(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液状ポリブテンB及び前記液状可塑剤Cの含有量の総量が前記ブチルゴムA100質量部に対して150〜400質量部である、請求項1〜5のいずれかに記載のホットメルト組成物。
【背景技術】
【0002】
各種工場、倉庫、各種作業場、農業・畜産業、一般家庭等においては、発生する害虫を駆除するために殺虫剤、農薬等、害虫の殺傷を目的とした薬剤を散布している。これらの殺虫剤、農薬等はその効果はかなりあるものの、一時的であり且つ環境の汚染、人体への悪影響などが懸念されている。そのため、厚紙、プラスチックシート等の支持体に粘着層を設けた捕獲器を小生物の通り道に設置し、小生物を粘着捕獲する方法が、取り扱い及び衛生上の観点から一般的である。
【0003】
また、近年では、各種工場、倉庫、各種作業場等における異物混入又は衛生面の調査を行うために、厚紙、プラスチックシート等の支持体に粘着層を設けた捕獲器を設置し、一定期間の間に捕獲された害虫の数に関して調査を行う場合が増えている。
【0004】
上記用途に用いる小生物捕獲用組成物としては、下記の特許文献1〜3をはじめとして各種のものが知られている。
【0005】
特許文献1は、(a)粘度平均分子量が100万〜250万の範囲にあるポリイソブチレンゴム1〜10質量%、(b)メルトフローレート(MFR;190℃/212kPa荷重)が0.1〜20、密度が0.97以下、DSC測定による融点が120℃以下の範囲にある高圧法ポリエチレン1〜10質量%、(c)数平均分子量が400〜1200未満の範囲にある液状ポリブテン、及び(d)数平均分子量が1200〜10000の範囲にある液状ポリブテンを溶融混合して得られる組成物であって、(c)と(d)の合計が80〜98質量%、(c):(d)が質量比で1:99〜10:90の範囲にあることを特徴とする小生物捕獲用粘着性組成物が開示されている。また、所定の粘着性組成物は、粘着力と塗布加工時の耐フロー性に優れることが記載されている。
【0006】
特許文献2は、(1)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕が1dl/g以上のスチレン系熱可塑性エラストマー100重量部と、300〜4000重量部の(2)数平均分子量が250〜5,000の軟化剤、及び200〜3000重量部の(3)軟化点が60℃以上である天然または合成系粘着付与樹脂を含み、室温下において、15mm押し込み時の応力が0.15Kg以下、引き上げ時の伸びが60mm以上であり、60mm引き上げ時の応力が0.05Kg以上である小動物捕獲用ホットメルト粘着剤組成物が開示されている。また、所定のホットメルト粘着剤組成物は粘着性、耐フロー性及び捕獲した小動物に対する追従性に優れることが記載されている。
【0007】
特許文献3は、成分(1)〜成分(4);
成分(1):重量平均分子量50,000〜500,000、スチレン含有量10〜30モル%のA−B−A型スチレン−ジエン系ブロック共重合体;
成分(2):軟化点が65℃以上の粘着付与性樹脂;
成分(3):25℃で液状の粘着付与性樹脂;
成分(4):数平均分子量200〜2500の液状ポリブテンを含む液状ゴム(ただし、成分(2)及び成分(3)の総配合量は成分(1)100重量部に対して55重量部〜200重量部である)
を必須構成成分として配合してなる小生物捕獲用粘着剤が開示されている。また、所定の小生物捕獲用粘着剤はコールドフロー、離型紙からの剥離性、捕獲率及び捕獲性能の維持に優れることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜3に開示された組成物又は粘着剤を用いて粘着層を形成し、小生物捕獲用として用いる場合には、下記のような問題点があることが指摘される。
【0010】
例えば、特許文献1の粘着性組成物は、粘着層の耐フロー性を満たすために高密度ポリエチレンを使用しているため、低温環境下での捕獲性能が著しく低下する可能性が高い。
【0011】
特許文献2のホットメルト粘着剤組成物はスロットコーターで塗工可能な溶融粘度を有し、且つ耐フロー性と組成物の延糸性を満たすために、液状軟化剤が多量に含まれていることから、離型紙からの剥離が困難となる可能性が高い。
【0012】
特許文献3は離型紙から剥離可能、耐フロー性を満たすために、A−B−A型スチレン−ジエン系ブロック共重合体を用いているため、低温環境下での捕獲性能が著しく低下するとともに延糸性が悪くなる可能性が高い。
【0013】
また、特許文献1に関連する問題点として、従来用いられているポリイソブチレン系粘着剤等は含有されるポリイソブチレンが非常に高分子となるため、塗工適正を良好とするために粘着剤に含有される液状可塑剤の含有量が多量となり、結果的に耐フロー性が劣る結果となり易いことが指摘されている。
【0014】
このように、常温及び低温環境下での粘着性、耐フロー性及び延糸性に優れ、且つ離型紙からの剥離も容易であり、特に小生物捕獲器の粘着層を形成する用途に適したホットメルト組成物は未だ開発されていない。
【0015】
よって、本発明は、常温及び低温環境下でのボールタック性、耐フロー性及び延糸性に優れ、離型紙からの剥離も容易であり、特に小生物捕獲器の粘着層を形成する用途に適したホットメルト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ブチルゴム、液状ポリブテン、液状可塑剤及び粘着付与樹脂を所定割合で含有する特定のホットメルト組成物が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明は、下記のホットメルト組成物に関する。
1.ブチルゴムA、液状ポリブテンB、液状可塑剤C及び粘着付与樹脂Dを含有し、
(1)前記液状ポリブテンBの含有量は、前記ブチルゴムA100質量部に対して100〜300質量部であり、
(2)前記液状可塑剤Cの含有量は、前記ブチルゴムA100質量部に対して50〜100質量部であり、
(3)前記粘着付与樹脂Dの含有量は、前記ブチルゴムA100質量部に対して200〜400質量部であり、
(4)軟化点温度が60〜80℃である、
ことを特徴とするホットメルト組成物。
2.前記ブチルゴムAの重量平均分子量が300,000〜700,000である、上記項1に記載のホットメルト組成物。
3.前記液状ポリブテンの数平均分子量が900〜2100である、上記項1又は2に記載のホットメルト組成物。
4.前記液状可塑剤Cの40℃動粘度が30〜110mm
2/sである、上記項1〜3のいずれかに記載のホットメルト組成物。
5.前記粘着付与樹脂Dの軟化点が80℃以上である、上記項1〜4のいずれかに記載のホットメルト組成物。
6.前記液状ポリブテンB及び前記液状可塑剤Cの含有量の総量が前記ブチルゴムA100質量部に対して150〜400質量部である、上記項1〜5のいずれかに記載のホットメルト組成物。
7.180℃溶融粘度が30,000mPa・s以下である、上記項1〜6のいずれかに記載のホットメルト組成物。
8.23℃環境下でのボールタックが20〜32である、上記項1〜7のいずれかに記載のホットメルト組成物。
9.10℃環境下でのボールタックが20〜28である、上記項1〜8のいずれかに記載のホットメルト組成物。
10.小生物捕獲器の粘着層を形成するために用いる、上記項1〜9のいずれかに記載のホットメルト組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明のホットメルト組成物は、ブチルゴム、液状ポリブテン、液状可塑剤及び粘着付与樹脂を所定割合で含有することにより、常温及び低温環境下でのボールタック性、耐フロー性及び延糸性に優れ、離型紙からの剥離も容易であり、特に小生物捕獲器の粘着層を形成する用途に適している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のホットメルト組成物について詳細に説明する。
【0020】
本発明のホットメルト組成物は、ブチルゴムA、液状ポリブテンB、液状可塑剤C及び粘着付与樹脂Dを含有し、
(1)前記液状ポリブテンBの含有量は、前記ブチルゴムA100質量部に対して100〜300質量部であり、
(2)前記液状可塑剤Cの含有量は、前記ブチルゴムA100質量部に対して50〜100質量部であり、
(3)前記粘着付与樹脂Dの含有量は、前記ブチルゴムA100質量部に対して200〜400質量部であり、
(4)軟化点温度が60〜80℃である、
ことを特徴とする。
【0021】
上記特徴を有する本発明のホットメルト組成物は、ブチルゴム、液状ポリブテン、液状可塑剤及び粘着付与樹脂を所定割合で含有することにより、常温及び低温環境下でのボールタック性、耐フロー性及び延糸性に優れ、離型紙からの剥離も容易であり、特に小生物捕獲器の粘着層を形成する用途に適している。
【0022】
なお、「常温及び低温環境下でのボールタック性に優れる」とは、本発明のホットメルト組成物及びそれから形成した粘着層が常温及び低温環境下で小生物の捕獲に適した粘着性を有することを意味する。「耐フロー性に優れる」とは、前記粘着層が加熱時でも形状変化しないことを意味する。「延糸性に優れる」とは、前記組成物及び前記粘着層が小生物の捕獲に優れた延糸性(延糸により小生物を絡めとることによる捕獲)を有することを意味する。また、「離型紙からの剥離が容易である」とは、前記粘着層に離型紙を設けた際、使用前に粘着層が離型紙から糸引きなく容易に剥離できることを意味する。
【0023】
ブチルゴムA
本発明のホットメルト組成物はブチルゴムAを含有する。ブチルゴムAは、粘着力及びホットメルト組成物の延糸性を付与する。ブチルゴムは、イソブテン(イソブチレン)及び少量のイソプレンの共重合体(イソブチレン・イソプレンゴム)である。
【0024】
ブチルゴムAの種類は特に限定されず、例えば、再生ブチルゴム、合成ブチルゴム等が挙げられる。なお、ブチルゴムAの重量平均分子量は限定的ではないが、ホットメルト組成物の粘度の観点から300,000〜700,000が好ましく、400,000〜600,000がより好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値である。
【0025】
上記ブチルゴムAの重量平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置:Waters社製 商品名「ACQUITY APC」
測定条件:カラム
・ACQUITY APC XT45 1.7μm×1本
・ACQUITY APC XT125 2.5μm×1本
・ACQUITY APC XT450 2.5μm×1本
移動相:テトラヒドロフラン 0.8mL/分
サンプル濃度:0.2質量%
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(Waters社製 分子量:266〜1,800,000)
カラム温度:40℃
RI検出器温度:40℃
ブチルゴムAは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
ブチルゴムAとしては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、JSR社製「Butyl Rubber 065」、JSR社製「Butyl Rubber 268」等が挙げられる。
【0027】
ブチルゴムAは、従来のスチレン系熱可塑性エラストマーと比較して、スチレンブロックのようなハードセグメントを有していないため、凝集力の低下が期待でき、これによりホットメルト組成物の延糸性が良好となる。
【0028】
液状ポリブテンB
本発明のホットメルト組成物は、液状ポリブテンBを含有する。なお、上記「液状」とは、25℃で流動性をもつ(すなわち、容器に入れた場合に容器に合わせて形状を変える)ことを意味する。液状ポリブテンBとしては特に限定されず、例えば、イソブテンのホモポリマー、イソブテンとn−ブテンとのコポリマー等が挙げられる。
【0029】
液状ポリブテンBは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
液状ポリブテンBとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、新日本石油化学製「日石ポリブテン」、新日本石油化学製「テトラックス」等が挙げられる。
【0031】
液状ポリブテンBの数平均分子量は限定的ではないが900〜2100が好ましく、1000〜1800がより好ましい。液状ポリブテンの数平均分子量が900以上であると、ホットメルト組成物の低温環境下でのボールタック性能が向上し、耐フロー性も良好な組成物となる。また、液状ポリブテンの数平均分子量が2100以下であると、ホットメルト組成物をスロットコーターにて好適に塗工することが可能な組成物となる。なお、本明細書における数平均分子量はASTM D 3536に準じて測定した値である。
【0032】
液状ポリブテンBの含有量は、ブチルゴムA100質量部に対して100〜300質量部であればよいが、その中でも特に150〜250質量部が好ましい。液状ポリブテンBの含有量が100質量部以上であると、ホットメルト組成物の低温環境下でのボールタック性能が向上する。また、液状ポリブテンBの含有量が300質量部以下であると、ホットメルト組成物の耐フロー性が向上する。
【0033】
液状可塑剤C
本発明のホットメルト組成物は、液状可塑剤Cを含有する。なお、上記「液状」とは、25℃で流動性をもつ(すなわち、容器に入れた場合に容器に合わせて形状を変える)ことを意味する。液状可塑剤Cとしては特に限定されず、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成油等が挙げられる。これらの液状可塑剤Cの中でも、プロセスオイルが好ましく、パラフィン系プロセスオイル及びナフテン系プロセスオイルの少なくとも一種がより好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。
【0034】
液状可塑剤Cは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
パラフィン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製「PW−32」、出光興産社製「ダイアナフレシアS32」、出光興産社製「PS−32」等が挙げられる。
【0036】
ナフテン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製「ダイアナフレシアN28」、出光興産社製「ダイアナフレシアU46」、出光興産社製「ダイアナプロセスオイルNR」等が挙げられる。
【0037】
芳香族系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、新日本石油社製「アロマックス」が挙げられる。
【0038】
流動パラフィンとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、MORESCO社製「P−100」、Sonneborn社製「Kaydol」等が挙げられる。
【0039】
炭化水素系合成油としては、市販品を用いることができる。市販品としては、三井化学社製「ルーカントHC−10」、三井化学社製「ルーカントHC−20」等が挙げられる。
【0040】
液状可塑剤Cの含有量は、ブチルゴムA100質量部に対して50〜100質量部であればよいが、その中でも特に60〜90質量部が好ましい。液状可塑剤Cの含有量が50質量部以上であると、ホットメルト組成物の低温環境下でのボールタック性能が向上する。また、液状可塑剤Cの含有量が100質量部以下であると、ホットメルト組成物からなる粘着層からの離型紙の剥離性が向上する。
【0041】
また、液状ポリブテンB及び液状可塑剤Cの含有量の総量は限定的ではないが、ホットメルト組成物の溶融粘度と耐フロー性の観点から、ブチルゴムA100質量部に対して150〜400質量部が好ましく、その中でも特に200〜350質量部が好ましい。
【0042】
液状可塑剤Cの40℃動粘度は限定的ではないが、30〜110mm
2/sが好ましく、30〜95mm
2/sがより好ましい。液状可塑剤Cの40℃動粘度が30mm
2/s以上であると、耐フロー性、延糸性が向上する。また、液状可塑剤Cの40℃動粘度が110mm
2/s以下であると、低温環境下でのボールタックが向上する。なお、本明細書における40℃動粘度はJIS K2283に準じて測定した値である。
【0043】
粘着付与樹脂D
本発明のホットメルト組成物は、粘着付与樹脂Dを含有する。粘着付与樹脂Dとしては特に限定されず、ロジン系化合物、テルペン系化合物、石油樹脂等が挙げられる。
【0044】
上記ロジン系化合物としては、例えば、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
【0045】
上記テルペン系化合物としては、例えば、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの三次元ポリマー、天然テルペンのコポリマーの水素化誘導体、テルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体等が挙げられる。
【0046】
上記石油樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂が挙げられる。また、これらの石油樹脂が水素添加された水添石油樹脂(部分水添石油樹脂、完全水添石油樹脂)も挙げられる。水添石油樹脂の中では、部分水添石油樹脂の方が、前記ブチルゴムAとの相溶性が高く、且つ加熱安定性に優れる点でより好ましい。なお、C5系石油樹脂は石油のC5留分を原料とした石油樹脂であり、C9系石油樹脂は石油のC9留分を原料とした石油樹脂であり、C5C9系石油樹脂は石油のC5留分とC9留分とを原料とした石油樹脂である。C5留分としては、シクロペンタジエン、イソプレン、ペンタン等が挙げられる。C9留分としては、スチレン、ビニルトルエン、インデン等が挙げられる。C5系石油樹脂、C5C9系石油樹脂としては、C5留分の一種であるシクロペンタジエンに由来するジシクロペンタジエン(DCPD)を骨格中に含むものが好ましい。
【0047】
粘着付与樹脂Dとしては、ホットメルト組成物の臭気、熱安定性に優れている点で、石油樹脂(部分水添石油樹脂及び完全水添石油樹脂を含む)が好ましく、部分水添石油樹脂及び完全水添石油樹脂がより好ましい。
【0048】
粘着付与樹脂Dは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
粘着付与樹脂Dの軟化点温度は限定的ではないが、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。粘着付与樹脂Dの軟化点が80℃以上であると、本発明のホットメルト組成物がより良好な耐フロー性を発現することができる。なお、本明細書における環球式軟化点温度は、JIS K2207に準拠して測定される値である。
【0050】
粘着付与樹脂Dの含有量は、ブチルゴムA100質量部に対して200〜400質量部であればよいが、その中でも特に250〜350質量部が好ましい。粘着付与樹脂Dの含有量が200質量部以上であると、本発明のホットメルト組成物に良好な離型紙からの剥離性を発現することができる。また、粘着付与樹脂Dの含有量が400質量部以下であると、本発明のホットメルト組成物が良好な延糸性を発現することができる。
【0051】
粘着付与樹脂Dは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
粘着付与樹脂Dとしては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、例えば、東燃ゼネラル石油社製「HA−103」、荒川化学社製「アルコンM−100」、出光興産社製「アイマーブP100」、Kolon社製「スコレッツSU400」、ヤスハラケミカル社製「YSレジンTO−105」等が挙げられる。
【0053】
他の添加剤
本発明のホットメルト組成物は、本発明の目的を本質的に妨げない範囲で、他の添加剤を含有していてもよい。例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0054】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0055】
酸化防止剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
【0057】
紫外線吸収剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
本発明のホットメルト組成物中の上記他の添加剤の含有量の合計は、ブチルゴムA100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
【0059】
上記他の添加剤の含有量の合計を上記範囲とすることにより、本発明のホットメルト組成物により優れた熱安定性及び塗工適性を付与できるとともに、本発明のホットメルト組成物に所望の性能を付与することができる。
【0060】
ホットメルト組成物の物性
本明細書における「溶融粘度」は、一定の温度で加熱溶融状態となったホットメルト組成物の粘度である。例えば、180℃における溶融粘度は、ホットメルト組成物を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定した値である。
【0061】
本発明のホットメルト組成物は、180℃溶融粘度が30,000mPa・s以下であることが好ましい。180℃溶融粘度30,000mPa・sを超えると、本発明のホットメルト組成物の塗工適性が低下するおそれがある。180℃溶融粘度は、5,000〜20,000mPa・sが好ましく、9,000〜15,000mPa・sがより好ましい。180℃における溶融粘度を上記範囲とすることにより、本発明のホットメルト組成物の塗工適性がより一層優れる。
【0062】
本明細書において、「軟化点」は、R&B法(日本接着剤工業会規格JAI 7)にて測定できるホットメルト組成物の溶融温度である。本発明のホットメルト組成物は、軟化点温度が60〜80℃である。この範囲であることにより、低温環境下での捕獲性能と耐フロー性の効果が得られる。
【0063】
本明細書における「ボールタック」は、JIS Z0237のタック試験法(転球法)に基づいて測定できる値である。
【0064】
本発明のホットメルト組成物は、23℃環境下におけるボールタックが20〜32であることが好ましく、24〜32がより好ましい。ボールタックがかかる範囲内であることにより、常温での小生物の捕捉性能に優れる。
【0065】
また、本発明のホットメルト組成物は、10℃環境下におけるボールタックが20〜28であることが好ましく、24〜28がより好ましい。ボールタックがかかる範囲内であることにより、低温環境下でも小生物の捕捉性能に優れる。
【0066】
本発明のホットメルト組成物は、ゴキブリやハエといった害虫などの小生物を捕獲する捕獲器の粘着層として好適に使用することができる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0068】
なお、実施例及び比較例で用いた原料は以下の通りである。
<ブチルゴムA>
・ブチルゴムA1:JSR社製 Butyl Rubber 065
(重量平均分子量430,000)
・ブチルゴムA2:JSR社製 Butyl Rubber 268
(重量平均分子量580,000)
・ブチルゴムA3:JSR社製 Butyl Rubber 365
(重量平均分子量460,000)
・スチレン−イソプレン−スチレン共重合体A4:クレイトン社製 D1161
(重量平均分子量210,000)
<液状ポリブテンB>
・液状ポリブテンB1:イネオス社製 インドポールH−300
(数平均分子量1300)
・液状ポリブテンB2:イネオス社製 インドポールH−100
(数平均分子量910)
・液状ポリブテンB3:イネオス社製 インドポールH−1200
(数平均分子量2100)
・液状ポリブテンB4:イネオス社製 インドポールH−2100
(数平均分子量:2500)
<液状可塑剤C>
・パラフィン系プロセスオイルC1:出光興産社製 PS−32
(40℃動粘度:31.4mm
2/s)
・パラフィン系プロセスオイルC2:出光興産社製 PS−90
(40℃動粘度:92.4mm
2/s)
・ナフテン系プロセスオイルC3:出光興産社製 N−90
(40℃動粘度:108.5mm
2/s)
<粘着付与樹脂D>
・水添石油樹脂D1:荒川化学工業社製 Arkon P−125
(軟化点:125℃)
・水添石油樹脂D2:荒川化学工業社製 Arkon P−140
(軟化点:140℃)
・水添石油樹脂D3:東燃ゼネラル石油社製 HB−103
(軟化点:100℃)
・水添石油樹脂D4:東燃ゼネラル石油社製 HA−085
(軟化点:80℃)
・ロジンエステル誘導体D5:製造元確認 KOMOTAC KF−454S
(軟化点:104℃)
<酸化防止剤>
・フェノール系酸化防止剤:BASF社製 IRGANOX1010
実施例1〜18及び比較例1〜7
上述した原料を、それぞれ表1及び表2に示した配合量で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入し、145℃で90分間加熱・混練してホットメルト組成物を製造した。
【0069】
得られたホットメルト組成物について、以下の測定条件により特性を評価した。
【0070】
(溶融粘度)
ホットメルト組成物を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定した。
【0071】
(軟化点)
ホットメルト組成物を加熱溶融し、日本接着剤工業会規格JAI 7にて定められた方法に従って測定した。
【0072】
(ボールタック)
ホットメルト組成物を160℃〜180℃の塗工温度でスロット塗工により、離型紙上に塗布する。
【0073】
次いで、別途用意したボール紙に転写することによって試験片とする。塗布量は350g/m
2、塗布幅は50mmとする。このとき塗工された試験片を、23℃、相対湿度50%雰囲気下の条件で24時間にわたって保管し、ホットメルト組成物を冷却する。
【0074】
次いで、離型紙を剥離し、JIS Z0237のタック試験法(転球法)に基づいて測定を行い、30℃の傾斜をつけた架台に試験片を設置し、助走距離10cmにてボールを転がし、ホットメルト組成物上で停止したボールの最大サイズを記録する。
【0075】
(延糸性)
上述のボールタックの測定方法と同様にして作製した試験片を用い、50mm×50mmの大きさにカットし、SUS304を用いたT字型冶具に両面テープにて貼り合わせ、引張試験機の下側固定冶具へ固定する。上側固定冶具にφ13mmの円形冶具を円形の面とホットメルト組成物を平行に固定する。冶具間距離を120mmに設定し、圧縮方向に圧縮速度300mm/分で120mm圧縮し、ホットメルト組成物と円形冶具を接触させる。接触した後、10秒保持し、引張速度50mm/分で引張る。
【0076】
このとき、ホットメルト組成物と円形冶具の間にホットメルト組成物が線状に延びるので、延びた距離によって、下記基準に従い、評価した。なお、評価が△以上であれば実使用において問題ないと評価できる。
◎:50mm以上ホットメルト組成物が線状に延びる。
○:20mm以上50mm未満の範囲でホットメルト組成物が線状に延びる。
△:10mm以上20mm未満の範囲でホットメルト組成物が線状に延びる。
×:10mm未満の範囲でホットメルト組成物が線状に延びる。
【0077】
(離型紙の剥離性)
上述のボールタックの測定方法と同様にして作製した試験片を用い、50mm×50mmの大きさにカットし、引張速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行うことにより離型紙の剥離性を下記基準に従い、評価した。
【0078】
なお、評価が△以上であれば実使用において問題ないと評価できる。
◎:全く糸を引くことなく、ホットメルト組成物から剥離できる。
○:剥離できるが、ホットメルト組成物が10本程度糸を引く。
△:剥離できるが、ホットメルト組成物が25本程度糸を引く。
×:離型紙がホットメルト組成物から剥離せず、塗布面が変形してしまう。
【0079】
(耐フロー性)
上述のボールタックの測定方法と同様にして作製した試験片を用い、100mm×50mmの大きさにカットし、長手方向(ホットメルト組成物の塗工方向)が上下に位置するよう試験片を45℃に調温された恒温槽に垂直に立てて保管し、48時間養生した。48時間後に恒温槽から取り出し、長手方向の下面の形状変化を下記基準に従い、評価した。
【0080】
なお、評価が△以上であれば実使用において問題ないと評価できる。
◎:全く変形が見られない。
○:1mm以上2mm未満の変形が見られる。
△:2mm以上5mm未満の変形が見られる。
×:5mm以上の変形が見られる。
【0081】
結果を表1及び表2に示す。
【0082】
表1及び表2に示した結果から明らかな通り、実施例1〜18で調製した本発明のホットメルト組成物は、ブチルゴム、液状ポリブテン、液状可塑剤及び粘着付与樹脂を所定割合で含有することにより、常温及び低温環境下でのボールタック性、耐フロー性及び延糸性に優れ、離型紙からの剥離も容易であり、小生物捕獲器の粘着層を形成する用途に適していることが分かる。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】