(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984827
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ユーザ機器のネットワークアクセス制御
(51)【国際特許分類】
H04W 36/14 20090101AFI20211213BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20211213BHJP
H04W 76/00 20180101ALI20211213BHJP
【FI】
H04W36/14
H04W48/18 113
H04W76/00
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-550222(P2019-550222)
(86)(22)【出願日】2018年4月11日
(65)【公表番号】特表2020-513173(P2020-513173A)
(43)【公表日】2020年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2018059310
(87)【国際公開番号】WO2018189253
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2020年4月9日
(31)【優先権主張番号】17166051.7
(32)【優先日】2017年4月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518144182
【氏名又は名称】アイピーコム ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハンス、マーティン
【審査官】
深津 始
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 −H04B 7/26
H04W 4/00 −H04W 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE)装置による3GPPモバイル通信システムネットワークのコアネットワークへの接続管理方法であって、
前記3GPPモバイル通信システムネットワークのインターワーキング機能を介した前記コアネットワークへの非3GPP接続を確立し、前記非3GPP接続を通じてデータを伝送する段階と、
前記データが前記非3GPP接続を通じて伝送されている場合、前記3GPPモバイル通信システムネットワークの無線アクセスネットワーク(RAN)と無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)とを密接に結合する方式を用いて、前記3GPPモバイル通信システムネットワークの基地局を介した前記コアネットワークへのWLAN接続を確立するための要求を、前記RANを介して、前記基地局から受信する段階と、
前記要求に応答して、前記非3GPP接続の一時停止を、前記非3GPP接続または前記RANを通じて前記コアネットワークへ通知する段階と、
前記非3GPP接続が一時停止された後に前記WLAN接続が品質基準を満たさなくなったことに起因して前記非3GPP接続を将来再開するために、前記WLAN接続を介した前記コアネットワークとの通信の間、前記非3GPP接続のコンテキスト情報を記憶する段階と、
を備える、方法。
【請求項2】
前記非3GPP接続を将来再開するための前記非3GPP接続のコンテキスト情報を記憶している間、前記UE装置は、前記基地局を介して前記コアネットワークと通信する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基地局からの前記要求は、構成メッセージである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記UE装置は、前記コンテキスト情報としてIPsecコンテキスト情報を記憶する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記WLAN接続は、信号レベルの測定結果に基づいて、前記UE装置によって自律的にリリースされてよい、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記WLAN接続のリリース後に前記非3GPP接続が再確立できない場合、前記UE装置は、前記3GPPモバイル通信システムネットワークを介して前記非3GPP接続をリリースするために、前記コアネットワークへ情報を提供する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コンテキスト情報は、予め定められた時間記憶され、前記一時停止が前記予め定められた時間を超えた場合、削除される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ユーザ機器(UE)装置との接続を管理する3GPPモバイル通信システムネットワークにおける方法であって、
前記3GPPモバイル通信システムネットワークは、
前記3GPPモバイル通信システムネットワークの無線アクセスネットワーク(RAN)と無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)とを密接に結合する方式を用いて、前記UE装置とコアネットワークとの間のWLAN接続を確立する基地局と、
非3GPPネットワークを介し、前記UE装置と前記コアネットワークとの非3GPP接続を確立するためのインターワーキング機能と、
を有し、
前記方法は、
前記インターワーキング機能を介して、前記UE装置との前記非3GPP接続を確立し、前記非3GPP接続を通じてデータを伝送する段階と、
前記データが前記非3GPP接続を通じて伝送されている場合、前記基地局により、前記WLAN接続を確立するための要求を、前記RANを介して前記UE装置に送信する段階と、
前記要求に応答して前記UE装置から受信した前記非3GPP接続を一時停止することを示すメッセージに応答して、前記非3GPP接続を一時停止する段階と、
前記非3GPP接続が一時停止された後に前記WLAN接続が品質基準を満たさなくなったことに起因して前記非3GPP接続を将来再開するために、前記WLAN接続を介した前記UE装置との通信の間、前記非3GPP接続のためのコンテキスト情報を記憶する段階と、
を備える、方法。
【請求項9】
前記3GPPモバイル通信システムネットワークは、
前記インターワーキング機能を介する前記UE装置との前記非3GPP接続を有する間、前記非3GPP接続を維持するためのキープアライブメッセージを定期的に送信し、
前記インターワーキング機能を介する前記UE装置との前記非3GPP接続を一時停止している間、前記キープアライブメッセージの送信をやめる、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテキスト情報は、前記非3GPP接続が再開されないであろうことを示す前記UE装置からのメッセージの受信に応答して削除される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテキスト情報は、前記非3GPP接続が再開されない場合、予め定められた時間後に削除される、
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる3GPP接続および非3GPP接続などの、モバイル装置またはユーザ機器(UE)の複数接続のセットアップに関する。
【背景技術】
【0002】
5Gコアネットワーク(CN)アーキテクチャが標準化においていまだ確定していない中、様々な機能および機能間の相互接続がアーキテクチャにあることが期待され得る。
図1は、本発明の説明に関連するネットワーク要素およびインターフェースだけを有する簡易CNアーキテクチャを示す。
【0003】
ユーザ機器、UE、装置は、一般に無線アクセスネットワーク(RAN)であってよいアクセスネットワークを介して3GPP CNにアクセスする。無線アクセスネットワークが3GPPによって定義されるもの、例えば5G無線アクセスネットワークである場合、アクセスネットワークは、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)への接続を提供する。接続は、N2と呼ばれる。AMFは、
図1に図示されるすべての要素と同様に、単独のCNに複数回存在してよい。AMFは、通常ネットワークにおいてUEの登録時にUEに対して選択され、1つのAMFのみが単独のUEを担当する。AMFは、CNのすべての要素と同様に、相互接続およびルーティング機能(IRF)として
図1に示されるルーティングインフラストラクチャを介して他のCN要素と通信を行うことができる。AMFは、例えば、ユニバーサルデータ管理エンティティ(UDM)内の加入者データ基地に接続し、登録時のUEの認証、加入されたサービスについての情報の受信、およびUEとの通信に使用されるセキュリティ証明書の取得を行う。
【0004】
UEは、セル方式モバイルネットワークに参加するとき、(R)ANに接続し、そこから選択されたAMFに対してCNでの登録を要求する。AMFがUDMと通信して、UEとAMFとの間の認証を取得した後、UEは登録され、UEはサービスを要求することができる。UEとその選択されたAMFとの間の論理通信インターフェースは、N1と呼ばれ、アクセスネットワークとのインターフェースとそのAMFに対するN2とを備える。N1インターフェースは、
図1において点線で示され、複数の異なる物理インターフェースを通じてその論理的特徴を強調している。データネットワーク(DN)へのデータ配信を行う必要がある場合(例えば、インターネットへのデータ配信)、UEは、適切な接続(いわゆるPDUセッション)のセットアップを、(R)ANからN3インターフェースを介して1または複数のユーザプレーン機能(UPF)およびそこからN6インターフェースを介してデータネットワークに要求する。UPFにおける適切なコンテキストのアクティブ化およびネットワークリソースの割り当ては、N4インターフェースを通じてセッション管理機能(SMF)によって行われる。SMFは、加入者データ、コンタクトされるデータネットワークおよび現在のネットワーク負荷に従って、AMFにより選択される。アプリケーション機能(AF)は、ネットワークのポリシーを提供してよく、データネットワーク内のアプリケーションサーバと通信して、UEに対して提供されるサービス品質を適合させてよい。UEが例えば異なるサービス品質について、または異なるネットワークアドレスを通じて、同じデータネットワークと複数の接続のセットアップをしなければならない場合、同じまたは異なるUPFが含まれてよく、および同じまたは異なるSMFが担当してよい。UEが異なるデータネットワークと複数の接続のセットアップをしなければならない場合も同様に、同じまたは異なるUPFおよびSMFが関係していてよい。一方で、そのUEを担当するAMFは、通常1つだけである。
【0005】
3GPPシステムは、LTEと同様に、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)無線技術および3GPP無線技術を密接に統合する様々な無線アクセス機構を定義する。これは、ライセンスフリーアクセス技術がサービスを提供するオペレータに結びつけられることができるため、ネットワークオペレータにとって好都合である。これらの機構の例は、LTE−WLANアグリゲーション(LWA)およびIPsecトンネルを有するLTE WLAN無線レベルインテグレーション(LWIP)と呼ばれる。GB2 541 392 Aは、LWAの例を説明する。また、3GPP TR 21.914 V0.3.0は、LWAの態様はもちろん、LWIPの態様も説明する。
【0006】
両機構は、基地局とUEとの間のデータ交換のために並行してLTEおよびWLANを使用する。LTE無線インターフェースは、制御およびユーザデータの交換のために使用されるのに対して、WLAN無線インターフェースは、ユーザデータの交換のためだけに使用される。UEは、eNBに対して、そのUEがLWA、LWIPおよびWLANに基づく測定についての詳細を実行する能力を示す。eNBは、各パラメータ(周波数帯域、SSID、セキュリティパラメータ)を有するWLANアクセスポイントのセットである、いわゆるWLANモビリティセットを構成してよく、その各パラメータ間において、UEは、eNBへのWLAN接続を維持しつつ移動してよい。
【0007】
LWAについて、WLANアクセスポイントは、LTE基地局(eNodeB、eNB)内で統合されてもよく、eNBに接続されてもよい。eNBは、WLANアクセスポイントのグループに接続されてよい。ベアラを通じたデータ転送は、LTEとWLANとの間で切り替えられてよい。すなわち1つのベアラについて、アクセス技術LTEまたはWLANの1つのみが一度に使用される。またはベアラが分かれてよい。すなわち、両アクセス技術が同時に使用されてよい。
【0008】
LWIPについて、基本原理は同じである。LWAとの主な差は、LWIPのためにレガシWLANアクセスポイントを使用できる。すなわち、現在マーケット上にあるアクセスポイントについて変化を必要としない。WLANアクセスポイントは、IPsecトンネルを介してeNBに結びつけられている。このシナリオでは、ベアラ切り替えだけがLWIPのために使用される(すなわち、分けられたベアラはサポートされない)。
【0009】
将来、専用の(オペレータ所有の)周波数帯域に配備されるセル方式のネットワーク無線アクセス技術を、WLANと同様に利用可能な周波数帯域を自由に用いる無線アクセス技術と密接に結合させる他の技術が指定されてよい。 密接な結合は、セル方式無線アクセスネットワークによって実行される。すなわち、それはコアネットワークから完全に隠される。その場合、CNについて、UEは、アクセスネットワークがWLAN分布に関係しているか否かに関わらず、3GPPの無線アクセスネットワークを介して接続される。
【0010】
セル方式モバイルネットワークは、
図1にすでに示されるように、一般にアクセスネットワークおよびコアネットワークからなる。アクセスネットワークは主に、モバイル装置に対して、例えばGSM(登録商標)、UMTSまたはLTEを介してセル方式無線アクセスを提供する。更なるアクセスネットワークは、例えばWLANなどの短距離無線アクセス、または固定若しくは衛星アクセスを介して、モバイルまたは固定装置へのアクセスを提供してよい。アクセスネットワークは通常、装置への無線接続をセットアップ、制御および維持するための完全な機能を提供する。
【0011】
コアネットワークは、アクセス固有ではない機構、例えば装置および/または加入者の認証、権限付与およびアカウント(AAA)、アクセスネットワーク間の移動性並びにアクセスネットワークとデータネットワーク外との間のルーティングを提供する。
【0012】
UEが同時に異なるアクセスネットワークを介して、例えばLTEおよびWLANを介して、コアネットワークにアクセスしている場合、個々のアクセスネットワークは通常、使用される任意の他のアクセスネットワークについて認識していない。すなわちアクセスネットワークは、互いに独立して配備される。モバイルネットワークの次世代、いわゆる第5世代(5G)ネットワークにおいては、アクセスネットワークとコアネットワークとの間を厳格に隔離することは、ネットワークの独立したスケーラビリティを可能とするために重要である。
【0013】
3GPPは、例えば、GSM(登録商標)、UMTS、HSPA、LTE、LTE−Aおよび近い将来において5Gアクセスネットワークといった、3GPPコアネットワークにアクセスするための様々なアクセスネットワークを定義する。これらのネットワークは、3GPPコアネットワークの管理下で具体的に作動するように開発されている。基地局の各々は、コアネットワークのセキュリティ機構をサポートし、コアネットワークのオペレータまたは信頼されるサードパーティによってセットアップされ、維持される。その結果、3GPPアクセスネットワークは、コアネットワークによって信頼されることができる。
【0014】
加えて、3GPPコアネットワークは、任意の信頼されるオペレータによってセットアップされ、かつ維持されなくてよいアクセスネットワークをサポートするようにセットアップされる。ここでアクセスネットワークは、オペレータのドメイン外にあってもよい。これらのアクセス技術は、まとめて非3GPPアクセス(N3GPP)と呼ばれる。コアネットワークとアクセスネットワークとの間に信頼関係がない場合、これらのアクセス技術は、信頼されないN3GPPアクセスと呼ばれてよい。
【0015】
図2には、(R)ANおよびN3GPPアクセス技術を含むネットワークアーキテクチャ例が図示される。図は、3GPPアクセス技術((R)AN)を介してCNへのアクセスを提供する
図1のネットワーク要素を示す。加えて、
図2は、非3GPPアクセス(N3GPPアクセス、例えば、WLAN)を介してCNに接続される
図1のUEを示す。WLANは、信頼されないノードである。従って、WLAN自体は、複数の信頼されない非3GPPアクセスネットワーク(
図2では、1つだけを示す)が集まる可能性がある非3GPPアクセスインターワーキング機能(N3IWF)に接続する。N3IWFは、オペレータによって維持されてよい装置であり、従って信頼されてよい。
【0016】
5Gコアネットワークへの非3GPPアクセスの標準化の現在の状態は、信頼されないN3GPPアクセス、例えば、WLANを介してUEからコアネットワークにアクセスするべく実行される、以下の機能を説明する。
【0017】
UEは、WLANアクセスポイントからIP接続性を獲得し、N3IWFの選択を実行する。
【0018】
UEは、UEのUICCから事前に共有される暗証を用いて選択したN3IWFと、セキュリティアソシエーションを確立する。N3IWFは、適切なAMFを選択し、UEまたはその各々の加入者を認証するように求め、セキュリティ証明書を受信する。これらの認証情報は、UICCによって生成されるものの対応物であり、UEとのセキュリティアソシエーションのためのベースを構築する。UEおよびN3IWFは、IPsecトンネルをセットアップする。これによりUEは、信頼されないWLANを通じてN3IWFと安全に通信することができる。
【0019】
N3IWFは、N2インターフェースを通じて、AMFと通信する。このインターフェースは、アクセスネットワークとAMF機能との間の一般的なアクセス独立インターフェースである。すなわち、このインターフェースは、5G基地局をAMF機能に接続するN2インターフェースと基本的に一致する。一度UEとN3IWFとの間のIPsecトンネルおよびN2インターフェースが安全にセットアップされれば、UEは、それとAMFとの論理的接続を構成する経路、いわゆるN1を有する。この経路は、(R)ANを通じて確立されるN1インターフェースへの代替経路であってよい。
【0020】
UEは、信頼されないWLANを通じてアップ機能を介してデータネットワーク(DN)との接続をセットアップするように直ちに要求してよい。
【0021】
上述のように、3GPPシステムは、3GPP無線アクセス技術に加えてWLANアクセスを、2つの完全に異なる方法で提供する。第1の方法は、3GPPアクセスネットワークの管理下で、WLANおよび3GPPアクセス技術を密接に結合させる。この方法は、基本的にはコアネットワークから見えない。第2の方法は、3GPPによる無線制御を用いないが、UEとN3IWFとの間の追加のセキュリティを用いて、N3IWFを通じてWLANを介してコアネットワークに代替的にアクセスする。この方法は、例えば3GPPなどの他のアクセス技術から独立している。
【0022】
現在の、またおそらく将来のモバイル装置は、IEEE 802.11規格ファミリのMACおよびPHYを含む統合されたWLANモジュールならびにWLAN無線周波数帯域の各々に適した無線周波数層および1または複数のアンテナを介して、WLANアクセス能力を提供するだろう。
【0023】
WLANアクセス技術の特徴により、一度に複数のアクセスポイントへの接続のために、1つのUEに実装された1つのWLANモジュールを使用できないが、少なくともそれぞれの接続に重大な制約はある。言い換えると、モバイル装置内で統合されたWLANモジュールは、単独のアクセスポイントに接続することを提供するが、2以上のアクセスポイントに接続することを提供できない。
【0024】
その結果、統合されたWLAN通信能力を有し、WLANと3GPPアクセス技術との密接な結合およびN3IWFを通じた3GPP CNへのWLANアクセスの両方の技術が実装されたモバイル装置は、一度にこれらの特徴のうちの1つのみを提供できるかもしれないが、一度に両方は提供できないかもしれない。したがって、両方法の使用を能動的に制御し、または調整して、WLANに基づくアクセス技術を通じて3GPPコアネットワークに接続する手段はない。
【0025】
3GPP TS 23.402は、LWA/LWIPに対するWLAN能力の使用およびWLANを通じたCNへのN3GPPアクセスについて、競合する構成と遭遇するUEの固定動作を説明するにすぎない。その仕様の解決手段、すなわち現在の公共のおよび配備される解決手段は、UEのユーザによる選択がネットワークの制御に優先するという優先順位に基づく。ユーザが選択を実行しない場合、アクセスネットワークに対するWLANの密接な結合がCNへのWLANアクセスより優先される。
【0026】
そのような構成は、WLANモジュールがアクセスネットワーク、コアネットワークおよびおそらく3GPPの範囲外の他のネットワーク(例えば、プライベートWLANネットワーク)の間で共有される数少ないリソースであるという異なる使用シナリオで動作および反応する調整および制御機能を提供しない。
【0027】
US2009/0080391A1は、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク、並びに複数のベアラについてのQoSが取り決められているWLANネットワークについて説明している。US2016/0219470A1は、LTE−WLANインターワーキング制御および管理のためのPDN接続のオフローダビリティについて説明している。US2014/0341138A1は、非3GPPアクセスと進化したパケットコアとの間でインターワーキングする場合のアドレス割り当ての延期について説明している。US2007/0249352A1は、インターアクセスシステムハンドオーバにおける認証手順を最適化するシステムおよび方法について説明している。
【0028】
特に、密接に結合した(R)ANまたはN3GPP CNアクセスのいずれかにWLAN能力を付与する占有に基づく決定を可能とし、占有の変化またはリソース割り当てに基づく決定を再評価することを可能にするフレキシブルまたは動的な方法は、知られていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、ユーザ機器、UE、装置とコアネットワークとの接続を管理する方法を提供する。上記UE装置は、移動体通信システムネットワークを用いて上記コアネットワークへの接続を確立し、かつ上記移動体通信システムネットワーク以外のネットワークを介して上記コアネットワークへの接続を確立することが可能であり、上記方法は、上記移動体通信システムネットワーク以外のネットワークを介して、上記コアネットワークへの第1の接続の確立を完了する段階と、上記移動体通信システムの基地局から、上記移動体通信システムネットワーク以外のネットワークを介して、上記基地局への第2の接続を確立する要求を受信したことに応答して、上記第1の接続の一時停止を上記コアネットワークに通知する段階と、上記第1の接続を将来再開するために、上記第1の接続のコンテキスト情報を記憶する段階とを備える。
【0030】
更なる態様において、本発明は、ユーザ機器、UE、装置との接続を管理する移動体通信システムネットワークのコアネットワークエンティティにおける方法を提供する。上記移動体通信システムネットワークは、上記移動体通信システムネットワークを介して、上記UE装置と上記コアネットワークとの第1の接続を確立する基地局と、上記移動体通信システムネットワーク以外のネットワークを介して、上記UE装置と上記コアネットワークとの第2の接続を確立するインターワーキング機能とを備え、上記方法は、上記インターワーキング機能を介して、上記UE装置との上記第2の接続を確立する段階と、上記UE装置からメッセージを受信したことに応答して、上記インターワーキング機能を介した上記第2の接続を一時停止する一方で、上記第1の接続を介して上記UE装置と通信しながら、上記第2の接続の再開を延期する上記第2の接続のコンテキスト情報を記憶する段階とを備える。
【0031】
本発明のすべての態様について、UEは、移動体通信システムの1または複数のアクセスネットワークを介して、例えば、RANを介して、移動体通信システムのコアネットワークにアクセスできるということを事前に仮定している。加えて、UEは、完全には移動体通信システムの管理下ではない1または複数のネットワーク(N3GPP)、例えばWLANを介して、コアネットワークにアクセスできる。RANおよびN3GPPという用語は、モバイルネットワークで制御されたアクセス技術とモバイルネットワークで制御されていない技術とを区別するために、以下のように使用される。N3GPPは、WLANであってよいが、本発明は、いかなる特定のアクセス技術にも限定されない。すなわち、制限されたリソースを構成し、RANにおいて使用されるか、またはCNに直接アクセスするために使用されるかいずれか一方ではあるが両方ではない他の技術もまた使用されることができる。
【0032】
ネットワーク登録時若しくは無線リソース接続セットアップ時のいくつかの時点で、または類似の手順内で、UEは、RANに対するその無線能力を送信する。その能力は、密接に結合したRANおよびWLANの統合を実行するUE能力についての情報を備える。UEはまた、WLANを介してCNにアクセスするときにUEをサポートする情報を記憶してよい。そのサポート情報は、UEがそのような情報を要求した結果として、またはCNにWLANアクセス能力情報を提供した結果として、これまでの登録手順において、または登録手順後にCNから受信されていてよい。代替的に、サポート情報は、UICCに記憶するか、UICCにインプリントされて受信されるか、ネットワークからUICCへの伝送を介して、モバイルネットワークから受信されてもよい。
【0033】
本発明の第1の態様において、UEは、WLANを介するコアネットワークへのN3GPP接続を有し、UEがRANの基地局から、基地局とのWLAN接続をセットアップする要求を受信したことに応答して、UEは、WLANを介するN3GPP接続の一時停止についての情報をコアネットワークに提供し、UEは、N3GPP接続についてのコンテキスト情報を記憶する。
【0034】
言い換えると、N3GPP接続がUEとコアネットワークとの間でセットアップされる間、基地局はUEに対して基地局とのWLAN接続をセットアップするように要求する。UEとコアネットワークとの間のコンテキストをリリースする、または基地局とのWLAN接続を拒否する代わりに、UEは、コアネットワークに接続の停止を通知し、双方は各々のコンテキストを保持する。これにより、UEおよびコアネットワークは、WLANモジュールがRANによって解放されるとき、接続の再確立などの時間を無駄にすることなく迅速に接続を再開することができる。
【0035】
基地局からの要求は、少なくとも一部はWLANを介して、例えばLWAまたはLWIPの特徴に従って、基地局との接続をセットアップすることを備える、基地局からの構成メッセージであってよい。コアネットワークに情報を提供する段階は、N3GPP接続を通じて、WLANを介して行われてよい。コアネットワークに情報を提供する段階は、RANを通じて行われてよい。UEは、コアネットワークを説明された方法で通知するように、N3GPP接続セットアップにおいてコアネットワークによって構成されてよい。
【0036】
UEは、N3GPP接続を通じて、WLANを介してコアネットワークのエンティティ(N3IWF)へのIPsec接続をセットアップし、かつ維持する。維持する段階は、エンティティにキープアライブメッセージを送信して、UEとエンティティとの間のユーザデータの交換がない場合に接続の活発さを判定する段階と、UEが、WLANを介してN3GPP接続を停止している間にキープアライブメッセージの送信を停止する一方で、IPsecコンテキストを維持および記憶する段階とを含む。
【0037】
言い換えると、記憶され、かつ接続の再開時に再記憶されるコンテキストは、再開後にセキュリティアソシエーションをセットアップする時間を節約するためのIPsecセキュリティアソシエーションである。
【0038】
本発明の第2の態様において、基地局へのWLAN接続をリリースすることに応答して、UEは、N3GPP接続が停止するまでに使用されていたWLANを用いて、WLANを介してコアネットワークへのN3GPP接続を再開する。
【0039】
言い換えると、UEのWLANがRANによって使用されない場合、その後にN3GPP接続は、停止していたところから復元される。
【0040】
ある実施形態において、UEは基地局から閾値を受信し、閾値を超える、または閾値を下回るWLAN信号の測定結果に基づいて、自律的にWLAN接続をリリースする。言い換えると、UEは、WLAN信号強度と受信した閾値とを比較して、比較に基づいて基地局とのWLAN接続を自律的に中断する。WLAN信号は、基地局のWLANと、N3GPP接続を再開するのに適切な1または複数のWLANとを含むことができる。これにより、UEは、2つの使用シナリオにおける、UEのWLAN能力の品質および期待される利益を比較することができる。UEは、基地局に測定結果を提供する。測定結果は、WLANを介してN3GPP接続を再開するのに適切なWLANの信号の測定結果を含み、それに応答して、UEは、基地局とのWLAN接続をリリースする要求を基地局から受信する。言い換えると、基地局は、少なくとも部分的にN3GPP WLANの受信品質に依存する、RANに基づくWLAN接続を中断するようにUEに要求する。これにより、RANは、密接に結合したWLANを用いた場合の利益と、N3GPP接続を介してトラフィックをオフロードすることで期待される利益とを比較することができる。この方法はまた、N3GPP WLANがホームWLANである場合に適用されてよい。言い換えると、測定結果報告を介して、RANにホームWLANの受信品質が通知されてよく、これに基づいて、RANは、WLANインターワーキング接続をリリースして、UEのWLANハードウェアを、ユーザのホームWLANでの使用のために解放してよい。この原則は、もちろん、任意の既知の公共またはプライベートのWLANホットスポットに対しても適用可能である。
【0041】
本発明の更なる態様において、基地局とのWLAN接続をリリースしたことに応答して、UEは、CNとのN3GPP接続を再開するのに適切なWLANを決定し、その適切なWLANに接続し、そのコアネットワークとのN3GPP接続を再開する。
【0042】
言い換えると、UEのWLANがRANによって使用されない場合、その後にN3GPP接続は、N3GPPを再開するためのWLANの適合性の決定後に選択された異なるWLANを用いて、復元される。
【0043】
本発明のより更なる態様において、基地局とのWLAN接続をリリースしたことに応答して、UEは、コアネットワークとのN3GPP接続を再開するのに適切なWLANがないと判定し、UEは、リリースする(または再開可能でない)N3GPP接続についての情報をコアネットワークに提供し、UEは、N3GPP接続をリリースする。
【0044】
言い換えると、RANによってWLAN能力をリリースした後にN3GPP接続を再開するのに適切なWLANが利用可能でない場合、ネットワークは、記憶されたコンテキストの各々を削除できるように通知を受けて、UEは記憶したコンテキストを削除する。N3GPP接続をリリースする段階は、UEに記憶したコンテキスト情報を削除する段階を含む。
【0045】
本発明の更なる態様においては、UEは、コアネットワークから(例えばWLANを介したN3GPP接続のセットアップの一部として)タイマ値を受信し、WLANを介してN3GPP接続を停止したことに応答して、タイマを開始させ、受信されたタイマ値に従ってタイマの期限が切れるとき、N3GPP接続をリリース(して、記憶したコンテキスト情報を削除)する。
【0046】
言い換えると、N3GPP接続を再開するためにUEおよびネットワークに記憶されるコンテキストは、特定の時間、コアネットワークによって指定および構成された時間だけ有効である。
【0047】
本発明の一態様において、コアネットワークは、WLANを通じて少なくとも部分的にUEとの接続を維持し、接続の停止についての情報をUEから受信したことに応答して、接続に関するコンテキスト情報を記憶している間に接続を停止し、UEによってトリガされたコンテキスト情報を用いて接続を再開する。
【0048】
ここで、コアネットワークは、N3GPP接続を経由して、WLANを介してUEとのIPsec接続をセットアップし、維持する。維持する段階は、UEにキープアライブメッセージを送信し、UEとコアネットワークとの間で交換されるユーザデータがない場合に接続の活発さを判定する段階と、コアネットワークが、WLANを介してN3GPP接続を停止するとき、キープアライブメッセージの伝送を停止する一方で、IPsecコンテキストを維持し記憶する段階とを含む。
【0049】
コアネットワークは、接続が再開されないだろうとの情報をUEから受信することに応答して、コンテキストを削除し、UEとの接続をリリースする。コアネットワークは、タイマ値をUEに送信し、タイマ値に基づいて接続をリリースし、コンテキストを削除する。
【0050】
UEは、1つのコアネットワークとの間で少なくとも2つの接続を有し、少なくとも1つの接続は、WLANを介したN3GPP接続であり、少なくとも別の接続は、RAN接続である。UEは、WLANを介した、コアネットワークを通ってデータネットワークへのN3GPP接続を通じた第1の論理接続を有する。UEは、第1の論理接続へのデータトラフィック負荷を決定し、基地局とのWLAN接続をセットアップする要求をRANの基地局から受信したことに応答して、決定されたデータトラフィック負荷に基づいて、RANの基地局からの要求を受け入れるか拒否するかを決定する。
【0051】
言い換えると、PDUセッションが、UEと、N3GPP接続を通じてWLANを介してルーティングするデータネットワークとの間で存在し、RANがWLANと基地局とを接続するように要求する場合、UEは、PDUセッションを通じたトラフィックを考慮して、要求に従うか否かを決定してよい。重大なデータトラフィックが現在UEとデータネットワークとの間で交換されている場合、データ伝送を妨げないために要求を拒否してよい。 本発明の他の態様において、UEは、上述に類似したシナリオにおいて、N3GPP接続を通じたWLANを介したデータネットワークとの第1の論理接続のために、RANを通じたデータネットワークとの第2の論理接続が確立されているか否かに基づいて、RANの基地局からの要求を受け入れるか拒否するかを決定してよい。
【0052】
言い換えると、UEは、各データネットワークとの接続がRANを通じても存在している場合、WLANを介したN3GPP接続を中断または停止することを受け入れるだけである。これは、N3GPP接続がRANからデータをオフロードするために使用されていたが、おそらくサービス需要の品質および/または信頼性に起因して、いまだにRANに基づく接続が存在する場合である。その場合、UEのWLAN能力は、RAN接続を強化し、データネットワークとのデータ交換を継続すべくそれを使用するために、使用されてよい。
【0053】
上述の2つの態様は、UEが、WLANおよびRANの密接な結合技術に対して、UEによって基地局へ送られるUEの能力情報を適合させるという点で強化されてよい。UEは、WLANを介したN3GPP接続へのデータトラフィック負荷が低い場合、またはデータネットワークとの接続のすべてについてRANを介した代替的な経路が存在する場合、密接な結合能力だけを送信してよい。あるいは、RANは、UEがWLANインターワーキングの特徴を使用できないことを通知されるだろう。
【0054】
UEは1つのコアネットワークとの少なくとも2つの接続を有し、少なくとも1つの接続はWLANを介したN3GPP接続であり、少なくとも別の接続は、RAN接続である。UEは、WLANを介したコアネットワークを通ってデータネットワークへのN3GPP接続を通じた第1の論理接続を有する。UEは、第1の論理接続へのデータトラフィック負荷を決定し、RANの基地局から基地局とのWLAN接続をセットアップする要求を受信したことに応答して、RANを通じた、コアネットワークを通ってデータネットワークへの第2の論理接続をセットアップするようにコアネットワークに要求する。
【0055】
言い換えると、UEと、N3GPP接続を通じてWLANを介してルーティングされるデータネットワークとの間にPDUセッションが存在し、RANがWLANと基地局とを接続するように要求する場合、UEは、RANを介してデータネットワークへ代替的にルーティングすることをセットアップするようにコアネットワークに要求してよい。このことは、UEとコアネットワークとの間のデータ転送がRANを通じて引き続き行われるという点で有益である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
ここで、以下の図面を参照して、もっぱら例示のために、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【
図1】アクセスネットワークおよびコアネットワークを備えるネットワークアーキテクチャの概略図を示す。
【
図2】さらに詳細にアクセスエンティティを示す、
図1のネットワークの概略図を示す。
【
図3】第1のメッセージシーケンスチャートを示す。
【
図4】第2のメッセージシーケンスチャートを示す。
【
図5】第3のメッセージシーケンスチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下において、本発明を示すメッセージシーケンスチャートについて説明する。メッセージシーケンスは、
図1に図示されるネットワークと類似または同一であってよいネットワークのエンティティ間に例示的に示される。
【0058】
図3から
図5は、以下のネットワークエンティティと、以下でさらに詳細に説明される各々のメッセージとを示す。
【0059】
UEは、既知の、または開発された無線アクセス技術GSM(登録商標)、UMTS、HSPA、LTEまたは5Gのうちの1または複数のセル方式モバイルネットワークにおいて通信するための手段を備えたモバイル装置であってよい。UEはまた、無線ローカルエリアネットワーク(WLANまたはWiFi)のような、IEEE 802.11規格シリーズ、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの任意の組み合わせで実装される無線短距離通信技術を備えている。
【0060】
複数のWLANアクセスポイントは、図のWLANと書かれた2つのボックスとして示される。アクセスポイントは、公共のWLAN接続、ホームWLAN接続を提供してよい。また、アクセスポイントは、ネットワークオペレータ、例えばセル方式モバイルネットワークのオペレータによって所有され、配備されてよい。WLANアクセスポイントは、コアネットワークの集約ノードに少なくとも接続を提供する1または複数のネットワークへの無線アクセスを提供する。
【0061】
集約ノードは、図の次世代パケットデータゲートウェイのためのN3IWFと呼ばれる。ノードは、任意のネットワーク接続、例えばDSLおよびIP−ネットワークを介して2つのWLANアクセスポイントと通信することが可能である。N3IWFは、WLANアクセスポイントを通じてUEとのセキュリティアソシエーションを確立することが可能である。また、N3IWFは、オペレータのコアネットワークによって信頼され得る、コアネットワークにおいて1または複数の制御プレーン機能(AMF SMF UDM)および1または複数のユーザプレーン機能(UPF)と通信することが可能なノードである。制御プレーン機能およびユーザプレーン機能は、コアネットワークのネットワークノード内にある。
【0062】
図はまた、セル方式モバイルネットワークの無線アクセスネットワーク(RAN)を示す。RANは、RAN/BSと呼ばれる1つのブロックに集合的に示される1または複数の基地局(BS)を含む。RANは、コアネットワークの制御プレーンノードおよびユーザプレーンノードとも通信できる。コアネットワークがそのユーザに提供するサービスの1つは、アクセスネットワーク(RANまたはWLANおよびN3IWF)を通じたUEと、1または複数のUPFとの間の、図において右端のブロックとして示されるデータネットワーク(DN)へのデータサービスのプロビジョニングである。
【0063】
以下の全ての実施形態の前提条件を、
図3に示す。UEは、コアネットワークへの2つの接続をセットアップする。一方は、N3GPP(WLAN)を通じた接続であり、他方はセル方式無線アクセス(RAN)を通じた接続である。2つの接続のセットアッププロセスは、UEおよびネットワークによって、任意の順序で、任意の時間に、または同時に実行されてよい。
図3は、第1にN3GPPの接続セットアップを、第2にRANの接続セットアップを例示的に示す。
【0064】
UEは、1または複数のアクセスポイントによって提供されるWLANを選択し、IP接続性を取得する。各々のIPアドレスは、WLANアクセスポイントによって割り当てられ、N3IWFまたは任意の他のネットワークノードは、通常その目的でDHCPサービスを提供する。IPアドレスは、UEに伝えられる。UEは、N3IWFとコンタクトをとってセキュリティアソシエーションを確立し、これによりUEとN3IWFとの間にIPsecトンネルをセットアップすることが可能である。セキュリティアソシエーションをセットアップするために、N3IWFは、UEを認証しなければならない。従って、N3IWFは、セキュリティアソシエーション確立のためにUEの認証および権限付与を要求し、認証情報を受信するようにコアネットワーク、特にAMFに要求する。
【0065】
UEとN3IWFとの間のセキュアな接続がセットアップされた場合、UEは、UE−AMF通信プロトコルに従って、メッセージをコアネットワークに送信してよい(これを、NASメッセージと呼ぶ)。UEは、N3GPP接続を通じてネットワークに自身を登録してよい。
【0066】
登録が成功した後、UEは、サービス、例えば特定のデータネットワーク(DN)へのPDUセッションのセットアップを要求してよい。コアネットワークにおける制御プレーン機能は、UEからDNへパケットをルーティングするようにユーザプレーン機能を構成する。N3IWFは、パケットをルーティングするために適切なフィルタまたはルールが提供されてよく、データ転送は、UEとDNとの間で生じてよい。
【0067】
コアネットワークへのRAN接続をセットアップするために、UEは、RANへの接続(これを、RRC接続と呼ぶ)のセットアップを要求する。RRC接続のセットアップにおいて、UEは、LWA、LWIPまたはRANレベルでWLANとセル方式無線アクセスとを結合させる任意の他の技術を実行する能力を含むUEの能力についてRANに通知してよい。確立されたRRC接続を用いて、UEは、コアネットワークにRAN接続を登録することができ、上述の通りサービスを要求することができる。例えば、
図3に図示されない別のデータネットワークへのデータ転送サービスが要求され、許可される。
【0068】
ここで、
図4に着目すると、データ転送は、UEとデータネットワークとの間で継続されてよい。ステップ1から手順を開始する。RANは、UEがサポートするように示したWLANインターワーキング技術のうちの1つを使用するように、UEを構成する。構成は、新しい構成を適用する開始時間を含んでもよく、構成は、すぐに開始されてもよい。
【0069】
本実施形態によれば、UEは、N3GPP接続を停止する必要性についてコアネットワークに通知する。UEは、メッセージを送信し、UEがWLANアクセスを通じて有するすべての論理的接続に適用可能なN3GPP接続停止についてAMFに通知してよい。または、UEは、停止によって影響を受けるすべてのPDUセッションに加えて、N1インターフェースをN3GPPを通じてAMFに示す。
【0070】
停止情報を含む1または複数のメッセージは、新しいRAN構成が適用されるまで、UEによってN3GPPアクセスを通じてAMFに送られてよい。このメッセージは、次にN3IWFを通過するだろう。そしてこのエンティティは、メッセージにすぐに反応してよい。代替的に、AMFはステップ3で、UEへの接続停止についてN3IWFに通知する。
【0071】
AMFへの(1または複数の)メッセージは、代替的にRANを通じてUEによって送られてよい。特に、基地局からの構成が迅速に適用されたことによりWLANを通じてメッセージを送信する時間がない場合、この代替案が適用されるだろう。UEでは、基地局とのWLAN通信を確立することが必要となるまでの残りの時間に応じて、AMFにメッセージを送信する方法を決定することが予測されてよい。その結果、この場合、停止についてN3IWFに通知するために、ステップ3が必要となる。
【0072】
停止の結果、N3IWFは、セキュリティアソシエーションを保持し、またUEへのキープアライブメッセージの送信を停止する。言い換えると、N3IWFは、セキュリティアソシエーションを削除しないで、UEが到達不可能になることを受け入れる。N3IWFは、タイマを始動してよく、その後、セキュリティアソシエーションを含む、UEについてのすべてのコンテキストが削除される。
【0073】
AMFも同様に、N3GPP接続についてのUEのすべてのコンテキスト情報を保持する。これによりUEは、N3IWFへのWLAN接続の再確立後に、AMFと通信してよい。AMFはまた、(ステップ3の前または後に生じてよい)ステップ4において、PDUセッションのそれぞれを停止する、すなわちデータネットワークから受信したデータをUEに転送しないが、データを記憶して、AMFに中断中のダウンリンクデータについて通知することに関係するユーザプレーン機能に通知する。
【0074】
UEは、ある時点で、基地局によって要求されるRAN/WLANインターワーキングを確立するだろう。このステップは、よく知られているため、番号は付されず、UEが基地局から構成を受信した後であればいつでも生じてよい。
【0075】
図4において横二重線で示されるように、ある時点の後に、RANは、WLANインターワーキングをリリースしてよい。様々な理由により、RAN−WLAN結合がリリースされてよい。その理由は、RANを通じて運ばれるデータ量が減少するか、基地局へのWLAN接続がその品質基準を満たしていないこと、または例えばハンドオーバのためRANへの接続を変更しなければならず、その変更後に利用可能なWLANインターワーキングがないことかもしれない。基地局は、例示的に
図4のステップ5においてWLAN接続のリリースを指示する再構成をUEに送信してよい。
【0076】
ここで、UEおよびN3IWFが記憶するコンテキストによって、停止したところからN3GPP接続を再開することができる。同じWLANが利用可能であり、信号強度が十分である場合、UEは、同じWLANを直接使用してN3IWFおよびAMFとコンタクトをとり、ステップ6aにおいて接続を再開してよい。代替的に、UEは、別のWLANを選択する。UEは、N3IWFおよびAMFとコンタクトをとってステップ6bにおいて接続を再開できるようになる前に、まずIP接続性を取得する必要があるかもしれない。ユーザプレーン機能はPDUセッションのそれぞれの再開についての通知を受ける。そして、データ転送が生じ得る。
【0077】
図5には、代替的アプローチが例示的に図示される。ここでは、
図3の手順が発生し、UEと少なくとも1つのDNとの間で、WLANを介したN3GPP接続を通じてデータ転送が行われると再度仮定している。
【0078】
ステップ1において再度RANは、UEがサポートするように示したWLANインターワーキング技術のうちの1つを使用するように、UEを構成する。
【0079】
再構成を受信したことに応じて、UEは、DNとのデータ転送能力を失わないようにするため、RANを通じたDNへの追加のPDUセッションをセットアップするように要求する。要求は、ステップ2aにおいてN3GPP接続を通じて、またはステップ2bにおいてRANを介して送られてよい。それに続いて、UEは、影響を受けたPDUセッションのリリースを、ステップ3aにおいて、N3GPPを通じて、またはステップ3bにおいてRANを介して要求してよい。
【0080】
ステップ2aと3a、または2bと3bの代わりに、それぞれ、UEは、影響を受けたPDUセッションのアクセス技術をN3GPPからRANへ変更(または、言い換えればN3接続を変更)するように要求してよい。この代替案については、
図5に示されていない。それは、ステップ2と3とを組み合わせて、N3GPPまたはRANを介して送信されるPDUセッション修正要求と呼ばれる新しいステップ2'になるだろう。
【0081】
ネットワークは、その結果、ステップ4においてN3IWFに通知して、セキュリティアソシエーションまたはUEとのIPsecトンネルをリリースしてよい。ネットワークは、N3IWF内でのタイマに基づく、またはキープアライブメッセージに基づくデッドピア検出に頼って、ステップ4をしなくてもよい。
【0082】
ネットワークはまた、ステップ5においてN3GPP接続のリリースによって影響を受けるPDUセッションをリリースしてよい。
【0083】
ステップ6において、要求された代替的なPDUセッションは、UEとデータネットワークとの間にRANを通じてセットアップされる。このステップは、ステップ5(リリースとセットアップとが同時)を含んでよい。またステップ6は、PDUセッション修正を含んでよい。PDUセッション修正において、N3IWFの代わりにRANを介した、UPFからUEへの経路を反映させるために、データネットワークへの既存のPDUセッションが修正される。
【0084】
データ転送は、PDUセッションのセットアップまたは修正が成功した後、UEとDNとの間で継続することができる。RANを通じたデータ転送がWLANを使用するかRAN内のセル方式の技術を使用するかは、RANが決定する。両方の技術の密接な結合は、両方が可能となり、この決定は、本発明の態様ではない。
【0085】
いずれの図にも示されない代替的アプローチとして、
図4および
図5に示される手順の組み合わせがある。UEは、
図5のステップ2a/bに示されるように、RANを介したDNへの新しいPDUセッションのセットアップを要求することを決定してよいが、それでもやはりWLANを介してN3GPPを経由するPDUセッションを再開して、PDUセッションをリリースしないように要求してよい。これにより、一度RANがWLAN接続をリリースすると、UEはN3GPPを介してWLANのオフロードに対して迅速にフォールバックできるようになり、新しく確立したDNとのPDUセッションをカバーするためのリソースを十分に持っていなくてもよい。
【0086】
RANがWLANインターワーキングを要求した結果、UEが新しいPDUセッションのセットアップを要求するかどうかについては、PDUセッションのそれぞれに対するトラフィック負荷に基づいてUEにおいて決定されてよい。
【0087】
PDUセッションを停止して、および/またはN3IWFタイマを緩和して、UEが限られた時間だけ到達できないようにするという全体のアイデアは、RANに基づくWLANインターワーキングの障害に備えるという目的のためだけにも展開されてよい。つまり、UEは、WLANインターワーキング技術を開始する構成をRANから受信し、WLANインターワーキングが動作していない場合に、WLANを介したN3GPP接続をリリースするまで、UEがN3GPP接続を使用することが可能になることだけを「待つ」ように、N3IWFおよび/またはAMFに通知してよい。これは、基地局がUEから提供された古い測定結果または不十分な測定結果に基づいてその決定を下す場合に当てはまるかもしれない。その手順は、
図3および4に関して説明されたものと全く同じに見えるだろう。タイマだけが短く設定され、UPFは、PDUセッションの停止について通知されなくてよい。代わりに、N3IWFだけがUEの短い不在時間を可能とし、その後UEは戻ってセキュリティアソシエーションおよびN3GPPを通じたAMFへの登録を再利用することができる
。
[項目1]
移動体通信システムネットワークを用いてコアネットワークへの接続を確立し、かつ上記移動体通信システムネットワーク以外のネットワークを介して上記コアネットワークへの接続を確立することが可能なユーザ機器(UE)装置と上記コアネットワークとの接続を管理する方法であって、
上記移動体通信システムネットワーク以外のネットワークを介して、上記コアネットワークへの第1の接続の確立を完了する段階と、上記移動体通信システムの基地局から、上記移動体通信システムネットワーク以外のネットワークを介して、上記基地局への第2の接続を確立する要求を受信したことに応答して、上記第1の接続の一時停止を上記コアネットワークに通知する段階と、上記第1の接続を将来再開するために、上記第1の接続のコンテキスト情報を記憶する段階とを備える、方法。
[項目2]
上記UE装置は、上記第1の接続を将来再開するために、上記第1の接続のコンテキスト情報を記憶する間、上記基地局を介して上記コアネットワークと通信する、項目1に記載の方法。
[項目3]
上記基地局からの上記要求は、構成メッセージである、項目1または2に記載の方法。
[項目4]
上記通知する段階は、上記第1の接続を通じて実行される、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
上記通知する段階は、移動体通信接続を通じて実行される、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
[項目6]
上記UE装置は、上記コンテキスト情報としてIPsecコンテキスト情報を記憶する、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
[項目7]
上記第2の接続は、信号レベルの測定結果に基づいて、または上記基地局からの要求に応答して、上記UE装置によって自律的にリリースされてよい、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
上記第1の接続が、上記第2の接続をリリースした後に再確立されることができない場合、上記UE装置は、上記コアネットワークに情報を提供して上記移動体通信システムを介して上記第1の接続をリリースする、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
[項目9]
上記コンテキスト情報は、予め定められた時間記憶され、上記一時停止が上記予め定められた時間を超えた場合に削除される、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
[項目10]
ユーザ機器(UE)装置との接続を管理する移動体通信システムネットワークのコアネットワークのエンティティにおける方法であって、
上記移動体通信システムネットワークは、
上記移動体通信システムネットワークを介して、上記UE装置と上記コアネットワークとの第1の接続を確立する基地局と、
上記移動体通信システムネットワーク以外のネットワークを介して、上記UE装置と上記コアネットワークとの第2の接続を確立するインターワーキング機能と
を備え、
上記方法は、
上記インターワーキング機能を介して、上記UE装置との上記第2の接続を確立する段階と、
上記UE装置からメッセージを受信したことに応答して、上記インターワーキング機能を介した上記第2の接続を一時停止する一方で、上記第1の接続を介して上記UE装置と通信しながら、上記第2の接続の再開を延期する上記第2の接続のコンテキスト情報を記憶する段階とを備える、方法。
[項目11]
上記移動体通信システムネットワークは、
上記インターワーキング機能を介した上記UE装置との上記第2の接続を有する間、上記第2の接続を維持するためのキープアライブメッセージを定期的に送信し、
上記インターワーキング機能を介した上記UE装置との上記第2の接続を停止させている間、上記キープアライブメッセージを送信することをやめる、項目10に記載の方法。
[項目12]
上記コンテキスト情報は、上記第2の接続が再開しないということを示す上記UE装置からのメッセージを受信したことに応答して、削除される、項目11に記載の方法。
[項目13]
上記コンテキスト情報は、上記第2の接続が再開しない場合、予め定められた時間の後に削除される、項目11に記載の方法。