特許第6984734号(P6984734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6984734制御装置、遅延差調整方法、及び遅延差調整プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984734
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】制御装置、遅延差調整方法、及び遅延差調整プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20211213BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20211213BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20211213BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H04B7/06 982
   H04B7/08 982
   H04B7/0413
   H04L7/00 080
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-507413(P2020-507413)
(86)(22)【出願日】2019年2月6日
(86)【国際出願番号】JP2019004312
(87)【国際公開番号】WO2019181257
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年8月18日
(31)【優先権主張番号】特願2018-55846(P2018-55846)
(32)【優先日】2018年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省研究開発委託「ミリ波帯における大容量伝送を実現するOAMモード多重伝送技術の研究開発」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】善久 竜滋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 英作
【審査官】 谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−168833(JP,A)
【文献】 特開平5−327670(JP,A)
【文献】 特開2005−348236(JP,A)
【文献】 特開2006−352525(JP,A)
【文献】 特開2014−27347(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0219717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02−7/12
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO(multiple-input and multiple-output)受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置であって、
前記第1送信系統の第1送信無線処理手段に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第2送信系統の第2送信無線処理手段に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信無線処理手段に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理手段によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理手段によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、
前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理手段の入力段に配設された遅延調整手段に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する、制御手段
を具備する制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1位相値を正負反転させた第1反転位相値から前記第2位相値を正負反転させた第2反転位相値を減算することにより、前記第1補正値を算出する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記MIMO送信装置は、第3送信無線処理手段を含む第3送信系統をさらに具備し、
前記遅延調整手段は、設定された第2遅延量設定値に基づいて、前記第3送信無線処理手段に入力される送信側クロック伝達信号の遅延量をさらに調整し、
前記制御手段は、前記第3送信無線処理手段に対して、第4送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第4送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2クロックリカバリ処理手段によって抽出された位相値である第3位相値に関する情報をさらに取得し、且つ、
前記取得した第2位相値に関する情報及び前記取得した第3位相値に関する情報に基づいて、前記遅延調整手段に設定された第2遅延量設定値を補正するための第2補正値を算出する、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第3位相値を正負反転させた第3反転位相値から前記第2位相値を正負反転させた第2反転位相値を減算することにより、前記第2補正値を算出する、
請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1受信系統は、第1チャネルに対応し且つ前記第1チャネルと独立したチャネルである第2チャネルに対応せず、
前記第2受信系統は、前記第1チャネル及び前記第2チャネルの両方に対応し、
前記第1送信側クロック伝達信号及び前記第3送信側クロック伝達信号は、前記第1チャネルを用いて送信され、
前記第2送信側クロック伝達信号は、前記第2チャネルを用いて送信される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1受信系統は、第1チャネルに対応し且つ前記第1チャネルと独立したチャネルである第2チャネルに対応せず、
前記第2受信系統は、前記第1チャネル及び前記第2チャネルの両方に対応し、
前記第1送信側クロック伝達信号及び前記第3送信側クロック伝達信号は、前記第1チャネルを用いて送信され、
前記第2送信側クロック伝達信号及び前記第4送信側クロック伝達信号は、前記第2チャネルを用いて送信される、
請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1チャネルは、第1周波数であり、
前記第2チャネルは、前記第1周波数との干渉レベルが所定レベルより小さい第2周波数である、
請求項5又は6記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1チャネルは、第1偏波であり、
前記第2チャネルは、前記第1偏波との干渉レベルが所定レベルより小さい第2偏波である、
請求項5又は6記載の制御装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の制御装置を具備するMIMO送信装置。
【請求項10】
受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置によって実行される遅延差調整方法であって、
前記第1送信系統の第1送信無線処理手段に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第2送信系統の第2送信無線処理手段に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信無線処理手段に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理手段によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理手段によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、
前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理手段の入力段に配設された遅延調整手段に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する、
遅延差調整方法。
【請求項11】
受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置に、
前記第1送信系統の第1送信無線処理手段に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第2送信系統の第2送信無線処理手段に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信無線処理手段に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理手段によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理手段によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、
前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理手段の入力段に配設された遅延調整手段に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する、
処理を、実行させる遅延差調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、遅延差調整方法、及び遅延差調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルバックホール及びモバイルフロントホール等の大容量化技術として、MIMO(multiple-input and multiple-output)伝送技術が注目されている。MIMO伝送では、受信精度の劣化を防ぐために、複数の送信アンテナにおける送信タイミングを揃えることが望まれる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/069798号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、MIMO送信装置の複数の送信系統のそれぞれには、アナログディジタル変換器(DAC:digital to analog converter)を含む送信無線処理部が配設される。送信無線処理部は、通常、アナログ回路で構成されている。アナログ回路には個体差があるため、MIMO送信装置の複数の送信無線処理部をそれぞれ通過する複数の送信信号には、互いに異なる遅延が生じる。このため、関連技術では、MIMO送信装置における複数の送信系統の遅延量を揃えることができずに、複数の送信アンテナにおける送信タイミングが揃えられていない可能性がある。この結果として、MIMO伝送における受信精度が劣化する可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、MIMO伝送における受信精度を向上させることができる、制御装置、遅延差調整方法、及び遅延差調整プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様にかかる制御装置は、受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO(multiple-input and multiple-output)受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置であって、前記第1送信系統の第1送信無線処理部に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第2送信系統の第2送信無線処理部に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第1送信無線処理部に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理部の入力段に配設された遅延調整部に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する、制御部を具備する。
【0007】
第2の態様にかかる遅延差調整方法は、受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置によって実行される遅延差調整方法であって、前記第1送信系統の第1送信無線処理部に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第2送信系統の第2送信無線処理部に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第1送信無線処理部に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理部の入力段に配設された遅延調整部に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する。
【0008】
第3の態様にかかる遅延差調整プログラムは、受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置に、前記第1送信系統の第1送信無線処理部に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第2送信系統の第2送信無線処理部に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第1送信無線処理部に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理部の入力段に配設された遅延調整部に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する、処理を、実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、MIMO伝送における受信精度を向上させることができる、制御装置、遅延差調整方法、及び遅延差調整プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の通信システムの一例を示す図である。
図2】第1実施形態の制御装置を含むMIMO送信装置の一例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態のMIMO受信装置の一例を示すブロック図である。
図4】第3実施形態の制御装置を含むMIMO送信装置の一例を示すブロック図である。
図5】第3実施形態のMIMO受信装置の一例を示すブロック図である。
図6】制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0012】
<第1実施形態>
<通信システムの概要>
図1は、第1実施形態の通信システムの一例を示す図である。図1において通信システム1は、MIMO送信装置10と、MIMO受信装置30とを有している。MIMO送信装置10は、MIMO送信に用いるアンテナ11−1,11−2を有している。アンテナ11−1は、MIMO送信装置10の「第1送信系統」に含まれ、アンテナ11−2は、「第2送信系統」に含まれる。また、MIMO受信装置30は、MIMO受信に用いるアンテナ31−1,31−2を有している。アンテナ31−1は、MIMO受信装置30の「第1受信系統」に含まれ、アンテナ31−2は、「第2受信系統」に含まれる。なお、ここでは、一例として、MIMO送信装置10においてMIMO送信に用いるアンテナの数及びMIMO受信装置30においてMIMO受信に用いるアンテナの数をそれぞれ2つとしているが、アンテナの数は3つ以上であってもよい。
【0013】
MIMO送信装置10は、MIMO受信装置30に向けてデータ信号をMIMO送信する。ただし、MIMO送信装置10の複数の「送信系統」における「遅延量」を調整するために、上記データ信号のMIMO送信の前に、MIMO送信装置10とMIMO受信装置30との間で「キャリブレーション処理」が実行される。この「キャリブレーション処理」によって、第1送信系統の遅延量と第2送信系統の遅延量とが同じ値に近づくように、第2送信系統の遅延量が調整される。
【0014】
<MIMO送信装置の構成例>
図2は、第1実施形態の制御装置を含むMIMO送信装置の一例を示すブロック図である。図2においてMIMO送信装置10は、アンテナ11−1,11−2と、送信無線処理部12−1,12−2と、クロック信号出力部13と、信号処理部14と、アンテナ15と、フィードバック信号受信部16と、制御部(制御装置)17とを有している。アンテナ11−1及び送信無線処理部12−1は、上記の「第1送信系統」に含まれ、アンテナ11−2、送信無線処理部12−2、及び後述する遅延調整処理部14B1は、上記の「第2送信系統」に含まれる。
【0015】
クロック信号出力部13は、送信側クロック信号を出力する。送信無線処理部12−1,12−2と、信号処理部14と、フィードバック信号受信部16と、制御部(制御装置)17とは、クロック信号出力部13から出力された送信側クロック信号に基づいて動作する。
【0016】
信号処理部14は、図2に示すように、クロック伝達信号形成部14Aと、遅延量調整部14Bとを有する。
【0017】
クロック伝達信号形成部14Aは、送信側クロック信号に基づいて「送信側クロック伝達信号」を形成する。「送信側クロック伝達信号」は、送信側のクロックに関する情報を受信側に伝達できる信号であればよい。「送信側クロック伝達信号」は、例えば、送信側クロック信号に基づいて所定データが変調された変調信号でもよいし、又は、送信側クロック信号に基づいて形成された無変調連続波(continuous wave)信号であってもよい。クロック伝達信号形成部14Aは、形成した「送信側クロック伝達信号」を遅延量調整部14Bへ出力する。
【0018】
遅延量調整部14Bは、遅延調整処理部14B1を有する。遅延調整処理部14B1は、上記の通り「第2送信系統」に含まれ、「第2送信系統」の送信無線処理部12−2の入力段に設けられている。遅延調整処理部14B1は、設定された「遅延量設定値(第1遅延量設定値)」に基づいて、送信無線処理部12−2に入力される「送信側クロック伝達信号(第2送信側クロック伝達信号)」の遅延量を調整する。遅延調整処理部14B1は、例えば、複数段を有して段数を切り替え可能なシフトレジスタを有する構成であってもよいし、又は、線形補間回路を有する構成であってもよい。線形補間回路には、Lagrange補間などの一般的な線形補間を実現するデジタル信号処理回路を用いることができる。
【0019】
送信無線処理部12−1,12−2は、入力された信号に対して送信無線処理を施して得られた無線信号を、アンテナ11−1,11−2を介して送信する。送信無線処理部12−1,12−2は、ディジタルアナログ変換器(DAC)12−1A,12−2Aをそれぞれ含んでいる。ディジタルアナログ変換器12−1A,12−2Aは、それぞれアナログ回路で構成されており、互いに個体差が存在する可能性がある。このため、送信無線処理部12−1を通過した信号と送信無線処理部12−2を通過した信号との間には、遅延差が生じる。従って、第1送信系統と第2送信系統との間には、遅延差が生じる。なお、送信無線処理部12−1,12−2には、ディジタルアナログ変換器12−1A,12−2A以外のアナログ回路が含まれていてもよい。
【0020】
フィードバック信号受信部16は、MIMO受信装置30からアンテナ36を介して送信された「フィードバック信号」を、アンテナ15を介して受信して、制御部17へ出力する。この「フィードバック信号」によって、MIMO受信装置30から「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報がフィードバックされる。「第1位相値」は、「第1送信側クロック伝達信号」によって送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する第2受信系統で受信された「第2送信側クロック伝達信号」の位相値である。この「第1位相値」は、後述する第2受信系統のクロックリカバリ処理部(第2クロックリカバリ処理部)によって抽出された位相値である。また、「第2位相値」は、「第1送信側クロック伝達信号」によって送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する第2受信系統で受信された「第3送信側クロック伝達信号」の位相値である。この「第2位相値」は、後述する第2受信系統のクロックリカバリ処理部(第2クロックリカバリ処理部)によって抽出された位相値である。
【0021】
制御部(制御装置)17は、図2に示すように、送信制御部17Aと、取得部17Bと、算出部17Cと、補正部17Dとを有している。
【0022】
送信制御部17Aは、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、「送信側クロック伝達信号(第1送信側クロック伝達信号)」を、送信させる。また、送信制御部17Aは、第2送信系統の送信無線処理部12−2に対して、「送信側クロック伝達信号(第2送信側クロック伝達信号)」を、送信させる。また、送信制御部17Aは、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、「送信側クロック伝達信号(第3送信側クロック伝達信号)」を、送信させる。
【0023】
取得部17Bは、フィードバック信号受信部16から受け取った「フィードバック信号」から、上記の「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報を取得する。
【0024】
算出部17Cは、取得部17Bによって取得された「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B1に設定された「第1遅延量設定値」を補正するための「第1補正値」を算出する。算出部17Cは、例えば、「第1位相値」を正負反転させた「第1反転位相値」から「第2位相値」を正負反転させた「第2反転位相値」を減算することにより、「第1補正値」を算出する。
【0025】
補正部17Dは、算出部17Cによって算出された「第1補正値」を用いて、遅延調整処理部14B1の「第1遅延量設定値」を補正して、新たな「第1遅延量設定値」を遅延調整処理部14B1に設定する。この補正部17Dによる補正処理によって、理想的には、第1送信系統の遅延量と第2送信系統の遅延量とを一致させることができる。
【0026】
<MIMO受信装置の構成例>
図3は、第1実施形態のMIMO受信装置の一例を示すブロック図である。図3においてMIMO受信装置30は、アンテナ31−1,31−2と、受信無線処理部32−1,32−2と、信号処理部33と、クロック形成部34と、フィードバック信号送信部35と、アンテナ36とを有する。アンテナ31−1、受信無線処理部32−1、及び後述するクロックリカバリ処理部33A−1は、上記の「第1受信系統」に含まれる。また、アンテナ31−2、受信無線処理部32−2、後述するクロックリカバリ処理部33A−2、及び遅延調整処理部33B1は、上記の「第2受信系統」に含まれる。
【0027】
受信無線処理部32−1,32−2は、アンテナ31−1,31−2を介して受信した信号に対して受信無線処理を施して得られた、受信無線処理後の信号を信号処理部33へ出力する。受信無線処理部32−1,32−2は、アナログディジタル変換器(ADC)32−1A,32−2Aをそれぞれ含んでいる。アナログディジタル変換器32−1A,32−2Aは、それぞれアナログ回路で構成されており、互いに個体差が存在する可能性がある。このため、アナログディジタル変換器32−1Aを通過した信号とアナログディジタル変換器32−2Aを通過した信号との間には、遅延差が生じる。従って、第1受信系統と第2受信系統との間には、遅延差が生じる。なお、受信無線処理部32−1,32−2には、アナログディジタル変換器32−1A,32−2A以外のアナログ回路が含まれていてもよい。
【0028】
クロック形成部34は、後述するクロックリカバリ処理部33A−1から「第1送信側クロック伝達信号」の位相値を受け取り、該「第1送信側クロック伝達信号」の位相値を正負反転させた反転位相値に基づいて、受信側クロック信号を形成する。該形成された受信側クロック信号は、上記の送信側クロック信号と同期したものとなる。この送信側クロック信号に同期した受信側クロック信号は、受信無線処理部32−1,32−2と、信号処理部33と、フィードバック信号送信部35とに出力される。クロック形成部34は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路を含んでいる。
【0029】
信号処理部33は、図3に示すように、クロックリカバリ(CLKR)処理部33A−1,33A−2と、遅延量調整部33Bと、信号分離部33Cとを有する。
【0030】
クロックリカバリ処理部33A−1は、「第1送信系統」から送信された「第1送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−1及び受信無線処理部32−1を介して受け取る。そして、クロックリカバリ処理部33A−1は、受け取った「第1送信側クロック伝達信号」の位相値を抽出する。この位相値の抽出には、「第1送信側クロック伝達信号」のI信号又はQ信号のアイパターンを用いることができる。そして、クロックリカバリ処理部33A−1は、抽出した「第1送信側クロック伝達信号」の位相値をクロック形成部34へ出力する。これにより、上記の通り、クロック形成部34から、送信側クロック信号に同期した受信側クロック信号が出力され、クロックリカバリ処理部33A−1は、この同期した受信側クロック信号に基づいて動作(つまり、「同期動作」)することになる。ここで、送信側クロック信号に同期した受信側クロック信号を受け取る、受信無線処理部32−1,32−2、信号処理部33、及びフィードバック信号送信部35も「同期動作」することになる。
【0031】
「同期動作」しているクロックリカバリ処理部33A−2は、「第2送信系統」から送信された「第2送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。そして、クロックリカバリ処理部33A−2は、受け取った「第2送信側クロック伝達信号」の位相値(以下では、「第1位相値」と呼ぶ)を抽出する。そして、クロックリカバリ処理部33A−2は、抽出した「第1位相値」を、フィードバック信号送信部35へ出力する。この「第1位相値」に関する情報は、フィードバック信号送信部35によってMIMO送信装置10へ送信されることになる。
【0032】
「同期動作」しているクロックリカバリ処理部33A−2は、「第1送信系統」から送信された「第3送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。そして、クロックリカバリ処理部33A−2は、受け取った「第3送信側クロック伝達信号」の位相値(以下では、「第2位相値」と呼ぶ)を抽出する。そして、クロックリカバリ処理部33A−2は、抽出した「第2位相値」を、フィードバック信号送信部35及び後述する遅延調整処理部33B1へ出力する。この「第2位相値」に関する情報は、フィードバック信号送信部35によってMIMO送信装置10へ送信されることになる。
【0033】
遅延量調整部33Bは、遅延調整処理部33B1を有する。遅延調整処理部33B1は、「遅延量設定値」に基づいて、入力された信号を、遅延量を調整して信号分離部33Cへ出力する。遅延調整処理部33B1は、クロックリカバリ処理部33A−2から受け取る「第2位相値」を正負反転させた「第2反転位相値」を、「遅延量設定値」として用いる。
【0034】
信号分離部33Cは、MIMO送信装置10の複数の送信系統からMIMO送信され且つ複数の受信系統で受信されたデータ信号を分離する。
【0035】
フィードバック信号送信部35は、上記の「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報を、フィードバック信号としてアンテナ36を介してMIMO送信装置10へ送信する。
【0036】
<通信システムの動作例>
以上の構成を有する通信システム1の処理動作の一例について説明する。ここでは、「キャリブレーション処理」における処理動作について説明する。
【0037】
まず、送信無線処理部12−1における遅延量をΔS1とし、送信無線処理部12−2における遅延量をΔS2とする。すなわち、「キャリブレーション処理」が行われる前では、第1送信系統における遅延量は、遅延量ΔS1であり、第2送信系統における遅延量は、遅延量ΔS2である。また、受信無線処理部32−1における遅延量をΔt1とし、受信無線処理部32−2における遅延量をΔt2とする。また、空間伝搬の複数のパス間の遅延差は無いと見なせることを前提としている。
【0038】
MIMO送信装置10の制御部(制御装置)17は、これに限定されるものではないが、「キャリブレーション処理」の開始時に、遅延調整処理部14B1の遅延量設定値をリセットする、つまり、遅延調整処理部14B1の遅延量設定値をゼロに設定する。
【0039】
そして、MIMO送信装置10の制御部(制御装置)17は、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、「第1送信側クロック伝達信号」を、送信させる。
【0040】
そして、MIMO受信装置30のクロックリカバリ処理部33A−1は、「第1送信系統」から送信された「第1送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−1及び受信無線処理部32−1を介して受け取る。「第1送信系統」から送信された「第1送信側クロック伝達信号」は、遅延量「ΔS1+Δt1」だけ遅延されて、クロックリカバリ処理部33A−1によって受け取られることになる。このため、クロックリカバリ処理部33A−1は、「第1送信側クロック伝達信号」の位相値として「ΔS1+Δt1」を抽出する。
【0041】
そして、クロック形成部34は、位相値「ΔS1+Δt1」を受け取り、反転位相値「−(ΔS1+Δt1)」に基づいて、受信側クロック信号を形成する。上記の通り、該形成された受信側クロック信号は、上記の送信側クロック信号と同期したものとなる。
【0042】
そして、MIMO送信装置10の制御部(制御装置)17は、第2送信系統の送信無線処理部12−2に対して、「第2送信側クロック伝達信号」を、送信させる。
【0043】
そして、「同期動作」しているMIMO受信装置30のクロックリカバリ処理部33A−2は、「第2送信系統」から送信された「第2送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。クロックリカバリ処理部33A−2が「同期動作」している。このため、「第2送信系統」から送信された「第2送信側クロック伝達信号」は、遅延量「(ΔS2+Δt2)−(ΔS1+Δt1)」だけ遅延されて、クロックリカバリ処理部33A−2によって受け取られることになる。このため、クロックリカバリ処理部33A−2は、「第2送信側クロック伝達信号」の「第1位相値」として「(ΔS2+Δt2)−(ΔS1+Δt1)」を抽出する。
【0044】
そして、フィードバック信号送信部35は、「第1位相値」に関する情報をMIMO送信装置10へ送信する。この送信された「第1位相値」に関する情報は、アンテナ15及びフィードバック信号受信部16を介して、制御部17によって取得される。
【0045】
そして、MIMO送信装置10の制御部(制御装置)17は、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、「第3送信側クロック伝達信号」を、送信させる。
【0046】
そして、「同期動作」しているMIMO受信装置30のクロックリカバリ処理部33A−2は、「第1送信系統」から送信された「第3送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。クロックリカバリ処理部33A−2が「同期動作」している。このため、「第1送信系統」から送信された「第3送信側クロック伝達信号」は、遅延量「(Δt2−Δt1)(=(ΔS1+Δt2)−(ΔS1+Δt1))」だけ遅延されて、クロックリカバリ処理部33A−2によって受け取られることになる。このため、クロックリカバリ処理部33A−2は、「第3送信側クロック伝達信号」の「第2位相値」として「Δt2−Δt1」を抽出する。
【0047】
そして、フィードバック信号送信部35は、「第2位相値」に関する情報をMIMO送信装置10へ送信する。この送信された「第2位相値」に関する情報は、アンテナ15及びフィードバック信号受信部16を介して、制御部17によって取得される。また、遅延調整処理部33B1は、クロックリカバリ処理部33A−2から受け取る「第2位相値」を正負反転させた「第2反転位相値」を、「遅延量設定値」として用いる。これにより、第1受信系統の遅延量と第2受信系統の遅延量とを一致させることができる。
【0048】
そして、MIMO送信装置10の制御部(制御装置)17は、取得された「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B1に設定された「第1遅延量設定値」を補正するための「第1補正値」を算出する。具体的には、算出部17Cは、「第1位相値」を正負反転させた「第1反転位相値」から「第2位相値」を正負反転させた「第2反転位相値」を減算することにより、「第1補正値」を算出する。上記の第1位相値「(ΔS2+Δt2)−(ΔS1+Δt1)」及び第2位相値「Δt2−Δt1」を用いると、「第1補正値」は、「−(ΔS2−ΔS1)」となる。
【0049】
そして、MIMO送信装置10の制御部(制御装置)17は、算出した「第1補正値」を用いて、遅延調整処理部14B1の「第1遅延量設定値」を補正して、新たな「第1遅延量設定値」を遅延調整処理部14B1に設定する。上記のように「キャリブレーション処理」の開始時に遅延調整処理部14B1の遅延量設定値がリセットされている場合には、新たな「第1遅延量設定値」は「第1補正値」そのものとなる。すなわち、この場合には、新たな第1遅延量設定値は、「−(ΔS2−ΔS1)」となる。
【0050】
ここで、「キャリブレーション処理」後の第2送信系統の遅延量は、新たな第1遅延量設定値「−(ΔS2−ΔS1)」と送信無線処理部12−1の遅延量ΔS2とを足したものとなり、つまり、遅延量「ΔS1」となる。すなわち、「キャリブレーション処理」によって、第2送信系統の遅延量を、第1送信系統の遅延量と一致させることができている。
【0051】
以上のように第1実施形態によれば、制御部(制御装置)17は、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、第1送信側クロック伝達信号を送信させる。そして、制御部(制御装置)17は、第2送信系統の送信無線処理部12−2に対して、第2送信側クロック伝達信号を送信させる。そして、制御部(制御装置)17は、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、第3送信側クロック伝達信号を送信させる。そして、制御部(制御装置)17は、「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報を取得する。「第1位相値」は、「第1送信側クロック伝達信号」によって送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する第2受信系統で受信された「第2送信側クロック伝達信号」の位相値である。この「第1位相値」は、第2受信系統のクロックリカバリ処理部33A−2によって抽出された位相値である。また、「第2位相値」は、「第1送信側クロック伝達信号」によって送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する第2受信系統で受信された「第3送信側クロック伝達信号」の位相値である。この「第2位相値」は、後述する第2受信系統のクロックリカバリ処理部33A−2によって抽出された位相値である。そして、制御部(制御装置)17は、取得された「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B1に設定された「第1遅延量設定値」を補正するための「第1補正値」を算出する。
【0052】
この制御部(制御装置)17の構成により、MIMO送信装置10の第1送信系統の遅延量と第2送信系統の遅延量とを一致させることができる。これにより、MIMO送信装置10における複数の送信系統の送信タイミングを揃えることができるので、MIMO伝送における受信精度を向上させることができる。
【0053】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1チャネル及び該第1チャネル独立した第2チャネルを用いる実施形態に関する。第2実施形態の通信システム、MIMO送信装置、及びMIMO受信装置の基本構成は、第1実施形態と同じなので、図1,2,3を参照して説明する。以下では、特に、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0054】
<通信システムの概要>
第2実施形態の通信システム1において、「第1受信系統」は、「第1チャネル」に対応し且つ第1チャネルと独立したチャネルである「第2チャネル」に対応していない。また、「第2受信系統」は、第1チャネル及び第2チャネルの両方に対応している。そして、「第1送信側クロック伝達信号」及び「第3送信側クロック伝達信号」は、「第1チャネル」を用いて送信される。また、「第2送信側クロック伝達信号」は、「第2チャネル」を用いて送信される。ここで、「第1チャネル」は、第1周波数であり、「第2チャネル」は、第1周波数との干渉レベルが所定レベルより小さい第2周波数であってもよい。又は、「第1チャネル」は、第1偏波であり、「第2チャネル」は、第1偏波との干渉レベルが所定レベルより小さい第2偏波であってもよい。
【0055】
<MIMO送信装置の構成例>
第2実施形態のMIMO送信装置10の制御部(制御装置)17は、「第1送信期間」において、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、送信側クロック伝達信号を、「第1チャネル」を用いて送信させる。「第1送信期間」において送信される送信側クロック伝達信号は、第1実施形態の第1送信側クロック伝達信号に対応する。
【0056】
そして、制御部(制御装置)17は、「第2送信期間」において、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、送信側クロック伝達信号を、「第1チャネル」を用いて再度送信させる。制御部(制御装置)17は、「第2送信期間」において、第2送信系統の送信無線処理部12−2に対して、送信側クロック伝達信号を送信させる。すなわち、「第2送信期間」において、第1チャネルを用いた送信側クロック伝達信号の送信と、第2チャネルを用いた送信側クロック伝達信号の送信とが、並行して実行される。上記の通り、第1チャネルと第2チャネルとは独立しているので、両チャネルで同じ期間に送信側クロック伝達信号が送信されても干渉が生じないと見なすことができる。「第2送信期間」は、「第1送信期間」よりも後の期間である。「第2送信期間」において第2チャネルを用いて送信される送信側クロック伝達信号は、第1実施形態の第2送信側クロック伝達信号に対応する。
【0057】
そして、制御部(制御装置)17は、「第3送信期間」において、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、送信側クロック伝達信号を、「第1チャネル」を用いて再度送信させる。「第3送信期間」は、「第2送信期間」よりも後の期間である。「第3送信期間」において第1チャネルを用いて送信される送信側クロック伝達信号は、第1実施形態の第3送信側クロック伝達信号としても用いられる。
【0058】
以上のように第2実施形態のMIMO送信装置10は、各送信期間において、第1送信系統から第1チャネルを用いて送信側クロック伝達信号を送信し、第2送信期間において、第2送信系統から第2チャネルを用いて送信側クロック伝達信号を送信する。
【0059】
そして、制御部(制御装置)17は、第1実施形態と同様に、取得された「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B1に設定された「第1遅延量設定値」を補正するための「第1補正値」を算出する。そして、制御部(制御装置)17は、第1実施形態と同様に、算出された「第1補正値」を用いて、遅延調整処理部14B1の「第1遅延量設定値」を補正して、新たな「第1遅延量設定値」を遅延調整処理部14B1に設定する。
【0060】
<MIMO受信装置の構成例>
上記の通り、第2実施形態のMIMO受信装置30の第1受信系統は、「第1チャネル」に対応し且つ第1チャネルと独立したチャネルである「第2チャネル」に対応していない。このため、クロックリカバリ処理部33A−1は、上記の各送信期間において「第1送信系統」から送信された送信側クロック伝達信号を、アンテナ31−1及び受信無線処理部32−1を介して受け取る。クロックリカバリ処理部33A−1は、各送信期間において送信された第1送信系統から送信側クロック伝達信号の位相値を抽出して、抽出した位相値をクロック形成部34へ出力する。これにより、送信側クロック信号と受信側クロック信号との同期を高精度に継続的に維持することができる。
【0061】
また、「同期動作」しているクロックリカバリ処理部33A−2は、「第2送信期間」において「第2送信系統」から第2チャネルを用いて送信された送信側クロック伝達信号を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。「第2送信期間」において第2チャネルを用いて送信される送信側クロック伝達信号は、第1実施形態の第2送信側クロック伝達信号に対応する。クロックリカバリ処理部33A−2は、第1実施形態と同様に、「第1位相値」を抽出する。
【0062】
また、「同期動作」しているクロックリカバリ処理部33A−2は、「第3送信期間」において「第1送信系統」から第1チャネルを用いて送信された送信側クロック伝達信号を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。「第3送信期間」において第1チャネルを用いて送信される送信側クロック伝達信号は、第1実施形態の第3送信側クロック伝達信号としても用いられる。クロックリカバリ処理部33A−2は、第1実施形態と同様に、「第2位相値」を抽出する。
【0063】
以上のように第2実施形態によれば、通信システム1において「第1受信系統」は、「第1チャネル」に対応し且つ第1チャネルと独立したチャネルである「第2チャネル」に対応していない。また、「第2受信系統」は、第1チャネル及び第2チャネルの両方に対応している。そして、制御部(制御装置)17は、「第1送信側クロック伝達信号」及び「第3送信側クロック伝達信号」を、「第1チャネル」を用いて送信する。また、制御部(制御装置)17は、「第2送信側クロック伝達信号」を、「第2チャネル」を用いて送信する。
【0064】
この制御部(制御装置)17の構成により、第1送信系統から送信される送信側クロック伝達信号と第2送信系統から送信される送信側クロック伝達信号との干渉を低減することができる。
【0065】
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態と異なり、MIMO送信装置のMIMO送信に用いるアンテナが3つであり、MIMO受信装置のMIMO受信に用いられるアンテナが3つであるケースに関する実施形態である。以下では、主に、第1実施形態との差分について説明する。
【0066】
<MIMO送信装置の構成例>
図4は、第3実施形態の制御装置を含むMIMO送信装置の一例を示すブロック図である。図4においてMIMO送信装置50は、アンテナ11−3と、送信無線処理部12−3と、信号処理部51と、制御部(制御装置)52とを有している。信号処理部51の遅延量調整部14Bは、遅延調整処理部14B2を有している。アンテナ11−3、送信無線処理部12−3、及び遅延調整処理部14B2は、「第3送信系統」に含まれる。
【0067】
遅延調整処理部14B2は、「第3送信系統」の送信無線処理部12−3の入力段に設けられている。遅延調整処理部14B2は、「遅延量設定値(第2遅延量設定値)」に基づいて、送信無線処理部12−3に入力される「送信側クロック伝達信号(第4送信側クロック伝達信号)」の遅延量を調整する。
【0068】
送信無線処理部12−3は、入力された信号に対して送信無線処理を施して得られた無線信号を、アンテナ11−3を介して送信する。送信無線処理部12−3は、ディジタルアナログ変換器(DAC)12−3Aを含んでいる。なお、送信無線処理部12−3には、ディジタルアナログ変換器12−3A以外のアナログ回路が含まれていてもよい。
【0069】
フィードバック信号受信部16は、第1実施形態と同様に、後述するMIMO受信装置70からアンテナ36を介して送信された「フィードバック信号」を、アンテナ15を介して受信して、制御部52へ出力する。この「フィードバック信号」によって、MIMO受信装置70から「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報の他に、「第3位相値」に関する情報がフィードバックされる。この「第3位相値」は、「第1送信側クロック伝達信号」によって送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する第2受信系統で受信された「第4送信側クロック伝達信号」の位相値である。この「第3位相値」は、第2受信系統のクロックリカバリ処理部33A−2によって抽出された位相値である。
【0070】
制御部(制御装置)52は、図4に示すように、送信制御部52Aと、取得部52Bと、算出部52Cと、補正部52Dとを有している。
【0071】
送信制御部52Aは、第1実施形態の送信制御部17Aと同様に、第1送信側クロック伝達信号、第2送信側クロック伝達信号、及び第3送信側クロック伝達信号の送信制御を実行する。送信制御部52Aは、さらに、第3送信系統の送信無線処理部12−3に対して、「送信側クロック伝達信号(第4送信側クロック伝達信号)」を、送信させる。
【0072】
取得部52Bは、第1実施形態の取得部17Bと同様に、フィードバック信号受信部16から受け取った「フィードバック信号」から、上記の「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報を取得する。取得部52Bは、さらに、フィードバック信号受信部16から受け取った「フィードバック信号」から、上記の「第3位相値」に関する情報を取得する。
【0073】
算出部52Cは、第1実施形態の算出部17Cと同様に、取得部52Bによって取得された「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B1に設定された「第1遅延量設定値」を補正するための「第1補正値」を算出する。算出部52Cは、さらに、取得部52Bによって取得された「第2位相値」及び「第3位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B2に設定された「第2遅延量設定値」を補正するための「第2補正値」を算出する。算出部52Cは、例えば、「第3位相値」を正負反転させた「第3反転位相値」から「第2位相値」を正負反転させた「第2反転位相値」を減算することにより、「第2補正値」を算出する。
【0074】
補正部52Dは、第1実施形態の補正部17Dと同様に、算出部52Cによって算出された「第1補正値」を用いて、遅延調整処理部14B1の「第1遅延量設定値」を補正して、新たな「第1遅延量設定値」を遅延調整処理部14B1に設定する。補正部52Dは、さらに、算出部52Cによって算出された「第2補正値」を用いて、遅延調整処理部14B2の「第2遅延量設定値」を補正して、新たな「第2遅延量設定値」を遅延調整処理部14B2に設定する。この補正部52Dによる補正処理によって、理想的には、第1送信系統の遅延量と第2送信系統の遅延量と第3送信系統の遅延量とを一致させることができる。
【0075】
<MIMO受信装置の構成例>
図5は、第3実施形態のMIMO受信装置の一例を示すブロック図である。図5においてMIMO受信装置70は、アンテナ31−3と、受信無線処理部32−3と、信号処理部71とを有している。アンテナ31−3、受信無線処理部32−3、後述するクロックリカバリ処理部33A−3及び遅延調整処理部33B2は、「第3受信系統」に含まれる。
【0076】
受信無線処理部32−3は、アンテナ31−3を介して受信した信号に対して受信無線処理を施して得られた、受信無線処理後の信号を信号処理部71へ出力する。受信無線処理部32−3は、アナログディジタル変換器(ADC)32−3Aを含んでいる。なお、受信無線処理部32−3には、アナログディジタル変換器32−3A以外のアナログ回路が含まれていてもよい。
【0077】
信号処理部71は、クロックリカバリ処理部33A−3を有している。また、信号処理部71の遅延量調整部33Bは、遅延調整処理部33B2を有している。
【0078】
第3実施形態の「同期動作」しているクロックリカバリ処理部33A−2は、「第3送信系統」から送信された「第4送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。そして、クロックリカバリ処理部33A−2は、受け取った「第4送信側クロック伝達信号」の位相値(上記の「第3位相値」)を抽出する。そして、クロックリカバリ処理部33A−2は、抽出した「第3位相値」を、フィードバック信号送信部35へ出力する。この「第3位相値」に関する情報は、フィードバック信号送信部35によってMIMO送信装置50へ送信されることになる。
【0079】
「同期動作」しているクロックリカバリ処理部33A−3は、「第1送信系統」から送信された「第3送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−3及び受信無線処理部32−3を介して受け取る。そして、クロックリカバリ処理部33A−3は、受け取った「第3送信側クロック伝達信号」の位相値(以下では、「第4位相値」と呼ぶ)を抽出する。そして、クロックリカバリ処理部33A−3は、抽出した「第4位相値」を、遅延調整処理部33B2へ出力する。
【0080】
遅延調整処理部33B2は、「遅延量設定値」に基づいて、入力された信号を、遅延量を調整して信号分離部33Cへ出力する。遅延調整処理部33B2は、クロックリカバリ処理部33A−3から受け取る「第4位相値」を正負反転させた「第4反転位相値」を、「遅延量設定値」として用いる。
【0081】
第3実施形態のフィードバック信号送信部35は、第1実施形態と同様に、上記の「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報を、フィードバック信号としてアンテナ36を介してMIMO送信装置50へ送信する。第3実施形態のフィードバック信号送信部35は、さらに、上記の「第3位相値」に関する情報を、フィードバック信号としてアンテナ36を介してMIMO送信装置50へ送信する。
【0082】
<通信システムの動作例>
以上の構成を有するMIMO送信装置50及びMIMO受信装置70を含む通信システムの処理動作の一例について説明する。ここでは、「キャリブレーション処理」における処理動作について説明する。以下では、主に、第1実施形態との差分について説明する。
【0083】
まず、送信無線処理部12−3における遅延量をΔS3とする。すなわち、「キャリブレーション処理」が行われる前では、第3送信系統における遅延量は、遅延量ΔS3である。また、受信無線処理部32−3における遅延量をΔt3とする。
【0084】
第3実施形態の通信システムにおいて第1受信系統の遅延量と第2受信系統の遅延量とを一致させるまでの処理は、第1実施形態と同様である。
【0085】
「同期動作」しているクロックリカバリ処理部33A−2は、「第3送信系統」から送信された「第4送信側クロック伝達信号」を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。クロックリカバリ処理部33A−2が「同期動作」している。このため、「第3送信系統」から送信された「第4送信側クロック伝達信号」は、遅延量「(ΔS3+Δt2)−(ΔS1+Δt1)」だけ遅延されて、クロックリカバリ処理部33A−2によって受け取られることになる。このため、クロックリカバリ処理部33A−2は、「第4送信側クロック伝達信号」の「第3位相値」として「(ΔS3+Δt2)−(ΔS1+Δt1)」を抽出する。
【0086】
そして、フィードバック信号送信部35は、「第3位相値」に関する情報をMIMO送信装置50へ送信する。この送信された「第3位相値」に関する情報は、アンテナ15及びフィードバック信号受信部16を介して、制御部52によって取得される。
【0087】
そして、MIMO送信装置50の制御部52は、取得された「第2位相値」及び「第3位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B2に設定された「第2遅延量設定値」を補正するための「第2補正値」を算出する。具体的には、制御部52は、「第3位相値」を正負反転させた「第3反転位相値」から「第2位相値」を正負反転させた「第2反転位相値」を減算することにより、「第2補正値」を算出する。上記の第2位相値「Δt2−Δt1」及び第3位相値「(ΔS3+Δt2)−(ΔS1+Δt1)」を用いると、「第2補正値」は、「−(ΔS3−ΔS1)」となる。
【0088】
そして、制御部52は、算出した「第2補正値」を用いて、遅延調整処理部14B2の「第2遅延量設定値」を補正して、新たな「第2遅延量設定値」を遅延調整処理部14B2に設定する。上記のように「キャリブレーション処理」の開始時に遅延調整処理部14B2の遅延量設定値がリセットされている場合には、新たな「第2遅延量設定値」は「第2補正値」そのものとなる。すなわち、この場合には、新たな第2遅延量設定値は、「−(ΔS3−ΔS1)」となる。
【0089】
ここで、「キャリブレーション処理」後の第3送信系統の遅延量は、新たな第2遅延量設定値「−(ΔS3−ΔS1)」と送信無線処理部12−3の遅延量ΔS3とを足したものとなり、つまり、遅延量「ΔS1」となる。すなわち、「キャリブレーション処理」によって、第3送信系統の遅延量を、第1送信系統の遅延量及び第2送信系統の遅延量と一致させることができている。
【0090】
以上のように第3実施形態によれば、制御部(制御装置)52は、第3送信系統の送信無線処理部12−3に対して、第4送信側クロック伝達信号を送信させる。そして、制御部(制御装置)52は、「第3位相値」に関する情報を取得する。「第3位相値」は、「第1送信側クロック伝達信号」によって送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する第2受信系統で受信された「第4送信側クロック伝達信号」の位相値である。この「第3位相値」は、第2受信系統のクロックリカバリ処理部33A−2によって抽出された位相値である。そして、制御部(制御装置)52は、取得された「第2位相値」及び「第3位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B2に設定された「第2遅延量設定値」を補正するための「第2補正値」を算出する。
【0091】
この制御部(制御装置)52の構成により、MIMO送信装置50の第1送信系統の遅延量と第2送信系統の遅延量と第3送信系統の遅延量とを一致させることができる。これにより、MIMO送信装置50における複数の送信系統の送信タイミングを揃えることができるので、MIMO伝送における受信精度を向上させることができる。
【0092】
<第4実施形態>
第4実施形態は、第2実施形態と同様に、第1チャネル及び該第1チャネル独立した第2チャネルを用いる実施形態に関する。第4実施形態の通信システム、MIMO送信装置、及びMIMO受信装置の基本構成は、第3実施形態と同じなので、図4,5を参照して説明する。以下では、特に、第2実施形態及び第3実施形態と異なる点について説明する。
【0093】
<MIMO送信装置の構成例>
第4実施形態のMIMO送信装置50の制御部(制御装置)52は、第2実施形態の制御部(制御装置)17と同様に、「第1送信期間」、「第2送信期間」、「第3送信期間」にて、送信側クロック伝達信号の送信制御処理を実行する。
【0094】
第4実施形態の制御部(制御装置)52は、「第4送信期間」にて、第1送信系統の送信無線処理部12−1に対して、送信側クロック伝達信号を、「第1チャネル」を用いて再度送信させる。第4実施形態の制御部(制御装置)52は、「第4送信期間」にて、第3送信系統の送信無線処理部12−3に対して、送信側クロック伝達信号を「第2チャネル」を用いて送信させる。「第4送信期間」は、「第1送信期間」よりも後であればよく、「第2送信期間」及び「第3送信期間」との順番は特に限定されるものではない。「第4送信期間」にて第2チャネルを用いて送信される送信側クロック伝達信号は、第3実施形態の第4送信側クロック伝達信号に対応する。
【0095】
以上のように第4実施形態のMIMO送信装置50は、各送信期間において、第1送信系統から第1チャネルを用いて送信側クロック伝達信号を送信し、第2送信期間において、第2送信系統から第2チャネルを用いて送信側クロック伝達信号を送信する。また、第4実施形態のMIMO送信装置50は、第4送信期間において、第3送信系統から第2チャネルを用いて送信側クロック伝達信号を送信する。
【0096】
そして、制御部(制御装置)52は、取得された「第1位相値」及び「第2位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B1に設定された「第1遅延量設定値」を補正するための「第1補正値」を算出する。そして、制御部(制御装置)52は、算出された「第1補正値」を用いて、遅延調整処理部14B1の「第1遅延量設定値」を補正して、新たな「第1遅延量設定値」を遅延調整処理部14B1に設定する。また、制御部(制御装置)52は、取得された「第2位相値」及び「第3位相値」に関する情報に基づいて、遅延調整処理部14B2に設定された「第2遅延量設定値」を補正するための「第2補正値」を算出する。そして、制御部(制御装置)52は、算出された「第2補正値」を用いて、遅延調整処理部14B2の「第2遅延量設定値」を補正して、新たな「第2遅延量設定値」を遅延調整処理部14B2に設定する。
【0097】
<MIMO受信装置の構成例>
第4実施形態のMIMO受信装置70の第3受信系統は、第1チャネル及び第2チャネルの両方に対応している。第4実施形態のMIMO受信装置70における、各送信期間において「第1送信系統」から送信された送信側クロック伝達信号に対する処理は、第2実施形態と同じである。また、「第2送信期間」において「第2送信系統」から第2チャネルを用いて送信された送信側クロック伝達信号に対する、第4実施形態のMIMO受信装置70における処理も、第2実施形態と同じである。また、「第3送信期間」において「第1送信系統」から第1チャネルを用いて送信された送信側クロック伝達信号に対する、第4実施形態のMIMO受信装置70における処理も、第2実施形態と同じである。
【0098】
第4実施形態において、「同期動作」しているクロックリカバリ処理部33A−2は、「第4送信期間」において「第3送信系統」から第2チャネルを用いて送信された送信側クロック伝達信号を、アンテナ31−2及び受信無線処理部32−2を介して受け取る。「第4送信期間」において第2チャネルを用いて送信される送信側クロック伝達信号は、第3実施形態の第4送信側クロック伝達信号に対応する。クロックリカバリ処理部33A−2は、第3実施形態と同様に、「第3位相値」を抽出する。
【0099】
第4実施形態によれば、通信システムにおいて「第1受信系統」は、「第1チャネル」に対応し且つ第1チャネルと独立したチャネルである「第2チャネル」に対応していない。また、「第2受信系統」は、第1チャネル及び第2チャネルの両方に対応している。そして、制御部(制御装置)52は、「第1送信側クロック伝達信号」及び「第3送信側クロック伝達信号」を、「第1チャネル」を用いて送信する。また、制御部(制御装置)52は、「第2送信側クロック伝達信号」及び「第4送信側クロック伝達信号」を、「第2チャネル」を用いて送信する。
【0100】
この制御部(制御装置)52の構成により、第1送信系統から送信される送信側クロック伝達信号、第2送信系統から送信される送信側クロック伝達信号、及び第3送信系統から送信される送信側クロック伝達信号の間の干渉を低減することができる。
【0101】
<他の実施形態>
図6は、制御装置のハードウェア構成例を示す図である。図6において制御装置100は、プロセッサ101と、メモリ102とを有している。第1実施形態から第4実施形態の制御部(制御装置)17,52の送信制御部17A,52Aと、取得部17B,52Bと、算出部17C,52Cと、補正部17D,52Dとは、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されてもよい。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、制御部(制御装置)17,52に供給することができる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によって制御部(制御装置)17,52に供給されてもよい。
【0102】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0103】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0104】
(付記1)
受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO(multiple-input and multiple-output)受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置であって、
前記第1送信系統の第1送信無線処理部に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第2送信系統の第2送信無線処理部に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信無線処理部に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、
前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理部の入力段に配設された遅延調整部に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する、制御部
を具備する制御装置。
(付記2)
前記制御部は、前記第1位相値を正負反転させた第1反転位相値から前記第2位相値を正負反転させた第2反転位相値を減算することにより、前記第1補正値を算出する、
付記1記載の制御装置。
(付記3)
前記MIMO送信装置は、第3送信無線処理部を含む第3送信系統をさらに具備し、
前記遅延調整部は、設定された第2遅延量設定値に基づいて、前記第3送信無線処理部に入力される送信側クロック伝達信号の遅延量をさらに調整し、
前記制御部は、前記第3送信無線処理部に対して、第4送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第4送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第3位相値に関する情報をさらに取得し、且つ、
前記取得した第2位相値に関する情報及び前記取得した第3位相値に関する情報に基づいて、前記遅延調整部に設定された第2遅延量設定値を補正するための第2補正値を算出する、
付記1又は2に記載の制御装置。
(付記4)
前記制御部は、前記第3位相値を正負反転させた第3反転位相値から前記第2位相値を正負反転させた第2反転位相値を減算することにより、前記第2補正値を算出する、
付記3記載の制御装置。
(付記5)
前記第1受信系統は、第1チャネルに対応し且つ前記第1チャネルと独立したチャネルである第2チャネルに対応せず、
前記第2受信系統は、前記第1チャネル及び前記第2チャネルの両方に対応し、
前記第1送信側クロック伝達信号及び前記第3送信側クロック伝達信号は、前記第1チャネルを用いて送信され、
前記第2送信側クロック伝達信号は、前記第2チャネルを用いて送信される、
付記1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
(付記6)
前記第1受信系統は、第1チャネルに対応し且つ前記第1チャネルと独立したチャネルである第2チャネルに対応せず、
前記第2受信系統は、前記第1チャネル及び前記第2チャネルの両方に対応し、
前記第1送信側クロック伝達信号及び前記第3送信側クロック伝達信号は、前記第1チャネルを用いて送信され、
前記第2送信側クロック伝達信号及び前記第4送信側クロック伝達信号は、前記第2チャネルを用いて送信される、
付記3又は4に記載の制御装置。
(付記7)
前記第1チャネルは、第1周波数であり、
前記第2チャネルは、前記第1周波数との干渉レベルが所定レベルより小さい第2周波数である、
付記5又は6記載の制御装置。
(付記8)
前記第1チャネルは、第1偏波であり、
前記第2チャネルは、前記第1偏波との干渉レベルが所定レベルより小さい第2偏波である、
付記5又は6記載の制御装置。
(付記9)
付記1から8のいずれか1項に記載の制御装置を具備するMIMO送信装置。
(付記10)
受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置によって実行される遅延差調整方法であって、
前記第1送信系統の第1送信無線処理部に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第2送信系統の第2送信無線処理部に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信無線処理部に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、
前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理部の入力段に配設された遅延調整部に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する、
遅延差調整方法。
(付記11)
受信側クロック信号に基づいて動作する第1受信系統及び第2受信系統を有するMIMO受信装置との間でMIMO通信可能であり且つ送信側クロック信号に基づいて動作する第1送信系統及び第2送信系統を有するMIMO送信装置における、前記第1送信系統と前記第2送信系統との間の遅延差を調整する、制御装置に、
前記第1送信系統の第1送信無線処理部に対して、第1送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第2送信系統の第2送信無線処理部に対して、第2送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信無線処理部に対して、第3送信側クロック伝達信号を、送信させ、
前記第1送信側クロック伝達信号によって前記送信側クロック信号と同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第2送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第1位相値、及び、前記同期した受信側クロック信号に基づいて動作する前記第2受信系統で受信された前記第3送信側クロック伝達信号の位相値であり且つ前記第2受信系統の第2クロックリカバリ処理部によって抽出された位相値である第2位相値に関する情報を前記MIMO受信装置から取得し、
前記取得した第1位相値及び前記第2位相値に関する情報に基づいて、前記第2送信系統の前記第2送信無線処理部の入力段に配設された遅延調整部に設定された第1遅延量設定値を補正するための第1補正値を算出する、
処理を、実行させる遅延差調整プログラム。
【0105】
この出願は、2018年3月23日に出願された日本出願特願2018−055846を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0106】
1 通信システム
10,50 MIMO送信装置
11−1,11−2,11−3 アンテナ
12−1,12−2,12−3 送信無線処理部
12−1A,12−2A,12−3A ディジタルアナログ変換器(DAC)
13 クロック信号出力部
14,51 信号処理部
14A クロック伝達信号形成部
14B 遅延量調整部
14B1,14B2 遅延調整処理部
15 アンテナ
16 フィードバック信号受信部
17,52 制御部(制御装置)
17A,52A 送信制御部
17B,52B 取得部
17C,52C 算出部
17D,52D 補正部
30,70 MIMO受信装置
31−1,31−2,31−3 アンテナ
32−1,32−2,32−3 受信無線処理部
32−1A,32−2A,32−3A アナログディジタル変換器(ADC)
33,71 信号処理部
33A−1,33A−2,33A−3 クロックリカバリ(CLKR)処理部
33B 遅延量調整部
33B1,33B2 遅延調整処理部
33C 信号分離部
34 クロック形成部
35 フィードバック信号送信部
36 アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6