(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.加飾シート
本開示の加飾シートは、少なくとも、基材層、部分的に設けられた盛上層、及び第1樹脂層をこの順に備え、第1樹脂層は、艶消剤を含み、盛上層は、粒子を含んでいることを特徴とする。本開示の加飾シートは、このような構成を備えることにより、優れた触感と意匠性とを両立できる。より具体的には、基材層の上に部分的に設けられた盛上層による加飾シート表面の凹凸形状によって優れた触感が付与されており、かつ、艶消剤を含む第1樹脂層が盛上層の上に形成されることによって、加飾シートを平面視した際に、第1樹脂層に基づく意匠が盛上層によって阻害されることが抑制されており、所望の意匠を好適に発揮できる。
【0012】
以下、本開示の加飾シートについて詳述する。なお、本明細書において、数値範囲については、「以上」、「以下」と明記している箇所を除き、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
【0013】
加飾シートの積層構造
本開示の加飾シート10は、
図1から
図6に示されるように、少なくとも、基材層1、盛上層2、第1樹脂層11をこの順に積層された積層構造を有する。盛上層2は、基材層1の上に、部分的に設けられる。また、盛上層2は、基材層1の上に、複数設けられる。本開示の加飾シート10においては、複数の盛上層2が基材層1の上に部分的に設けられることによって、表面が凹凸形状を有する。
【0014】
第1樹脂層11は、盛上層2の少なくとも一部の上に設けられる。第1樹脂層11は、盛上層2の全面の上に設けられることが好ましく、さらには加飾シート10の一方側の全面に設けられることがより好ましい。
図1から
図6には、第1樹脂層11が、加飾シート10の一方側の全面に設けられる態様を図示している。
【0015】
図2から
図7に示されるように、本開示の加飾シート10においては、必要に応じて、第1樹脂層11の盛上層2側とは反対側に、第2樹脂層12を設けてもよい。第2樹脂層12は、第1樹脂層11の盛上層2側とは反対側の全面に設けられていてもよいし(
図4を参照)、部分的に設けてもよい(
図2、
図3、
図5、
図6及び
図7を参照)。第2樹脂層12は、第1樹脂層11の少なくとも一部の上に設けられる。
図2、
図3、
図5、
図6及び
図7には、第2樹脂層12が、第1樹脂層11の一部の上に設けられる態様を示しており、より具体的には、
図2、
図3及び
図7には、第1樹脂層11の一部の上であって、かつ、盛上層2の全面の上に第2樹脂層12が設けられる態様を示しており、
図5及び
図6には、第1樹脂層11の一部の上であって、かつ、盛上層2の一部の上に第2樹脂層12が設けられる態様を示している。
【0016】
図7に示されるように、本開示の加飾シート10においては、必要に応じて、盛上層2の第1樹脂層11側とは反対側に、第3樹脂層13を設けてもよい。本開示の加飾シートにおいて、第3樹脂層13は、盛上層2の第1樹脂層11側とは反対側の全面に設けてもよいし(
図7を参照)、部分的に設けてもよい。
【0017】
本開示の加飾シート10においては、必要に応じて、基材層1と盛上層2との間に、絵柄層3が設けられていてもよい。また、図示は省略するが、加飾シート10には、盛上層2と絵柄層3との間にプライマー層などが設けられてもよいし、基材層1と絵柄層3との間に隠蔽層などが設けられてもよいし、基材層の裏面(盛上層2側とは反対側)に裏面接着層などが設けられてもよいし、任意の位置にその他の層を設けてもよい。
【0018】
本開示の加飾シートの積層構造として、基材層1/盛上層2/第1樹脂層11がこの順に積層された積層構造;基材層1/盛上層2/第1樹脂層11/第2樹脂層12がこの順に積層された積層構造;基材層1/絵柄層3/盛上層2/第1樹脂層11がこの順に積層された積層構造;基材層1/絵柄層3/第3樹脂層13/盛上層2/第1樹脂層11/第2樹脂層12がこの順に積層された積層構造;及び基材層1/絵柄層3/盛上層2/第1樹脂層11/第2樹脂層12がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。
図1に、本開示の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層1/盛上層2/第1樹脂層11がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
図2及び
図4に、本開示の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層1/盛上層2/第1樹脂層11/第2樹脂層12がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
図3、
図5及び
図6に、本開示の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層1/絵柄層3/盛上層2/第1樹脂層11/第2樹脂層12がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
図7に、本開示の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層1/絵柄層3/第3樹脂層13/盛上層2/第1樹脂層11/第2樹脂層12がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。なお、「/」は、層間の区切りを意味している。
【0019】
加飾シートを形成する各層の組成
[基材層1]
基材層1は、本開示の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)である。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、成形性や成形樹脂との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。当該熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある)、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂(以下「ASA樹脂」と表記することもある)、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂及びアクリル樹脂が成形性の観点から好ましい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
【0020】
基材層1の曲げ弾性率については、特に制限されない。例えば、本開示の加飾シートをインサート成形法によって成形樹脂と一体化させる場合には、本開示の加飾シートにおける基材層1の25℃における曲げ弾性率が500〜4,000MPa、好ましくは750〜3,000MPaが挙げられる。ここで、25℃における曲げ弾性率は、JIS K7171:2016に準拠して測定された値である。25℃における曲げ弾性率が500MPa以上であると、加飾シートは十分な剛性を備え、インサート成形法に供しても、表面特性と成形性がより一層良好になる。また、25℃における曲げ弾性率が4,000MPa以下であると、ロール トゥ ロールで製造する場合に十分な張力をかけることができ、たるみが発生し難くなるため、絵柄がずれることなく重ねて印刷でき、所謂絵柄見当が良好となる。
【0021】
基材層1は、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、片面又は両面に表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、酸化法などの化学的表面処理及び凹凸化法などの物理的表面処理が挙げられる。酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層1を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
【0022】
また、基材層1は公知の接着層を形成する等の処理を施してもよい。
【0023】
更に、基材層1は、着色剤を用いて着色されていてもよく、着色されていなくてもよい。また、基材層1は、不透明、無色透明、着色透明、及び半透明のいずれの態様であってもよい。基材層1に用いられる着色剤としては、特に制限されないが、好ましくは150℃以上の温度条件でも変色しない着色剤が挙げられ、具体的には、既存のドライカラー、ペーストカラー、マスターバッチ樹脂組成物等が挙げられる。
【0024】
基材層1の厚みは、加飾シートの用途、成形樹脂と一体化させる成形法等に応じて適宜設定されるが、通常25〜1000μm程度、50〜700μm程度が挙げられる。より具体的には、本開示の加飾シートをインサート成形法に供する場合であれば、基材層1の厚みとして、通常50〜1000μm程度、好ましくは100〜700μm程度、更に好ましくは100〜500μm程度が挙げられる。また、本開示の加飾シートを射出成形同時加飾法に供する場合であれば、基材層1の厚みとして、通常25〜200μm程度、好ましくは50〜200μm程度、更に好ましくは70〜200μm程度が挙げられる。
【0025】
[盛上層2]
本開示の加飾シートでは、基材層1の上に、粒子を含む盛上層2が形成されている。本開示における盛上層2は、いわゆる盛上げ印刷層として、加飾シートの表面に凹凸形状に基づく所望の触感を付与するように、盛上げ印刷によって形成されることが好ましい。なお、本開示において、盛上層2とは、
図1から
図7に示すような断面模式図において凸形状で示される形態であり、例えば、加飾シート表面において円錐状又は円柱状の突起が形成されている形態だけでなく、導管模様のような、突起が線状に伸びて形成されている形態も含む。
【0026】
本開示の加飾シートの盛上層2の平均厚み(高さ)は、盛上層2の上に第1樹脂層11、さらには必要に応じて第2樹脂層12が積層された加飾シートにおいて、優れた触感を発現させる観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上である。また、盛上層2の平均厚みの好ましい上限については、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは50μm未満であり、さらに好ましくは40μm以下である。盛上層2の平均厚みを上記の範囲に設定することにより、加飾シートの触感と意匠性とをより好適に高めることができる。なお、本明細書において、盛上層2の平均厚みは、加飾シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、10点の測定値の平均値として算出した値である。走査型電子顕微鏡(SEM)の観察は、加速電圧3.0kV、拡大倍率50,000倍の条件にて行った。
【0027】
盛上層2を形成する樹脂は、盛上層2の変形を抑制し、所望の形状とする観点から、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂(例えば、電子線硬化性樹脂)等の硬化性樹脂が好ましい。特に電離放射線硬化性樹脂は、高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
【0028】
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化性ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
【0029】
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加できる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等を不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等をエポキシ樹脂に添加できる。メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、及びアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤は、不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
【0030】
熱硬化性樹脂で盛上層2を形成する方法として、例えば、熱硬化性樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の塗布法で塗布し、乾燥及び硬化させる方法が挙げられる。
【0031】
電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、盛上層2の形成において好適に使用される。
【0032】
<電離放射線硬化性樹脂>
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
加飾樹脂成形品の製造に用いられる場合など、加飾シートに三次元成形性が要求される場合は、上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂として多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合、優れた三次元成形性を得る観点からは、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂と組み合わせて使用することが好ましく、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能(メタ)アクリレートモノマーと熱可塑性樹脂との質量比を25:75〜75:25とすることがより好ましい。以下、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートについて、詳述する。
【0035】
<多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート>
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有するものであれば、特に制限されない。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜6個が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールの水酸基の一部又は全てを(メタ)アクリレート(アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル)に変換して得られる。このエステル化反応は、通常のエステル化反応によって行うことができる。例えば、1)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとを、塩基存在下に縮合させる方法、2)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物とを、触媒存在下に縮合させる方法、或いは3)ポリカーボネートポリオールとアクリル酸又はメタクリル酸とを、酸触媒存在下に縮合させる方法等が挙げられる。
【0037】
ポリカーボネートポリオールは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端又は側鎖に2個以上、好ましくは2〜50個、更に好ましくは3〜50個の水酸基を有する重合体である。当該ポリカーボネートポリオールの代表的な製造方法は、ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とから重縮合反応による方法が挙げられる。
【0038】
ポリカーボネートポリオールの原料として用いられるジオール化合物(A)は、一般式HO−R
1−OHで表される。ここで、R
1は、炭素数2〜20の2価炭化水素基であって、基中にエーテル結合を含んでいてもよい。R
1は、例えば、直鎖、又は分岐状のアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基である。
【0039】
ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのジオールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
また、ポリカーボネートポリオールの原料として用いられる3価以上の多価アルコール(B)の例としては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトール等のアルコール類が挙げられる。また、当該3価以上の多価アルコールは、前記多価アルコールの水酸基に対して、1〜5当量のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、あるいはその他のアルキレンオキシドを付加させた水酸基を有するアルコール類であってもよい。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
ポリカーボネートポリオールの原料として用いられるカルボニル成分となる化合物(C)は、炭酸ジエステル、ホスゲン、又はこれらの等価体の中から選ばれるいずれかの化合物である。当該化合物として、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸ジエステル類;ホスゲン;クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル等のハロゲン化ギ酸エステル類等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
ポリカーボネートポリオールは、前記ジオール化合物(A)、3価以上の多価アルコール(B)、及びカルボニル成分となる化合物(C)とを、一般的な条件下で重縮合反応することにより合成される。ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)との仕込みモル比は、例えば、50:50〜99:1の範囲に設定すればよい。また、ジオール化合物(A)と多価アルコール(B)とに対する、カルボニル成分となる化合物(C)の仕込みモル比は、例えば、ジオール化合物及び多価アルコールの持つ水酸基に対して0.2〜2当量の範囲に設定すればよい。
【0043】
前記の仕込み割合で重縮合反応した後のポリカーボネートポリオール中に存在する水酸基の当量数(eq./mol)としては、例えば、1分子中に平均して3以上、好ましくは3〜50、更に好ましくは3〜20が挙げられる。このような等量数を充足すると、後述するエステル化反応によって必要な量の(メタ)アクリレート基が形成され、また多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート樹脂に適度な可撓性が付与される。なお、このポリカーボネートポリオールの末端官能基は、通常はOH基であるが、その一部がカーボネート基であってもよい。
【0044】
以上説明したポリカーボネートポリオールの製造方法は、例えば、特開昭64−1726号公報に記載されている。また、このポリカーボネートポリオールは、特開平3−181517号公報に記載されているように、ポリカーボネートジオールと3価以上の多価アルコールとのエステル交換反応によっても製造できる。
【0045】
多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの分子量については、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量が5,000以上、好ましくは10,000以上が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は、特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御するという観点から、例えば、100,000以下、好ましくは50,000万以下が挙げられる。多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量として、好ましくは10,000〜50,000、更に好ましくは10,000〜20,000が挙げられる。
【0046】
なお、本明細書における多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
【0047】
盛上層2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物における多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートの含有量としては、本開示の効果を奏することを限度として、特に制限されないが、射出成形時などにおける熱と圧力によっても、盛上層2によって形成された凹凸形状を保持し、加飾シートに表出されていた高い質感の劣化をより効果的に抑制する観点からは、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上が挙げられる。
【0048】
<多官能(メタ)アクリレート>
多官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有するものであれば、特に制限されない。このような多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜12個が挙げられる。また、多官能(メタ)アクリレートは、シリコーン変性されたものであってもよい。多官能(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
多官能(メタ)アクリレートの分子量については、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量が2,000以上、好ましくは5,000以上が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は、特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御するという観点から、例えば、30,000以下、好ましくは10,000以下が挙げられる。
【0050】
なお、本明細書における多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
【0051】
盛上層2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物における、多官能(メタ)アクリレートの含有量としては、本開示の効果を奏することを限度として、特に制限されないが、射出成形時などにおける熱と圧力によっても、盛上層2によって形成された凹凸形状を保持し、加飾シートに表出されていた高い質感の劣化をより効果的に抑制する観点からは、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下が挙げられる。
【0052】
盛上層2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物において、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用する場合、これらの質量比(多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート:多官能(メタ)アクリレート)としては、好ましくは50:50〜99:1程度、より好ましくは80:20〜99:1程度、さらに好ましくは85:15〜99:1程度が挙げられる。
【0053】
盛上層2の形成は、例えば、上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、盛上層2に隣接する層上に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。本開示においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、盛上層2に隣接する層上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて盛上層2を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。
【0054】
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、盛上層2の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと盛上層2の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより盛上層2の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制でき、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。また、照射線量は、盛上層2の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が挙げられる。
【0055】
盛上層2は、粒子を含んでいる。盛上層2が粒子を含むことにより、盛上層2を厚く形成せずとも、盛上層2は、優れた触感と意匠性の両立に好適に寄与できる。盛上層2の平均厚みと、粒子の平均粒子径とは、同様の値とできる。すなわち、粒子の平均粒子径は、本開示の加飾シートにおいて、優れた触感を発現させる観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、当該平均粒子径の好ましい上限については、好ましくは60μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは50μm未満であり、さらに好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは35μm以下である。盛上層2に含まれる粒子の平均粒子径を上記の範囲に設定することにより、加飾シートの触感と意匠性とをより好適に高めることができる。
【0056】
盛上層2に含まれる粒子としては、特に制限されず、有機粒子、無機粒子のいずれでもよいが、優れた触感と意匠性とを両立する観点から、特に有機粒子が好ましい。
【0057】
有機粒子としては特に限定されず、通常樹脂ビーズが用いられる。樹脂ビーズとしては、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、スチレンビーズ、等が挙げられる。これらの中でも、盛上層2の白化の抑制、優れた触感の付与のほか、加飾シートの耐傷性を高める観点からは、アクリルビーズ又はウレタンビーズを用いることが好ましい。特に、盛上層2の白化の抑制の観点からは、アクリルビーズ又はウレタンビーズを用いることが好ましく、耐傷性を高める観点からは、ウレタンビーズを用いることが好ましい。また、優れた触感の付与、盛上層2の耐傷性を高める観点からは、架橋型の樹脂ビーズを用いることが好ましい。架橋型の樹脂ビーズとして、具体的には、架橋型アクリルビーズ、架橋型ウレタンビーズ等が挙げられる。
【0058】
盛上層2が含有する上記有機粒子の平均粒子径は、好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、当該平均粒子径の好ましい上限については、好ましくは60μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは50μm未満であり、さらに好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは35μm以下である。有機粒子の粒子径の好ましい範囲は、5〜60μm、4〜50μm、5μm以上60μm未満、3〜40μm、10〜80μmなどである。盛上層2が含有する上記有機粒子のうち、個数基準で、少なくとも90%以上がこれらの粒子径を充足すると、本開示の効果を好適に奏する観点から好ましい。有機粒子の平均粒子径が15μm未満であると、優れた触感が得られないおそれがある。また、有機粒子の平均粒子径が60μmを超えると、生産安定性が低下し、再現性よく所望の形状の盛上層2を形成することが難しくなるおそれがある。本開示では、有機樹脂が均一に分布していることから、盛上層2の平均厚みが上記有機粒子の平均粒子径と近似している。盛上層2は、また、盛上げ印刷によって盛上層2を形成する場合、インキの転移安定性の観点から、上記有機粒子の平均粒子径は版深の1/2以下とすることが好ましい。なお、本開示において、平均粒子径は、層の厚み方向の断面を、加速電圧3.0kV、拡大倍率50,000倍の条件にて走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に選択した100個の粒子の非凝集体について測定した粒子径の平均値(算術平均径)を意味する。
【0059】
本開示の加飾シートにおいては、有機粒子を、盛上層2を形成する樹脂組成物の固形分中50質量%以下の割合で含有することが好ましく、40質量%以下の割合で含有することがさらに好ましい。上記有機粒子の含有量が50質量%以下である場合には、塗膜(盛上層2)に有機粒子が均一に分布するため、触感が安定する。上記有機粒子の含有量が50質量%を超えると、有機粒子が凝集し、盛上層の平均厚みが安定しないおそれがあり、盛上層2の透明感が損なわれるため、意匠性が低下するおそれがある。上記有機粒子の含有量は、2質量%であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。上記有機粒子の含有量が2質量%未満であると触感が不十分となるほかに、盛上層を形成する樹脂組成物のチキソトロピック性が不十分となり、厚盛り印刷による盛上層2の形成が難しくなるおそれがある。
【0060】
無機粒子としては、無機化合物により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、アルミナ粒子、ガラスバルーン粒子が挙げられ、これらの中でも好ましくはシリカ粒子が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。無機粒子の平均粒子径としては、例えば0.5〜20μm程度、好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。無機粒子の平均粒子径は、前記のとおり、層の厚み方向の断面を、加速電圧3.0kV、拡大倍率50,000倍の条件にて走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に選択した100個の粒子の非凝集体について測定した粒子径の平均値(算術平均径)を意味する。
【0061】
盛上層2が無機粒子を含む場合、無機粒子の含有量としては、特に制限されないが、盛上層2に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部程度、より好ましくは1〜40質量部程度が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0062】
盛上層2中には、盛上層2に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合できる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
【0063】
本開示の加飾シート10において、盛上層2が設けられた面積の割合は、基材層1の一方側の面の面積を100%として、3〜80%であることが好ましく、3〜50%であることがより好ましく、5〜50%であることがさらに好ましく、5〜40%であることがさらに好ましく、6〜30%であることがさらに好ましい。上記範囲で盛上層2を設けることで、より触感が優れた加飾シートを得ることができる。ここで、盛上層2の断面が台形や円錐状等のように、盛上層2の上側の面と下側の面とで面積が異なる場合、盛上層2が設けられた面積は、盛上層2の基材層1側の面の面積である。
【0064】
前記の通り、本開示の加飾シートを射出成形又は真空成形用途に使用する場合、盛上層2の変形を抑制し、所望の形状としつつ、三次元成形性を良好とする観点から、盛上層2を構成する電離放射線硬化性樹脂としては、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0065】
また、本開示の加飾シートを射出成形又は真空成形用途に使用する場合、加飾シートの耐傷性を高めつつ三次元成形性を良好とする観点から、盛上層2を電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物により構成することも好ましい。熱可塑性樹脂の種類、及び電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との好ましい混合比としては、後述する第1樹脂層11について説明したものと同様とできる。
【0066】
[第1樹脂層11]
第1樹脂層11は、加飾シート10の艶調整等を目的として、艶消剤を含む第1樹脂層11を有する。本開示の加飾シート10において、第1樹脂層11は、盛上層2の少なくとも一部の上に設けられる。第1樹脂層11は、盛上層2の全面の上に設けられることが好ましく、さらには加飾シート10の一方側の全面に設けられる(すなわち、全面ベタ層である)ことがより好ましい。
図1から
図7には、第1樹脂層11が、加飾シート10の一方側の全面に設けられる態様を図示している。第1樹脂層11は、盛上層2と接触していることが好ましい。また、加飾シート10が第2樹脂層12を有する場合には、第1樹脂層11は、第2樹脂層12と接触していることが好ましい。
【0067】
第1樹脂層11を構成する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合体、珪素樹脂、ポリシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタクリルサンエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。
【0068】
また、電離放射線硬化性樹脂を用いて第1樹脂層11を形成してもよい。電離放射線硬化性樹脂の詳細については、[盛上層2]の欄で詳述したものと同じものが例示される。
【0069】
第1樹脂層11は、艶消剤を含んでいる。艶消剤としては特に限定はなく、公知のものを広く用いることができる。艶消剤として、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミノシリケート、硫酸バリウム等の無機物粒子;アクリルビーズ、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)等の樹脂(有機物)粒子等が挙げられる。粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜20μmであり、より好ましくは0.5〜10μmである。艶消剤の添加量は、第1樹脂層11を形成する樹脂組成物基準(溶剤を除く)で好ましくは2〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である。なお、粒子の形状は、多面体、球形、鱗片状等である。上記の無機粒子及び有機粒子のうち、シリカが好ましい。
【0070】
第1樹脂層11の厚みは、盛上層2の平均厚みなどを考慮し、凹凸形状に基づく触感を調整することが好ましい。このような観点から、第1樹脂層11の厚みは、好ましくは2〜10μm程度、より好ましくは0.1〜20μm程度、さらに好ましくは0.3〜10μm程度、さらに好ましくは0.5〜5μm程度が挙げられる。なお、第1樹脂層11の厚みは、盛上層2の上に位置していない第1樹脂層11の厚みを意味している。
【0071】
本開示の加飾シートを射出成形又は真空成形用途に使用する場合、加飾シートの耐傷性を高めつつ三次元成形性を良好とする観点から、第1樹脂層11を構成する電離放射線硬化性樹脂としては、前述のポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0072】
また、本開示の加飾シートを射出成形又は真空成形用途に使用する場合、加飾シートの耐傷性を高めつつ三次元成形性を良好とする観点から、第1樹脂層11を電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物により構成することも好ましい。熱可塑性樹脂としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂等が挙げられ、アクリル樹脂が特に好ましい。電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合比としては、質量比で10:90〜75:25程度が好ましく、25:75〜50:50程度がより好ましい。
【0073】
[第2樹脂層12]
本開示の加飾シート10は、艶調整等を目的として、必要に応じて、第2樹脂層12を部分的に又は全面に有していてもよい。第2樹脂層12は、第1樹脂層11の盛上層2側とは反対側に設けられる。第2樹脂層12は、第1樹脂層11の一部の上に設けられればよく、また、盛上げ層の少なくとも一部の上に設けられることが好ましい。
図2、
図3、
図5、
図6及び
図7には、第2樹脂層12が、第1樹脂層11の一部の上に設けられる態様を示している。より具体的には、
図2、
図3及び
図7には、第1樹脂層11の一部の上であって、かつ、盛上層2の全面の上に第2樹脂層12が設けられる態様を示しており、
図5及び
図6には、第1樹脂層11の一部の上であって、かつ、盛上層2の一部の上に第2樹脂層12が設けられる態様を示している。また、
図4には、第1樹脂層11の盛上層2側とは反対側の全面に、第2樹脂層12が設けられる態様を示している。
【0074】
第2樹脂層12を第1樹脂層11の上に設け、艶消剤を含む第1樹脂層11が露出した領域と露出していない領域とを形成し、各領域の間で艶差を生じさせることによって、本開示の加飾シートに高い意匠性を与えることができる。より優れた意匠性を得る観点からは、第2樹脂層12は第1樹脂層11よりも高い艶を有することが好ましい。すなわち、第1樹脂層11は艶消剤を含むことにより相対的に低艶であり、第2樹脂層12は相対的に高艶とし、第1樹脂層11と第2樹脂層12との間に艶差を設けることが好ましい。
【0075】
さらに、本開示の加飾シート10において、盛上層2が形成される位置と、第2樹脂層12が形成される位置とは、同調していることが好ましい。ここで同調とは、盛上層2が形成される位置と、第2樹脂層12が形成される位置とが、平面視において互いに関連性のある位置に存在することを意味するものとする。具体的には、平面視において、(a)盛上層2と同一の位置に第2樹脂層12が存在する場合、(b)盛上層2とは異なる位置に第2樹脂層12が存在する場合、(c)盛上層2とは離れた位置で一定の距離、方向を保って第2樹脂層12が存在する場合、などが包含される。より具体的には、
図3に示されるように、盛上層2が形成される位置は、加飾シート10の表面の凸部となり、当該盛上層2に第2樹脂層12が形成され、盛上層2の間の凹部の位置には第1樹脂層11が露出していることにより、第1樹脂層11(低艶)と第2樹脂層12(高艶)との艶差によって、視覚的な意匠感と触感との組み合わせによる立体感をさらに高めることができる。また、図示を省略するが、盛上層2が形成される位置は、盛上層2の間の凹部に第2樹脂層12が形成されるようにしてもよい。なお、この場合にも、盛上層2の間の凹部の位置において、第1樹脂層11が露出した部分を有している。
【0076】
第2樹脂層12は、透明性を有する樹脂層であることが好ましい。なお、透明には、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
【0077】
第2樹脂層12を構成する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合体、珪素樹脂、ポリシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。また、上述の電離放射線硬化性樹脂を用いてもよい。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
なお、第2樹脂層12は、艶調整のために艶消剤を含むことができる。第2樹脂層12が艶消剤を含む場合、第2樹脂層12の艶消剤の含有量は、第1樹脂層11の艶消剤の含有量より少ないことが好ましい。第2樹脂層12の艶消剤の含有量を第1樹脂層11の艶消剤の含有量より少なくすることで、第2樹脂層12の艶を第1樹脂層11の艶より高くし、優れた意匠性を得ることが容易となる。
【0079】
第2樹脂層12に用いられる艶消剤としては、第1樹脂層11で挙げたものと同じものが例示される。艶消剤の添加量は、第2樹脂層12を形成する樹脂組成物基準(溶剤を除く)で好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。なお、第2樹脂層12の艶消剤の含有量が第1樹脂層11の艶消剤の含有量より少ないとは、第2樹脂層12を形成する樹脂組成物の固形分の単位質量当たりに含まれる艶消剤の質量が、第1樹脂層11を形成する樹脂組成物の固形分の単位質量当たりに含まれる艶消剤の質量より小さいことをいう。
【0080】
本開示の加飾シート10に、後述する絵柄層3が存在する場合には、絵柄層3の模様に対して第2樹脂層12が同調して設けられることが好ましい。絵柄層3の模様と、第2樹脂層12の模様とが同調する構成とすることにより、より意匠性に優れた加飾シートとできる。なお、本開示において、絵柄層3の模様と、第2樹脂層12との同調とは、例えば、加飾シートを平面観察した際に、絵柄層3の模様の位置と、第2樹脂層12が形成される位置とが対応する態様(いわゆる、ポジ)や、絵柄層3の模様の位置と、第2樹脂層12が形成されていない位置とが対応する態様(いわゆる、ネガ)が挙げられる。
図3には、絵柄層3の模様と第2樹脂層12との同調の例として、ネガの態様を例示している。また、
図6には、絵柄層3の模様と第2樹脂層12とが同調し、かつ、盛上層2と絵柄層3とが非同調である態様を例示している。
【0081】
本開示の加飾シート10では、絵柄層3が木目柄であり、木目の冬目模様及び導管模様の少なくとも一方以外の部分の上に、第1樹脂層11より高い艶を有する第2樹脂層12が設けられることが好ましい。これにより、木目の冬目模様及び/又は導管模様部分の艶が低くなるため、天然木に近似した優れた意匠性を得ることができる。上記のような第2樹脂層を形成するには、絵柄層3と同じ木目の冬目模様及び/又は導管模様を反転させた状態(つまりネガ状態)の版を使用し、公知の印刷方法を用いて印刷することが好ましい。印刷方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等が好ましい。
【0082】
なお、第2樹脂層12は、着色されていてもよいが、特に着色剤を配合しないほうが望ましい。
【0083】
第2樹脂層の厚みは、優れた触感と意匠性とを両立させる観点から、好ましくは0.1〜20μm程度、より好ましくは0.5〜10μm程度、さらに好ましくは1〜5μm程度である。
【0084】
なお、本開示の加飾シート10を射出成形又は真空成形用途に使用する場合、加飾シート10の耐傷性を高めつつ三次元成形性を良好とする観点から、第2樹脂層12を構成する電離放射線硬化性樹脂としては、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、[盛上層2]の欄で例示したものと同じものを使用できる。
【0085】
また、本開示の加飾シート10を射出成形又は真空成形用途に使用する場合、加飾シート10の耐傷性を高めつつ三次元成形性を良好とする観点から、第2樹脂層12を電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物により構成することも好ましい。熱可塑性樹脂の種類、及び電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との好ましい混合比としては、[第1樹脂層11]の欄での説明と同様とできる。
【0086】
[第3樹脂層13]
第3樹脂層13は、加飾シートの耐薬品性を向上させることなどを目的として、必要に応じて、盛上層2の第1樹脂層11側とは反対側(盛上層2の下側)に設けられる層である。具体的には、粒子を含む盛上層2は、粒子の存在により、盛上層2を介して薬品が浸透しやすくなることがある。そうすると、例えば盛上層2の下側に後述の絵柄層3などが設けられると、絵柄層3などに薬品が浸透し、加飾シートの耐薬品性が低下する場合がある。盛上層2と絵柄層3との間に第3樹脂層13を設けることにより、絵柄層3に薬品が浸透することを抑制し得る。
【0087】
第3樹脂層13は、盛上層2の少なくとも一部の下側に設けられる。第3樹脂層13は、盛上層2の全面の下側に設けられることが好ましく、加飾シートの一方面側の全面に設けられる(すなわち、全面ベタ層である)ことが好ましい。
図7には、第3樹脂層13が、加飾シートの一方面側の全面に設けられる態様を図示している。第3樹脂層13は、盛上層2と接触していることが好ましい。また、加飾シート10が絵柄層3を有する場合には、第3樹脂層13は、盛上層2及び絵柄層3と接触していることが好ましい。
【0088】
第3樹脂層13を構成する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合体、珪素樹脂、ポリシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタクリルサンエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。
【0089】
また、電離放射線硬化性樹脂を用いて第3樹脂層13を形成してもよい。電離放射線硬化性樹脂の詳細については、[盛上層2]の欄で詳述したものと同じものが例示される。
【0090】
第3樹脂層13の厚みは、耐薬品性などを考慮し、例えば、好ましくは2〜10μm程度、より好ましくは0.1〜20μm程度、さらに好ましくは0.3〜10μm程度、さらに好ましくは0.5〜5μm程度が挙げられる。
【0091】
[絵柄層3]
絵柄層3は、加飾シートに装飾性を付与する目的で、盛上層2の下に、必要に応じて設けられる層である。盛上層2と絵柄層3とは接触していてもよいし、後述のプライマー層などを介して積層されていてもよい。
【0092】
絵柄層3は、例えば、インキ組成物を用いて所望の絵柄を形成した層とすることができる。絵柄層3の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
【0093】
インキ組成物に使用されるバインダーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらのバインダーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0094】
インキ組成物に使用される着色剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
【0095】
絵柄層3によって形成される絵柄についても、特に制限されないが、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等が挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様であってもよく、あるいは単色無地(いわゆる全面ベタ)であってもよい。これらの絵柄は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成されるが、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成できる。
【0096】
絵柄層3の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜30μm、好ましくは1〜20μmが挙げられる。
【0097】
また、絵柄層3は金属薄膜層であってもよい。金属薄膜層を形成する金属としては、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。金属薄膜層の形成方法は特に制限されず、例えば上記の金属を用いた、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。金属薄膜層は全面に設けられても、部分的に設けられてもよい。また、隣接する層との密着性を向上させるため、金属薄膜層の表面や裏面には公知の樹脂を用いたプライマー層を設けてもよい。
【0098】
[プライマー層]
プライマー層は、盛上層2の密着性を向上させること等を目的として、必要に応じて、盛上層2の下に設けられる。
【0099】
盛上層2とその下に位置する層との密着性を高める観点から、盛上層2の直下にプライマー層が設けられることが好ましい。プライマー層は、例えば盛上層2と絵柄層3との間に設けられる。
【0100】
プライマー層を構成するプライマー組成物としては、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等をバインダー樹脂とするものが好ましく用いられ、これらの樹脂は一種又は二種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル−ウレタン共重合体が好ましい。
【0101】
ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が使用される。前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。また、ウレタン樹脂とブチラール樹脂を混ぜて構成することも可能である。
【0102】
盛上層2との密着性、盛上層2を積層後の相互作用の生じ難さ、物性、成形性の面から、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせることが好ましく、特にアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせて用いることが好ましい。
【0103】
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂が好適に用いられる。
【0104】
(メタ)アクリル−ウレタン共重合体としては、例えばアクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合体が好ましい。硬化剤としては、上記の各種イソシアネートが用いられる。アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合体は所望により、アクリル/ウレタン比(質量比)を好ましくは9/1〜1/9、より好ましくは8/2〜2/8の範囲で調整することが好ましい。
【0105】
プライマー層の厚みについては、特に制限されないが、例えば0.5〜20μm程度であり、好ましくは、1〜5μmが挙げられる。
【0106】
プライマー層は、プライマー組成物を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法は、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
【0107】
[隠蔽層]
隠蔽層は、基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層1と盛上層2の間、絵柄層3を設ける場合であれば基材層1と絵柄層3の間に、必要に応じて設けられる層である。
【0108】
隠蔽層は、基材層1が加飾シートの色調や絵柄に悪影響を及ぼすのを抑制するために設けられるため、一般的には、不透明色の層として形成される。
【0109】
隠蔽層は、バインダーに、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したインキ組成物を用いて形成される。隠蔽層を形成するインキ組成物は、前述した絵柄層3に使用されるものから適宜選択して使用される。
【0110】
隠蔽層は、通常、厚みが1〜20μm程度に設定され、所謂ベタ印刷層として形成されることが望ましい。
【0111】
隠蔽層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写による印刷、インクジェット印刷等の通常の印刷方法;グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート等の通常の塗布方法等によって形成される。
【0112】
[裏面接着層]
裏面接着層は、加飾樹脂成形品の成形の際に成形樹脂との密着性を高めることを目的として、加飾シートの外側表面とは反対側に、必要に応じて設けられる層である。
【0113】
裏面接着層には、加飾樹脂成形品に使用される成形樹脂に応じて、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂が用いられる。
【0114】
裏面接着層の形成に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0115】
また、裏面接着層の形成に使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0116】
2.加飾シートの製造方法
前述した本開示の加飾シート10は、基材層1の一方面の上に、少なくとも、基材層1、盛上層2、第1樹脂層11がこの順に積層された積層体が得られるように各層を積層する工程を備える方法により製造できる。各層の形成に使用される成分、厚み、各層の形成方法の具体的条件等については、前記各層の組成の欄で述べたとおりである。また、前述の通り、加飾シート10には、必要に応じて、第2樹脂層12、絵柄層3、プライマー層、隠蔽層、裏面接着層などを積層することもできる。
【0117】
3.加飾樹脂成形品
本開示の加飾樹脂成形品20は、本開示の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本開示の加飾樹脂成形品20は、
図8の模式図に示されるように、少なくとも、成形樹脂層4、基材層1、盛上層2、及び第1樹脂層11をこの順に備え、第1樹脂層11が艶消剤を含み、盛上層2が粒子を含んでいることを特徴とする。本開示の加飾樹脂成形品20の一方側の表面は、凹凸形状を有する。本開示の加飾樹脂成形品20では、必要に応じて、前述の第2樹脂層12、絵柄層3、プライマー層、隠蔽層、裏面接着層などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
【0118】
本開示の加飾樹脂成形品は、例えば、本開示の加飾シートを用いて、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により作製される。本開示においては、本開示の加飾シートを各種射出成形法に供して加飾樹脂成形品を作製することによって、加飾シートと成形樹脂層とが優れた密着性を発揮できる。これらの射出成形法の中でも、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法が挙げられる。
【0119】
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、本開示の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
【0120】
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本開示の加飾樹脂成形品が製造される。
本開示の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
【0121】
インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層1としてABS樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常120〜200℃程度とできる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度とできる。
【0122】
また、射出成形同時加飾法では、本開示の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に本開示の加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
【0123】
より具体的には、下記の工程を含む射出成形同時加飾法によって、本開示の加飾樹脂成形品が製造される。
本開示の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層1側が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
【0124】
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シートの加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層1としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常70〜130℃程度とできる。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度とできる。
【0125】
また、本開示の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層4)上に、本開示の加飾シートを貼着する加飾方法によっても作製できる。真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本開示の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの基材層1側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本開示の加飾樹脂成形品を得ることができる。
【0126】
真空圧着法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層1としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常60〜200℃程度とできる。
【0127】
本開示の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層4は、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層4を形成する成形樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
【0128】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、基材層1との密着性に特に優れることから、これらの中でもABS樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0129】
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0130】
本開示の加飾樹脂成形品は、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用できる。
【実施例】
【0131】
以下に、実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明する。ただし、本開示は、実施例に限定されない。
【0132】
(加飾シートの作製)
[実施例1]
基材層として黒色ABS原反を用意し、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体に着色剤が配合されたインキを用いてグラビア印刷により、厚み1μmの全面着色層(隠蔽層)、厚み4μmの木目柄の絵柄層を順次塗工した。なお、木目柄は冬木目部分が濃色となるようパターンを形成した。
【0133】
次いで、樹脂組成物A「ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量30,000)を70質量%、及び有機粒子としてウレタンビーズ(平均粒子径20μm、粒子径5〜60μm(全ての有機粒子の粒子径のうち、90%が粒子径5〜60μmの範囲内である。))を30質量%」含むインキを使用し、版深90μmのパターン版を用いた盛上げ印刷により塗工して、絵柄層の上に盛上層(厚み20μm)を部分的に形成した。盛上げパターンは木目柄とし、基材層の一方面に対する面積比として25%となるように形成した。
【0134】
次いで、ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量30,000)70質量%及び艶消し剤としてシリカ粒子(平均粒径2μm)30質量%を含むインキを使用し、盛上層の上から全面にグラビア印刷(全面ベタ印刷)して、厚み5μmの第1樹脂層を形成した。なお、第1樹脂層は艶が1.0(60°グロス)となるよう設定した。
【0135】
次いで、艶消し剤であるシリカ粒子(平均粒径2μm)6質量%、ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量30,000)94質量%を含むインキを使用し、絵柄層の木目柄の冬目部分を除いたパターンにて木目柄と同調するようにグラビア印刷して厚み2μmの第2樹脂層を形成した。なお、第2樹脂層は、艶が10.0(60°グロス)となるよう設定した。
【0136】
最後に、表面に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射し、電離放射線硬化性樹脂を硬化させて、加飾シートを得た。
【0137】
[実施例2]
実施例1の盛上層の形成において、樹脂組成物Aの代わりに、樹脂組成物B「ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量30,000)を70質量%、及び有機粒子としてウレタンビーズ(平均粒子径15μm、粒子径4〜50μm)を30質量%」を含むインキを使用し、版深70μmのパターン版を用いた盛上げ印刷により塗工して、絵柄層の上に盛上層(厚み15μm)を部分的に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0138】
[実施例3]
実施例1の盛上層の形成において、基材層の一方面に対する面積比として15%となるように盛上層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0139】
[実施例4]
実施例1の盛上層の形成において、基材層の一方面に対する面積比として5%となるように盛上層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0140】
[実施例5]
実施例1の盛上層の形成において、基材層の一方面に対する面積比として3%となるように盛上層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0141】
[実施例6]
実施例1の盛上層の形成において、基材層の一方面に対する面積比として35%となるように盛上層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0142】
[実施例7]
実施例1の盛上層の形成において、樹脂組成物Aの代わりに、樹脂組成物C「ペンタエリスリトールトリアクリレート及び熱可塑性樹脂(メタクリル酸メチルの単重合体、重量平均分子量100,000)からなる電離放射線硬化性樹脂(ペンタエリスリトールトリアクリレート:熱可塑性樹脂=30:70(質量比))を70質量%、及び有機粒子としてウレタンビーズ(平均粒子径20μm、粒子径5〜60μm)を30質量%」を含むインキを使用し、版深90μmのパターン版を用いた盛上げ印刷により塗工して、絵柄層の上に盛上層(厚み20μm)を部分的に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0143】
[実施例8]
実施例1の盛上層の形成において、樹脂組成物Aの代わりに、樹脂組成物D「ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量30,000)を70質量%、及び有機粒子としてウレタンビーズ(平均粒子径10μm、粒子径3〜40μm)を30質量%」を含むインキを使用し、版深50μmのパターン版を用いた盛上げ印刷により塗工して、絵柄層の上に盛上層(厚み10μm)を部分的に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0144】
[実施例9]
実施例1の盛上層の形成において、樹脂組成物Aの代わりに、樹脂組成物E「ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量30,000)を70質量%、及び有機粒子としてウレタンビーズ(平均粒子径50μm、粒子径10〜80μm)を30質量%」を含むインキを使用し、版深90μmのパターン版を用いた盛上げ印刷により塗工して、絵柄層の上に盛上層(厚み50μm)を部分的に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0145】
[実施例10]
実施例1の加飾シートの製造において、絵柄層の上に第3樹脂層を積層したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。第3樹脂層の形成は、ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量30,000)70質量%及び艶消し剤としてシリカ粒子(平均粒径2μm)30質量%を含むインキを使用し、絵柄層の上から全面にグラビア印刷(全面ベタ印刷)して、厚み5μmの第3樹脂層を形成し、第3樹脂層の上に、実施例1と同様にして盛上層、第1樹脂層、及び第2樹脂層を形成した。
【0146】
[参考例1]
盛上層を、絵柄層の上ではなく、第2樹脂層の上に設けたこと以外は、実施例1と同様にして加飾シートを得た。
【0147】
[比較例1]
実施例1の盛上層の形成において、樹脂組成物Aの代わりに、粒子を含まない樹脂組成物F「ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量10,000)」を含むインキを使用し、版深90μmのパターン版を用いた盛上げスクリーン印刷により塗工して、絵柄層の上に盛上層(厚み20μm)を部分的に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0148】
[比較例2]
版深90μmのパターン版を用いた盛上げ印刷により、盛上層の厚みを50μmとしたこと以外は、比較例1と同様にして、加飾シートを得た。
【0149】
<加飾シートの意匠性の評価>
加飾シートの意図した意匠のずれの観点と木目の意匠感の観点から、それぞれ、以下のようにして意匠性を評価した。前記で得られた各加飾シートについて、第2樹脂層側(基材層と反対側)の表面から目視で観察し、以下の基準に従って意匠性を評価した。結果を表1に示す。
A:意図した意匠が実現できており、木目としての意匠感に優れている
B:盛上層の影響により、意図した意匠とはややずれているが、木目としての意匠感は良好である
C:盛上げ層の影響により、意図した意匠とずれている部分があるが、木目としての意匠感は一般的であり、実用上問題ない程度である
D:盛上げ層の影響により、意図した意匠とは大きくずれており、木目の意匠感に劣る
【0150】
<加飾シートの触感の評価>
前記で得られた各加飾シートの成形前後における触感の評価を以下のようにして評価した。
【0151】
(成形前の触感)
前記で得られた各加飾シートについて、第2樹脂層側(基材層と反対側)の表面を手の指で触り、以下の基準に従って触感を評価した。結果を表1に示す。
A:明確に凹凸が感じられる
B:凹凸が感じられる
C:感じられる凹凸は弱いが、触感を付与した加飾シートといえる程度である
D:凹凸がほとんど感じられず、触感を付与した加飾シートとはいえない
【0152】
(成形後の触感)
上記で得られた各加飾シートを赤外線ヒーターで加熱し、シート温度が160℃になるまで軟化させた。次いで、真空成形用型を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率100%)、金型の内部形状に成形した。成形後の加飾シートを冷却後、金型から離型した。その後、射出樹脂を金型のキャビティ内に射出し、該加飾シートと射出樹脂とを一体化成形し、金型から取り出すと同時に加飾樹脂成形品(成形後の加飾シート)を得た。成形後の加飾シートについて、第2樹脂層側(基材層と反対側)の表面を手の指で触り、以下の基準に従って触感を評価した。結果を表1に示す。
A:明確に凹凸が感じられる
B:凹凸が感じられる
C:感じられる凹凸は弱いが、触感を付与した加飾樹脂成形品といえる程度である
D:凹凸がほとんど感じられず、触感を付与した加飾樹脂成形品とはいえない
【0153】
<磨耗試験後の触感>
上記で得られた加飾樹脂成形品について、第2樹脂層側(基材層とは反対側)の表面に対し、JIS K7204の規定に準拠した方法によって、耐摩耗性試験を実施した。試験条件は、2つの摩耗輪(CS−10F)の荷重をそれぞれ500g、回転数を100回転とした。摩耗試験後の加飾樹脂成形品について、摩耗試験部の表面を手の指で触り、以下の基準に従って触感を評価した。耐摩耗性の評価基準は、以下の通りである。結果を表1に示す。
A:明確に凹凸が感じられる
B:凹凸が感じられる
C:感じられる凹凸は弱いが、触感を付与した加飾樹脂成形品といえる程度である
D:凹凸がほとんど感じられず、触感を付与した加飾樹脂成形品とはいえない
【0154】
<耐日焼け止め化粧料>
上記で得られた各加飾シートの表面(第2樹脂層側(基材層と反対側))に対して、縦50mm×横50mmの部分に市販の日焼け止め化粧料0.1gを均一に塗布した。これを55℃のオーブン内に4時間放置した。加飾シートを取り出し、洗浄液で表面を洗い流した後、日焼け止め化粧料を塗布した部分(試験表面)の状態を目視で観察して、日焼け止め化粧料について耐薬品性を以下の基準で評価した。日焼け止め化粧料は、市販のSPF50のものであり、成分として、1−(4−メトキシフェニル)−3−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3−プロパンジオン 3%、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル 10%、サリチル酸2−エチルヘキシル 5%、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル 10%を含有する。結果を表1に示す。
A:試験表面に塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等の異常が見られず、外観は良好である
B:試験表面の一部に軽微な白化が確認されたが、実用上問題ない
C:試験表面の一部に白化や艶変化が確認されるが、実用上は許容し得る
D:試験表面の全面に顕著な白化や艶変化が確認され、実用上問題がある
【0155】
<耐虫除け剤>
上記で得られた各加飾シートの表面(第2樹脂層側(基材層と反対側))に対して、縦50mm×横50mmの部分に市販の虫除け剤0.05gを均一に塗布した。これを55℃のオーブン内に4時間放置した。加飾シートを取り出し、洗浄液で表面を洗い流した後、虫除け剤を塗布した部分(試験表面)の状態を目視で観察して、虫除け剤について耐薬品性を以下の基準で評価した。虫除け剤は、市販のものであり、成分として、ディート(N,N−ジエチル−m−トルアミド)25%、その他75%を含む。結果を表1に示す。
A:試験表面に塗膜の割れや白化、膨潤、艶低下、剥離等の異常が見られず、外観は良好である
B:試験表面の一部に軽微な艶変化が確認されたが、実用上問題ない
C:試験表面の一部に白化や艶変化が確認されるが、実用上は許容し得る
D:試験表面の全面に顕著な塗膜割れや白化、艶変化が確認され、実用上問題がある
【0156】
【表1】
【0157】
実施例1−10の加飾シートは、それぞれ、少なくとも、基材層、部分的に設けられた盛上層、及び第1樹脂層をこの順に備え、前記第1樹脂層は、艶消剤を含み、前記盛上層は、粒子を含んでいる。実施例1−10の加飾シートは、優れた触感と意匠性とが両立された加飾シートであった。