(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処置情報が複数ある場合に、各処置情報の関連度を、前記記憶装置に記憶された変化内容と、前記検索ステップにおける前記検索条件である変化内容との一致度から算出する算出ステップと、
をさらにコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記表示ステップにおいて、前記算出ステップで算出した関連度に応じて、前記処置情報を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム構築支援プログラム。
前記表示ステップにおいて、前記検索ステップで検索した複数の前記処置情報のうち、前記算出ステップにおいて算出した前記関連度が最大である前記処置情報の前記関連度が、予め定められた閾値以上である場合に、前記関連度が最大の前記処置情報を一件表示する
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム構築支援プログラム。
前記表示ステップにおいて、前記検索ステップで検索した複数の前記処置情報のうち、前記算出ステップにおいて算出した前記関連度が最大である前記処置情報の前記関連度が、予め定められた閾値より小さい場合に、前記算出ステップで算出した前記関連度が高い順に前記処置情報を複数表示する
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム構築支援プログラム。
前記検索ステップで検索した前記処置情報が、前記異常の原因はソフトウェアのバージョン変更であることを示す場合に、前記生産装置に発生した前記異常と同様の異常の原因となる可能性のある前記ソフトウェアのバージョンを、前記ソフトウェアの開発履歴に基づいて前記表示装置に表示する候補表示ステップと、
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載のシステム構築支援プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下に実施の形態1に係るシステム構築支援プログラム、システム構築支援方法、及びシステム構築支援装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図面における同一の符号は同一又は相当の構成及びステップを表している。
【0013】
本実施の形態のシステム構築支援装置が適用される生産システムとして、ファクトリーオートメーション(Factory automation、以下、FA)システムの例を説明する。
図1は、本開示の実施の形態1におけるFAシステムの全体図である。このFAシステムには、システム構築支援装置であるコンピュータ1が備えられている。始めに
図1を用いてFAシステム全体の構成の概要について説明する。
【0014】
FAシステムは、コンピュータ1、コンピュータ1に接続された複数のPLC2(Programmable logic controller)、及びPLC2に接続された複数の機器3を備えている。また、以下の説明において生産装置とは、コンピュータ1に接続されたFAシステムを構成する装置である。本実施の形態においては、PLC2及びPLC2を介してコンピュータ1に接続された機器3のことを指す。
【0015】
コンピュータ1は、機器3を制御するPLC2から装置情報を取得することで、装置情報を履歴として記憶するものである。PLC2は機器3を制御するとともに、機器3から装置情報を取得し記憶している。そして、PLC2はコンピュータ1からの出力命令に従い、装置情報をコンピュータ1に出力するコントローラである。本開示において、装置情報とは、生産装置の状態を示す状態情報又は生産装置の設定を示す設定情報のうち少なくとも一方を含むものである。装置情報の具体例は動作の説明において後述する。
【0016】
機器3は、産業用ロボット、温度センサ、及び非常停止ボタン等のPLC2に接続された装置である。本実施の形態において、PLC2には機器3として、機器A3a、機器B3b、機器C3c、及びセンサ3dが接続されている。
【0017】
ここで、機器A3aの複数のパラメータ設定のうち一つの設定値をa、機器A3aにインストールされている複数のソフトウェアのうち一つのバージョンをvであるとする。また、機器B3bの複数のパラメータ設定のうち一つの設定値をb、機器B3bにインストールされている複数のソフトウェアのうち一つのバージョンをwであるとする。なお、これらの情報は、生産装置の設定を示す設定情報である。
【0018】
・システム構築支援装置の概要
この実施の形態のシステム構築支援装置は、過去の異常に対する処置情報に基づいて、新たに発生した異常に対する処置を使用者に提供するものである。例えば、ある機器Aと機器Bとが同一の生産ラインに設けられており、機器Aで前加工を行い、機器Bで仕上げ加工を行う場合を想定する。前加工と仕上げ加工は被生産物の同一箇所を加工するものであり、仕上げに応じた前加工を施す必要がある。この場合において、機器Bの仕上げ加工の度合いを調整する設定情報のみを変更し、関連する機器Aの設定情報を変更し忘れ、生産ラインの後工程、例えば機器Cの工程で異常が発生することがある。このように、異常とその原因との因果関係が分かりづらい場合、原因や適切な処置の発見に時間が掛かり、生産ラインを長時間止めてしまうという問題が発生する。
【0019】
このような状況において、この実施の形態のシステム構築支援装置は、過去に機器Bの設定情報のみを変更し異常が発生した場合の処置、すなわち機器Aの設定情報の変更、を素早く見つけ、使用者に提示することができる。
【0020】
図2は、この実施の形態のコンピュータ1の動作概要を説明するための図である。設定情報のバックアップを作成する履歴作成部41、異常が発生した場合に設定情報を分析し分析結果に基づいて適切な処置情報を検索する検索部42、及び検索部42が検索した処置情報を表示装置16に表示する表示部43は、コンピュータ1が実行するシステム構築支援プログラムのソフトウェアモジュールである。コンピュータ1はこれらのモジュールにより、異常に対する処置情報を素早く使用者に提供することができる。また、そのプログラムは、入力部44、及びこの入力部44に入力された処置情報を記憶装置14に記憶する記憶部45をさらに備え、他の使用者が入力した過去の処置情報を記録するように構成されている。
【0021】
まず、動作について概要を説明する。なお、この実施の形態の動作詳細やそのバリエーションについては、
図2を用いた概要説明の後に説明するため、ここでは一例について簡潔に説明する。
履歴作成部41は、各機器3a、3bの設定情報を受信装置17を介して受信する。受信した設定情報には、例えば、機器3aの前加工用のパラメータ、すなわち設定aの値やその前加工用プログラムのバージョンvの値、及び機器3bの仕上げ加工用のパラメータ、すなわち設定bの値やその仕上げ加工用プログラムのバージョンwの値が含まれている。そして、履歴作成部41は、受信した設定情報を過去の設定情報として履歴データファイル331に記録する、すなわち、設定情報の履歴を作成する。この履歴の作成は定期又は不定期に行われる。
【0022】
異常が発生すると、検索部42は履歴データファイル331の過去の設定情報と現在の設定情報を比較し、これらの差分を変化内容として抽出する。この例では、現在の設定は、異常前の設定と比較して設定bが変化している。検索部42は、この変化内容を検索条件として記録されている複数の過去の処置情報のうち、一致又は類似するものを処置情報から検索する。過去の処置情報は処置情報データファイル332に記憶されており、処置情報データファイル332には過去の変化内容と過去の処置情報の組が複数記録されている。
図2において、処置情報データファイル332の「x」は、変化があった設定、空欄は変更がなかった設定を表している。この例では、過去の処置情報として、エラー解除、設定aの変更、プログラムの修正、設定bの修正などが保存されている。検索部42は、これらの処置情報の中から、前述の検索条件、すなわち設定bの変化にあう処置情報を抽出し、表示部43に出力する。表示部43はこの処置情報を表示装置16に表示し、使用者に提示する。
この動作により、使用者は異常に対する処置として設定aを変更すればよいことを素早く知ることができる。
【0023】
なお、処置情報データファイル332は、過去の処置情報を記憶したファイルであり、記憶部45によって作成される。例えば、過去の異常発生時に、検索部42で適切な処置情報が検索できなかったとする。このような場合、記憶部45は、入力部44から処置情報を、検索部42からそのときの変化内容の情報を受け取り、これらの情報を一組の情報として、処置情報データファイル332に追加する。処置情報は使用者が入力した情報であり、入力部44がコンピュータ1の入力装置15から読み取った情報である。例えば、異常が発生したときに熟練者が異常原因と正しい処置の究明を行い、その結果を熟練者に入力してもらうとよい。これにより最初にその異常が発生したときには、処置に時間が掛かる可能性があるが、2回目以降はその時間より短い時間で処置ができる。また、2回目以降の異常発生時には、知識レベルが高い作業者、熟練作業者でなくても対応できる可能性があるという利点がある。
【0024】
また、前述の説明では簡潔に説明するために設定情報に焦点を絞って説明したが、例えば、過去の処置情報には変化内容としてセンサからの情報、すなわち、生産の状態情報を記録しておき、状態に合わせた処置がとれるようにすることができる。また、プログラムのバージョン変更に伴う処置を行うこともできるし、処置情報として、センサを交換するというように設定情報に関する処置以外の処置を提示することもできる。
【0025】
・システム構築支援装置の詳細
ここから、本実施の形態のシステム構築支援装置について詳細に説明する。まず、コンピュータ1の詳細について説明し、次にその動作を前述の概要で説明した各ソフトウェアモジュールに分けて説明する。動作説明は、履歴作成部41の動作、検索部42の動作、表示部43の動作、入力部44及び記憶部45の動作の順に行う。
【0026】
まず、システム構築支援装置であるコンピュータ1の構成について
図3を用いて説明する。コンピュータ1は、OS(Operating System)上でアプリケーションプログラムを実行するものであって、CPU11と、RAM12(Random Access Memory)と、ROM13(Read Only Memory)と、ハードディスクなどの記憶装置14と、入力装置15と、表示装置16と、受信装置17と、を備える。CPU11、RAM12、ROM13、記憶装置14、入力装置15、表示装置16及び受信装置17は内部バス18を介して接続される。
【0027】
CPU11は、RAM12を作業領域として使用しながら、ROM13及び記憶装置14に記憶されているプログラムを実行する実行処理装置である。本実施の形態において記憶装置14にはOS及び構築支援プログラム30が記憶されている。構築支援プログラム30は前述の概要で説明したように履歴作成部41、検索部42、表示部43、入力部44、及び記憶部45に対応するソフトウェアモジュールを有しており、これらのモジュールがCPU11によって実行される。また構築支援プログラム30は、履歴データファイル331及び処置情報データファイル332、並びにプログラムの実行に必要なデータを備えている。
【0028】
次にシステム構築支援方法である本実施の形態の動作について
図4から
図16を用いて、各部ごとに詳細に説明する。
【0030】
図4は、履歴作成部41による、履歴作成処理を示すフローチャートである。ステップS11において履歴作成部41は、履歴作成のタイミングを判定する。概要説明では1時点の履歴だけを説明したが、詳細には、過去を遡って変更箇所を追跡できるように複数時点の履歴をRAM12に記憶する。このとき、過度に高い頻度で履歴作成を行うと、無用に記憶容量を消費してしまうため、このステップS11において適切なタイミングで履歴を作成するように調整を行う。具体的には、RAM12上に履歴作成命令が有るか否かを判定する。この命令は入力装置15の操作に従って手動で指示されるか、予め設定されたタイマーによって一定時間毎に、或いは異常発生時にRAM12に一時的に記憶されるものである。履歴作成命令がない場合、履歴作成部41はステップS11の処理を繰り返す。一方、履歴作成命令がある場合、履歴作成部41はRAM12上の履歴作成命令を削除して処理をステップS12へ進める。
【0031】
ステップS12において、履歴作成部41は生産装置の設定情報を含む装置情報を取得する。具体的には、履歴作成部41は受信装置17を介してPLC2に装置情報の出力命令を出力する。PLC2は、自装置に接続された機器3の設定情報等の装置情報を常に収集しており、内蔵された記憶装置に記憶している。PLC2はコンピュータ1から前述の出力命令を受信した場合、記憶している最新の装置情報を出力する。履歴作成部41は、受信装置17を介して受信した装置情報をRAM12に記憶する。本実施の形態において履歴作成部41は、生産装置の状態を示す状態情報と生産装置の設定を示す設定情報の両方を装置情報としてPLC2から取得する。
【0032】
図5は履歴作成部41が記憶装置14に記憶させる装置情報を示す図である。装置情報には、1秒あたりの生産個数情報331bが前述の状態情報として記憶されており、この状態情報と組み合わせて機器Aの設定値a情報331c等の設定情報が記憶されている。
図5の行はある時点の装置情報であり、それらが時系列で記憶されている。
【0033】
ここで、状態情報とは、例えば、FAシステムによる、過去5秒間における1秒当たりの生産物の生産個数である。1秒当たりの生産個数とは過去10秒間の生産個数を10で割った生産個数の移動平均の情報である。
【0034】
PLC2は1秒当たりの生産個数の移動平均を、機器3の情報から算出し、1秒毎に記憶している。1秒当たりの生産個数を過去5秒分記憶すると、
図5のように生産個数情報331bは5つの数字で表される。
【0035】
状態情報の他の例として、例えば、生産総数変化及びセンサ3dが出力する異常発生情報の有無の情報を記憶してもよい。生産総数変化は、PLC2の起動から現在までの生産総数の変化を10分毎に記憶したものである。
【0036】
また、概要説明においては、機器3の加工用の設定値の変化に伴う動作を説明したが、この詳細説明では、
図5に示すように機器3aの設定値aに加えて、機器3bにインストールされているソフトウェアのバージョンvが変化する場合について説明する。設定値aは、機器3aなどに直接入力されるパラメータの一つであって、他のパラメータや機器3aの使用目的などに応じて設定されるものである。
【0037】
なお、
図5では、2つの設定情報のみが記載されているが、これらの情報に加えて、他の機器3やPLC2の設定情報を記憶しておくことができることは言うまでもない。
【0038】
次に、履歴作成ステップであるステップS13において、履歴作成部41は、履歴情報を作成する。具体的には、ステップS12でRAM12に一時的に記憶された装置情報を記憶装置14に出力し、記憶装置14の履歴データファイル331に記憶する。
【0039】
ここで
図5を用いて、履歴データファイル331に記憶する情報について説明する。履歴データファイル331は、過去の装置情報である履歴情報が記憶されたデータベースであり、生産個数等の状態情報、及び機器3のパラメータ等の設定情報が時系列順に記憶される。履歴ナンバー331aは通し番号であり、時系列順にカウントアップされる番号である。
図5に示す履歴データファイル331には、履歴ナンバー331aが001から003まで記憶されている。
図5は、設定の変更がなく生産が安定的に行われている状態の情報を示しており、三つの履歴情報は、全て同じ情報が記憶されている。生産個数情報331bの(3,3,3,3,3)という記載は、ステップS12において取得部411が装置情報を取得した時から過去の5秒間において1秒当たりの生産個数が常に3個であったことを表している。設定値a情報331cの20という記載は、ステップS13において取得部411が装置情報を取得した時の機器3aの設定値aが20であったことを、ソフトウェアw情報331dのver.4という記載はステップS12において取得部411が装置情報を取得した時の機器3bのソフトウェアのバージョンが4であったことを表している。
【0040】
以上の処理によればコンピュータ1は、履歴作成命令があったときの設定情報を含む装置情報を履歴として記憶することができる。記憶される装置情報は、定期又は不定期に収集され、履歴データファイル331に追加される。履歴データファイル331により、コンピュータ1は異常発生前の設定や状態を時間を遡って特定することができるため、突然異常が発生した場合でも原因の究明や処置方法の特定をすることができる。
【0042】
次に、検索部42の動作詳細について説明する。
図6は検索部42による処置情報の検索処理を示すフローチャートである。まず、ステップS21において検索部42は生産装置に発生する異常の有無を判定する。
具体的には、検索部42は受信装置17を介してPLC2に異常発生情報の出力命令を送信する。この出力命令を受信したPLC2は最新の異常発生情報の有無を受信装置17に返信する。この異常発生情報は、センサ3dにより判定されるものである。検索部42は、受信装置17を介して入力される異常発生情報の有無をRAM12に一時的に記憶する。そして検索部42は異常発生情報があった場合に生産装置に異常が発生していると判定する。
【0043】
センサ3dは、FAシステムによって生産される生産物にレーザを照射し、受光量及びレーザが反射する時間から生産物の位置情報を検出するレーザセンサである。センサ3dは、ベルトコンベアを流れる生産物にレーザを照射し、あらかじめ設定された時間間隔で生産物が生産されているかを判定する。センサ3dが異常を検知した場合、異常発生情報をPLC2に出力する。そしてPLC2は、異常発生情報を記憶する。
【0044】
生産装置の異常は、例えば、何らかの理由で生産物の生産に遅れが生じる異常、生産物の形状の異常、センサ3dの投受光部に汚れがあるなどのセンサの異常などがある。
【0045】
ステップS21において、異常がないと判定した場合、検索部42はステップS21の処理を繰り返し、異常ありと判定した場合には、検索部42は処理をステップS22に進める。ステップS22において、検索部42は履歴作成命令をRAM12に出力し、この命令をRAM12に記憶する。なお、この命令は、履歴作成部41に対する命令であり、この命令が記憶されている場合に、履歴作成部41は前述の
図4の処理のように履歴を作成する。
【0046】
次に、ステップS31において検索部42は、異常の発生に伴う装置情報の変化内容の情報を作成する。具体的には、検索部42は履歴データファイル331に記憶されている最新の履歴情報とその一つ前の履歴ナンバー331aを有する履歴情報を記憶装置14から読み出し、両者を組み合わせた情報を変化内容の情報とし、RAM12に記憶する。なお、最新の履歴情報は、ステップS22において検索部42が出力した履歴作成命令に基づいて履歴作成部41が作成した異常の発生後における履歴情報である。その一つ前の履歴ナンバー331aを有する履歴情報は、異常の発生前における履歴情報である。
【0047】
検索部42はこの二つの履歴情報を、同一の列に記憶された対応する装置情報毎に組み合わせることで、異常の発生に伴う装置情報の変化内容の情報を作成する。以下の説明における「変化内容の情報」という記載は、説明がない限り「異常の発生に伴う装置情報の変化内容の情報」という意味である。なお、この変更内容の情報は、変化内容が特定できるものであればどのような形式でもよい。例えば、この詳細説明のように2つの時点の履歴情報の組み合わせでもよいし、概要説明のように2つの時点の差分情報であってもよい。変化内容の情報は具体的設定値のデータであってもよいし、ある値に変化があったことを示すより抽象的なデータであってもよい。一般に、変化内容の情報が具体的になるほどより特定的であり検出できる処置情報の精度が高くなるが、類似の異常が発生した場合に処置方法が発見されにくくなる。逆に、変化内容の情報が抽象的であるほど処置情報の精度は低くなるが、類似の異常に対する処置方法が抽出されやすくなる。
【0048】
続いて、検索ステップであるステップS32において検索部42は、異常の発生に伴う変化内容を検索条件として用い、異常に対する処置を示す処置情報を検索する。この検索は、記憶装置14に記憶された処置情報データファイル332に対して行われる。処置情報データファイル332は、
図7に示すように、過去の異常発生時の変化内容情報332bとそれに対する処置情報332cを記録したデータファイルである。検索部42は、ステップS31で作成した変化内容の情報と処置情報データファイル332の変化内容情報332bとを照合し、一致する装置情報の変化が一つでもあれば、一致した装置情報の変化を含む変化内容情報332bに対応付けられた処置情報332c、その他情報332d、及び対応可否情報332e、並びにその変化内容情報332bを、RAM12に一時記憶する。この検索により、現在発生している異常に対して適切な処置の候補を1又は複数抽出することができる。
【0049】
ここで
図7を用いて、処置情報データファイル332について説明する。処置情報データファイル332は、通し番号である処置ナンバー332a、変化内容情報332b、処置情報332c、その他情報332d、及び対応可否情報332eを備えている。処置情報データファイル332は、過去に異常が発生したときに記憶された、処置情報である処置情報332cと、その処置を行ったときの異常の発生に伴う装置情報の変化を示す情報である変化内容情報332bが関連付けて記憶されているデータベースである。なお、処置情報データファイル332の記憶については、
図16を用いて後述する。
【0050】
変化内容情報332bには、過去の異常の発生に伴う装置情報の変化が、装置情報毎に記憶されている。処置情報332cには、異常の原因及び処置方法が記憶されている。その他情報332dには、処置日と備考が記憶されている。
【0051】
対応可否情報332eには、処置情報332cにより示される処置が使用者により実行可能であるか否かが記憶されている。本開示における使用者によって実行可能である処置とは、実行可能であると予め定義されている処置である。また使用者によって実行が可能であるとは、日常的に生産装置を使用している者が実行できる処置である。例えば、部品の交換などが該当する。反対に実行可能でない処置とは、機器3のパラメータ調整のように、通常、保全業者によって行われる処置などである。
【0052】
図7の処置ナンバー332aが001であるデータを用いて、各情報332b−eの具体例を説明する。変化内容情報332bは、異常の発生前は1秒当たりの生産個数が3個であったが異常の発生後に1秒当たりの生産個数が1個に減少したことを表している。さらに、この変化内容情報332bは、異常の発生前は設定aの数値が20であったが、異常の発生後は設定aの数値が10に変化したことを表している。一方、ソフトウェアのバージョンvは4で変化していないことを表している。処置情報332cは、設定値aの数値が不適切であることが異常の原因であること、及びその処置方法は設定値aを調整することであることを示している。その他情報332dは、以前にその処置を行った処置日が2015年12月10日であること、及び備考がなしであること示している。対応可否情報332eは、この処置が使用者によって実行可能ではないことを示している。
【0053】
処置情報の検索後、ステップS33において検索部42は検索により抽出された処置情報があるかを判断する。具体的には、検索部42は検索によりRAM12に記憶された処置情報332cが一つでもあれば、ステップS34において抽出された処置情報に関して関連度を計算する処理を実行する。
【0054】
ステップS34は算出ステップであり、具体的には次の処理が行われる。検索部42は、現在の異常とステップS32で検索により抽出した過去の処置情報との関連度を算出する。例えば、検索部42は、ステップS31で作成した現在の異常に関する変化内容の情報と、ステップS32で抽出した各処置情報332cに対応する変化内容情報332bとの一致度を百分率で算出する。ここで、1つの処置情報について、
図7に示されるように3つの変化内容が対応付けられている場合、3つとも一致すれば関連度は100%、1つ一致すれば関連度は33%と計算される。一致か否かの判断は、同一の装置、同一の設定値間で行われる。
【0055】
関連度が高いことは、今回の異常の原因と過去に発生した異常の原因とが同じ可能性が高いことを意味する。すなわち、変化内容情報332bと関連付けて記憶されている処置情報332cが、今回の異常に対する処置として適切である可能性が高いことを意味する。前のステップにおいて複数の処置情報が抽出されている場合、この関連度は各処置情報に対して行われる。
【0056】
ステップS35において検索部42は、ステップS34で算出した関連度を、処置情報332cと関連付けてRAM12に記憶する。一方、ステップS33において、検索された処置情報がないと判断した場合には、新たな処置情報の入力を受け付ける処理を実行するが、この処理については、
図9及び
図11を用いて後述する。
【0057】
以上の処理によればコンピュータ1は、生産装置に異常が発生した場合に、異常に対する処置情報を検索することができる。また、発生した異常と、異常に対する処置情報の関連度を算出することができる。
【0059】
次に、
図8から
図15を用いて表示部43の動作について説明する。
図8は表示部43が表示装置16に表示する変化内容表示画面6を示す。変化内容表示画面6は、検索部42が
図6のステップS31で作成した変化内容の情報を表示するものであって、装置情報表示60、異常前波形データ表示68、異常後波形データ表示69、及び登録開始ボタン610を備えている。登録開始ボタン610は、入力装置15を用いた操作により押下されるボタンである。
【0060】
図9及び
図10は表示部43の表示処理を示すフローチャートである。
図9には、処置情報を新たに登録するときに表示する変化内容表示画面6と
図11の登録画面の表示処理が示されている。
図10には処置情報等を使用者に提供する際の表示処理が示されている。最初に
図9の表示処理について説明する。
図9に示すステップS41は、前述の
図6のステップS33で処置情報がないと判断された場合の処理である。検索部42において異常に対応する処置情報が抽出されなかった場合、新たな処置情報を追加する必要がある。そのため、使用者が異常の原因を分析しやすいように変化内容を分かりやすい形で表示し、処置の結果を入力してもらう。
図9のステップS41は、その変化内容の表示を行う処理である。表示部43は検索部42が作成した変化内容の情報及び画像のフォーマットデータに基づき変化内容表示画面6を作成し表示装置16に表示する。フォーマットデータは、構築支援プログラム30に記憶されたものを使用する。そのデータは、表示画像を作成できる形式であればどのようなものでもよいが、ビットマップデータとテキスト挿入領域の座標データ、HTML(Hyper Text Markup Language)とCSS(Cascading Style Sheet)のような記述言語のデータなどを用いることができる。表示エンジンとしては、公知のプログラミング言語で使用される表示ライブラリや、HTML用の表示エンジンなどを使用することができる。
【0061】
図8に示されるように、装置情報表示60には、通し番号であるデータナンバー61、種類名表示62、データ名表示63、異常前表示64、異常後表示65、変化表示66、及びスクロールバー67が含まれる。種類名表示62、データ名表示63、異常前表示64、異常後表示65、及び変化表示66はデータナンバー61に対応付けられており、対応するデータナンバー61の横に表示される。データナンバー61は、ステップS31において変化内容の情報を作成するのに用いた履歴情報のうち全ての装置情報について設けられる。
【0062】
種類名表示62及びデータ名表示63は、表示される装置情報の名前を表示するものである。ステップS31において変化内容の情報を作成するために用いた履歴情報の種別に対応する。データナンバー61が001の種類名表示62及びデータ名表示63は、履歴データファイル331の設定値a情報331cに対応している。種類名表示62の「パラメータ」という表示は、対応する設定値a情報331cがパラメータに分類される装置情報であることを表している。また、データ名表示63の「機器A設定a」という表示は、種類名表示62と合わせて、機器3aの設定値aについての装置情報であることを表している。
【0063】
異常前表示64及び異常後表示65はそれぞれ、異常発生前、発生後の設定値など、異常の発生に伴う装置情報を示している。データナンバー61が001の異常前表示64及び異常後表示65の「4」及び「15」という表示は、異常の発生に伴って機器3aの設定値aの数値が4から15に変化していることを表している。変化表示66は、異常前表示64と異常後表示65が一致するか否かを表している。また、変化表示66が不一致である装置情報は、変化があった装置情報であるため、その表示は視認しやすいように、太字で強調表示されている。これらの表示により、使用者は設定の変化箇所とその内容を把握でき、把握した内容を異常原因を判断する際の材料とすることができる。
【0064】
異常前波形データ表示68は、センサ3d等によりセンシングされた生産の状況やその装置の動作状況を示すグラフであり、例えば、生産個数に関する異常前生産個数波形68a及び異常前生産総数波形68bを備える表示である。同様に、異常後波形データ表示69は、異常後生産個数波形69a及び異常後生産総数波形69bを備える表示である。これらの表示は、いずれも横軸を時間、縦軸を個数とするグラフである。異常前生産個数波形68a及び異常後生産個数波形69aは、それぞれ異常発生の前後における、履歴データファイル331の生産個数情報331bに相当する情報をグラフとして表している。異常前生産総数波形68b及び異常後生産総数波形69bは、それぞれ異常発生の前後における、
図7に図示していない履歴データファイル331の生産総数変化の装置情報に相当する情報をグラフとして表している。これらの表示により、使用者は異常の前後において生産個数に変化があるかを判断することができる。この例では、異常として生産個数が減少している状況を使用者は把握することができる。
【0065】
次に、ステップS42において、表示部43は登録開始指示があったか否かを判定する。具体的には、登録開始ボタン610が押されたかを判定する。この判定は、タッチセンサ、マウス、キーボートを用いた公知のグラフィカルユーザインタフェース技術を使って行うことできる。例えば、ボタンの画像を用いた仮想ボタンの座標が使用者によって指定された場合、イベントが発生するようなインタフェースライブラリを用いて、イベントに関連付けられた処理が呼び出されるようにする。登録開始ボタン610が押されていない場合は、ステップS42の処理を繰り返す。
【0066】
登録開始ボタン610が押された場合、表示部43はステップS43において、
図11に示す処置情報の登録画面7を表示し、入力部44に処置情報の入力処理を実行させる。この入力処理については、入力部44の動作において後述する。なお、ステップS41において説明した表示処理やステップS42の入力の判定処理の基本的な処理は、他の表示部43の処理においても同様の技術で実現することができる。
【0067】
ここで登録画面7について、
図11を用いて説明する。登録画面7は、処置方法入力欄71、原因入力欄72、対応可否チェックボックス73、備考入力欄74、及び登録ボタン75を備えている。処置方法入力欄71、原因入力欄72、及び備考入力欄74は、入力装置15を用いた操作によって文字が入力される記入欄である。対応可否チェックボックス73は、入力装置15を用いた操作によって、チェックが入力されるチェック欄である。登録ボタン75は入力装置15を用いた操作によって押下されるボタンである。
【0068】
ここまでの説明において、処置情報を抽出できなかった場合の変化内容の表示と処置情報の登録について説明したが、ここから処置情報が抽出された場合の処置情報の表示について
図10を用いて説明する。
図10の端子Aは
図6の端子Aと同一のものである。これらの端子Aは
図6のステップS35の処理の後に、ステップS51の処理が行われることを表している。
【0069】
ステップS51において表示部43は、
図6のステップS32でRAM12に記憶された処置情報332cのうち、ステップS34で算出した関連度が最大の処置情報332cの、関連度が100%であるか否かを判定する。関連度が最大の処置情報332cの特定及び関連度が100%か否かの判定は、検索部42により算出された関連度を参照して行われる。
【0070】
まず、関連度の最大値が100%である場合の処理について説明する。関連度が100%ということは、その処置情報で異常を解消できる可能性が高いと判断できる。そのため、表示部43は抽出された複数の処置情報を表示するのではなく、関連度が100%の処置情報のみを表示し、簡潔な表示で使用者に分かりやすく処置を提示する。表示には、使用者に応じた2種類の表示があるので、これらの2種類の表示を順番に説明する。
【0071】
判定ステップであるステップS52において表示部43は、関連度が100%である処置情報332cが示す処置が、使用者が実行可能な処置であるか否かを判定する。すなわち、習熟レベルが低い一般使用者で対応可能な処置であるかを判定する。使用者が実行可能な処置方法であるか否かの判定は、処置情報332cと関連付けて記憶された対応可否情報332eを参照して行われる。
【0072】
実行可能であると判断した場合、表示部43はステップS53において、処置情報332cに基づき
図12に示される処置方法表示画面53を作成し表示装置16に表示する。処置方法表示画面53は処置方法のみを簡潔に表示するものであり、問題の重要度レベルが軽微で、分析不要の処置方法を一般使用者に通知するための画面である。
【0073】
一方、ステップS52で実行可能でないと判断した場合、表示部43は
図13に示される処置情報表示画面51を表示装置16に表示する。この画面は、前述の
図12の画面よりも、原因等の表示項目が多い点で異なる。例えば、処置の具体内容が原因によって変わり、人による判断が必要な場合、この画面が表示される。処置方法として、設定値を調整することが表示されたとしても、どのように調整するかは人の判断が必要であるため、原因等の参照情報を処置方法と一緒に表示する。この表示は、一般使用者が実行可能ではないと分類された処置方法に対して行われるものであり、一般使用者より習熟度の高い熟練者、例えば、保全業者用の表示である。
【0074】
ここで処置方法表示画面53と処置情報表示画面51について、
図12及び
図13を用いて説明する。まず、
図12の処置方法表示画面53は、処置情報332cのうち処置方法のみを一件表示するものである。処置方法表示画面53は、処置方法表示53a及び終了ボタン53bを備えている。
【0075】
図13の処置情報表示画面51は、処置情報332c及びそれに対応付けられたその他情報332dを一件表示するものである。処置情報表示画面51は、原因表示51a、処置方法表示51b、処置日表示51c、備考表示51d、及び終了ボタン51eを備えている。
原因表示51a及び処置方法表示51bは、それぞれ関連度が100%の処置情報332cに含まれる原因及び処置方法を表示するものである。また、処置日表示51c及び備考表示51dは、それぞれ関連度が100%の処置情報332cに対応付けられたその他情報332dに含まれる処置日及び備考を表示するものである。終了ボタン51eは、入力装置15を用いた操作により押下されるボタンである。
【0076】
次に、ステップS55において表示部43は、終了ボタン51e,53b及び候補リンクが押下されたか否かを判定する。候補リンクは後に説明する
図14に記載の候補リンク52Iと同様のものであって、その他情報332dにリンクアドレスが記憶されていた場合に備考表示51dに表示されるものである。
図13に記載の処置情報表示画面51の場合、当該データのその他情報332dアドレスが記憶されていないため候補リンクは表示されていない。
【0077】
終了ボタン51e,53bが押下された場合、表示部43はRAM12に記憶されている情報を削除し処理を終了する。ここで、関連度が100%であると判定された処置情報については処置情報データファイル332に追加されない。したがって、
図6のステップS34において関連度が100%であると判定される処置情報332cは最大でも1件である。
候補リンクが押下された場合、表示部43は処理をステップS59xに進める。なお、ステップS59xは後に説明するステップS59と同様の処理であるため、ステップS59と合わせて説明する。
【0078】
次に、関連度が100%でない場合の処置情報の表示について説明する。この場合は、検索部42が抽出した処置情報のうち、最も関連度が高い処置情報が適切な処置情報である可能性が高いが、それ以外の処置情報が適切である場合もある。そのため、表示部43は複数の処置情報を関連度順に表示する処理を実行する。ステップS56において、表示部43は
図14に示されるような複数の処置情報を含む処置情報リスト表示画面52を表示する。具体的には、表示部43は、
図6のステップS32でRAM12に記憶された処置情報332c及びそれに対応付けられた情報に基づき処置情報リスト表示画面52を作成し表示装置16に表示する。
【0079】
ここで、
図14を用いて処置情報リスト表示画面52について説明する。処置情報リスト表示画面52は、検索部42により検索された処置情報332c及びそれに対応付けられた情報を、関連度が高い順に表示するものである。処置情報リスト表示画面52は、照合結果リンク52a、関連度表示52b、原因表示52c、処置方法表示52d、処置日表示52e、備考表示52f、スクロールバー52g、及び登録開始ボタン52hを備えている。
【0080】
照合結果リンク52a、関連度表示52b、原因表示52c、処置方法表示52d、処置日表示52e、及び備考表示52fは、対応する処置情報332c毎に横一列に表示されている。照合結果リンク52a及び登録開始ボタン52h、並びに後に説明する候補リンク52Iは、入力装置15を用いた操作により押下されるボタンであって、次に説明するステップS57において押下されたか否かが判定される。
【0081】
関連度表示52bは、検索部42が算出した関連度を表示するものである。原因表示52c及び処置方法表示52dは、処置情報332cに含まれる原因及び処置方法を表示するものである。また、処置日表示52e及び備考表示52fは、処置情報332cに対応付けられたその他情報332dに含まれる処置日及び備考を表示するものである。
【0082】
候補リンク52Iは、処置情報332cに原因がソフトウェアのバージョン変更であることが記憶され、その他情報332dに含まれる備考として開発履歴情報のアドレスが記憶されていた場合に、備考表示52fに表示されるボタンである。このボタンが押されると、表示部43は
図15に示される変更候補表示画面10を表示装置16に表示する。この処理についてはステップS59の説明において後述する。開発履歴情報は、構築支援プログラム30に記憶されるソフトウェアの開発履歴についての情報であって、あるバージョンがどのバージョンに基づいて開発されたものであるかを示す履歴である。
図14には、上から三番目の備考表示52fに候補リンク52Iが表示されている。これは、構築支援プログラム30にソフトウェアの開発履歴が記憶されており、そのアドレスがその他情報332dの備考として記憶されていることを表している。
【0083】
ステップS57において、表示部43は処置情報リスト表示画面52の照合結果リンク52a、登録開始ボタン52h、及び候補リンク52Iが押下されたか否かを判定する。
【0084】
照合結果リンク52aが押下された場合、ステップS58において表示部43は、今回の異常に関する変化内容と、過去の処置情報に関連付けられた変化内容とを比較する画面を表示装置16に表示する。例えば、表示部43は、検索部42が
図6のステップS31で作成した変化内容の情報に基づき、その情報を表示する変化内容表示画面6を作成するとともに、同じく
図6のステップS32で検索部42が検索した過去の処置情報に関する変化内容情報332bを表示する変化内容表示画面6を作成し、その両方の画面を並べて表示する合成画面を作成し、表示装置16に表示させる。
【0085】
なお、ここで過去の処置情報に関する変化内容表示画面6は、ステップS57で押下された照合結果リンク52aと横並びで表示された原因表示52c及び処置方法表示52dが記憶された処置情報332cに対応する変化内容情報332bを表示するものである。
【0086】
ステップS57で、候補リンク52Iが押された場合、表示部43は候補表示ステップであるステップS59を実行する。すなわち、表示部43は
図15に記載の変更候補表示画面10を表示する。具体的には表示部43は、
図6のステップS31で作成した変化内容の情報のうち異常の発生後におけるソフトウェアのバージョンの情報及びその他情報332dに記憶されたアドレスにより指定される開発履歴情報に基づき変更候補表示画面10を作成し、表示装置16に表示する。
【0087】
ここで
図15を用いて変更候補表示画面10について説明する。変更候補表示画面10は、今回発生した異常と同様の異常が発生する可能性があるバージョンの一覧である。具体的には、変更候補表示画面10にはソフトウェアの開発履歴がツリー表示されている。また、異常の発生後におけるソフトウェアのバージョンに、バツ印がつけられ、強調表示されている。さらに、そのバージョンを基にして開発されたバージョンも強調表示されている。この変更候補表示画面10の表示によれば、異常はver1.1を原因として発生し、その前後においてVer1.1を基に開発されたVer1.2及びVer.1.3がインストールされている生産装置は、同様の異常が発生する可能性が高いことを意味している。
【0088】
また、候補表示ステップであるステップS59xにおいては、ステップS59と同様に、表示部43は変更候補表示画面10を表示し、処理をステップS55に戻す。
【0089】
ステップS57で、登録開始ボタン610が押された場合、表示部43は使用者にあらたな処置情報を入力させるため、ステップS43において
図11に示される登録画面7を表示装置16に表示する。この処理は、
図9のステップS43と同様の処理である。この表示処理が終わると表示部43は入力部44に処理を引き継ぐ。この入力処理については、
図16を用いて後述する。
【0090】
ここまでの説明において、表示部43の動作について説明した。この説明において、
図10のステップS53、S54、及びS56は、この実施の形態において、処置情報を表示装置16に表示する表示ステップである。次に、新たな処置情報の入力と記憶について説明する。
【0092】
図16は、入力部44及び記憶部45による処置情報の記憶処理を示すフローチャートである。
図16の端子Cは、それぞれ
図9及び
図10の端子Cと同一のものである。端子Cは
図9及び
図10のステップS43の処理の後に、ステップS61の処理が行われることを表している。
【0093】
入力ステップであるステップS61において、入力部44は入力装置15から送信される入力信号により、使用者が入力装置15を用いて入力するテキストやチェックボックスや各種ボタンの選択結果を受け付ける。この入力の受け付け処理の一例としては、ウインドウを用いたグラフィカルユーザインタフェースを提供するプログラム開発環境において提供される入出力ライブラリを用いて実現する方法がある。より具体的には、処置方法入力欄71をテキストの入力が可能なテキストボックスに指定し、登録ボタン75を動作が指定されたボタンに指定して、これらを前述のステップS43の処理として表示部43に表示させる。そして、この表示状態において、入力部44は入出力ライブラリを用いて入力を受け付ける。使用者が
図11の登録ボタン75を押下したとき、イベントが発生するので、そのイベントに指定された処理をCPU11の各モジュール41〜45に実行させる等の方法である。このとき、各入力欄71〜74に入力された情報は、変数等の形式でRAM12に記録され、各モジュールで読み出すことができるように構成される。なお、表示や入力の方法は、この方法に限らず、HTMLとCGI(Common Gateway Interface)の組み合わせのように、公知の他のユーザインタフェース技術で実現してもよい。
【0094】
登録ボタン75が押されると、記憶ステップが実行される。ステップS62aにおいて記憶部45は、ステップS61において登録画面7に入力された情報を処置情報データファイル332に記憶して処理を終了する。
【0095】
処置情報データファイル332の更新は、具体的には新たな処置ナンバー332a、変化内容情報332b、処置情報332c、その他情報332d、及び対応可否情報332eを関連付けて記憶することにより行われる。記憶部45は、変化内容情報332bとして、ステップS31で検索部42が作成した変化内容の情報を全て記憶する。また、記憶部45は、処置情報332cとして、ステップS61において入力部44が受け付けたテキスト、すなわち、
図11の原因入力欄72及び処置方法入力欄71に入力されたテキストの情報を記憶する。このテキストの情報には、原因と処置方法とが含まれる。その他情報332dには、現在の日付をOSから取得し処置日として記憶する。また、記憶部45は備考入力欄74に入力された文字の情報を備考として記憶する。先に説明した開発履歴情報のアドレスもテキストとして入力される。対応可否情報332eには、対応可否チェックボックス73にチェックが入れられている場合は、実行可能であるという情報を記憶し、入れられていない場合は実行可能ではないという情報を記憶する。
【0096】
以上のように、新たに入力された処置情報は、記憶部45により
図7に示す処置情報データファイル332に追加される。この追加され処置情報は、再度、同じ又は類似の異常が発生したときに、その異常に対する処置の候補として使用者に提供される。そのため、使用者は比較的短時間で必要な処置を行うことができる。
【0097】
以上、本実施の形態によれば、過去に発生した生産装置の異常と同様の異常が発生した場合に、過去に入力された処置情報が表示装置16に表示される。したがって、生産装置に異常が発生した場合に、異常に対する処置を示す情報を提供することができる。そのため生産装置に異常が発生した場合に、使用者が簡単に処置を決定することが可能となる。
【0098】
従来用いられてきたFAシステムに対するシステム構築支援装置は、異常が発生した場合に異常の発生に伴う生産装置の変化内容を提供していた。そのため異常に対して処置を行うためには、異常発生前後の装置情報の変化内容から、使用者が処置を検討する必要があった。本実施の形態によれば、異常が発生した場合に異常の原因及び処置方法の候補が表示装置16に表示されるため、使用者や保全業者の処置の検討における熟練度による影響を緩和することができる。
【0099】
また、処置の検討に係る時間を短縮することができるため、速やかに処置を行うことができる。これは、生産装置が停止するような異常が発生した場合に特に有用である。なぜなら、復旧に時間がかかるほど、生産装置の稼働時間が短くなり、生産量が低下するからである。
【0100】
本実施の形態では、検索部42が関連度を算出するため、関連度に応じた処置情報の表示を行うことができる。
【0101】
本実施の形態では、処置情報を関連度が高い順に表示するため、今回発生した異常に対する処置として適切な処置である可能性が高い処置を容易に見つけることができる。また、
図14の照合結果リンク52aが押下されることで、今回及び以前に作成した異常の発生に伴う装置情報の変化内容の情報が変化内容表示画面6に表示されるため、適切な処置を選択する際の参考にすることができる。
【0102】
特に、関連度が100%である処置情報332cがあった場合には、その関連度が100%である処置情報332cに基づいて処置情報を表示する。そのためシステム構築支援装置の使用者は、どの処置情報が、今回の異常に対する適切な処置に必要な情報であるかを悩む必要が無く、簡単に処置の方針を決定することができる。このような、関連度100%である処置情報332cは、過去に発生した異常の発生に伴って装置情報が全く同じ変化をしたときの処置についての情報である。そのため、この処置情報332cが示す処置は、今回発生した異常に対する処置として適切な可能性が非常に高い処置である。
【0103】
さらに、本実施の形態においては、処置情報332cが示す処置が使用者によって実行可能である、ごく簡単な処置である場合に表示方法が変更される。
図10のステップS53では、
図12のように処置方法のみが表示される。そのため、使用者は多くの情報を読む必要が無く、より簡単に異常に対する処置を検討することができる。これは、処置情報332c又はその他情報332dとして、大量の情報が記憶されている場合に特に有用である。
【0104】
本実施の形態によれば、異常が発生した場合に、実際に行われた処置に基づいて、処置情報データファイル332が更新される。そのため使用するにつれて、異常に対する処置情報が処置情報データファイル332に蓄積される。したがって、過去に発生した異常と同様の異常が発生した場合に、より関連度の高い処置情報を提供することが可能となる。例えば、コンピュータ1に接続された複数のPLC2の内の一台及びそのPLC2に接続した機器3の設定を変更した結果として異常が発生した場合に、処置情報が処置情報データファイル内に蓄積されることになる。その後、別のPLC2及びそれに接続された機器3に類似の設定変更を加えた結果として異常が発生した場合に、処置情報が検索されることとなる。
【0105】
さらに、処置情報データファイル332に記憶された情報は、FAシステムを利用する製造部門などの部門以外の、設計部門などの部門に共有することもできる。例えば、設計部門に処置情報332cとして記憶された異常の原因が共有されれば、類似製品の設計において異常の発生を設計のフェーズで防止することができる。したがって、生産装置の品質を向上させ、異常の発生率を下げることができる。また、処置情報データファイル332に記憶されたデータを他の製造拠点と共有すれば、ある拠点で発生した異常が他の拠点で発生した場合にも処置情報を得ることができる。
【0106】
本実施の形態では、
図15の変更候補表示画面10を表示することにより使用者は、今回発生した異常と同様の異常の原因となる可能性のあるソフトウェアのバージョンを知ることができる。そのため上記と同様に、他部門や他拠点と情報を共有することで、異常の発生を未然に防ぐことができる。
【0107】
実施の形態2.
実施の形態1の
図6のステップS32において検索部42は、ステップS31で作成した変化内容の情報に含まれる全ての装置情報の変化を用いて処置情報の検索を行っていた。本実施の形態は、変化内容の情報のうち、予め設定した一部の装置情報の変化に限定して処置情報の検索を行うようにしたものである。以下、本実施の形態の動作について実施の形態1との相違点を中心に、
図17から
図19を用いて説明する。
【0108】
初めに
図17を用いて、装置情報の設定に関するコンピュータ1の制御について説明する。
図17は、検索に用いない装置情報の設定処理を示すフローチャートである。
【0109】
ステップS71において検索部42は、履歴データファイル331に記憶されている履歴情報のうち履歴ナンバー331aが最新の履歴情報から5回分の履歴情報を参照し、5回連続で変化している装置情報を抽出する。そして、その装置情報の名前である履歴データファイル331における列の名前及び直近の履歴情報をRAM12に記憶する。
【0110】
設定受付ステップであるステップS72において入力部44は、処置情報の検索に用いない装置情報の入力を受け付ける。ここで、表示部43はステップS71においてRAM12に記憶した装置情報の名前及び直近の履歴情報に基づき、
図18に示される設定画面8を作成し表示装置16に表示する。
【0111】
ここで設定画面8について
図18を用いて説明する。設定画面8は、装置情報名表示81、直近履歴表示82、除外チェックボックス83、スクロールバー84、除外確定ボタン85、及びキャンセルボタン86を備えている。
【0112】
装置情報名表示81及び直近履歴表示82は、ステップS71において検索部42が抽出した装置情報の名前及び直近の履歴情報を表示するものである。除外チェックボックス83は、当該装置情報を処置情報の検索に用いるか否かを表す情報であり、チェックが入力された場合はその装置情報が検索から除外されることを表す。
図18の設定画面8が表示された状態で、除外確定ボタン85又はキャンセルボタン86が押下されると、次のステップS73の処理が実行される。
【0113】
ステップS73において入力部44は、入力装置15により除外確定ボタン85が押下されたか否かを判断する。押下されていないと入力部44が判断した場合、すなわちキャンセルボタン86が押下された場合、入力された情報を記録せず、処理を終了する。なお、処置情報の検索に用いない装置情報が決定されれば、処置情報の検索に用いる装置情報も決定される。したがって、除外チェックボックス83の入力は、処置情報の検索に用いる装置情報を決定するための入力と言い換えることができる。
【0114】
押下されたと入力部44が判断した場合、設定ステップであるステップS74が実行される。ステップS74において記憶部45は、設定画面8に入力された情報に基づいて、処置情報の検索に用いない装置情報をリストとして構築支援プログラム30に記憶する。具体的には、ステップS72においてチェックが入れられた除外チェックボックス83に関し、その横に表示された装置情報名表示81に記載の装置情報名をリストとして記憶装置14に記憶する。
【0115】
次に
図19を用いて、本実施の形態の検索部42による処置情報の検索におけるコンピュータ1の制御について、実施の形態1との相違を中心に説明する。
【0116】
実施の形態1において検索部42は、
図6のステップS31の処理の後にステップS32の処理を実行していたが、本実施の形態では
図19に示されるようにステップS31の処理の後にステップS8の処理を実行する。ステップS8において検索部42はステップS32aで用いる装置情報の変化を抽出する。
【0117】
具体的には、
図17のステップS74において記憶部45が記憶装置14に記憶したリストを読み出し、それをRAM12に一時的に記憶する。そして、そのリストの装置情報名とステップS31において作成した変化内容の情報とを照合する。変化内容の情報に含まれる装置情報の変化に、当該リストに含まれる装置情報名に対応するものがあれば、それらを除外した変化内容の情報を作成する。
【0118】
次に、検索部42はステップS32aにおいて処置情報の検索を行う。このステップS32aはこの実施の形態の検索ステップである。実施の形態1のステップS32において検索部42は、ステップS31で作成した装置情報の変化内容の情報の全てを処置情報データファイル332の変化内容情報332bと照合していた。本実施の形態のステップS32aにおいて検索部42は、ステップS8において抽出した変化内容の情報を、処置情報データファイル332の変化内容情報332bと照合することで処置情報332cを検索する。そして実施の形態1のステップS32と同様に、一致する装置情報の変化が一つでもあれば、検索部42は対応付けられて記憶された処置情報332cなどをRAM12に記憶する。
【0119】
また、実施の形態1の
図6の算出ステップS34において検索部42はステップS32でRAM12に記憶した処置情報332cとステップS31で作成した全ての変化内容の情報との一致割合を算出することで関連度を算出していた。本実施の形態の算出ステップにおいては、一部の変化内容を除外して、関連度を算出する。すなわち、ステップS34aにおいて検索部42は、処置情報332cとステップS8で抽出した変化内容の情報との一致割合を算出することで関連度を算出する。
【0120】
具体的には、
図17のステップS74において検索部42が記憶装置14に記憶したリストに含まれる装置情報名に対応する装置情報の変化を、変化内容情報332bから除外したものを作成し、抽出済み変化内容情報としてRAM12に一時的に記憶する。そして、抽出済み変化内容情報と、ステップS8で抽出した変化内容の情報との一致割合を百分率で算出する。
【0121】
なお、検索部42による、ステップS32a及びステップS34aを除く他の処理については、実施の形態1と同様にステップS31で作成した全ての変化内容の情報が用いられる。例えば、
図9のステップS41及び
図10のステップS58で表示される変化内容表示画面6には、ステップS31で作成した全ての変化内容の情報が表示される。また、
図16のステップS62aにおいて記憶部45が記憶する変化内容情報332bには、ステップS31で作成した全ての変化内容の情報が記憶される。
【0122】
以上、本実施の形態によれば、履歴情報が作成される度に変化するような、異常の発生とは無関係と思われる装置情報のうち、使用者が指定した装置情報について、処置情報の検索から除外することができる。したがって、実施の形態1よりも高い精度で異常に対する処置に必要な情報を提供することができる。
【0123】
実施の形態3.
実施の形態1において処置情報データファイル332は、コンピュータ1が備える記憶装置14に記憶された構築支援プログラム30中に記憶されていた。本実施の形態は、処置情報データファイル332を、サーバが備える記憶装置93に記憶したものである。サーバは、コンピュータ1の外部に設けられた外部装置である。以下、実施の形態1との相違点を中心に、
図20及び
図21を用いて説明する。初めに本実施の形態の構成について
図20を用いて説明する。
【0124】
図20は、本実施の形態におけるコンピュータ1を含むFAシステム全体とこのFAシステムとインターネット5を介して接続されるサーバ9の構成図である。本実施の形態においてコンピュータ1の受信装置17はインターネット5を介してサーバ9の通信インターフェイス91に接続されている。
【0125】
サーバ9は、通信インターフェイス91、CPU92、記憶装置93、及び内部バス94を備えている。通信インターフェイス91、CPU92、及び記憶装置93は内部バス94を介して接続されている。通信インターフェイス91はコンピュータ1の受信装置17と同様にインターネット5に接続するものである。CPU92はサーバ9全体の制御を行うものである。記憶装置93は、処置情報データファイル332を記憶したハードディスクである。
【0126】
次に、本実施の形態の動作について実施の形態1との違いを中心に説明する。初めに
図6を用いて、本実施の形態の検索部42による処置情報の検索におけるコンピュータ1の制御について説明する。
【0127】
実施の形態1のステップS32において検索部42は、コンピュータ1の記憶装置14に記憶された構築支援プログラム30中の処置情報データファイル332から異常に対する処置情報を検索していた。本実施の形態の検索ステップであるステップS32において、検索部42は、受信装置17及びインターネット5を介してサーバ9の記憶装置93に記憶された処置情報データファイル332から異常に対する処置情報を検索して処理をステップS33に進める。
【0128】
具体的には、ステップS32において検索部42は、ステップS31で作成した変化内容の情報及びサーバ9のアドレスに基づいて抽出命令を作成し、受信装置17を介して受信装置17及びインターネット5を介してサーバ9へ出力する。通信インターフェイス91から出力情報を受け取ったサーバ9は受け取った変化内容の情報と、処置情報データファイル332の変化内容情報332bとを照合する。そして、一致する装置情報の変化が一つでもあれば、サーバ9は、一致した装置情報の変化を含む変化内容情報332bと同一の処置ナンバー332aに対応付けられた処置情報332c、その他情報332d、及び対応可否情報332e、並びにその変化内容情報332bを通信インターフェイス91及びインターネット5を介してコンピュータ1に出力する。検索部42は当該情報を、受信装置17を介して受け取り、RAM12に一時記憶する。
【0129】
なお本開示において検索部42が行う異常に対する処置情報の検索とは、本実施の形態のように抽出命令を外部装置に出力し、外部装置から受け取った情報をRAM12に一時記憶する処理が含まれる。
【0130】
次に
図21を用いて本実施の形態の入力部44及び記憶部45による処置情報の登録におけるコンピュータ1の制御について説明する。
【0131】
実施の形態1の
図16のステップS62aにおいて記憶部45は登録画面7に入力された情報に基づいて、構築支援プログラム30中の処置情報データファイル332を更新して処理を終了していた。本実施の形態において記憶部45はこのステップS62aに代えて
図21に示されるステップS62bの処理を行う。
【0132】
記憶ステップであるステップS62bにおいて記憶部45は、登録画面7に入力された情報を出力することで処置情報データファイル332に処置情報を登録して処理を終了する。具体的には記憶部45は、登録画面7に入力された情報及びOSから取得した現在の日付、並びにサーバ9のアドレスに基づいて出力情報を作成し、受信装置17及びインターネット5を介してサーバ9へ送信する。
【0133】
通信インターフェイス91から出力情報を受信したサーバ9は、記憶装置93に記憶された処置情報データファイル332を、出力情報に基づいて更新する。具体的には実施の形態1の記憶部45と同様に、新たな履歴ナンバー331aに関連付けて変化内容情報332b、処置情報332c、その他情報332d、対応可否情報332eを記憶する。
【0134】
なお本開示において記憶部45が行う処置情報の記憶とは、本実施の形態のように、外部のサーバ9に設けられた処置情報データファイル332に処置情報を記憶する処理が含まれる。
【0135】
以上、本実施の形態によれば、処置情報データファイル332の更新がサーバ9に保存される。そのため、サーバ9に接続されたコンピュータ1の全てで同一の処置情報データファイル332を共有することができる。このことは、複数の製造拠点においてシステム構築支援装置であるコンピュータ1を利用するような場合に特に有用である。処置情報データファイル332に記憶されたデータを直ちに他の使用者と共有でき、実施の形態1よりも効率的に、ある拠点で発生した異常が他の拠点で発生した場合にも処置情報を得ることができるからである。
【0136】
以上、実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。以下に変形例を示す。
【0137】
実施の形態において、生産装置とはPLC2及びPLC2に接続された機器3であったが、FAシステムを構成する装置であればこれに限られない。例えば、PLC2を介さずにコンピュータ1に直接接続された機器3であってもよいし、PLC2に接続された機器3にさらに接続された別の装置であってもよい。また、実施の形態において装置情報は、コンピュータ1がPLC2から取得していたが設定情報を含むものであれば、これに限られない。例えば、コンピュータ1が機器3から直接取得するものでもよいし、コンピュータ1によって設定される機器3の設定情報でもよい。また装置情報は当然、実施の形態で説明したものに限られない。例えば、状態情報は機器3の現在の温度、設置している場所の傾き、又は使用年数等でもよい。
【0138】
実施の形態において記載したハードウェア構成は、同様の機能を発揮するものであればこれに限られない。例えば、実施の形態において、コンピュータ1の記憶装置14、及びサーバ9の記憶装置93は、ハードディスクであったが、フラッシュメモリ等の他の記憶装置でもよい。また、ソフトウェアについても同様の機能を発揮するものであればこれに限られない。
【0139】
実施の形態に記載の構築支援プログラム30は、CD−ROM等の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でメーカ等から配布されるものである。しかし、これに限らず、インターネット5等の通信網を介してダウンロードされるものでもよい。この場合、ダウンロード元のサーバが、構築支援プログラム30を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に相当する。また、構築支援プログラム30をコンピュータ1に導入した後の、記憶装置14も構築支援プログラム30を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に相当する。
【0140】
実施の形態の
図4のステップS11において、履歴作成命令は、入力装置15を用いて手動で指示された場合に、一定時間が経過した場合、又は生産装置に異常が発生した場合に検索部42から出力されるものであったが、課題の解決のためにはこれに限られない。例えば、機器3の電源が落とされた場合や接続が変更された場合などの生産装置からの入力の変化に基づいて、履歴作成命令が出力されてもよい。
【0141】
また、装置情報の種類によって履歴が作成されるタイミングが異なっていても良い。例えば、状態情報のうち温度については絶えず、生産個数情報331bについては5秒おきに履歴を作成し、設定情報については手動で指示があったときに履歴を作成するようにしてもよい。
【0142】
なお、履歴作成ステップで行う装置情報の記憶とは、検索部42が検索に用いるために参照できるように記憶されていればよい。すなわち、実施の形態の記憶装置14のような不揮発性の記憶媒体中の履歴データファイル331に履歴情報として記憶されるような場合に限られない。例えば、RAM12を記憶装置として、直近数件の装置情報がRAM12に記憶されるような場合も含まれる。
【0143】
実施の形態において検索部42は、異常発生情報の出力命令をPLC2に出力し、PLC2から異常発生信号を取得するものであった。しかし、課題の解決のためには、これに限られない。例えば、センサ3dからの異常発生信号の入力を常に受け付けるようにしてもよいし、状態情報を解析することで異常の有無を判定するようにしてもよい。状態情報の解析による異常の有無の判定とは、例えば1秒当たりの生産個数を示す履歴データファイル331の生産個数情報331bが、一定の個数を下回った場合に異常であると判定すること等である。
【0144】
また、実施の形態において異常とは、センサ3dにより判定される異常であったが、異常の種類はコンピュータ1が認知できる異常であればこれに限られない。例えば、温度センサが検知する機器3の温度の異常など生産装置自体に発生するものであってもいいし、FAシステムが生産する生産物中における欠陥品の率など、複数の生産物から判定するようにしてもよい。また、複数のセンサ3dを用いて様々な種類の異常を認知するようにしてもよい。
【0145】
実施の形態において、検索部42は履歴データファイル331に記憶された直近の二件の履歴情報から作成した異常の発生に伴う装置情報の変化内容の情報に基づいて処置情報を検索していた。しかし、課題の解決のためには、異常の発生に伴う装置情報の変化内容に基づいて処置情報を検索していれば、この方法に限られない。例えば、異常の発生後における装置情報は、履歴データファイル331に記憶せずに、履歴データファイル331に記憶された直近の1件の履歴情報と組み合わせて、変化内容の情報を作成し、検索に用いてもよい。
【0146】
また、実施の形態において説明した処置情報の検索に用いる情報は全て、装置情報の変化により構成されていた。しかし、検索部42が行う処置情報の検索は、他の情報と合わせて行ってもよい。例えば、PLC2の型番のような異常の発生に伴って変化し得ない情報により、処置情報を絞り込んでから検索を行ってもよい。また、気温や湿度が影響する異常に対する処置情報の検索に、日付の情報と合わせて検索を行ってもよい。また当然、異常の発生に伴って変化しなかった装置情報を検索に用いてもよい。
【0147】
実施の形態において、処置情報の検索に用いる異常の発生前及び異常の発生後の装置情報は、履歴データファイル331に記憶された異常の発生直前及び異常の発生直後の履歴情報であったが、課題の解決のためにはこれに限られない。例えば、直前又は直後の装置情報の平均或いは最頻の情報を用いてもよい。また、検索の精度が劣る可能性はあるが、数回前の履歴情報や、数回後の履歴情報を用いてもよい。
【0148】
実施の形態において関連度は、検索部42が変化内容情報332bに含まれる装置情報の変化と、ステップS31で作成した変化内容の情報に含まれる装置情報の変化との一致割合から算出するものであった。しかし関連度の算出方法はこれに限られない。例えば、単純な一致割合ではなく装置情報毎に重みづけがされていてもよい。
【0149】
また、公知のAI技術を用いて処置情報の検索及び関連度の算出を行ってもよい。例えば、異常の発生に伴う装置情報の変化内容と、装置情報の変化内容に対応する処置情報とを学習用データとして入力し、学習用データを用いて異常の発生に伴う装置情報の変化内容から、異常に対する処置情報を推論するための学習済みモデルをニューラルネットワークモデルに従って作成した場合について説明する。
【0150】
実施の形態において検索部42は、変化内容情報332bに含まれる装置情報の変化が、
図6、
図19のステップS31で作成した変化内容の情報に含まれる変化内容の情報と一つでも一致する処置情報332cを全て抽出していた。課題の解決のためには、処置情報の検索はこの方法に限られない。例えば、処置情報データファイル332に代えて上記の学習済みモデルを構築支援プログラム30に記憶し、ステップS31で作成した変化内容の情報から処置情報を推論することで検索をおこなってもよい。また、このときに出力される各々の処置情報に対する出力値を関連度として用いてもよい。
【0151】
実施の形態において関連度は百分率として算出されるものであったが、当然別の単位で算出されてもよい。また、実施の形態の
図10のステップS51において表示部43は、関連度が最大の処置情報332cの、関連度が100%であるか否かを判定していた。しかし、ステップS53及びステップS54において、処置方法及び処置情報を一件表示することで使用者の負担を軽減するためには、ステップS51の処理は関連度が100%か否かを判定するものに限られない。
【0152】
すなわち、ステップS51の処理は、関連度が最大である処置情報332cの関連度が予め定められた閾値以上であるか否かを判定するものであればよい。言い換えれば、後のステップS53及びステップS54は、関連度が最大である処置情報332cの関連度が、予め定められた閾値以上である場合に、その関連度が最大である処置情報332c又はそれに含まれる処置方法を一件表示するものであればよい。例えば、閾値を97%とあらかじめ定めた場合において、関連度が最大である処置情報332cの関連度が98%である場合、表示部43は処理をステップS52に進めるようにしてもよい。また、関連度が最大である処置情報332cの関連度が予め定められた閾値以上でかつ使用者により実行可能である場合に、処置情報332cを一件表示するようにしてもよい。
【0153】
また、実施の形態のステップS51においては、関連度が最大である処置情報332cの関連度があらかじめ定められた閾値である100%よりも小さければ、表示部43は処理をステップS56に進めていた。しかし、ステップS56において、処置情報332cを関連度が高い順に表示することで、異常に対する処置として適切な処置である可能性が高い処置を容易に見つけることができるという効果を得るためには、ステップS51の処理は無くてもよい。すなわち、関連度が最大である処置情報332cの関連度が閾値よりも小さいか否かにかかわらず、処置情報リスト表示画面52に、関連度が高い順に処置情報を表示にするようにしてもよい。
【0154】
実施の形態において、
図10のステップS52で行う、処置情報332cが示す処置が、使用者により実行可能な処置であるか否かの判定は、ステップS51で関連度が100%である処置情報332cに対して行われるものであった。しかし、ステップS51の処理を行わず、
図6のステップS32で検索した全ての処置情報332cに対して行い、続く処理における処置情報の表示の方法を決定してもよい。
【0155】
実施の形態において、
図10のステップS53は処置方法のみを表示するものであった。しかし、使用者が簡単に処置を検討することができるという効果を得るためには、他の方法で表示してもよい。すなわち、使用者により実行可能であると判定された場合に、使用者により実行可能でないと判定された場合に表示装置16に表示する項目よりも少ない項目を表示装置16に表示するものであればよい。項目とは、異常の原因又は処置方法といった異常の原因や、処置日などのその他の情報の種別である。
【0156】
また、実施の形態において、処置が使用者により実行可能であるか否かの定義は、
図16のステップS62での対応可否チェックボックス73の入力に基づき行われるものであった。しかし、定義の方法はこれに限られない。例えば、公知のAI技術を用いて行ってもよい。
【0157】
公知のAI技術による使用者により実行可能であるか否かの定義とは、例えば、処置方法と、処置方法に対応する使用者により実行可能であるか否かの情報とを学習用データとして入力し、学習用データを用いて処置方法入力欄71に入力された文字から、使用者により実行可能であるか否かを推論するための学習済みモデルを作成して行ってもよい。
【0158】
実施の形態において、処置情報の表示方法として、処置方法表示画面53、処置情報表示画面51、及び処置情報リスト表示画面52を説明した。しかし、課題の解決のためには、処置情報が表示されていればどんなものでもよい。また、課題の解決のためにはステップS33で処置情報があると判断された場合、関連度や実行可能であるかの判断を行わずに、検索した全ての処置情報を表示するようにしてもよい。また、処置情報の表示は当然、処置情報データファイル332に処置情報332cとして記憶されたテキストデータに限られず、それらから作成される異なる表示であってもよい。
【0159】
また、実施の形態において処置情報は異常の原因及び異常に対する処置方法であった。処置情報は、処置を示す情報であればこれに限られない。例えば、原因箇所がわかれば、使用者が簡単に処置を行うことができるような場合には、処置情報332cとして「部品P」などの異常の原因となっている箇所のみを記憶するようにしてもよい。
【0160】
実施の形態において、
図10のステップS59及びステップS59xにおいて、処置情報332cに原因がソフトウェアのバージョン変更であることが記憶され、その他情報332dに含まれる備考として開発履歴情報のアドレスが記憶されていた場合に表示されるリンクが、押下されたときに変更候補表示画面10を表示するものであった。しかし、検索部42が検索した処置情報が、異常の原因がソフトウェアのバージョン変更であることを示すものである場合に、変更候補表示画面10が表示されれば、他の条件に基づいて表示されてもよい。例えば処置情報332cに原因がソフトウェアのバージョン変更であることが記憶されている場合はいつでも、構築支援プログラム30からソフトウェアの開発履歴を検索して変更候補表示画面10を表示するようにしてもよい。
【0161】
また、変更候補表示画面10は、生産装置に発生した異常と同様の異常の原因となる可能性のあるソフトウェアのバージョンをソフトウェアの開発履歴に基づいて表示するものであればこれに限られない。例えば、該当するソフトウェアのバージョンをテキストで列挙するようなものでもよい。
【0162】
実施の形態において、処置情報データファイル332に記憶される処置情報332cなどは、
図16のステップS62a,
図21のステップS62bにおいて、記憶されるものであった。当然、あらかじめ、記憶されている処置情報332cがあってもよい。また、実施の形態においては、異常が検出された場合であって、特にステップS51で関連度が100%の処置情報332cが無い場合に、処置情報データファイル332に処置情報の記憶を行っていた。当然、ステップS51での結果にかかわらず、処置情報データファイル332に処置情報の記憶を行うようにしてもよい。この場合、ステップS53及びステップS54において、どちらか一件、例えば最新の一件を表示するようにしてもよい。
【0163】
実施の形態2の
図17のステップS71において、検索部42は履歴データファイル331から直近の数回において毎回変動している装置情報を、検索に用いない装置情報の候補として抽出するものであった。しかし、例えば、全ての装置情報から選択するようにしてもよいし、履歴データファイル331における履歴情報の変動とは異なる条件で抽出してもよい。また、検索部42は検索に用いない装置情報を記憶するものであったが、反対に検索に用いる装置情報を選択させ、記憶するようにしてもよい。
【0164】
また実施の形態2の
図19のステップS8において、検索部42はステップS31で作成した変化内容の情報から検索に用いる装置情報の変化を抽出していた。これに代えて、ステップS31の処理において検索部42が、
図17のステップS74において検索部42が記憶装置14に記憶したリストに基づき、当該リストに含まれる装置情報名に対応するものを除いた変化内容の情報を作成するようにしてもよい。
【0165】
実施の形態3において、外部装置はサーバ9であったが、処置情報データファイル332に記憶されたデータを直ちに他の使用者と共有するという効果を得るためには、外部装置はこれに限られず、例えば他の拠点で使用されているコンピュータ1であってもよい。
【0166】
実施の形態2及び実施の形態3において、実施の形態1との変更点を中心に説明したが、当然これらの実施の形態は相互に組み合わされていてもよい。
本開示に係るシステム構築支援プログラム30は、履歴作成ステップ、入力ステップ、記憶ステップ、検索ステップ、及び検索ステップで検索した処置情報を表示装置16に表示する表示ステップを、コンピュータ1に実行させるものである。履歴作成ステップは生産システムに含まれる生産装置2,3の設定を示す設定情報を複数受信し、記憶装置14に記憶するものである。入力ステップは、生産装置2,3に異常が発生した場合に、異常に対する処置を示す処置情報の入力を受け付けるものである。記憶ステップは、入力ステップにおいて入力された処置情報を、異常の発生に伴う変化内容設定情報の変化内容に関連付けて記憶装置14に記憶するものである。検索ステップは、記憶ステップの後に、生産装置2,3に異常が発生した場合に、設定情報の変化内容を検索条件として、記憶装置14に記憶された処置情報から、生産装置2,3に発生した異常に対する処置情報を検索するものである。