(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サブマージアーク溶接用ソリッドワイヤの前記化学組成において、前記ソリッドワイヤ全質量に対する質量%で、Cu:0.02〜0.24%である、請求項5に記載の溶接継手の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成できる溶接金属及びサブマージアーク溶接用ソリッドワイヤを得るためにそれぞれに必要な化学成分を見いだすべく、各種ボンドフラックス及び溶融型フラックスとソリッドワイヤとを組み合わせて溶接を実施し、種々の合金元素の作用効果について調査した。
その結果、スズ(Sn)及び銅(Cu)を溶接金属に適量含有させることによって飛来塩分の多い環境下における耐食性を向上できることを見いだした。
【0015】
具体的には、Snが溶接金属の耐食性を向上させる理由として、本発明者らは、溶接金属中の金属Snがスズイオン(II)(Sn
2+)として溶出し、暴露されている部位、すなわち、酸性塩化物溶液中でインヒビター作用を示し、pHが低下したアノードでの腐食を抑制することを見いだした。さらに、Snが腐食促進作用を持つ鉄(III)イオン(Fe
3+)の濃度を低減させて、飛来塩分の多い環境における耐食性を向上させる作用を有することを見いだした。
【0016】
また、本発明者らは、Cuが溶接金属の耐食性を向上させる理由として、Cuを含有した溶接金属そのものの溶解反応(腐食反応)の反応速度を低減すること、及び、Cuを含有する溶接金属では、表面(余盛部など)に生成する腐食生成物(錆)が、特徴的な微細かつ緻密な構造を呈することにより、水、酸素、塩化物イオン等の透過を抑制する防食性の高い錆層を形成することを見いだした。さらに、CuはSnと共存することにより、Snの耐食性の向上効果を増強させる作用があることを見いだした。
【0017】
また、溶接金属の機械的特性については、C、Si、Mnを適量含有し、Al、P、Sの成分を限定することによって良好になること、また、Mo、Ti及びB等の含有量をさらに調整することによりさらに良好になることを見いだした。
さらに、飛来塩分量が多い環境下でも耐候性及び耐塗装剥離性に優れた溶接金属を得るために好適なサブマージアーク溶接用ソリッドワイヤの成分も見いだした。
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る溶接金属(本実施形態に係る溶接金属)および、本発明の別の実施形態に係るサブマージアーク溶接用ソリッドワイヤ(本実施形態に係るサブマージアーク溶接用ソリッドワイヤ)について説明する。
【0019】
<溶接金属の成分>
まず、以下に本実施形態に係る溶接金属の成分の限定理由について説明する。成分の含有量についての%は、断りがない限り溶接金属全質量に対する質量%を示す。
サブマージアーク溶接用ソリッドワイヤは、サブマージアーク溶接によって溶接に供される鋼材の一部やフラックスとともに溶融し、凝固後、溶接金属となる。
【0020】
[溶接金属中のC:0.03〜0.15%]
溶接金属中のCは、溶接金属の強度と焼入れ性とを確保するために重要な元素である。C含有量が0.03%未満では、強度不足で靱性が低下する。そのため、溶接金属中のC含有量は0.03%以上とする。好ましい含有量は、0.04%以上である。
一方、溶接金属中のC含有量が0.15%を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎて靱性が低下する。また、高温割れが生じやすくなる。したがって、溶接金属中のC含有量は0.15%以下とする。好ましい含有量は、0.14%以下である。
【0021】
[溶接金属中のSi:0.15〜0.80%]
溶接金属中のSiは、溶接金属の靱性を高めるのに有効な成分である。Si含有量が0.15%未満では、靱性が低下する。そのため、溶接金属中のSi含有量は0.15%以上とする。好ましい含有量は、0.20%以上である。
一方、溶接金属中のSi含有量が0.80%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靱性が低下する。そのため、溶接金属中のSi含有量は0.80%以下とする。好ましい含有量は、0.60%以下である。
【0022】
[溶接金属中のMn:1.2〜2.0%]
溶接金属中のMnは、溶接金属の強度を高めるのに有効な成分である。Mn含有量が1.2%未満では、溶接金属の強度が低くなる。そのため、溶接金属中のMn含有量は1.2%以上とする。好ましい含有量は、1.3%以上である。
一方、溶接金属中のMn含有量が2.0%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靱性が低下する。そのため、溶接金属中のMn含有量は2.0%以下とする。好ましい含有量は、1.8%以下である。
【0023】
[溶接金属中のCu:0.005〜0.34%]
溶接金属中のCuは、溶接金属の耐食性を向上させる重要な元素である。Cu含有量が0.005%未満では、耐食性を向上させる効果が得られない。そのため、溶接金属中のCu含有量は0.005%以上とする。好ましい含有量は0.02%以上、より好ましい含有量は0.04%以上である。
一方、溶接金属中のCu含有量が0.34%を超えると、溶接金属の靱性が低下する。また、溶接金属中のCu含有量が多いと、溶接継手に対し曲げ加工を行った際に、溶接部に割れが生じる。そのため、溶接金属中のCu含有量は0.34%以下とする。好ましい含有量は、0.30%以下、より好ましい含有量は0.24%以下または0.20%以下である。
【0024】
[溶接金属中のSn:0.05〜0.40%]
溶接金属中のSnは、溶接金属の耐食性を向上させる重要な元素である。Sn含有量が0.05%未満では、耐食性向上の効果は得られない。そのため、溶接金属中のSn含有量は0.05%以上とする。好ましいSn含有量は0.10%以上である。
一方、溶接金属中のSn含有量が0.40%を超えると、高温割れが生じやすくなる。また、粒界へのSnの偏析により溶接金属の靱性が低下する。そのため、溶接金属中のSnは0.40%以下とする。好ましい含有量は、0.35%以下、0.30%以下または0.25%以下である。
【0025】
[溶接金属中のAl:0〜0.050%、P:0.025%以下、S:0.020%以下]
ワイヤ製造時に脱酸目的で添加されたAlは、溶接金属中に酸化物などの形態で一定量残存する場合が多い。
また、ワイヤなどのPおよびSも、溶接金属中に一定量残存する場合が多い。Al、PおよびSがワイヤ中に残存する場合、Al、P及びSは、溶接金属中にて共に低融点の化合物を生成して溶接金属の靱性を低下させるので、これらの含有量は出来るだけ低いことが望ましい。したがって、溶接金属中の、Al含有量は0〜0.050%とし、P含有量は0.025%以下、S含有量は、0.020%以下とする。好ましくは、Al含有量は0〜0.030%、P含有量は0.015%以下、S含有量は0.010%以下とする。Al含有量、P含有量およびS含有量の下限は0%である。
【0026】
[溶接金属中のMo:0〜0.60%]
溶接金属中のMoは、溶接金属の強度を高めるのに有効な成分である。本実施形態に係る溶接金属では、必要に応じてMoを含有させてもよい。強度向上効果を得る場合、Mo含有量を0.10%以上とすることが好ましい。
しかしながら、溶接金属中のMo含有量が0.60%を超えると、溶接金属中に金属間化合物が生成して溶接金属が著しく硬化し、靱性が低下する。よって、含有させる場合でもMo含有量を0.60%以下とする。好ましい含有量は、0.55%以下である。
【0027】
[溶接金属中のNi:0〜0.50%]
溶接金属中のNiは、溶接金属の耐食性を向上させるのに有効な成分である。本実施形態に係る溶接金属では、必要に応じてNiを含有させてもよい。耐食性向上効果を得る場合、溶接金属中のNi含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
しかしながらSn共存下では、溶接金属中のNi含有量が0.50%を超えると、逆に耐塗装剥離性が低下する。そのため、含有させる場合でも溶接金属中のNi含有量を0.50%以下とする。好ましい含有量は、0.40%以下または0.25%以下である。
【0028】
[溶接金属中のCr:0〜0.50%]
溶接金属中のCrは、溶接金属の耐食性を向上させるのに有効な成分である。本実施形態に係る溶接金属では、必要に応じてCrを含有させてもよい。耐食性向上効果を得る場合、溶接金属中のCr含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
しかしながらSn共存下では、溶接金属中のCr含有量が0.50%を超えると、逆に耐塗装剥離性が低下する。そのため、含有させる場合でも溶接金属中のCr含有量を0.50%以下とする。好ましい含有量は、0.40%以下または0.25%以下である。
【0029】
[溶接金属中のNb:0〜0.300%]
溶接金属中のNbは、溶接金属の強度を向上させるのに有効な成分である。本実施形態に係る溶接金属では、必要に応じてNbを含有させてもよい。強度向上効果を得る場合、溶接金属中のNb含有量を0.010%以上とすることが好ましい。
しかしながら、溶接金属中のNb含有量が0.300%を超えると、靱性低下を招く傾向がある。そのため、含有させる場合でも溶接金属中のNb含有量を0.200%以下とする。好ましい含有量は、0.100%以下または0.050%以下である。
【0030】
[溶接金属中のV:0〜0.300%]
溶接金属中のVは、溶接金属の強度を向上させるのに有効な成分である。本実施形態に係る溶接金属では、必要に応じてVを含有させてもよい。強度向上効果を得る場合、溶接金属中のV含有量を0.010%以上とすることが好ましい。
しかしながら、溶接金属中のV含有量が0.300%を超えると、靱性低下を招く傾向がある。よって、含有させる場合でもV含有量を0.200%以下とする。好ましい含有量は、0.100%以下または0.050%以下である。
【0031】
[溶接金属中のTi:0〜0.040%]
[溶接金属中のB:0〜0.0070%]
溶接金属中のTi及びBは、溶接金属の靱性を向上させるのに有効な元素である。そのため、必要に応じてTiとBとの1種または2種を含有させることができる。この効果を得る場合、Ti含有量を0.006%以上またはB含有量を0.0002%以上とすることが好ましい。
しかしながら、溶接金属中のTi含有量が0.040%を超えると、溶接金属の強度が高くなり過ぎることで、靱性が低下する。また、溶接金属中のB含有量が0.0070%を超えると、高温割れが生じやすくなる。したがって、これらの元素を含有させる場合でも、溶接金属中における、Ti含有量を0.040%以下、B含有量を0.0070%以下とする。B含有量は0.0050%以下であることが好ましい。溶接金属中のTiはフラックス中の金属Ti、Ti合金及びTi酸化物から添加され、Bはフラックス中のB合金及びB化合物から添加されることが多い。
【0032】
[溶接金属中のCa:0〜0.0050%]
溶接金属中にCaが不純物として混入する場合がある。Ca含有量が0.0050%を超えると、アーク安定性が損なわれるなど溶接作業性が低下する。そのため、溶接金属中のCa含有量は0.0050%以下とする。必要に応じて、Ca含有量を0.0030%以下、0.0010%以下又は0.0005%以下としてもよい。
【0033】
[溶接金属中のREM:0〜0.0050%]
溶接金属中にREMが不純物として混入する場合がある。REM含有量が0.0050%を超えると、アーク安定性が損なわれるなど溶接作業性が低下する。そのため、溶接金属中のREM含有量は0.0050%以下とする。必要に応じて、REM含有量を0.0030%以下、0.0010%以下又は0.0005%以下としてもよい。
【0034】
[溶接金属中のSb:0〜0.0050%]
溶接金属中にSbが不純物として混入する場合がある。Sb含有量が0.0050%を超えると、靱性が低下する。そのため、Sb含有量は0.0050%以下とする。必要に応じて、Sb含有量を0.0030%以下、0.0010%以下又は0.0005%以下としてもよい。
【0035】
[溶接金属中のN:0〜0.0150%]
溶接金属中のNは靱性を低下させるので、N含有量は低い方が好ましい。しかしながら、Nを完全に除去するためには、多額の費用を要する。そのため、溶接金属の特性を損なわない範囲でNを含有してもよい。溶接金属中のN含有量が0.0150%を超えると靱性が特に低下するため、N含有量の上限を0.0150%とする。必要に応じて、N含有量を0.0100%以下、0.0080%以下、0.0050%以下としてもよい。必要に応じて、N含有量を0.0001%以上又は0.0010%以上としてもよい。
【0036】
[溶接金属中のO:0〜0.1800%]
溶接金属中のOは靱性を低下させるので、O含有量は低い方が好ましい。しかしながら、Oを完全に除去するためには、多額の費用を要する。そのため、溶接金属の特性を損なわない範囲でOを含有してもよい。O含有量が0.1800%を超えると靱性が特に低下するため、O含有量の上限を0.1800%とする。必要に応じて、O含有量を0.1000%以下、0.080%以下、0.0500%以下又は0.0400%としてもよい。必要に応じて、O含有量を0.0010%以上又は0.0100%以上としてもよい。
【0037】
上述したMo、Ni、Cr、Nb、V、Ti、B、Ca、REM、Sb、NおよびOは任意元素であり、含有させなくてもよいので、これらの含有量の下限は0%である。
【0038】
[溶接金属の残部]
その他は、Fe及び不純物である。
【0039】
<サブマージアーク溶接用ソリッドワイヤの成分>
次に、上記耐食鋼の溶接金属の成分を得るために有効な、サブマージアーク溶接用ソリッドワイヤ(以下、単にワイヤという場合がある。)の成分の限定理由について説明する。以下成分の含有量についての%は、断りがない限り、ソリッドワイヤ全質量に対する質量%を示す。
【0040】
[ワイヤ中のC:0.02〜0.15%]
ワイヤ中のCは、溶接後に溶接金属の強度を確保する重要な元素であると共に、アーク中の酸素と反応し、アーク雰囲気及び溶接金属の酸素量を低減する効果を有する元素である。ワイヤ中のC含有量が0.02%未満では、脱酸及び強度確保の効果が不十分であり、強度及び靱性ともに低下する。そのため、ワイヤ中のC含有量は0.02%以上とする。好ましい含有量は、0.03%以上である。
一方、ワイヤ中のC含有量が0.15%を超えると、溶接後に溶接金属の組織がマルテンサイト主体となり、溶接金属において、強度が高くなりすぎて靱性が低下する。また、高温割れが生じやすくなる。そのため、ワイヤ中のC含有量は0.15%以下とする。好ましい含有量は、0.14%以下である。
【0041】
[ワイヤ中のSi:0.005〜0.80%]
ワイヤ中のSiは、脱酸によって、溶接金属中の酸素量をコントロールする作用を有する元素である。Si含有量が0.005%未満では、脱酸効果が得られず、溶接金属の靱性が低下する。そのため、ワイヤ中のSi含有量は0.005%以上とする。好ましい含有量は、0.006%以上である。
一方、Si含有量が0.80%を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎて靱性が低下する。そのため、ワイヤ中のSi含有量は0.80%以下とする。好ましい含有量は0.60%以下または0.40%である。溶接金属の靱性を向上させるために、Si含有量を0.10%以下または0.05%以下としてもよい。
【0042】
[ワイヤ中のMn:1.5〜3.5%]
ワイヤ中のMnは、溶接金属の強度を高めるのに有効な成分である。Mn含有量が1.5%未満では、溶接金属の強度が十分に得られない。そのため、ワイヤ中のMn含有量は1.5%以上とする。
一方、ワイヤ中のMn含有量が3.5%を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎて靱性が低下する。したがって、ワイヤ中のMn含有量は3.5%以下とする。好ましい含有量は、3.0%以下である。
【0043】
[ワイヤ中のCu:0.009〜0.34%]
ワイヤ中のCuは、溶接金属の耐食性を向上させる重要な元素である。ワイヤ中のCu含有量が0.009%以下では、耐食性を向上させる効果が得られない。そのため、ワイヤ中のCu含有量は0.009%以上とする。好ましい含有量は、0.02%以上または0.03%以上である。より好ましくは、0.05%または0.07%以上である。
一方、ワイヤ中のCu含有量が0.34%を超えると、溶接金属の靱性が低下する。そのため、ワイヤ中のCu含有量は0.34%以下とする。好ましい含有量は、0.30%以下、より好ましい含有量は0.24%以下または0.20%以下である。
ワイヤが表面に銅めっきされている場合、銅めっきもワイヤの一部である。そのため、ワイヤ中のCu含有量には銅めっきに含まれるCuの量も含む。
【0044】
[ワイヤ中のSn:0.05〜0.40%]
ワイヤ中のSnは、溶接金属の耐食性を向上させる重要な元素である。ワイヤ中のSn含有量が0.05%未満では、耐食性向上の効果は得られない。そのため、ワイヤ中のSn含有量は0.05%以上とする。好ましい含有量は、0.10%以上である。
一方、ワイヤ中のSn含有量が0.40%を超えると、高温割れが生じやすくなる。また、粒界へのSnの偏析により溶接後に得られる溶接金属の靱性が低下する。したがって、ワイヤ中のSn含有量は0.40%以下とする。好ましい含有量は0.35%以下、0.30%以下または0.25%以下である。
溶接金属にSnを含有させようとする場合、Snを含有するワイヤを用いる方法とSnを含有するフラックスを用いる方法とがある。しかしながら、フラックスからの添加では濃度ばらつきによって含有量にむらが生じやすくなる。そのため、本実施形態では、Snを含有するワイヤを用いる。この場合、フラックスには、公知のフラックス(通常Sn≦0.001%)を用いることができる。
【0045】
[ワイヤ中のAl:0〜0.050%、P:0.025%以下、S:0.020%以下]
ワイヤ中のAl、P及びSは、共に低融点の化合物を生成して溶接金属の靱性を低下させるので、その含有量は出来るだけ低いことが望ましい。したがって、ワイヤ中の、Al含有量は0〜0.050%、P含有量は0.025%以下、S含有量は0.020%以下とする。好ましくは、Al含有量は0〜0.030%、P含有量は0.015%以下、S含有量は0.010%以下とする。Al含有量、P含有量、S含有量の下限は0%である。
【0046】
[ワイヤ中のMo:0〜0.60%]
ワイヤ中のMoは、溶接金属の強度を確保する効果を有する。本実施形態に係るサブマージアーク溶接用ソリッドワイヤでは、必要に応じてMoを添加してもよい。強度向上効果を得る場合、ワイヤ中のMo含有量を、0.10%以上とすることが好ましい。
一方、ワイヤ中のMo含有量が0.60%を超えると、溶接金属中に金属間化合物が生成して溶接金属が著しく硬化し、靱性が低下する。したがって、ワイヤ中にMoを含有させる場合でも、ワイヤ中のMo含有量は0.60%以下とする。好ましい含有量は、0.55%以下である。
【0047】
[ワイヤ中のNi:0〜0.50%]
Niは、耐食性を向上させるのに有効な成分である。本実施形態に係るワイヤでは、必要に応じてNiを含有させてもよい。耐食性向上効果を得る場合、ワイヤ中のNi含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
しかしながらSn共存下では、Ni含有量が0.50%を超えると、逆に耐塗装剥離性が低下する。よって、含有させる場合でも、ワイヤ中のNi含有量を0.50%以下とする。好ましい含有量は、0.40%以下または0.25%以下である。
【0048】
[ワイヤ中のCr:0〜0.50%]
Crは、耐食性を向上させるのに有効な成分である。本実施形態に係るワイヤでは、必要に応じてCrを含有させてもよい。耐食性向上効果を得る場合、ワイヤ中のCr含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
しかしながらSn共存下では、Cr含有量が0.50%を超えると、逆に耐塗装剥離性が低下する。よって、含有させる場合でも、ワイヤ中のCr含有量を0.50%以下とする。好ましい含有量は、0.40%以下または0.25%以下である。
【0049】
[ワイヤ中のNb:0〜0.300%]
Nbは、強度を向上させるのに有効な成分である。本実施形態に係るワイヤでは、必要に応じてNbを含有させてもよい。強度向上効果を得る場合、ワイヤ中のNb含有量を0.010%以上とすることが好ましい。
しかしながら、Nb含有量が0.300%を超えると、靱性低下を招く傾向がある。そのため、含有させる場合でも、ワイヤ中のNb含有量を0.300%以下とする。好ましい含有量は、0.200%以下、0.100%以下または0.050%以下である。
【0050】
[ワイヤ中のV:0〜0.300%]
Vは、強度を向上させるのに有効な成分である。本実施形態に係るワイヤでは、必要に応じてVを含有させてもよい。強度向上効果を得る場合、ワイヤ中のV含有量を0.010%以上とすることが好ましい。
しかしながら、ワイヤ中のV含有量が0.300%を超えると、靱性低下を招く傾向がある。そのため、含有させる場合でも、ワイヤ中のV含有量を0.300%以下とする。好ましい含有量は、0.200%以下、0.100%以下または0.050%以下である。
【0051】
[ワイヤ中のTi:0〜0.250%]
Tiは、溶接金属の結晶粒微細化を促進し、溶接金属の靱性を向上させる効果がある。Tiを含有させることにより、介在物表層にTi酸化物が形成され、このTi酸化物が針状の微細なフェライト(アシキュラーフェライト)の生成核として作用し、結果として溶接金属組織は微細化すると考えられる。
Tiはまた、Nを固定し、固溶N量を減少させて靭性を向上させる効果も有する。したがって、Tiを含有させてもよい。とくに、適用鋼材のTi含有量が少ない場合、溶接ワイヤにTiを含有させることが望ましい。逆に、ワイヤ中のTi含有量が0.250%を超えると炭化物が生成し、溶接金属の靱性が低下する。そのため、ワイヤ中のTi含有量の上限を0.250%とした。必要に応じて、Ti含有量の上限を0.100%、0.060%、0.045%または0.030%としてもよい。
【0052】
[ワイヤ中のB:0〜0.0120%]
Bは、溶接金属の結晶粒粗大化を抑制する効果を有し、特に、溶接入熱量が比較的高水準の場合、溶接金属の靱性を顕著に向上させる効果を有する。溶接後の降温時、溶接金属がオーステナイト相からフェライト相に相変態する際、主にオーステナイト結晶粒界において、粗大な粒界フェライトが生じる傾向がある。B含有により、粒界におけるフェライトの生成が抑制されるので、結果として溶接金属組織が微細化し、溶接金属が高靭化する。この効果を得るため、ワイヤにBを含有させてもよい。逆に、ワイヤ中のB含有量が0.0120%を超えると溶接金属の焼入れ性が過剰となり、溶接金属の靱性が低下する。よってワイヤ中のB含有量の上限を0.0120%とする。必要に応じて、ワイヤ中のB含有量の上限を0.0080%、0.0050%、0.0025%、0.0010%、0.005%または0.002%としてもよい。
【0053】
[ワイヤ中のCa:0〜0.0050%]
ワイヤ中にCaが不純物として混入する場合がある。ワイヤ中のCa含有量が0.0050%を超えると、アーク安定性が損なわれるなど溶接作業性が低下する。そのため、ワイヤ中のCa含有量は0.0050%以下とする。必要に応じて、Ca含有量を0.0030%以下、0.0010%以下又は0.0005%以下としてもよい。
【0054】
[ワイヤ中のREM:0〜0.0050%]
ワイヤ中にREMが不純物として混入する場合がある。ワイヤ中のREM含有量が0.0050%を超えると、アーク安定性が損なわれるなど溶接作業性が低下する。そのため、ワイヤ中のREM含有量は0.0050%以下とする。必要に応じて、ワイヤ中のREM含有量を0.0030%以下、0.0010%以下又は0.0005%以下としてもよい。
【0055】
[ワイヤ中のSb:0〜0.0050%]
ワイヤ中にSbが不純物として混入する場合がある。ワイヤ中のSb含有量が0.0050%を超えると、靱性が低下する。そのため、ワイヤ中のSb含有量は0.0050%以下とする。必要に応じて、ワイヤ中のSb含有量を0.0030%以下、0.0010%以下又は0.0005%以下としてもよい。
【0056】
[ワイヤ中のN:0〜0.0080%]
溶接金属中のNは靱性を低下させるので、溶接後の溶接金属に含まれるN含有量を低減するため、ワイヤ中のN含有量は低い方が好ましい。しかしながら、Nを完全に除去するためには、多額の費用を要する。そのため、溶接金属の特性を損なわない範囲でNを含有してもよい。ワイヤ中のN含有量が0.0080%を超えると溶接金属の靱性が特に低下するので、ワイヤ中のN含有量の上限を0.0080%とする。必要に応じて、ワイヤ中のN含有量を0.0100%以下、0.0080%以下、0.0050%以下としてもよい。必要に応じて、ワイヤ中のN含有量を0.0001%以上又は0.0010%以上としてもよい。
【0057】
[ワイヤ中のO:0〜0.0120%]
溶接金属中のOは靱性を低下させるので、溶接金属に含まれるO含有量を低減するため、ワイヤ中のO含有量は低い方が好ましい。しかしながら、Oを完全に除去するためには、多額の費用を要する。そのため、溶接金属の特性を損なわない範囲でOを含有してもよい。ワイヤ中のO含有量が0.0120%を超えると溶接金属の靱性が特に低下するため、ワイヤ中のO含有量の上限を0.0120%とする。必要に応じて、ワイヤ中のO含有量を0.0100%以下、0.0080%以下、0.0050%以下としてもよい。必要に応じて、ワイヤ中のO含有量を0.0001%以上又は0.0010%以上としてもよい。
【0058】
上述したMo、Ni、Cr、Nb、V、Ti、B、Ca、REM、Sb、NおよびOは任意元素または不純物であり、含有させなくてもよいので、これらの含有量の下限は0%である。
【0059】
[ワイヤの残部]
その他は、Fe及び不純物である。
【0060】
[ワイヤの製造方法]
上記サブマージアーク溶接用ソリッドワイヤは、通常の方法で製造できる。すなわち、成分を調整した鋼を溶解し、原線をつくり、縮径、焼鈍、めっきをして素線をつくり、素線を伸線して、所望の直径のワイヤとして製造することができる。
【0061】
[溶接金属の形成方法]
本実施形態に係る溶接金属は、例えば耐食鋼どうしをサブマージアーク溶接して得ることができる。サブマージアーク溶接では、溶接線上にあらかじめ顆粒状のフラックスを散布しておき、その中に本実施形態に係るサブマージアーク溶接用ソリッドワイヤを送り込み、フラックス中においてワイヤと母材との間のアークから生じるアーク熱で溶接する一般的なサブマージアーク溶接機器を適用できる。サブマージアーク溶接条件は、一般の方法であればよい。
<耐食鋼>
サブマージアーク溶接に供する耐食鋼の好ましい成分は、質量%で、C:0.06〜0.20%、Si:0.005〜1.50%、Mn:0.05〜2.0%、P:0.028%以下、S:0.010%以下、Sn:0.02〜0.45%、Cu:0.01〜0.45%を含み、残部がFeおよび不純物を含む。Mo:0.35%以下をさらに含有していてもよい。
【0062】
<フラックス>
本実施形態に係る溶接金属を形成するにあたっては、フラックスは、ボンドフラックス、溶融型フラックスのいずれも使用できる。これらのフラックスは、サブマージアーク溶接用の公知のフラックスでよい。例えば、日鐵住金溶接工業株式会社のYF−15、YF−15B、YF−800、NF−820などを使用できる。
好ましいボンドフラックスのスラグ成分は、質量%で、SiO
2:5〜20%、MnO:0〜1.0%、Al
2O
3:15〜30%、MgO:10〜25%、TiO
2:0〜20%、B
2O
3:0〜1.0%、CaO:2〜20%、CaF
2:5〜20%、金属炭酸塩中のCO
2換算値の合計:1〜8%であり、合金成分として、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜1.0%、Fe:0.5〜35%が含有されても良い。
また、好ましい溶融型フラックスのスラグ成分は、質量%で、SiO
2:10〜50%、MnO:5〜35%、Al
2O
3:3〜35%、MgO:0〜10%、TiO
2:0〜30%、B
2O
3:0〜1.0%、CaO:2〜25%、CaF
2:0〜25%である。
ここで、金属炭酸塩中のCO
2換算値とは、例えば、CaCO
3が質量%で1%含有されていた場合、1%×(12+16×2)/(40+12+16×3)=0.44%と計算する。計算の際、Caの原子量として40、Cの原子量として12、酸素の原子量として16を用いる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
表1に示す各種化学組成を有するソリッドワイヤを試作し、表2に示すボンドフラックスまたは溶融型フラックスと組合せてサブマージアーク溶接し、溶接金属の健全性、機械的性能及び耐食性の調査を実施した。表1に示すソリッドワイヤは原線を縮径、焼鈍、めっきして素線とし、それらの素線を4.0mmまで伸線して用いた。また、表2のF1からF6のすべてのフラックスについて、Sn含有量は0.008質量%以下であった。
サブマージアーク溶接は、溶接電流500A、アーク電圧33V、溶接速度30cm/min、パス間温度150±15℃の条件にて多層溶接を実施した。母材には、質量%で、C:0.15%、Si:0.27%、Mn:1.15%、P:0.008%、S:0.001%、Sn:0.13%、Cu:0.012%、Al:0.03%、残部Feおよび不純物からなる板厚20mmの耐食鋼の鋼板を用いた。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
上述したサブマージアーク溶接によって得られた溶接金属の化学組成を調べた。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
溶接終了後、溶接金属内部の健全性を、X線透過試験(JIS Z3104:1995)および側曲げ試験(JIS Z3122:2013)により判定した。
その後、JIS Z3111:2005に準じて溶着金属の引張試験および衝撃試験を行って溶接金属の強度(引張強さ)および靭性を評価した。
また、耐食性評価試験を行って腐食環境における耐局部腐食性を評価した。
【0069】
[X線透過試験]
X線透過試験により、溶接欠陥(割れおよびブローホール等)の有無を評価した。X線透過試験は、JIS Z3104−1995 鋼溶接継手の放射線透過試験方法に準拠して実施した。X線透過試験により判明した溶接欠陥の種類を表4に記載した。溶接長全長に対しX線透過試験を行い、溶接欠陥が認められない場合には、「きずなし」と記載した。きずがあった場合には、JIS Z3104の附属書4に示される第1種〜第4種のいずれのきずであったかを示した。本発明では、「きずなし」の判定の場合を合格とした。
【0070】
[側曲げ試験]
側曲げ試験により、溶接欠陥(溶接金属の微小割れ等)の有無を評価した。なお、側曲げ試験は、JIS Z3122:2013 突合せ溶接継手の曲げ試験方法に準拠して実施した。曲げ試験機の種類は、受けローラと押しジグからなるローラ曲げ試験である。曲げ試験片の種類は、突合せ溶接の側曲げ試験片(SBB)とし、一つの溶接継手試験体より1本採取した。試験片の幅は、溶接継手の板厚20mmに等しくし、厚さは10mmとした。押しジグの曲率半径は、試験片板厚の2.0倍(20mm)とした。押しジグが溶接金属の中央付近を押すように試験片をセットし、曲げ角度は概略180°に近くなるように受けローラのスパンを調整した。曲げ試験後、主に溶接金属の中央を、拡大鏡を用いて観察し、開口き裂長さを測定し、開口き裂が複数生じていた場合には、個々の開口き裂長さの和として算出した。
側曲げ試験により生じる溶接金属中央位置の開口き裂長さの総和を表4に記載した。側曲げ試験により溶接金属に微小割れ等の初期欠陥がなかったものと認められる場合には、0mmと記載した。従来の曲げ試験関連諸規格の合否判定基準では、開口き裂長さの総和について「3mmを超えないこと」を定める例が多かったが、本発明では、1.0mm以下の場合のみを合格判定とした。
【0071】
[溶接金属の引張強さおよび靭性]
溶接試験体の鋼板板厚の中心に相当する厚み位置から、溶接金属の衝撃試験片(JIS
Z 2242:2005 Vノッチ試験片)及び引張試験片(JIS Z 2241:2011 10号試験片)を採取して、JIS Z3111:2005に準じて引張試験および衝撃試験を実施した。靱性の評価は0℃における衝撃試験により行い、各々繰返し数3本の平均としてシャルピー吸収エネルギーを求めた。
引張強さが490〜750MPa、衝撃試験の吸収エネルギーが80J以上であれば良好と判断した。
【0072】
[耐局部腐食性]
耐食性の評価は次のように腐食試験片を作製して行った。
図1に示す腐食試験片作製用の試料(厚さ3mm×幅60mm×長さ150mm)を溶接金属2が中心となるように母材1の表面から深さ1mmの採取位置3から採取し、ショットブラスト処理後、炉内温度が80℃である炉内で加熱乾燥させて試験片素材を作製した。
その後、この試験片素材の両面に、塗料(神東塗料(株)製ネオゴーセイプライマーHB)を塗装し膜厚が200〜350μmの試験片(塗装試験片)を作製した。
【0073】
上記塗装試験片に対し、
図2に示すように溶接金属を跨ぐようにクロスカット4を施すことで塗膜傷を模擬した腐食試験片5を作製した。クロスカット4は塗膜の上から下地の鋼表面まで達するスクラッチ傷を、カッターナイフを用いて施した。
その後、得られた腐食試験片5に対し、SAE(Society of Automotive Engineers) J2334に記載された試験(SAEJ2334試験)を行って耐食性を評価した。
【0074】
ここで、SAE J2334試験とは、湿潤、塩分付着、乾燥の3過程を1サイクル(合計24時間)とした乾湿繰り返しの条件で行う加速試験である。各過程の条件は、以下の通りである。
湿潤:50℃、100%RH、6時間、
塩分付着:0.5質量%NaCl、0.1質量%CaCl
2、0.075質量%NaHCO
3水溶液浸漬、0.25時間、
乾燥:60℃、50%RH、17.75時間である。
1サイクルの概略を
図3に示す。
この腐食試験は、飛来塩分量が1mddを超えるような厳しい腐食環境を模擬する試験である。この腐食形態が大気暴露試験に類似しているとされている。
【0075】
以上のようなSAE J2334試験を80サイクル行った後に、各試験片の塗膜が剥離又は膨れた面積を計測し、塗膜剥離・膨れ面積率を算出した。その後、スクレーパーにて容易に剥離可能な表面の残存塗膜を除去した後、さらに生成したさび層をクエン酸アンモニウム溶液にて除去後、溶接金属の領域に限定して腐食深さを13点計測し、平均腐食深さとした。
塗膜剥離・膨れ面積率が50%未満、かつ、塗膜傷部平均腐食深さが0.50mm未満の場合を合格とした。表4にこれらの試験結果をまとめて示す。
【0076】
【表4】
【0077】
表3及び表4中の試験記号No.T1〜T14、T30、T31は本発明例、試験記号No.T21〜T29は比較例である。本発明例の試験記号No.T1〜T14は、溶接金属及び表1中のワイヤ記号W1〜W14の化学成分が本発明の構成要件を満たし、X線透過試験で溶接欠陥(きず)が認められず、側曲げ試験においても溶接金属には微小な割れを生じている兆候は認められず、また、良好な曲げ延性を示していた。そのため、健全な溶接金属が得られていると判断した。
また、溶接金属の引張強さ及びシャルピー吸収エネルギーが良好で、塗装剥離・膨れ面積率は全て50%未満、かつ塗装傷部腐食深さは、全て0.50mm未満であれば、良好な機械的特性、耐食性を持つものと判断した。
表4に示す第3種のきずとは、JIS Z3104附属書4に記載されるように、割れ及びこれに類するきずである。T22、T23、T28の第3種のきずは、溶接ビードの終端にあったことから、いわゆるクレータ割れと推定した。
【0078】
試験記号T10〜T14は、溶接金属にMoが含有されているので、引張強さがやや高い傾向を示したが目標範囲内であった。
【0079】
試験記号T21は、ワイヤ記号W15及び溶接金属中のC含有量が少なく、溶接金属の引張強さが低く、吸収エネルギーが低値であった。
試験記号T22は、ワイヤ記号W16及び溶接金属中のC含有量が多く、溶接金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。また、クレータ割れも生じた。
試験記号T23は、ワイヤ記号W17及び溶接金属中のMn含有量が少なく、溶接金属の引張強さが低値であった。また、Sn含有量が多く、溶接金属の吸収エネルギーが低く、さらにクレータ割れも生じた。
【0080】
試験記号T24は、ワイヤ記号W18及び溶接金属中のMn含有量が多く、溶接金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。また、Sn含有量が少なく、塗膜剥離・膨れ面積率が50%以上で、塗膜傷部平均腐食深さが0.50mm以上となり腐食量が多かった。
試験記号T25は、ワイヤ記号W19及び溶接金属中のSi含有量が少なく、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
試験記号T26は、ワイヤ記号W20及び溶接金属中のCu含有量が少なく、塗膜剥離・膨れ面積率が50%以上で、塗膜傷部平均腐食深さが0.50mm以上となり腐食量が多かった。また、Mo含有量が多く、引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。
【0081】
試験記号T27は、ワイヤ記号W21及び溶接金属中のSi含有量が多く、溶接金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。
試験記号T28は、ワイヤ記号W22及び溶接金属中のSn含有量が少なく、塗膜剥離・膨れ面積率が50%以上で、塗膜傷部平均腐食深さが0.50mm以上となり腐食量が多かった。また、溶接金属中のB含有量が多く、溶接金属の引張強さが高く、クレータ割れが生じた。
試験記号T29、T37は、ワイヤ記号23及び溶接金属中のCu含有量が多く、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、T29は溶接金属中のTi含有量も多く、引張強さが高かった。