特許第6984765号(P6984765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

特許6984765光学装置、および光学装置を備える光学ユニット
<>
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000002
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000003
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000004
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000005
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000006
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000007
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000008
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000009
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000010
  • 特許6984765-光学装置、および光学装置を備える光学ユニット 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984765
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】光学装置、および光学装置を備える光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20211213BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20211213BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20211213BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20211213BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20211213BHJP
【FI】
   H04N5/225 430
   B60S1/62 120B
   B60S1/62 120D
   B60S1/62 120Z
   G03B17/02
   G03B17/55
   G03B17/56 H
   H04N5/225 400
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-559563(P2020-559563)
(86)(22)【出願日】2020年3月6日
(86)【国際出願番号】JP2020009610
(87)【国際公開番号】WO2020230420
(87)【国際公開日】20201119
【審査請求日】2020年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2019-93162(P2019-93162)
(32)【優先日】2019年5月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 康弘
(72)【発明者】
【氏名】永田 真己
(72)【発明者】
【氏名】西山 健次
(72)【発明者】
【氏名】石井 友基
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−083298(JP,A)
【文献】 特開平06−258713(JP,A)
【文献】 特開2017−220308(JP,A)
【文献】 特開2019−011043(JP,A)
【文献】 特開2016−078489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
B60S 1/62
G03B 17/02
G03B 17/55
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学センサの視野方向に配置される透光体と、
前記透光体を保持する筐体と、
前記透光体の温度を調節する温度調節部と、を備え、
前記温度調節部は、前記透光体の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように前記透光体の温度調節を行い、
前記温度調節部は、前記透光体に比べて熱伝導率が高い線状部材であり、
前記線状部材は、前記透光体に設けられ、前記透光体の中心を囲む形状であり、
前記線状部材で囲まれた内側の前記透光体の面積は、外側の面積よりも小さい、光学装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記温度調節部の一部と熱伝導が可能に接続されている、請求項に記載の光学装置。
【請求項3】
前記温度調節部は、前記透光体の内表面または内部に設けられる、請求項1または請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記透光体の表面に付着した異物を除去するために、前記光学センサの視野の中心を軸として前記透光体を回転させる駆動を行う駆動部をさらに備える、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記透光体の表面に付着した異物を除去するために、前記透光体を振動させる駆動を行う駆動部をさらに備える、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記透光体の中心部に対して外側で振動振幅が大きくなる第1の振動モードと、前記透光体の中心部で振動振幅が大きくなる第2の振動モードとで前記透光体を振動させる駆動を行うことができ、
前記温度調節部は、前記駆動部により前記第2の振動モードで前記透光体を振動させることで前記透光体を加熱する、請求項に記載の光学装置。
【請求項7】
前記透光体の中心部で振動振幅が大きくなる振動モードで、前記透光体を振動させる駆動を行う駆動部をさらに備え、
前記温度調節部は、前記駆動部により前記透光体を振動させることで前記透光体を加熱する、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記透光体の表面に洗浄体を吐出させる吐出部をさらに備え、
前記吐出部は、前記透光体の表面に異物が付着した場合に前記洗浄体を吐出する、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項9】
前記洗浄体には、アルコール類が含まれる、請求項に記載の光学装置。
【請求項10】
光学センサの視野方向に配置される透光体と、
前記透光体を保持する筐体と、
前記透光体の温度を調節する温度調節部と、を備え、
前記温度調節部は、前記透光体に比べて熱伝導率が高い線状部材であり、
前記線状部材は、前記透光体に設けられ、前記透光体の中心を囲む形状であり、
前記線状部材で囲まれた内側の前記透光体の面積は、外側の面積よりも小さい、光学装置。
【請求項11】
光学センサの視野方向に配置される透光体と、
前記透光体を保持する筐体と、
前記透光体の温度を調節する温度調節部と、
前記透光体の中心部で振動振幅が大きくなる振動モードで、前記透光体を振動させる駆動を行う駆動部と、を備え、
前記温度調節部は、前記駆動部により前記透光体を振動させることで前記透光体を加熱する、光学装置。
【請求項12】
光学センサと、
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の光学装置とを備える、光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、および光学装置を備える光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の前部や後部に撮像素子などの光学センサを備える光学ユニットを設けて、当該光学ユニットで得た画像を利用して安全装置を制御したり、自動運転制御を行ったりすることが行われている。このような光学ユニットは、車外に設けられることが多いため、外部を覆う透光体(レンズや保護カバー)に雨滴、泥、塵埃等の異物が付着することがある。透光体に異物が付着すると、当該光学ユニットで得た画像に付着した異物が映り込み、鮮明な画像が得られなくなる。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の光学ユニットでは、透光体の表面に付着した異物を除去するため、当該透光体(光学要素)を強固に固着させたハウジングをモータによって回転駆動することで、透光体を回転させている。当該光学ユニットでは、透光体をハウジングと共に回転駆動させることで、透光体の遠心作用によって異物を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019−11043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の光学ユニットでは、透光体の中心を軸として回転駆動させているので、透光体の中心から離れた周縁部において強い遠心作用が働き異物を除去できるが、透光体の中心では異物を除去できない場合があった。つまり、特許文献1に記載の光学ユニットでは、透光体の中心部(中央部)に除去しきれなかった水滴などの残渣が発生して、光学センサの視野の妨げとなっていた。
【0006】
また、降雨や洗浄液の噴射によって、透光体に付着した雨や水滴を回転機構や振動機構のみによって除去しようとする光学ユニットでは、水滴のサイズや付着する場所によって透光体表面に残渣が発生し、光学センサの視野の妨げになることで正確な周囲情報を得ることができない場合があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、透光体に付着した異物を除去することができる光学装置、および光学装置を備える光学ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る光学装置は、光学センサの視野方向に配置される透光体と、透光体を保持する筐体と、透光体の温度を調節する温度調節部と、透光体の表面に付着した異物を除去するために、透光体を駆動する駆動部と、を備え、温度調節部は、透光体の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように透光体の温度調節を行い、温度調節部は、透光体に比べて熱伝導率が高い線状部材であり、線状部材は、透光体に設けられ、透光体の中心を囲む形状であり、線状部材で囲まれた内側の透光体の面積は、外側の面積よりも小さい
【0009】
本発明の一形態に係る光学ユニットは、光学センサと、上記に記載の光学装置とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、温度調節部が、透光体の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように透光体の温度調節を行うので、透光体の表面に付着した異物を周縁部に移動させて除去し、透光体の中心部に残渣を発生させない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態1に係る光学ユニットの構成を説明するための概略図である。
図2】本実施の形態1に係る保護カバーに設けた線状部材の構成を説明するための平面図である。
図3】温度による水の表面張力の変化を示すグラフである。
図4】基準温度に対する水の表面張力差を示すグラフである。
図5】本実施の形態1に係る光学ユニットの変形例の構成を説明するための概略図である。
図6】本実施の形態2に係る保護カバーに設けたヒーターの構成を説明するための平面図である。
図7】本実施の形態2に係る保護カバーに設けたヒーターの別の構成を説明するための平面図である。
図8】本実施の形態3に係る保護カバーを振動させた場合の最大変位点を示す平面図である。
図9】本実施の形態4に係る光学ユニットに設けられた洗浄液の吐出装置の概略図である。
図10】変形例に係る光学ユニットの構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本実施の形態に係る光学ユニットについて図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0013】
(実施の形態1)
以下に、本実施の形態1に係る光学ユニットについて図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態1に係る光学ユニット100の構成を説明するための概略図である。図1(a)は、光学ユニット100の断面図、図1(b)は、光学ユニット100の外観図である。光学ユニット100は、例えば車両の前方、後方などに取り付けられ、物体の形状、色、温度などの情報、物体までの距離などの情報を取得するユニットである。光学ユニット100には、物体の形状、色、温度などの情報、物体までの距離などの情報を取得するための光学センサ1と、当該光学センサ1を保持し、光学センサ1のセンサ面に光を導く光学部材などを含む光学装置10とを含んでいる。光学ユニット100は、支持部2に光学装置10を固定することで車両などに取り付けられる。なお、光学ユニット100が取り付けられる場所は、車両に限られず、船舶、航空機などの他の装置に取り付けられてもよい。
【0014】
光学ユニット100は、車両などに取り付けて屋外で使用する場合、光学センサ1の視野方向に配置され外部を覆う透光体(レンズや保護カバー)に雨滴、泥、塵埃等の異物が付着することがある。そこで、光学装置10では、透光体に付着した異物を除去するための除去手段を設けている。
【0015】
具体的に、光学装置10は、筐体11、筐体11の一面に設けられた透明の保護カバー(透光体)12、保護カバー12を振動させる振動体13を含んでいる。振動体13は、励振回路14に接続され、当該回路からの信号に基づいて保護カバー12を振動させる。振動体13は、除去手段であり、保護カバー12を振動させることで、保護カバー12に付着した異物を除去している。なお、光学センサ1は、保護カバー12の内側に設けられ、筐体11に保持されている。
【0016】
筐体11は、円筒状で、たとえば金属や合成樹脂からなる。なお、筐体11は、角柱状などの他の形状であってもよい。筐体11の一端側に保護カバー12が設けられ、他端側に振動体13が設けられている。
【0017】
振動体13は、例えば、円筒状の形状で、圧電振動子である。圧電振動子は、例えば、厚み方向において分極することで振動する。圧電振動子は、チタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックスからなる。もっとも、(K,Na)NbOなどの他の圧電セラミックスが用いられてもよい。さらにLiTaOなどの圧電単結晶が用いられてもよい。
【0018】
保護カバー12は、筐体11の一端から延びるドーム状の形状を有している。本実施の形態では、このドーム状の形状が半球の形状とされている。なお、光学センサ1は、たとえば170°の視野角を備える。もっとも、ドーム状の形状は半球状の形状に限定されるものではない。半球に、円筒を連ねた形状や、半球よりも小さい曲面形状などを有していてもよい。保護カバー12は、平板でもよい。保護カバー12は、その全体が少なくとも光学センサ1で対象とする波長の光を透過する透光性を有している。そのため、保護カバー12を透過する光は、可視光か不可視光かは問わない。
【0019】
本実施の形態では、保護カバー12がガラスからなる。もっとも、ガラスに限らず、透明なプラスチックスなどの樹脂により構成されていてもよい。あるいは、透光性のセラミックスにより構成されていてもよい。もっとも、用途によっては、強化ガラスを用いることが好ましい。それによって、強度を高めることができる。樹脂の場合、保護カバー12は、アクリル、シクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステルなどが考えられる。さらに、保護カバー12は、表面に、強度を高めるために、DLCなどからなるコーティング層が形成されていてもよく、表面の防汚や雨滴の除去などを目的に、親水膜、撥水膜、親油、撥油などのコーティング層を形成してもよい。
【0020】
保護カバー12は、単なるガラス製のカバーであっても、凹レンズ、凸レンズ、平面レンズなどの光学部品で構成してもよい。保護カバー12の内側にさらに光学部品を有していてもよい。保護カバー12と筐体11との接合方法は、特に問わない。保護カバー12と筐体11とを、接着剤、溶着、嵌合、圧入、などで接合してもよい。
【0021】
保護カバー12内に、前述した光学センサ1が配置されている。光学センサ1は、CMOS(Complementary MOS)、CCD(Charge-Coupled Device)などのイメージセンサであっても、レーザーを使用するLiDAR(Light Detection and Ranging)などであってもよい。光学センサ1にイメージセンサを用いた場合、光学センサ1は、保護カバー12を通して外部の被撮像物の撮影を行う。
【0022】
保護カバーに付着した異物を除去するための除去手段としては、振動体13以外に保護カバーを回転させる回転機構がある。当該回転機構を用いて保護カバーに付着した異物を除去する場合、保護カバーを回転させると、保護カバーの周縁部側の回転量が大きく、中心部側の回転量が少ない。すなわち、保護カバーにおいて、中心部側へ負荷される遠心作用は、周縁部側へ負荷される遠心作用よりも小さくなるので、保護カバーに付着した水滴は、保護カバーの中心部側が、周縁部側に比べて洗浄されに難い。したがって、光学センサの光軸と保護カバーの回転軸とが一致するように構成されると、光学センサの視野の中心部と保護カバーの中心部とが一致することになるため、保護カバーの中心部に残った水滴が光学センサの視野の妨げとなる。なお、光学センサの視野の中心部と保護カバーの中心部とが一致している場合を説明したが、必ずしも光学センサの視野の中心部と保護カバーの中心部とが一致していなくてもよい。
【0023】
そこで、本実施の形態1に係る光学装置10では、保護カバー12の中心部に異物(例えば、水滴など)が残らないように、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように保護カバー12の温度調節を行う、温度調節部を設けている。つまり、温度調節部では、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせている。このような温度勾配が生じると、高温側の表面張力が小さくなる一方、低温側の表面張力が大きくなる。温度勾配による表面張力の変化により、水滴を低温側に移動させるマランゴニ対流が発生することが知られている。この対流を利用することで、水滴内の重心を移動させて、保護カバー12の表面に付着した水滴を保護カバー12の中心部から周縁部へ効果的に除去することができる。
【0024】
具体的に、温度調節部として、保護カバー12の表面に保護カバー12に比べて熱伝導率が高い線状部材を設けている。図2は、本実施の形態1に係る保護カバー12に設けた線状部材の構成を説明するための平面図である。図2(a)は、保護カバー12の中心を囲む位置に円形状の線状部材15aが設けられている。図2(b)は、保護カバー12の中心を囲む位置に鍵穴形状の線状部材15bが設けられている。
【0025】
線状部材15a,15bは、保護カバー12の中心と周縁部との間に設けられ、線状部材15a,15bで囲まれた内側の保護カバー12の面積は、外側の面積よりも小さい。線状部材15a,15bは、保護カバー12よりも熱を伝導しやすい材料で形成されており、熱を放射状に伝熱する。このため、線状部材15a,15bからの熱は、保護カバー12における内側に拡散されるとともに、外側にも拡散される。線状部材15a,15bで囲まれた内側の保護カバー12の面積は、外側の面積よりも小さいので、線状部材15a,15bで囲まれた内側の保護カバー12が、外側よりも高温になる。
【0026】
さらに、線状部材15a,15bで囲まれた内側の中心に向かうほど保護カバー12の面積が小さくなることから、線状部材15a,15bから内側に伝熱された熱により保護カバー12の中心に向かうほど高温になる。これにより、保護カバー12は、線状部材15a,15bを設けることで、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように温度調節を行うことができる。つまり、線状部材15a,15bは、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせ、保護カバー12の表面に付着した水滴の表面張力に作用して、水滴を周縁部に移動させることができる。
【0027】
線状部材15a,15bは、熱を伝導しやすい材料であればよく、透明電極材料、各種コーティング材料などで形成される。なお、線状部材15a,15bに親水コーティングや撥水コーティングとすることで、保護カバー12に温度勾配を生じさせるとともに、親水機能や撥水機能を付与することができる。なお、線状部材15a,15bを用いて温度勾配を生じさせる場合、線状部材15a,15bを設ける以外の領域に、熱を伝導し難い材料を用いることでより大きい温度勾配を生じさせることができる。また、線状部材15a,15bは、保護カバー12の内表面(光学センサ1側の表面)または内部に設けられる。さらに、線状部材15a,15bは、線状部材15a,15bで囲まれた内側の保護カバー12の面積が、外側の面積よりも小さければ、円形状、鍵穴形状に限定されない。線状部材15a,15bは、例えば、矩形状や多角形状であってもよい。
【0028】
ここで、水の表面張力について説明する。図3は、温度による水の表面張力の変化を示すグラフである。図3では、横軸を温度[℃]、縦軸を表面張力[dyn/cm]としている。図3から分かるように、温度が高くなるに従い水の表面張力が小さくなっている。例えば、0℃での水の表面張力が約75dyn/cmであるのに対して、100℃での水の表面張力が約60dyn/cmである。
【0029】
次に、基準温度に対して水の表面張力がどの程度変化するのかを説明する。図4は、基準温度に対する水の表面張力差を示すグラフである。図4では、横軸を温度差[℃]、縦軸を表面張力差[dyn/cm]としている。図4(a)では、基準温度を20℃とした場合の温度差に対する表面張力差の変化を示し、図4(b)では、基準温度を40℃とした場合の温度差に対する表面張力差の変化を示している。基準温度を20℃とした場合に40℃変化すると水の表面張力差が約6dyn/cm小さくなるが、基準温度を40℃とした場合に40℃変化すると水の表面張力差が約7dyn/cm小さくなる。
【0030】
温度調節部では、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせているが、図4に示すように温度勾配を発生させる基準温度や温度勾配は特に限定されない。また、図3に示すように、温度勾配を大きくすることで、表面張力差を大きくできるため、より効果的に水滴を周縁部に移動させて除去できる。
【0031】
なお、本実施の形態1に係る光学ユニット100では、振動体13を設けて保護カバー12を振動させる構成について説明したが、温度調節部で保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせるだけでも、保護カバー12の表面に付着した異物(例えば、水滴など)を除去することができる。つまり、温度調節部は、保護カバー12の表面に付着した異物を除去するための除去手段として用いることが可能で、光学ユニット100は、温度調節部のみ設けてもよい。
【0032】
逆に、保護カバー12を振動させる振動体13、回転させる回転機構は、駆動させることにより発熱し、その熱が筐体11を介して保護カバー12に伝熱する可能性がある。これにより、保護カバー12は、周縁部側が振動体13、回転機構からの伝熱により高温となり、中心が周縁部よりも低温になる温度勾配を生じさせることがある。保護カバー12の中心が周縁部よりも低温になると、保護カバー12の表面に付着した水滴が、保護カバー12の中心側に移動しようと作用し、保護カバー12の中心部に集まって除去され難くなる。そのため、光学ユニット100は、振動体13、回転機構を設けた場合、温度調節部で保護カバー12の周縁部から中心に向かってより温度が高くなる大きな温度勾配を生じさせる必要がある。
【0033】
例えば、温度調節部は、線状部材に代えて、保護カバー12に比べて熱伝導率が高い面状部材とする。面状部材は、保護カバー12の中心を含む一部に設ける。図5は、本実施の形態1に係る光学ユニットの変形例の構成を説明するための概略図である。光学ユニット100aは、図1に示した光学ユニット100において線状部材に代えて面状部材16を設けた以外は同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。光学装置10aは、図1に示した光学装置10において線状部材に代えて面状部材16を設けた以外は同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
面状部材16は、熱を伝導しやすい材料であればよく、透明電極材料、各種コーティング材料などで形成される。なお、面状部材16に親水コーティングや撥水コーティングとすることで、保護カバー12に温度勾配を生じさせるとともに、親水機能や撥水機能を付与することができる。なお、面状部材16を用いて温度勾配を生じさせる場合、線状部材15a,15bを設ける以外の領域に、熱を伝導し難い材料を用いることでより大きい温度勾配を生じさせることができる。
【0035】
また、面状部材16は、保護カバー12の内表面(光学センサ1側の表面)または内部に設けられる。面状部材16は、図5に示すように光学センサ1を含めた基板側からの熱により温められる。一方、保護カバー12の周縁部は、筐体11を介して放熱する。そのため、面状部材16は、保護カバー12の周縁部から中心に向かってより温度が高くなり、大きな温度勾配を生じさせることができる。特に、図5に示すように、保護カバー12の形状を凸形状とすることで、保護カバー12の内表面に設けた面状部材16の部分に熱を滞留させて、光学センサ1を含めた基板側からの熱で面状部材16を温めることができ、より大きい温度勾配を実現することができる。
【0036】
なお、図5では、保護カバー12の中心部にのみ面状部材16を設けているが、保護カバー12の全面に面状部材を設け、保護カバー12の周縁部に比べ、保護カバー12の中心部で高い密度となるように設けてもよい。高い密度で面状部材16を設けた保護カバー12の中心部は、低い密度で面状部材16を設けた保護カバー12の周縁部に比べ、光学センサ1を含めた基板側からの熱でより温められる。さらに、保護カバー12において、面状部材16を設けていない領域については、面状部材16よりも低熱伝導の面状部材を設け、保護カバー12の全面に面状部材を設けてもよい。
【0037】
また、筐体11が、温度調節部の一部と熱伝導が可能に接続されてもよい。図2(b)で示したように、鍵穴形状の線状部材15bは、保護カバー12の中心を囲む位置に設けられ、鍵穴形状の直線部分が保護カバー12の周縁部まで延びて筐体11に接続されている。これにより、温度調節部である線状部材15bは、筐体11からの熱(例えば、振動体13の振動による熱、回転機構からの熱など)を利用することが可能となる。
【0038】
以上のように、本実施の形態1に係る光学装置10では、光学センサ1の視野方向に配置される保護カバー12と、保護カバー12を保持する筐体11と、保護カバー12の温度を調節する温度調節部(例えば、線状部材15a,15b、面状部材16)と、を備える。温度調節部は、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように保護カバー12の温度調節を行う。
【0039】
そのため、本実施の形態1に係る光学装置10は、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように保護カバー12の温度調節を行うので、保護カバー12の表面に付着した異物を周縁部に移動させて除去し、保護カバー12の中心部に残渣を発生させない。
【0040】
温度調節部は、保護カバー12に比べて熱伝導率が高い線状部材であり、線状部材は、保護カバー12に設けられ、保護カバー12の中心を囲む形状であり、線状部材で囲まれた内側の保護カバー12の面積は、外側の面積よりも小さくてもよい。これにより、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせることができる。
【0041】
温度調節部は、保護カバー12の内表面または内部に設けられてもよい。これにより、光学センサ1を含めた基板側からの熱を利用することができる。
【0042】
保護カバー12の表面に付着した異物を除去するために、光学センサ1の視野の中心を軸として保護カバー12を回転させる駆動を行う駆動部をさらに備えてもよい。これにより、保護カバー12の表面に付着した異物を、遠心作用より除去することができる。
【0043】
保護カバー12の表面に付着した異物を除去するために、保護カバー12を振動させる駆動を行う駆動部をさらに備えてもよい。これにより、保護カバー12の表面に付着した異物を、保護カバー12の振動で除去することができる。
【0044】
光学ユニット100,100aは、光学センサ1と、上記に記載の光学装置10とを備える。これにより、光学ユニット100,100aは、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように保護カバー12の温度調節を行うので、保護カバー12の表面に付着した異物を周縁部に移動させて除去し、保護カバー12の中心部に残渣を発生させない。
【0045】
なお、温度調節部として、保護カバー12の表面に設けた線状部材15a,15b、面状部材16を温めるために、光学センサ1からの発熱を利用してもよい。この場合、光学センサ1からの発熱を、筐体11内の空気による伝熱を利用した熱設計になるので、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせるために、光学装置は、付加的な電力消費を必要としない。保護カバー12の表面に、熱を伝導しやすい材料を挿入、貼り付け、パターニングなどして線状部材15a,15b、面状部材16を形成する以外に、温度調節部として、保護カバー12の厚みを変化させることで熱伝導率を変更させてもよく、保護カバー12に保温材料を設けてもよい。
【0046】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る光学装置では、保護カバー12の温度を調節する温度調節部として、例えば、線状部材15a,15b、面状部材16を設け、保護カバー12に温度勾配を生じさせる構成を説明した。本実施の形態に係る光学装置では、ヒーターで保護カバー12を加熱して温度勾配を生じさせる構成について説明する。
【0047】
図6は、本実施の形態2に係る保護カバーに設けたヒーターの構成を説明するための平面図である。なお、本実施の形態2に係る光学ユニットは、図1に示した光学ユニット100において線状部材に代えてヒーターが設けられている以外は同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。また、本実施の形態2に係る光学装置は、図1に示した光学装置10において線状部材に代えてヒーターが設けられている以外は同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0048】
図6(a)は、保護カバー12の中心部に環状のヒーター17aが設けられている。図6(b)は、保護カバー12の中心部に櫛歯状のヒーター17bが設けられている。ヒーター17a,17bは、保護カバー12の中心部に設けられ、中心部から周縁部に延びる配線により電力を供給している。ヒーター17a,17bは、抵抗ヒーターであり、電力を供給することで積極的に加熱することができる。このため、ヒーター17a,17bからの熱は、保護カバー12における中心部を温めるため、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなるように保護カバー12の温度調節を行うことができる。つまり、ヒーター17a,17bは、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせ、保護カバー12の表面に付着した水滴の表面張力に作用して、水滴を周縁部に移動させることができる。
【0049】
ヒーター17a,17bは、透明電極材料を用いることで光学設計への影響を低減することができる。なお、透明電極材料の透明とは、光学センサ1で対象とする波長の光を透過するという意味である。ここで、透明電極材料としては、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、グラフェンなどのカーボン材料が考えられる。また、ヒーター17a,17bは、保護カバー12の内表面(光学センサ1側の表面)または内部に設けられる。さらに、ヒーター17a,17bは、保護カバー12の中心部に設けられていれば、環状、櫛刃状に限定されない。ヒーター17a,17bは、例えば、矩形状や多角形状であってもよい。
【0050】
保護カバー12にヒーター17a,17bを設ける場合、ヒーター17a,17bを加熱させるための回路、保護カバー12の温度をモニタリングするための温度センサ機能などを設けてもよい。
【0051】
保護カバー12にヒーターを設ける構成は、図6に示した保護カバー12の中心部に設ける構成に限定されない。例えば、ヒーターを構成する線状の導電材料を、保護カバー12の中心部から周縁部にかけて、間隔が広くなるように配置してもよい。図7は、本実施の形態2に係る保護カバーに設けたヒーターの別の構成を説明するための平面図である。図7(a)では、保護カバー12の中心部から周縁部にかけて、複数の同心円状の導電材料を配置したヒーター17cの一例を示し、図7(b)では、保護カバー12の中心部から周縁部にかけて、らせん形状に導電材料を配置したヒーター17dの一例を示している。
【0052】
ヒーター17c,17dは、図7(a)および図7(b)から分かるように、保護カバー12の周縁部に比べ、高い密度で保護カバー12の中心部に導電材料を設けている。これにより、ヒーター17c,17dは、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせ、保護カバー12の表面に付着した水滴の表面張力に作用して、水滴を周縁部に移動させることができる。なお、光学装置が保護カバー12を回転させる回転機構を有している場合、当該回転機構の回転方向と、ヒーター17dの導電材料のらせん方向とが同一回転方向になっている方が好ましい。
【0053】
ヒーターは、一例として抵抗ヒーターを説明したが、これに限定されない。例えば、保護カバー12の中心部に温風を吹き付ける温風ヒーター(ブロワー)であってもよい。保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせることができるヒーターであれば、何れの形式のヒーターであってもよい。
【0054】
以上のように、本実施の形態2に係る光学装置では、温度調節部が、ヒーターである。特に、ヒーターは、保護カバー12の表面に透明電極材料で形成した抵抗ヒーターである。これにより、ヒーターは、保護カバー12の中心部を積極的に加熱して、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせることができる。
【0055】
抵抗ヒーターは、保護カバー12の周縁部に比べ、高い密度で保護カバー12の中心部に設けてもよい。これにより、ヒーターは、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせることができる。
【0056】
(実施の形態3)
実施の形態2に係る光学装置では、保護カバー12の温度を調節する温度調節部として、例えば、ヒーター17a,17bを設けて加熱し、保護カバー12に温度勾配を生じさせる構成を説明した。本実施の形態に係る光学装置では、ヒーターを用いずに加熱して保護カバー12に温度勾配を生じさせる構成について説明する。
【0057】
図8は、本実施の形態3に係る保護カバーを振動させた場合の最大変位点を示す平面図である。図8(a)では、振動のみで保護カバーを加熱する構成を示し、図8(b)では、振動とヒーターとを組み合わせて保護カバーを加熱する構成を示している。なお、本実施の形態3に係る光学ユニットは、図1に示した光学ユニット100において線状部材を設けていない点以外は同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。また、本実施の形態3に係る光学装置は、図1に示した光学装置10において線状部材を設けていない点以外は同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0058】
本実施の形態3に係る光学装置でも、振動体13を有しており、振動体13の振動との結合により保護カバー12を振動させ、振動の機械的損失を利用した保護カバー12を加熱している。光学装置は、図1(b)で説明したように、筐体11の一端側に保護カバー12が設けられ、他端側に振動体13が設けられている。なお、光学装置は、筐体11、保護カバー12、振動体13を有していればよく、その組合せの順番は問わない。
【0059】
保護カバー12は、振動体13の幅振動とその高次振動、あるいは厚み縦振動の結合により、図8(a)に示すように保護カバー12の中心部で最大変位点18aがくるように振動が励振される。振動体13の励振周波数は、例えば500kHz以上とし、当該励振周波数以上で保護カバー12を振動すれば、振動の機械的損失による発熱をより効果的に行うことができる。
【0060】
光学装置では、振動体13を振動させることで保護カバー12の中心部に対して外側で振動振幅が大きくなる第1の振動モードと、保護カバー12の中心部で振動振幅が大きくなる第2の振動モードとで保護カバー12を振動させることができる。つまり、第1の振動モードは、霧化モードで、図8(a)に示すように保護カバー12の中心部から引いた線分上で保護カバー12の最大変位点18bがくるように振動である。最大変位点18bは、保護カバー12の中心部または中心部の近傍で、中心部と周縁部とを結ぶ線分上に位置する。一方、第2の振動モードは、加熱モードで、振動変位の大きい部分が保護カバー12の中心部(振動の腹)で、振動変位の小さい部分が保護カバー12の周縁部(振動の節)になっている。
【0061】
光学装置では、第2の振動モード(例えば500kHz以上)で保護カバー12を振動させることで、保護カバー12の最大変位点18aを振動させ、振動の機械的損失を利用して保護カバー12を加熱している。一方、光学装置は、第1の振動モード(例えば50kHz以上)で保護カバー12の最大変位点18bを振動させることで、保護カバー12の表面に付着した水滴を霧化して異物を除去している。
【0062】
なお、光学装置は、保護カバー12を第2の振動モード(加熱モード)で振動させることになる発熱機構を採用することで、保護カバー12に熱を伝導しやすい材料、透明電極などの付加的な要素を設ける必要はなくなる。そのため、光学装置は、保護カバー12の透明度を高く維持することができ、鮮明な情報を光学センサ1で取得することができるとともに、保護カバー12上の構造が簡素化できる。なお、光学装置は、第1の振動モード(霧化モード)と、第2の振動モード(加熱モード)とのいずれかの振動モードで保護カバー12を振動させることができると説明したが、第2の振動モード(加熱モード)で保護カバー12を振動させるだけの構成でもよい。
【0063】
図8(b)では、保護カバー12の振動による加熱に加えて、ヒーター17aを光学装置に設けている。そのため、光学装置は、保護カバー12の最大変位点18aを振動させて保護カバー12を加熱しても、十分な温度勾配を生じさせることができない場合に、ヒーター17aで保護カバー12を加熱することが可能となる。
【0064】
以上のように、本実施の形態3に係る光学装置では、励振回路14(駆動部)は、保護カバー12の中心部に対して外側で振動振幅が大きくなる第1の振動モードと、保護カバー12の中心部で振動振幅が大きくなる第2の振動モードとで保護カバー12を振動させる駆動を行うことができる。温度調節部は、励振回路14により第2の振動モードで保護カバー12を振動させることで保護カバー12を加熱する。これにより、光学装置は、保護カバー12の最大変位点18を加熱して、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせることができる。
【0065】
保護カバー12の中心部で振動振幅が大きくなる振動モードで、保護カバー12を振動させる駆動を行う駆動部をさらに備え、温度調節部は、駆動部により保護カバー12を振動させることで保護カバー12を加熱してもよい。駆動部は、加熱モードで保護カバー12を振動させるだけの構成でもよい。
【0066】
(実施の形態4)
実施の形態1に係る光学装置では、振動体13で保護カバー12を振動させることで、保護カバー12に付着した異物を除去していると説明した。本実施の形態に係る光学装置では、当該振動体に加えて保護カバーの表面に洗浄液を吐出する構成を有している。
【0067】
図9は、本実施の形態4に係る光学ユニット100bに設けられた洗浄液の吐出装置の概略図である。なお、本実施の形態4に係る光学ユニット100bは、図1に示した光学ユニット100において吐出装置を設けている点以外は同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。また、本実施の形態4に係る光学装置10bは、図1に示した光学装置10において吐出装置を設けている点以外は同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0068】
筐体11は、図9に示すように保護カバー12に洗浄液を吐出する吐出装置19を設けている。吐出装置19は、図示していない洗浄液の貯蔵タンクから洗浄液が供給され、開口部から保護カバー12の表面に洗浄液を吐出する。なお、吐出装置19の開口部の先端は、光学センサ1の視野の外部にあり、当該開口部が、光学センサ1に影響を与えていない。本実施の形態では、筐体11に吐出装置19の開口部を1つ設けた構成を示したが、筐体11に吐出装置の開口部を複数設けてもよい。
【0069】
なお、本実施の形態では、光学ユニットに設けた吐出装置19が洗浄液を保護カバー12の表面に吐出して洗浄することが可能な構成として説明するが、洗浄液に代えて空気を保護カバー12の表面に吐出して洗浄してもよい。つまり、吐出装置19は、保護カバー12の表面に洗浄体である洗浄液や空気を吐出する。
【0070】
吐出装置19は、保護カバー12の表面に付着した異物を除去するための洗浄液の吐出する装置であり、洗浄液には、寒冷地での使用を考慮して、凍結温度を低下させるためアルコール類が含まれていてもよい。含まれるアルコールには、メタノール、エタノールなどがある。また、洗浄液には、界面活性剤を含めてもよい。吐出装置19は、降雨時に保護カバー12の表面に洗浄液を吐出することで、降雨の凍結を防止でき、光学装置10bは、保護カバー12を振動するなどすることで効果的に水滴を除去することができる。
【0071】
また、吐出装置19は、降雨時に保護カバー12の表面に洗浄液を吐出すると、雨と洗浄液とが混合されるので洗浄液に含まれるアルコール濃度が低下し、温度勾配による温度差で表面張力差が大きくなる。例えば、温度調節部(例えば、線状部材15a,15b、面状部材16)により、保護カバー12の中心部の温度が25℃で、周縁部の温度が20℃となる温度勾配を生じさせた場合、メタノール水溶液の表面張力差は、40mass%(質量%)以下の濃度になると約0.10dyn/cm(=mN/m)以上となる。同様に、エタノール水溶液の表面張力差は、50mass%(質量%)以下の濃度になると約0.11dyn/cm(=mN/m)以上となる。表面張力差が大きいほうが、水滴の重心が移動しやすいため、保護カバー12の表面に付着した水滴を効果的に除去できる。
【0072】
以上のように、本実施の形態4に係る光学装置10bでは、保護カバー12の表面に洗浄体を吐出させる吐出装置19をさらに備え、吐出装置19は、保護カバー12の表面に異物が付着した場合に洗浄液を吐出する。これにより、光学装置10bは、吐出装置19で吐出した洗浄液で保護カバー12の表面に付着した異物を除去することができる。
【0073】
なお、洗浄液の吐出装置19は、車両のフロントガラスに洗浄液を吐出する機構と共用であってもよい。車両のフロントガラスに洗浄液を吐出する機構と共用することで、洗浄液の貯蔵タンクや吐出用ポンプを別途設ける必要がないため、洗浄液を吐出する可能な光学装置10bの低コスト化、少スペース化ができる。
【0074】
また、本実施の形態4に係る光学装置10bは、他の実施の形態の構成と組み合わせ可能である。さらに、当該光学装置10bは、振動体13に加えて保護カバー12の表面に洗浄液を吐出する吐出装置19を設けていると説明したが、振動体13に代えて回転機構に吐出装置19を組み合わせてもよい。もちろん、当該光学装置10bは、振動体13、回転機構を設けずに吐出装置19のみを設けてもよい。
【0075】
(その他の変形例)
前述の実施の形態に係る光学装置では、保護カバー12がドーム状の形状であると説明したが、板状の形状であってもよい。図10は、変形例に係る光学ユニット100cの構成を説明するための概略図である。光学ユニット100cには、物体の形状、色、温度などの情報、物体までの距離などの情報を取得するための光学センサ1と、当該光学センサ1を保持し、光学センサ1のセンサ面に光を導く光学部材などを含む光学装置10cとを含んでいる、光学装置10cは、筐体11、筐体11の一面に設けられた板状の透明な保護カバー12a、保護カバー12aを振動させる振動体13を含んでいる。
【0076】
前述の実施の形態に係る光学装置では、保護カバー12に温度勾配を生じさせる温度調節部として、保護カバー12に線状部材15a,15bなどを設けて基板側からの伝熱を利用する構成や、ヒーター17aなどの加熱機構を設ける構成を説明した。しかし、これに限られず、光学装置は、周辺部(例えば、振動体13、回転機構)からの放熱を利用してもよい。
【0077】
前述の実施の形態に係る光学装置では、加熱機構としてヒーター17aなどを設ける構成について説明したが、当該ヒーターは融雪機能や除霜機能のためのヒーターとは異なり、保護カバー12の周縁部から中心に向かって温度が高くなる温度勾配を生じさせることができる。そのため、光学装置では、温度勾配を生じさせる加熱機構と融雪機能や除霜機能のための加熱機構とを併用してもよい。もちろん、光学装置は、温度勾配を生じさせる加熱機構を融雪機能や除霜機能のために利用してもよい。
【0078】
前述の実施の形態に係る光学ユニットは、カメラ、LiDAR,Raderなどを含んでもよい。
【0079】
前述の実施の形態に係る光学ユニットは、車両に設けられる光学ユニットに限定されず、光学センサの視野に配置される保護カバー12を洗浄する必要がある用途の光学ユニットに対しても同様に適用することができる。
【0080】
前述の実施の形態に係る光学ユニットでは、保護カバーの表面に付着した異物を除去する除去手段として、振動体、回転機構、吐出装置を説明したが、これに限定されない。除去手段は、保護カバーの表面に付着した異物を除去できれば、いずれの構成でもよく、例えばワイパーなどで物理的に異物を除去する機構であってもよい。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 光学センサ、10 光学装置、11 筐体、12 保護カバー、13 振動体、14 励振回路、15a,15b 線状部材、16 面状部材、17a〜17d ヒーター、19 吐出装置、100 光学ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10