特許第6984880号(P6984880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984880
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】鉄筋曲げ装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 7/024 20060101AFI20211213BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B21D7/024 S
   B25J13/00 Z
   B21D7/024 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-223747(P2017-223747)
(22)【出願日】2017年11月21日
(65)【公開番号】特開2019-93405(P2019-93405A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223056
【氏名又は名称】東陽建設工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(72)【発明者】
【氏名】宮原 章
(72)【発明者】
【氏名】大野 貢生
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−172623(JP,A)
【文献】 特開2014−000646(JP,A)
【文献】 特表2007−508144(JP,A)
【文献】 特開平03−035820(JP,A)
【文献】 特開2008−036676(JP,A)
【文献】 特開2016−159331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 7/024
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋を曲げ加工するために、支点部と、その支点部周りに回動して鉄筋を屈曲させる力点部とを設けた鉄筋曲げ機を設け、
前記鉄筋曲げ機に対して遠近移動及び上下左右に搖動操作自在なアームと、そのアームの先端側で鉄筋をクランプ操作自在なクランプ部とを設けたロボットアーム装置を一対設け、
前記鉄筋曲げ機に対して鉄筋を、前記一対のロボットアーム装置における一方の前記クランプ部と他方の前記クランプ部とによってクランプして供給する鉄筋供給操作制御と、
前記鉄筋曲げ機に供給した鉄筋の先端側曲げ予定箇所とは異なる基端側固定個所を、少なくとも一つの前記クランプ部によってクランプしたまま前記鉄筋曲げ機による曲げ作動を行う鉄筋曲げ操作制御と、
前記クランプ部によってクランプしている鉄筋を、前記鉄筋曲げ機から取り出す鉄筋取り出し操作制御とを行う第1制御手段を設け、
前記鉄筋曲げ操作制御において、鉄筋をその軸心回りに所定角度回動させるのに、一方の前記クランプ部と他方の前記クランプ部で鉄筋をクランプしながら、回動操作時に一方のクランプ部で回動操作すると同時に、他方のクランプ部の挟持圧を一方のクランプ部よりも小にするか、又は、他方のクランプ部を非挟持状態にして鉄筋のその軸心回りの回動を許容するように制御する第1鉄筋回動操作制御を、前記第1制御手段に設けてある鉄筋曲げ装置。
【請求項2】
前記鉄筋曲げ操作制御において、前記第1鉄筋回動操作制御によって鉄筋を曲げ操作した後に、鉄筋を更にその軸心回りに所定角度回動させるのに、
鉄筋の基端側を一方の前記クランプ部でクランプしたまま、他方の前記クランプ部で曲げた先端側を掴みかえて、回動操作時に他方の前記クランプ部で回動操作すると同時に、一方の前記クランプ部の挟持圧を他方の前記クランプ部よりも小にするか、又は、一方の前記クランプ部を非挟持状態にして鉄筋のその軸心回りの回動を許容するように制御する第2鉄筋回動操作制御を前記第1制御手段に設けてある請求項1に記載の鉄筋曲げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋曲げ装置では、3次元構造に曲げ加工するのは困難で、人の手で鉄筋を持ちながら、その鉄筋の軸心回りに回動操作して3次元構造に曲げ操作することが行われている(適当な文献が見当たらない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、人手による3次元構造に曲げ加工するには危険が伴うと共に、手間が多くかかるばかりか、加工精度が安定しにくいという問題があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、手間が少なく、人を介さなくては作業ができなかった装置でも、無人で鉄筋加工が行え、且つ、安全で高精度に曲げ加工できるようにする鉄筋曲げ装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、鉄筋を曲げ加工するために、支点部と、その支点部周りに回動して鉄筋を屈曲させる力点部とを設けた鉄筋曲げ機を設け、前記鉄筋曲げ機に対して遠近移動及び上下左右に搖動操作自在なアームと、そのアームの先端側で鉄筋をクランプ操作自在なクランプ部とを設けたロボットアーム装置を一対設け、前記鉄筋曲げ機に対して鉄筋を、前記一対のロボットアーム装置における一方の前記クランプ部と他方の前記クランプ部とによってクランプして供給する鉄筋供給操作制御と、前記鉄筋曲げ機に供給した鉄筋の先端側曲げ予定箇所とは異なる基端側固定個所を、少なくとも一つの前記クランプ部によってクランプしたまま前記鉄筋曲げ機による曲げ作動を行う鉄筋曲げ操作制御と、前記クランプ部によってクランプしている鉄筋を、前記鉄筋曲げ機から取り出す鉄筋取り出し操作制御とを行う第1制御手段を設け、前記鉄筋曲げ操作制御において、鉄筋をその軸心回りに所定角度回動させるのに、一方の前記クランプ部と他方の前記クランプ部で鉄筋をクランプしながら、回動操作時に一方のクランプ部で回動操作すると同時に、他方のクランプ部の挟持圧を一方のクランプ部よりも小にするか、又は、他方のクランプ部を非挟持状態にして鉄筋のその軸心回りの回動を許容するように制御する第1鉄筋回動操作制御を、前記第1制御手段に設けたところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、鉄筋曲げ機に対して、一対のロボットアーム装置によって、鉄筋供給操作制御と鉄筋曲げ操作制御と鉄筋取り出し操作制御とを行う第1制御手段を設けることにより、人手の代わりにロボットアーム装置によって、安全で且つ手間少なく鉄筋を複雑な形状に曲げ加工できる。
その上、前記鉄筋曲げ操作制御において、鉄筋をその軸心回りに所定角度回動させるのに、一方の前記クランプ部と他方の前記クランプ部で鉄筋をクランプしながら、回動操作時に一方のクランプ部で回動操作すると同時に、他方のクランプ部の挟持圧を一方のクランプ部よりも小にするか、又は、他方のクランプ部を非挟持状態にして鉄筋のその軸心回りの回動を許容するように制御する第1鉄筋回動操作制御を、前記第1制御手段に設けたことにより、鉄筋を3次元構造に曲げ加工できる。
つまり、第1鉄筋回動操作制御を設けることで、鉄筋は一対のクランプ部によって鉄筋を安定支持しながら鉄筋をその軸心回りに回動操作を行うことが出来、その鉄筋が軸心回りに回動操作されることで、鉄筋の曲げ加工された部分の先端側の向きが自在に変更されて、3次元形状に曲げ加工できる。
従って、鉄筋曲げ機と一対のロボットアーム装置によって、人手操作で行う曲げ加工に比べて、高精度な製品を安定して提出できる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記鉄筋曲げ操作制御において、前記第1鉄筋回動操作制御によって鉄筋を曲げ操作した後に、鉄筋を更にその軸心回りに所定角度回動させるのに、鉄筋の基端側を一方の前記クランプ部でクランプしたまま、他方の前記クランプ部で曲げた先端側を掴みかえて、回動操作時に他方の前記クランプ部で回動操作すると同時に、一方の前記クランプ部の挟持圧を他方の前記クランプ部よりも小にするか、又は、一方の前記クランプ部を非挟持状態にして鉄筋のその軸心回りの回動を許容するように制御する第2鉄筋回動操作制御を第1制御手段に設けたところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、第2鉄筋回動操作制御によって、前記第1鉄筋回動操作制御で鉄筋を曲げ操作した後に、鉄筋の基端側を一方の前記クランプ部でクランプしたまま、他方の前記クランプ部で曲げた先端側を掴みかえて、鉄筋を更にその軸心回りに所定角度回動させることにより、より複雑な3次元形状に曲げ加工できる。
従って、人手による曲げ加工に比べてより複雑な形状の曲げ加工を、安定して安全に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】鉄筋曲げ装置の全体平面図である。
図2】ロボットアーム装置の斜視図である。
図3】クランプ部の斜視図で、(a)非クランプ状態、(b)はクランプ状態を示す。
図4】一対のクランプ部と曲げ機との関係を表す作用説明斜視図で、(a)は第1段階の曲げ加工前を示し、(b)は曲げ加工後を示す。
図5】一対のクランプ部と鉄筋の関係を表す斜視図で、一方のクランプ部で鉄筋をその軸心回りに回し、引き続いて鉄筋を曲げ機に押し込む操作を示す。
図6】一対のクランプ部と鉄筋の関係を表す斜視図で、一方のクランプ部と他方のクランプ部とのクランプする箇所を入れ替える操作を示す。
図7】一対のクランプ部と鉄筋の関係を表す斜視図で、クランプ箇所を変更した後に、一方のクランプ部で鉄筋をその軸心回りに回転させて3次元形状に曲げ加工する操作を示す。
図8】一対のクランプ部と鉄筋の関係を表す斜視図である。
図9】曲げ加工後の鉄筋の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1図2に示すように、鉄筋を曲げ加工するために、上下方向に軸心を沿わせてある支点ローラーから成る支点部1と、その支点部1周りに回動して鉄筋を屈曲させる回動ローラーから成る力点部2とを設けた鉄筋横曲げ用の鉄筋曲げ機3を設け、その鉄筋曲げ機3に対して、遠近移動及び上下左右に搖動操作自在なアーム4と、そのアーム4の先端側で鉄筋をクランプ操作自在なクランプ部5とを設けたロボットアーム装置6を、横方向に一対並べて設け、鉄筋曲げ機3に対して複数本の鉄筋を、個別に順次提供できるように搬送する鉄筋搬送装置7を設けて、鉄筋曲げ装置を構成してある。
尚、鉄筋曲げ操作においては、支点部1と力点部2との間に鉄筋を配置して支点部1周りの力点部2の回動操作で鉄筋を曲げるのであるが、鉄筋曲げ時の反力を受ける反力受部8を鉄筋曲げ機3には設けてある。従って、鉄筋を鉄筋曲げ機3に供給する際には、支点部1と反力受部8との間に鉄筋を供給配置する。
【0011】
一対のロボットアーム装置6には、図1図5に示すように、一対のロボットアーム装置6における一方のクランプ部5R(5)と他方のクランプ部5L(5)とによってクランプして鉄筋搬送装置7から鉄筋Fを取り出して、鉄筋曲げ機3の支点部1と力点部2との間に供給する鉄筋供給操作制御と、鉄筋曲げ機3に供給した鉄筋Fの先端側曲げ予定箇所とは異なる基端側固定個所を、少なくとも一つのクランプ部5によってクランプしたまま鉄筋曲げ機3による曲げ作動を行う鉄筋曲げ操作制御と(図4)、クランプ部5によってクランプしている鉄筋Fを、鉄筋曲げ機3から取り出す鉄筋取り出し操作制御とを行う第1制御手段を設け、鉄筋曲げ操作制御において、鉄筋Fを3次元形状に曲げ加工する場合、鉄筋Fをその軸心回りに所定角度回動させるのに、一方のクランプ部5Rと他方のクランプ部5Lで鉄筋Fをクランプしながら、図5に示すように、回動操作時に一方のクランプ部5Rで回動操作すると同時に、他方のクランプ部5Lの挟持圧を一方のクランプ部5Rよりも小にするか、又は、他方のクランプ部5Lを非挟持状態にして鉄筋Fのその軸心回りの回動を許容するように制御する第1鉄筋回動操作制御を、第1制御手段に設けてある(図5)。
【0012】
つまり、鉄筋Fの先端側を力点部2の回動操作で曲げ加工する第1曲げ工程の後、鉄筋Fの基端側を、先端側の曲げ加工部分を含む第1仮想面とは異なる第2仮想面上に、曲げ加工して3次元形状に曲げ加工するのに、クランプ部5で挟持して支持している基端側の鉄筋部分を、その軸心回りに回動させ、前述の第1鉄筋回動操作制御を行う。
【0013】
更に図6図8に示すように、前記鉄筋曲げ操作制御において、前記第1鉄筋回動操作制御によって鉄筋Fを曲げ操作した後に、鉄筋Fを更にその軸心回りに所定角度回動させるのに、鉄筋Fの基端側を他方の前記クランプ部5Lでクランプすると共に、一方の前記クランプ部5Rで曲げた先端側を掴みかえて(図6図7図8)、回動操作時に一方の前記クランプ部5Rで回動操作すると同時に、他方の前記クランプ部5Lの挟持圧を一方の前記クランプ部5Rよりも小にするか、又は、他方の前記クランプ部5Lを非挟持状態にして鉄筋Fのその軸心回りの回動を許容するように制御する第2鉄筋回動操作制御を前記第1制御手段に設け、結果として、例えば、図9に示すような3次元形状に鉄筋Fを曲げ加工できるように構成してある。
【0014】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 前記一対のロボットアーム装置6の夫々のクランプ部5R、5Lで鉄筋を軸心回りに回動させたり、持ち替えたりする操作制御は、上記の曲げ加工形状の例に限らず、加工予定の3次元形状によって種々様々に変更して実施しても良い。
【符号の説明】
【0015】
1 支点部
2 力点部
3 鉄筋曲げ機
4 アーム
5 クランプ部
6 ロボットアーム装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9