝内に小石・砂などの異物が落下する場合がある。このような場合において、敷居溝内に異物が溜まることにより開閉動作時にドアシューや閉塞帯の移動が妨げられエレベータドアの開閉動作に支障が生じるという問題がある。
【0008】
本発明では、エレベータドアを開くときに閉塞帯で敷居溝を塞ぐ場合において同敷居溝内に溜まった異物によってエレベータドアの開閉動作が阻害されるのを抑制できるエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエレベータは、エレベータ用ドアの開閉移動に伴うドアシューの移動を案内する敷居溝が設けられたエレベータであり、敷居溝に嵌まり込むことにより敷居溝を閉塞可能に構成された閉塞帯と、ドアシューよりもドアの開き方向における端部側に取り付けられ閉塞帯が架け渡されたガイドローラとを含み、ガイドローラに架け渡された閉塞帯に張力を付与する機能を有し、ドアの開く動作に伴って敷居溝に嵌まり込むように閉塞帯を送り出すとともにドアの閉じる動作に伴って敷居溝から閉塞帯を引き出す敷居溝閉塞機構を備え、敷居溝の底部はドアの開く動作に伴って敷居溝に閉塞帯が嵌まり込むとともにドアの閉じる動作に伴って敷居溝から閉塞帯が退避する一時閉塞領域の長手方向全域と対向するように排出孔が中央部に設けられており、且つ、敷居溝の底部は中央部に向かって下方に傾斜し、閉塞帯の下端側両端部には、敷居溝に嵌まり込んだときに敷居溝の底部の傾斜にフィットするように傾斜面が各々形成されるものである。
【0010】
本発明のエレベータは、エレベータ用ドアの開閉移動に伴うドアシューの移動を案内する敷居溝が設けられたエレベータであり、敷居溝に嵌まり込むことにより敷居溝を閉塞可能に構成された閉塞帯と、ドアシューよりもドアの開き方向における端部側に取り付けられ閉塞帯が架け渡されたガイドローラとを含み、ガイドローラに架け渡された閉塞帯に張力を付与する機能を有し、ドアの開く動作に伴って敷居溝に嵌まり込むように閉塞帯を送り出すとともにドアの閉じる動作に伴って敷居溝から閉塞帯を引き出す敷居溝閉塞機構を備え、敷居溝にはドアの開く動作に伴って敷居溝に閉塞帯が嵌まり込むとともにドアの閉じる動作に伴って敷居溝から閉塞帯が退避する一次閉塞領域の長手方向全域と対向するように排出孔が設けられており、排出孔は敷居溝の壁面に沿って落下する異物を敷居溝から排出するために敷居溝における底部側の角部に設けられるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るエレベータによれば、ドアの開く動作に伴って閉塞帯が嵌まり込むことで閉塞帯を塞ぐとともにドアの閉じる動作に伴って敷居溝から閉塞帯が退避する一時閉塞領域の長手方向全域と対向する排出孔が設けられている。このため、一時閉塞領域において敷居溝壁面と閉塞帯との隙間に入り込んだ異物を排出孔から排出することができる。この結果、敷居溝内に溜まった異物によってエレベータドアの開閉動作が阻害されるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態であるエレベータの全体構成図である。
図2図1に含まれる乗場扉を昇降路側から見たときの構成図である。
図3図3(a)は、図2に示す乗場扉が開いた状態における構成と、同構成に含まれる乗場扉中央部付近の敷居溝の断面構成を模式的に示す図である。図3(b)は、図2に示す乗場扉が閉じた状態における構成と、同構成に含まれる乗場扉中央付近における敷居溝の断面構成を模式的に示す図である。図3(c)は、図2に含まれる敷居の平面図である。
図4図4(a)は、図3(a)に示す一時閉塞領域における敷居溝に異物が入り込んだときの様子を模式的に示す断面図である。図4(b)は、図3(b)に示す敷居溝から異物が排出されるときの様子を模式的に示す断面図である。
図5図5は、図4(a)に示す敷居溝の変形例の構成を図4(a)と同様に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ10について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図中に示す「X」は綱車18Aの軸方向と略直交する水平方向Xを示し、「Y」は水平方向Xに直交する左右方向Yを示し、「Z」は水平方向Xおよび左右方向Yに各々直交する上下方向Zを示すものとする。
【0015】
図1は、エレベータ10の概略構成を示す図である。図1に示すように、エレベータ10は、トラクション方式のロープ式エレベータであり、主ロープ12の一端側に吊り下げられた乗りかご20と、主ロープ12の他端側に吊り下げられた釣合おもり(不図示)とを備える。主ロープ12は、昇降路17直上の機械室Mに設置される巻上機18の綱車18A及びそらせ車18Bに架け渡されており、不図示の巻上機モータにより綱車18Aを正転または逆転させることにより乗りかご20及び釣合おもり(不図示)を相対的に昇降させる機能を有する。
【0016】
乗りかご20は正面側にかご扉21を備える。また、エレベータ10は、各階の乗場N1,N2,N3,…,(以下、特に区別する必要が無い場合は単に乗場「N」と表記)に乗場扉30−1,30−2,30−3,…,(以下、特に区別する必要が無い場合は単に乗場扉「30」と表記)を備える。この乗場扉30は、かご扉21と同様に左右両開き式の扉であり、乗りかご20が乗場Nに停止したときに対向する位置に各々設置される。
【0017】
図2は、昇降路17の方から見たときの乗場扉30の構成を示す図である。図2に示すように、乗場扉30は左右の扉32,34から構成されており、上部に取り付けられたハンガー32A,34Aを介してガイドレール42に吊り下げられている。各ハンガー32A,34Aの構成は同一であるため主としてハンガー32Aについて説明を行い、ハンガー34Aについては適宜説明を省略する。ハンガー32Aは、左右両端部に回転自在なローラ32A−1,32A−2を備え、同ローラ32A−1,32A−2を介してガイドレール42に左右方向Yに移動自在に吊り下げられている。
【0018】
各ハンガー32A,34Aの上部には、一対のローラ43,44と、両ローラ43,44の間に架け渡されたロープ46とからなる乗場扉30の連動機構40が設けられている。ロープ46は、両ローラ43,44の間に架け渡されることによりループLPを構成している。ループLPを構成するロープ46の上側部分46Uには右扉34を支持するハンガー34Aが連結板PL2を介して連結されており、ロープ46の下側部分46Dには左扉32を支持するハンガー32Aが連結板PL1を介して連結される。このため、左右の扉32,34のうちいずれか一方の扉が移動するとき、他方の扉は一方の扉の移動方向と反対の方向に移動する。このような構成により、両開き方式で乗場扉30を開閉可能としている。また、乗場扉30のうちいずれか一方の扉は、乗りかご20が乗場Nに着床した状態において、不図示の係合手段を介してかご扉21の開閉動作に連動して左右方向Yに移動するように構成されている。上記構成により、乗場扉30はかご扉21の開閉動作に連動して開閉する。
【0019】
また、左扉32の下端部両端側には、プレート36A,36Bを介してドアシュー38A,38Bが各々連結されている。各ドアシュー38A,38Bは、ゴムや樹脂などで構成されており、乗場Nに設置された金属製の敷居50に形成された敷居溝52に沿って左右方向Yに案内される。また、右扉34も左扉32と同様に下端側両端部にドアシュー37A,37Bが設けられており、両ドアシュー37A,37Bは敷居溝52沿って左右方向Yに案内される。
【0020】
次に、図3(a)および図3(b)を用いて乗場扉30の下端部の構成について説明を行う。図3(a)は、図2に示す乗場扉30が開いた状態における構成を示す図である。図3(b)は、図2に示す乗場扉30が閉じた状態における構成を示す図である。図3(a)および図3(b)において、敷居50はYZ平面と略平行な面で切断した状態で図示している。
【0021】
図3(a)および図3(b)に示すように、乗場扉30は、敷居溝閉塞機構60を備えている。この敷居溝閉塞機構60は、敷居溝52を塞ぐ役割を有する閉塞帯61と、乗場扉30の開閉動作に伴って閉塞帯61を移動させる収納ユニット62、63を備える。閉塞帯61は、乗場扉30が開いたときに小石等の異物が入り込まないように敷居溝52を塞ぐ役割を有し、ゴムや樹脂などの可撓性を有する部材により構成され断面が略長方形状をなす長尺の部材である。また、閉塞帯61の底面側両端部は面取りがなされており傾斜面61A,61Bが設けられている。これにより、敷居溝52に嵌まり込む際、閉塞帯61の両傾斜面61A,61B(図4(a)参照)が敷居溝52の両傾斜面S−1,S−2(図4(a)参照)に各々接した状態で閉塞帯61が敷居溝52に嵌まり込む。この結果、乗場N側あるいは昇降路17側に閉塞帯61が傾いた状態で敷居溝52に嵌まり込むのを防ぐことができる。
【0022】
また、閉塞帯61の厚みtは、敷居溝52に嵌まり込んだときに敷居50の上面50Tと閉塞帯61の上面61Tの上下方向位置が一致する大きさに設定するのが好ましい。しかしながら、閉塞帯61の厚みtの大きさはこれに限定されるものではなく、敷居溝52に嵌まり込んだときに敷居50の上面50Tよりも閉塞帯61の上面61Tがやや下方、或いは、やや上方に位置する大きさとなるように厚みtを設定してもよい。また、閉塞帯61の中央部は、固定具BRや不図示のボルトを用いて敷居溝52の長手方向中央部における壁面W−1に連結固定される。
【0023】
ここで、固定具BRよりも左扉32側に位置する閉塞帯61を左側閉塞帯61L、固定具BRよりも右扉34側に位置する閉塞帯61を右側閉塞帯61Rと各々呼称することとする。
【0024】
図3(a)および図3(b)に示すように、収納ユニット62は、左扉32が開く動作に伴って左側閉塞帯61Lを敷居溝52内に嵌まり込むように逐次送り出すとともに、同扉32が閉じる動作に伴って左側閉塞帯61Lを吊り上げて収納する役割を有する。収納ユニット63は、収納ユニット62と同一構成を具備し、右扉34が開く動作に伴って右側閉塞帯61Rを敷居溝52内に逐次送り出し、同扉34が閉じる動作に伴って右側閉塞帯61Rを吊り上げて収納する。上述のように、収納ユニット62,63は同一の構成を具備するため以下の説明では主として収納ユニット62について説明を行い、収納ユニット63については適宜説明を省略する。
【0025】
収納ユニット62は、左側閉塞帯61Lの一端に接続されたロープ65、同ロープ65が各々架け渡された吊り上げローラ66およびガイドローラ67と、ロープ65の反対側端部に連結された重り68とを含む。吊り上げローラ66は、左扉32の右扉34と近接する方の端部側に取り付けられており、ロープ65を介して左側閉塞帯61Lを吊り上げる役割を有する。一方、ガイドローラ67は、左扉32の右扉34と近接する方の端部側下端部に取り付けられており、左扉32の開く動作に伴って左側閉塞帯61Lを敷居溝52内に嵌まり込むように送り出す。また、ガイドローラ67は、同扉32の閉じる動作に伴って左側閉塞帯61Lを敷居溝52内から引き出して退避させる役割も有する。重り68は、ロープ65を介して左側閉塞帯61Lに張力を付与する役割を有する。
【0026】
また、収納ユニット62は、図3(a)および図3(b)に示すように、上下方向Zに沿って左扉32に取り付けられたガイド板69を含む。このガイド板69は、略U字状に形成された長尺部材であり、重り68を挟み込むように上下方向Zに沿って設置されている。そしてガイド板69は、左右方向Yにおける重り68の左扉32に対する相対的変位を規制する役割を有する。このため、重り68は、主に上下方向Zにのみ移動可能な状態に保持される。この結果、左扉32の開閉動作に伴って左扉32に対して左右方向Yに相対的に重り68が揺動するのを抑制できる。
【0027】
次に、上述した敷居50の構成について図3(a)〜図3(c)を参照しつつ詳述する。図3(c)は、敷居50の上面視における構成を示す図である。図3(a)〜図3(c)に示すように、敷居50には、XZ平面で切断したときの断面が略U字状を呈する敷居溝52が中央部に長手方向、すなわち、左右方向Yに沿って設けられている。この敷居溝52は両壁面W−1,W−2と底面B−1との間に傾斜面S−1,S−2が設けられており、各面S−1,S−2,B−1のうち中央部に位置する底面B−1が最も低い位置となる断面形状を有する。また、底面B−1の中央部には排出孔Hが設けられている。底面B−1および傾斜面S−1,S−2は本発明の底部に相当する。排出孔Hは、左右の扉32,34が開くとき各閉塞帯61L,61Rが敷居溝52に嵌まり込むとともに、左右の扉32,34が閉じるときに各閉塞帯61L,61Rが敷居溝52から各々退避する一時閉塞領域P1、P2(図3(a)参照)の直下方に、同領域P1,P2の長手方向全域と対向するように設けられている。
【0028】
これにより、敷居溝52内に落下した小石などの異物を排出孔Hから昇降路17内に排出できる。このため、敷居溝52内に小石などの異物が溜まるのを防止できる。
【0029】
なお、排出孔Hの直下方に小石や砂などの異物を回収する回収容器を設置してもよい。この場合には、昇降路17内に異物を落下させることなく保守点検作業時などに回収容器から異物を回収することができる。
【0030】
また、敷居溝52の底面B−1の排出孔Hから敷居溝52内に入り込んだ異物が排出されるため、敷居溝52の底面B−1に溜まった異物の上に閉塞帯61が乗り上げることで乗場扉30の開閉動作が妨げられるということも防止できる。
【0031】
本実施形態では、敷居溝52の中央部に位置する固定具BRおよび一時閉塞領域P1、P2の直下方位置に排出孔Hを設けているが、固定具BRと対向する位置には排出孔を設けないものとし一時閉塞領域P1,P2の長手方向全域と各々対向する位置に排出孔をそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、排出孔Hを固定具BRおよび一時閉塞領域P1,P2の直下方にのみ設けているが、排出孔Hを設ける領域をさらに拡張し、例えば、図3(a)に示すように乗場扉30が開いた状態におけるドアシュー38A,37Bの直下方位置まで排出孔Hを各々延設してもよい、また、敷居50の端部側までさらに延長して排出孔Hを設けるようにしてもよい。これらの場合においても、本実施形態の排出孔Hと同様の効果を得ることができる。
【0033】
続いて、乗場扉30の開閉動作時の敷居溝52における小石などの異物排出作用について図4(a)および図4(b)を用いて説明する。以下の説明において、一時閉塞領域P1,P2における構成は同一であるため主として一時閉塞領域P1について説明を行うとともに、一時閉塞領域P2については適宜説明を省略する。図4(a)は、図3(a)に示す乗場扉30が開いたときの一時閉塞領域P1の直下方に位置する敷居溝52内に溜まった小石などの異物の状態を模式的に示す断面図である。図4(b)は、図3(a)に示す乗場扉30が開いた状態から図3(b)に示す乗場扉30が閉じた状態に変化したときに一時閉塞領域P1における敷居溝52から排出される異物の様子を模式的に示す断面図である。
【0034】
図4(a)に示すように、乗場扉30が開いたときに、敷居溝52の一時閉塞領域P1において、左側閉塞帯61Lと敷居溝52の隙間Q1,Q2に比較的小さな小石などの異物が入り込み隙間Q1,Q2に溜まった状態となる場合がある。このような異物は、図4(b)に示すように、乗場扉30が閉じる際に敷居溝52から左側閉塞帯61Lが退避するのに伴い敷居溝52の傾斜面S−1,S−2に沿って下方へと転がり底面B−1の排出孔Hから昇降路17内に落下する。これにより、敷居溝52内に異物が貯まるのを抑制できる。
【0035】
本実施形態のエレベータ10によれば、乗場扉30が開いたときに閉塞帯61が嵌まり込む一時閉塞領域P1,P2の長手方向全域と対向するように排出孔Hが設けられている。このため、敷居溝52と閉塞帯61の隙間Q1,Q2から敷居溝52内に落下した異物を敷居溝52における底面B−1の排出孔Hから排出することができる。この結果、敷居溝52内に溜まった異物によって乗場扉30の開閉動作が阻害されるのを抑制できる。
【0036】
また、エレベータ10では、敷居溝閉塞機構60を備えているため乗場扉30が開いたときに排出孔Hは閉塞帯61によって塞がれ遮蔽された状態となる。このため、敷居溝52に排出孔Hを設けても、乗客が鍵やカード類などの所持品を敷居50付近に誤って落とした場合に所持品が排出孔Hから昇降路17内に落下してしまうのを防止できるという利点もある。
【0037】
続いて、敷居50および閉塞帯61の変形例である敷居150および閉塞帯161について図5を用いて説明を行う。図5は、図4(a)と同様に、一時閉塞領域P1において閉塞帯161が嵌まり込んだ敷居150に異物が入り込んだときの様子を模式的に示す図である。以下の説明において上述した敷居50および閉塞帯61と構成が同一の部分については説明を適宜省略するとともに、構成の異なる部分についてのみ説明を行うものとする。
【0038】
図5に示すように、敷居150には敷居溝52と同様に敷居溝152が左右方向Yに沿って設けられている。この敷居溝152は、両壁面W−3,W−4と底面(底部)B−2の間に位置する底面側角部に各々排出孔H−1,H−2が一時閉塞領域P1,P2(図3(a)参照)の長手方向全域と対向するように設けられている。また、閉塞帯161は、閉塞帯61と同様に略長方形状に形成されているが、底面161Bの両端部に面取りなどの加工が施されていない点で相違する。そして、敷居溝152の底面B−2に底面161Bが接するように閉塞帯161が敷居溝152に嵌まり込む。
【0039】
この変形例の場合には、閉塞帯161と敷居溝152の隙間Q3,Q4に入り込んだ小石などの異物は閉塞帯161が敷居溝152内に嵌まり込んだ状態、すなわち、乗場扉30が開いた状態においても排出孔H−1,H−2から昇降路17内に排出することが可能となる。
【0040】
上記実施形態では、乗場扉30に敷居溝閉塞機構60および敷居50を適用した場合を例に挙げているが、乗りかご20のかご扉21に敷居溝閉塞機構60および敷居50を設けてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
上記実施形態では、左右両開き式の乗場扉30に敷居溝閉塞機構60および敷居50を適用した場合を例に挙げているが、片開き式、すなわち、開くときに一方向にのみ移動するように構成された乗場扉に敷居溝閉塞機構60および敷居50を適用してもよい。
【0042】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0043】
10 エレベータ
12 主ロープ
17 昇降路
20 乗りかご
30−1,30−2,30−3 乗場扉
37A,37B,38A,38B ドアシュー
50,150 敷居
52,152 敷居溝
B−1,B−2 底面(底部)
S−1,S−2 傾斜面(底部)
W−1,W−2,W−3,W−4 壁面
60 敷居溝閉塞機構
61,161 閉塞帯
61A,61B 傾斜面
H,H1,H2 排出孔
P1,P2 一時閉塞領域
Q1,Q2,Q3,Q4 隙間
X,Y 水平方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5