(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984787
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
H01L23/02 B
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2021-518232(P2021-518232)
(86)(22)【出願日】2019年5月7日
(86)【国際出願番号】JP2019018263
(87)【国際公開番号】WO2020225852
(87)【国際公開日】20201112
【審査請求日】2021年5月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】特許業務法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 裕和
【審査官】
庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−275553(JP,A)
【文献】
特開2011−9542(JP,A)
【文献】
特開昭62−194651(JP,A)
【文献】
特開2004−221415(JP,A)
【文献】
特開平6−188288(JP,A)
【文献】
特開2007−227510(JP,A)
【文献】
特開2015−138906(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/207985(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース板と、前記ベース板の主面の外周部に接合されたフレームとを有するパッケージと、
前記ベース板の前記主面に第1のはんだにより実装され、半導体チップを有する電子部品と、
前記ベース板の前記主面の前記電子部品が実装されていない領域に塗布され、前記第1のはんだよりも融点が低い第2のはんだと、
前記フレームに第3のはんだにより接合されて前記電子部品を封止するキャップとを備え、
前記第2のはんだは、前記パッケージの内部で前記キャップと対向するように露出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2のはんだは、前記第3のはんだから発生したはんだ屑を固着することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
ベース板と、前記ベース板の主面の外周部に接合されたフレームとを有するパッケージと、
前記ベース板の前記主面に第1のはんだにより実装され、半導体チップを有する電子部品と、
裏面が前記フレームに第2のはんだにより接合されて前記電子部品を封止するキャップとを備え、
前記キャップの前記裏面の全面に前記第2のはんだが塗布されており、
前記第2のはんだは、前記パッケージの内部で露出し、前記第1のはんだから発生したはんだ屑を固着することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
ベース板と、前記ベース板の主面の外周部に接合されたフレームとを有するパッケージと、
前記ベース板の前記主面に第1のはんだにより実装され、半導体チップを有する電子部品と、
裏面が前記フレームに第2のはんだにより接合されて前記電子部品を封止するキャップと、
前記キャップの前記裏面の前記フレームと接合されていない領域に塗布され、前記第2のはんだよりも融点の低い第3のはんだとを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記第3のはんだは、前記パッケージの内部で露出し、前記第1のはんだ又は前記第2のはんだから発生したはんだ屑を固着することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電子部品は、前記半導体チップが実装されたプレートを有し、
前記プレートが前記第1のはんだにより前記ベース板の前記主面に接合されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
ベース板の主面の外周部にフレームを接合してパッケージを形成する工程と、
前記ベース板の前記主面に、第1のはんだと、前記第1のはんだよりも融点が低い第2のはんだとを塗布する工程と、
前記ベース板の前記主面に、半導体チップを有する電子部品を前記第1のはんだにより実装する工程と、
キャップを前記フレームに第3のはんだにより接合して前記電子部品を封止する封止工程とを備え、
前記封止工程において、前記第1のはんだを溶融させることなく、前記第2のはんだを溶融させ、
前記第2のはんだは、前記パッケージの内部で前記キャップと対向するように露出していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記封止工程において前記キャップを前記フレームの上面でスクライブし、前記第3のはんだから発生したはんだ屑が溶融した前記第2のはんだに落下し、前記第2のはんだが前記はんだ屑を固着することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
ベース板の主面の外周部にフレームを接合してパッケージを形成する工程と、
前記ベース板の前記主面に、半導体チップを有する電子部品を第1のはんだにより実装する工程と、
キャップの裏面の全面に第2のはんだを塗布する工程と、
前記裏面を上にした状態で前記キャップをヒートステーションに載せて加熱して前記第2のはんだを溶融させ、前記キャップの前記裏面に前記フレームを前記第2のはんだにより接合して前記電子部品を封止する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
ベース板の主面の外周部にフレームを接合してパッケージを形成する工程と、
前記ベース板の前記主面に、半導体チップを有する電子部品を第1のはんだにより実装する工程と、
キャップの裏面の外周部に第2のはんだを塗布し、前記裏面の中央部に前記第2のはんだよりも融点の低い第3のはんだを塗布する工程と、
前記キャップの前記裏面を前記フレームに前記第2のはんだにより接合して前記電子部品を封止する封止工程と、
前記封止工程の後に、前記パッケージに対して前記キャップを下にした状態で前記キャップをヒートステーションに載せて加熱して、前記第1のはんだと前記第2のはんだを溶融させることなく、前記第3のはんだを溶融させる工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力が要求される高周波FETにおいて、トランジスタの信頼性を確保するため高い放熱性を確保する必要がある。このため、高周波FET用パッケージとして、銅又は銅の金属化合物をメタルベースとするメタルパッケージが選択される。このパッケージへの半導体チップ及び整合回路を構成する基板の実装には、高い熱伝導を有する例えば金錫はんだが用いられる。また、高信頼度が要求される場合、封止後のパッケージ内の気密性が要求され、封止には例えば金錫はんだが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開昭62−194651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実装又は封止のはんだ付け時にはんだ屑が発生し、封止後のパッケージ内を動き回る場合があった。このはんだ屑が導電性異物として高周波回路の配線間を短絡して、製品特性が劣化し、半導体チップが焼損するなど、不良の原因になっていた。
【0005】
なお、パッケージ内に浮遊する埃等の異物を接着するためにパッケージ内部の上面にポリイミド系樹脂層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、はんだ屑のような埃より重みがある異物はパッケージ内部の底面に落下するため、接着できなかった。従って、不良の発生を抑制することはできなかった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は不良の発生を抑制することができる半導体装置及びその製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置は、ベース板と、前記ベース板の主面の外周部に接合されたフレームとを有するパッケージと、前記ベース板の前記主面に第1のはんだにより実装され、半導体チップを有する電子部品と、前記ベース板の前記主面の前記電子部品が実装されていない領域に塗布され、前記第1のはんだよりも融点が低い第2のはんだと、前記フレームに第3のはんだにより接合されて前記電子部品を封止するキャップとを備え
、前記第2のはんだは、前記パッケージの内部で前記キャップと対向するように露出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、融点が低い第2のはんだがベース板の主面の電子部品が実装されていない領域に塗布されている。この第2のはんだによりパッケージ内部のはんだ屑を固着して動かなくすることができる。従って、高周波回路の配線間の短絡を防いで不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体装置の内部を示す平面図である。
【
図3】実施の形態2に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4】実施の形態2に係るキャップの裏面を示す平面図である。
【
図5】実施の形態3に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図6】実施の形態3に係るキャップの裏面を示す平面図である。
【
図7】実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図8】実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図2は、実施の形態1に係る半導体装置の内部を示す平面図である。本実施の形態に係る半導体装置は高周波FET用パッケージである。
【0012】
パッケージ1は、ベース板2と、ベース板2の主面の外周部に接合されたセラミック端子3及びフレーム4とを有する。ベース板2の主面に電子部品5がはんだ6により実装されている。電子部品5は、信号を増幅する高周波増幅器等の半導体チップ7と、高周波増幅器の整合回路がプリントされた基板8とを有する。半導体チップ7と基板8はワイヤ9により接続されている。基板8はセラミック端子3のリード10にワイヤ11により接続されている。
【0013】
はんだ12が、ベース板2の主面の電子部品5が実装されていない領域に塗布され、パッケージ1の内部で露出している。キャップ13の裏面がフレーム4の上面にはんだ14により接合されて電子部品5を封止する。はんだ12は、はんだ6,14よりも融点が低い。例えば、はんだ6,14は金錫はんだ、はんだ12は錫銀銅はんだである。
【0014】
封止工程において、キャップ13に対してパッケージ1を下にした状態でパッケージ1をヒートステーション15に載せて加熱する。これにより、はんだ6を溶融させることなく、はんだ12を溶融させる。キャップ13をフレーム4に接合する際に、はんだ14をなじませるため、キャップ13をフレーム4の上面でスクライブする。この時、はんだ14から発生したはんだ屑16がパッケージ1の内部でベース板2の主面に落下し、製品の特性と信頼性に影響を及ぼす可能性のある導電性異物となる。ところが、溶融したはんだ12がはんだ屑16を固着するため、はんだ屑16を動かなくすることができる。従って、高周波回路の配線間の短絡で発生する製品特性の劣化又は半導体チップの焼損を防いで不良の発生を抑制することができる。また、半導体装置を高加速度環境で振動させてパッケージ内部の導電性異物を検出するPIND試験を実施した場合にも不良の発生を抑制することができる。
【0015】
なお、封止後でも、はんだ6を溶融させることなくはんだ12を溶融させる温度にパッケージ1を昇温することにより、封止時に捉えきれずに残存するはんだ屑16を固着することができる。これにより、PIND試験で異物が検出された場合でも、検出された導電性異物を動かなくすることができる。
【0016】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図4は、実施の形態2に係るキャップの裏面を示す平面図である。本実施の形態では、キャップ13の裏面の全面にはんだ14を塗布する。はんだ14は例えば金錫はんだである。
【0017】
封止工程において、裏面を上にした状態でキャップ13をヒートステーション15に載せて加熱してはんだ14を溶融させ、キャップ13の裏面にフレーム4をはんだ14により接合して電子部品5を封止する。はんだ14は、パッケージ1の内部で露出し、電子部品5の実装時にはんだ6から発生したはんだ屑16と、封止時にはんだ14から発生したはんだ屑17とを固着する。これにより、はんだ屑16,17を動かなくすることができるため、実施の形態1よりも不良の発生を抑制することができる。その他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。
【0018】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図6は、実施の形態3に係るキャップの裏面を示す平面図である。本実施の形態では、キャップ13の裏面の外周部にはんだ14を塗布し、裏面の中央部にはんだ14よりも融点の低いはんだ18を塗布する。例えば、はんだ14は金錫はんだであり、はんだ18は錫銀銅はんだである。
【0019】
実施の形態2と同様に、封止工程において溶融したはんだ14,18によりはんだ屑16,17を固着することができる。さらに、封止工程の後であっても、パッケージ1に対してキャップ13を下にした状態でキャップ13をヒートステーション15に載せて加熱して、はんだ6とはんだ14を溶融させることなく、はんだ18を溶融させる。これにより、封止時に捉えきれずに残存するはんだ屑16,17を封止後に固着することができる。従って、実施の形態2よりも不良の発生を抑制することができる。その他の構成及び効果は実施の形態2と同様である。
【0020】
実施の形態4.
図7及び
図8は、実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。半導体チップ7及び基板8がプレート19にはんだ20により実装されている。プレート19は例えばベース板2と同一素材である。
図7に示すように、このプレート19をはんだ6によりベース板2の主面に接合する。そして、
図8に示すようにキャップ13で封止する。プレート19を用いることで、半導体チップ7及び基板8で構成する高周波回路をベース板2の主面より高くする。
【0021】
半導体チップ7及び基板8のプレート19へのはんだ付けをパッケージ外で行うことができる。このため、はんだ付けの際に発生するはんだ屑をパッケージ外で除去できる。また、プレート19は半導体チップ7及び基板8に比べてサイズが大きいため、ベース板2へのプレート19の実装は容易である。
【0022】
また、プレート19をベース板2に実装する前に高周波回路の特性を確認できる。このため、仮に半導体チップ7の実力不足が発生した場合にプレート19の状態で廃棄できる。高価な高周波FET用パッケージに組み込んだ製品を廃棄するのに比べて、廃棄によるロスを抑えることができる。
【0023】
なお、プレート19はベース板2と異なる材質でもよいが、線膨張係数が近い材質を選ぶことが好ましい。これにより、はんだ付け時の温度上昇で発生するベース板2とプレート19との間の線膨張係数差を無くし、はんだ6の破壊を回避することができる。その他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。また、実施の形態4の構成を実施の形態2又は3に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 パッケージ、2 ベース板、4 フレーム、5 電子部品、6,12,14,18,20 はんだ、7 半導体チップ、13 キャップ、15 ヒートステーション、16,17 はんだ屑