特許第6984885号(P6984885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984885
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】警備システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 29/14 20060101AFI20211213BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20211213BHJP
   G08B 13/19 20060101ALI20211213BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20211213BHJP
   G01V 8/10 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G08B29/14
   G08B25/00 510E
   G08B13/19
   G01J1/42 B
   G01V8/10 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-3823(P2018-3823)
(22)【出願日】2018年1月12日
(65)【公開番号】特開2019-125059(P2019-125059A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591165252
【氏名又は名称】キング通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 利真
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−222788(JP,A)
【文献】 特開2004−303031(JP,A)
【文献】 特開平02−077995(JP,A)
【文献】 特開2010−066791(JP,A)
【文献】 特開2000−298777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J1/42
G01V8/10
G08B13/00−15/02
19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備対象領域に人が存在する場合、前記人が発する赤外線を検知し、前記赤外線の検知を示す検知信号を出力する受動型の赤外線センサと、
警備開始モード及び警備解除モードのうちの1つを、設定されるモード設定部と、
前記検知信号に基づき、イベントを検知し、前記イベントの検知を示すイベント検知信号を出力するイベント検知部と、
前記モード設定部が前記警備解除モードを設定される場合の所定期間において、前記イベント検知部が前記イベント検知信号を出力しないと、前記赤外線センサの故障を示す故障検知信号を出力する故障検知部と、
前記モード設定部が前記警備開始モードを設定される場合、前記イベント検知部を選択し、前記イベント検知部が前記イベント検知信号を出力すると、1つのチャンネルを用い前記イベント検知信号を出力し、前記モード設定部が前記警備解除モードを設定される場合、前記故障検知部を選択し、前記故障検知部が前記故障検知信号を出力すると、前記1つのチャンネルを用い前記故障検知信号を出力する選択部と、
を備えることを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記1つのチャンネルを用いて前記選択部から出力される、前記イベント検知信号または前記故障検知信号の一方を区別して出力する通報部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の警備システム。
【請求項3】
前記赤外線センサと通信する警備装置をさらに備え、
前記警備装置が、前記モード設定部、前記イベント検知部、前記故障検知部、及び、前記選択部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の警備システム。
【請求項4】
前記イベント検知部は、前記警備対象領域に前記人が存在することを示す前記イベントを検知する
ことを特徴とする請求項3に記載の警備システム。
【請求項5】
前記赤外線センサと通信する警備装置をさらに備え、
前記赤外線センサが、前記イベント検知部、前記故障検知部、及び前記選択部を備え、
前記警備装置が、前記モード設定部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の警備システム。
【請求項6】
前記イベント検知部は、複数の閾値を備え、前記検知信号と前記複数の閾値とを比較することにより、前記警備対象領域に前記人が存在すること、前記赤外線センサのノイズが増加すること、または、前記赤外線センサの筐体がマスクされることを示す前記イベントを検知する
ことを特徴とする請求項5に記載の警備システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動型の赤外線センサを用いて、警備対象領域の監視・警備を行う警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器を利用した監視警備業務の分野では、電子技術の高性能化や使用機器の小型化に伴い、受動型の赤外線センサを用いた警備システムが広く採用されている。この警備システムは、人が発する赤外線を受動型の赤外線センサを利用して感知し、警備対象領域における赤外線の変化を検出して、警備対象領域内への人の侵入を検知する。
【0003】
したがって、このような警備システムでは、赤外線センサの前に障害物が置かれた場合や、赤外線センサの筐体に覆いが被せられた場合は、警備対象領域への侵入者が的確に検知されない。また、赤外線センサの機器自体が故障した場合も、赤外線の変化が検知されないので、侵入者が検知されない。
【0004】
このような事態を防止すべく、特許文献1に示すような先行技術が開示されている。同文献に示された警備システムは、予め定められた時刻毎に、または、侵入者が所定の時間以上検出されないときに、システムの動作状態を自動的に警備モードから自己診断モードに切り替えて、赤外線センサが正常に動作しているかの自己診断を行う。
【0005】
係る自己診断の方法は、赤外線センサの筐体を機械的に振動させ、赤外線センサに入力する赤外線を強制的に変化させて、その変化を検知することにより、赤外線センサに覆いが被せられた場合や、赤外線センサの機器自体の故障を検出する。
【0006】
【特許文献1】特開2003−214948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、係る特許文献に開示された技術では、警備モードが自己診断モードに切り替わると、警備モードが解除されて警備動作が中断されるため、自己診断モード中に警備対象領域への人の侵入があっても、警報が出ないので、失報の危険性がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、赤外線センサの自己診断を行っても失報しない警備システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点による警備システムは、上記の課題を解決するために、警備対象領域に人が存在する場合、前記人が発する赤外線を検知し、前記赤外線の検知を示す検知信号を出力する受動型の赤外線センサと、警備開始モード及び警備解除モードのうちの1つを設定されるモード設定部と、前記検知信号に基づき、イベントを検知し、前記イベントの検知を示すイベント検知信号を出力するイベント検知部と、前記モード設定部が前記警備解除モードを設定される場合の所定期間において、前記イベント検知部が前記イベント検知信号を出力しないと、前記赤外線センサの故障を示す故障検知信号を出力する故障検知部と、前記モード設定部が前記警備開始モードを設定される場合、前記イベント検知部を選択し、前記イベント検知部が前記イベント検知信号を出力すると、1つのチャンネルを用い前記イベント検知信号を出力し、前記モード設定部が前記警備解除モードを設定される場合、前記故障検知部を選択し、前記故障検知部が前記故障検知信号を出力すると、前記1つのチャンネルを用い前記故障検知信号を出力する選択部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2の観点による警備システムは、上記第1の観点において、前記1つのチャンネルを用いて前記選択部から出力される、前記イベント検知信号または前記故障検知信号の一方を区別して出力する通報部、をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第3の観点による警備システムは、上記第1の観点において、前記赤外線センサと通信する警備装置をさらに備え、前記警備装置が前記モード設定部、前記イベント検知部、前記故障検知部、及び前記選択部を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第4の観点による警備システムは、上記第3の観点において、前記イベント検知部は、前記警備対象領域に前記人が存在することを示す前記イベントを検知することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第5の観点による警備システムは、上記第1の観点において、前記赤外線センサと通信する警備装置をさらに備え、前記赤外線センサが、前記イベント検知部、前記故障検知部、及び前記選択部を備え、前記警備装置が、前記モード設定部を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第6の観点による警備システムは、上記第5の観点において、前記イベント検知部は複数の閾値を備え、前記検知信号と前記複数の閾値とを比較することにより、前記警備対象領域に前記人が存在すること、前記赤外線センサのノイズが増加すること、または、前記赤外線センサの筐体がマスクされることを示す前記イベントを検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、赤外線センサの自己診断が行われることによる失報は無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の複数の実施例について、図面を参照して説明する。
【0019】
[1]実施例1
図1は、実施例1の警備システムの要部ブロック図である。実施例1の警備システムは、受動型の赤外線センサ11〜14、これらの赤外線センサと通信する警備装置20、警備装置20を遠隔操作できる第二操作部30、及び、警備装置20とインターネットや公衆通信網などを介して通信する外部警備装置40を備えている。
【0020】
警備装置20は、主に、検知信号受付部21、イベント検知部22、第一操作部23、モード設定部24、故障検知部25、選択部26、通報部27、及び、表示部28を備えている。なお、警備装置20は、電源回路や、各種通信のためのインターフェイス回路などを備えているが、これらの回路は、本発明の骨子に関連しないため省略する。
【0021】
赤外線センサ11〜14は、警備対象の建物の内部において所定の部屋の天井または天井付近の所定場所に設置される。また、警備装置20は、建物内の警備室などに設置され、外部警備装置40は、警備対象の建物外部の設備、例えば、警備会社の警備センタに設置される。ここで、赤外線センサ11〜14によって警備対象領域の監視・警備が行われている状態を「警備開始モード」と称し、警備対象領域の監視・警備が解除されている状態を「警備解除モード」と称する。
【0022】
なお、実施例1の赤外線センサの数は、図1の事例に限定されず、実際の実施態様に応じて任意の数を取り得る。また、以下の説明では、説明の簡略化を図るため、赤外線センサ11にのみ着目する。
【0023】
赤外線センサ11は、強誘電体セラミックス素子などの検知素子を利用する受動型の赤外線センサであり、警備対象領域内に人が存在する場合、人が発する赤外線を検知して、人からの赤外線の検知を示す検知信号を警備装置20に出力する。警備装置20において、検知信号受付部21は、赤外線センサ11と警備装置20とのインターフェイスを行う部位であり、赤外線センサ11からの検知信号を受け付ける。
【0024】
イベント検知部22は、係る検知信号に基づき、赤外線センサ11及び警備対象領域の状況変化(以下、「イベント」と称する。)を検知して、このようなイベントの検知を表す4桁の数字コードのイベント検知信号を後続の部位に出力する。
【0025】
すなわち、赤外線センサ11に、図3(E)に示すように、警備対象領域に人が存在することを検知するため、アナログ信号の検知信号に対する閾値Vt3が予め設定されている。赤外線センサ11が赤外線を検知し、検知信号の波高値が閾値Vt3よりも高い場合、図3(A)に示すように、赤外線センサ11はON/OFFのデジタル信号を検知信号として警備装置20に出力する。
【0026】
なお、デジタル信号を赤外線センサ11が警備装置20に出力する場合、赤外線センサ11と警備装置20との間の絶縁のため、ON/OFFの無電圧接点信号が用いられても良いし、フォトカプラによるオープンコレクタ信号が用いられても良い。
【0027】
イベント検知部22は、赤外線センサ11からの検知信号によって、同センサの警備対象領域に人が居るというイベント(以下、「人イベント」と称する。)を検知し、人イベント検知信号を故障検知部25及び選択部26に出力する。人イベントを検知した場合の人イベント検知信号は、4桁の数字コード“1101”である。この数字コードの上位2桁の“11”は、赤外線センサ11のセンサ機器識別番号を表し、下位2桁の“01”は人イベントの検知を表している。
【0028】
第一操作部23は、警備装置20に設けられている。一方、第二操作部30は、警備装置20と別の装置、例えば、建物の玄関に設けられる入退室管理装置(図示せず)に併設される。第一操作部23及び第二操作部30の各々から、当該建物の利用者または警備員により、警備開始モード及び警備解除モードのうちの一つのモードが設定される。
【0029】
モード設定部24が警備開始モードを設定されると、赤外線センサ11の警備対象領域において監視・警備が開始し、かつ、故障検知部25は動作が停止する。警備開始モードでは、選択部26は、イベント検知部22からの出力を選択し、イベント検知部22が前述のイベント検知信号を出力すると、そのイベント検知信号を選択して後続の部位に出力する。
【0030】
警備開始モード時においては、警備対象領域に人が存在しないことが前提となる。したがって、警備開始モード時に、警備対象領域で人が検知される場合、検知される人は侵入者である可能性が高い。よって、人イベント検知信号が、選択部26及び通報部27を介して、外部警備装置40へ出力する。つまり、通報部27は、人イベント検知信号に基づき、外部警備装置40に、警備対象領域への侵入の通報を行う。
【0031】
一方、モード設定部24に警備解除モードが設定されていると、赤外線センサ11の警備対象領域における監視・警備が解除され、かつ、故障検知部25が動作を開始する。故障検知部25は、所定の期間内においてイベント検知部22が人イベント検知信号を出力しない場合は、赤外線センサ11の故障を検知して、赤外線センサ11の故障を示す故障検知信号を選択部26へ出力する。
【0032】
具体的には、故障検知部25は、所定周期のパルス列のタイムパルスをカウントするカウンタを内蔵している。このカウンタは、モード設定部24が警備解除モードに設定されることにより、セットされ、0からカウントを開始し、イベント検知部22からの人イベント検知信号により、リセットされ、再び0からカウントを開始する。そのカウントによるカウント値が予め設定された閾値(所定の時間長を表す)に達すると、故障検知信号を選択部26に出力する。
【0033】
このとき、選択部26は、故障検知部25を選択しているので、故障検知部25からの故障検知信号を選択して通報部27に出力する。つまり、警備解除モード時においては、通常、警備対象領域に人が存在することが前提となる。したがって、警備解除モード時にも関わらず所定時間に亘って人イベントが検知されない場合、赤外線センサ11の故障の可能性が考えられる。それ故、通報部27は、故障検知信号に基づき、外部警備装置40に、赤外線センサ11の故障の通報を行う。
【0034】
ここで、赤外線センサ11の故障は、赤外線センサ11における機器本来の動作不全、赤外線センサ11の筐体が不審者によってマスクされること、または、赤外線センサ11の前に障害物が置かれることを含む。
【0035】
このように、通報部27は、1つのチャンネルを用いて、人イベント検知信号または故障検知信号を区別して外部警備装置40に出力する。表示部28は、警備装置20に設けられ、複数のLED(図示せず)を様々な方法で駆動することによって、人イベント検知信号または故障検知信号が識別されるように表示する。
【0036】
具体的には、通報部27は、警備開始モード時において、イベント検知部22が人イベント検知信号を出力した場合は、前述の4桁の数字コード“1101”を外部警備装置40へ通報する。これと同時に、表示部28は、例えば、赤外線センサ11に関連するLEDを点灯させる。
【0037】
また、通報部27は、警備解除モード時において、所定期間内にイベント検知部22が人イベント検知信号を出力しなかった場合、4桁の数字コード“1100”を外部警備装置40へ通報する。この場合、“1100”の上位2桁の“11”が赤外線センサ11の機器識別番号を表し、下位2桁の“00”が同センサの故障の検知を表している。これと同時に、表示部28は、例えば、赤外線センサ11に関連するLEDを点滅させる。
【0038】
なお、1つの警備対象領域が、1つの赤外線センサ11を割り当てられず、2つの赤外線センサ11及び12を割り当てられても良い。その場合、赤外線センサ11が検知信号を出力する時とほぼ同時に、または、赤外線センサ11が検知信号を出力する時から一定時間内にシーケンシャルに、赤外線センサ12も検知信号を出力する。この場合、イベント検知部22は、これら2つの検知信号に基づき、当該警備対象領域に人が居ると判断して、人イベントを検知する。
【0039】
このようなイベント検知部22における人イベントの検知の判断条件は、赤外線センサ11に設けられるディップスイッチを含む回路構成(図示せず)によって任意に設定されても良いし、外部警備装置40からイベント検知部22のメモリ部(図示せず)へのダウンロードによって設定されても良い。
【0040】
また、赤外線センサ11は、機械的スイッチやリードスイッチ等によって構成されるタンパー検知部(図示せず)を備えても良い。タンパーは、不審者(内部犯行者も含む)が電子機器の外装を取り除いたり破壊したりして機能を無効にする行為である。
【0041】
このタンパー検知部は、上記スイッチのON/OFFによって、タンパーを目的とする赤外線センサ11の筐体に対する除去・破壊行為を検知すると、タンパー検知信号を警備装置20の検知信号受付部21を介してイベント検知部22に出力する。タンパー検知信号は、図3(A)に示すON/OFFのデジタル信号であり、タンパー検知信号の出力方式は、検知信号の出力方式と同様である。
【0042】
イベント検知部22は、タンパー検知信号を受け付けると、赤外線センサ11におけるタンパーイベントの発生を検知し、タンパーイベント検知信号として、4桁の数字コード“1104”を出力する。“1104”の上位2桁の“11”が赤外線センサ11の機器識別番号を表し、下位2桁の“04”が同センサにおけるタンパーイベントの検知を表している。そして、イベント検知部22は、係るタンパーイベント検知信号を選択部26へ出力し、選択部26は、タンパーイベント検知信号を通報部27に出力する。
また、警備解除モード時において、故障検知部25は、タンパー検知信号及び故障検知信号の両方に基づき、赤外線センサ11の筐体へのマスクを検知しても良い。また、不審者が内部犯行者である場合、赤外線センサ11の筐体は取り外されてマスクされてから元に戻される可能性がある。この場合、故障検知部25は、タンパー検知信号が出力されてから出力されなくなった後の故障検知信号により、赤外性センサ11の筐体へのマスクを検知しても良い。
【0043】
[2]実施例2
次に、実施例2の警備システムについて説明する。図2は実施例2の警備システムの要部ブロック図である。実施例2の警備システムは、主に、赤外線センサ50、警備装置60、第二操作部70、及び、外部警備装置80を備えている。
【0044】
赤外線センサ50は、主に、検知素子及び信号増幅回路を含む赤外線センサ部51、イベント検知部52、故障検知部53、及び、選択部54を備えている。警備装置60は、主に、第一操操作部61、モード設定部62、通報部63、及び、表示部64を備えている。なお、第二操作部70及び外部警備装置80は、実施例1における第二操作部30及び外部警備装置40と同一であるため、その説明を省略する。
【0045】
また、赤外線センサ50に含まれる故障検知部53の機能、及び、警備装置60に含まれる第一操作部61、モード設定部62、通報部63、及び、表示部64の機能は、実施例1の対応する各部位と同様であるため、その動作説明を省略する。
【0046】
実施例1と実施例2との相違点を中心として、実施例2の警備システムを説明する。先ず、実施例1では、赤外線センサ11が、警備装置20に対し、警備対象領域に人が居ることを示す検知信号を出力した。しかし、実施例2では、赤外線センサ50は、警備装置60に対し、イベント検知信号または故障検知信号を出力する。一方、警備装置60は、モード設定部62に設定されている警備モードを、赤外線センサ50に対して出力する。
【0047】
そのため、赤外線センサ50及び警備装置60の各々は、イベント検知信号、故障検知信号、及び、警備モードを表す信号の入出力のためのインターフェイス回路(図2で点線部で示されるI/F部)を備えている。なお、I/F部間のデータの授受は、パラレルデータで行われても良いし、所定の伝送フォーマットに準拠するシリアルデータで行われても良い。
【0048】
また、実施例1では、イベント検知部22で検知されるイベントは、主に赤外線センサ11の警備対象領域に人が居ることを表す人イベントである。しかし、実施例2のイベント検知部52で検知されるイベントは、赤外線センサ50の警備対象領域に人が居ることを表す人イベント、赤外線センサ50においてホワイトノイズなどのノイズが増加したことを表すノイズイベント、或は、赤外線センサ50の筐体が不審者などによってマスクされる(覆われる)ことを表す不審者イベントである。
【0049】
実施例1では、赤外線センサ11が検知する赤外線に対し、警備対象領域内における人検知のために、図3(E)に示す前述の閾値Vt3が設定されている。しかし、実施例2では、赤外線センサ50のイベント検知部52には、ノイズイベント検知のため、図3(B)及び(D)に示す閾値Vt1が設定され、また、図3(B)及び(C)に示す閾値Vt2が設定されている。また、人イベント検知のため、実施例1の場合と同様に、図3(E)に示す閾値Vt3が設定されている。さらに、前述の不審者イベント検出のため、図3(F)に示す閾値Vt4が設定されている。これらの閾値は、Vt1、Vt2、Vt3、及び、Vt4の順に高くなる。
【0050】
実施例1では、赤外線センサ11が出力する人検知信号は、図3(A)に示すON/OFFのデジタル信号である。しかしながら、実施例2においては、赤外線センサ部51がイベント検知部52に出力する信号は、図3(B)〜(F)に示すアナログ信号である。
【0051】
続いて、図3(B)〜(F)の各図について説明する。先ず、図3(B)は、警備対象領域に人が居ない人の非検知状態における、赤外線センサ部51の出力を示す。この時、赤外線センサ部51が出力するアナログ信号の波高値は、環境の温度変化の影響によって変動するので、つまり、ホワイトノイズを含むので、通常、閾値Vt1とVt2との間にある。このような状態は、人の非検知状態と定義される。また、イベント検知部52は、赤外線センサ部51が正常に動作していると判断する。この場合、イベント検知部52は、人イベントを検知しないので、人イベント検知信号を出力しない。
【0052】
次に、図3(C)は、人の非検知状態において、赤外線センサ部51が出力するアナログ信号の波高値が検知素子の故障や信号増幅回路の故障によって閾値Vt2よりも高くなる場合を示している。ここで、通常のホワイトノイズは、図中の破線の波高値によって示されている。この場合、赤外線センサ部51は異常と判定され、イベント検知部52はノイズイベントを検知して、4桁の数字コード“5002”のノイズイベント検知信号を警備装置60に出力する。“5002”の上位2桁の“50”は赤外線センサ50の機器識別番号を表し、下位2桁の“02”はノイズイベントの検知を表している。
【0053】
次に、図3(D)は、人の非検知状態において、赤外線センサ部51が出力するアナログ信号の波高値が検知素子の感度低下や信号増幅回路の故障によって閾値Vt1よりも低くなる場合を示している。ここで、通常のホワイトノイズは、図中の破線の波高値によって示されている。この場合も、赤外線センサ部51は異常と判定され、イベント検知部52はノイズイベントを検知して、前述の場合と同様のノイズイベント検知信号“5002”を出力する。
【0054】
次に、図3(E)は、赤外線センサ部51が出力するアナログ信号の波高値が閾値Vt3よりも高い場合を示す。この場合は、警備対象領域に人が存在するので、その分、その人が発生する赤外線によって波高値が高くなっている。イベント検知部52は、実施例1の場合と同様に人イベントを検知して、人イベント検知信号“5001”を出力する。
【0055】
また、図3(F)は、赤外線センサ部51が出力するアナログ信号の波高値が閾値Vt4(Vt4>Vt3)よりも高くなり、その後、その値がほぼ0になる場合を示す。イベント検知部52は、このような波高値の変化パターンを検出すると、赤外線センサ部51の近傍に不審者が接近していると判定し、不審者イベントと検知して、不審者イベント検知信号“5003”を出力する。“5003”の上位2桁の“50”は赤外線センサ50の機器識別番号を表し、下位2桁の“03”は不審者イベントの検知を表している。
【0056】
不審者が赤外線センサ50の筐体をマスクする場合、不審者は赤外線センサ50の筐体近傍に接近するため、赤外線センサ部51によって高い赤外線が検知され、その赤外線の検知信号の波高値は閾値Vt4を超える。その後、赤外線センサ50の筐体がマスクされてしまうと、赤外線センサ部51は赤外線の検出機能を失うので、検知信号の波高値はほぼ0となる。したがって、イベント検知部52は、図3(F)に示す検知信号の波高値の変化パターンを検知することによって、不審者イベントを検知する。
【0057】
このように、本発明の実施例2では、イベント検知部52が、赤外線センサ部51が出力するアナログ信号の検知信号を解析するので、検知信号のノイズ成分の増加や赤外線センサ50のセンサ筐体に対するマスクの有無の情報を取得できる。
【0058】
なお、本発明の各実施例における、故障検知部からの故障検知信号、及び、イベント検知部からのイベント検知信号の数字コードの一覧は図4に示す。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】第1の実施例の警備システムの構成を示すブロック図である。
図2】第2の実施例の警備システムの構成を示すブロック図である。
図3】赤外線センサが出力する検知信号を示す図である。
図4】数字コードの一覧を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
11〜14 … 赤外線センサ
20,60 … 警備装置
21 … 検知信号受付部
22,52 … イベント検知部
23,61 … 第一操作部
24,62 … モード設定部
25,53 … 故障検知部
26,54 … 選択部
27,63 … 通報部
28,64 … 表示部
30,70 … 第二操作部
40,80 … 外部警備装置
51 … 赤外線センサ部
図1
図2
図3
図4