(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記薬液供給装置において、上記のように、例えばアンモニア過水溶液やフッ酸過水溶液の原液を純水等の希釈液で所定の濃度に希釈して供給しているが、その希釈率は原薬液1に対して希釈液100〜90(比率1:100〜90)というように、少量の原薬液と大量の希釈液とを混合させることになる。この少量の原薬液と大量の希釈液とを混合させる希釈工程を迅速且つ高精度で実施するためには、原薬液を高精度且つ迅速に計量する必要がある。
【0005】
通常このような薬液供給装置においては、薬液希釈工程を簡単に行うために、液面センサを具備する希釈タンクを設け、該希釈タンク内に投入される少量の原薬液と大量の希釈液をその液面レベルの変化で計測している。しかしこの方法だと、希釈率が大きい、即ち原薬液量が少ない場合、原薬液をタンク内に投入してもその液面レベル変化は小さく、原薬液量を迅速且つ高精度で測定できないという問題がある。
【0006】
また、他の方法としては、純水等の希釈液を大量に希釈タンク内に投入し、その投入量を希釈液の液面レベルの変化で測定し、この大量の希釈液量に対して所定の濃度になるように少量の原薬液を別途設けた計量計で測定し、該測定した原薬液をタンク内に投入する方法がある。しかしこの方法では、原薬液を測定するために別途計量計を必要とする上、該計量計を本薬液供給装置内に設置した場合、薬液供給装置の運転による振動が計量計に伝搬し、高精度の計量を行うことが困難になるという問題がある。
【0007】
更に上記問題に対処する方法として、上記特許文献1に開示された液混合装置がある。この液混合装置は
図1に示すように、内径寸法βの大きい上部タンク111と、該上部タンク111に連通する内径寸法αの小さい(β>α)下部タンク115とから構成される調合タンク110を備えている。原液バルブ122が開かれ、スラリーの原液が原液管路141から合流管路144を通って下部タンク115内に流下し、下部タンク115内の液面レベルが次第に上昇する。そしてその液面レベルが予め設定されたレベルに達すると、液面レベルセンサ160がこの液面を検出し、原液バルブ122が閉じられスラリー原液の供給が停止する。
【0008】
続いて、純水バルブ131を開くことで、純水が純水管路142及び合流部143を通って合流管路144に導かれ、下部タンク115内で、先に溜められたスラリー原液と混合攪拌されスラリー溶液(スラリー原液が純水により希釈された液)は下部タンク115内に溜まり、その液面が上昇して、やがて下部タンク115から溢れ出て、上部タンク111へと流れ込む。そして、上部タンク111内の液面が液面レベルセンサ170で検出されると、純水バルブ131が閉じられて純水の供給が停止されることにより、所望の濃度(希釈率)に希釈されたスラリー溶液が得られる。
【0009】
上記特許文献1に開示された液混合装置では、下部タンク115の内径寸法αは、上部タンク111の内径寸法βより小さくなっているため、少ない量のスラリー原液でもその液面変位が大きくなり液量を高精度で計量することができる。また、純水で希釈されたスラリー溶液は多量であるため、内径寸法βが大きい上部タンク111でも精度良く計量できる。そのため、スラリー溶液の濃度を、目的とする濃度に精度よく調整できるというものである。
【0010】
上記スラリー原液を純水で希釈する液混合装置においては、希釈されるスラリー原液量に対する希釈する純水量の比は、1:10〜1:20である。これに対して、本発明に係る薬液供給装置においては、希釈される原薬液量に対して純水等の希釈液量は大きく、原薬液1に対して希釈液が100〜90(比率1:100〜1:90)というように、原薬液量が極端に小さく、上記特許文献1に開示された液混合装置の構成を採用することが極めて困難となる。即ち、小さい薬液量を高精度で測定するためには下部タンク115の内部寸法αを小さくする必要があるため、下部タンク115の上下方向の寸法が必然的に大きくなってしまい、装置の小型化に支障となる。また、下部タンク115の内径寸法αが小さく上下方向に長くなることから、下部タンク115内で計測された原薬液とその上部から供給される希釈液の効果的な混合が期待できないという問題がある。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、希釈する希釈液量に対して希釈される原薬液量が極端に小さい場合に、少量の原薬液量を高精度で且つ迅速に測定でき、且つこの測定した少量の原薬液を希釈液で迅速且つ高精度に所定の濃度に希釈でき、希釈された薬液を所定の使用場所にスムーズに供給できる薬液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明は、
バッファータンクと、計量タンクと、希釈タンクと
、供給タンクとを備え、
原薬液を前記バッファータンク内へ一旦移送収容しその液面レベルが所定位置に達したら該バッファータンクから前記計量タンク内に前記原薬液を移送し、該計量タンク内での原薬液の液面レベルが所定
レベルとなったら
当該計量タンク内の原薬液量を基準原薬液量として計量すると共に、該基準原薬液量を
前記希釈タンク内に収容し、該希釈タンク内に希釈液を供給して原薬液を希釈して希釈薬液とし、
該希釈タンク内の希釈薬液を前記供給タンク内に収容し、該供給タンクから該希釈薬液を1又は複数の使用場所に供給するように構成し
、前記希釈タンクで一度に希釈する前記原薬液量は、前記計量タンクでの前記基準原薬液量の計量回数で設定し、前記基準原薬液量の計量毎に該計量した基準原薬液を前記希釈タンクに収容し、該希釈タンク内での希釈薬液の液面レベルが所定設定レベルになったら希釈終了とし、さらに前記原薬液及び/又は前記希釈薬液と接触する接液部に洗浄液を供給する洗浄液供給手段の配管と、該接液部に付着する液体に圧力気体を吹き付け該液体をパージするパージ手段の配管とを、前記バッファータンク内へ前記原薬液を移送する配管に接続し、前記原薬液の希釈運転終了又は該原薬液の希釈運転開始に際して、バッファータンク、計量タンク、希釈タンク、供給タンク、及びこれらを接続する配管の原薬液や希釈薬液が接触する接液部に前記洗浄液供給手段によって洗浄液を供給して洗浄し、さらに前記パージ手段によって圧力気体を供給して洗浄部に残る液滴をパージすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、計量タンクは上下方向に長尺な筒状体であり、その横断面積は少量の基準原薬液量を原薬液の液面レベルで高精度に測定できるように充分小さくしているので、少量の基準原薬液量を高精度且つ迅速に計量できる。また、高精度に計量した基準原薬液量を希釈タンクに収容し、該希釈タンク内に希釈液を供給して希釈薬液とし、その希釈液量を液面レベルで計量するので、CMP等の希釈薬液を使用する場所に高精度に希釈した希釈薬液をスムーズに供給することが可能となる。
【0022】
また本発明は、原薬液をバッファータンク内に移送すると共に、該バッファータンクの液面レベルが所定の液面レベルに達したら計量タンク内にも移送できるようにしており、基準原薬液量の計量をバッファータンクへの移送を介さず実現できるので、基準原薬液量の計量を迅速にできる。
【0023】
また本発明は、希釈タンクで一度に希釈する原薬液量を、計量タンクでの基準原薬液量の計量回数で設定するので、設定した回数だけ基準原薬液量の原薬液を希釈タンクに収容した後、希釈タンク内での液面レベルが所定レベルになるまで希釈液を供給するだけで、所定の希釈率での原薬液の希釈が終了することになり、希釈処理が迅速且つ容易となる。
【0024】
また本発明は、供給タンクを備え、希釈タンク内の希釈薬液を供給タンク内に収容するようにしたので、希釈薬液の使用場所への供給量の変動を考慮して、供給タンクの容量を設定することにより、希釈薬液の使用場所への需要に応じたスムーズな供給が可能となる。
【0025】
また本発明は、計量タンク内から希釈タンク内への基準原薬液量の収容は原薬液の自重により行うので、計量タンク内から希釈タンク内への基準原薬液量の移送を安定して実施できる。
【0026】
また本発明は、薬液供給装置の原薬液及び/又は希釈薬液と接触する接液部に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、該接液部に付着する液体に圧力気体を吹き付け該液体をパージするパージ手段を備えているので、薬液供給装置の運転停止時に、接液部に残る原薬液や希釈薬液を容易に除去できると共に、パージ手段で圧力気体を吹き付けることにより残る洗浄液も容易に除去できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図2は本発明に係る薬液供給装置の薬液希釈部の概略構成を示す図である。
図2に示すように、薬液供給装置の薬液希釈部1は、バッファータンク11、計量タンク12、希釈タンク13、及び供給タンク14を備えている。
【0031】
バッファータンク11は原薬液を貯留するタンクであり、その底部が漏斗状(逆円錐状)で、上部が平坦に構成された円筒状タンクである。計量タンク12は希釈タンク13内に供給される原薬液量を計量するタンクであり、上部は逆漏斗状(円錐状)で下部が漏斗状(逆円錐状)に形成された円筒状のタンクである。希釈タンク13は、内部に収容(導入)された原薬液を純水等の希釈液で希釈するタンクであり、底部が漏斗状(逆円錐状)で、上部が平坦に形成された円筒状タンクである。供給タンク14は希釈タンク13で所定濃度(所定希釈率)に希釈された希釈薬液を収容し、CMP装置等の希釈薬液使用場所に供給するためのタンクである。
【0032】
バッファータンク11には、原薬液供給部(図示せず)から供給される原薬液(例えばアンモニア過水溶液(NH
4OH)等の原薬液)がその底部漏斗状部内に配管16を通して供給されるようになっている。配管16には原薬液供給用のバルブV
11、純水(DIW)等の洗浄液供給用のバルブV
12、パージ圧力空気等のパージ圧力気体供給用のバルブV
13が接続されている。
【0033】
また、バッファータンク11にはタンク内部に収容された原薬液の液面レベルを検出する液面レベルセンサLS
1、LS
2、LS
3、LS
4が設けられている。液面レベルセンサLS
1は、後述する洗浄工程で液(原薬液や洗浄液)が無くなったことを確認するためのセンサであり、液面レベルセンサLS
2、LS
3、LS
4はタンク内の異なる液面レベルを検出するように、バッファータンク11の側壁に沿って上下方向の所定位置に設置されている。また、バッファータンク11の下端には該タンク内の原薬液を排出するための配管17が接続され、該配管17にはバルブV
14が接続され、その下端は計量タンク12の下部内に開口している。なお、各液面レベルセンサLS
1、LS
2、LS
3、LS
4としては、ここでは非接触で液面を検出できる静電センサを使用している。
【0034】
バルブ開閉信号SV
11によりバルブV
11を開くと、上記原薬液供給部から原薬液が配管16を通って、バッファータンク11内に供給(導入)される。バッファータンク11内に原薬液が流入し、原薬液の液面レベルが上昇し、それを液面レベルセンサLS
1、LS
2が順に原薬液面を検出し、更に液面レベルセンサLS
3が薬液面を検出したら、バルブV
11を閉じて原薬液の供給を止めるようになっている。また、なんらかの原因で液面レベルが更に上昇し、液面レベルセンサLS
4が液面を検出したら、液面レベルが所定の満液レベルを超えている旨を警報する警報信号を発するようになっている。
【0035】
上記のように、バッファータンク11内に原薬液が流入し、原薬液の液面レベルが上昇し、その液面が液面レベルセンサLS
3の検出位置に達したら、バルブV
11を閉じて原薬液の供給を停止する。計量タンク12内への原薬液の供給は、上記のようにバッファータンク11内の原薬液面が液面レベルセンサLS
3の検出位置に達したらバルブV
14を開くことにより行う。これにより計量タンク12内に原薬液が流入し、その液面レベルが上昇し、液面レベルセンサLS
12が原薬液面を検出する。なお、上記例では、計量タンク12内への原薬液の供給は、液面レベルセンサLS
3の検出位置に達したら行っているが、液面が液面レベルセンサLS
3の検出位置に達する前の所定の液面位置に達したら、バルブV
14を開いて行ってもよい。また、計量タンク12の下端はバルブV
15を備えた配管18に接続され、該配管18の下端は希釈タンク13内に開口している。
【0036】
上記計量タンク12の液面レベルセンサLS
12が原薬液の液面を検出したら、バルブV
14を閉じて計量タンク12内に原薬液が流入するのを停止する。続いてバルブ開閉信号SV
15により、バルブV
15を開くことにより、計量タンク12の原薬液はその自重により配管18を通って希釈タンク13内に流下する。そして計量タンク12の原薬液面が降下し、液面レベルセンサLS
11が原薬液が無くなったことを検出(確認)したらバルブV
15を閉じる。これにより、計量タンク12の下端から液面レベルセンサLS
12までの間の容積と同量の原薬液が、基準原薬液量として希釈タンク13内に流下する。
【0037】
次に希釈タンク13内に純水(DIW)等の希釈液を供給して原薬液を希釈するのであるが、その希釈率(原薬液量:希釈液量)は後述するように、上記計量タンク12で計量された基準原薬液量の計量回数で設定されるようになっているから、原薬液の希釈率によっては、計量タンク12から希釈タンク13に流下させた基準原薬液量の流下回数は、1回又は複数回に設定される。そして計量タンク12での基準原薬液量の計量毎に、バルブV
15を開いて、計量した基準原薬液を流下させる。そして基準原薬液の流下回数が設定された回数に達したらバルブV
15を閉じて、原薬液の希釈タンク13内への流下を停止する。
【0038】
なお、バッファータンク11内の原薬液が排出され、その液面が液面レベルセンサLS
2の液面検出位置まで低下した場合は、バルブV
11を開き、バッファータンク11内に原薬液を供給(導入)し、液面レベルセンサLS
3が原薬液の液面レベルを検出するまで原薬液を導入する。よって通常の運転中においては、バッファータンク11内の原薬液量は、その液面が液面レベルセンサLS
2とLS
3の液面検出位置の間に位置するように保たれている。
【0039】
計量タンク12内に供給(導入)される原薬液量を高精度で計量できるようにするために、ここでは計量タンク12内の原薬液量の変化が小さくとも原薬液面レベルの変位が大きくなるように、計量タンク12の内径寸法αを希釈タンク13の内径寸法βより、大幅に小さく(α≪β)している。ここではα=1/2インチ、β=6インチとしている。液面レベルセンサLS
11は計量タンク12内に原薬液が無いことを確認(検出)するセンサで、液面レベルセンサLS
12、LS
13は液面位置を検出するセンサであり、それぞれ非接触型センサを使用している。ここでは発光部と受光部を備えたファイバーセンサを使用している。
【0040】
通常の運転中では、液面レベルセンサLS
12が原薬液面を検出した後、バルブ開閉信号SV
15によりバルブV
15を開くことにより、計量タンク12内の原薬液面が降下し、液面レベルセンサLS
11が計量タンク12内に原薬液が残っていないことを確認(検出)するまで、計量タンク12内の原薬液を希釈タンク13に流下させる。これにより1回の基準原薬液量の計量と、その希釈タンク13への供給を行う。そして1回の基準原薬液量の計量が終了するのと同時にバルブV
15を閉じる。なお、液面レベルセンサLS
11、LS
12、LS
13は、上記バッファータンク11の液面レベルセンサLS
1、LS
2、LS
3、LS
4と同様、静電センサとしてもよい。
【0041】
希釈タンク13は、計量タンク12で計量された1回又は複数回の基準原薬液量の原薬液を収容し、更に外部から純水(DIW)等の希釈液を導入(供給)して、原薬液を所定の希釈率で希釈するためのタンクである。該希釈タンク13にはタンク内に希釈液が残っていないことを確認(検出)する液面レベルセンサLS
21と、タンク内に希釈液面を検出するための液面レベルセンサLS
22、LS
23、LS
24が該希釈タンク13の側壁に沿って上下方向の所定の位置に設置されている。各液面レベルセンサLS
21、LS
22、LS
23、LS
24としては、ここでは非接触で液面を検出できる静電センサを使用している。また、希釈タンク13にはその内部に純水等の希釈液を供給するため、希釈液供給バルブV
16を備えた配管19が配置され、その下部吐出口は希釈タンク13内に開口している。また、希釈タンク13の下端には排出バルブV
17を備えた希釈薬液排出用の配管20の一端が接続され、その他端吐出口は供給タンク14内に開口している。
【0042】
希釈タンク13内に配管19を通して純水(DIW)等の希釈液が所定量供給される(液面レベルセンサLS
23が液面を検出する)と、希釈液供給バルブV
16を閉じる。この希釈タンク13内への計量タンク12からの基準原薬液量の導入(供給)と希釈液の導入(供給)は同時に行われる。但し、基準原薬液量の導入回数が複数回の場合は、液面レベルセンサLS
22が液面を検出した時点で希釈液の導入を停止し、残りの導入回数の基準原薬液を導入(供給)した後、液面レベルセンサLS
23が液面を検出するまで、希釈液を導入する。そしてこの希釈された希釈薬液は、バルブ開閉信号SV
17によりバルブV
17を開くことにより、その自重により供給タンク14内に流下(導入)する。この希釈薬液の流下は液面レベルセンサLS
21が希釈タンク13内に希釈薬が残っていないことを確認(検出)するまで続け、希釈薬液が残っていないことを確認したら、排出バルブV
17を閉じる。なお、液面レベルセンサLS
24が液面を検出したら、希釈薬液が希釈タンク13から溢れるおそれがあるとの警報を発する。
【0043】
供給タンク14には、内部の希釈薬液量を監視するための液面レベルセンサLS
31、LS
32、LS
33、LS
34、LS
35が上下方向のそれぞれ異なる位置に配置されている。供給タンク14内に収容された希釈薬液は薬液供給用の配管21により、本薬液供給装置外に送出され、CMP等の希釈薬液使用場所に供給されると共に、希釈薬液使用場所に供給されなかった、即ち使用されなかった希釈薬液は薬液戻り用の配管22を通って供給タンク14に戻される。つまり使用されない希釈薬液は配管22を通って供給タンク14に戻され、循環することになる。このように使用されない希釈薬液を循環させることにより、希釈薬液は滞留することなく、希釈薬液の品質を一定の安定した状態に維持できる。
【0044】
上記構成の薬液希釈部1において、本薬液供給装置からの要求信号(バルブ開閉信号)SV
11により、原薬液供給用のバルブV
11を開き、原薬液供給部の例えばキャニスタより、アンモニア過水溶液(NH
4OH)等の原薬液Q
1をバッファータンク11内に液面レベルセンサLS
3が原液面を検出するまで導入(供給)すると共に、液面レベルセンサLS
3が原液面を検出したらバルブV
11を閉じる。また、この状態で上記のようにバルブ開閉信号SV
14によりバルブV
14を開き計量タンク12に原薬液を導入する。なお、計量タンク12への原薬液の供給は、上述したように液面レベルセンサLS
3の検出位置に達する前の所定の液面位置に達したら、バルブV
14を開いて行ってもよい。
【0045】
ここで計量タンク12の原薬液の液面レベルが上昇し、その液面レベルセンサLS
12が液面を検出するとバルブV
14を閉じ、計量タンク12への原薬液の供給を停止すると共に、バルブV
15を開き、計量タンク12の原薬液を希釈タンク13内に流下させる。計量タンク12で計量される基準原液量ΔQ
1は、計量タンク12の下端から液面レベルセンサLS
12との間の容積となる。計量タンク12の内径寸法αと下端から液面レベルセンサLS
12との間の寸法は既知であるから、該容積は予め容易に算出できる。また、内径寸法αが希釈タンク13の内径寸法βより大幅に小さく(α≪β)なっていることから、基準原液量ΔQ
1が小さくとも計量タンク12の液面変化は大きくなるから、上記基準原液量ΔQ
1も容易に、且つ精度よく測定(計量)できる。
【0046】
希釈タンク13内に投入する原薬液量は上記基準原液量ΔQ
1を基準とし、希釈率に応じて該基準原液量ΔQ
1を希釈タンク13内に流下させる回数(基準原液量ΔQ
1の計量回数)で設定し、該設定回数だけ基準原液量ΔQ
1を希釈タンク13内に収容した後、純水(DIW)等の希釈液Q
0を希釈タンク13の液面レベルが所定の位置になるまで導入して、希釈タンク13内の原薬液を希釈する。
【0047】
具体的には、基準原液量ΔQ
1の導入回数が1回の場合は、バルブ開閉信号SV
15によりバルブV
15を開くことにより、希釈タンク13に1回の基準原液量ΔQ
1を導入と同時に、本薬液供給装置からのバルブ開閉信号SV
16によりバルブV
16を開くことにより、純水(DIW)等の希釈液Q
0を液面レベルセンサLS
22が液面を検出するまで導入し、続いて液面レベルセンサLS
23が液面を検出するまで導入する。これにより基準原液量ΔQ
1の導入回数が1回の希釈は完了し、バルブ開閉信号SV
17によりバルブV
17を開くことにより、該希釈が完了した希釈タンク13内の希釈薬液は供給タンク14内に流下する。
【0048】
また、基準原液量ΔQ
1の導入回数が複数のn回の場合は、希釈タンク13に1回の基準原液量ΔQ
1を導入と同時に、本薬液供給装置からのバルブ開閉信号SV
16によりバルブV
16を開くことにより、希釈液Q
0を液面レベルセンサLS
22が液面を検知するまで導入する。そして上記と同じ手順でn−1回の基準原液量ΔQ
1の計量を行い、各計量毎に計量した基準原液量ΔQ
1を希釈タンク13内に導入し、基準原液量ΔQ
1×(n−1)の原薬液が希釈タンク13に導入されたらバルブV
16を開き、純水(DIW)等の希釈液Q
0を液面レベルセンサLS
23が液面を検出するまで導入する。これにより、基準原液量ΔQ
1の導入回数が複数のn回の原薬液の希釈は完了する。
【0049】
ここで、全基準原液量ΣQ
1に対する全希釈液量ΣQ
0の比(希釈率)をηとすると、η=ΣQ
1:ΣQ
0となり、ΣQ
1=(ΔQ
1×n)、ΣQ
0=ΔV
13−(ΔQ
1×n)であるから、
η=(ΔQ
1×n):(ΔV
13−(ΔQ
1×n))
となる。但し、ΔV
13は希釈タンク13の下端から液面レベルセンサLS
23との間の容積量である。希釈が完了した希釈薬液はバルブ開閉信号SV
17によりバルブV
17を開くことにより、供給タンク14内に流下する。
【0050】
なお、上記例では、希釈タンク13内で原薬液を希釈して希釈薬液とする希釈工程を複数回行い、この希釈工程毎に得られた希釈薬液を供給タンク14に流下させて、供給タンク14から、CMP装置等の希釈薬液使用場所に供給する例を示している。
【0051】
上記薬液供給装置において、バッファータンク11、計量タンク12、希釈タンク13、供給タンク14の頂部内には排気管HEX
1、HEX
2、HEX
3、HEX
4の一端が開口されており、他端は排気ダクトHEX
5内に開口している。これにより、薬液のミストを排気ダクトHEX
5内に集め、本薬液供給装置で取り扱うアンモニア過水溶液のミストのように、一般環境に拡散して害を与える薬液を無害になるように処理する専用の設備に送るようにしている。なお、上記薬液供給装置においては、アンモニア過水溶液を取り扱う例を示したが、取り扱う薬液はこれに限定されるものではなく、例えばフッ酸過水溶液等の、飛散して環境に害を及ぼす薬液を取り扱う場合も有効である。
【0052】
図3は供給タンク14から下流側の本薬液供給装置の薬液供給部の概略構成を示す図である。図示するように、本薬液供給装置の薬液供給部は供給タンク14内の希釈薬液を本薬液供給装置外に配置されているCMP装置等の希釈薬液使用場所に供給するための配管21と、希釈薬液使用場所に供給されなかった希釈薬液を供給タンク14に戻すための配管22と、ドレン用の配管23を備えている。配管21には供給タンク14内の希釈薬液を該配管21に供給するためのバルブV
20と、希釈薬液を加圧するための加圧ポンプP、フィルタF、流量計M、及び開閉用のバルブV
21が直列に接続されている。また、供給タンク14の底部にはバルブV
24を介しドレン用の配管23が接続されている。また、25は本薬液供給装置の底部に配置されたドレンパンであり、該ドレンパン25にもドレン用の配管24が接続されている。
【0053】
バルブV
20を開くことにより、供給タンク14から排出された希釈薬液は配管21を通って加圧ポンプPに送られ、該加圧ポンプPで所定の圧力に加圧され、フィルタF、流量計M及びバルブV
21を通って分岐用のバルブV
23に送られ、該分岐用のバルブV
23で分岐して希釈薬液使用場所に供給されると共に、分岐されなかった薬液はバルブV
23を通って配管22に送られ、供給タンク14に戻る。つまり希釈薬液使用場所に供給されない希釈薬液は配管22を通って供給タンク14に戻り、循環するようになっている。また、配管21のポンプPより上流側には、純水(DIW)等の洗浄液を供給するためのバルブV
25とパージ用加圧空気等の加圧気体を供給するためのバルブV
26とが接続されている。更に、ドレン用の配管23、24にもそれぞれドレン排出用のバルブV
27、V
28が接続されている。
【0054】
上記構成の本薬液供給装置において、薬液希釈部のバッファータンク11には、
図2に示すように、配管16を介して、純水等の洗浄液供給用のバルブV
12やパージ圧力空気供給用のバルブV
13が接続されている。原薬液の希釈運転の終了又は原薬液の希釈運転開始に際して、バッファータンク11、計量タンク12、希釈タンク13、供給タンク14、配管16、17、18、19、20等の原薬液や希釈薬液が接触する接液部に洗浄液供給用のバルブV
12を通して、洗浄液を供給して洗浄すると共に、洗浄後にバルブV
13を開き、パージ圧力空気等の圧力気体を供給して洗浄部に残る液滴をパージする。
【0055】
また、バッファータンク11、計量タンク12、希釈タンク13のそれぞれの底部は、漏斗状(逆円錐状)となっていると、これらの洗浄及び液滴のパージ工程を通して、接液部に残る液滴等は効果的にパージされることが期待できる。しかしながら、これらのタンクにパイプを使用する場合、タンクであるパイプとバルブを直接接続するため底部を平坦とすることが多い。従って、底部を漏斗状に加工することは、必要に応じて実施する。