(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
図1以外の図においては、表示領域911を大まかに記載している。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、装飾図柄80(
図2参照)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。本実施形態では、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄80群が変動表示され、それぞれから一の図柄が選択されて停止することで、当否判定結果を示す組み合わせを構築する。
【0015】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(装飾図柄80の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知(装飾図柄80の変動)が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0016】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている上記数値(当否判定情報)であって、当否判定結果を報知する演出が開始(装飾図柄80の変動が開始)されていないものに対応するマークである保留画像70が、表示装置91の表示領域911に表示される。具体的には、当否判定を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留画像70が表示装置91の表示領域911に表示される(
図2参照)。また、既に当否判定結果を報知する演出が開始(装飾図柄80の変動が開始)されているものの、当否判定結果の報知が完了(全ての装飾図柄80の変動が停止)していないもの、いわゆる「当該変動保留」が存在していることを示す当該変動保留画像(図示省略)が表示領域911に表示されるようにしてもよい。これら保留画像70や当該変動保留画像として、対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)が異なる複数種の具体的態様が設定された構成としてもよい。すなわち、いわゆる保留変化演出が発生しうる構成としてもよい。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明で「画像」というときは、静止画と動画の両方を含むものとする。
【0017】
なお、
図2以外の図(可動表示演出を説明するための図)においては、特に必要な場合を除いて装飾図柄80や保留画像70の図示を省略するが、これらは可動表示演出においても表示され続ける。
【0018】
本実施形態にかかる遊技機1では、種々の演出(予告)を含む当否判定結果を報知する一連の報知演出が実行される。当該報知演出の少なくとも一部として可動表示演出が発生しうる。以下、可動表示演出について説明する。
【0019】
可動表示演出は、表示装置91(表示手段)および可動体10を用いた演出である。可動体10は、所定の範囲を移動可能なものあって、少なくとも一部が表示装置91の表示領域911に重なった状態となることが可能なものである。可動体10を動作させる駆動機構の構成はどのようなものであってもよいため説明を省略する。なお、以下の説明における可動体10とは、装飾等の演出効果を発現する部分(本体部分)を指し、当該部分に対して駆動源の動力を伝達するための構造物は含まないものとする。詳細を後述するように、本実施形態における可動体10は、ABCの文字が付された略方形状の部分である。
【0020】
本実施形態における可動体10は、上下方向に沿って変位することが可能なものである。具体的には、表示領域911の上側に位置する原位置(
図1において実線で示す可動体10の位置)と、表示領域911の前方で当該領域全体に重なった状態である演出位置(
図1において点線で示す可動体10の位置)との間を往復動作することが可能なものである。原位置においては、可動体10の一部が表示領域911に重なっていてもよいが、少なくとも当該重なる範囲は、演出位置における重なる範囲よりも小さいものとされる。
【0021】
可動体10(
図1および
図3参照)は、遊技者が視認可能な装飾部11を有する。本実施形態には、可動体10の前面に装飾部11が構築されている。装飾部11の具体的な態様はどのようなものであってもよい。本実施形態における可動体10は、「A」の文字が構築された第一装飾部111、「B」の文字が構築された第二装飾部112、「C」の文字が構築された第三装飾部113を有する。つまり、文字列「ABC」を構築する装飾部11を有する。各装飾部11が有する文字部分は、少なくとも表面が光透過性の材料で形成されており、その後方には光源(図示せず)が設けられている。したがって、当該光源のON/OFFを切り替えることにより、各文字が光った状態(発光状態)と、光っていない状態(非発光状態)を切り替えることができる。つまり、装飾部11が有する各文字は発光部12であって、当該発光部12の発光の有無により、装飾部11はその態様を変化させることができるものであるということができる。なお、各図においては、非発光状態にある装飾部11は斜線を付したものとし、発光状態にある装飾部11は当該斜線が付されていないものとしている。また、発光部12の発光状態と非発光状態の切り替えは、文字列を構成する各文字(各発光部12)について行うことができる。つまり、例えば「A」(第一装飾部111)が発光状態にあり、「B」(第二装飾部112)および「C」(第三装飾部113)が非発光状態にある、といった態様(
図3(b)参照)となりうるものである。
【0022】
可動表示演出は第一段階、第二段階、第三段階の順で推移していくものである。なお、これらの段階は演出を大まかに区分けしたものであって、各段階の演出態様は毎回同じではない。以下、
図4〜
図7を参照して可動表示演出について詳細に説明する。
【0023】
まず、原位置に位置していた可動体10が演出位置に移動する(
図4(a)(b)参照)。これにより、可動体10と表示領域911の重なる範囲が大きくなる。本実施形態では、可動体10の全体が表示領域911に重なる(
図4(b)参照)。以下、表示領域911において演出位置に位置した可動体10が重なる部分を特定領域911a(
図4(c)参照)と称する。可動体10が演出位置に位置するときには、当該特定領域911aは可動体10に覆われた状態にある(第一段階)。
【0024】
第一段階となった後、演出位置に位置した可動体10が再び原位置に戻る。これにより、可動体10と表示領域911の重なる範囲が小さくなる。また、演出位置に位置する可動体10に覆われていた表示領域911の特定領域911aが露出する。かかる露出した特定領域911aの少なくとも一部に演出画像20を表示する(第二段階)(
図4(c)参照)。演出画像20は、可動体10の少なくとも一部を模したものである。具体的には、可動体10の装飾部11を模したものである。上述したように、本実施形態における可動体10の装飾部11は「ABC」の文字列を含むものであるところ、演出画像20は当該文字列「ABC」を模した装飾画像部21を含む。「A」の文字画像を第一装飾画像部211と、「B」の文字画像を第二装飾画像部212と、「C」の文字画像を第三装飾画像とする。なお、ここでいう「模した」とは、遊技者が同一視できる程度に(各装飾部11と装飾画像部21の対応関係が認識できる程度に)似通っていればよい。本実施形態における装飾部11は文字を表したものであるから、装飾画像部21は対応する文字と同じ文字であればよい。装飾部11とそれに対応する装飾画像部21とで色や書体等の違いは許容するものとする。
【0025】
第二段階にて演出画像20が含む文字列「ABC」(装飾画像部21)が表示される位置は、第一段階において演出位置に位置していた可動体10の装飾部11の文字列「ABC」が重なっていた領域であることが好ましい。換言すれば、可動体10が演出位置に位置した状態で演出画像20を表示したと仮定した場合、可動体10の文字列「ABC」と演出画像20の文字列「ABC」が前後方向に略重なるようにするということである。さらにいえば、第一装飾部111と第一装飾画像部211が、第二装飾部112と第二装飾画像部212が、第三装飾部113と第三装飾画像部213が略重なるようにするということである。このようにすることで、原位置に移動した可動体10の文字列「ABC」が、そのまま画像として残ったかのような演出態様となる。なお、上記「重なる」とは、わずかなずれもなくぴったりと重なるという意味ではない。可動体10の文字列「ABC」が画像として残ったかのような作用が奏される程度のずれは許容されるものとする。
【0026】
第二段階の後、特定領域911aに表示された装飾画像部21が可動体10の方向に移動するような表示がなされる。当該時点で可動体10は原位置に位置しているのであるから、原位置に位置する可動体10の方向(本実施形態では上方)に向かって装飾画像部21が移動する。このような表示がなされた後、装飾部11の態様が変化するか否かが示される(第三段階)。具体的には以下の通りである。
【0027】
原位置に戻った可動体10の第一装飾部111〜第三装飾部113の発光部12は全て非発光状態にある。この可動体10に対し、まず、第一装飾画像部211(文字Aの画像)が原位置に位置する可動体10の第一装飾部111に向かって移動する(
図5(d)参照)。原位置において可動体10を小刻みに揺らす等してもよい。当該画像が可動体10近傍の所定位置まで到達したときに、非発光状態にある第一装飾部111が発光状態となるか否かの演出(第一分岐)が行われる。第一装飾部111が発光状態となる場合(第一分岐をクリアした場合)には、当該発光状態となった瞬間、第一装飾画像部211が消去される(
図5(e)参照)。これにより、あたかも第一装飾画像部211が可動体10に吸い込まれることにより、第一装飾部111が発光状態となったかのようにみえる。第一装飾部111が発光状態とならない(非発光状態が維持される)場合にはそこで可動表示演出は終了する(
図5(f)参照)。
【0028】
第一装飾部111が発光状態となった場合には、第二装飾画像部212(文字Bの画像)が原位置に位置する可動体10の第二装飾部112に向かって移動する(
図6(g)参照)。当該画像が可動体10近傍の所定位置まで到達したときに、非発光状態にある第二装飾部112が発光状態となるか否かの演出(第二分岐)が行われる。第二装飾部112が発光状態となる場合(第二分岐をクリアした場合)には、当該発光状態となった瞬間、第二装飾画像部212が消去される(
図6(h)参照)。これにより、あたかも第二装飾画像部212が可動体10に吸い込まれることにより、第二装飾部112が発光状態となったかのようにみえる。第二装飾部112が発光状態とならない(非発光状態が維持される)場合にはそこで可動表示演出は終了する(
図6(i)参照)。
【0029】
第二装飾部112が発光状態となった場合には、第三装飾画像部213(文字Cの画像)が原位置に位置する可動体10の第三装飾部113に向かって移動する(
図7(j)参照)。当該画像が可動体10近傍の所定位置まで到達したときに、非発光状態にある第三装飾部113が発光状態となるか否かの演出(第三分岐)が行われる。第三装飾部113が発光状態となる場合(第三分岐をクリアした場合)には、当該発光状態となった瞬間、第三装飾画像部213が消去される(
図7(k)参照)。これにより、あたかも第三装飾画像部213が可動体10に吸い込まれることにより、第三装飾部113が発光状態となったかのようにみえる。第三装飾部113が発光状態とならない(非発光状態が維持される)場合にはそこで可動表示演出は終了する(
図7(l)参照)。
【0030】
可動体10が有する全ての装飾部11(第一装飾部111〜第三装飾部113)が発光状態となった場合(第三分岐をクリアした場合)には、その後遊技者に有利な事象が発生する。本実施形態では、いわゆるリーチ状態の成立が確定する(
図7(m)参照)。なお、当該「遊技者に有利な事象」はどのようなものであってもよい。例えば、全ての装飾部11が発光状態となった場合には、対象の当否判定結果が大当たりとなることが確定するものとしてもよい。
【0031】
また、本実施形態のように全ての装飾部11が発光状態となるか否か、という演出ではなく、複数の発光部12のうちのいくつが発光状態となるか否か、という演出としてもよい。例えば、発光状態となった装飾部11の数(態様が変化した装飾部11の数)の多少により、遊技者に有利な状況(リーチ状態の成立、大当たり当選等、種々のものが考えられる)となる蓋然性が示唆されるようにしてもよい。より具体的には、発光状態となった装飾部11の数(態様が変化した装飾部11の数)が多いほど、遊技者に有利な状況となる蓋然性が高くなるようにすることが考えられる(
図8参照)。
【0032】
このような演出とする場合、途中である装飾部11が発光状態とならなかったときにはそのまま演出が終了するような構成としてもよいし、途中である装飾部11が発光状態とならなかったときであっても演出が継続するような構成としてもよい。つまり、複数の装飾部11について順に態様の変化が発生するか否かが示されるという設定において、態様の変化が発生しないということを演出の終了条件としてもよい(本実施形態と同様に複数の分岐があり、各分岐をクリアすると演出が継続する構成としてもよい)し、全ての装飾部11について態様の変化が発生するか否かが示されて最後の装飾部11について態様の変化が発生するか否かが示されることを演出の終了条件としてもよい。後者のような設定とする場合には、図示しないが、例えば第一装飾部111と第三装飾部113について態様が変化するといった結果が生じうるということになる。また、後者のような設定とする場合には、複数の装飾画像部21を一つずつ順に可動体10の方向に移動させた上で、対応する装飾部11の態様が変化するか否かを示す構成としなくてもよい。例えば、複数の装飾画像部21の全てを一度に可動体10の方向に移動させた上で、複数の装飾部11のうちのいずれが態様変化するかということを一度に示すような構成としてもよい。
【0033】
このように、本実施形態にかかる遊技機1の可動表示演出は、少なくとも一部が表示領域911に重なるように位置していた可動体10(演出位置に位置する可動体10)が移動し、それにより露出した表示領域911の一部分(特定領域911a)に可動体10の少なくとも一部を模した演出画像20が表示されるというものである。つまり、可動体10が移動したにも拘わらず、移動する前に可動体10が位置していた部分に可動体10を模した画像が表示されるものであるから、可動体10が二つに分かれるかのような面白みのある演出であるといえる。
【0034】
また、演出画像20は、可動体10の装飾部11の少なくとも一部を模したものであるから、可動体10が移動した後も、その場に可動体10が残存したかのような印象を高めることが可能である。
【0035】
また、装飾画像部21は、第一段階において演出位置に位置していた可動体10の装飾部11が重なっていた領域に表示されるから、可動体10が移動した後も、その場に可動体10が残存したかのような印象をさらに高めることが可能である。
【0036】
そして、可動表示演出は、装飾画像部21が原位置に位置する可動体10の方向に移動した上で、可動体10の装飾部11の態様が変化するか否かの第三段階の演出を含む。つまり、装飾画像部21によって可動体10の装飾部11の態様が変化したかのような面白みのある演出を実行することが可能である。
【0037】
第三段階の演出における装飾部11の態様の変化は、発光部12の発光の有無によるもの(装飾部11の外形は変わらないもの)であるため、装飾画像部21が可動体10(装飾部11)に吸い込まれて装飾部11の態様が変化したかのような印象とすることが可能となる。
【0038】
また、本実施形態における可動体10は複数の装飾部11を有し、当該複数の装飾部11のそれぞれに対応する複数の装飾画像部21が表示される。第三段階の演出は、各装飾画像部21が可動体10の方向に移動した上で、対応する装飾部11の態様が変化するか否かを示すというものである。このように、装飾部11を複数設けることにより、可動表示演出(第三段階の演出)の趣向性をさらに向上させることが可能である。
【0039】
また、本実施形態における装飾部11は「文字」を表した部分を含むから、装飾画像部21との対応関係が分かりやすい。つまり、可動表示演出が分かりやすいものとなる。
【0040】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0041】
○第一具体例
上記実施形態における可動表示演出は、第一段階、第二段階、第三段階の順で推移していくものであることを説明したが、必ずこれらすべての段階の演出が実行されるものとしなくてもよい。例えば、第一段階および第二段階に相当する演出から構成される(第三段階の演出が実行されない)ものとしてもよい。つまり、可動体10が演出位置から原位置に移動した上で、それにより露出した特定領域911aに演出画像20(装飾画像部21)が表示されるという一連の演出としてもよい。また、第二段階および第三段階に相当する演出から構成される(第一段階の演出が実行されない)ものとしてもよい。つまり、可動体10が原位置に位置した状態で表示領域911に演出画像20(装飾画像部21)に相当する画像が表示された上で、演出画像20が可動体10の方向に向かって移動して、可動体10の装飾部11の態様が変化するか否かの演出が実行されるという一連の演出としてもよい。
【0042】
○第二具体例
上記実施形態では、可動体10の装飾部11(第一装飾部111〜第三装飾部113)の態様の変化は、発光部12の発光の有無により実現していることを説明したが、遊技者の視点で変化が把握可能なものであれば、当該変化はどのようなものであってもよい。例えば、装飾部11が発光色を変化させることが可能な発光部12を有するものとし、当該発光色の変化を装飾部11の態様の変化としてもよい。また、装飾部11自体が駆動源によって形状を変化させることが可能なものとし、当該形状の変化を態様の変化としてもよい。また、可動する表示装置(メインの表示装置91とは異なる表示装置)を可動体10とし、当該表示装置に表示される画像を装飾部11とした上で、当該装飾部11となる画像の変化を装飾部11の態様の変化としてもよい。
【0043】
○第三具体例
上記実施形態では、可動体10は複数の装飾部11を有し、演出画像20は複数の装飾部11のそれぞれに対応する複数の装飾画像部21を含み、第三段階の演出は一の装飾画像部21が可動体10の方向に移動してそれに対応する装飾部11の態様の変化が発生するか否かが、各装飾部11(各装飾画像部21)について順次行われていくことがあるものであることを説明したが、装飾部11および装飾画像部21は一つのみであってもよい。つまり、第三段階の演出は、一の装飾画像部21が可動体10の方向に移動し、可動体10が有する一の装飾部11の態様の変化が発生するか否か示されるというものであってもよい。例えば、上記実施形態と同様の構成の可動体10において、文字列ABCの全てを含む部分を一の装飾部11とし、文字列ABCの全てを含む特定領域911aに表示される画像を一の装飾画像部21とみなして、このような第三段階の演出が実行されるようにしてもよい。つまり、文字列ABCを含む演出画像20の全体を可動体10の方向に移動させた上で、可動体10が有する文字列ABCの態様が変化するか否かという演出としてもよい(
図9参照)。
【0044】
また、図示しないが、複数の装飾部11のうちの二以上の装飾部11について、態様が変化するか否かが一度に示される演出としてもよい。例えば、文字Aと文字Bを含む画像を可動体10の方向に移動させた上で、可動体10が有する文字Aと文字Bの態様が変化するか否かという演出が発生しうるものとする。
【0045】
○第四具体例
特定領域911aに表示される演出画像20(装飾画像部21)は、その都度(可動表示演出の発生の度に)変化しうる設定としてもよい。つまり、第二段階の演出において(
図4(c)に示す時点において)特定領域911aに表示されうる演出画像20として複数種の態様が設定された構成としてもよい。例えば、色が異なる複数種の演出画像20が設定された構成とすることが考えられる。
【0046】
かかる構成とする場合、第二段階の演出において表示される演出画像20の種類が、第三段階の演出の結果を示唆するものとすることが考えられる。つまり、第三段階の演出は、第三分岐をクリアすることでその後遊技者に有利な事象(上記実施形態ではリーチ状態の成立)が発生することとなる設定としているところ、第二段階にて示される演出画像20の種類が当該第三段階の演出をクリアする(成功結末となる)蓋然性を示唆するものとする。このようにすることで、演出の趣向性をさらに向上させることが可能である。
【0047】
○第五具体例
第二段階の演出では、演出画像20としてABCの全ての文字を含む画像、すなわち第一装飾画像部211〜第三装飾画像部213の全てを含む画像が特定領域911aに表示されることを説明したが、一部の装飾画像部21が表示されないことがある設定としてもよい。例えば、第一段階の演出終了後、第一段階の演出開始時点にて、演出画像20としてBCの文字を含む画像が表示されたり(
図10(特に
図10(c))参照)、演出画像20としてCの文字を含む画像が表示されたり(図示省略)することがある設定とする。
【0048】
第三段階の演出は、第一分岐〜第三分岐をクリアすることが成功に至る条件として設定されているところ、第二段階の演出にて表示される演出画像20の文字の数(装飾画像部21の数)が少なければ、その分分岐が減るものとする。つまり、第二段階の演出にて表示される演出画像20の文字の数(装飾画像部21の数)が少ないほど、第三段階の演出にてクリアしなければならない分岐の数が減るため、第三段階の演出が成功に至る蓋然性が高まるものとする。例えば、演出画像20としてBCの文字を含む画像が表示される場合(
図10に示されるケース)には、第一分岐に相当する分岐が存在しない分、第三段階の演出が成功に至る蓋然性が高まる。演出画像20としてCの文字を含む画像が表示される場合(図示省略)には、第一分岐および第二分岐に相当する分岐が存在しない分、第三段階の演出が成功に至る蓋然性がさらに高まる。なお、本例とは逆に、第二段階の演出にて表示される演出画像20の文字の数(装飾画像部21の数)が少ないほど、第三段階の演出をクリアする蓋然性が低くなるような設定とすることを否定するわけではない。
【0049】
本例のような構成とする場合において、演出画像20として一部の文字(一部の装飾画像部21)が表示されないときには、その文字に対応する装飾部11が第二段階の演出当初から発光状態にある(最初から態様変化している)ようにすればよい(
図10(c)参照)。このようにすれば、第二段階の当初の演出画像20の状態がどのようなものであっても、全ての装飾部11が発光状態に遷移することが第三段階の演出(可動表示演出)の成功結末となるということに変わりはないものとなる(可動表示演出の結末の成否の共通性は保たれる)。
【0050】
○第六具体例
上記実施形態における可動表示演出の第三段階は、第一装飾部111、第二装飾部112、第三装飾部113の順で態様が変化するか否かが示されることを説明したが、当該順が変化することがあってもよい。当該順は、演出が成功に至る蓋然性を示唆するものとしてもよい。
【0051】
○第七具体例
上記実施形態では、原位置に位置する可動体10を演出位置に移動させることが第一段階の演出であることを説明したがこれはあくまで一例である。例えば、原位置において既に表示領域911と装飾部11が前後方向で重なった状態にある可動体10を用いるのであれば、可動体10を移動させなくても(原位置のままであっても)装飾部11と表示領域911とが重なっているのであるから、既に第一段階の準備はできているということになる。つまり、実質的には第一段階の演出は何も行わなくてもよいということであって、可動表示演出が実行される際には、原位置から当該可動体10を別の位置に移動させることで特定領域911aを露出させ、当該特定領域911aに演出画像20を表示する第二段階に移ればよいということになる。
【0052】
○第八具体例
上記実施形態の可動表示演出は、第二段階において特定領域911aに可動体10の装飾部11少なくとも一部を模した演出画像20が表示されることを説明したが、当該演出画像20としては種々の態様のものが考えられる。演出画像20は、可動体10を構成する要素を表したものであればよい。例えば、可動体10の外形を描いたような画像が演出画像20として表示されるようにしてもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0054】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、可動体および表示装置を備える遊技機であれば、その他の遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。例えば、回動式遊技機(スロットマシン)等にも同様の技術思想が適用可能である。
【0055】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0056】
・手段1
表示手段と、
所定の範囲を移動可能な部材であって、少なくとも一部が前記表示手段の表示領域に重なることが可能な可動体と、
前記可動体の少なくとも一部が前記表示領域に重なった第一段階と、当該第一段階の後、当該可動体が移動することにより露出した当該表示領域の一部分に当該可動体の少なくとも一部を模した演出画像を表示する第二段階を含む可動表示演出を制御する演出制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機の可動表示演出は、少なくとも一部が表示領域に重なるように位置していた可動体が移動し、それにより露出した表示領域の一部分に可動体の少なくとも一部を模した演出画像が表示されるというものである。つまり、可動体が移動したにも拘わらず、移動する前に可動体が位置していた部分に可動体を模した画像が表示されるものであるから、可動体が二つに分かれるかのような面白みのある演出であるといえる。
【0057】
・手段2
前記可動体は、装飾部を有し、
前記演出画像は、前記装飾部の少なくとも一部を模した装飾画像部を含むことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このように、演出画像を可動体の装飾部の少なくとも一部を模したものとすれば、可動体が移動した後も、その場に可動体が残存したかのような印象を高めることが可能である。
【0058】
・手段3
前記第二段階にて表示される前記装飾画像部は、前記第一段階にて前記装飾部が前記表示領域に重なる領域に表示されることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
このように、装飾画像部が、第一段階において演出位置に位置していた可動体の装飾部が重なっていた領域に表示されるようにすれば、可動体が移動した後も、その場に可動体が残存したかのような印象をさらに高めることが可能である。
【0059】
・手段4
前記装飾部は、その態様を変化させることが可能なものであり、
前記可動表示演出は、前記第二段階の後、前記装飾画像部が前記可動体の方向に移動した上で、前記装飾部の態様が変化するか否かを示す第三段階を含むことを特徴とする手段2または手段3に記載の遊技機。
このように、可動表示演出が、装飾画像部が原位置に位置する可動体の方向に移動した上で、可動体の装飾部の態様が変化するか否かの第三段階を含むものとすれば、装飾画像部によって可動体の装飾部の態様が変化したかのような面白みのある演出とすることが可能である。
【0060】
・手段5
前記装飾部は、発光部を有し、当該発光部の発光の有無によりその態様を変化させるものであることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
このように、第三段階における装飾部の態様の変化は、発光部の発光の有無によるもの(装飾部の外形は変わらないもの)とすれば、装飾画像部が可動体(装飾部)に吸い込まれて装飾部の態様が変化したかのような印象とすることが可能となる。
【0061】
・手段6
前記可動体は、複数の前記装飾部を有し、
前記演出画像は、複数の前記装飾部のそれぞれを模した複数の前記装飾画像部を含み、
前記第三段階は、複数の前記装飾画像部が一つずつ前記可動体の方向に移動した上で、対応する前記装飾部の態様が変化するか否かを示すものであって、複数の前記装飾部の全ての態様が変化することが遊技者に有利な事象として設定されていることを特徴とする手段4または手段5に記載の遊技機。
このように、第三段階の演出を、複数の装飾画像部が一つずつ可動体の方向に移動した上で、対応する装飾部の態様が変化するか否かを示すというものとすれば、可動表示演出(第三段階の演出)の趣向性をさらに向上させることが可能である。
【0062】
・手段7
前記可動体は、複数の前記装飾部を有し、
前記演出画像は、複数の前記装飾部のそれぞれを模した複数の前記装飾画像部を含み、
前記第三段階は、複数の前記装飾画像部が前記可動体の方向に移動した上で、対応する前記装飾部の態様が変化するか否かを示すものであって、複数の前記装飾部のうち、態様が変化したものの数により遊技者に有利な状況となる蓋然性が示唆されることを特徴とする手段4または手段5に記載の遊技機。
このように、態様変化が生じた装飾部の数により遊技者に有利な状況となる蓋然性が示唆されるものとすることも可能である。
【0063】
・手段8
前記装飾部は、文字を表した部分を含むことを特徴とする手段2から手段8のいずれかに記載の遊技機。
このように、装飾部を「文字」を表した部分を含むものとすれば、装飾画像部との対応関係が分かりやすくなる。つまり、可動表示演出が分かりやすいものとなる。