(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
押圧機構(5)が、左右横長に形成された一枚の押圧板(25)と、押圧板(25)に対して複数の箇所から押圧力を付与する複数個の縦動機構(26)と、これら複数個の縦動機構(26)による押圧板(25)の昇降動作を同期させる同期機構(27)とを含んで構成されている、請求項1記載のリテーナーの自動ロック装置。
同期機構(27)が、押圧板(25)の左右端部に設けられた左右一対の連動アーム(32)と、各連動アーム(32)の昇降動作に連動して回転する歯車(35)と、左右の歯車(35・35)間に架設されて、両歯車(35・35)の回転を同期させる連結シャフト(36)とで構成されている、請求項2記載のリテーナーの自動ロック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなリテーナーを使ってベーコン等を製造する際には、リテーナー内に原料肉を収容したのちに、蓋体を閉姿勢とする工程(閉じ工程)と、蓋ロック部材を使って蓋体を閉姿勢に保持する工程(ロック工程)とを採ることが必要であり、従来においては、両工程(閉じ工程とロック工程)のそれぞれを手作業により行っていた。このため、加熱処理に先立つ前工程において、多くの時間と人手を要することが避けられず、このことがリテーナーを用いたベーコン等の製造の生産性の向上を図る際の障害となっていた。
【0005】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、蓋体の閉じ工程と蓋体のロック工程とを自動化することで、リテーナーを用いたベーコン等の製造の生産性の向上を図ることができる自動ロック装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、リテーナー100の蓋体105をロック操作するための自動ロック装置を対象とする。自動ロック装置のロック操作の対象となるリテーナー100は、上方開口101を有して内部に原料肉102が収容される有底箱状のリテーナー本体103と、リテーナー本体103の後壁103cに設置されたヒンジ軸104と、上方開口101を封止する閉姿勢と上方開口101を開放する開姿勢との間でヒンジ軸104を中心に開閉回動可能に構成された蓋体105と、蓋体105を閉姿勢に保持する蓋ロック体106とを備える。蓋ロック体106は、リテーナー本体103の前壁103bに設置された係合片112と、蓋体105の前端部に設けられ
た揺動軸119と、係合片112に係合するロック姿勢と、係合片112との係合状態が解除されるアンロック姿勢との間で
揺動軸119を中心に切り換え可能に構成されるロックピース120とを備える。
係合片112はロックピース120の進入を許して下向きに開口する装着部117を備えており、揺動軸119を中心にしてロックピース120が回転されて、係合片112の前端縁を乗り越えて装着部117内にロックピース120が押し込まれることで、ロックピース120と係合片112との間の係合状態が確立されるようになっている。自動ロック装置は、ロック操作位置に向けてリテーナー100を送り込む搬送機構4と、搬送機構4によりロック操作位置に送り込まれたリテーナー100の蓋体105に対して上方から押圧力を加えて、閉姿勢に向って蓋体105を押し下げ操作する押圧機構5と、蓋ロック体106のロックピース120をアンロック姿勢からロック姿勢として、係合片112との間の係合状態を確立するロック操作機構6とを含む。
押圧機構5は、上下動可能に構成されて、リテーナー100の蓋体105に対して上方から押圧力を付与する押圧板25と、押圧板25に上下方向の直線往復動力を付与する縦動機構26とを含む。ロック操作機構6は、押圧板25に固定された支持体42と、支持体42に設けられた操作軸43を中心にして回動可能に構成された操作カム44と、操作カム44に回動駆動力を付与する回動機構45とを含む。回動機構45により操作カム44が回動されると、操作カム44のロックレバー48がロックピース120をアンロック姿勢からロック姿勢に向って押し込み、ロックピース120が係合片112の前端縁を乗り越えることで、ロックピース120と係合片112との間の係合状態が確立されるように構成されている。そして、押圧機構5により蓋体105に押圧力を加えて蓋体105を閉姿勢としたうえで、ロック操作機構6によりロックピース120をロック姿勢として、ロックピース120と係合片112との間の係合状態を確立することで、蓋体105が閉姿勢に保持されるようにすることを特徴とする。
【0007】
押圧機構5は、左右横長に形成された一枚の押圧板25と、押圧板25に対して複数の箇所から押圧力を付与する複数個の縦動機構26と、これら複数個の縦動機構26による押圧板25の昇降動作を同期させる同期機構27とを含んで構成されている。
【0008】
同期機構27は、押圧板25の左右端部に設けられた左右一対の連動アーム32と、各連動アーム32の昇降動作に連動して回転する歯車35と、左右の歯車35・35間に架設されて、両歯車35・35の回転を同期させる連結シャフト36とで構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動ロック装置を用いれば、リテーナー100の蓋体105に対する閉じ工程と、蓋体105に対するロック工程とを、人手を煩わすことなく自動的に行うことができる。従って、本発明の自動ロック装置を用いれば、ベーコン等の製造の生産性向上に大いに貢献できる。加えて、リテーナー本体103や蓋体105への人体手指の接触機会を少なくすることができるので、より安全かつ衛生的にベーコン等を製造することができる。
【0011】
例えば、押圧板25が左右いずれか一方の端部が下方に位置するような傾斜姿勢となったままで、押圧板25により蓋体105が押圧された場合には、蓋体105が傾いて適切な閉姿勢とならないおそれがある。最悪の場合には、蓋ロック体106を構成する係合片112とロックピース120との間の係合状態が確立されず、ロック操作が実行できなくなるおそれもある。本発明においては、押圧機構5を左右横長に形成された一枚の押圧板25と、押圧板25に対して複数の箇所から押圧力を付与する複数個の縦動機構26と、これら複数個の縦動機構26による押圧板25の昇降動作を同期させる同期機構27とを含んで構成したので、当該同期機構27により各縦動機構26による押圧板25に対する昇降量のバラツキを抑えて、押圧板25を水平姿勢に維持しながら昇降動作させることが可能となる。従って、本発明によれば、蓋体105を適切な閉姿勢として、蓋ロック体106によるロック操作を確実に実行することができ、自動ロック装置の信頼性の向上に貢献できる。
【0012】
同期機構27が、押圧板25の左右端部に設けられた左右一対の連動アーム32と、各連動アーム32の昇降動作に連動して回転する歯車35と、左右の歯車35・35間に架設されて、両歯車35・35の回転を同期させる連結シャフト36とで構成されていると、各縦動機構26による押圧板25に対する昇降量のバラツキが生じて押圧板25が傾くことを簡単な構成で確実に阻止することができる。従って、同期機構27を設けたことに伴って、自動ロック装置の製造コストが大幅に上昇することを抑えることができる。
【0013】
ロック操作機構6が、押圧板25に固定された支持体42と、支持体42に設けられた操作軸43を中心にして回動可能に構成された操作カム44と、操作カム44に回動駆動力を付与する回動機構45とを含むものとして、回動機構45により操作カム44が回動されると、操作カム44のロックレバー48がロックピース120をアンロック姿勢からロック姿勢に向って押し込み、ロックピース120が係合片112の前端縁を乗り越えることで、ロックピース120と係合片112との間の係合状態が確立されるように構成することができる。これによれば、簡単な構成でもって確実に、ロック操作機構6による蓋ロック体106に対するロック操作を実行できる。このことは自動ロック装置の全体コストの削減化に貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例)
図1ないし
図9に、本発明に係るリテーナーの自動ロック装置(以下「自動ロック装置」と記す。)の実施例を示す。本発明における前後、左右、上下とは、
図1、
図2、
図4、および
図6に示す交差矢印と、矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0016】
自動ロック装置1は、リテーナー100の蓋体105をロック操作するためのものであり、固定台2と、固定台2の上下方向の中途部に架設されてリテーナー100が載置されるテーブル3と、テーブル3のロック操作位置に向けてリテーナー100を送り込む搬送機構4と、搬送機構4によりテーブル3のロック操作位置に送り込まれたリテーナー100の蓋体105に対して上方から押圧力を加える押圧機構5と、リテーナー100の蓋ロック体106をロック姿勢とするロック操作機構6と、押圧機構5による蓋体105に対する押圧操作時に装置前面を閉じるシャッター7と、シャッター7を開閉するシャッター開閉機構8などで構成される(
図2、3参照)。固定台2は、前後左右の四隅に設置された四本の柱体10と、柱体10の下段、中段、上段の三箇所に架設された棚板であるボード11・12・13と、中段のボード12上に設置されて左右方向に走る前後一対の中空のパイプ14などで構成され、パイプ14の上面にテーブル3が固定されている。
図2および
図8において符号15は、上段のボード13上に固定された制御ボックスを示しており、この制御ボックス15内に自動ロック装置1の全体を制御する制御装置が格納されている。
【0017】
図2及び
図4において、搬送機構4は、固定台2の上流側に配されて原料肉102が収容されたリテーナー100(
図6、
図7参照)をテーブル3に向って送り込む第1コンベアユニット16と、固定台2の下流側に配されてロック操作終了後のリテーナー100を下流側の処理装置に向って送り出す第2コンベアユニット17と、第1コンベアユニット16によりテーブル3上に送られたリテーナー100を前方側に向って押し込むプッシュユニット18とで構成される。プッシュユニット18は、第1コンベアユニット16によりテーブル3上の所定位置に送られてきたリテーナー100を前方に向けて押圧するプッシャー19と、プッシャー19を前後方向に進退移動させるアクチュエータ20とを備える。プッシャー19の前方にはガイド21が設けられており、プッシャー19を使ってガイド21の背面にリテーナー100を押し付けることで、リテーナー100をテーブル3上のロック操作位置に配置させることができる。テーブル3にはリテーナー100の先端位置(右端位置)を検知するためのセンサが設けられており、当該センサによりリテーナー100がテーブル3上の所定位置に来たことが検知されると、第1コンベアユニット16の駆動が停止されるようになっている。搬送機構4で搬送されるリテーナー100は、その前後がプッシャー19とガイド21とで案内されて左右方向に搬送される。
【0018】
図6及び
図7に示すように、リテーナー100は、上方開口101を有して内部に原料肉102が収容される有底四角箱状のリテーナー本体103と、リテーナー本体103の後壁103cに設置されたヒンジ軸104と、上方開口101を封止する閉じ姿勢(
図5等参照)と、上方開口101を開放する開姿勢(
図6参照)との間でヒンジ軸104を中心に開閉回動可能に構成された蓋体105と、蓋体105を閉姿勢に保持する蓋ロック体106とで構成される。リテーナー100は多孔構造に形成されている。具体的には、リテーナー本体103の底壁103a、及び蓋体105は、四角枠体と、四角枠体を構成する前後辺の間に架設された複数本のバーとからなるフレーム108と、フレーム108の内面に張設された金網109とで構成される。リテーナー本体103の前後壁103b・103c、及び左右壁103d・103eには、上下方向に長く形成された多数個の縦スリット110が列設されている。
【0019】
蓋体105を閉姿勢に保持する蓋ロック体106は、リテーナー本体103の前壁103bの上端部に設けられた係合片112と、蓋体105の前端部に設けられた計7個のロック部材113とで構成される。
図7に示すように、リテーナー本体103の前壁103bの上端部には、斜め下方に向けて屈曲形成された屈曲部114が形成されており、この屈曲部114の下面に係合片112が溶接固定されている。係合片112は、前壁103bの前面に沿う縦壁115と、屈曲部114の下面に沿って斜め下方に指向する傾斜壁116とからなる断面視でく字状に屈曲形成された、左右方向に長い長尺の金属成形品であり、縦壁115と傾斜壁116との間には、下向きに開口して、ロック部材113のロックピース120の挿入を許す装着部117が凹み形成されている(
図5参照)。
【0020】
図4に示すように、ロック部材113は、蓋体105の前端縁の等間隔位置に配置される。各ロック部材113は、蓋体105の前端部に設けられた揺動軸119と、係合片112に係合するロック姿勢(
図5参照)と、係合片112との係合状態が解除されるアンロック姿勢(
図1参照)との間で揺動軸119を中心に切り換え可能に支持されたロックピース120と、揺動軸119に外嵌装着されてロックピース120をロック姿勢に向って回動付勢するねじりコイル形のバネ121と、蓋体105の前端部に固定されて揺動軸119を軸支する軸受孔を有するブラケット125とで構成される。ロックピース120は、揺動軸119に外嵌装着される円筒部122と、円筒部122から片持ち状に延出される舌片123と、舌片123の遊端部に屈曲形成された断面三角形状の係合爪124とで構成される。
図5に示すように、ロックピース120の係合爪124が、係合片112の前端縁を乗り越えて装着部117内に進入することで、ロックピース120をロック姿勢として、ロックピース120と係合片112との間に係合状態が確立されるようになっている。
【0021】
図4及び
図5において符号127は、舌片123の遊端の前面に溶接固定された操作バーを示す。操作バー127は、蓋体105の左右寸法と略同寸法に形成された、長尺の一本の丸軸であり、この操作バー127をロック操作機構6を構成する操作カム44のロックレバー48が後方に向って押し込むことで、ロックピース120をロック姿勢に変位させることができるようになっている。このように操作バー127を介してロックピース120が押し込み操作されるようになっていると、各ロック部材113に対応して、それぞれのロック部材113を押し込み操作する操作カム44を設ける構成に比べて、ロックピース120と操作カム44との位置関係に厳密性が要求されず、より簡単且つ確実にロックピース120をロック姿勢とすることができる。
図4及び
図7において符号128は、操作バー127の2ヶ所に設置された操作爪を示しており、この操作爪128を押し上げることで、ロックピース120と係合片112との間の係合状態を解除して、ロックピース120をロック姿勢からアンロック姿勢に変位させることができる。
【0022】
以上のような構成からなるリテーナー100の蓋体105を押圧する押圧機構5は、上下動可能に構成されて、蓋体105に対して上方から押圧力を付与する左右横長の押圧板25と、押圧板25に上下方向の直線往復動力を付与して押圧板25を昇降させる縦動機構26と、縦動機構による押圧板25の左右端における昇降動作を同期させる同期機構27とで構成される。
図2及び
図8に示すように、縦動機構26は、上段のボード13上に固定された3台のエアーシリンダー28からなり、各エアーシリンダー28のピストンロッド29の下端は、ブラケット30を介して押圧板25に連結されている(
図1参照)。各エアーシリンダー28には図外の一台のエアーコンプレッサーからエアーが供給されている。
【0023】
図8及び
図9に示すように、同期機構27は、押圧板25の左右端部に設けられて、押圧板25の昇降動作に連動して上下動する左右一対の連動アーム32と、各連動アーム32に刻設されたラック33と、各ラック33と噛合する中間ギヤ34と、中間ギヤ34に噛合する終段ギヤ(歯車)35と、左右の終段ギヤ35の間に架設されて、両ギヤ35の回転を同期させる連結シャフト36とで構成される。
図8及び
図9において符号37は中間ギヤ34の回転中心となるギヤ軸を、符号38は中間ギヤ34と連動して連動アーム32の上下方向の昇降動作を案内するガイドローラを、符号39は同期機構27の支持金具を示す。
【0024】
以上のような同期機構27を設けることにより、左右の連動アーム32の昇降動作を同期させることができるので、水平姿勢に維持しながら押圧板25を昇降させることが可能となる。以上より、各エアーシリンダー28に供給されるエアーの供給量にバラツキが生じて各ピストンロッド29のシリンダーケースからの進出量が不均一となった場合でも、押圧板25が左右のいずれか一方の端部が下方に位置するような傾斜姿勢となることを防いで、押圧板25を水平姿勢に維持しながら昇降動作させることができる。従って、蓋体105の全体を押圧板25で適切に押圧して、蓋体105を開姿勢から閉姿勢に変位させることができる。
【0025】
図2に示すように、ロック操作機構6は、押圧板25の前端縁に沿って並設された計5個のロック操作体41で構成される。
図1、
図3及び
図5において、各ロック操作体41は、押圧板25の前端に固定された支持体42と、支持体42に設けられた操作軸43を中心にして回動可能に構成された操作カム44と、操作カム44に回動駆動力を付与する回動機構45とで構成される。操作カム44は、一端が操作軸43に連結された揺動レバー47と、揺動レバー47の他端から連設されたロックレバー48とからなり、側面視でL字状に形成される。両レバー47・48の連結部には、回動機構45であるエアーシリンダー50のピストンロッド51がカップリング52を介して連結されており、ピストンロッド51が上下に往復駆動することにより、ロックレバー48が上方側に位置する待機姿勢(
図1参照)と、ロックレバー48が下方側に位置して操作バー127を介してロックピース120の係合爪124を係合片112の装着部117に向って押し込む操作姿勢(
図5参照)との間で、操作カム44を操作軸43を中心に揺動駆動させることができる。エアーシリンダー50のシリンダーケースの上端は吊持軸53で支持体42に連結されており、エアーシリンダー50は支持体42に吊持軸53を中心に回動可能に吊り下げられている。
図3および
図5において、符号54は操作カム44とカップリング52とを相対回転可能に連結する連結軸を示す。
【0026】
シャッター7は、自動ロック装置1の前面に沿って上下方向にスライド開閉自在に構成されている。シャッター開閉機構8は、下段と中段のボード11・12の間に固定されたアクチュエータであり、自動ロック装置1の前方開口を開く開姿勢と、前方開口の略半分を封止する閉姿勢との間でシャッター7を開閉操作する。
【0027】
以上のような構成からなる自動ロック装置1によるリテーナー100に対するロック操作について説明する。まず、自動ロック装置1の制御装置は、搬送機構4の第1コンベアユニット16を駆動させて原料肉102が収容されたリテーナー100をテーブル3上に送り込む。このとき、ロック対象となるリテーナー100は下流側(左側)に位置する他のリテーナー100により上流側(右側)に押されて、テーブル3上を上流側から下流側に移動される(
図4参照)。センサによりリテーナー100の右端が所定位置に至ったことが検知されると、制御装置は第1コンベアユニット16の駆動を停止する。次に、制御装置は、プッシュユニット18のアクチュエータ20を駆動して、リテーナー100をガイド21に押し付けて、当該リテーナー100をロック操作位置に配置させる。
【0028】
次に制御装置は、シャッター開閉機構9を駆動させてシャッター7を閉姿勢としたうえで、押圧機構5を駆動させて押圧板25により蓋体105を押し下げる(
図1参照)。具体的には、押圧機構5を構成する3個のエアーシリンダー28にエアーを供給して、押圧板25を下方に変位させて、蓋体105を押し下げる。このときの押圧板25の左右端における下降幅は、同期機構27により均一化されるので、押圧板25は傾くことなく水平姿勢を維持したままで下降される。
【0029】
次に制御装置は、ロック操作機構6を駆動させて、蓋ロック体106のロックピース120と係合片112との間の係合状態を確立させる。具体的には、ロック操作機構6を構成するエアーシリンダー50にエアーを供給して、操作カム44を待機姿勢(
図1参照)から操作姿勢(
図5参照)に揺動させる。これにて、操作バー127を介してロックピース120の係合爪124を後方に向って押し込み、係合爪124を係合片112の前端縁を乗り越えて装着部117内に進入させる。以上より、ロックピース120をロック姿勢として、ロックピース120と係合片112との間に係合状態を確立させることができるので、蓋体105は閉姿勢に保持される。
【0030】
以上のようなロック操作機構6による蓋ロック体106に対するロック操作が終了すると、再び第1コンベアユニット16を駆動して、リテーナー100をテーブル3から下流側に押し出す。同時にシャッター開閉機構8を駆動させて、シャッター7を開姿勢とする。テーブル3から押し出されたリテーナー100は第2コンベアユニット17により下流側の加熱処理装置に送られる。
【0031】
以上のように、本実施例に係る自動ロック装置1によれば、リテーナー100の蓋体105に対する閉じ工程と、蓋体105に対するロック工程とを、人手を煩わすことなく自動的に行うことができるので、ベーコン等の製造の生産性の向上を図ることができる。リテーナー本体103や蓋体105への人体手指の接触機会を少なくすることができるので、より安全かつ衛生的にベーコン等を製造することができる。
【0032】
押圧機構5に、複数個の縦動機構26による押圧板25の昇降動作を同期させる同期機構27を設けたので、蓋体105を適切な閉姿勢として、蓋ロック体106によるロック操作を確実に実行することができる。従って、自動ロック装置1の信頼性の向上を図ることができる。
【0033】
ロック操作機構6が、押圧板25に固定された支持体42と、支持体42に設けられた操作軸43を中心にして回動可能に構成された操作カム44と、操作カム44に回動駆動力を付与する回動機構45とを含むものとして、回動機構45により操作カム44が回動されると、操作カム44のロックレバー48がロックピース120をアンロック姿勢からロック姿勢に向って押し込み、ロックピース120が係合片112の前端縁を乗り越えることで、ロックピース120と係合片112との間の係合状態を確立させることができる。従って、簡単な構成でもって確実に、ロック操作機構6による蓋ロック体106に対するロック操作を実行できる。
【0034】
上記の実施例では、押圧機構5の縦動機構26や、ロック操作機構6の回動機構45をエアーシリンダーで構成したが、アクチュエータとしてはこれに限られず、電動シリンダーなどであってもよい。