特許第6984789号(P6984789)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6984789無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6984789
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20211213BHJP
   B60L 7/00 20060101ALI20211213BHJP
   B60W 10/00 20060101ALI20211213BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20211213BHJP
   F16D 55/28 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G05D1/02 Q
   B60L7/00 101
   B60W10/00 148
   B65G1/00 501C
   F16D55/28 B
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2021-518981(P2021-518981)
(86)(22)【出願日】2021年3月10日
(86)【国際出願番号】JP2021009574
【審査請求日】2021年4月6日
(31)【優先権主張番号】特願2020-84966(P2020-84966)
(32)【優先日】2020年5月14日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲治
(72)【発明者】
【氏名】松下 祐也
(72)【発明者】
【氏名】北崎 達哉
(72)【発明者】
【氏名】米野 敬祐
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−232560(JP,A)
【文献】 特開2017−169247(JP,A)
【文献】 特開2006−094574(JP,A)
【文献】 特開平1−246607(JP,A)
【文献】 特開平6−309031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B60L 7/00
B60W 10/00
B65G 1/00
F16D 55/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪、モータ、及び当該モータの動力を前記駆動輪に伝達する複数の歯車を各々が備えた、複数の駆動ユニットを備え、当該複数の駆動ユニットの各々は、互いに独立して、駆動トルクが作用して各々の前記駆動輪が走行しようとする駆動方向を変更可能に設けられた、無人搬送車の、停止時における制御を行う、無人搬送車の停止制御システムであって、
前記無人搬送車が停止した後に、前記モータの回転方向を変え、かつ前記複数の駆動ユニットの各々を旋回させることにより、前記複数の駆動ユニットの各々の前記駆動輪の前記駆動方向を、各々の前記駆動トルクが互いに打ち消しあう方向に向くように変更し、前記駆動輪の各々を、各々の前記駆動方向に向けて駆動させ、前記歯車間のバックラッシによる隙間が位置する方向には回転不能とする、制御装置を備えている、無人搬送車の停止制御システム。
【請求項2】
前記複数の駆動ユニットは、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットを備え、
前記無人搬送車の基台は、平面視したときに、矩形形状に形成され、前記第1駆動ユニットと第2駆動ユニットは、前記基台の、前記矩形形状の一方の対角線上に位置するように設けられ、
前記第1駆動ユニットの前記駆動輪の前記駆動方向と、前記第2駆動ユニットの前記駆動輪の前記駆動方向は、互いに反対側の方向である、請求項1に記載の無人搬送車の停止制御システム。
【請求項3】
前記複数の駆動ユニットの各々は、前記駆動輪の駆動を停止させるブレーキを備え、
前記制御装置は、前記複数の駆動ユニットの各々の前記駆動輪を、各々の前記駆動方向に向けて駆動させ、前記歯車間のバックラッシによる隙間が位置する方向には回転不能とした後に、前記ブレーキの各々により前記駆動輪の各々の駆動を停止させる、請求項1または2に記載の無人搬送車の停止制御システム。
【請求項4】
前記複数の駆動ユニットは、第1駆動ユニット、第2駆動ユニット、及び第3駆動ユニットを備え、
前記第1、第2、及び第3駆動ユニットの各々の前記駆動輪の前記駆動トルクが互いに打ち消しあう前記方向は、前記第1、第2、及び第3駆動ユニットの前記駆動輪が、当該駆動輪の各々を頂点として形成された仮想三角形の、重心を向く方向、または前記重心とは反対側を向く方向である、請求項1に記載の無人搬送車の停止制御システム。
【請求項5】
前記複数の駆動ユニットは、第1駆動ユニット、第2駆動ユニット、第3駆動ユニット、及び第4駆動ユニットを備え、
前記制御装置は、前記無人搬送車が停止した後に、前記第1、第2、第3、及び第4駆動ユニットの各々の前記駆動輪の前記駆動方向を、これらの前記駆動トルクが互いに打ち消しあう方向に向くように変更し、前記駆動輪の各々を、各々の前記駆動方向に向けて駆動させる、請求項1に記載の無人搬送車の停止制御システム。
【請求項6】
駆動輪、モータ、及び当該モータの動力を前記駆動輪に伝達する複数の歯車を各々が備えた、複数の駆動ユニットを備え、当該複数の駆動ユニットの各々は、互いに独立して、駆動トルクが作用して各々の前記駆動輪が走行しようとする駆動方向を変更可能に設けられた、無人搬送車の、停止時における制御を行う、無人搬送車の停止制御方法であって、
前記無人搬送車が停止した後に、前記モータの回転方向を変え、かつ前記複数の駆動ユニットの各々を旋回させることにより、前記複数の駆動ユニットの各々の前記駆動輪の前記駆動方向を、各々の前記駆動トルクが互いに打ち消しあう方向に向くように変更し、前記駆動輪の各々を、各々の前記駆動方向に向けて駆動させ、前記歯車間のバックラッシによる隙間が位置する方向には回転不能とする、無人搬送車の停止制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、倉庫や工場等の施設において、資材等のワークの搬送を行うために、無人搬送車が使用されている。ワークを搬送するために、無人搬送車には、例えばフォーク等の、ワークを無人搬送車へと移載する移載装置が備えられることがある。あるいは、無人搬送車の外部に、例えば施設内の、無人搬送車との間でワークの移載を行う場所に設けられた移載装置によって、移載が行われることもある。
【0003】
通常、無人搬送車の駆動輪と、これを駆動するモータとの間には、モータの回転を減速して駆動輪に伝達するための、複数の歯車を備えた減速機が設けられている。歯車の回転方向における歯の間隔は、歯車間の歯どうしの干渉を抑制して歯車を円滑に回転させるために、かみ合った他の歯車の歯の大きさよりも大きく設けられている。これにより、バックラッシ、すなわち2つの歯車がかみ合った状態における歯面間の遊びが、意図的に形成されている。
無人搬送車に対するワークの移載、例えば搭載や荷下ろしは、無人搬送車が停止している場合に行われることが多い。無人搬送車に対してワークを搭載、荷下ろしすると、無人搬送車が支持する荷重が変化し、これに伴って無人搬送車の重心が移動する。ここで、上記のように減速機には、複数の歯車が設けられているため、上記のような重心の移動により、バックラッシの分だけ駆動輪が余計に回転し、無人搬送車の位置が、停止時からずれることがある。
無人搬送車の停止時の位置ずれは、無人搬送車自体に移載装置が設けられた場合には、移載装置の運動によっても生じ得る。例えば、移載装置が無人搬送車上で移動等の運動を行う際に、無人搬送車本体に運動方向とは反対側への反作用が生じる。この反作用によりバックラッシの分だけ駆動輪が余計に回転し、無人搬送車の位置が停止時からずれる可能性がある。
無人搬送車の停止時の位置ずれは、上記に限られず、例えば無人搬送車やこれに搭載された移載装置、または無人搬送車の周囲に設けられた機械設備等により起こされる振動によっても生じ得る。
【0004】
例えば、上記のような移載装置が設けられた無人搬送車を運用するに際し、無人搬送車が停止した後、無人搬送車の外部に設けられた撮像装置により無人搬送車を撮像し、画像処理によって移載装置の原点位置を計算、記憶して、これを基に移載装置の制御を実行することがある。このような場合において、無人搬送車が停止した後に、無人搬送車の位置がずれると、移載装置の原点位置にずれが生じる。このため、移載装置と搭載しようとするワークの間の相対位置が、あるいは移載装置により荷下ろししようとするワークと荷下ろし先の位置の間の相対位置が、無人搬送車の停止直後に想定した相対関係とは異なるものとなり、結果的にワークの搭載や荷下ろしが正常に行われないことがある。
移載装置が無人搬送車の外部に設けられた場合においても、同様に、無人搬送車に搭載しようとするワークと、無人搬送車との間の相対位置が、あるいは無人搬送車上の荷下ろししようとするワークと移載装置間の相対位置がずれて、ワークの搭載や荷下ろしが正常に行われないことがある。
したがって、特にワークの搭載や荷下ろしに微細な精度が求められる場合においては、無人搬送車が停止時からずれないようにするための措置が必要である。
【0005】
これに対し、特許文献1には、移載機が搭載された無人搬送車が開示されている。移載機は、垂直方向に移動可能なアウトリガを有している。アウトリガの先端には凹部が設けられており、この凹部を走行路に固定して設けられた凸部に当接、係止させて、移載機を支持させる。これにより、移載機を所定の位置に位置決めさせている。
あるいは、減速機として設けられる歯車の加工精度や組付け精度を向上させて、バックラッシを低減することによっても、停止した後の位置ずれが抑制され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−210729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような、アウトリガ等の位置決め用部材と、凸部などの固定部材を使用する場合においては、無人搬送車が停止した後の位置ずれを抑制するためだけに、これらの部材を設ける必要がある。特に、例えば無人倉庫等の、ワークの搭載や荷下ろしをする場所の数が多くなる可能性がある場合においては、これに応じた固定部材を設けなければならない。したがって、導入のために要するコストが嵩む場合がある。
また、固定部材の移設には特別に工事が必要となる。このため、例えば無人搬送車の停止位置が頻繁に変更される可能性がある場合に、固定部材の設置場所を柔軟に変更することができない。
このため、位置決め用部材と固定部材を使用することにより無人搬送車が停止した後の位置ずれを抑制するのは、特に上記のような場合には実現が容易ではない。
【0008】
歯車の加工精度や組付け精度を向上させて、バックラッシを低減することによっても、無人搬送車が停止した後の位置ずれを抑制するのは、容易ではない。バックラッシは、歯車の円滑な回転のためには必須であり、加工精度や組付け精度をどれほど向上させても、最低限のバックラッシが設けられるため、無人搬送車が停止した後の位置ずれは、根本的には抑制されない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、無人搬送車が停止した後の作業時において、無人搬送車の位置のずれを、容易に抑制可能な、無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、駆動輪、モータ、及び当該モータの動力を前記駆動輪に伝達する複数の歯車を各々が備えた、複数の駆動ユニットを備え、当該複数の駆動ユニットの各々は、互いに独立して、駆動トルクが作用して各々の前記駆動輪が走行しようとする駆動方向を変更可能に設けられた、無人搬送車の、停止時における制御を行う、無人搬送車の停止制御システムであって、前記無人搬送車が停止した後に、前記複数の駆動ユニットの各々の前記駆動輪の前記駆動方向を、各々の前記駆動トルクが互いに打ち消しあう方向に向くように変更し、前記駆動輪の各々を、各々の前記駆動方向に向けて駆動させる、制御装置を備えている、無人搬送車の停止制御システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、駆動輪、モータ、及び当該モータの動力を前記駆動輪に伝達する複数の歯車を各々が備えた、複数の駆動ユニットを備え、当該複数の駆動ユニットの各々は、互いに独立して、駆動トルクが作用して各々の前記駆動輪が走行しようとする駆動方向を変更可能に設けられた、無人搬送車の、停止時における制御を行う、無人搬送車の停止制御方法であって、前記無人搬送車が停止した後に、前記複数の駆動ユニットの各々の前記駆動輪の前記駆動方向を、各々の前記駆動トルクが互いに打ち消しあう方向に向くように変更し、前記駆動輪の各々を、各々の前記駆動方向に向けて駆動させる、無人搬送車の停止制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無人搬送車が停止した後の作業時において、無人搬送車の位置のずれを、容易に抑制可能な、無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態における無人搬送車、及び停止制御システムの模式的な側面図である。
図2】上記無人搬送車の模式的な下面図である。
図3】上記無人搬送車に設けられた駆動ユニットの模式的な平面図である。
図4】走行中の上記無人搬送車の、上記無人搬送車に設けられた減速機の状態を示す説明図である。
図5】上記無人搬送車が停止した後に、上記駆動ユニットの各々に設けられた駆動輪の駆動方向を変更させた状態の、上記無人搬送車の模式的な平面図である。
図6】上記駆動輪の駆動方向を変更させた後に、上記駆動輪を駆動させた状態を示す説明図である。
図7】駆動方向を図6とは反対側の向きとした場合の説明図である。
図8】上記停止制御システムを用いた無人搬送車の停止制御方法のフローチャートである。
図9】上記実施形態の第1変形例に関する、無人搬送車の停止制御システムの説明図である。
図10】上記実施形態の第2変形例に関する、無人搬送車の停止制御システムの説明図である。
図11】上記実施形態の第3変形例に関する、無人搬送車の停止制御システムの説明図である。
図12】上記実施形態の第4変形例に関する、無人搬送車の停止制御システムの説明図である。
図13】上記実施形態の第5変形例に関する、無人搬送車の停止制御システムの説明図である。
図14】上記実施形態の第6変形例に関する、無人搬送車の停止制御システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態における無人搬送車、及び停止制御システムの模式的な側面図である。図2は、無人搬送車の模式的な下面図である。図3は、無人搬送車に設けられた駆動ユニットの模式的な平面図である。
無人搬送車1は、基台2、複数の駆動ユニット3A、3B、自在輪4、及び移載装置5を備えている。
基台2は、平面視上略矩形に形成されている。無人搬送車1の前方向Fは、図1図2においては左方向であり、基台2は、矩形形状の長辺が前方向Fと一致する方向に延在するように設けられている。
【0015】
複数の駆動ユニット3A、3Bは、第1駆動ユニット3A及び第2駆動ユニット3Bを備えている。
第1駆動ユニット3Aは、モータ11、減速機13、駆動輪18、及びブレーキ19の組み合わせ9A、9Bを、本実施形態においてはそれぞれ2つ、備えている。各組み合わせ9A、9Bの減速機13は、第1歯車14、第2歯車15、及び第3歯車16を備えている。これらモータ11、減速機13、駆動輪18、及びブレーキ19の各々は、平面視したときに円形の形状を成す、回転基部10に設けられている。
各組み合わせ9A、9Bにおいて、モータ11には、生成した駆動力を出力するモータ側シャフト12が固定されている。第1歯車14は、このモータ側シャフト12に、モータ側シャフト12を中心として回転するように固定されている。第2歯車15は、第1歯車14と、互いの歯がかみ合うように係合して設けられている。第3歯車16は、第2歯車15と、互いの歯がかみ合うように係合して設けられている。駆動輪18には、その中心に駆動輪側シャフト17が固定されており、第3歯車16は、この駆動輪側シャフト17に、駆動輪側シャフト17を中心として回転するように固定されている。
各組み合わせ9A、9Bの駆動輪側シャフト17は、同一の仮想軸線V上に設けられている。これにより、各駆動輪18は、互いに平行に設けられている。
このような構成により、各組み合わせ9A、9Bにおいて、モータ11により生成された動力は、モータ側シャフト12を介して第1歯車14に伝えられ、第1歯車14が回転する。第1歯車14が回転すると、これに互いの歯がかみ合うように係合して設けられている第2歯車15も、図示されない回転軸を中心に回転し、これに伴って同様に第3歯車16も回転する。第3歯車16が回転すると、この回転力が駆動輪側シャフト17を介して駆動輪18に伝達されることで、駆動輪18が回転し、これにより、無人搬送車1が走行する。
第1歯車14、第2歯車15、第3歯車16の各々は、モータ11に直結されて高速に回転するモータ側シャフト12の回転を、適度に減速しつつトルクを増大して駆動輪側シャフト17に伝達するように、その直径や歯の数等が、適切に設定されている。
各ブレーキ19は、モータ11の回転を停止させることにより、駆動輪18の回転を停止させる。ブレーキ19は、あるいは、駆動輪18の回転を直接停止させるように設けられてもよい。いずれの場合であっても、ブレーキ19を動作させることにより、駆動輪18の回転が停止し、これにより無人搬送車1の走行が停止する。
【0016】
第2駆動ユニット3Bも、第1駆動ユニット3Aと同様に、モータ11、減速機13、駆動輪18、及びブレーキ19の組み合わせ9A、9Bを、本実施形態においてはそれぞれ2つ、備えている。第2駆動ユニット3Bの減速機13の各々も、第1歯車14、第2歯車15、及び第3歯車16を備えている。第2駆動ユニット3Bにおいても、モータ11、減速機13、駆動輪18、及びブレーキ19の各々は、平面視したときに円形の形状を成す、回転基部10に設けられている。
第2駆動ユニット3Bにおけるモータ11、減速機13、駆動輪18、及びブレーキ19は、第1駆動ユニット3Aと同様に構成されている。
【0017】
第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々は、円形の回転基部10の中心である旋回中心Cを中心として、水平面内で回転するように設けられている。第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々は、本実施形態においては、矩形形状の基台2の2つの対角線の中の、一方の対角線D上に、その旋回中心Cが位置するように設けられている。第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々は、基台2のそれぞれ異なる角部の近傍に、互いに離間して設けられている。
自在輪4は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々が設けられた、基台2の角部とは異なる他の角部の各々に、計2つが設けられている。自在輪4は、例えばキャスタ式の、駆動力を有さない車輪であり、無人搬送車1が第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々により走行するに際し、これに追従するように回転自在に設けられている。
自在輪4は、図示されないばねにより走行面に対して付勢されるように設けられている。これにより、各駆動輪18を確実に床面FLに接地させるとともに、この状態において2つの自在輪4の各々をも床面FLに設置させることが可能となっている。
【0018】
第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々は、後に説明する制御装置21によって、駆動制御される。
より詳細には、無人搬送車1は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々に対応して、図示されない操舵機構を備えている。第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々は、対応する操舵機構を制御装置21が制御することによって、旋回中心Cを中心として、互いに独立して旋回することように構成されている。
また、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々においては、各モータ11が、互いに独立して、その回転方向(正転、逆転)、及び回転速度が変更可能となるように構成されている。各モータ11の回転方向及び回転速度は、制御装置21により制御されて決定される。
このように、制御装置21は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の旋回方向と、これらに備えられている各モータ11の各々の回転方向及び回転速度を、互いに独立して、任意に変更することにより、無人搬送車1を走行制御する。すなわち、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々は、互いに独立して、駆動トルクが作用して各々の駆動輪18が走行しようとする駆動方向を変更可能に設けられている。
【0019】
移載装置5は、基台2に固定されて設けられている。移載装置5は、例えばフォーク等であり、図示されないワークを無人搬送車1に搭載したり、無人搬送車1の走行時にワークを保持したり、ワークを無人搬送車1から荷下ろししたりするために使用される。
【0020】
本実施形態における停止制御システム20は、上記のような無人搬送車1に設けられて、無人搬送車1の、停止時における制御を行う。停止制御システム20は、制御装置21を備えている。
制御装置21は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末等の、情報処理装置である。制御装置21は、無人搬送車1の停止時における制御のみならず、既に説明したような、無人搬送車1の走行制御をも行う。
以下、特に言及しない場合において、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の旋回方向と、これらに備えられている各モータ11の各々の回転方向及び回転速度は、制御装置21によって制御されて変更されるものとする。
また、以下において無人搬送車1の停止時における制御を説明するが、当該制御において、第1駆動ユニット3Aの各駆動輪18は、回転方向と回転速度が同一となるように制御される。同様に、第2駆動ユニット3Bの各駆動輪18は、回転方向と回転速度が同一となるように制御される。したがって、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々においては、モータ11、減速機13、駆動輪18、及びブレーキ19の2つの組み合わせ9A、9Bの中の一方の組み合わせのみの動作を代表的に説明し、他方については当該一方と同じように制御されるものとして、以下では説明を省略する。
【0021】
図4は、無人搬送車1を側面視した際の、走行中の無人搬送車1の状態を示す、説明図である。図4においては、無人搬送車1は、前方向Fに走行している。
この状態においては、前方向Fにおいて前方に位置する第1駆動ユニット3Aでは、モータ側シャフト12が反時計回りの方向RA1に回転するように、モータ11が制御されている。これにより、第1歯車14も反時計回りの方向RA1に回転する。第2歯車15においては、その歯32が、第1歯車14の歯31とかみ合って係合しているため、第2歯車15は時計回りの方向RA2に回転する。第3歯車16においては、その歯33が、第2歯車15の歯32とかみ合って係合しているため、第3歯車16は反時計回りの方向RA3に回転する。
同様に、第1駆動ユニット3Aの後方に位置する第2駆動ユニット3Bにおいても、第1歯車14、第2歯車15、第3歯車16の各々は、それぞれ、反時計回りの方向RB1、時計回りの方向RB2、反時計回りの方向RB3に回転する。
このように、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の第3歯車16が同一の方向RA3、RB3に回転することで、各駆動輪18が同一の駆動方向Fに駆動されて、無人搬送車1が前方向Fに向けて走行制御される。
【0022】
この状態において、無人搬送車1が緩やかに減速して停止し、第1歯車14、第2歯車15、及び第3歯車16の各々が図4に示される回転位置において停止した場合を考える。
各駆動輪18へとモータ11の動力を伝達する複数の歯車14、15、16の各々においては、駆動輪18が駆動方向Fに向けて走行する方向に回転するように、歯車14、15、16の歯31、32、33の、歯面どうしが互いに圧接している。例えば、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々において、第1歯車14の歯31Cの2つの歯面のうち、方向RA1、RB1側に位置する歯面が、第2歯車15の歯32Aの2つの歯面のうち、方向RA2、RB2において反対側に位置する歯面に圧接されている。また、第2歯車15の歯32Cの、方向RA2、RB2側に位置する歯面が、第3歯車16の歯33Aの、方向RA3、RB3において反対側に位置する歯面に圧接されている。
【0023】
歯車14、15、16には、歯31、32、33どうしの干渉を抑制して歯車14、15、16を円滑に回転させるために、バックラッシ、すなわち2つの歯車がかみ合った状態における歯面間の遊びが、意図的に設けられている。
例えば第1駆動ユニット3Aにおいては、第1歯車14の歯31Cにかみ合っている第2歯車15の歯32Aと、歯31Cの、駆動輪18を駆動方向Fに駆動させる第1歯車14の回転方向RA1において直前に位置する歯31Hとの間に、隙間BA2が生じている。更に、第2歯車15の歯32Cにかみ合っている第3歯車16の歯33Aと、歯32Cの、駆動輪18を駆動方向Fに駆動させる第2歯車15の回転方向RA2において直前に位置する歯32Hとの間に、隙間BA3が生じている。
したがって、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18は、第1歯車14の回転が固定された状態で、隙間BA2に相当する回転角度と隙間BA3に相当する回転角度を合わせた回転角度だけ、前方向Fに更に回転可能な状態となっている。
第2駆動ユニット3Bにおいても同様に、第1歯車14の歯31Cにかみ合っている第2歯車15の歯32Aと、歯31Cの、駆動輪18を駆動方向Fに駆動させる第1歯車14の回転方向RB1において直前に位置する歯31Hとの間に、隙間BB2が生じている。更に、第2歯車15の歯32Cにかみ合っている3歯車16の歯33Aと、歯32Cの、駆動輪18を駆動方向Fに駆動させる第2歯車15の回転方向RB2において直前に位置する歯32Hとの間に、隙間BB3が生じている。
したがって、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18は、第1歯車14の回転が固定された状態で、隙間BB2に相当する回転角度と隙間BB3に相当する回転角度を合わせた回転角度だけ、前方向Fに更に回転可能な状態となっている。
【0024】
このように、図4に示されるような停止した直後においては、第1駆動ユニット3Aと第2駆動ユニット3Bの双方において、駆動輪18が、前方向Fに更に回転可能で、かつ後方向Bには回転不能な状態となっている。
このような状態で、移載装置5によってワークの搭載や荷下ろしを行うと、無人搬送車1が支持する荷重が変化し、無人搬送車1の重心が移動することにより、駆動輪18が回転して、無人搬送車1の位置が、例えば前方向Fへと、停止時からずれることがある。
あるいは、移載装置5が無人搬送車1上で移動等の運動を行う際に、無人搬送車1に運動方向とは反対側への反作用が生じることにより、駆動輪18が回転し、無人搬送車1の位置が停止時からずれることがある。
更には、無人搬送車1の停止時の位置ずれは、上記に限られず、例えば無人搬送車1や移載装置5、または無人搬送車1の周囲に設けられた機械設備等により起こされる振動によっても生じ得る。
無人搬送車1が停止した後の位置ずれを効果的に抑制するために、本実施形態の停止制御システム20においては、制御装置21が、以下に説明するような処理を実行する。
【0025】
図5は、無人搬送車1が停止した後に、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々に設けられた駆動輪18の駆動方向を変更させた状態の、無人搬送車1の模式的な平面図である。
まず、制御装置21は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向を、モータ11の回転方向を変えたり、図示されない操舵機構により第1及び第2駆動ユニット3A、3Bを旋回中心C周りで旋回させたりすることにより、調整する。より具体的には、図5に方向D1として示されるように、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18が第2駆動ユニット3Bから離間する方向D1に駆動するように、かつ、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18が第1駆動ユニット3Aから離間する方向D1に駆動するように、調整する。第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18は、駆動方向D1が、無人搬送車1の中心を通る対角線Dに沿うように向けられる。
例えば、図5に方向D1として示される駆動方向D1は、図2に示される状態から、第1駆動ユニット3Aを、モータ11の回転方向は変えずに、基台2の長辺方向の辺と対角線Dの成す角度θだけ反時計回りの方向R1に旋回させ、かつ、第2駆動ユニット3Bを、モータ11の回転方向を反転させて、角度θだけ反時計回りの方向R2に旋回させることにより実現される。
このように調整された、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向D1は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動トルクを、互いに打ち消し合う、互いに反対側の方向となっている。
【0026】
制御装置21は、このように第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向を方向D1へと調整した後、各駆動輪18を各々の駆動方向D1に向けて駆動させる。図6は、駆動輪18の駆動方向を変更させた後に、駆動輪18を駆動させた状態を示す説明図であり、この状態における図5の対角線Dに沿った、A−A部分の断面図である。
図6の第1駆動ユニット3Aにおいては、上記のように、モータ11の回転方向は変えずに、微小角度θだけ旋回させた状態となっている。すなわち、第1駆動ユニット3Aの内部状態としては図4に示される状態と基本的には変わらず、第1歯車14の歯31Cが、第2歯車15の歯32Aに圧接され、第2歯車15の歯32Cが、第3歯車16の歯33Aに圧接されている。
より詳細には、第1駆動ユニット3Aにおいては、図4と同様に、隙間BA2、BA3は、第1歯車14と第2歯車15の歯31C、32Cの、回転する方向RA1、RA2側に位置づけられている。これらの歯31C、32Cにかみ合う、第2歯車15及び第3歯車16の歯32A、33Aは、歯31C、32Cに対して方向RA1、RA2側に接触して位置づけられている。結果として、第1駆動ユニット3Aの状態だけをみると、歯32A、33Aは、歯31C、32Cから離間して移動し、駆動輪18の、第2駆動ユニット3Bから離間する方向D1への更なる回転を許容するように位置づけられている。逆に、歯32A、33Aは、駆動輪18の、第2駆動ユニット3Bへ向かう方向への回転を不能とするように、位置づけられている。
【0027】
他方、第2駆動ユニット3Bにおいては、微小角度θだけ旋回させたうえで、モータ11の回転方向を変更し、モータ11を駆動している。このため、第2駆動ユニット3Bにおいては、まず第1歯車14が、図4に示される方向RB1とは反対側の、時計回りの方向RB4に回転する。すると、例えば第1歯車14の歯31Dにより、第2歯車15の歯32Dがかみ合い、第2歯車15が、図4に示される方向RB2とは反対側の、反時計回りの方向RB5に回転する。これにより、図4においては第1歯車14の歯31Cに対して方向RB1側に位置していた隙間BB2が、隙間BB5として図6に示されるように、歯31Dに対して、方向RB1とは反対方向の方向RB4側へと移動する。
第2歯車15が回転すると、方向RB5において、第3歯車16の歯33Aとかみ合っていた歯32Cの後方に位置する歯32Hが、歯33Aの、歯32Cと当接していた表面33aとは反対側の表面33bに当接する。これにより、図4においては第2歯車15の歯32Cに対して方向RB2側に位置していた隙間BB3が、隙間BB6として図6に示されるように、歯32Hに対して、方向RB2とは反対方向の方向RB5側へと移動する。
結果として、第2駆動ユニット3Bの状態だけをみると、歯32D、33Aは、歯31D、32Hから離間して移動し、駆動輪18の、第1駆動ユニット3Aから離間する方向D1への更なる回転を許容するように位置づけられている。逆に、歯32D、33Aは、駆動輪18の、第1駆動ユニット3Aへ向かう方向への回転を不能とするように、位置づけられている。
【0028】
ここで、図6に示される、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの状態を併せ見ると、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18は、駆動トルクが、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18とは互いに打ち消し合う方向に向けられている。また、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18は、駆動トルクが第2駆動ユニット3Bの駆動輪18とは互いに打ち消し合う方向に向けられている。
これにより、上記のように、第2駆動ユニット3Bの第1、第2、及び第3歯車14、15、16は、駆動輪18の、第1駆動ユニット3Aへ向かう方向への回転を不能とするように位置づけられている。したがって、第1駆動ユニット3Aの第1、第2、及び第3歯車14、15、16及び駆動輪18が駆動方向D1に向けて更に回転しようとしても、これは第2駆動ユニット3Bによって阻止される。
また、上記のように、第1駆動ユニット3Aの第1、第2、及び第3歯車14、15、16は、駆動輪18の、第2駆動ユニット3Bへ向かう方向への回転を不能とするように位置づけられている。したがって、第2駆動ユニット3Bの第1、第2、及び第3歯車14、15、16及び駆動輪18が駆動方向D1に向けて更に回転しようとしても、これは第1駆動ユニット3Aによって阻止される。
【0029】
このように、図6に示される状態においては、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向を、各々の駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1に向けて駆動させている。この、各駆動輪18の、駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1は、換言すれば、無人搬送車1を平面視し、各駆動方向D1をベクトルとして考えたときに、これらベクトルの総和が0となる方向である。したがって、第1、第2、及び第3歯車14、15、16の間のバックラッシを許容しつつも、第1、第2、及び第3歯車14、15、16が、バックラッシによる隙間が位置する方向には回転不能となるように、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向D1が調整されている。
このようにして、無人搬送車1が停止した後の、ワークの搭載や荷下ろしや移載装置5の移動、振動等に起因した、無人搬送車1の位置ずれが抑制される。
【0030】
上記の説明とは異なり、図5に方向D2として示されるように、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18が第2駆動ユニット3Bに向かう方向に駆動するように、かつ、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18が第1駆動ユニット3Aに向かう方向に駆動するように、調整することによっても、上記と同様に無人搬送車1の位置ずれが抑制される。
図5に方向D2として示される駆動方向D2は、図2に示される状態から、第2駆動ユニット3Bを、モータ11の回転方向は変えずに、角度θだけ反時計回りの方向R2に旋回させ、かつ、第1駆動ユニット3Aを、モータ11の回転方向を反転させて、角度θだけ反時計回りの方向R1に旋回させることにより実現される。
このように調整された、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向D2は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動トルクを、互いに打ち消し合う、互いに反対側の方向となっている。
【0031】
図7は、図6と同様に、駆動輪18の駆動方向を変更させた後に、駆動輪18を駆動させた状態を示す説明図であり、この状態における図5の対角線Dに沿った、A−A部分の断面図である。
図7の第2駆動ユニット3Bにおいては、上記のように、モータ11の回転方向は変えずに、微小角度θだけ旋回させた状態となっている。すなわち、第2駆動ユニット3Bの内部状態としては図4に示される状態と基本的には変わらず、第1歯車14の歯31Cが、第2歯車15の歯32Aに圧接され、第2歯車15の歯32Cが、第3歯車16の歯33Aに圧接されている。
より詳細には、第2駆動ユニット3Bにおいては、図4と同様に、隙間BB2、BB3は、第1歯車14と第2歯車15の歯31C、32Cの、回転する方向RB1、RB2側に位置づけられている。これらの歯31C、32Cにかみ合う、第2歯車15及び第3歯車16の歯32A、33Aは、歯31C、32Cに対して方向RB1、RB2側に接触して位置づけられている。結果として、第2駆動ユニット3Bの状態だけをみると、歯32A、33Aは、歯31C、32Cから離間して移動し、駆動輪18の、第1駆動ユニット3Aへと向かう方向D2への更なる回転を許容するように位置づけられている。逆に、歯32A、33Aは、駆動輪18の、第1駆動ユニット3Aから離間する方向への回転を不能とするように、位置づけられている。
【0032】
他方、第1駆動ユニット3Aにおいては、微小角度θだけ旋回させたうえで、モータ11の回転方向を変更し、モータ11を駆動している。このため、第1駆動ユニット3Aにおいては、まず第1歯車14が、図4に示される方向RA1とは反対側の、時計回りの方向RA4に回転する。すると、例えば第1歯車14の歯31Dにより、第2歯車15の歯32Dがかみ合い、第2歯車15が、図4に示される方向RA2とは反対側の、反時計回りの方向RA5に回転する。これにより、図4においては第1歯車14の歯31Cに対して方向RA1側に位置していた隙間BA2が、隙間BA5として図7に示されるように、歯31Dに対して、方向RA1とは反対方向の方向RA4側へと移動する。
第2歯車15が回転すると、方向RA5において、第3歯車16の歯33Aとかみ合っていた歯32Cの後方に位置する歯32Hが、歯33Aの、歯32Cと当接していた表面33aとは反対側の表面33bに当接する。これにより、図4においては第2歯車15の歯32Cに対して方向RB2側に位置していた隙間BB3が、隙間BA6として図7に示されるように、歯32Hに対して、方向RA2とは反対方向の方向RA5側へと移動する。
結果として、第1駆動ユニット3Aの状態だけをみると、歯32D、33Aは、歯31D、32Hから離間して移動し、駆動輪18の、第2駆動ユニット3Bへと向かう方向D2への更なる回転を許容するように位置づけられている。逆に、歯32D、33Aは、駆動輪18の、第2駆動ユニット3Bから離間する方向への回転を不能とするように、位置づけられている。
【0033】
ここで、図7に示される、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの状態を併せ見ると、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18は、駆動トルクが、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18とは互いに打ち消し合う方向に向けられている。また、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18は、駆動トルクが第1駆動ユニット3Aの駆動輪18とは互いに打ち消し合う方向に向けられている。
これにより、上記のように、第2駆動ユニット3Bの第1、第2、及び第3歯車14、15、16は、駆動輪18の、第1駆動ユニット3Aから離間する方向への回転を不能とするように位置づけられている。したがって、第1駆動ユニット3Aの第1、第2、及び第3歯車14、15、16及び駆動輪18が駆動方向D2に向けて更に回転しようとしても、これは第2駆動ユニット3Bによって阻止される。
また、上記のように、第1駆動ユニット3Aの第1、第2、及び第3歯車14、15、16は、駆動輪18の、第2駆動ユニット3Bから離間する方向への回転を不能とするように位置づけられている。したがって、第2駆動ユニット3Bの第1、第2、及び第3歯車14、15、16及び駆動輪18が駆動方向D2に向けて更に回転しようとしても、これは第1駆動ユニット3Aによって阻止される。
【0034】
このように、図7に示される状態においては、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向を、各々の駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D2に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D2に向けて駆動させている。この、各駆動輪18の、駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D2は、換言すれば、無人搬送車1を平面視し、各駆動方向D2をベクトルとして考えたときに、これらベクトルの総和が0となる方向である。したがって、図6と同様に、第1、第2、及び第3歯車14、15、16の間のバックラッシを許容しつつも、第1、第2、及び第3歯車14、15、16が、バックラッシによる隙間が位置する方向には回転不能となるように、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向D2が調整されている。
このようにして、図7に示される状態においても、無人搬送車1が停止した後の、ワークの搭載や荷下ろしや移載装置5の移動、振動等に起因した、無人搬送車1の位置ずれが抑制される。
【0035】
制御装置21は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18を、各々の駆動方向D1、D2に向けて駆動させた後に、ブレーキ19の各々により駆動輪18の各々の駆動を停止させる。
【0036】
次に、図1図7、及び図8を用いて、上記の無人搬送車1の停止制御システム20を用いた、停止制御方法を説明する。図8は、無人搬送車の停止制御方法のフローチャートである。
まず、制御装置21は、走行中の無人搬送車1を停止させる(ステップS1)。
次に、制御装置21は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各駆動輪18の駆動方向を、駆動トルクが互いに打ち消し合う方向に向くように変更する(ステップS3)。
その状態で、制御装置21は、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1、D2に向けて駆動させる(ステップS5)。
そして、制御装置21は、ブレーキ19をかけて(ステップS7)、駆動輪18の駆動を停止させる(ステップS9)。
【0037】
次に、上記の無人搬送車1の停止制御システム20及び停止制御方法の効果について説明する。
【0038】
上記の無人搬送車1の停止制御システム20は、駆動輪18、モータ11、及び当該モータ11の動力を駆動輪18に伝達する複数の歯車14、15、16を各々が備えた、複数の駆動ユニット3A、3Bを備え、当該複数の駆動ユニット3A、3Bの各々は、互いに独立して、駆動トルクが作用して各々の駆動輪18が走行しようとする駆動方向を変更可能に設けられた、無人搬送車1の、停止時における制御を行う、無人搬送車1の停止制御システム20であって、無人搬送車1が停止した後に、複数の駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向を、各々の駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1、D2に向けて駆動させる、制御装置21を備えている。
また、上記の無人搬送車1の停止制御方法は、駆動輪18、モータ11、及び当該モータ11の動力を駆動輪18に伝達する複数の歯車14、15、16を各々が備えた、複数の駆動ユニット3A、3Bを備え、当該複数の駆動ユニット3A、3Bの各々は、互いに独立して、駆動トルクが作用して各々の駆動輪18が走行しようとする駆動方向を変更可能に設けられた、無人搬送車1の、停止時における制御を行う、無人搬送車1の停止制御方法であって、無人搬送車1が停止した後に、複数の駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向を、各々の駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向に向けて駆動させる。
上記のような構成、方法によれば、既に説明したように、無人搬送車1が停止した後の作業時における、無人搬送車1の位置のずれを、抑制可能である。
特に本実施形態においては、このずれの抑制を、駆動輪18の駆動方向の変更という、無人搬送車1が元来有する機能を用いて実現している。すなわち、無人搬送車1に、ずれの抑制のための、例えばアウトリガ等の装置を、格別に設ける必要がない。同様に、ずれの抑制のために、無人搬送車1の停止位置に、位置決めのための固定部材を設置する必要がない。更には、バックラッシを抑制するために、歯車14、15、16の加工精度や組付け精度を必要以上に向上させる必要もない。
したがって、無人搬送車1が停止した後の作業時における、無人搬送車1の位置のずれの抑制を、容易に実現可能である。
【0039】
特に、本実施形態においては、バックラッシを抑制するために必要な処理は、各隙間BA2、BA3、BB2、BB3の分だけモータ11を回転させるのみである。したがって、停止制御に要する動力を少なくすることができる。
【0040】
また、複数の駆動ユニット3A、3Bは、第1駆動ユニット3Aと第2駆動ユニット3Bを備え、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18の駆動方向D1、D2と、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18の駆動方向D1、D2は、互いに反対側の方向である。
また、複数の駆動ユニット3A、3Bの各々は、駆動輪18の駆動を停止させるブレーキ19を備え、制御装置21は、複数の駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18を、各々の駆動方向D1、D2に向けて駆動させた後に、ブレーキ19の各々により駆動輪18の各々の駆動を停止させる。
上記のような構成によれば、無人搬送車1が停止した後の作業時における、無人搬送車1の位置のずれを、効果的に抑制可能である。
【0041】
[実施形態の第1変形例]
次に、図9を用いて、上記実施形態として示した無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法の第1変形例を説明する。図9は、本第1変形例における無人搬送車の停止制御システムの説明図である。本第1変形例における無人搬送車の停止制御システムは、上記実施形態の無人搬送車1の停止制御システム20とは、無人搬送車1Aの、基台2における第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの配置が異なっている。
本変形例においては、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bは、矩形形状の基台2の長辺と略平行に、基台2の前後方向を結ぶ中心軸線G上に、その旋回中心Cが位置するように設けられている。これにより、第1駆動ユニット3Aが前方向Fに、第2駆動ユニット3Bが後方向に、それぞれ位置付けられている。本実施形態においては、自在輪4は図示されていないが、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bとともに無人搬送車1を安定して支持可能な位置に設けられる。
【0042】
本変形例においても、制御装置は、無人搬送車1が停止した後に、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの各々の駆動輪18の駆動方向を、各々の駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1、D2に向けて駆動させる。
ここで、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18の駆動方向D1、D2と、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18の駆動方向D1、D2は、互いに離間する方向D1か、または互いに向き合う方向D2のいずれかの、すなわち互いに反対側の方向である。
本変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0043】
[実施形態の第2変形例]
次に、図10を用いて、上記実施形態として示した無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法の第2変形例を説明する。図10は、本第2変形例における無人搬送車の停止制御システムの説明図である。本第2変形例における無人搬送車の停止制御システムは、上記実施形態の無人搬送車1の停止制御システム20とは、無人搬送車1Bが、第3駆動ユニット3Cを更に備えている点が異なっている。
すなわち、複数の駆動ユニット3A、3B、3Cは、第1駆動ユニット3A、第2駆動ユニット3B、及び第3駆動ユニット3Cを備えている。第3駆動ユニット3Cは、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bと同様に、駆動輪18、モータ、及び当該モータの動力を駆動輪に伝達する複数の歯車を備えている。第1、第2、及び第3駆動ユニット3A、3B、3Cの各々は、互いに独立して、各々の駆動輪18の駆動方向を変更可能に設けられている。
第3駆動ユニット3Cの追加に伴い、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの位置も上記実施形態の無人搬送車1から変更されている。第1、第2、及び第3駆動ユニット3A、3B、3Cは、これらにより3点で無人搬送車1Bを安定して支持可能な位置に設けられている。
【0044】
本変形例においても、制御装置は、無人搬送車1Bが停止した後に、第1、第2、及び第3駆動ユニット3A、3B、3Cの各々の駆動輪18の駆動方向を、これらの駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1、D2に向けて駆動させる。
本変形例における、第1、第2、及び第3駆動ユニット3A、3B、3Cの各々の駆動輪18の駆動トルクが互いに打ち消しあう方向は、第1、第2、及び第3駆動ユニット3A、3B、3Cの駆動輪18が、当該駆動輪18の各々の旋回中心Cを頂点として形成された仮想三角形Tの重心Wを設定したときに、この重心Wを向く方向D2、または重心Wとは反対側を向く方向D1である。この、各駆動輪18の、駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2は、換言すれば、無人搬送車1を平面視し、各駆動方向D1、D2をベクトルとして考えたときに、これらベクトルの総和が0となる方向である。
本変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0045】
[実施形態の第3変形例]
次に、図11を用いて、上記実施形態として示した無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法の第3変形例を説明する。図11は、本第3変形例における無人搬送車の停止制御システムの説明図である。本第3変形例における無人搬送車の停止制御システムは、上記実施形態の無人搬送車1の停止制御システム20とは、無人搬送車1Cが、第3駆動ユニット3Cと第4駆動ユニット3Dを更に備えている点が異なっている。
すなわち、複数の駆動ユニット3A、3B、3C、3Dは、第1駆動ユニット3A、第2駆動ユニット3B、第3駆動ユニット3C、及び第4駆動ユニット3Dを備えている。第3駆動ユニット3Cと第4駆動ユニット3Dの各々は、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bと同様に、駆動輪18、モータ、及び当該モータの動力を駆動輪に伝達する複数の歯車を備えている。
第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの各々は、矩形形状の基台2の各角部近傍に設けられて、これらの旋回中心Cを頂点として形成された仮想四角形Rが矩形形状となるように設けられている。
第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの各々は、互いに独立して、各々の駆動輪18の駆動方向を変更可能に設けられている。
【0046】
本変形例においても、制御装置は、無人搬送車1Cが停止した後に、第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの各々の駆動輪18の駆動方向を、これらの駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2、D3、D4に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1、D2、D3、D4に向けて駆動させる。
より詳細には、本変形例においては、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18の駆動方向D1、D2と、第4駆動ユニット3Dの駆動輪18の駆動方向D1、D2は、互いに離間する方向D1か、または互いに向き合う方向D2のいずれかの、すなわち互いに反対側の方向である。また、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18の駆動方向D3、D4と、第3駆動ユニット3Cの駆動輪18の駆動方向D3、D4は、互いに離間する方向D3か、または互いに向き合う方向D4のいずれかの、すなわち互いに反対側の方向である。この、各駆動輪18の、駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2、D3、D4は、換言すれば、無人搬送車1を平面視し、各駆動方向D1、D2、D3、D4をベクトルとして考えたときに、これらベクトルの総和が0となる方向である。
第1及び第4駆動ユニット3A、3Dの駆動輪18の駆動方向が方向D1であるときに、第2及び第3駆動ユニット3B、3Cの駆動輪18の駆動方向は、方向D3と方向D4のいずれであっても構わない。また、第1及び第4駆動ユニット3A、3Dの駆動輪18の駆動方向が方向D2であるときに、第2及び第3駆動ユニット3B、3Cの駆動輪18の駆動方向は、方向D3と方向D4のいずれであっても構わない。
本変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0047】
[実施形態の第4変形例]
次に、図12を用いて、上記実施形態として示した無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法の第4変形例を説明する。図12は、本第4変形例における無人搬送車の停止制御システムの説明図である。本第4変形例における無人搬送車の停止制御システムは、上記第3変形例の更なる変形例であり、上記第3変形例の無人搬送車1Cの停止制御システムとは、停止制御時の、第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの駆動輪18の駆動方向が異なっている。
本変形例においても、制御装置は、無人搬送車1Cが停止した後に、第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの各々の駆動輪18の駆動方向を、これらの駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2、D3、D4に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1、D2、D3、D4に向けて駆動させる。
より詳細には、本変形例においては、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18の駆動方向D1、D2と、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18の駆動方向D1、D2は、互いに離間する方向D1か、または互いに向き合う方向D2のいずれかの、すなわち互いに反対側の方向である。また、第3駆動ユニット3Cの駆動輪18の駆動方向D3、D4と、第4駆動ユニット3Dの駆動輪18の駆動方向D3、D4は、互いに離間する方向D3か、または互いに向き合う方向D4のいずれかの、すなわち互いに反対側の方向である。
第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの駆動輪18の駆動方向が方向D1であるときに、第3及び第4駆動ユニット3C、3Dの駆動輪18の駆動方向は、方向D3と方向D4のいずれであっても構わない。また、第1及び第2駆動ユニット3A、3Bの駆動輪18の駆動方向が方向D2であるときに、第3及び第4駆動ユニット3C、3Dの駆動輪18の駆動方向は、方向D3と方向D4のいずれであっても構わない。
本変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0048】
[実施形態の第5変形例]
次に、図13を用いて、上記実施形態として示した無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法の第5変形例を説明する。図13は、本第5変形例における無人搬送車の停止制御システムの説明図である。本第5変形例における無人搬送車の停止制御システムは、上記第3変形例の更なる変形例であり、上記第3変形例の無人搬送車1Cの停止制御システムとは、停止制御時の、第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの駆動輪18の駆動方向が異なっている。
本変形例においても、制御装置は、無人搬送車1Cが停止した後に、第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの各々の駆動輪18の駆動方向を、これらの駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2、D3、D4に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1、D2、D3、D4に向けて駆動させる。
より詳細には、本変形例においては、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18の駆動方向D1、D2と、第3駆動ユニット3Cの駆動輪18の駆動方向D1、D2は、互いに離間する方向D1か、または互いに向き合う方向D2のいずれかの、すなわち互いに反対側の方向である。また、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18の駆動方向D3、D4と、第4駆動ユニット3Dの駆動輪18の駆動方向D3、D4は、互いに離間する方向D3か、または互いに向き合う方向D4のいずれかの、すなわち互いに反対側の方向である。
第1及び第3駆動ユニット3A、3Cの駆動輪18の駆動方向が方向D1であるときに、第2及び第4駆動ユニット3B、3Dの駆動輪18の駆動方向は、方向D3と方向D4のいずれであっても構わない。また、第1及び第3駆動ユニット3A、3Cの駆動輪18の駆動方向が方向D2であるときに、第2及び第4駆動ユニット3B、3Dの駆動輪18の駆動方向は、方向D3と方向D4のいずれであっても構わない。
本変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0049】
[実施形態の第6変形例]
次に、図14を用いて、上記実施形態として示した無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法の第6変形例を説明する。図14は、本第6変形例における無人搬送車の停止制御システムの説明図である。本第6変形例における無人搬送車の停止制御システムは、上記第3変形例の更なる変形例であり、上記第3変形例の無人搬送車1Cの停止制御システムとは、停止制御時の、第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの駆動輪18の駆動方向が異なっている。
本変形例においても、制御装置は、無人搬送車1Cが停止した後に、第1、第2、第3、及び第4駆動ユニット3A、3B、3C、3Dの各々の駆動輪18の駆動方向を、これらの駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1、D2、D3、D4に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向D1、D2、D3、D4に向けて駆動させる。
より詳細には、本変形例においては、ともに基台2の前方に位置する、第1駆動ユニット3Aの駆動輪18の駆動方向D1、D2と、第3駆動ユニット3Cの駆動輪18の駆動方向D1、D2は、基台2の幅方向における各々の外側の方向と後ろ方向Bの間の、外側斜め後ろ方向D1か、または、基台2の幅方向における各々の内側の方向と前方向Fの間の、内側斜め前方向D2のいずれかの方向である。また、ともに基台2の後方に位置する、第2駆動ユニット3Bの駆動輪18の駆動方向D3、D4と、第4駆動ユニット3Dの駆動輪18の駆動方向D3、D4は、基台2の幅方向における各々の外側の方向と前方向Fの間の、外側斜め前方向D3か、または、基台2の幅方向における各々の内側の方向と後ろ方向Bの間の、内側斜め後ろ方向D4のいずれかの方向である。
第1及び第3駆動ユニット3A、3Cの駆動輪18の駆動方向が方向D1であるときに、第2及び第4駆動ユニット3B、3Dの駆動輪18の駆動方向は、方向D3と方向D4のいずれであっても構わない。また、第1及び第3駆動ユニット3A、3Cの駆動輪18の駆動方向が方向D2であるときに、第2及び第4駆動ユニット3B、3Dの駆動輪18の駆動方向は、方向D3と方向D4のいずれであっても構わない。
本変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0050】
なお、本発明の無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法は、図面を参照して説明した上述の実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
【0051】
例えば、上記実施形態及び各変形例において、減速機13の各々は、第1歯車14、第2歯車15、及び第3歯車16を備えていたが、これに限られない。歯車の数が2の場合でも、あるいは4以上の場合でも、上記停止制御システム及び停止制御方法が適用可能であるのは、言うまでもない。
また、上記実施形態及び各変形例において、複数の駆動ユニットの数は、2、3、または4であったが、無人搬送車が5以上の駆動ユニットを備えていても構わない。駆動ユニットの数に関わらず、各々の駆動輪18の駆動方向を、各々の駆動トルクが互いに打ち消しあう方向に向くように変更し、駆動輪18の各々を、各々の駆動方向に向けて駆動させることにより、バックラッシが抑制され、無人搬送車1が停止した後の作業時における、無人搬送車1の位置のずれの抑制が、容易に実現できる。
【0052】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記各実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1、1A、1B、1C 無人搬送車
3A 第1駆動ユニット(複数の駆動ユニット)
3B 第2駆動ユニット(複数の駆動ユニット)
3C 第3駆動ユニット(複数の駆動ユニット)
3D 第4駆動ユニット(複数の駆動ユニット)
5 移載装置
11 モータ
13 減速機
14 第1歯車(歯車)
15 第2歯車(歯車)
16 第3歯車(歯車)
18 駆動輪
19 ブレーキ
20 停止制御システム
21 制御装置
D1、D2、D3、D4 駆動トルクが互いに打ち消しあう方向、駆動方向
T 仮想三角形
W 重心
【要約】
無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法
【課題】無人搬送車が停止した後の作業時において、無人搬送車の位置のずれを、容易に抑制可能な、無人搬送車の停止制御システム及び停止制御方法を提供する。
【解決手段】駆動輪18、モータ11、及び当該モータ11の動力を前記駆動輪18に伝達可能な複数の歯車14、15、16を各々が備えた、複数の駆動ユニット3A、3Bを備え、当該複数の駆動ユニット3A、3Bの各々の前記駆動輪18は、互いに独立して、駆動トルクが作用して前記駆動輪18の各々が走行しようとする駆動方向を変更可能に設けられた、無人搬送車1の、停止時における制御を行う、無人搬送車1の停止制御システムであって、前記無人搬送車1が停止した後に、前記複数の駆動ユニット3A、3Bの各々の前記駆動輪18の前記駆動方向を、各々の前記駆動トルクが互いに打ち消しあう方向D1に向くように変更し、前記駆動輪18の各々を、各々の前記駆動方向D1に向けて駆動させる、制御装置を備えている、無人搬送車1の停止制御システムを提供する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
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図14