特許第6984811号(P6984811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984811
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】沈殿池設備
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20211213BHJP
   B01D 21/18 20060101ALI20211213BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20211213BHJP
   C02F 1/40 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B01D21/02 F
   B01D21/18 G
   B01D21/24 T
   B01D21/24 G
   B01D21/24 H
   C02F1/40 C
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-16113(P2018-16113)
(22)【出願日】2018年2月1日
(65)【公開番号】特開2019-130492(P2019-130492A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2020年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【弁理士】
【氏名又は名称】谷水 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 俊康
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0352467(US,A1)
【文献】 特開昭62−163713(JP,A)
【文献】 特開2015−142907(JP,A)
【文献】 特開昭60−058213(JP,A)
【文献】 特開平06−296806(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1032318(KR,B1)
【文献】 特開2013−010085(JP,A)
【文献】 特開2012−223251(JP,A)
【文献】 実開昭57−076807(JP,U)
【文献】 特開2012−228634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00−21/01
B01D 21/02−21/34
C02F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿池の池底に堆積した汚泥又は沈殿池の水面付近に浮遊するスカムを掻き寄せる汚泥掻寄機と、
固形物の沈降を促進する沈降促進部と、を備えた沈殿池設備であって、
前記汚泥掻寄機は、汚泥又はスカムの掻き寄せを行うフライトと、前記フライトを支持する無端チェーンとを備え、
前記沈降促進部は、前記フライト及び前記無端チェーンによって囲まれた空間内に配置され、
前記沈降促進部は、複数枚の沈降促進板であり、
前記沈降促進板は、沈殿池に導入される被処理水の流れ方向に対して略平行であり、かつ、池底に対して垂直又は傾斜して設置され、
前記沈降促進板の長手方向の長さは、前記汚泥掻寄機における前記フライトのピッチ間隔以上であることを特徴とする、沈殿池設備。
【請求項2】
前記沈降促進部は、前記フライト及び前記無端チェーンによって囲まれた空間内において、被処理水の流れ方向に対して下流側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の沈殿池設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿池の池底に堆積した汚泥を掻き寄せるための汚泥掻寄機を備えた沈殿池設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水処理場、廃水処理場、浄水場等の水処理施設では、被処理水中に含まれる汚泥のような固形物の沈降分離を行う沈殿池が設置されている。また、沈殿池には、沈降分離した汚泥を掻き寄せるための汚泥掻寄機が設置されており、掻き寄せられた汚泥は、汚泥ピットに集められて排出管から沈殿池の外部へ排出される。
【0003】
特許文献1には、汚泥掻寄機を備えた沈殿池設備において、汚泥掻寄機の後段に上向流式傾斜板を設けたものが記載されている。この上向流式傾斜板は、沈降装置として機能するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−187303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、汚泥掻寄機を備える沈殿池設備において、沈降分離の機能が強化された沈殿池設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、汚泥掻寄機を備える沈殿池設備において、汚泥掻寄機のフライトと無端チェーンで囲まれた空間内に沈降促進部を設けることにより、処理能力の高い沈殿池設備が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の沈殿池設備である。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の沈殿池設備は、沈殿池の池底に堆積した汚泥又は沈殿池の水面付近に浮遊するスカムを掻き寄せる汚泥掻寄機と、固形物の沈降を促進する沈降促進部と、を備えた沈殿池設備であって、汚泥掻寄機は、汚泥又はスカムの掻き寄せを行うフライトと、フライトを支持する無端チェーンとを備え、沈降促進部は、フライト及び無端チェーンによって囲まれた空間内に配置され、沈殿池に導入される被処理水の流れ方向に対して略平行に設置されることを特徴とする。
【0008】
本発明の沈殿池設備は、汚泥掻寄機を構成するフライトと無端チェーンで囲まれた空間内に沈降促進部を配置するという特徴を有する。沈殿池設備に投入された被処理水は、投入直後に高比重の固形物が沈降し、その後は、ゆっくりと固形物を沈降分離しながら沈殿池設備を通過するため、沈降速度の遅い固形物は汚泥ピットの遠方に沈降する。汚泥ピットの遠方に沈降した固形物は再浮遊しやすく、被処理水の流れ方向の下流側で掻き寄せた汚泥は再浮遊して処理水と共に流出する恐れがある。フライトと無端チェーンで囲まれた空間内に沈降促進部を配置するという本発明の特徴によれば、汚泥ピットに近い領域で固形物の沈降を促進するため、汚泥の掻き取りの際に再浮遊する固形物が被処理水と共に流出することを抑制することができる。
【0009】
更に、本発明の沈殿池設備は、沈降促進部を被処理水の流れ方向に対して略平行に配置するという特徴を有する。本発明の沈降促進部は、被処理水の水面下に設置された構造物であり、この構造物と被処理水が接する領域では、構造物との摩擦抵抗によって被処理水の流速が低下する。この流速の低下によって、固形物の沈降が促進する。一方で、構造物により被処理水の流れをせき止めると、被処理水の流れが上下方向に乱れて、固形物の沈降を妨げる作用が生じる。本発明の沈降促進部では、構造物が被処理水の流れ方向に対して略平行に配置されるため、被処理水の流れをせき止めることなく沈降を促進することができる。
【0010】
また、本発明の沈殿池設備の一実施態様としては、沈降促進部は、被処理水の流れ方向に対して略平行に配置した複数枚の沈降促進板であることを特徴とする。
この特徴によれば、沈降促進部として沈降促進板を利用することにより、被処理水が沈降促進部と接する領域が大きくなるため、固形物の沈降を促進するという本発明の効果をより一層発揮することができる。
【0011】
また、本発明の沈殿池設備の一実施態様としては、沈降促進部は、フライト及び無端チェーンによって囲まれた空間内において、被処理水の流れ方向に対して下流側に配置されることを特徴とする。
この特徴によれば、沈殿池設備に導入した直後の高濃度の固形物を含む被処理水が、直接沈降促進部を通過しないため、沈降促進部の目詰まりを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の沈殿池設備の一実施態様としては、沈降促進部の長手方向の長さは、汚泥掻寄機におけるフライトのピッチ間隔以上であることを特徴とする。
沈降促進部の上方又は下方にはフライトが通過する領域が形成されるため、沈降促進部が設置されない。沈降促進部は被処理水の流れに抵抗が生じることから、沈降促進部の存在しない流域があると、被処理水が沈降促進部を通過せずに短絡しやすい。沈降促進部の長手方向の長さを汚泥掻寄機におけるフライトのピッチ間隔以上とすることにより、沈降促進部の上方及び下方の両方に常にフライトが掛かる状態となるため、被処理水が沈降促進部を通過せずに短絡することを防止し、汚泥の沈降促進をより確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、汚泥掻寄機を備える沈殿池設備において、沈降分離の機能が強化された沈殿池設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施態様の沈殿池設備の構造を示す概略説明図である。
図2】本発明の第1の実施態様の沈降促進部の構造を示す概略説明図である(図1のI−I矢視図)。
図3】本発明の第1の実施態様の沈降促進部の別の態様を示す概略説明図である。
図4】本発明の第2の実施態様の沈殿池設備の構造を示す概略説明図である。
図5】本発明の第3の実施態様の沈殿池設備の構造を示す概略説明図である。
図6】本発明の第3の実施態様の沈降促進部の構造を示す概略説明図である(図5のII−II矢視図)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の沈殿池設備は、沈殿池の池底に堆積した汚泥又は沈殿池の水面付近に浮遊するスカムを掻き寄せる汚泥掻寄機と、固形物の沈降を促進する沈降促進部と、を備えた沈殿池設備であって、汚泥掻寄機は、汚泥又はスカムの掻き寄せを行うフライトと、フライトを支持する無端チェーンとを備え、沈降促進部は、フライト及び無端チェーンによって囲まれた空間内に配置され、沈殿池に導入される被処理水の流れ方向に対して略平行に設置されることを特徴とするものである。
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る沈殿池設備の実施態様を詳細に説明する。なお、実施態様に記載する沈殿池、汚泥掻寄機、沈降促進部の構造については、本発明に係る沈殿池設備を説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
【0017】
[第1の実施態様]
図1は、本発明の第1の実施態様の汚泥掻寄機を備えた沈殿池設備1aの構造を示す概略説明図である。
図1に示すように、沈殿池設備1aは、下水処理場や浄水場等の沈殿池10と、その内部に設置された汚泥掻寄機20及び固形物の沈降促進部30を具備する。
【0018】
[沈殿池]
沈殿池10は、横長に構成され、図1の左側から汚水等の被処理水が供給される。沈殿地10の池底10aの被処理水供給側の端部には、汚泥ピット10bが設けられ、この汚泥ピット10bには、汚泥を外部に排出するための排出管10cが設けられている。
【0019】
また、沈殿池10の略中央部の水面10d付近には、軸回りに回転可能なスカムパイプからなるスカム排出装置11が、沈殿池10の幅方向(紙面垂直方向)の全幅に亘って設けられている。このスカムパイプの上方の周面には軸線方向に延びる開口部が形成され、断面形状がC字状を成している。そして、スカムパイプは水面10dに浮遊する浮遊物(スカム)を回収すべく、開口部が水面10dの下に位置するように図1の反時計回りに回転し、その後戻る動作を繰り返す。
【0020】
[汚泥掻寄機]
汚泥掻寄機20は、沈殿池10内を長手方向に周回移動する無端チェーン22aを備えている。無端チェーン22aは、沈殿池10の幅方向(紙面垂直方向)に対向して一対が設置されており、この一対の無端チェーン22aには、沈殿池10の幅方向に延びるフライト(掻き寄せ羽根)23が周回方向に沿って複数配置されている。フライト23は、一対の無端チェーン22aを横架するように取り付けられており、フライト23の両端部は、無端チェーン22aより沈殿池10の幅方向外側まで延在し、沈殿池10の側壁近傍に位置している。
【0021】
無端チェーン22aは、図1に示すように、駆動スプロケット21a及び3つの従動スプロケット21b、21c、21dに掛け回され、沈殿池10内を周回移動するように取り付けられている。更に、無端チェーン22bが、駆動スプロケット21aと、モータ24に設けられたモータ用スプロケット24aに掛け回されており、モータ24の動力を無端チェーン22aに伝達する。
【0022】
駆動スプロケット21a及び1つの従動スプロケット21bは水面10d付近に設置されており、この間に掛けられた無端チェーン22aを水面10dに沿って略水平に移動させる。そして、無端チェーン22aに取り付けられたフライト23により、水面10dに浮遊するスカムが上述したスカム排出装置11に向けて掻き寄せられる。
【0023】
また、残る2つの従動スプロケット21c、21dは池底10a付近に設置されており、この間に掛けられた無端チェーン22aを池底10aに沿って略水平に移動させる。そして、無端チェーン22aに取り付けられたフライト23により、池底10aに堆積した汚泥が汚泥ピット10bに掻き寄せられる。汚泥ピッチ10bに集められた汚泥は、排出管10cから沈殿池10の外部に排出される。
【0024】
無端チェーン22a、22bの形状は、公知の形状を用いることが可能である。無端チェーン22a、22bの形状としては、例えば、ブッシュドチェーン、ローラチェーン、ノッチ式チェーン等が挙げられる。フライト23を取り付けるためのアタッチメントを設置しやすいという観点から、ノッチ式チェーンが好ましい。
【0025】
また、無端チェーン22a、22bの材質は、公知の材質を用いることが可能である。無端チェーン22a、22bの材質としては、例えば、金属製チェーンや樹脂製チェーンが挙げられる。樹脂製チェーンは、軽量であるため、組み立て作業や交換作業が容易になるという利点だけでなく、耐腐食性に優れるため、交換頻度が低下するという利点もある。そのため、本発明において、無端チェーン22a、22bの材質としては、樹脂製チェーンが好ましい。
【0026】
[沈降促進部]
図2は、本発明の第1の実施態様の沈降促進部30の構造を示す概略説明図である(図1中のI−I矢視図)。
図2に示すように、沈降促進部30は、被処理水Wの流れ方向に対して略平行に設置された複数の沈降促進板31からなり、フライト23及び無端チェーン2aによって囲まれた空間(以下、「掻寄機内部空間」という。)内に配置されている。被処理水Wは、複数の沈降促進板31の間を通過する際に、沈降促進板31の板面と接することにより摩擦抵抗が生じるため、板面付近の流速が低下する。この流速の低下によって、固形物の沈降を促進することができる。
【0027】
また、本発明の沈降促進板31は、被処理水Wの流れ方向に対して略平行に設置される。被処理水Wの流速を低下させるために被処理水Wをせき止めるように構造物を設置すると、被処理水Wの流れが上下方向に変化して、沈降した固形物が再浮遊するという問題がある。しかし、本発明の沈降促進板31によると、被処理水Wの流れ方向に対して略平行に設置されていることから、被処理水Wの流れが上下方向に変化せず、固形物の再浮遊を抑制することができる。このような技術的な意義から、本発明における「被処理水の流れ方向に対して略平行に設置される」沈降促進部とは、被処理水Wの流速を低下しつつ、被処理水Wが通過する際に、被処理水Wの流れを上下方向に変化させないような構造物である。つまりは、本発明の沈降促進部は、第1の実施態様のように、被処理水Wを直線的に通過させるものだけでなく、被処理水Wの流れを水平方向に変化させるものであってもよい。
【0028】
また、本発明の沈降促進部30は、フライトと無端チェーンで囲まれた空間内に配置されるため、沈殿池10の手前側(被処理水Wの流れ方向上流側)で固形物の沈降を促進する。これにより、固形物が被処理水Wの流れ方向下流側で沈降することを防止し、固形物が処理水と共に沈殿池10から排出されることを抑制することができる。
【0029】
沈降促進板31は、池底10aの垂直方向に対して取付角θが略60°の角度となるように板状部材を傾けて設置する。沈降促進板31を傾斜して設置することで、沈降促進部30における有効沈降面積(=傾斜板長×cosθ×傾斜幅)を増加させることができる。これにより、被処理水Wの流れを妨げることなく、汚泥の沈降を促進することができる。有効沈降面積を増加させるという観点から、取付角θは、90°以下であることが好ましく、より好ましくは80°以下であり、特に好ましくは70°以下である。一方、取付角θが低くなると、沈降促進板31に固形物が堆積する恐れがあることから、取付角θは30°以上であることが好ましく、より好ましくは40°以上であり、特に好ましくは50°以上である。
【0030】
沈降促進板31の材質は、特に制限されないが、例えば、ステンレス等の金属製や、プラスチック製の板状部材が挙げられる。軽量であり、耐水性に優れるという観点から、プラスチック製の板状部材が好ましい。
【0031】
沈降促進部30の形状は、板状部材に限定するものではない。図3は、本発明の第1の実施態様の沈降促進部の別の構造である。図3に示すように、紐状体32を複数並べた糸状部材や、メッシュ33を張ったメッシュ状部材や、布を張った布状部材等を沈降促進板31のように設置してもよい。糸状部材やメッシュ状部材は、被処理水Wを透過することから、被処理水Wと垂直に設置してもよい。
【0032】
掻寄機内部空間における沈降促進部30の配置箇所は、被処理水Wの流れ方向上流側とすると、固形物の含有量が多いため、沈降促進部30で固形物が詰りやすい。したがって、掻寄機内部空間における沈降促進部30の配置箇所は、被処理水Wの流れ方向下流側とすることが好ましい。具体的には、図に示すように、汚泥掻寄機20において水面10d付近に設置された最上流側のスプロケット(駆動スプロケット21a)及び最下流側のスプロケット(従動スプロケット21b)の間の距離に対して上流と下流の2等分したときの下流側の範囲に沈降促進部30を配置することが好ましい。
【0033】
[第2の実施態様]
図4は、本発明の第2の実施態様の汚泥掻寄機を備えた沈殿池設備1bの構造を示す概略説明図である。
本発明の第2の実施態様の沈殿池設備1bは、図4に示すように、沈降促進板31の長手方向の長さL1を汚泥掻寄機20のフライト23のピッチ間隔L2以上としたものである。その他の構成は第1の実施態様と同様である。
この構造によれば、沈降促進板31の上下方向にフライト23が常に掛かる形となるため、被処理水Wが沈降促進部30を通過せずに短絡することを防止し、固形物の沈降促進をより確実に行うことが可能となる。
【0034】
[第3の実施態様]
図5は、本発明の第3の実施態様の汚泥掻寄機を備えた沈殿池設備1cの構造を示す概略説明図である。
本発明の第3の実施態様の沈殿池設備1cは、図5に示すように、チェーンガイドレール25a、25bを有する汚泥掻寄機20を具備するものである。その他の構成は第1の実施態様と同様である。
【0035】
チェーンガイドレール25a、25bは、水面10d及び池底10aにおいて水平方向に通過する無端チェーン22aを水平方向に維持するためのものである。
このチェーンガイドレール25a、25bによれば、特に汚泥掻寄機20の水面側の無端チェーン22aがたるむことがないため、無端チェーン22aと沈降促進部30の接触による沈降促進部30の破損または無端チェーン22aの脱落等のトラブルを防止することが可能となる。また、図6に示すように、周回する無端チェーン22aの内側にも沈降促進部30を設けることが可能となり、被処理水Wが沈降促進部30を通過せずに短絡することを防止することができる。
【0036】
具体的には、図5に示すように、汚泥掻寄機20において、駆動スプロケット21a及び1つの従動スプロケット21bの間に、無端チェーン22aを水面10dに沿って略水平に移動させるためのチェーンガイドレール25aが設置されている。
また、残る2つの従動スプロケット21c、21dの間にも、無端チェーン22aを池底10aに沿って略水平に移動させるためのチェーンガイドレール25bが設置されている。
【0037】
なお、チェーンガイドレールは、水面10d側及び池底10a側の両方に設置されているが、水面10d側のみに設置してもよい。また、駆動スプロケット21a及び従動スプロケット21bの間、従動スプロケット21c及び21dの間の全域に設けられているが、少なくとも沈降促進部30の上に設置されていればよい。
【0038】
なお、チェーンガイドレール25a、25bの材質は、特に制限されないが、例えば、ステンレス等の金属や、超高分子量ポリエチレン等の樹脂等を使用することができる。無端チェーン22aと同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。ただし、チェーンガイドレール25a、25bと無端チェーン22aが当接して摺動することを考慮して材質を選択することが好ましい。強度を考慮してステンレス等の金属製のチェーンガイドレールとし、無端チェーン22aとの摺動部に超高分子量ポリエチレン等の樹脂製の摺動部を設けることが好ましい。
【0039】
なお、上述した実施態様は沈殿池設備の一例を示すものである。本発明に係る沈殿池設備は、上述した実施態様に限られるものではなく、要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る沈殿池設備を変形してもよい。
【0040】
例えば、本実施態様の沈殿池設備における沈降促進部は、複数枚の沈降促進板を1ユニットとし、複数のユニットを被処理水の流れ方向に沿って配置するものとしてもよい。また、ユニット同士は同じ取付角で設置したものであってもよく、ユニットごとに取付角を異なるものとしてもよい。
複数のユニットの取付角を同じ角度にすると、複数のユニット間で固形物の沈降する方向が同じ方向になるため、固形物を安定して沈降させることができる。よって、被処理水の流れの乱れにより再浮遊しやすいような小さい粒子を沈降させる場合に適している。
一方、複数のユニットの取付角を異なる角度にすると、後段のユニットにおいて、さらに被処理水の流速が低下し、固形物の沈降をより促進することができる。よって、被処理水の流れが多少乱れても影響しないような大きい粒子を素早く沈降させる場合に適している。
【0041】
また、本実施態様の沈殿池設備は、汚泥掻寄機20の後段に従来の上向流式傾斜板を設けるものとしてもよい。これにより、沈殿池の機能をより向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の沈殿池設備は、例えば、下水処理場、廃水処理場、浄水場等において、汚泥のような固形物を含む被処理水の処理に利用される。
【符号の説明】
【0043】
1a,1b,1c 沈殿池設備、10 沈殿池、10a 池底、10b 汚泥ピット、10c 排出管、10d 水面、11 スカム排出装置、20 汚泥掻寄機、21a 駆動スプロケット、21b,21c,21d 従動スプロケット、22a,22b 無端チェーン、23 フライト、24 モータ、24a モータ用スプロケット、25a,25b チェーンガイドレール、30 沈降促進部、31 沈降促進板、32 紐状体、33 メッシュ、L1 沈降促進板の長手方向の長さ、L2 フライトのピッチ間隔、W 被処理水
図1
図2
図3
図4
図5
図6