(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記投入装置が、前記バレル槽内に研磨メディアを投入する研磨メディア供給装置と、前記バレル槽内に砥粒を投入する砥粒供給装置と、前記バレル槽内に被加工物を投入する被加工物供給装置と含む、請求項5又は6に記載のバレル研磨システム。
前記バレル槽着脱装置が、前記バレル槽を前記遠心バレル研磨装置に係止し、又は、前記バレル槽の前記遠心バレル研磨装置への係止を解除するクランプ機構を更に有する、請求項8に記載のバレル研磨システム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。明細書中の「上」、「下」、「左」、「右」、「手前」及び「奥」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0024】
一実施形態に係るバレル研磨システム1は、バレル研磨装置10、洗浄装置20、バレル槽着脱装置30、蓋着脱装置40、メディア供給装置(研磨メディア供給装置)60、砥粒供給装置70、被加工物供給装置80、蓋洗浄装置90及び搬送装置100を備えている(
図5参照)。
図5の実施形態では、バレル研磨システム1は、搬送装置100として、第一コンベアC1及び第二コンベアC2を有している。
【0025】
図1は、一実施形態のバレル研磨装置10を概略的に示す正面図である。このバレル研磨装置10は、水平型の遠心バレル研磨装置である。なお、水平型の遠心バレル装置とは、水平方向に延在する公転軸及び自転軸を有しており、バレル槽を自転軸を中心に自転させながら公転軸を中心に公転させることで、バレル槽内の被加工物を研磨する装置である。
【0026】
図1に示すように、このバレル研磨装置10は、複数のバレル槽11、複数のバレル槽ケース12、一対のタレット13(公転円盤)、公転軸14、駆動機構15、及び、従動機構16を備えている。バレル槽11には、研磨メディア及び被加工物を含むマスが装入されている。一実施形態では、バレル研磨装置10は、4つのバレル槽11を備えている。
図1には、4つのバレル槽11のうち3つのバレル槽11が図示されている。
【0027】
バレル槽11は、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、筒状を有しており、その内部に加工空間を画成している。加工空間の横断面は、多角形状(
図2に示す実施形態では八角形状)を有している。バレル槽11は、バレル槽本体11a、バレル槽蓋11b及び蓋固定機構11cを有している。バレル槽本体11aは、加工空間を画成する容器である。バレル槽本体11aの上部には、マスを投入するための開口部が形成されている。バレル槽本体11aの開口部の近傍には、鍔部11fが設けられている。鍔部11fは、板状を有しており、バレル槽本体11aから側方に張り出している。
【0028】
一実施形態では、バレル槽本体11aの内面及びバレル槽蓋11bの下面にはライナが設けられていてもよい。ライナは、耐摩耗性ゴム(例えばウレタンゴム)で構成されており、バレル槽本体11aの内壁面の摩耗を防ぐ機能を有する。
【0029】
バレル槽蓋11bは、バレル槽本体11aの開口部を覆うように設けられており、この開口部を封止して加工空間を密封している。蓋固定機構11cは、バレル槽蓋11bをバレル槽本体11aに固定する機能を有している。蓋固定機構11cは、係止部材11d及び押圧部材11eを備えている。
【0030】
係止部材11dは、バレル槽本体11aに対してバレル槽蓋11bを係止するための部材である。係止部材11dは、バレル槽本体11aの鍔部11fを係止できるように先端が屈曲した棒状をなしている。係止部材11dの基端は、押圧部材11eに対して回動可能なように押圧部材11eに取り付けられている。バレル槽本体11aとバレル槽蓋11bとの密着性を向上させるために、蓋固定機構11cは、複数の係止部材11dを備えていてもよい。
図2に示す実施形態では、蓋固定機構11cは2本の係止部材11dを有している。
【0031】
押圧部材11eは、係止部材11dを用いてバレル槽蓋11bをバレル槽本体11aに対して押圧するための部材である。押圧部材11eはバレル槽蓋11bに対して上下方向に移動可能なようにバレル槽蓋11bに取り付けられている。例えば、押圧部材11eは、ネジ穴が形成された板状を有しており、当該ネジ穴には上下方向に延在するボルトBTが挿入されている。例えば
図2(A)に示すように、ボルトを回転させることによって押圧部材11eが上昇すると、係止部材11dが押圧部材11eに取り付けられた回転軸を中心に回動し、係止部材11dの先端がバレル槽本体11aの鍔部11f側に近づく方向に移動する。
図2(B)に示すように、押圧部材11eが更に上昇すると、係止部材11dの先端が鍔部11fに係止し、その結果、バレル槽蓋11bがバレル槽本体11aに対して押圧される。これにより、バレル槽蓋11bがバレル槽本体11aに固定される。
【0032】
次に、
図3(A)及び
図3(B)を参照してバレル槽ケース12について説明する。バレル槽ケース12は、バレル槽11を着脱自在に固定するためのものである。バレル槽ケース12は、枠体12a、自転軸12b及び係止機構12cを備えている。
【0033】
枠体12aは、バレル槽11を収容するための部材であり、上面が開放された箱状をなしている。枠体12aの左右側の側面には、水平方向(左右方向)に延びる自転軸12bが取り付けられている。自転軸12bは、後述するタレット13に軸支されている。
【0034】
係止機構12cは、枠体12aの左右側の側面の上部に設けられている。係止機構12cは、枠体12a内に収容されたバレル槽11に押圧力を付与することより、枠体12a内でバレル槽11を固定するものである。係止機構12cは、係止部材12d及び押圧部材12eを備えている。一実施形態では、バレル槽ケース12は、複数の係止機構12cを備えていてもよい。
図3に示す実施形態では、各バレル槽ケース12は2つの係止部材12dを備えている。
【0035】
押圧部材12eは、手前−奥方向(
図3(A)の紙面方向)に沿って延在する軸線を中心に回動可能なアームを有している。このアームの先端には、係止部材12dが取り付けられている。例えば、ボルトを螺回させることにより、係止部材12dのアームを軸線周りに回転させることで、
図3(B)に示すように、バレル槽本体11aの側壁に設けられた係止部11gに対して係止部材12dが当接するように構成されている。このように、係止部材12dが係止部11gに当接することによって、バレル槽11が枠体12a内に固定されることとなる。
【0036】
図1に示すように、複数のバレル槽ケース12の左右側には、一対のタレット13が設けられている。一対のタレット13は円盤形状を有しており、互いに対面するように設けられている。各タレット13の平面中心には貫通孔が形成されており、当該貫通孔には第一軸受13aが設けられている。一対のタレット13の貫通孔には、公転軸14が挿通されており、シャフトホルダ14aに固定されている。公転軸14は、第一軸受13aに対して回転可能なように軸支されている。即ち、この公転軸14は、水平方向に延在するように一対のタレット13に軸支されている。
【0037】
また、各タレット13には、当該タレット13の周方向に沿って複数の第二軸受13bが等間隔で設けられている。これらの第二軸受13bには、複数のバレル槽ケース12の自転軸12bがそれぞれ挿通されており、これら第二軸受13bによって自転軸12bが回転可能に軸支されている。これら自転軸12bは、水平方向に延在するように一対のタレット13に軸支されている。上記の通り、一対のタレット13は、バレル槽ケース12を、自転軸12bおよび第二軸受13bを介して挟み込むように配置されており、その中心に挿通された公転軸14に固定されている。この構成により、4つのバレル槽ケース12が一対のタレット13の間に等間隔で配置され、当該4つのバレル槽ケース12が自転軸12b及び公転軸14を中心に遊星運動することとなる。
【0038】
一対のタレット13には、駆動機構15が接続されている。駆動機構15は、駆動モータ15a、モータプーリ15b、公転プーリ15c、及び駆動ベルト15dを含んでいる。駆動モータ15aは、一対のタレット13を回転させるための駆動力を発生する。モータプーリ15bは、駆動モータ15aの出力軸に固定されている。公転プーリ15cは、一対のタレット13のうち一方のタレット13(
図1では左側のタレット13)の外周に設けられている。駆動ベルト15dは、モータプーリ15bと公転プーリ15cとの間に架け渡されている。
【0039】
従動機構16は、駆動プーリ16a、従動プーリ16b及び従動ベルト16cを含んでいる。駆動プーリ16aは、公転軸14に固定されている。従動プーリ16bは、自転軸12bに固定されている。従動ベルト16cは、駆動プーリ16aと従動プーリ16bとの間に架け渡されている。
【0040】
バレル研磨装置10では、駆動モータ15aが作動すると、モータプーリ15b、駆動ベルト15d及び公転プーリ15cを介して駆動力がタレット13に伝達され、公転軸14を中心にタレット13が回転する。このタレット13の回転に伴い、バレル槽ケース12に固定されたバレル槽11が公転軸14を軸心として旋回(公転)する。また、従動機構16によって、バレル槽11は自転軸12bを軸心としてタレット13の回転方向と逆方向に回転(自転)する。
【0041】
以上の様に、バレル槽11は、水平に延在する自転軸12bを中心とした自転、及び、水平に延在する公転軸14を中心とした公転をする。すなわち、バレル槽は、水平に延在する回転軸を軸心とした遊星運動をする。
【0042】
次に、
図4(A)及び
図4(B)を参照して、一実施形態の洗浄装置20について説明する。
図4に示す洗浄装置20は、ケーシング21と、洗浄部22と、選別部23と、回動機構24と、を備えている。
【0043】
ケーシング21は、枠体21a、回転軸、ローラ21c、ストッパ21dを備えている。枠体21aは、バレル槽本体11aを収納する容器であり、正面及び上面が開放された箱状をなしている。枠体21aの左右側の側面には、回転軸21bが接続されている。回転軸21bは、枠体21aの左右側の側面から水平方向に延びている。回転軸21bの両端部は、支持台21sに設けられた軸受によって軸支されている。
【0044】
枠体21a内の下部には、複数のローラ21cが設けられている。
図4(B)に示すように、複数のローラ21cは、手前−奥方向に沿って配列されている。複数のローラ21cは、モータ(図示せず)に連結されており、周方向に回転可能に構成されている。このモータを正転させて、ローラ21cの上に載置されたバレル槽本体11aを手前−奥方向に搬送する。ストッパ21dは、枠体21aの底面から複数のローラ21cの間を通って上方に延びている。ストッパ21dは、伸縮可能に構成されている。ストッパ21dが上方に伸長した状態では、ストッパ21dがバレル槽本体11aの下部に当接し、バレル槽本体11aの手前−奥方向への移動が規制される。
【0045】
洗浄部22は、フレーム22aと、スクリーン(第2のスクリーン)22bと、洗浄ノズル22cと、分配管22dと、昇降装置22e(ノズル移動機構)と、を備えている。なお、洗浄部22は、複数の洗浄ノズル22cを備えていてもよい。
図4(A)に示す実施形態では、洗浄部22は4本の洗浄ノズル22cを備えている。
【0046】
フレーム22aは、枠体21aの上方に設けられている。フレーム22aは、板状をなしており、バレル槽本体11aの開口部と略同一形状の開口が形成されている。フレーム22aには、分配管22dが固定されている。分配管22dは、洗浄液を供給する洗浄液供給源(例えば、水栓やポンプ)に接続されている。分配管22dは、洗浄液供給源から供給された洗浄液を洗浄ノズル22cに分配する。
【0047】
洗浄ノズル22cは、枠体21aの上方において上下方向に延在している。洗浄ノズル22cの一端(上端)は、分配管22dに接続されている。洗浄ノズル22cの側面には、分配管22dから供給された洗浄液を噴射する複数の噴射口(孔)が形成されている。
【0048】
フレーム22a及び分配管22dで形成される開口には、当該開口を覆うようにスクリーン22b(排水用スクリーン)が取り付けられている。スクリーン22bには、研磨メディア及び被加工物が通過不能な開口が形成されている。一実施形態では、スクリーン22bには複数の開口が形成されている。スクリーン22bとしては、例えば、研磨メディア及び被加工物が通過不能な目開きを有する金網が利用される。なお、金網は織金網やパンチングメタル等、その形態は特に限定されない。
【0049】
フレーム22aには、昇降装置22eが接続されている。昇降装置22eは、フレーム22aを上下方向に移動可能である。昇降装置22eは、枠体21a内にバレル槽本体11aが配置された場合に、フレーム22aを上下方向に移動させることによって、バレル槽本体11aの開口部を介して洗浄ノズル22cをバレル槽11に対して挿抜することが可能である。また、昇降装置22eは、フレーム22aを上下方向に移動させることによって、バレル槽本体11aの開口部を覆う位置と当該開口部に対して離間した位置との間でスクリーン22bを移動させることができる。言い換えれば、昇降装置22eは、バレル槽本体11aに対してスクリーン22bを着脱することができる。
【0050】
選別部23は、フレーム23aと、スクリーン(第1のスクリーン)23bと、昇降装置(スクリーン移動機構)23eと、を備えている。フレーム23aは、洗浄ノズル22cと枠体21aとの間に設けられている。フレーム23aは板状をなしており、当該フレーム23aには、バレル槽本体11aの開口部と略同一形状の開口が形成されている。
【0051】
フレーム23aには、当該フレーム23aの開口を覆うようにスクリーン23b(選別用スクリーン)が取り付けられている。即ち、スクリーン23bはバレル槽本体11aの開口部と略同一の平面形状を有している。スクリーン23bには、研磨メディアが通過可能であり、被加工物が通過不能な開口が形成されている。一実施形態では、スクリーン23bには複数の開口が形成されている。スクリーン23bとしては、例えば、研磨メディアが通過可能であり、被加工物が通過不能な目開きを有する金網が利用される。
【0052】
フレーム23aには、昇降装置23eが接続されている。昇降装置23eは、フレーム23aを上下方向に移動可能である。したがって、昇降装置23eは、バレル槽本体11aの開口部を覆う位置と当該開口部に対して離間した位置との間でスクリーン23bを移動させることができる。言い換えれば、昇降装置23eは、バレル槽本体11aに対してスクリーン23bを着脱することができる。
【0053】
回転軸21bには、回動機構24が接続されている。回動機構24は、正逆回転可能な回転モータ24aと、回転軸21bの一端に固定されたプーリ24bと、回転モータ24aの出力軸に固定されたプーリ24cと、プーリ24bとプーリ24cとの間に架け渡されたベルト24dと、を有している。回転モータ24aが作動すると、プーリ24b、プーリ24c及びベルト24dを介して駆動力が回転軸21bに伝達され、回転軸21bを中心に枠体21aが回動する。
【0054】
次に、
図6を参照して、バレル槽着脱装置30について説明する。バレル槽着脱装置30は、バレル槽11をバレル研磨装置10のバレル槽ケース12に対して着脱するための装置である。
図6に示すように、バレル槽着脱装置30は、吊り具31、昇降機構32、移動機構33及びレール34を備えている。
【0055】
吊り具31は、アーム31a、クランプ機構31b及びフレーム31cを備えている。フレーム31cは水平方向に延在している。このフレーム31cからはアーム31aが吊り下げられている。アーム31aの上端は、フレーム31cに接続されている。アーム31aの下端は、バレル槽11の鍔部11fに係合可能に構成されている。
図6に示す実施形態では、2組のアーム31aが設けられており、各組のアーム31aはバレル槽11を介して互いに対向するように設けられている。これらのアーム31aによってバレル槽11が把持される。
【0056】
クランプ機構31bは、フレーム31cの下方に取り付けられている。
図6の実施形態では、フレーム31cには2つのクランプ機構31bが設けられている。2つのクランプ機構31bは、バレル槽ケース12の2つの係止機構12cに対応する位置に配置されている。クランプ機構31bは、例えば係止機構12cのボルトを回転させることで、押圧部材12eのアームの姿勢を変化させることができるように構成されている。これにより、押圧部材12eがバレル槽11の係止部11gに対して当接した状態と、押圧部材12eがバレル槽11の係止部11gに対して離間した状態と、を切り替えることができる。すなわち、クランプ機構31bは、バレル槽11をバレル研磨装置10のバレル槽ケース12に係止し、又は、バレル槽11のバレル槽ケース12への係止を解除することが可能である。
【0057】
吊り具31のフレーム31cには、昇降機構32の下端が連結されている。昇降機構32は、例えばモータを有しており、当該モータの駆動力によって吊り具31を上下方向に移動可能に構成されている。昇降機構32の上端は、移動機構33に連結されている。移動機構33は、レール34上に設けられている。このレール34は、バレル研磨装置10、第一コンベアC1及び第二コンベアC2の上方に設けられている。移動機構33は、吊り具31及び昇降機構32をレール34に沿って移動させることが可能である。
【0058】
上記のように、バレル槽着脱装置30は、例えば第二コンベアC2上に載置されたバレル槽11をアーム31aを用いて吊り上げ、レール34の下方に位置するバレル槽ケース12に当該バレル槽11を移載することが可能である。反対に、バレル槽着脱装置30は、例えばレール34の下方に位置するバレル槽ケース12に搭載されたバレル槽11を吊り上げ、第一コンベアC1上に移載することが可能である。
【0059】
なお、
図6に示すバレル槽着脱装置30は、吊り具31で吊り上げたバレル槽11をレール34に沿って移動させているが、バレル槽11をバレル研磨装置10に対して着脱できれば、バレル槽着脱装置30は上述した構成に限定されない。例えば、バレル槽11を保持可能なロボットアームを備え、当該ロボットアームを用いてバレル研磨装置10に対してバレル槽11を着脱してもよい。
【0060】
次に、
図7を参照して、蓋着脱装置40について説明する。蓋着脱装置40は、バレル槽本体11aに対してバレル槽蓋11bを着脱する装置である。蓋着脱装置40は、吊り具41、昇降機構42、移動機構43及びレール44を備えている。吊り具41は、アーム41a、クランプ機構41b及びフレーム41cを有している。フレーム41cは水平方向に延在している。このフレーム41cからはアーム41aが吊り下げられている。アーム41aの上端は、フレーム41cに接続されている。アーム41aの下端は、バレル槽蓋11bを把持できるように構成されている。
【0061】
クランプ機構41bは、フレーム41cの下方に取り付けられている。クランプ機構31bは、例えばバレル槽蓋11bのボルトBTを回転させることで、バレル槽本体11aとバレル槽蓋11bとを固定し、又は、バレル槽本体11aとバレル槽蓋11bとの固定を解除する。
【0062】
吊り具41には、昇降機構42の下端が連結されている。昇降機構42は、例えばモータを有しており、当該モータの駆動力によって吊り具41を上下方向に移動可能に構成されている。昇降機構32の上端は、移動機構43に連結されている。移動機構43は、レール44上に設けられている。このレール44は、第一コンベアC1、第二コンベアC2及び蓋洗浄装置90の上方を通るように延在している。移動機構33は、吊り具41及び昇降機構42をレール44に沿って移動させることが可能である。
【0063】
次に、
図8を参照して、メディア供給装置60について説明する。メディア供給装置60は、所定量の研磨メディアをバレル槽本体11a内に投入する装置である。メディア供給装置60は、
図8に示すように、秤量部61、移動部62、移載部63及び投入部64を有している。
【0064】
秤量部61は、研磨メディアを貯留するホッパ61aと、ホッパ61aからの研磨メディアをメディア容器65に移送する移送機構61bと、メディア容器65内の研磨メディアの質量を測定する秤量機構61cと、を備えている。後述のように、選別装置50からメディア容器65に投入される研磨メディアは、再使用できない研磨メディアが取り除かれているので、選別装置50からはバレル研磨に必要な量の研磨メディアを投入することができないことがある。その場合、移送機構61bを作動させることで、メディア容器65中の研磨メディアの質量を秤量機構61cで測定しながら、新しい研磨メディアが補充される。規定の質量となったら、移送機構61bの作動が停止され、研磨メディアの投入が停止される。
【0065】
移動部62は、メディア容器65を左右方向に移動可能に構成されている。メディア容器65内に規定量の研磨メディアが投入されると、移動部62は、メディア容器65を後述するバケット63a内にセットする。一実施形態では、移動部62は、メディア容器65をバケット63aに対して固定する固定機構を備えていてもよい。
【0066】
移載部63は、バケット63a、吊り上げ部材63b、牽引機構63c、連結部材63d及び傾動フレーム63eを備えている。吊り上げ部材63bは、バケット63aに取り付けられている。連結部材63dは、吊り上げ部材63bと牽引機構63cとを連結している。傾動フレーム63eは、基台に沿って昇降自在に保持され且つ上下回動自在に枢支されている。牽引機構63cを作動させることによってバケット63aが牽引されると、
図8に二点鎖線で示すように、傾動フレーム63eに取り付けられている支持部材63fを支点にしてバケット63aが下向きに傾動する。これにより、メディア容器65に収納されている研磨メディアが投入ホッパ64aに投入される。
【0067】
投入部64は、投入ホッパ64aと、投入ホッパの下部に設けられたゲート64bと、を備えている。ゲート64bは、投入ホッパ64aの出口を閉鎖又は開放する弁として機能する。バケット63aが傾動されることによって、メディア容器65内の研磨メディアは投入ホッパ64aに投入される。このとき、投入ホッパ64aの下部の開口部はゲート64bにより閉止されている。バレル槽本体11aが所定の位置に移動すると、ゲート64bが開放され、投入ホッパ64a内の研磨メディアがバレル槽本体11aに投入される。
【0068】
次に、
図9を参照して、砥粒供給装置70について説明する。
図9に示すように、砥粒供給装置70は、貯留部71及び搬送部72を有している。
【0069】
貯留部71は、砥粒を一時的に貯留するホッパ71aと、回転軸の側部に撹拌羽根が取り付けられている撹拌部材71bと、この回転軸に連結される撹拌モータ71cと、を備えている。撹拌モータ71cが作動することによって、撹拌部材71bの撹拌羽根が回転軸周りに回転し、ホッパ71a内の砥粒が撹拌される。これにより、ファンネルフロー、ブリッジ及びラットホールといった好ましくない流れがホッパ71a内に形成されることが抑制される。
【0070】
搬送部72は、両端面が閉止された円筒形状のトラフ72aと、トラフ72a内に設けられた搬送スクリュ72fと、搬送スクリュ72fに連結された搬送モータ72iと、を備えている。
【0071】
トラフ72aの後方端側(
図9の右側)には、砥粒供給口72bが形成されている。トラフ72aの内部空間は、砥粒供給口72bを介してホッパ71aの内部空間に連通している。トラフ72aの前方端側(
図9の左側)には、砥粒排出口72eが形成されている。トラフ72a内の後方端側には、搬送スクリュ72fが設けられている。
【0072】
搬送スクリュ72fは、搬送軸72g及び搬送羽根72hを含んでいる。搬送羽根72hは、搬送軸72gの外周面に螺旋状に固定されている。搬送軸72gの一端は、トラフ72aの後方端を貫通してトラフ72aの外側まで延びており、搬送モータ72iに接続されている。搬送モータ72iは、搬送軸72gに駆動力を付加することで、搬送軸72gを任意の速度で回転可能である。砥粒供給口72bよりトラフ72aの内部に装入された砥粒は、搬送スクリュ72fが搬送軸72g周りに回転することによって、トラフ72aの前方端側に向けて一定速度で前進する。即ち、搬送スクリュ72fは、目標量の砥粒を一定速度で前進させることができる。
【0073】
搬送スクリュ72fの前方端と砥粒排出口72eとの間には規制板72jが配置されている。規制板72jには、砥粒が通過可能な解砕部が形成されている。この解砕部を通過した砥粒は圧縮され、砥粒の間の空気が脱気される。その結果、砥粒のかさ比重が高められる。また、規制板72jは、規制板72jの前で所定密度に達し、大きな塊となった砥粒を解砕する。規制板72jの解砕部を通過した砥粒は、トラフ72aの前端側に向かって前進し、砥粒排出口72eからトラフ72aの外部に排出される。ホッパ71a内では、砥粒間に気体の混入することにより砥粒のかさ比重が変動する。また、搬送スクリュ72fの砥粒の送り速度にはムラが生じることがある。これに対し、砥粒供給装置70では、上記のような規制板72jを備えることにより、砥粒のかさ比重の変動、及び、砥粒の送り速度のムラ、を抑制できる。その結果、砥粒を一定量ずつ砥粒排出口72eに送ることが可能となる。
【0074】
砥粒供給装置70は、撹拌モータ71c及び搬送モータ72iを作動させることによって、砥粒排出口72eの下方に配置されたバレル槽本体11aに対して砥粒を投入する。
【0075】
次に、
図10を参照して、蓋洗浄装置90について説明する。
図10に示すように、蓋洗浄装置90は、洗浄ノズル91a、エアブローノズル91b及び搬送部91cを備えている。搬送部91cは、例えば複数の搬送ローラによって構成されている。
【0076】
洗浄ノズル91a及びエアブローノズル91bは、平面視において、複数の搬送ローラに重ならない位置に設けられている。洗浄ノズル91aは、エアブローノズル91bよりもバレル槽蓋11bの搬送方向の上流に設けられている。洗浄ノズル91aは、洗浄液を供給する洗浄液供給装置に接続されており、その先端から洗浄液を噴射する。エアブローノズル91bは、圧縮空気を供給する圧縮空気供給装置に接続されており、その先端から圧縮空気を噴射する。洗浄ノズル91a及びエアブローノズル91bは、上方へ向けて洗浄液及び圧縮空気が噴射されるように、上下方向に延在している。
【0077】
蓋洗浄装置90は、洗浄ノズル91aからバレル槽蓋11bへ洗浄水を噴射することによりバレル槽蓋11bを洗浄すると共に、エアブローノズル91bから洗浄後のバレル槽蓋11bへ圧縮空気を噴射することによりバレル槽蓋11bを乾燥させる。
【0078】
次に、
図5及び
図11を参照して、バレル研磨システムの全体構成について説明しつつ、バレル研磨及び洗浄処理を含む一連の処理の流れについて説明する。
図5は一実施形態のバレル研磨システム1を模式的に示す平面図であり、
図11は、一実施形態に係る被加工物の加工方法MTを示すフローチャートである。以下では、被加工物の粗研磨と仕上げ研磨を自動で行う湿式のバレル研磨システムについて説明する。
【0079】
図5に示すように、バレル研磨システム1は、搬送装置100として第一コンベアC1及び第二コンベアC2を備えている。第一コンベアC1及び第二コンベアC2は、バレル槽11を搬送するためのチェーンコンベアである。チェーンコンベアは設置環境(温度や設置スペースなど)に合わせて自由に設計できるので、作業性のよいバレル研磨システム1とすることができる。なお、第一コンベアC1及び第二コンベアC2としては、設置上の問題がなければ、ベルトコンベアやローラコンベア等公知の装置を利用することができる。
【0080】
なお、以下では、1つのバレル槽11に着目して説明するが、バレル研磨装置10に搭載される複数のバレル槽11に対して同様の処理を行ってもよい。
【0081】
ここでは、空のバレル槽本体11aが洗浄装置20にセットされている状態(洗浄領域E1)を起点として説明する。方法MTでは、まず工程ST1において、洗浄装置20からバレル槽本体11aに水及びコンパウンドが供給される。具体的には、
図4に示すように、昇降装置23eによりフレーム23aが下降され、スクリーン23bによってバレル槽本体11aの開口部が覆われるようにスクリーン23bが移動される。次いで、昇降装置22eによってフレーム22aが下降され、洗浄ノズル22cがバレル槽本体11aの内部に挿入される。次いで、洗浄ノズル22cから粗研磨で必要な水及びコンパウンドが供給される。水及びコンパウンドが供給されると、昇降装置22e及び昇降装置23eによってスクリーン23b及び洗浄ノズル22cをバレル槽本体11aから離隔させる。次いで、ストッパ21dによるバレル槽本体11aの固定が解除される。
【0082】
続く工程ST2では、バレル槽本体11aに研磨メディアが供給される。具体的に、工程ST2では、ローラ21cに連結されたモータを逆転させて、バレル槽本体11aを第一コンベアC1に載置する。そして、第一コンベアC1を作動させることで、バレル槽本体11aがメディア投入領域E2に移動される(矢印R1参照)。
【0083】
次いで、メディア投入領域E2に配置されたバレル槽本体11aに対してメディア供給装置60から研磨メディアが供給される。具体的には、
図8に示すように、ホッパ61a内の研磨メディアがメディア容器65に投入され、当該メディア容器65がバケット63a内にセットされる。次いで、牽引機構63cが作動することによりバケット63aを牽引し、メディア容器65に収納されている研磨メディアが投入ホッパ64aに投入される。投入ホッパ64a内の研磨メディアは、メディア投入領域E2に配置されたバレル槽本体11aに供給される。
【0084】
続く工程ST3では、バレル槽本体11aに砥粒が供給される。具体的に、工程ST3では、第二コンベアC2によって、バレル槽本体11aが砥粒投入領域E3に移動される(矢印R2参照)。
【0085】
次いで、砥粒投入領域E3に配置されたバレル槽本体11aに対して砥粒供給装置70から研磨メディアが供給される。具体的には、
図9に示すように、ホッパ71a内の砥粒がトラフ72a内に供給される。トラフ72a内の砥粒は、搬送スクリュ72fの回転によって、トラフ72aの前端側に向けて前進する。規制板72jに到達した砥粒は、規制板72jの解砕部を通過することで解砕される。解砕された砥粒は、砥粒排出口72eから砥粒投入領域E3に配置されたバレル槽本体11aに投入される。
【0086】
続く工程ST4では、バレル槽本体11aに被加工物が供給される。具体的に、工程ST4では、まず第二コンベアC2によって、バレル槽本体11aが被加工物投入領域E4に移動される(矢印R3参照)。なお、粗研磨において砥粒を用いない場合には、バレル槽本体11aをメディア投入領域E2から被加工物投入領域E4に直接移動させてもよい。
【0087】
次いで、被加工物投入領域E4に配置されたバレル槽本体11aに対して被加工物供給装置80から被加工物が供給される。被加工物供給装置80としては、パーツフィーダ、振動フィーダ、ベルトコンベア等、公知の装置を利用することができる。
【0088】
続く工程ST5では、バレル槽本体11aにバレル槽蓋11bが装着される。工程ST5では、まず第二コンベアC2によってバレル槽本体11aが蓋装着領域E5に移動される(矢印R4参照)。
【0089】
図7に示すように、工程ST5では、バレル槽蓋11bがアーム41aによって把持された状態で、移動機構43によって吊り具41が蓋装着領域E5の上方に移動される。次いで、吊り具41を下降させてバレル槽蓋11bをバレル槽本体11aに載置し、アーム41aとバレル槽蓋11bとの係合を解除する。次いで、クランプ機構41bを用いてバレル槽本体11aに対してバレル槽蓋11bを押圧する。これにより、バレル槽蓋11bがバレル槽本体11aに装着される。バレル槽本体11aにバレル槽蓋11bが装着されると、吊り具41は上方に退避される。
【0090】
続く工程ST6では、バレル槽11がバレル研磨装置10にセットされる。工程ST6では、まず第二コンベアC2によってバレル槽11が第一移載領域E6に移動される(矢印R5参照)。
【0091】
次いで、
図6に示すように、バレル槽着脱装置30によって、第一移載領域E6に配置されたバレル槽本体11aがバレル槽ケース12に装着される。具体的には、移動機構33によって吊り具31が第一移載領域E6の上方に移動される。次いで、昇降機構32により吊り具31が下降され、複数のアーム31aによってバレル槽11の鍔部11fが把持される。次いで、吊り具31が上昇されることでバレル槽11が吊り上げられる。
【0092】
吊り上げられたバレル槽11は、移動機構33によってバレル槽着脱領域E7に移動される(矢印R6参照)。
【0093】
この際、バレル研磨装置10の正面に設けられた扉は解放され、バレル槽ケース12は露出されている。次いで、バレル槽11がバレル槽ケース12内に配置されるように、昇降機構32によってバレル槽11を下降され、アーム31aの把持が解除される。次いで、クランプ機構31bによって、係止部材12dとバレル槽11とが当接するように、押圧部材12eの姿勢が調整される。これにより、バレル槽11がバレル槽ケース12に固定される。その後、昇降機構32を作動させて吊り具31が上方に退避される。
【0094】
続く工程ST7では、バレル研磨が行われる。工程ST7は、全てのバレル槽11がバレル研磨装置10にセットされた後に行われる。工程ST7では、扉が閉じられた後に、駆動モータ15aが作動される。これにより、バレル槽11が遊星運動し、粗研磨が行われる。
【0095】
所定の時間が経過して粗研磨が完了すると、駆動モータ15aの作動が停止される。
【0096】
続く工程ST8では、バレル研磨装置10からバレル槽11が取り外される。工程ST8では、まずバレル研磨装置10の扉が開放され、バレル槽11が露出される。次いで、移動機構33によってバレル槽着脱領域E7の上方に吊り具31が移動された後に、吊り具31がバレル槽に向けて下降される。そして、クランプ機構31bによって係止部材12dによるバレル槽11の押圧が解除される。次いで、アーム31aによってバレル槽11の鍔部11fが把持される。次いで、昇降機構32によって吊り具31を上昇させることで、バレル槽11がバレル槽ケース12から取り外される。
【0097】
次いで、移動機構33によってバレル槽11が第二載置領域E8の上方に移動される(矢印R7参照)。次いで、昇降機構32によって第一コンベアC1にバレル槽11を移載した後に、アーム31aによる把持を解除する。
【0098】
次いで、第一コンベアC1を作動させることにより、バレル槽11が蓋脱離領域E9に移動される(矢印R8参照)。
【0099】
なお、工程ST6及び工程ST8では、ロボットアームを用いてバレル槽11がバレル研磨装置10に対して着脱されてもよい。この場合には、例えば、第一移載領域E6と第二載置領域E8との間に搬送ローラを配置し、ロボットアームによって第一移載領域E6に配置されたバレル槽11をシリンダを用いて第二載置領域E8に押し出すようにしてもよい。
【0100】
続く工程ST9では、蓋着脱装置40を用いてバレル槽11からバレル槽蓋11bが取り外される。工程ST9では、まず移動機構43によって蓋脱離領域E9の上方に吊り具41が移動され、吊り具41がバレル槽に向けて下降される。次いで、クランプ機構41bによって係止部材11dによるバレル槽蓋11bの押圧が解除される。次いで、アーム41aによってバレル槽蓋11bの側面が把持される。その後、昇降機構42によって吊り具41が上昇させることで、バレル槽蓋11bがバレル槽本体11aから取り外される。
【0101】
続く工程ST10では、洗浄装置20を用いてバレル槽本体11a内から水、コンパウンド及び砥粒が排出される。工程ST10では、第一コンベアC1を作動させることにより、バレル槽本体11aが洗浄領域E1に移動される(矢印R9参照)。バレル槽本体11aが洗浄領域E1に搬送される過程において、バレル槽本体11aは、第一コンベアC1から洗浄装置の複数のローラ21c上に移載される。
図4に示すように、複数のローラ21c上に移載されたバレル槽本体11aは、枠体21a内に収容され、ストッパ21dによって移動が規制される。
【0102】
次いで、昇降装置23eによってフレーム23aが下降され、スクリーン23bがバレル槽本体11aの開口部を覆うようにセットされる。また、昇降装置22eによってフレーム22aが下降され、スクリーン22bがスクリーン23bと共にバレル槽本体11aの開口部を覆うようにセットされる。次いで、回転モータ24aの駆動力によって、枠体21aが回転軸21b周りに回転され、バレル槽本体11a内の開口部から水、コンパウンド及び砥粒が排出される。このとき、バレル槽本体11aの開口部がスクリーン22b及びスクリーン23bによって覆われているので、研磨メディア及び粗加工後の被加工物はスクリーン22b及びスクリーン23bを通過せずに、バレル槽本体11a内に残される。
【0103】
続く工程ST11では、洗浄装置20を用いてバレル槽本体11aが洗浄される。工程ST11では、回転モータ24aの駆動力によって、再び枠体21aが回転軸21b周りに回転され、バレル槽本体11aの開口部が上方を向くようにバレル槽本体11aの姿勢が調整される。
【0104】
次いで、洗浄液供給源からの洗浄水(一実施形態では水)が洗浄ノズル22cからバレル槽本体11aの内壁に向けて噴射される。
【0105】
次いで、回転モータ24aが往復回転するように作動されことで、ケーシング21が回転軸21b周りに揺動する。この際、ストッパ21d、洗浄部22及び選別部23によってバレル槽本体11aが枠体21aから外れることが防止される。
【0106】
所定時間ケーシング21が揺動された後、バレル槽本体11aの開口部が下方を向くように回転モータ24aの作動を制御する。洗浄水の噴射は維持されているので、バレル槽本体11aの内壁及び研磨メディア及び被加工物が洗浄されると共に、バレル槽本体11a内の洗浄水が排出される。バレル槽本体11aの内壁及び研磨メディアの洗浄が完了すると、洗浄水の噴射が停止される。
【0107】
続く工程ST12では、洗浄装置20からバレル槽本体11aに水及びコンパウンドが供給される。工程ST12では、回転モータ24aの駆動力によって、バレル槽本体11aの開口部が上方を向くようにバレル槽本体11aの姿勢が調整される。次いで、洗浄ノズル22cから仕上げ研磨用の水及びコンパウンドが供給される。水及びコンパウンドが供給されると、昇降装置22e及び昇降装置23eによってスクリーン23b及び洗浄ノズル22cがバレル槽本体11aから離隔される。次いで、ストッパ21dによるバレル槽本体11aの固定が解除される。
【0108】
方法MTでは、工程ST10と並行して工程ST13が行われる。工程ST13では、蓋洗浄装置90によってバレル槽蓋11bが洗浄される。工程ST13では、蓋脱離領域E9においてバレル槽本体11aから取り外されたバレル槽蓋11bが、蓋着脱装置40の移動機構43によって蓋洗浄領域E10に移動される(矢印R10参照)。
【0109】
蓋洗浄領域E10に移動されたバレル槽蓋11bは、蓋洗浄装置90の搬送部91c上に載置される。このバレル槽蓋11bは、搬送部91cの搬送ローラによって左右方向に搬送される。この搬送過程において、バレル槽蓋11bには、洗浄ノズル91a及びエアブローノズル91bから洗浄水及び圧縮空気が噴射される。これにより、バレル槽蓋11bが洗浄されると共に、バレル槽蓋11bに付着した洗浄水が除去される。洗浄されたバレル槽蓋11bは、図示しない移動機構によって蓋装着領域E5に移動される。当該移動機構は、シリンダ等でバレル槽蓋11bを押し出す構成としてもよい。また、搬送ローラにモータを連結し、ローラの回転によりバレル槽蓋11bを移動する構成としてもよい。
【0110】
続く工程ST14では、蓋着脱装置40によってバレル槽本体11aに対してバレル槽本体11aが装着される。工程ST14では、第一コンベアC1及び第二コンベアC2によってバレル槽本体11aが蓋装着領域E5に移動される。次いで、蓋着脱装置40の昇降機構42によって洗浄されたバレル槽蓋11bが吊り上げられる。
【0111】
吊り上げられたバレル槽蓋11bは、移動機構43によって蓋装着領域E5の上方に移動される(矢印R11参照)。次いで、バレル槽蓋11bを下降させることで、バレル槽蓋11bがバレル槽本体11aに装着される。
【0112】
続く工程ST15では、バレル槽着脱装置30によってバレル槽11がバレル研磨装置10にセットされる。工程ST15では、第二コンベアC2が作動することにより、バレル槽11が第一移載領域E6へ移動される(矢印R5参照)。次いで、バレル槽11は、昇降機構32によって吊り上げられ、移動機構33によってバレル槽着脱領域E7に移動される(矢印R6参照)。そして、バレル槽11がバレル槽ケース12に固定される。工程ST15でのバレル槽着脱装置30の動作は、工程ST6での動作と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0113】
続く工程ST16では、バレル研磨装置10によって仕上げ研磨が行われる。仕上げ研磨が完了すると、工程ST17が行われる。工程ST17では、バレル槽着脱装置30によってバレル研磨装置10からバレル槽11が取り外される。バレル研磨装置10から取り外されたバレル槽11は、第二載置領域E8へ移動される。
【0114】
続く工程ST18では、蓋着脱装置40を用いてバレル槽11からバレル槽蓋11bが取り外される。工程ST18では、第一コンベアC1を作動させることにより、バレル槽11が蓋脱離領域E9に移動される(矢印R8参照)。この工程S18での蓋着脱装置40の動作は、工程ST9での蓋着脱装置40の動作と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0115】
続く工程ST19では、洗浄装置20を用いて、バレル槽蓋11bが取り外されたバレル槽本体11aから水及びコンパウンド排出される。工程ST10では、第一コンベアC1を作動させることにより、バレル槽本体11aが洗浄領域E1に移動される(矢印R9参照)。この工程S19での洗浄装置20の動作は、工程ST10での洗浄装置20の動作と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0116】
続く工程ST20では、洗浄装置20によってバレル槽本体11aが洗浄される。工程ST11で説明したように、工程ST20では、洗浄ノズル22cから洗浄水が噴射され、バレル槽本体11aが回転軸21b周りに揺動される。これにより、バレル槽本体11aの内部と研磨メディア及び被加工物が洗浄される。洗浄完了後、昇降装置22eによって洗浄ノズル22cがバレル槽本体11aから抜出される。
【0117】
続く工程ST21では、バレル槽11から被加工物が排出される。工程ST21では、バレル槽本体11aの開口部がスクリーン23bに覆われた状態で、回転モータ24aの駆動力によって枠体21aが回転軸21b周りに回転される。これにより、バレル槽本体11a内の開口部から洗浄水および研磨メディアが排出される。スクリーン23bは、洗浄水及びバレル研磨で生じた切削粉及び研磨メディアを通過可能であり、被加工物を通過不能なサイズの複数の開口が設けられているので、ケーシング21の回転によって、研磨メディアと被加工物とを選別することができる。
【0118】
その後、再び回転モータ24aを作動させてバレル槽11の開口部が上方を向くようにケーシング21の姿勢が調整され、昇降装置23eによってスクリーン23bがバレル槽本体11aから取り外される。そして、バレル槽11を再び反転させることで被加工物がバレル槽11から排出される。
【0119】
方法MTでは、工程ST19と並行して工程ST22が行われる。工程ST22では、蓋洗浄装置90によってバレル槽蓋11bが洗浄される。この工程S22での蓋洗浄装置90の動作は、工程ST13での蓋洗浄装置90の動作と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0120】
なお、一連のバレル研磨を連続して行う場合、バレル槽本体11aから排出された研磨メディアは、選別装置50に送られてもよい。選別装置50は、回収された研磨メディアを、再使用可能な研磨メディアと摩耗によりバレル研磨に適さないサイズとなった研磨メディアとに分離する。再使用可能な研磨メディアはメディア供給装置60に送られる。メディア供給装置60では、新たな研磨メディアを補充して所定量の研磨メディアに調整し、バレル槽本体11aに投入する。ここで、選別装置50は、例えば所定の目開きを有する振動篩など公知の技術を用いることができる。