【文献】
WOLF, M.T. et al.,Tissue Engineering Part A,2015年,Vol. 21, No. S1,p. S-52
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細胞外マトリックスが、食道組織、膀胱、小腸粘膜下組織、真皮、臍帯、心膜、心組織、腫瘍組織または骨格筋に由来する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
前記消化された細胞外マトリックスを遠心分離するステップが、約300〜約1000gで約10〜約15分間、約2000g〜約3000gで約20〜約30分間および約10,000〜約15,000gで約25〜約40分間の遠心分離を含む、請求項13または14に記載の方法。
前記消化された細胞外マトリックスを遠心分離するステップが、約500gで約10分間の遠心分離、約2,500gで約20分間の遠心分離および/または約10,000gで約30分間の遠心分離を含む、請求項15に記載の方法。
線維不含上清を遠心分離するステップが、約100,000g〜約150,000gで約60〜約90分間の遠心分離を含む、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
前記細胞外マトリックスが、食道組織、膀胱、小腸粘膜下組織、真皮、臍帯、心膜、心組織または骨格筋から単離される、請求項13〜21のいずれか一項に記載の方法。
外科用メッシュ、ステント、ペースメーカー、カテーテル、心臓弁、バイオセンサー、薬物送達デバイスまたは整形外科インプラントである、請求項41に記載の医療デバイス。
前記細胞外マトリックスが、食道組織、膀胱、小腸粘膜下組織、真皮、臍帯、心膜、心組織または骨格筋から単離される、請求項43〜48のいずれか一項に記載の方法。
腫瘍細胞の増殖を低下させ、腫瘍細胞のアポトーシスを増加させ、および/または腫瘍細胞の遊走を減少させるための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物であって、
該腫瘍細胞は、有効量の該組成物と接触させられ、これにより、該腫瘍細胞の増殖が低下させられ、該腫瘍細胞のアポトーシスが増加させられ、および/または該腫瘍細胞の遊走が減少させられることを特徴とする、組成物。
腫瘍を有する被験体を処置するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物であって、治療有効量の該組成物が該被験体に投与され、これにより、該被験体における該腫瘍が処置されることを特徴とする、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1A〜1C。UBM、SIS、または真皮と市販の等価物からの核酸濃度の比較。(A)UBM試料、(B)SIS試料および(C)真皮試料の未消化およびプロテイナーゼKまたはコラゲナーゼ消化試料由来の、乾燥重量ECM足場1mgあたりの全核酸およびdsDNAの濃度。全核酸濃度は、260nmでのUV吸光度によって評価した。dsDNA濃度は、picogreen dsDNA定量試薬によって評価した。単離間変動は、標準偏差によって示される。データは、平均±s.d.、n=1試料あたり3回の単離として示される。
【
図1B】
図1A〜1C。UBM、SIS、または真皮と市販の等価物からの核酸濃度の比較。(A)UBM試料、(B)SIS試料および(C)真皮試料の未消化およびプロテイナーゼKまたはコラゲナーゼ消化試料由来の、乾燥重量ECM足場1mgあたりの全核酸およびdsDNAの濃度。全核酸濃度は、260nmでのUV吸光度によって評価した。dsDNA濃度は、picogreen dsDNA定量試薬によって評価した。単離間変動は、標準偏差によって示される。データは、平均±s.d.、n=1試料あたり3回の単離として示される。
【
図1C】
図1A〜1C。UBM、SIS、または真皮と市販の等価物からの核酸濃度の比較。(A)UBM試料、(B)SIS試料および(C)真皮試料の未消化およびプロテイナーゼKまたはコラゲナーゼ消化試料由来の、乾燥重量ECM足場1mgあたりの全核酸およびdsDNAの濃度。全核酸濃度は、260nmでのUV吸光度によって評価した。dsDNA濃度は、picogreen dsDNA定量試薬によって評価した。単離間変動は、標準偏差によって示される。データは、平均±s.d.、n=1試料あたり3回の単離として示される。
【
図2A】
図2A〜2D。脱細胞化されたECM足場の酵素消化は、小RNA分子を放出する。(A)未消化のUBM(対照)およびプロテイナーゼKまたはコラゲナーゼ消化物から抽出されたRNase A、DNase Iまたは未処理核酸のアガロースゲル電気泳動。(B)DNase I処理の前(上部パネル)および後(下部パネル)のコラゲナーゼ消化UBMから抽出された核酸の小RNAパターンを示す電気泳動図。(C)DNase I処理後のコラゲナーゼ消化試料からの小RNAパターンを示す電気泳動図。(D)生物学的足場中の小RNA分子は、ヌクレアーゼ分解から保護される。
【
図2B】
図2A〜2D。脱細胞化されたECM足場の酵素消化は、小RNA分子を放出する。(A)未消化のUBM(対照)およびプロテイナーゼKまたはコラゲナーゼ消化物から抽出されたRNase A、DNase Iまたは未処理核酸のアガロースゲル電気泳動。(B)DNase I処理の前(上部パネル)および後(下部パネル)のコラゲナーゼ消化UBMから抽出された核酸の小RNAパターンを示す電気泳動図。(C)DNase I処理後のコラゲナーゼ消化試料からの小RNAパターンを示す電気泳動図。(D)生物学的足場中の小RNA分子は、ヌクレアーゼ分解から保護される。
【
図2C】
図2A〜2D。脱細胞化されたECM足場の酵素消化は、小RNA分子を放出する。(A)未消化のUBM(対照)およびプロテイナーゼKまたはコラゲナーゼ消化物から抽出されたRNase A、DNase Iまたは未処理核酸のアガロースゲル電気泳動。(B)DNase I処理の前(上部パネル)および後(下部パネル)のコラゲナーゼ消化UBMから抽出された核酸の小RNAパターンを示す電気泳動図。(C)DNase I処理後のコラゲナーゼ消化試料からの小RNAパターンを示す電気泳動図。(D)生物学的足場中の小RNA分子は、ヌクレアーゼ分解から保護される。
【
図2D】
図2A〜2D。脱細胞化されたECM足場の酵素消化は、小RNA分子を放出する。(A)未消化のUBM(対照)およびプロテイナーゼKまたはコラゲナーゼ消化物から抽出されたRNase A、DNase Iまたは未処理核酸のアガロースゲル電気泳動。(B)DNase I処理の前(上部パネル)および後(下部パネル)のコラゲナーゼ消化UBMから抽出された核酸の小RNAパターンを示す電気泳動図。(C)DNase I処理後のコラゲナーゼ消化試料からの小RNAパターンを示す電気泳動図。(D)生物学的足場中の小RNA分子は、ヌクレアーゼ分解から保護される。
【
図3A】
図3A〜3F。ECM包埋ナノベシクルの同定。円形構造としてオスミウムで陽性に染色された水和UBMのTEMイメージングが同定された(A)。ペプシンプロテアーゼによる酵素消化は、MBVが線維内に捕捉されるときに部分消化をもたらした。コラゲナーゼまたはプロテイナーゼKによる完全消化は、TEM画像(B)において明らかなように、ECM線維からのMBVの完全な分離をもたらした。3つの市販および実験室で産生された生成物からのプロテイナーゼ−K消化ECM(100mg)(C)によって、全ての試料中のECM内に包埋されたMBVの存在が明らかになる。MBVタンパク質カーゴシグネチャは、ECM生成物についてSDS−page Silverstainを使用して評価した。タンパク質シグネチャは、各々の試料で異なった(D)。ウエスタンブロット分析を、2つのエキソソーム表面マーカーCD−63およびCD−81に対して行った。発現レベルは、ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞およびヒト血清対照と比較して検出可能ではなかった(E)。MBVサイズの検証は、Nanosightを介して測定した。粒子サイズは、MBVと一致した(F)。データは、平均±s.d.、n=1として示す。
【
図3B】
図3A〜3F。ECM包埋ナノベシクルの同定。円形構造としてオスミウムで陽性に染色された水和UBMのTEMイメージングが同定された(A)。ペプシンプロテアーゼによる酵素消化は、MBVが線維内に捕捉されるときに部分消化をもたらした。コラゲナーゼまたはプロテイナーゼKによる完全消化は、TEM画像(B)において明らかなように、ECM線維からのMBVの完全な分離をもたらした。3つの市販および実験室で産生された生成物からのプロテイナーゼ−K消化ECM(100mg)(C)によって、全ての試料中のECM内に包埋されたMBVの存在が明らかになる。MBVタンパク質カーゴシグネチャは、ECM生成物についてSDS−page Silverstainを使用して評価した。タンパク質シグネチャは、各々の試料で異なった(D)。ウエスタンブロット分析を、2つのエキソソーム表面マーカーCD−63およびCD−81に対して行った。発現レベルは、ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞およびヒト血清対照と比較して検出可能ではなかった(E)。MBVサイズの検証は、Nanosightを介して測定した。粒子サイズは、MBVと一致した(F)。データは、平均±s.d.、n=1として示す。
【
図3C】
図3A〜3F。ECM包埋ナノベシクルの同定。円形構造としてオスミウムで陽性に染色された水和UBMのTEMイメージングが同定された(A)。ペプシンプロテアーゼによる酵素消化は、MBVが線維内に捕捉されるときに部分消化をもたらした。コラゲナーゼまたはプロテイナーゼKによる完全消化は、TEM画像(B)において明らかなように、ECM線維からのMBVの完全な分離をもたらした。3つの市販および実験室で産生された生成物からのプロテイナーゼ−K消化ECM(100mg)(C)によって、全ての試料中のECM内に包埋されたMBVの存在が明らかになる。MBVタンパク質カーゴシグネチャは、ECM生成物についてSDS−page Silverstainを使用して評価した。タンパク質シグネチャは、各々の試料で異なった(D)。ウエスタンブロット分析を、2つのエキソソーム表面マーカーCD−63およびCD−81に対して行った。発現レベルは、ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞およびヒト血清対照と比較して検出可能ではなかった(E)。MBVサイズの検証は、Nanosightを介して測定した。粒子サイズは、MBVと一致した(F)。データは、平均±s.d.、n=1として示す。
【
図3D】
図3A〜3F。ECM包埋ナノベシクルの同定。円形構造としてオスミウムで陽性に染色された水和UBMのTEMイメージングが同定された(A)。ペプシンプロテアーゼによる酵素消化は、MBVが線維内に捕捉されるときに部分消化をもたらした。コラゲナーゼまたはプロテイナーゼKによる完全消化は、TEM画像(B)において明らかなように、ECM線維からのMBVの完全な分離をもたらした。3つの市販および実験室で産生された生成物からのプロテイナーゼ−K消化ECM(100mg)(C)によって、全ての試料中のECM内に包埋されたMBVの存在が明らかになる。MBVタンパク質カーゴシグネチャは、ECM生成物についてSDS−page Silverstainを使用して評価した。タンパク質シグネチャは、各々の試料で異なった(D)。ウエスタンブロット分析を、2つのエキソソーム表面マーカーCD−63およびCD−81に対して行った。発現レベルは、ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞およびヒト血清対照と比較して検出可能ではなかった(E)。MBVサイズの検証は、Nanosightを介して測定した。粒子サイズは、MBVと一致した(F)。データは、平均±s.d.、n=1として示す。
【
図3E】
図3A〜3F。ECM包埋ナノベシクルの同定。円形構造としてオスミウムで陽性に染色された水和UBMのTEMイメージングが同定された(A)。ペプシンプロテアーゼによる酵素消化は、MBVが線維内に捕捉されるときに部分消化をもたらした。コラゲナーゼまたはプロテイナーゼKによる完全消化は、TEM画像(B)において明らかなように、ECM線維からのMBVの完全な分離をもたらした。3つの市販および実験室で産生された生成物からのプロテイナーゼ−K消化ECM(100mg)(C)によって、全ての試料中のECM内に包埋されたMBVの存在が明らかになる。MBVタンパク質カーゴシグネチャは、ECM生成物についてSDS−page Silverstainを使用して評価した。タンパク質シグネチャは、各々の試料で異なった(D)。ウエスタンブロット分析を、2つのエキソソーム表面マーカーCD−63およびCD−81に対して行った。発現レベルは、ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞およびヒト血清対照と比較して検出可能ではなかった(E)。MBVサイズの検証は、Nanosightを介して測定した。粒子サイズは、MBVと一致した(F)。データは、平均±s.d.、n=1として示す。
【
図3F】
図3A〜3F。ECM包埋ナノベシクルの同定。円形構造としてオスミウムで陽性に染色された水和UBMのTEMイメージングが同定された(A)。ペプシンプロテアーゼによる酵素消化は、MBVが線維内に捕捉されるときに部分消化をもたらした。コラゲナーゼまたはプロテイナーゼKによる完全消化は、TEM画像(B)において明らかなように、ECM線維からのMBVの完全な分離をもたらした。3つの市販および実験室で産生された生成物からのプロテイナーゼ−K消化ECM(100mg)(C)によって、全ての試料中のECM内に包埋されたMBVの存在が明らかになる。MBVタンパク質カーゴシグネチャは、ECM生成物についてSDS−page Silverstainを使用して評価した。タンパク質シグネチャは、各々の試料で異なった(D)。ウエスタンブロット分析を、2つのエキソソーム表面マーカーCD−63およびCD−81に対して行った。発現レベルは、ヒト骨髄由来の間葉系幹細胞およびヒト血清対照と比較して検出可能ではなかった(E)。MBVサイズの検証は、Nanosightを介して測定した。粒子サイズは、MBVと一致した(F)。データは、平均±s.d.、n=1として示す。
【
図4A】
図4A〜4C。小RNA配列決定データによって、市販の生成物と並行した実験室作製生成物との間の相互のmiRNAと同様に、ナノベシクル内のmiRNAの存在が明らかになる(A)。インジェヌイティ・パスウェイ・アナリシス(Ingenuity pathway analysis:IPA)は、異なる細胞機能経路(すなわち、細胞周期、細胞死および細胞成長)が、同定されたmiRNAに含まれていることを明らかにし、(B)と関連している。
【
図4B】
図4A〜4C。小RNA配列決定データによって、市販の生成物と並行した実験室作製生成物との間の相互のmiRNAと同様に、ナノベシクル内のmiRNAの存在が明らかになる(A)。インジェヌイティ・パスウェイ・アナリシス(Ingenuity pathway analysis:IPA)は、異なる細胞機能経路(すなわち、細胞周期、細胞死および細胞成長)が、同定されたmiRNAに含まれていることを明らかにし、(B)と関連している。
【
図4C】
図4A〜4C。小RNA配列決定データによって、市販の生成物と並行した実験室作製生成物との間の相互のmiRNAと同様に、ナノベシクル内のmiRNAの存在が明らかになる(A)。インジェヌイティ・パスウェイ・アナリシス(Ingenuity pathway analysis:IPA)は、異なる細胞機能経路(すなわち、細胞周期、細胞死および細胞成長)が、同定されたmiRNAに含まれていることを明らかにし、(B)と関連している。
【
図5A】
図5A〜5F。C2C12におけるナノベシクル取り込み(A)。N1E−115細胞を使用した神経突起伸長アッセイ(B)。PVSC(n=3)は、スクラッチアッセイ(C)によって見られるように、その移動度を達成する形態学的に有意な変化を有していた。細胞数(D)で観察された増加を定量するために、血球計数器を使用した。UBM生体足場から単離されたナノベシクルは、構成的なM2マクロファージ表現型を促進する。(E)骨髄を、C57bl/6マウスから単離し、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)を補充した培地で培養してマクロファージを誘導した。マクロファージを、M1マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPSで処理し、M2マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIL−4で処理し、かつUBM源由来の5ug/ml(タンパク質/容量)の単離エキソソームで処理した。マクロファージを固定し、汎マクロファージマーカー(F4/80)、ならびにM1(iNOS)およびM2(Fizz1)表現型の強力な指標について免疫標識した。ナノベシクル処理されたマクロファージは、主にF4/80+Fizz1+であり、M2「様」表現型を示す。(F)THP−1における遺伝子発現は、UBMエキソソーム形質導入によって変化する。A:THP−1を、UBM単離のエキソソーム(n=3)で形質導入し、遺伝子発現を、M1およびM2関連マーカー(iNOS、TNFa、STAT1、STAT2、STAT5A、STAT5B、IRF3、IRF4、IRF5、IL1RN、CD206、TGM2、STAT3、STAT6、KLF4、PPARg)の両方についてqPCRによって24時間後に評価した。上記の実験の全てのナノベシクル曝露用量は、50ug/ml(タンパク質/容量)であった。
【
図5B】
図5A〜5F。C2C12におけるナノベシクル取り込み(A)。N1E−115細胞を使用した神経突起伸長アッセイ(B)。PVSC(n=3)は、スクラッチアッセイ(C)によって見られるように、その移動度を達成する形態学的に有意な変化を有していた。細胞数(D)で観察された増加を定量するために、血球計数器を使用した。UBM生体足場から単離されたナノベシクルは、構成的なM2マクロファージ表現型を促進する。(E)骨髄を、C57bl/6マウスから単離し、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)を補充した培地で培養してマクロファージを誘導した。マクロファージを、M1マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPSで処理し、M2マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIL−4で処理し、かつUBM源由来の5ug/ml(タンパク質/容量)の単離エキソソームで処理した。マクロファージを固定し、汎マクロファージマーカー(F4/80)、ならびにM1(iNOS)およびM2(Fizz1)表現型の強力な指標について免疫標識した。ナノベシクル処理されたマクロファージは、主にF4/80+Fizz1+であり、M2「様」表現型を示す。(F)THP−1における遺伝子発現は、UBMエキソソーム形質導入によって変化する。A:THP−1を、UBM単離のエキソソーム(n=3)で形質導入し、遺伝子発現を、M1およびM2関連マーカー(iNOS、TNFa、STAT1、STAT2、STAT5A、STAT5B、IRF3、IRF4、IRF5、IL1RN、CD206、TGM2、STAT3、STAT6、KLF4、PPARg)の両方についてqPCRによって24時間後に評価した。上記の実験の全てのナノベシクル曝露用量は、50ug/ml(タンパク質/容量)であった。
【
図5C】
図5A〜5F。C2C12におけるナノベシクル取り込み(A)。N1E−115細胞を使用した神経突起伸長アッセイ(B)。PVSC(n=3)は、スクラッチアッセイ(C)によって見られるように、その移動度を達成する形態学的に有意な変化を有していた。細胞数(D)で観察された増加を定量するために、血球計数器を使用した。UBM生体足場から単離されたナノベシクルは、構成的なM2マクロファージ表現型を促進する。(E)骨髄を、C57bl/6マウスから単離し、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)を補充した培地で培養してマクロファージを誘導した。マクロファージを、M1マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPSで処理し、M2マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIL−4で処理し、かつUBM源由来の5ug/ml(タンパク質/容量)の単離エキソソームで処理した。マクロファージを固定し、汎マクロファージマーカー(F4/80)、ならびにM1(iNOS)およびM2(Fizz1)表現型の強力な指標について免疫標識した。ナノベシクル処理されたマクロファージは、主にF4/80+Fizz1+であり、M2「様」表現型を示す。(F)THP−1における遺伝子発現は、UBMエキソソーム形質導入によって変化する。A:THP−1を、UBM単離のエキソソーム(n=3)で形質導入し、遺伝子発現を、M1およびM2関連マーカー(iNOS、TNFa、STAT1、STAT2、STAT5A、STAT5B、IRF3、IRF4、IRF5、IL1RN、CD206、TGM2、STAT3、STAT6、KLF4、PPARg)の両方についてqPCRによって24時間後に評価した。上記の実験の全てのナノベシクル曝露用量は、50ug/ml(タンパク質/容量)であった。
【
図5D】
図5A〜5F。C2C12におけるナノベシクル取り込み(A)。N1E−115細胞を使用した神経突起伸長アッセイ(B)。PVSC(n=3)は、スクラッチアッセイ(C)によって見られるように、その移動度を達成する形態学的に有意な変化を有していた。細胞数(D)で観察された増加を定量するために、血球計数器を使用した。UBM生体足場から単離されたナノベシクルは、構成的なM2マクロファージ表現型を促進する。(E)骨髄を、C57bl/6マウスから単離し、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)を補充した培地で培養してマクロファージを誘導した。マクロファージを、M1マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPSで処理し、M2マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIL−4で処理し、かつUBM源由来の5ug/ml(タンパク質/容量)の単離エキソソームで処理した。マクロファージを固定し、汎マクロファージマーカー(F4/80)、ならびにM1(iNOS)およびM2(Fizz1)表現型の強力な指標について免疫標識した。ナノベシクル処理されたマクロファージは、主にF4/80+Fizz1+であり、M2「様」表現型を示す。(F)THP−1における遺伝子発現は、UBMエキソソーム形質導入によって変化する。A:THP−1を、UBM単離のエキソソーム(n=3)で形質導入し、遺伝子発現を、M1およびM2関連マーカー(iNOS、TNFa、STAT1、STAT2、STAT5A、STAT5B、IRF3、IRF4、IRF5、IL1RN、CD206、TGM2、STAT3、STAT6、KLF4、PPARg)の両方についてqPCRによって24時間後に評価した。上記の実験の全てのナノベシクル曝露用量は、50ug/ml(タンパク質/容量)であった。
【
図5E】
図5A〜5F。C2C12におけるナノベシクル取り込み(A)。N1E−115細胞を使用した神経突起伸長アッセイ(B)。PVSC(n=3)は、スクラッチアッセイ(C)によって見られるように、その移動度を達成する形態学的に有意な変化を有していた。細胞数(D)で観察された増加を定量するために、血球計数器を使用した。UBM生体足場から単離されたナノベシクルは、構成的なM2マクロファージ表現型を促進する。(E)骨髄を、C57bl/6マウスから単離し、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)を補充した培地で培養してマクロファージを誘導した。マクロファージを、M1マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPSで処理し、M2マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIL−4で処理し、かつUBM源由来の5ug/ml(タンパク質/容量)の単離エキソソームで処理した。マクロファージを固定し、汎マクロファージマーカー(F4/80)、ならびにM1(iNOS)およびM2(Fizz1)表現型の強力な指標について免疫標識した。ナノベシクル処理されたマクロファージは、主にF4/80+Fizz1+であり、M2「様」表現型を示す。(F)THP−1における遺伝子発現は、UBMエキソソーム形質導入によって変化する。A:THP−1を、UBM単離のエキソソーム(n=3)で形質導入し、遺伝子発現を、M1およびM2関連マーカー(iNOS、TNFa、STAT1、STAT2、STAT5A、STAT5B、IRF3、IRF4、IRF5、IL1RN、CD206、TGM2、STAT3、STAT6、KLF4、PPARg)の両方についてqPCRによって24時間後に評価した。上記の実験の全てのナノベシクル曝露用量は、50ug/ml(タンパク質/容量)であった。
【
図5F】
図5A〜5F。C2C12におけるナノベシクル取り込み(A)。N1E−115細胞を使用した神経突起伸長アッセイ(B)。PVSC(n=3)は、スクラッチアッセイ(C)によって見られるように、その移動度を達成する形態学的に有意な変化を有していた。細胞数(D)で観察された増加を定量するために、血球計数器を使用した。UBM生体足場から単離されたナノベシクルは、構成的なM2マクロファージ表現型を促進する。(E)骨髄を、C57bl/6マウスから単離し、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)を補充した培地で培養してマクロファージを誘導した。マクロファージを、M1マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPSで処理し、M2マクロファージを誘導するために、20ng/mlのIL−4で処理し、かつUBM源由来の5ug/ml(タンパク質/容量)の単離エキソソームで処理した。マクロファージを固定し、汎マクロファージマーカー(F4/80)、ならびにM1(iNOS)およびM2(Fizz1)表現型の強力な指標について免疫標識した。ナノベシクル処理されたマクロファージは、主にF4/80+Fizz1+であり、M2「様」表現型を示す。(F)THP−1における遺伝子発現は、UBMエキソソーム形質導入によって変化する。A:THP−1を、UBM単離のエキソソーム(n=3)で形質導入し、遺伝子発現を、M1およびM2関連マーカー(iNOS、TNFa、STAT1、STAT2、STAT5A、STAT5B、IRF3、IRF4、IRF5、IL1RN、CD206、TGM2、STAT3、STAT6、KLF4、PPARg)の両方についてqPCRによって24時間後に評価した。上記の実験の全てのナノベシクル曝露用量は、50ug/ml(タンパク質/容量)であった。
【
図6】異なる供給源上のディープシーケンシングにおけるmir−145pの読み取りを示す表。mir−145−5pは、細胞外マトリックス(線維芽細胞)に関連するものを除いて、血漿、尿、細胞培地、または細胞由来のエキソソームでは高度には発現されていない。mir−145−5pは、全ての組織において、異なる比率で、ならびに細胞外マトリックス足場から単離されたエキソソームにおいて、発現される。let−7b−5pの存在を対照として使用した。参考文献は、Huangら、BMC Genomics、2013年;14巻:319頁、doi:10.1186/1471-2164-14-319;Ben-Dovら、PLoS ONE、2016年;11巻(1号):e0147249.doi:10.1371/journal.pone.0147249;Jiら、PLoS ONE、2014年;9巻(10号):e110314.doi:10.1371/journal.pone.0110314;Stevanatoら、PLoS ONE、2016年;11巻(1号):e0146353.doi:10.1371/journal.pone.0146353;Kuchenら、Immunity、2010年;32巻(6号):828〜839頁、doi:10.1016/j.immuni.2010.05.009である。
【
図7】異なる組織および細胞株の間のmir−145発現プロファイル。mir−145は、正常組織で高度に発現される。mir−145は腫瘍中で低い程度で発現される。mir−145は、T細胞またはB細胞腫瘍においても、特定の細胞株においても発現されない。配列番号1が示されている。
【
図8A】
図8Aおよび8B。追加の単離方法を示す概略図。この方法の追加の詳細は、実施例7に提供されている。
【
図8B】
図8Aおよび8B。追加の単離方法を示す概略図。この方法の追加の詳細は、実施例7に提供されている。
【
図9A】
図9Aおよび9B。A.KCl単離。KClの添加は、超遠心分離を用いたECMからのマトリックス結合ナノベシクル(MBV)の単離を可能にするが、KCl濃度を増加させる場合、差も利益も見られない(ns=有意差なし、
*=p<0.05)。B.0.2M KClをPBSに添加して単離したMBVのTEM。
【
図9B】
図9Aおよび9B。A.KCl単離。KClの添加は、超遠心分離を用いたECMからのマトリックス結合ナノベシクル(MBV)の単離を可能にするが、KCl濃度を増加させる場合、差も利益も見られない(ns=有意差なし、
*=p<0.05)。B.0.2M KClをPBSに添加して単離したMBVのTEM。
【
図10】
図10。RNA定量。RNase処理の前後のRNA量を、3つの異なる方法によって単離されたマトリックス結合ナノベシクル(MBV)について定量した。プロテイナーゼK(酵素に基づく)およびKCl(塩の単離)を使用した場合のMBVの量の間には差はなかったが、コラゲナーゼを使用した場合には、収量がさらに大きかった。
【
図11A】
図11A〜11B。塩および限外濾過。A.コラゲナーゼ0.1を用いる超遠心分離(UC)単離されたMBVの分量を、UCおよび限外濾過(UF)の両方を用いてKClで単離されたMBVと比較した。0.8M KClに曝露した後のペレット化ECMを、次に0.1mg/mLのコラゲナーゼで消化し、KCl処理後にまだECM中にMBVが残っていることを示した。KClおよび限外濾過は、他の方法よりも4倍高いMBVの最高収量をもたらした。括弧内は、ECM材料Bの出発量。Nanosightで測定した0.8M KClおよび限外濾過で単離したMBVのサイズ粒子分布は、10〜300nmのサイズの粒子を示す。
【
図11B】
図11A〜11B。塩および限外濾過。A.コラゲナーゼ0.1を用いる超遠心分離(UC)単離されたMBVの分量を、UCおよび限外濾過(UF)の両方を用いてKClで単離されたMBVと比較した。0.8M KClに曝露した後のペレット化ECMを、次に0.1mg/mLのコラゲナーゼで消化し、KCl処理後にまだECM中にMBVが残っていることを示した。KClおよび限外濾過は、他の方法よりも4倍高いMBVの最高収量をもたらした。括弧内は、ECM材料Bの出発量。Nanosightで測定した0.8M KClおよび限外濾過で単離したMBVのサイズ粒子分布は、10〜300nmのサイズの粒子を示す。
【
図12A】
図12A〜12B。KClの効果。A.水、PBS、および漸増濃度のKClを含むPBSにECMを再懸濁させることによって、MBVを単離した。限外濾過を使用して最終ペレットを単離した。MBVは、PBSおよびKClを含むPBSで単離することができたが、ECMを水PBSに再懸濁させてもMBVは得られなかった。B.PBS、KH
2PO
4バッファーおよび0.4M KClを含むKH
2PO
4バッファーにECMを再懸濁させることによって、MBVを単離した。PBS単離されたMBVを、同量のMBVを有するPBSおよび水の両方に懸濁させ、MBVが存続可能であり、水中で破裂しないことを示した。KH
2PO
4バッファー単独ではMBVを単離することができないが、KClを添加するとMBVが得られ、これによって、単離に関与するのが、塩の添加であるということが示された。
【
図12B】
図12A〜12B。KClの効果。A.水、PBS、および漸増濃度のKClを含むPBSにECMを再懸濁させることによって、MBVを単離した。限外濾過を使用して最終ペレットを単離した。MBVは、PBSおよびKClを含むPBSで単離することができたが、ECMを水PBSに再懸濁させてもMBVは得られなかった。B.PBS、KH
2PO
4バッファーおよび0.4M KClを含むKH
2PO
4バッファーにECMを再懸濁させることによって、MBVを単離した。PBS単離されたMBVを、同量のMBVを有するPBSおよび水の両方に懸濁させ、MBVが存続可能であり、水中で破裂しないことを示した。KH
2PO
4バッファー単独ではMBVを単離することができないが、KClを添加するとMBVが得られ、これによって、単離に関与するのが、塩の添加であるということが示された。
【
図13A】
図13A〜13B。30および60uL/mLのコラゲナーゼおよびKClからのMBVへの24時間の曝露後の骨髄由来マクロファージの遺伝子発現。コラゲナーゼ単離されたMBVおよびKCl単離物MBVは、同様の遺伝子発現パターンを示したA。しかし、コラゲナーゼ単離されたMBVは、より高いARGおよびINOS発現を示したB。
【
図13B】
図13A〜13B。30および60uL/mLのコラゲナーゼおよびKClからのMBVへの24時間の曝露後の骨髄由来マクロファージの遺伝子発現。コラゲナーゼ単離されたMBVおよびKCl単離物MBVは、同様の遺伝子発現パターンを示したA。しかし、コラゲナーゼ単離されたMBVは、より高いARGおよびINOS発現を示したB。
【
図14A】
図14A〜14D。ECM生体足場由来のMBVは神経膠腫細胞の生存を阻害する。細胞生存率に対するECM可溶性画分またはMBVの効果を、24時間の処理後のMTTアッセイによって決定した。高悪性度初代ヒト神経膠腫細胞(A)、低悪性度初代ヒト神経膠腫細胞(B)、ヒトミクログリア細胞(C)および神経前駆細胞(D)。
【
図14B】
図14A〜14D。ECM生体足場由来のMBVは神経膠腫細胞の生存を阻害する。細胞生存率に対するECM可溶性画分またはMBVの効果を、24時間の処理後のMTTアッセイによって決定した。高悪性度初代ヒト神経膠腫細胞(A)、低悪性度初代ヒト神経膠腫細胞(B)、ヒトミクログリア細胞(C)および神経前駆細胞(D)。
【
図14C】
図14A〜14D。ECM生体足場由来のMBVは神経膠腫細胞の生存を阻害する。細胞生存率に対するECM可溶性画分またはMBVの効果を、24時間の処理後のMTTアッセイによって決定した。高悪性度初代ヒト神経膠腫細胞(A)、低悪性度初代ヒト神経膠腫細胞(B)、ヒトミクログリア細胞(C)および神経前駆細胞(D)。
【
図14D】
図14A〜14D。ECM生体足場由来のMBVは神経膠腫細胞の生存を阻害する。細胞生存率に対するECM可溶性画分またはMBVの効果を、24時間の処理後のMTTアッセイによって決定した。高悪性度初代ヒト神経膠腫細胞(A)、低悪性度初代ヒト神経膠腫細胞(B)、ヒトミクログリア細胞(C)および神経前駆細胞(D)。
【
図15】ECM生体足場の可溶性画分およびECM生体足場由来のMBVは、食道がん細胞の生存を阻害する。MTTアッセイは、がん細胞の生存率を評価した。
【
図16A】
図16A〜16C。(A)100mgの粉末UBM−ECMおよびSIS−ECMを、0.1mg/mlコラゲナーゼ溶液で16時間の消化に付した。次いで、得られた分解生成物を、進行遠心分離(progressive centrifugation)に付してMBVを単離した。次いで、得られた精製MBVを、透過電子顕微鏡法によって100,000倍の倍率で画像化した。(B)単離したMBVの核酸含量を、Exo−Glowを使用して標識した。次いで、標識された粒子を、骨髄由来マクロファージと共に4時間インキュベートし、蛍光顕微鏡法を使用して画像化した。細胞の非存在下で標識されたMBVを使用して、対照としての曝露時間を確立した。(C)処理に応答した遺伝子発現の倍数変化を示す代表的なヒートマップ。細胞を、1mlの培地および以下のうちの1つで処理した:(1)M
IFNg+LPS表現型(M1様)を促進するための20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPS、(2)M
IL−4表現型(M2様)を促進するための20ng/mlのIL−4、(3)M
ECM表現型を促進するための250ug/mlのUBM−ECMもしくはSIS−ECM、または(4)M
MBV表現型を促進するための25ug/mlのUBM−MBV、もしくはSIS−MBV。ペプシン(1mg/ml)およびコラゲナーゼ(0.1mg/ml)をそれぞれECMおよびMBVのベースライン対照として使用した。
【
図16B】
図16A〜16C。(A)100mgの粉末UBM−ECMおよびSIS−ECMを、0.1mg/mlコラゲナーゼ溶液で16時間の消化に付した。次いで、得られた分解生成物を、進行遠心分離(progressive centrifugation)に付してMBVを単離した。次いで、得られた精製MBVを、透過電子顕微鏡法によって100,000倍の倍率で画像化した。(B)単離したMBVの核酸含量を、Exo−Glowを使用して標識した。次いで、標識された粒子を、骨髄由来マクロファージと共に4時間インキュベートし、蛍光顕微鏡法を使用して画像化した。細胞の非存在下で標識されたMBVを使用して、対照としての曝露時間を確立した。(C)処理に応答した遺伝子発現の倍数変化を示す代表的なヒートマップ。細胞を、1mlの培地および以下のうちの1つで処理した:(1)M
IFNg+LPS表現型(M1様)を促進するための20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPS、(2)M
IL−4表現型(M2様)を促進するための20ng/mlのIL−4、(3)M
ECM表現型を促進するための250ug/mlのUBM−ECMもしくはSIS−ECM、または(4)M
MBV表現型を促進するための25ug/mlのUBM−MBV、もしくはSIS−MBV。ペプシン(1mg/ml)およびコラゲナーゼ(0.1mg/ml)をそれぞれECMおよびMBVのベースライン対照として使用した。
【
図16C】
図16A〜16C。(A)100mgの粉末UBM−ECMおよびSIS−ECMを、0.1mg/mlコラゲナーゼ溶液で16時間の消化に付した。次いで、得られた分解生成物を、進行遠心分離(progressive centrifugation)に付してMBVを単離した。次いで、得られた精製MBVを、透過電子顕微鏡法によって100,000倍の倍率で画像化した。(B)単離したMBVの核酸含量を、Exo−Glowを使用して標識した。次いで、標識された粒子を、骨髄由来マクロファージと共に4時間インキュベートし、蛍光顕微鏡法を使用して画像化した。細胞の非存在下で標識されたMBVを使用して、対照としての曝露時間を確立した。(C)処理に応答した遺伝子発現の倍数変化を示す代表的なヒートマップ。細胞を、1mlの培地および以下のうちの1つで処理した:(1)M
IFNg+LPS表現型(M1様)を促進するための20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPS、(2)M
IL−4表現型(M2様)を促進するための20ng/mlのIL−4、(3)M
ECM表現型を促進するための250ug/mlのUBM−ECMもしくはSIS−ECM、または(4)M
MBV表現型を促進するための25ug/mlのUBM−MBV、もしくはSIS−MBV。ペプシン(1mg/ml)およびコラゲナーゼ(0.1mg/ml)をそれぞれECMおよびMBVのベースライン対照として使用した。
【
図17】骨髄由来マクロファージを、C57bl/6マウスから採取し、マクロファージに成熟させた。次いで、細胞を、以下の条件のうちの1つで処理した:(1)M
IFNg+LPS表現型(M1様)を促進するための20ng/mlのIFNγおよび100ng/mlのLPS、(2)M
IL−4表現型(M2様)を促進するための20ng/mlのIL−4、(3)M
ECM表現型を促進するための250ug/mlのUBM−ECMもしくはSIS−ECM、または(4)M
MBV表現型を促進するための25ug/mlのUBM−MBVもしくはSIS−MBV。ペプシン(1mg/ml)およびコラゲナーゼ(0.1mg/ml)を、それぞれECMおよびMBVのベースライン対照として使用した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、2%パラホルムアルデヒドで45分間固定した。マウス特異的一次抗体およびフルオロフォアコンジュゲート二次抗体を使用して、標的タンパク質発現を定性的に評価してもよい。汎マクロファージマーカーとしてF4/80を使用し、M1様マーカーとしてTNFaおよびiNOSを使用し、M2様マーカーとしてFizz1およびアルギナーゼ1を使用した。曝露時間は、アイソタイプ対照および適切なサイトカイン対照を使用して確立し、全体を通して一定に維持した。
【0014】
【
図18A】
図18A〜18C。MBV処理は、BMDM機能アッセイに対するECM効果を上回る。マクロファージを、MCSF対照、250mg/mlのECM、25mg/mlのMBV、またはサイトカイン対照IFNg+LPSもしくはIL−4に24時間曝露した。(A)マクロファージ上清を、5%リン酸中の1%スルファニルアミドと10分間混合し、続いて水中0.1%N−1−ナフチルエチレンジアミン(NED)二塩酸塩を添加した。溶液を分光光度計で、540nmで読み取り、亜硝酸ナトリウムの標準曲線と比較して、一酸化窒素生成レベルを評価した。(B)処理したマクロファージを、Vybrant Phagocytosis Kit FITC標識したE.coliビーズと共に2時間インキュベートした。細胞を固定し、DAPIで染色した。蛍光顕微鏡法を使用して、細胞を可視化し、Cell Profilerソフトウェアを使用して細胞の平均蛍光強度を定量した。(C)マクロファージを、250mg/mlのECM、25mg/mlのMBV、またはサイトカイン対照IFNγ+LPSもしくはIL4で18時間処理した。全ての処理マクロファージを、PBSで洗浄し、無血清の抗生物質を含まない培地で5時間インキュベートした。分泌されたマクロファージ生成物を含有する培地を収集し、トリプシン大豆ブロスおよび1×10
4CFU/mlのS.aureusと1:10の比で使用した。細菌成長は、570nmでの吸光度を測定することによって評価した。(値:平均吸光度±標準偏差、N=4、
*p<0.05)。
【
図18B】
図18A〜18C。MBV処理は、BMDM機能アッセイに対するECM効果を上回る。マクロファージを、MCSF対照、250mg/mlのECM、25mg/mlのMBV、またはサイトカイン対照IFNg+LPSもしくはIL−4に24時間曝露した。(A)マクロファージ上清を、5%リン酸中の1%スルファニルアミドと10分間混合し、続いて水中0.1%N−1−ナフチルエチレンジアミン(NED)二塩酸塩を添加した。溶液を分光光度計で、540nmで読み取り、亜硝酸ナトリウムの標準曲線と比較して、一酸化窒素生成レベルを評価した。(B)処理したマクロファージを、Vybrant Phagocytosis Kit FITC標識したE.coliビーズと共に2時間インキュベートした。細胞を固定し、DAPIで染色した。蛍光顕微鏡法を使用して、細胞を可視化し、Cell Profilerソフトウェアを使用して細胞の平均蛍光強度を定量した。(C)マクロファージを、250mg/mlのECM、25mg/mlのMBV、またはサイトカイン対照IFNγ+LPSもしくはIL4で18時間処理した。全ての処理マクロファージを、PBSで洗浄し、無血清の抗生物質を含まない培地で5時間インキュベートした。分泌されたマクロファージ生成物を含有する培地を収集し、トリプシン大豆ブロスおよび1×10
4CFU/mlのS.aureusと1:10の比で使用した。細菌成長は、570nmでの吸光度を測定することによって評価した。(値:平均吸光度±標準偏差、N=4、
*p<0.05)。
【
図18C】
図18A〜18C。MBV処理は、BMDM機能アッセイに対するECM効果を上回る。マクロファージを、MCSF対照、250mg/mlのECM、25mg/mlのMBV、またはサイトカイン対照IFNg+LPSもしくはIL−4に24時間曝露した。(A)マクロファージ上清を、5%リン酸中の1%スルファニルアミドと10分間混合し、続いて水中0.1%N−1−ナフチルエチレンジアミン(NED)二塩酸塩を添加した。溶液を分光光度計で、540nmで読み取り、亜硝酸ナトリウムの標準曲線と比較して、一酸化窒素生成レベルを評価した。(B)処理したマクロファージを、Vybrant Phagocytosis Kit FITC標識したE.coliビーズと共に2時間インキュベートした。細胞を固定し、DAPIで染色した。蛍光顕微鏡法を使用して、細胞を可視化し、Cell Profilerソフトウェアを使用して細胞の平均蛍光強度を定量した。(C)マクロファージを、250mg/mlのECM、25mg/mlのMBV、またはサイトカイン対照IFNγ+LPSもしくはIL4で18時間処理した。全ての処理マクロファージを、PBSで洗浄し、無血清の抗生物質を含まない培地で5時間インキュベートした。分泌されたマクロファージ生成物を含有する培地を収集し、トリプシン大豆ブロスおよび1×10
4CFU/mlのS.aureusと1:10の比で使用した。細菌成長は、570nmでの吸光度を測定することによって評価した。(値:平均吸光度±標準偏差、N=4、
*p<0.05)。
【
図19A】
図19A〜19E。マクロファージmiRNA阻害(A〜C)特定のmiRNA、miR−145−5p、miR−145−3p、およびmiR−125−b−5pの、それぞれについて50nMの阻害剤を使用する選択的阻害。阻害後のmiRNAレベルの相対的存在量は、TaqMan miRNA qPCRアッセイによって決定した。(D)MBVに曝露された細胞、またはスクランブル対照のmiRNA阻害剤、mmu−miR−145−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−125b−5p阻害剤、もしくはそれらの3つの阻害剤全ての組合せをトランスフェクトした細胞の遺伝子発現分析を、qPCRを使用して評価した。結果は、Tree−viewソフトウェアを使用してヒートマップ形式で示す;全ての倍数変化は、培地の対照に関するものである。スケールバースコアリングシステムは、以下のとおり実証される:0.1倍未満の変化(−3)、0.1〜0.29倍の変化(−2)、0.3〜0.69(−1)、0.7〜1.29(0)、1.3〜1.9(+1)、2.0〜4.9(+2)、5.0より大きい(+3)。(E)BMDMを、以下のうちの1つの50nMに対して4時間曝露した:スクランブル対照、mmu−miR−125b−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−145−5p、または3つの全ての組合せ(混合)。次いで、処理培地をさらに18時間、通常成長培地に変更した。次いで、細胞を4%PFAで固定した。次いで、細胞を、M1様表現型のマーカーTNFαおよびiNOS、またはM2様表現型のマーカーFizz1およびアルギナーゼ1について、抗マウス抗体と共にインキュベートした。曝露時間は、陰性アイソタイプ対照およびサイトカイン処理対照に基づいて確立され、試験された各マーカーについて一定に維持された。細胞核をDAPIで染色した。画像は、200倍の倍率で撮影した。結果により、miRNA阻害が、いくつかのプローブタンパク質の発現に影響を及ぼすことができることが示され、M
MBV表現型の形成におけるmiR−125b−5p、miR−143−3p、およびmiR−145−5pの役割が示唆される。
【
図19B】
図19A〜19E。マクロファージmiRNA阻害(A〜C)特定のmiRNA、miR−145−5p、miR−145−3p、およびmiR−125−b−5pの、それぞれについて50nMの阻害剤を使用する選択的阻害。阻害後のmiRNAレベルの相対的存在量は、TaqMan miRNA qPCRアッセイによって決定した。(D)MBVに曝露された細胞、またはスクランブル対照のmiRNA阻害剤、mmu−miR−145−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−125b−5p阻害剤、もしくはそれらの3つの阻害剤全ての組合せをトランスフェクトした細胞の遺伝子発現分析を、qPCRを使用して評価した。結果は、Tree−viewソフトウェアを使用してヒートマップ形式で示す;全ての倍数変化は、培地の対照に関するものである。スケールバースコアリングシステムは、以下のとおり実証される:0.1倍未満の変化(−3)、0.1〜0.29倍の変化(−2)、0.3〜0.69(−1)、0.7〜1.29(0)、1.3〜1.9(+1)、2.0〜4.9(+2)、5.0より大きい(+3)。(E)BMDMを、以下のうちの1つの50nMに対して4時間曝露した:スクランブル対照、mmu−miR−125b−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−145−5p、または3つの全ての組合せ(混合)。次いで、処理培地をさらに18時間、通常成長培地に変更した。次いで、細胞を4%PFAで固定した。次いで、細胞を、M1様表現型のマーカーTNFαおよびiNOS、またはM2様表現型のマーカーFizz1およびアルギナーゼ1について、抗マウス抗体と共にインキュベートした。曝露時間は、陰性アイソタイプ対照およびサイトカイン処理対照に基づいて確立され、試験された各マーカーについて一定に維持された。細胞核をDAPIで染色した。画像は、200倍の倍率で撮影した。結果により、miRNA阻害が、いくつかのプローブタンパク質の発現に影響を及ぼすことができることが示され、M
MBV表現型の形成におけるmiR−125b−5p、miR−143−3p、およびmiR−145−5pの役割が示唆される。
【
図19C】
図19A〜19E。マクロファージmiRNA阻害(A〜C)特定のmiRNA、miR−145−5p、miR−145−3p、およびmiR−125−b−5pの、それぞれについて50nMの阻害剤を使用する選択的阻害。阻害後のmiRNAレベルの相対的存在量は、TaqMan miRNA qPCRアッセイによって決定した。(D)MBVに曝露された細胞、またはスクランブル対照のmiRNA阻害剤、mmu−miR−145−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−125b−5p阻害剤、もしくはそれらの3つの阻害剤全ての組合せをトランスフェクトした細胞の遺伝子発現分析を、qPCRを使用して評価した。結果は、Tree−viewソフトウェアを使用してヒートマップ形式で示す;全ての倍数変化は、培地の対照に関するものである。スケールバースコアリングシステムは、以下のとおり実証される:0.1倍未満の変化(−3)、0.1〜0.29倍の変化(−2)、0.3〜0.69(−1)、0.7〜1.29(0)、1.3〜1.9(+1)、2.0〜4.9(+2)、5.0より大きい(+3)。(E)BMDMを、以下のうちの1つの50nMに対して4時間曝露した:スクランブル対照、mmu−miR−125b−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−145−5p、または3つの全ての組合せ(混合)。次いで、処理培地をさらに18時間、通常成長培地に変更した。次いで、細胞を4%PFAで固定した。次いで、細胞を、M1様表現型のマーカーTNFαおよびiNOS、またはM2様表現型のマーカーFizz1およびアルギナーゼ1について、抗マウス抗体と共にインキュベートした。曝露時間は、陰性アイソタイプ対照およびサイトカイン処理対照に基づいて確立され、試験された各マーカーについて一定に維持された。細胞核をDAPIで染色した。画像は、200倍の倍率で撮影した。結果により、miRNA阻害が、いくつかのプローブタンパク質の発現に影響を及ぼすことができることが示され、M
MBV表現型の形成におけるmiR−125b−5p、miR−143−3p、およびmiR−145−5pの役割が示唆される。
【
図19D】
図19A〜19E。マクロファージmiRNA阻害(A〜C)特定のmiRNA、miR−145−5p、miR−145−3p、およびmiR−125−b−5pの、それぞれについて50nMの阻害剤を使用する選択的阻害。阻害後のmiRNAレベルの相対的存在量は、TaqMan miRNA qPCRアッセイによって決定した。(D)MBVに曝露された細胞、またはスクランブル対照のmiRNA阻害剤、mmu−miR−145−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−125b−5p阻害剤、もしくはそれらの3つの阻害剤全ての組合せをトランスフェクトした細胞の遺伝子発現分析を、qPCRを使用して評価した。結果は、Tree−viewソフトウェアを使用してヒートマップ形式で示す;全ての倍数変化は、培地の対照に関するものである。スケールバースコアリングシステムは、以下のとおり実証される:0.1倍未満の変化(−3)、0.1〜0.29倍の変化(−2)、0.3〜0.69(−1)、0.7〜1.29(0)、1.3〜1.9(+1)、2.0〜4.9(+2)、5.0より大きい(+3)。(E)BMDMを、以下のうちの1つの50nMに対して4時間曝露した:スクランブル対照、mmu−miR−125b−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−145−5p、または3つの全ての組合せ(混合)。次いで、処理培地をさらに18時間、通常成長培地に変更した。次いで、細胞を4%PFAで固定した。次いで、細胞を、M1様表現型のマーカーTNFαおよびiNOS、またはM2様表現型のマーカーFizz1およびアルギナーゼ1について、抗マウス抗体と共にインキュベートした。曝露時間は、陰性アイソタイプ対照およびサイトカイン処理対照に基づいて確立され、試験された各マーカーについて一定に維持された。細胞核をDAPIで染色した。画像は、200倍の倍率で撮影した。結果により、miRNA阻害が、いくつかのプローブタンパク質の発現に影響を及ぼすことができることが示され、M
MBV表現型の形成におけるmiR−125b−5p、miR−143−3p、およびmiR−145−5pの役割が示唆される。
【
図19E】
図19A〜19E。マクロファージmiRNA阻害(A〜C)特定のmiRNA、miR−145−5p、miR−145−3p、およびmiR−125−b−5pの、それぞれについて50nMの阻害剤を使用する選択的阻害。阻害後のmiRNAレベルの相対的存在量は、TaqMan miRNA qPCRアッセイによって決定した。(D)MBVに曝露された細胞、またはスクランブル対照のmiRNA阻害剤、mmu−miR−145−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−125b−5p阻害剤、もしくはそれらの3つの阻害剤全ての組合せをトランスフェクトした細胞の遺伝子発現分析を、qPCRを使用して評価した。結果は、Tree−viewソフトウェアを使用してヒートマップ形式で示す;全ての倍数変化は、培地の対照に関するものである。スケールバースコアリングシステムは、以下のとおり実証される:0.1倍未満の変化(−3)、0.1〜0.29倍の変化(−2)、0.3〜0.69(−1)、0.7〜1.29(0)、1.3〜1.9(+1)、2.0〜4.9(+2)、5.0より大きい(+3)。(E)BMDMを、以下のうちの1つの50nMに対して4時間曝露した:スクランブル対照、mmu−miR−125b−5p阻害剤、mmu−miR−143−3p阻害剤、mmu−miR−145−5p、または3つの全ての組合せ(混合)。次いで、処理培地をさらに18時間、通常成長培地に変更した。次いで、細胞を4%PFAで固定した。次いで、細胞を、M1様表現型のマーカーTNFαおよびiNOS、またはM2様表現型のマーカーFizz1およびアルギナーゼ1について、抗マウス抗体と共にインキュベートした。曝露時間は、陰性アイソタイプ対照およびサイトカイン処理対照に基づいて確立され、試験された各マーカーについて一定に維持された。細胞核をDAPIで染色した。画像は、200倍の倍率で撮影した。結果により、miRNA阻害が、いくつかのプローブタンパク質の発現に影響を及ぼすことができることが示され、M
MBV表現型の形成におけるmiR−125b−5p、miR−143−3p、およびmiR−145−5pの役割が示唆される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
血小板の生成物として1967年に電子顕微鏡によって最初に同定された(Wolf, Br J Haematol.1967年;13巻:269〜288頁;Hargettら、Pulm Circ.2013年;3巻(2号):329〜40頁)細胞外小胞(EV)は、RNA、タンパク質、酵素および脂質を移入し、これにより、様々な生理学的および病理学的過程に影響を与えるその能力のため、細胞間連絡の強力なビヒクルである。EVの産生および放出は、原核生物および真核生物の両方で進化的に保存されていることから、細胞生理における小胞媒介性過程の重要性を強調する(DeatherageおよびCookson、Infect Immun.2012年6月;80巻(6号):1948〜1957頁)。EVは、50〜1,000nmに及ぶ直径を有するナノサイズのマトリックス結合小胞であり、そのサイズ、起源および放出機序に基づき、3種の主要な群:ナノベシクル、エキソソームおよびアポトーシス小体にカテゴリー化される(Nawazら、Nat Rev Urol.2014年;11巻(12号):688〜701頁;van der Polら、Pharmacol Rev.2012年;64巻(3号):676〜705頁)。
【0016】
EVは、様々な生理的条件下で種々の異なる細胞型によって分泌され、唾液、尿、鼻および気管支洗浄液、羊水、母乳、血漿、血清ならびに精漿を含む生体液において同定された(Yanez-Moら、J Extracell Vesicles.2015年;4巻:27066頁)。EVは、体液および細胞培養上清において同定されたが、EVは、ICAM−1ならびにαMインテグリンおよびβ2インテグリン等のインテグリン等、接着分子の存在を介してECM構成物に繋留することができる(Escolaら、J. Biol. Chem.1998年;273巻、20121〜20127頁;Theryら、J. Cell Biol.1999年;147巻:599〜610頁;Theryら、J. Immunol.2001年;166巻:7309〜7318頁)。
【0017】
「マトリックス小胞」も、骨、軟骨および象牙前質のマトリックスに選択的に繋留することが示されてきた(Anderson、J. Cell Biol.1969年;41巻:59〜72頁;Anderson、Curr Rheumatol Rep.2003年;5巻:222〜226頁)。より適切には、石灰化小胞として記載されるが、このような膜ナノ粒子は、軟骨細胞、骨芽細胞および象牙芽細胞の生成物であり、あらゆる骨格組織における石灰化の初期部位として機能することが示されてきた(Anderson、Clin Orthop Relat Res.1995年;(314巻):266〜80頁)。しかし、依然として、マトリックス小胞が、エキソソームおよびマイクロベシクルと同様の細胞間シグナル伝達に関与するかは不確かである(Sharpiroら、Bone.2015年;79巻:29〜36頁)。軟部組織の間質性マトリックス内、特に、無細胞生体足場のマトリックス、すなわち、細胞外(extracelluar)マトリックス(ECM)内に緊密に結合したナノベシクルの驚くべき知見が、本明細書に開示されている。このような生体足場は、細胞膜を溶解/破裂させ、その後、細胞デブリを除去するように特に設計された方法を使用した、膀胱、真皮および小腸粘膜下組織等の供給源組織の細胞の除去(脱細胞化)によって調製される。このようなナノベシクルは、再生医療および組織工学戦略において使用することができる(De Jongら、Front Immunol.2014年;5巻:608頁;Maldaら、Nat Rev Rheumatol.2016年(印刷に先立つEpub);Lamichhaneら、Tissue Eng Part B Rev.2015年;21巻(1号):45〜54頁)。組織修復におけるその潜在的な治療使用に加えて、組成物、カーゴおよび調節された放出の機構は、生理学的および病理学的過程をモニターするための診断および予後バイオマーカーとしてのその有用性のための新規意義をもたらす。
【0018】
本明細書において、ナノベシクル、特にエキソソームが、研究室産生されたECM生体足場および市販のECM生体足場内に包埋され、これに結合されることが開示される。このようなナノベシクルの内容が決定され、特定の標的細胞に差次的に影響を与えることが実証された。開示されている研究は、このようなECM由来ナノベシクルを含む医薬組成物を使用して、生体足場および医療デバイスを操作することができることを実証する。このような医薬組成物を使用して、特異的標的細胞集団の成長、遊走および他の生物学的特性を標的とすることもできる。
【0019】
用語
他に注記されていなければ、技術用語は、従来使用に従って使用される。分子生物学における一般用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes V、Oxford University Pressから出版、1994年(ISBN 0−19−854287−9);Kendrewら(編)The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd.から出版、1994年(ISBN 0−632−02182−9);およびRobert A. Meyers(編)Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.から出版、1995年(ISBN 1−56081−569−8)に見出すことができる。
【0020】
本開示の様々な実施形態の再調査を容易にするために、特定の用語について次の説明を示す:
【0021】
投与:選択された経路による被験体への組成物の導入。経路は、局所的または全身性であってよい。例えば、選択された経路が静脈内である場合、組成物は、組成物を被験体の静脈に導入することにより投与される。選択された経路が局所的である場合、組成物は、組成物を組織に導入することにより投与することができる。
【0022】
変更:細胞、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド等、目的の物質の有効量または特性の統計的に有意な変化。変化は、増加または減少であってよい。変更は、in vivoまたはin vitroであってよい。いくつかの実施形態では、物質の有効量の変更は、物質の有効量(レベル)、細胞の増殖および/もしくは生存、または酵素等のタンパク質の活性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%増加または減少である。
【0023】
腺癌:いくつかの身体部分において発生し得る悪性腫瘍の1種。これは、腺の起源、腺の特徴またはその両方を有する上皮組織の新生物である。
【0024】
アポトーシス:多細胞生物において発生するプログラム細胞死の過程。アポトーシスは、特徴的な細胞変化(形態)および死を含む。このような変化は、ブレブ形成、細胞縮小、核断片化、クロマチン凝縮、染色体DNA断片化および全体的mRNA減衰を含む。
【0025】
生体適合性:哺乳動物被験体に植え込まれたときに、被験体における有害応答を誘発しない、いずれかの材料。生体適合性材料は、個体に導入されたときに、その意図される機能を発揮することができ、該個体にとって有毒または傷害性でなく、その被験体におけるその材料の免疫学的拒絶を誘導することもない。
【0026】
生体足場:生体適合性の足場、通常は固体支持体またはゲル。
【0027】
がん:分化喪失を伴う特徴的な退形成を起こした、周囲の組織の成長、浸潤の速度を増加させ、転移することができる、良性または悪性腫瘍。例えば、甲状腺がんは、甲状腺組織に生じるまたはそれから生じた腫瘍であり、食道がんは、食道組織に生じるまたはそれから生じた腫瘍である。残存がんは、がんを低下または根絶するために被験体に与えたいずれかの形態の処置の後に被験体に残るがんである。転移性がんは、転移性がんが由来する元の(原発性)がんの起源部位以外の身体中の1個または複数の部位における腫瘍である。がんとして、固形腫瘍が挙げられるがこれに限定されない。
【0028】
cDNA(相補的DNA):内部の非コードセグメント(イントロン)および転写を決定する調節配列を欠如するDNAの一部分。cDNAは、細胞から抽出されたメッセンジャーRNAからの逆転写によって研究室で合成される。cDNAは、対応するRNA分子における翻訳制御に関与する非翻訳領域(UTR)を含有することもできる。
【0029】
遠心分離:混合物に遠心力が加えられ、それにより、混合物のより高密度の構成成分が、混合物中の他のより低密度の構成成分と比べて遠心分離の軸から離れて移動する過程。混合物に加えられる力は、遠心分離ローターのスピードおよびスピン半径の関数である。大部分の適用では、スピンの力は、遠心管の底に集まる沈殿物(ペレット)をもたらし、残っている溶液は、「上澄み」または「上清」と適宜呼ばれる。他の同様の適用では、密度に基づく分離または「勾配遠心分離」技法は、所望の構成成分よりも高密度およびより低密度の両方の構成成分を含有する混合物からの特定の種の単離に使用される。
【0030】
遠心分離ローターの円運動において、加えられる力は、スピンの半径および角速度の積であり、この力は、伝統的に、地表における重力による標準加速である「g」に対応する加速と表される。加えられる遠心力は、「相対遠心力」(RCF)と命名され、「g」の倍数で表される。
【0031】
化学療法;化学療法剤:本明細書において使用する場合、異常細胞成長によって特徴付けられる疾患の処置における治療的有用性を有するいずれかの化学薬剤。かかる疾患は、腫瘍、新生物およびがんならびに、乾癬等の過形成性成長によって特徴付けられる疾患を含む。一実施形態では、化学療法剤は、固形腫瘍等の新生物の処置における有用な薬剤である。一実施形態では、化学療法剤は、放射性分子である。当業者であれば、有用な化学療法剤を容易に同定することができる(例えば、SlapakおよびKufe、Principles of Cancer Therapy、第86章、Harrison's Principles of Internal Medicine、第14版内;Perryら、Chemotherapy、第17章、Abeloff, Clinical Oncology、第2版、著作権2000 Churchill Livingstone, Inc内;Baltzer L.、 Berkery R.(編):Oncology Pocket Guide to Chemotherapy、第2版、St. Louis, Mosby-Year Book、1995年;Fischer DS、 Knobf MF、 Durivage HJ(編):The Cancer Chemotherapy Handbook、第4版、St. Louis, Mosby-Year Book、1993年を参照)。化学療法剤は、5−フルオロウラシル(5−FU)、アザチオプリン、シクロホスファミド、代謝拮抗薬(フルダラビン等)、抗腫瘍薬(エトポシド、ドキソルビシン、メトトレキセートおよびビンクリスチン等)、カルボプラチン、シス−白金およびタキソール等のタキサンが挙げられるがこれらに限定されない、当業者に公知の薬剤を含む。化学療法薬としてラパマイシンも使用されてきた。
【0032】
接触:直接的に物理的会合した配置。固体および液体の形態の両方を含む。
【0033】
サイトカイン:用語「サイトカイン」は、ナノからピコモル濃度で体液性調節因子として作用し、正常または病理学的条件下のいずれかで、個々の細胞および組織の機能活性をモジュレートする可溶性タンパク質およびペプチドの多様な群の総称として使用される。このようなタンパク質は、また、直接的に細胞間の相互作用を媒介し、細胞外環境で起こる過程を調節する。サイトカインの例として、腫瘍壊死因子−α、インターロイキン(IL)−6、IL−10、IL−12、トランスフォーミング成長因子およびインターフェロン−γが挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
縮重バリアント:遺伝暗号の結果として縮重である配列を含む、PDGFポリペプチド等のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。20種の天然のアミノ酸が存在し、その大部分は、1種よりも多いコドンによって指定される。したがって、ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列が変化されない限りにおいて、あらゆる縮重ヌクレオチド配列が含まれる。
【0035】
分化:相対的に特殊化されていない細胞(例えば、胚細胞)が、成熟細胞に特徴的な特殊化された構造および/または機能的特色を獲得する過程を指す。同様に、「分化する」は、この過程を指す。典型的には、分化において、細胞構造および機能的能力が変更し、組織特異的タンパク質および非タンパク質分子が現れる。
【0036】
DNA(デオキシリボ核酸):DNAは、大部分の生体の遺伝的材料を構成する長鎖ポリマーである(一部のウイルスは、リボ核酸(RNA)を含む遺伝子を有する)。DNAポリマーにおける反復単位は、4種の異なるヌクレオチドであり、これらのそれぞれは、リン酸基を結合させたデオキシリボース糖に結合した、4種の塩基、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびチミン(T)の1種を含む。ヌクレオチドのトリプレット(コドンと称される)は、ポリペプチドにおける各アミノ酸または終止シグナルをコードする。コドンという用語は、DNA配列が転写されたmRNAにおける3個のヌクレオチドの対応する(および相補的な)配列にも使用される。
【0037】
他に指定がなければ、DNA分子のいかなる参照も、該DNA分子の逆相補体を含むことが意図される。本明細書の文章によって一本鎖(single-strandedness)であることが要求される場合を除いて、DNA分子は、単一の鎖のみを描写するように書かれていても、二本鎖DNA分子の両方の鎖を包含する。よって、特異的タンパク質またはその断片をコードする核酸分子の参照は、センス鎖およびその逆相補体の両方を包含する。例えば、開示されている核酸分子の逆相補体配列からプローブまたはプライマーを生成することが適切である。
【0038】
富化される:混合物中にあるナノベシクル等の目的の構成成分が、富化過程前と比較して、富化過程後に、該混合物中の他の望まれない構成成分の量に対する該構成成分の量の増加した比を有する過程。
【0039】
細胞外マトリックス(ECM):組織内の細胞を囲みこれを支持する、構造タンパク質、特殊化タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンおよび成長因子が挙げられるがこれらに限定されない、構造的かつ機能的生体分子および/または生体高分子の複合混合物であり、他に断りがなければ、無細胞である。ECM調製物は、本明細書に記載されている本技術分野で公知のプロセスにより供給源組織から細胞が除去されたことを意味する、「脱細胞化された」または「無細胞である」とみなすことができる。「ECM由来(derivied)ナノベシクル」、「マトリックス結合ナノベシクル」または「ECMに由来するナノベシクル」等、「ECM由来材料」とは、天然ECMまたは培養細胞によってECMが産生されるin vitro供給源から調製され、1種または複数種のポリマー構成成分(構成物)を含む、ナノベシクルである。ECM由来ナノベシクルについては、下に定義する。
【0040】
発現される:核酸配列からタンパク質への翻訳。タンパク質は、細胞内で発現されてそこに残り、細胞表面膜の構成成分となることができ、または細胞外マトリックスもしくは媒体に分泌され得る。
【0041】
発現制御配列:それが作動的に連結された異種核酸配列の発現を調節する核酸配列。発現制御配列が、核酸配列の転写および必要に応じて翻訳を制御および調節する場合、発現制御配列は、核酸配列に作動的に連結される。よって、発現制御配列は、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(ATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳を可能にする該遺伝子の正確な読み枠の維持、および終止コドンを含むことができる。用語「制御配列」は、最小でも、その存在が発現に影響し得る構成成分を含むことが意図され、その存在が有利となる追加的な構成成分、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列を含むこともできる。発現制御配列は、プロモーターを含むことができる。
【0042】
ゲル:液体および固体の間の物質の状態であり、一般に、液体媒体において膨張した架橋されたポリマーネットワークとして定義される。典型的には、ゲルは、固体および液体の両方を含有する二相コロイド分散であり、固体の量は、「ゾル」と称される二相コロイド分散におけるものよりも大きい。したがって、「ゲル」は、液体の特性の一部(すなわち、形状が、弾力がありかつ変形可能である)および固体の特性の一部(例えば、形状が、二次元表面における三次元の維持に十分なほど別々である)を有する。「ゲル時間」とも称される「ゲル化時間」は、組成物が、適度なストレス下で非流動性になるのにかかる時間を指す。
【0043】
神経膠腫:グリア細胞から生じる腫瘍。神経膠腫は、上衣腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫および混合性神経膠腫を含む。神経膠腫は、グレードによって特徴付けることができる。世界保健機関(WHO)は、グレードI〜IVとして神経膠腫を分類する。低グレード神経膠腫(WHOグレードII)は、高分化型であり(退形成ではない)、これは、良性傾向を示し、一般に、より良好な予後を有する。しかし、これは、再発し、時間と共にグレードを増加する場合があるため、悪性として分類される。高グレード(WHOグレードIII〜IV)神経膠腫は、未分化型または退形成である。高グレード神経膠腫は、悪性であり、予後不良を有する。神経膠腫は、テント上(テントの上、大脳中にあり、大部分は成人に見出される)、テント下(inratentorial)(テントの下、小脳中にあり、大部分は小児に見出される)または脳橋(脳幹の橋に位置する)である。神経膠腫の症状は、罹患した中枢神経系内の腫瘍が位置する場所に依存する。脳神経膠腫の症状は、頭痛、嘔吐、発作および脳神経障害である。視神経膠腫の症状は、失明である。脊髄神経膠腫の症状は、疼痛、脱力または四肢の痺れである。一般に、神経膠腫は、脳脊髄液を介して拡散し、脊髄への「滴下転移(drop metastases)」を引き起こし得る。
【0044】
成長因子:細胞成長、生存および/または分化を促進する物質。成長因子は、成長刺激因子として機能する分子(マイトジェン)、成長阻害因子として機能する分子(例えば、負の成長因子)、細胞遊走を刺激する因子、走化性作用因子として機能する、または細胞遊走もしくは腫瘍細胞浸潤を阻害する因子、細胞の分化した機能をモジュレートする因子、アポトーシスに関与する因子、あるいは成長および分化に影響することなく細胞の生存を促進する因子を含む。成長因子の例は、線維芽細胞成長因子(FGF−2等)、上皮成長因子(EGF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)および神経成長因子(NGF)およびアクチビン(actvin)−Aである。
【0045】
疾患の阻害(または処置):疾患もしくは状態の完全発症の阻害または治癒の加速。「処置」は、発症し始めた後の疾患または病理学的状態の徴候または症状を寛解する治療介入を指す。本明細書において使用する場合、疾患または病理学的状態に関する用語「寛解」は、処置のいずれかの観察できるほどの有益な効果を指す。有益な効果は、例えば、感受性被験体における疾患の臨床症状の発病遅延、疼痛等、疾患の一部もしくは全ての臨床症状の重症度の低下、回復時間短縮、または被験体の健康全般もしくは福祉の改善、または特定の疾患に特異的な本技術分野で周知の他のパラメータによって証明することができる。
【0046】
単離された:「単離された」生物学的構成成分(核酸、タンパク質、細胞またはナノベシクル等)は、構成成分が天然に発生する場合の、生物の細胞における他の生物学的構成成分またはECMから離れて実質的に分離または精製されている。「単離された」核酸およびタンパク質は、標準精製方法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。単離されたナノベシクルは、ECMの線維性材料から除去される。この用語は、宿主細胞における組換え発現によって調製された核酸およびタンパク質ならびに化学合成された核酸も包含する。
【0047】
標識:検出を容易にするために、抗体もしくはタンパク質等、別の分子に直接的にもしくは間接的にコンジュゲートされる、またはナノベシクル中に含まれ得る、またはナノベシクルに付着させることができる、検出可能な化合物または組成物。標識の具体的で非限定的な例として、蛍光タグ、酵素の連結および放射性同位体が挙げられる。
【0048】
マクロファージ:細胞デブリ、異物、微生物およびがん細胞を貪食および分解する白血球細胞の1種。貪食におけるその役割に加えて、この細胞は、発生、組織維持および修復における、ならびにリンパ球等の免疫細胞を含む他の細胞を動員し影響を与えるという点から自然免疫および適応免疫の両方における重要な役割を果たす。マクロファージは、M1およびM2と称されてきた表現型を含む、多くの表現型で存在し得る。主に炎症促進性の機能を果たすマクロファージは、M1マクロファージ(CD86+/CD68+)と呼ばれる一方、炎症を減少させ、組織修復を助長および調節するマクロファージは、M2マクロファージ(CD206+/CD68+)と呼ばれる。マクロファージの様々な表現型を同定するマーカーは、種の間で異なる。マクロファージ表現型が、M1の端からM2の端に及ぶスペクトルによって表されることに留意されたい。
【0049】
哺乳動物:この用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、用語「被験体」は、ヒトおよび獣医学被験体の両方を含む。
【0050】
転移:身体内のある位置から別の位置へのがんの拡散。転移は、がん細胞が元の腫瘍部位を離れ、血流、リンパ系、脳脊髄液を経て遊走する複雑な一連のステップによって、または伸展によって起こる。
【0051】
マイクロRNA:典型的には、標的mRNA翻訳を抑圧することにより遺伝子発現を転写後調節する、約17〜約25ヌクレオチド塩基の長さの小分子非コードRNA。より大量の特異的miRNAが、より低レベルの標的遺伝子発現と相関することになるように、miRNAは、負の調節因子として機能することができる。3つの型のmiRNA、一次miRNA(pri−miRNA)、未熟miRNA(pre−miRNA)および成熟miRNAが存在する。一次miRNA(pri−miRNA)は、約数百塩基〜1kb超のステムループ構造の転写物として発現される。pri−miRNA転写物は、ステムループの基部付近のステムの両方の鎖を切断するドローシャと呼ばれるRNase IIエンドヌクレアーゼによって、核内で切断される。ドローシャは、ずらした(staggered)カットでRNA二重鎖を切断し、5’リン酸および3’端における2ヌクレオチドオーバーハングを残す。切断産物である、未熟miRNA(pre−miRNA)は、折り返し(fold-back)様式で形成されたヘアピン構造を有する、約60〜約110ヌクレオチド長である。pre−miRNAは、Ran−GTPおよびエキスポーチン−5によって核から細胞質へと輸送される。pre−miRNAは、ダイサーと呼ばれる別のRNase IIエンドヌクレアーゼによって、細胞質においてさらにプロセシングされる。ダイサーは、5’リン酸および3’オーバーハングを認識し、ステムループジャンクションにおいてループを切断除去して、miRNA二重鎖を形成する。miRNA二重鎖は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に結合し、そこで、アンチセンス鎖が優先的に分解され、センス鎖成熟miRNAが、その標的部位へとRISCを方向づける。生物学的に活性型のmiRNAは成熟miRNAであり、これは約17〜約25ヌクレオチドの長さである。
【0052】
ナノベシクル:直径約10〜約1,000nmのナノ粒子である細胞外小胞。ナノベシクルは、他の分子の中でも生物学的に活性なシグナル伝達分子(例えば、マイクロRNA、タンパク質)を保有する脂質膜結合した粒子である。一般に、ナノベシクルは、脂質二重層によって境界を定められ、生物学的分子が、二重層に封入されるおよび/または包埋され得る。よって、ナノベシクルは、原形質膜によって囲まれた内腔を含む。異なる種類の小胞は、直径、細胞下起源、密度、形状、沈降速度、脂質組成、タンパク質マーカー、核酸含量および細胞外マトリックス由来または分泌された等の起源に基づき区別することができる。ナノベシクルは、ECM由来のマトリックス結合ナノベシクル(上述を参照)等、その起源および/またはmiR含量により同定することができる。
【0053】
「エキソソーム」は、細胞によって分泌される膜性小胞であり、直径は10〜150nmに及ぶ。一般に、後期エンドソームまたは多小胞体は、内向きの出芽および限定されたエンドソーム膜からこのような封入されたナノベシクルへの小胞の切断によって形成された内腔内(intralumenal)小胞を含有する。続いて、このような内腔内小胞は、原形質膜との融合後のエキソサイトーシスにおいて、多小胞体内腔から細胞外環境、典型的には血液、脳脊髄液または唾液等の体液へと放出される。エキソソームは、膜のセグメントが陥入し、形質膜陥入されると、細胞内で作製される。より小型の小胞へと破壊され、最終的に細胞から排出される、内部移行されたセグメントは、タンパク質、ならびにmRNAおよびmiRNA等のRNA分子を含有する。血漿由来エキソソームの大部分は、リボソームRNAを欠如する。細胞外マトリックス由来エキソソームは、特異的miRNAおよびタンパク質構成成分を含み、血液、尿、唾液、精液および脳脊髄液等、実質的に全ての体液に存在することが示されてきた。
【0054】
「ECMに由来するナノベシクル」、「マトリックス結合ナノベシクル」または「ECM由来ナノベシクル」は、細胞挙動に影響するタンパク質、脂質、核酸、成長因子およびサイトカイン等、生物学的に活性なシグナル伝達分子を含有する、細胞外マトリックスに存在する、サイズが10nm〜1000nmに及ぶ膜結合した粒子である。これらの用語は互換的であり、同じ小胞を指す。このようなナノベシクルは、ECM内に包埋され、これに結合されており、表面に単に付着させている訳ではない。このようなナノベシクルは、凍結融解、ならびにペプシン、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、プロテイナーゼKおよびコラゲナーゼ等のプロテアーゼによる消化、ならびに洗剤による消化等、厳しい単離条件に対して抵抗性である。一般に、このようなナノベシクルは、miR−145ならびに任意選択でmiR−181、miR−143およびmiR−125がとりわけ富化されている。このようなナノベシクルは、CD63もしくはCD81を発現しないか、またはかろうじて検出可能なレベルのこれらのマーカーを発現する(CD63
loCD81
lo)。ECMは、組織由来のECMであってよく、培養下の細胞から産生することができる、または商業的供給源から購入することができる。
【0055】
核酸:ホスホジエステル結合、その関連する天然起源の構造バリアントおよび合成非天然起源のアナログを介して連結されたヌクレオチド単位(リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、その関連する天然起源の構造バリアントおよび合成非天然起源のアナログ)で構成されたポリマー。よって、この用語は、ヌクレオチドおよびその間の連結が、例えばであって限定するものではないが、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート(phosphoramidate)、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)等、非天然起源の合成アナログなどを含む、ヌクレオチドポリマーを含む。かかるポリヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成機を使用して合成することができる。用語「オリゴヌクレオチド」は、典型的には、一般にわずか約50ヌクレオチドの、短いポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列が、DNA配列(すなわち、A、T、G、C)によって表される場合、これが、「T」を「U」に置き換えたRNA配列(すなわち、A、U、G、C)も含むことが理解される。
【0056】
ヌクレオチド配列を表すために従来表示法が本明細書で使用されている:一本鎖ヌクレオチド配列の左側端は5’端である;二本鎖ヌクレオチド配列の左側方向は、5’方向と称される。新生RNA転写物への5’から3’へのヌクレオチド付加の方向は、転写方向と称される。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は、「コード鎖」と称される。目的の配列に対して5’側に位置する核酸配列上の配列は、「上流配列」と称される;目的の配列に対して3’側に位置するヌクレオチド配列の配列は、「下流配列」と称される。
【0057】
「コードする」は、定義された配列のヌクレオチド(例えば、rRNA、tRNAおよびmRNA)または定義された配列のアミノ酸のいずれか、およびそれに起因する生物学的特性を有する、生物学的過程における他のポリマーおよび高分子の合成のための鋳型として機能する、遺伝子、cDNAまたはmRNA等、ポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特異的配列の固有の特性を指す。よって、遺伝子は、該遺伝子によって産生されたmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物学的システムにおいてタンパク質を産生する場合、タンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常配列表に示されるコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖の両方は、該遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると称することができる。他に指定がなければ、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードする、あらゆるヌクレオチド配列を含む。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含むことができる。
【0058】
「組換え核酸」は、野生型遺伝子における等、天然では一体に連接されていないヌクレオチド配列を有する核酸を指す。これは、適した宿主細胞の形質転換に使用することができる、増幅またはアセンブルされた核酸を含む核酸ベクターを含む。一例では、組換え核酸は、天然起源ではない配列を有する、または2個の他の方法で分離されている配列セグメントの人為的組合せによって作製された配列を有する核酸である。この人為的組合せは多くの場合、化学合成によって、またはより一般的には、遺伝子操作技法等の単離された核酸セグメントの人為的操作によって達成される。組換え核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と称される。組換え核酸は、同様に非コード機能(例えば、プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位等)を果たすことができる。
【0059】
その配列が第1の配列であるポリヌクレオチドが、その配列が第2の配列であるポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする場合、第1の配列は、第2の配列に対して「アンチセンス」である。よって、この2配列は相補的である。
【0060】
作動可能に連結される:第1の核酸配列が、第2の核酸配列と機能的関係性に置かれた場合、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、プロモーターが、コード配列の転写または発現に影響を与える場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結されている。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は、近接しており、必要であれば、2個のタンパク質コード領域を同じ読み枠内に連接する。
【0061】
薬学的に許容されるキャリア:有用な薬学的に許容されるキャリアは従来のキャリアである。Remington's Pharmaceutical Sciences、E. W. Martin著、Mack Publishing Co.、Easton, PA、第15版、1975年は、本明細書に開示された融合タンパク質の医薬品送達に適した組成物および製剤について記載する。
【0062】
一般に、キャリアの性質は、用いられる特定の投与機序に依存する。例えば、非経口的製剤は通常、ビヒクルとして水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロール等、薬学的にかつ生理学的に許容される流体などを含む注射用流体を含む。固体組成物(例えば、粉剤・散剤(powder)、丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態)のため、従来の無毒固体キャリアは、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性のキャリアに加えて、投与されるべき医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、保存料およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタン等、少量の無毒性補助物質を含有することができる。
【0063】
ポリマー:ホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーおよびグラフトコポリマーを含む、反復単量体単位で構成された分子。「ポリマー」は、直鎖状ポリマーおよび分枝状ポリマーを含み、分枝状ポリマーは、高度分枝状、樹状および星形ポリマーを含む。「重合イニシエータ」は、フリーラジカル生成により単量体またはマクロマ(macromer)の重合を開始することができるいずれかの物質または刺激物を指す。例示的な重合イニシエータは、電磁放射、熱および化学化合物を含む。
【0064】
ポリペプチド:長さまたは翻訳後修飾(グリコシル化またはリン酸化等)に関係なく、アミノ酸のいずれかの鎖。「残基」は、アミド結合またはアミド結合ミメティックによってポリペプチドに取り込まれたアミノ酸またはアミノ酸ミメティックを指し、残基の「位置」は、アミノ酸配列におけるその場所を示す。ポリペプチドは、アミノ末端(N末端)の端およびカルボキシ末端の端を有する。
【0065】
ポリペプチドにおける保存的置換は、ポリペプチドの生物学的または生化学的機能の変化または喪失をもたらさない、同様の生化学的特性を有するアミノ酸に代えての1個または複数のアミノ酸の使用が関与する改変であり、これは、「保存的」置換と命名される。このような保存的置換は、結果として得られるタンパク質の活性に最小の影響を有する可能性がある。表1は、タンパク質における元のアミノ酸に代えて置換され得る、保存的置換としてみなされるアミノ酸を示す。
【0067】
成長因子またはサイトカイン等、タンパク質の生化学的機能を変化させることなく、ポリペプチドにおいて1個もしくは複数の保存的変化または最大10個の保存的変化(例えば、2個の置換アミノ酸、3個の置換アミノ酸、4個の置換アミノ酸または5個の置換アミノ酸等)を作製することができる。
【0068】
疾患の防止または処置:疾患の「防止」は、例えば、がん等の疾患の素因を有することが既知である人における、疾患の部分的または完全発症の阻害を指す。既知の素因を有する人の例は、家族に乳がんの病歴を有する、またはメラノーマ等のある状態に被験体を罹り易くする因子に曝露された人物である。「処置」は、発症し始めた後の疾患または病理学的状態の徴候または症状を寛解する治療介入を指す。いくつかの実施形態では、処置は、腫瘍のサイズ低下、転移の数および/もしくはサイズ減少、または腫瘍の症状減少を指す。
【0069】
増殖:数を増加させるような、細胞の分裂。細胞分裂の過程は、有糸分裂と呼ばれる。
【0070】
プロモーター:プロモーターは、核酸の転写を方向づける一連の核酸制御配列である。プロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーターの場合のTATAエレメント等、転写開始部位付近の必要な核酸配列を含む。プロモーターは、転写開始部位から数千塩基対も離れて位置する場合もある、遠位エンハンサーエレメントまたはリプレッサーエレメントも任意選択で含む。構成的および誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitterら、Methods in Enzymology 153巻:516〜544頁、1987年を参照)。
【0071】
プロモーターの特異的で非限定的な例として、哺乳動物細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス(例えば、レトロウイルスの長い末端反復配列;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターが挙げられる。組換えDNAまたは合成技法によって産生されたプロモーターを使用することもできる。ポリヌクレオチドは、宿主の挿入された遺伝子配列の効率的転写を容易にするプロモーター配列を含有する発現ベクターに挿入することができる。発現ベクターは典型的に、複製起点、プロモーターおよび、形質転換細胞の表現型選択を可能にする特異的核酸配列を含有する。
【0072】
足場:細胞の接着性および増殖に適した表面を提供し、安定性および支持も提供する、生体適合性材料を通常含む構造。足場は、増殖細胞の集団によって仮定される三次元形状または形態に影響するまたはその限界を定めることができるように、特定の形状または形態であってよい。かかる形状または形態として、フィルム(例えば、第三の寸法よりも実質的に大きい、二次元による形態)、リボン、紐、シート、平たい円盤、円柱、球およびアモルファス形状が挙げられるがこれらに限定されない。足場は、分解過程において生物活性分子を放出するECM足場等、生物活性分子を放出する誘導性鋳型として機能することもできる。
【0073】
幹細胞:自己再生し、1種または1種よりも多い所与の細胞型の完全に分化した機能的細胞を生成することができる、細胞。in vivoにおける幹細胞の役割は、動物の正常な生涯で死ぬまたは破壊される細胞を置き換えることである。一般に、幹細胞は、限界なく分裂することができ、全能性である。分裂後に、幹細胞は、幹細胞のままであっても、前駆体細胞になっても、終末分化に進んでもよい。
【0074】
一般に、前駆体細胞は、分裂することができ、多能性となることができる。分裂後に、前駆体細胞は、前駆体細胞のままであっても、終末分化に進んでもよい。「体細胞前駆体細胞」は、ヒト等、動物の身体から、少なくとも1種の所与の細胞型の完全に分化した機能的細胞を生成することができる細胞である。ニューロン前駆体細胞は、アドレナリン作動性またはコリン作動性ニューロン等が挙げられるがこれらに限定されない、完全に分化したニューロン細胞を生成することができる。造血幹細胞は、血液の細胞を生じる。
【0075】
治療有効量:処置されている被験体における所望の効果の達成に十分な、ナノベシクル等の特異的物質の含量。被験体に投与される場合、所望のin vitro効果を達成することが示された標的組織濃度(例えば、骨における)を達成する投薬量が一般に使用される。
【0076】
移植:それを必要とする被験体へのナノベシクル等の生体適合性基材の配置。
【0077】
腫瘍:良性または悪性となり得る、細胞の異常成長。悪性型の腫瘍は一般に(genreally)、異常なまたは制御されない細胞成長によって特徴付けられる。悪性病変に多くの場合関連付けられる他の特色は、転移、隣接する細胞の正常機能への干渉、異常レベルでのサイトカインまたは他の分泌産物の放出、および炎症性または免疫学的応答の抑制または増悪、リンパ節等の周囲のまたは遠隔の組織または臓器の浸潤等を含む。「転移性疾患」は、元の腫瘍部位を離れて、例えば血流またはリンパ系を介して、身体の他の部分へと遊走するがん細胞を指す。
【0078】
個体における腫瘍の量は、腫瘍の数、体積または重量として測定することができる「腫瘍負荷」である。周囲の組織に浸潤するおよび/または転移し得る腫瘍は、「悪性」と称される。血液学的腫瘍の例として、急性白血病(11q23陽性急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病ならびに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病等)、慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病および慢性リンパ球性白血病等)を含む白血病、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(無症候性および高悪性度形態)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、ヘアリー細胞白血病および脊髄形成異常症が挙げられる。
【0079】
肉腫および癌等、固形腫瘍の例として、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ系悪性病変、膵がん、乳がん(基底乳癌、腺管癌および小葉乳癌を含む)、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、髄様甲状腺癌、乳頭様甲状腺癌、褐色細胞腫、皮脂腺癌、乳頭様癌、乳頭様腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸部がん、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌ならびにCNS腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫(craniopharyrgioma)、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、メラノーマ、ニューロブラストーマおよび網膜芽細胞腫等)が挙げられる。非限定的な一例では、腫瘍は、神経膠腫である。
【0080】
限外濾過:力(圧力または濃度勾配等)が、半透膜を通した分離をもたらす、膜濾過の1種。限外濾過膜は典型的に、膜の分子量カットオフ(MWCO)によって特徴付けられる。より高い分子量の懸濁された固体および溶質は、残余分に保持される一方、水およびより低い分子量の溶質は、透過液で膜を通過する。異なる種類のモジュールを限外濾過過程に使用することができる。かかるモジュールの例は、プラスチックまたは紙の管の内側に成型されたポリマー膜を使用する管状エレメント;複数の中空繊維を含有する中空繊維設計;中心有孔管の周りに巻かれた薄いメッシュのスペーサー材料によって平らな膜シートが分離され、管状スチール圧力容器ケーシング内に装着された、渦巻き形モジュール;ならびに濾液が通過するメッシュ様材料によって分離された、平らなプレートに置かれた膜を使用するプレートおよびフレームアセンブリである。
【0081】
ベクター:宿主細胞に導入し、これにより、形質転換宿主細胞を産生することができる、核酸分子。ベクターは、複製起点等、ベクターが宿主細胞において複製することを可能にする核酸配列を含むことができる。ベクターは、1種または複数種の選択可能マーカー遺伝子および本技術分野で公知の他の遺伝的エレメントを含むこともできる。ベクターは、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクター等、ウイルスベクターであってよい。ベクターは、Sleeping BeautyプラスミドまたはPrince Charmingプラスミド等、非ウイルスベクターであってよい。
【0082】
他に説明がなければ、本明細書に使用されているあらゆる技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」および「それ(the)」は、文脈がそれ以外を明らかに示すのでなければ、複数形の指示対象を含む。同様に、「AまたはB」は、文脈がそれ以外を明らかに示すのでなければ、「A」、「B」ならびに「AおよびB」を含むことが意図される。他に指示がなければ、「約」は、5パーセント以内を示す。核酸またはポリペプチドに示されているあらゆる塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、およびあらゆる分子量または分子質量の値が、近似値であり、説明のために提示されていることをさらに理解されたい。本開示の実施または検査において、本明細書に記載されているものと同様のまたは均等な方法および材料を使用することができるが、適した方法および材料について下に記載する。用語「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。本明細書に言及されているあらゆる刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体を参照により本明細書に組み込む。矛盾がある場合、用語の説明を含め本明細書が優先される。加えて、材料、方法および実施例は単なる例証であり、限定を意図するものではない。
【0083】
細胞外マトリックス(ECM)に由来するナノベシクル
本明細書において、ナノベシクルが、細胞外マトリックスに包埋されていることが開示されている。このようなナノベシクルは単離することができ、生物学的に活性である。よって、このようなナノベシクルは、単独でまたは別のECMと共に、治療目的で使用することができる。このようなナノベシクルは、単独でまたは別のECMと共に、生物学的足場において使用することができる。このようなナノベシクルはまた、細胞の増殖、分化および/または遊走を変更するため等、in vitroで有用である。
【0084】
細胞外マトリックスは、哺乳動物組織内の細胞を囲みこれを支持する、また、他に断りがなければ、無細胞である、構造タンパク質、特殊化タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンおよび成長因子が挙げられるがこれらに限定されない、構造および機能的な生体分子および/または生体高分子の複合混合物である。一般に、開示されているマトリックス結合ナノベシクルは、いずれかの種類の細胞外マトリックス(ECM)に包埋されており、この位置から単離され得る。よって、開示されているマトリックス結合ナノベシクルは、ECMの表面に脱離可能に存在している訳ではない。
【0085】
細胞外マトリックスは、例えばであって限定するものではないが、これらそれぞれの全体を参照により組み込まれる、米国特許第4,902,508号;同第4,956,178号;同第5,281,422号;同第5,352,463号;同第5,372,821号;同第5,554,389号;同第5,573,784号;同第5,645,860号;同第5,771,969号;同第5,753,267号;同第5,762,966号;同第5,866,414号;同第6,099,567号;同第6,485,723号;同第6,576,265号;同第6,579,538号;同第6,696,270号;同第6,783,776号;同第6,793,939号;同第6,849,273号;同第6,852,339号;同第6,861,074号;同第6,887,495号;同第6,890,562号;同第6,890,563号;同第6,890,564号;および同第6,893,666号に開示されている。しかし、ECMは、いずれかの組織から、または培養細胞によってECMが産生されるいずれかのin vitro供給源から産生することができ、ネイティブECMの1種または複数種のポリマー構成成分(構成物)を含む。ECM調製物は、供給源組織または培養物から細胞が除去されたことを意味する、「脱細胞化された」または「無細胞である」とみなすことができる。
【0086】
一部の実施形態では、ECMは、脊椎動物から、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ等が挙げられるがこれらに限定されない、哺乳動物の脊椎動物から単離される。ECMは、膀胱、腸、肝臓、心臓、食道、脾臓、胃および真皮を限定することなく含む、いずれかの臓器または組織に由来することができる。特異的で非限定的な例では、細胞外マトリックスは、食道組織、膀胱、小腸粘膜下組織、真皮、臍帯、心膜、心組織または骨格筋から単離される。ECMは、例えばであって限定するものではないが、粘膜下、上皮基底膜、固有層等を含む、臓器から得られるいずれかの部分または組織を含むことができる。非限定的な一実施形態では、ECMは、膀胱から単離される。一部の実施形態では、ECMは、腫瘍組織に由来する。
【0087】
ECMは、基底膜を含んでも含まなくてもよい。別の非限定的な実施形態では、ECMは、基底膜の少なくとも部分を含む。ECM材料は、毛細血管内皮細胞または線維細胞等、元の組織を構成していた細胞エレメントの一部を保持しても保持しなくてもよい。一部の実施形態では、ECMは、基底膜表面および非基底膜表面の両方を含有する。
【0088】
非限定的な一実施形態では、ECMは、ブタ膀胱(膀胱マトリックスまたはUBMとしても公知)から収集される。簡潔に説明すると、ECMは、ブタ等の哺乳動物から膀胱組織を除去し、脂肪組織を含む残存外部結合組織をトリミングすることにより調製される。水道水による反復洗浄によって残尿は全て除去される。組織は、先ず組織を脱上皮化溶液、例えばであって限定するものではないが、高張性食塩水(例えば、1.0N食塩水)に10分間〜4時間に及ぶ期間浸漬することにより離層される。高張性食塩水溶液への曝露は、基礎をなす基底膜から上皮細胞を除去する。任意選択で、カルシウムキレート剤を食塩水溶液に添加することができる。初期離層手順後に残っている組織は、上皮基底膜および上皮基底膜の反内腔側(abluminal)の組織層を含む。相対的に脆弱な上皮基底膜は、内腔表面における何らかの機械的擦過によって必ず損傷され、除去される。この組織は次に、反内腔側組織の大部分を除去するが、上皮基底膜および固有層を維持するためのさらなる処置に付される。外側漿膜、外膜、粘膜筋層(tunica muscularis mucosa)、粘膜下層(tunica submucosa)および大部分の粘膜筋板は、機械的擦過によってまたは酵素処置の組合せ(例えば、トリプシンまたはコラゲナーゼを使用)と続く水和および擦過によって、残っている脱上皮化組織から除去される。これらの組織の機械的除去は、例えばであって限定するものではないが、Adson−Brown鉗子およびMetzenbaumハサミによる腸間膜組織の除去と、湿らせたガーゼに包まれたメスの柄または他の強固な物体による長軸方向の拭き取り動作を使用した、筋層および粘膜下層の拭き取りによって達成される。切刃、レーザーおよび他の組織分離方法が関与する自動ロボット手順も企図される。これらの組織が除去された後に、その結果得られたECMは、上皮基底膜および下位の固有層から主になる。
【0089】
別の実施形態では、ECMは、ブタ膀胱組織を擦過して、メスの柄および湿らせたガーゼによる長軸方向の拭き取り動作を使用して漿膜および筋層の両方を含む外層を除去することにより調製される。組織セグメントの外転後に、同拭き取り動作を使用して、基礎をなす組織から粘膜の内腔部分が離層される。粘膜下の穿孔を防止するように注意を払う。これらの組織が除去された後に、その結果得られたECMは、粘膜下層から主になる(参照により本明細書に組み込む米国特許第9,277,999号の
図2を参照)。
【0090】
ECMは、粉末として調製することもできる。かかる粉末は、その全体を参照により本明細書に組み込む、Gilbertら、Biomaterials 26巻(2005年)1431〜1435頁の方法に従って作製することができる。例えば、UBMシートを凍結乾燥し、次いで液体窒素中に浸すために、切り刻んで小型のシートにすることができる。次に、急速凍結した材料を細かく砕き、粒子をロータリーナイフミル内に置くのに十分なほど小さくして、そのミル内で、ECMを粉末化する。同様に、ECM組織内のNaClを沈殿させることにより、材料を均一なサイズの粒子へと破砕し、これを急速凍結し、凍結乾燥し、粉末化することができる。
【0091】
非限定的な一実施形態では、ECMは、小腸粘膜下組織またはSISに由来する。市販の調製物として、SURGISIS(商標)、SURGISIS−ES(商標)、STRATASIS(商標)およびSTRATASIS−ES(商標)(Cook Urological Inc.;Indianapolis、Ind.)ならびにGRAFTPATCH(商標)(Organogenesis Inc.;Canton Mass.)が挙げられるがこれらに限定されない。別の非限定的な実施形態では、ECMは、真皮に由来する。市販の調製物として、PELVICOL(商標)(欧州ではPERMACOL(商標)として売られる;Bard、Covington、Ga.)、REPLIFORM(商標)(Microvasive;Boston、Mass.)およびALLODERM(商標)(LifeCell;Branchburg、N.J.)が挙げられるがこれらに限定されない。別の実施形態では、ECMは、膀胱に由来する。市販の調製物として、UBM(ACell Corporation;Jessup、Md.)が挙げられるがこれに限定されない。
【0092】
ナノベシクルは、下に開示されている方法を使用して、細胞外マトリックスから得る(これから放出させる)ことができる。一部の実施形態では、ECMは、ペプシン、コラゲナーゼ、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼまたはプロテイナーゼK等、酵素で消化され、ナノベシクルが単離される。他の実施形態では、グリシンHCL、クエン酸、水酸化アンモニウム等の溶液のpHを変化させることにより、EDTA、EGTA等が挙げられるがこれらに限定されない、キレート剤の使用により、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム等が挙げられるがこれらに限定されない、塩の使用によるイオン強度および/もしくはカオトロピック効果により、またはグアニジンHClもしくは尿素のような変性条件にECMを曝露することにより、ナノベシクルを、ECMから放出させ、かつ分離する。
【0093】
一部の実施形態では、ナノベシクルは、その天然の環境には存在しないため、天然起源のナノベシクルとは異なる特性を有する。特定の例では、ナノベシクルは、ペプシン、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ(hyalunornidase)、プロテイナーゼK、塩溶液またはコラゲナーゼ等、酵素によるECMの消化後に調製される。ECMを凍結融解することができる、または機械的分解に付すことができる。
【0094】
一部の実施形態では、ナノベシクルにおいてCD63および/またはCD81の発現を検出することができない。よって、ナノベシクルは、CD63および/またはCD81を発現しない。具体例では、ナノベシクルにおいてCD63およびCD81を検出することができない。他の実施形態では、ナノベシクルは、ウエスタンブロットによって検出可能なもの等、かろうじて検出可能レベルのCD63およびCD81を発現する。このようなナノベシクル(nanovesilces)は、CD63
loCD81
loである。当業者であれば、例えば、CD63およびCD81に特異的に結合する抗体を使用して、CD63
loCD81
loであるナノベシクルを容易に同定することができる。低レベルのこれらのマーカーは、少量および多量のCD63およびCD81についての閾値を決定するための蛍光標識細胞分取(FACS)等の手順および蛍光標識された抗体を使用して確立することができる。開示されているナノベシクルは、生体液におけるナノベシクルの存在のため、ECMの表面に一過的に付着することができるナノベシクルとは異なる。一部の実施形態では、ナノベシクルの外表面は、酵素および/または洗剤の使用を含むことができる脱細胞化過程に付された。
【0095】
ある特定の実施形態では、ナノベシクルは、1種または複数種のmiRNAを含む。具体的で非限定的な例では、ナノベシクルは、miR−145およびmiR−181を含む。miR−145およびmiR−181は、本技術分野で公知である。miR−145核酸配列は、参照により本明細書に組み込むMiRbase受託番号MI0000461に提示されている。miR−145核酸配列は、CACCUUGUCCUCACGGUCCAGUUUUCCCAGGAAUCCCUUAGAUGCUAAGAUGGGGAUUCCUGGAAAUACUGUUCUUGAGGUCAUGGUU(配列番号1)である。miR−181核酸配列は、参照により本明細書に組み込むmiRbase受託番号MI0000269に提示されている。miR−181核酸配列は:AGAAGGGCUAUCAGGCCAGCCUUCAGAGGACUCCAAGGAACAUUCAACGCUGUCGGUGAGUUUGGGAUUUGAAAAAACCACUGACCGUUGACUGUACCUUGGGGUCCUUA(配列番号2)である。
【0096】
本明細書に開示されているナノベシクルを医薬品送達のための組成物へと製剤化し、下で考察する通り、生体足場およびデバイスにおいて使用することができる。ナノベシクルは、同様に下に開示されている多数の方法において有用である。
【0097】
ECMからのナノベシクルの単離
ECMからナノベシクルを単離する方法が本明細書に開示されている。一部の実施形態では、このような方法は、酵素でECMを消化して、消化されたECMを産生するステップを含む。具体的な実施形態では、ECMは、ペプシン、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼおよび/またはプロテイナーゼKで消化される。他の実施形態では、ECMは、洗剤で処理される。さらなる実施形態では、この方法は、酵素の使用を含まない。具体的で非限定的な例では、この方法は、塩化カリウム等、塩等、カオトロピック剤またはイオン強度を利用して、ナノベシクルを単離する。追加的な実施形態では、ECMを操作して、ナノベシクル単離に先立ちナノベシクル含量を増加させることができる。
【0098】
一部の実施形態では、ECMは、酵素で消化される。ECMは、約12〜約36時間等、約12〜約48時間、酵素で消化することができる。ECMは、約12、約24、約36または約48時間、酵素で消化することができる。具体的で非限定的な一例では、ECMは、室温にて酵素で消化される。しかし、消化は、約4℃で、または約4℃〜25℃の間のいずれかの温度で行うことができる。一般に、ECMは、コラーゲン原線維を除去するのに十分な、いずれかの長さの時間、およびいずれかの温度にて、酵素で消化される。消化過程は、組織供給源に応じて変動し得る。任意選択で、ECMは、酵素による消化の前または後のいずれかで、凍結および融解することにより処理される。ECMは、イオン性洗剤および/または非イオン性洗剤を含む洗剤で処理することができる。
【0099】
次に、消化されたECMは、遠心分離等により処理されて、原線維不含上清を単離する。一部の実施形態では、消化されたECMは、例えば、第1のステップの場合、約300〜約1000gで遠心分離される。よって、消化されたECMは、約400g、約450g、約500gまたは約600g等、約400g〜約750gで遠心分離することができる。この遠心分離は、約10、約11、約12、約14、約14または約15分間等、約10〜約12分間等、約10〜約15分間、行うことができる。消化されたECMを含む上清が採取される。
【0100】
一部の実施形態では、消化されたECMは、第2のステップの場合、約2000g〜約3000gで遠心分離することもできる。よって、消化されたECMは、約2,000g、2,500g、2,750gまたは3,000g等、約2,500g〜約3,000gで遠心分離することができる。この遠心分離は、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29または約30分間等、約20〜約25分間等、約20〜約30分間、行うことができる。消化されたECMを含む上清が採取される。
【0101】
追加的な実施形態では、消化されたECMは、第3のステップの場合、約10,000〜約15,000gで遠心分離することができる。よって、消化されたECMは、約10,000g、11,000gまたは12,000g等、約10,000g〜約12,500gで遠心分離することができる。この遠心分離は、約25〜約30分間、例えば、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39または約40分間等、約25〜約40分間、行うことができる。消化されたECMを含む上清が採取される。
【0102】
これらの遠心分離ステップのうち1、2または全3種は、独立的に利用することができる。一部の実施形態では、全3種の遠心分離ステップが利用される。遠心分離ステップは、2、3、4または5回等、反復することができる。一実施形態では、全3種の遠心分離ステップは、3回反復される。
【0103】
一部の実施形態では、消化されたECMは、約500gで約10分間、遠心分離される、約2,500gで約20分間、遠心分離される、および/または約10,000gで約30分間、遠心分離される。全3種のステップ等、これらのステップ(複数可)は、3回等、2、3、4または5回反復される。よって、非限定的な一例では、消化されたECMは、約500gで約10分間、遠心分離される、約2,500gで約20分間、遠心分離される、および約10,000gで約30分間、遠心分離される。これら3種のステップは、3回反復される。これにより、原線維不含上清が産出される。
【0104】
次に、原線維不含上清を遠心分離して、ナノベシクルを単離する。一部の実施形態では、原線維不含上清は、約100,000g〜約150,000gで遠心分離される。よって、原線維不含上清は、約100,000g、約105,000g、約110,000g、約115,000gまたは約120,000g等、約100,000g〜約125,000gで遠心分離される。この遠心分離は、約70〜約80分間、例えば、約60、約65、約70、約75、約80、約85または約90分間等、約60〜約90分間、行うことができる。非限定的な一例では、線維不含上清は、約100,000gで約70分間、遠心分離される。ナノベシクルである固体材料が採取される。次に、このようなナノベシクルは、バッファー等が挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの目的のキャリアに再懸濁させることができる。
【0105】
さらなる実施形態では、ECMは、酵素で消化されない。このような方法では、ECMは、リン酸緩衝食塩水等、等張性食塩水溶液に懸濁される。続いて、塩の最終濃度が約0.1Mを超えるように、懸濁液に塩が添加される。濃度は、例えば、最大約3M、例えば、約0.1M塩〜約3Mまたは約0.1M〜約2Mであってよい。塩は、例えば、約0.1M、0.15M、0.2M、0.3M、0.4M、0.7M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1.0M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5M、1.6M、1.7M、1.8M、1.9Mまたは2Mであってよい。一部の非限定的な例では、塩は、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたは塩化マグネシウムである。他の実施形態では、塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ナトリウム塩、リチウム塩、セシウム塩またはカルシウム塩である。
【0106】
一部の実施形態では、ECMは、約15分間〜約1時間、約30分間〜約1時間または約45分間〜約1時間等、約10分間〜約2時間、塩溶液に懸濁される。ECMは、約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115または120分間、塩溶液に懸濁させることができる。ECMは、約4℃〜約25℃または約4℃〜約37℃等が挙げられるがこれらに限定されない、4℃〜約50℃の温度で塩溶液に懸濁させることができる。具体的で非限定的な例では、ECMは、約4℃で塩溶液に懸濁される。他の具体的で非限定的な例では、ECMは、約25℃(室温)で塩溶液に懸濁される。さらなる非限定的な例では、ECMは、約37℃で塩溶液に懸濁される。
【0107】
一部の実施形態では、方法は、約0.4M超の塩濃度で細胞外マトリックスをインキュベートするステップと;消化された細胞外マトリックスを遠心分離して、コラーゲン原線維レムナントを除去し、上清を単離するステップと;上清を遠心分離して、固体材料を単離するステップと;固体材料をキャリアに懸濁させ、これにより、細胞外マトリックスからナノベシクルを単離するステップとを含む。
【0108】
塩溶液におけるインキュベーションの後に、ECMを遠心分離して、コラーゲン原線維を除去する。一部の実施形態では、消化されたECMは、約2000g〜約5000gで遠心分離することもできる。よって、消化されたECMは、約2,500g、約3,000g、3,500、約4,000gまたは約4,500g等、約2,500g〜約4,500gで遠心分離することができる。具体的で非限定的な一例では、遠心分離は、約3,500gにおいてである。この遠心分離は、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30分間、約31、約32、約33、約34または約35分間等、約25〜約35分間等、約20〜約40分間、行うことができる。次に上清が採取される。
【0109】
追加的な実施形態では、次に、上清は、第3のステップの場合、約100,000〜約150,000gで遠心分離することができる。よって、消化されたECMは、約100,000g、110,000gまたは120,000g等、約100,000g〜約125,000gで遠心分離することができる。この遠心分離は、約1時間〜約3時間、例えば、約30分間、約45分間、約60分間、約90分間または約120分間(2時間)等、約30分間〜約2.5時間、行うことができる。固体材料が採取され、緩衝食塩水等の溶液に懸濁され、これにより、ナノベシクルが単離される。
【0110】
さらに他の実施形態では、ECMは、リン酸緩衝食塩水等が挙げられるがこれに限定されない、等張性緩衝塩溶液に懸濁される。遠心分離または他の方法を使用して、大きい粒子を除去することができる(以下を参照)。次に、限外濾過を利用して、ECMからマトリックス結合ナノベシクルを単離し、粒子は、約10nm〜約300nnの間等、約10〜約1,000nmの間等、約10nm〜約10,000nmの間である。
【0111】
具体的で非限定的な例では、等張性緩衝食塩水溶液は、約0.164mMの総塩濃度および約7.2〜約7.4のpHを有する。一部の実施形態では、等張性緩衝食塩水溶液は、約0.0027M KCl等、0.002M KCl〜約0.164M KCLを含む(リン酸緩衝食塩水におけるKCLの濃度)。次に、この懸濁液が超遠心分離によって処理される。
【0112】
等張性緩衝塩溶液におけるインキュベーション後に、ECMを遠心分離して、コラーゲン原線維を除去する。一部の実施形態では、消化されたECMは、約2000g〜約5000gで遠心分離することもできる。よって、消化されたECMは、約2,500g、約3,000g、3,500、約4,000gまたは約4,500g等、約2,500g〜約4,500gで遠心分離することができる。具体的で非限定的な一例では、遠心分離は、約3,500gにおいてである。この遠心分離は、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30分間、約31、約32、約33、約34または約35分間等、約25〜約35分間等、約20〜約40分間、行うことができる。
【0113】
微量濾過および遠心分離を使用および組み合わせて、懸濁液から大きい分子量の材料を除去することができる。一実施形態では、200nm超等、大きいサイズの分子材料は、微量濾過を使用して除去される。別の実施形態では、大きいサイズの材料は、遠心分離の使用により除去される。第3の実施形態では、微量濾過および超遠心分離の両方を使用して、大きい分子量の材料を除去する。約10,000nm超、約1,000nm超、約500nm超または約300nm超の材料等、大きい分子量の材料が、懸濁されたECMから除去される。
【0114】
次に、微量濾過の流出液または上清は、限外濾過に付される。よって、約10,000nm未満、約1,000nm未満、約500nm未満または約300nm未満の粒子を含む流出液が採取および利用される。次に、この流出液は、3,000〜100,000の分子量カットオフ(MWCO)を有する膜による限外濾過に付される。本実施例において100,000MWCOが使用された。
【0115】
使用方法
エキソソーム等、ナノベシクルは、その膜の物理的特性に依存して、特異的標的細胞へと定方向にホーミングする。よって、ナノベシクルは、その内容物の送達に使用することができる。加えて、マトリックス結合ナノベシクルを使用して、細胞の細胞増殖、分化および遊走を誘導することができる。これを使用して、細胞を未分化状態に維持することもできる。開示されているナノベシクルの効果は、局所的、領域性または全身性であり得る。よって、このようなナノベシクルは、in vitroおよびin vivoの両方で有用である。
【0116】
エキソソーム(exosme)等、ナノベシクルは、特異的mRNA、miRNAおよびタンパク質が富化されている(Bobrieら、2011年)。小胞は、レシピエント細胞によって吸収されると、間質空間に存在し、生物活性を保持する一方、このカーゴは、プロテアーゼおよびRNaseによる分解から保護される。このようにして、これは、さもなければ遺伝子発現に基づき個々の細胞に限定されるであろう、相互作用的シグナル伝達および酵素活性の移入を容易にする(Leeら、2011年)。
【0117】
ECM由来ナノベシクルを使用して、RNAおよびDNAが挙げられるがこれらに限定されない、その内容物をレシピエント細胞に移入することができる。このような分子は、内在性であり得、または分子技法を使用してECM由来ナノベシクルに導入することができる。
【0118】
ある特定の実施形態では、ECM由来ナノベシクルは、核酸分子またはタンパク質等、治療剤をロードすることができる。これは、タンパク質をコードする核酸に作動可能に連結したプロモーター等、外因性核酸を含むことができる。発現ベクターは、ECM由来ナノベシクルに取り込むこともできる。目的の核酸分子の取り込みを達成するための、有用な方法として、次のものが挙げられるがこれらに限定されない(参照により本明細書に組み込む米国特許出願公開第2015/0216899号を参照):
【0119】
(a)エレクトロポレーション。この方法により、100〜200V/cmの電場で短時間、それらにショックを与えることにより、ナノベシクル(nanovesciel)に多数の孔を作製する。DNA/RNAは、電場によって作製された孔を通って進入することができる。
(b)リポフェクション。この方法は一般的に、トランスフェクションと呼ばれ、所望の遺伝子構築物を含有する非常に小型の小胞を介したDNA/RNAによるナノベシクルの形質転換に使用することができる。小胞は、膜と融合し(ブロスの上にある2個の油点が融合する仕方と同様)、小胞の内容物と細胞が組み合わされる。市場には、使用できる状態にあるいくつかのトランスフェクションキット、例えば、Panomics製のDELIVERX(商標)siRNAトランスフェクションキット(cat.No.DX0002)、Roche製のFUGENE(登録商標)HDトランスフェクション試薬(Cat.no.04709691001)、およびInvitrogen製のLIPOFECTAMINE(商標)2000(Cat.No.11668−027)が存在する。
(c)熱ショックを使用した形質転換。Ca
2+(CaCl
2中)等の二価カチオンの存在下におけるナノベシクルの冷却は、その膜をRNAもしくはDNAプラスミドまたは断片に対して透過性にする。ナノベシクルは、DNAと共にインキュベートされ、次いで短時間熱ショックを与えられ(42℃で30〜120秒間)、これによりDNAはナノベシクルに進入する。この方法は、凝縮した環状プラスミドDNAに対し良好に機能することができ、エキソソームまたは脂質ナノベシクル構成物に対し機能することができる。
【0120】
一部の実施形態では、単離されたECM由来ナノベシクル(マトリックス結合ナノベシクル)は、核酸またはタンパク質分子等、外部に加えられた治療剤をロードすることができる。核酸は、siRNA、miRNAまたはmRNA等、DNAまたはRNAであってよい。ある特定の態様では、単離されたエキソソームは、miRNAを含むことができる。miRNAは、例えば、追加的な量のmiR−145および/またはmiR−181であり得る。ECM由来ナノベシクルは、タンパク質、成長因子または小分子をロードすることができる。
【0121】
一部の実施形態では、ナノベシクルは、RNA/DNAを含有するように操作することができ、または目的の遺伝子を含有するように改変することができ、単離し、レシピエント細胞に移入して、その生物学的機能または生存に影響を与えることができる。結果的に、ナノベシクルは、その内容物を標的細胞の細胞質に送達することができ、これは続いて、標的細胞における特異的タンパク質へのmRNAの翻訳をもたらす。さらに、ナノベシクルは、特異的遺伝子の翻訳を調節することができる、マイクロRNAおよびsiRNA等、小分子コードおよび非コードRNAを運搬および移入することができる。
【0122】
一部の実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードする。適したポリペプチドとして、成長因子、酵素、サイトカインまたはホルモンが挙げられるがこれらに限定されない。適した成長因子は、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン(prorelaxin);卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体化ホルモン(LH)等、糖タンパク質ホルモン;肝成長因子;プロスタグランジン、FGF−αおよびFGF−β等の線維芽細胞成長因子(FGF);プロラクチン;胎盤性ラクトゲン、腫瘍壊死因子;ミュラー管阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子;血小板成長因子;TGF−αおよびTGF−β等、トランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子−Iおよび−II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導性因子;インターフェロン−α、βおよびγ等、インターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)等、コロニー刺激因子(CSF);顆粒球マクロファージ−CSF(GM−CSF);ならびに顆粒球−CSF(G−CSF);IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12;IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、LIF、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EPO、kit−リガンド、FLT−3またはMDA−7等、インターロイキン(IL)を含む。ホルモンの例として、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、甲状腺刺激ホルモン、レプチン、副腎皮質刺激ホルモン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、β−エンドルフィン、β−メラニン細胞刺激ホルモン、コレシストキニン、エンドセリンI、ガラニン、胃阻害ペプチド、グルカゴン、インスリン、リポトロピン、ニューロフィジン、ソマトスタチン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、β−カルシトニン遺伝子関連ペプチド、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の因子(hypercalcemia of malignancy factor)、副甲状腺ホルモン関連タンパク質、副甲状腺ホルモン関連タンパク質、グルカゴン様ペプチド、パンクレアスタチン、膵ペプチド、ペプチドYY、PHM、セクレチン、血管作動性腸管ペプチド、オキシトシン、バソプレシン、バソトシン、エンケファリンアミド、メトルフィナミド(metorphinamide)、アルファメラニン細胞刺激ホルモン、心房性ナトリウム利尿因子、アミリン、アミロイドP成分、コルチコトロピン放出ホルモン、成長ホルモン放出因子、黄体化ホルモン放出ホルモン、ニューロペプチドY、サブスタンスK、サブスタンスPおよびサイロトロピン放出ホルモンが挙げられるがこれらに限定されない。適した酵素は、ACPデサチュラーゼ、ACPヒドロキシラーゼ、ADP−グルコースピロホリラーゼ(pyrophorylase)、ATPase、アルコールデヒドロゲナーゼ、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、シクロオキシゲナーゼ、デカルボキシラーゼ、デキストリナーゼ、エステラーゼ、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、ヒアルロナン(hyaluron)シンターゼ、ガラクトシダーゼ、グルカナーゼ、グルコースオキシダーゼ、GTPase、ヘリカーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルロニダーゼ、インテグラーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、キナーゼ、ラクターゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、リアーゼ、リゾチーム、ペクチンエステラーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、ホスホリラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテイナーゼ、ペプチダーゼ(peptidease)、プラナーゼ(pullanase)、リコンビナーゼ、逆転写酵素、トポイソメラーゼ、キシラナーゼまたはレポーター遺伝子を含む。
【0123】
一部の実施形態では、ECM由来ナノベシクルは、薬学的に許容されるキャリアを含むもの等、医薬組成物に含まれてよく、当業者に公知のいずれかの方法によって被験体に投与することができる。例として、静脈内、経鼻、皮内、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節腔内、前立腺内(intraprostaticaly)、胸膜内、気管内、硝子体内、腟内、直腸内、外用、腫瘍内、筋肉内、皮下、結膜下、小胞内、粘膜、心膜内、臍部内(intraumbilically)、眼内(intraocularally)、経口、外用、局所的、注射、注入、持続注入、標的細胞を直接的に液浸する局在型灌流、カテーテルにより、洗浄(lavage)により、心腔に直接的に、臓器もしくは臓器の部分もしくは目的の罹患部位への直接的注射または他の方法、またはこれらの方法のいずれかの組合せが挙げられる。外用投与は、化学療法誘導性脱毛症または他の真皮過剰増殖性障害を防止するための、がん等、皮膚の処置に特に有利となり得る。あるいは、投与は、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内注射によってであり得る。
【0124】
in vivo使用のため、生理学的に許容されるキャリア、バッファーまたは他の賦形剤を含む、薬学的に許容される組成物として組成物を投与することができる。一部の実施形態では、組成物は、液体として製剤化される。他の実施形態では、組成物は、ゲルまたは粉末として製剤化される。他の実施形態では、組成物は、ネブライザー内等、ミストとして製剤化される。さらなる実施形態では、組成物は、ゲルまたは持続放出型カプセルとして製剤化することができる。肺の状態の処置のため、エアロゾル送達を使用することができる。エアロゾルの容量は一般に、約0.01ml〜約0.5mlの間である。
【0125】
開示されている方法は、約、少なくとも約、もしくは多くても約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、410、420、425、430、440、445、450、460、470、475、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560、570、575、580、590、600、610、620、625、630、640、650、660、670、675、680、690、700、710、720、725、730、740、750、760、770、775、780、790、800、810、820、825、830、840、850、860、870、875、880、890、900、910、920、925、930、940、950、960、970、975、980、990、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、6000、7000、8000、9000、10000ナノグラム(ng)、マイクログラム(mcg)、ミリグラム(mg)のナノベシクル、またはその中で導き出せるいずれかの範囲を含有する組成物を被験体に投与するステップを含むことができる。上の数値は、ng/kg、μg/kg、mg/kgまたはg/kgとして表される、患者の体重に基づき患者に投与される投薬量、およびこれらの値から導き出せるいずれかの範囲であり得る。
【0126】
あるいは、組成物は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、410、420、425、430、440、441、450、460、470、475、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560、570、575、580、590、600、610、620、625、630、640、650、660、670、675、680、690、700、710、720、725、730、740、750、760、770、775、780、790、800、810、820、825、830、840、850、860、870、875、880、890、900、910、920、925、930、940、950、960、970、975、980、990、1000ng/ml、μg/ml、mg/mlもしくはg/mlまたはその中で導き出せるいずれかの範囲であるナノベシクルの濃度を有することができる。用量は、処置するべき状態に応じて変動し得る。一部の実施形態では、状態は、ヘルニア、断裂もしくは損傷した筋肉、断裂もしくは損傷した腱、または脳卒中である。
【0127】
組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回もしくはそれよりも多い回数、またはその中で導き出せるいずれかの範囲で、被験体に投与することができ(または被験体によって摂取され得)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間もしくは1、2、3、4、5、6、7日間もしくは1、2、3、4、5週間もしくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月間毎に、またはその中で導き出せるいずれかの範囲で、投与することができる。組成物は、毎日1回、毎日2回、毎日3回、毎日4回、毎日5回もしくは毎日6回(またはその中で導き出せるいずれかの範囲)および/または必要に応じて患者に投与することができる。あるいは、組成物は、2、4、6、8、12または24時間(またはその中で導き出せるいずれかの範囲)毎に被験体にまたは被験体によって投与することができる。一部の実施形態では、被験体は、症状を経験した後に、ある一定期間、またはある一定数の用量で組成物を投与される。
【0128】
被験体に投与される組成物の実際の投薬量の量は、体重、状態の重症度、処置されている疾患の種類、以前のまたは同時の治療介入、患者の特発性疾患、および投与経路等、身体的および生理的因子によって決定することができる。投与に責任がある医師は、いかなる場合であっても、組成物における活性成分(複数可)の濃度、および個々の被験体に適切な用量(複数可)を決定する。一部の実施形態では、状態は、ヘルニア、断裂もしくは損傷した筋肉、断裂もしくは損傷した腱、または脳卒中である。
【0129】
開示されている方法における使用のためのECM由来ナノベシクルを含む組成物は、薬学的に許容されるキャリアに適切に含有される。キャリアは、無毒であり、生体適合性であり、ナノベシクルの生物学的活性に有害に影響を与えないように選択される。ECM由来ナノベシクルは、経口、非経口的または外科的投与を可能にする錠剤、カプセル剤、粉剤・散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤(depository)、吸入薬および注射薬等、固体、半固体、ゲル、液体または気体の形態で、局所的送達(すなわち、骨格筋または他の組織等、身体の特定の位置への)または全身性送達のための調製物へと製剤化することができる。医療デバイスのコーティングによる等、組成物の局所的投与が適切である(以下を参照)。化学療法剤等が挙げられるがこれに限定されない、追加的な活性成分をこのような組成物に添加することができる(以下を参照)。ECM由来ナノベシクルは、ポリプロピレンメッシュまたはいずれかの生体適合性材料等が挙げられるがこれらに限定されない、表面に付着させることもできる。
【0130】
注射剤(injectable)、注入または灌注および外用送達を介した非経口的送達に適したキャリアは、蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水、通常もしくは乳酸リンゲル溶液、デキストロース溶液、ハンクス溶液またはプロパンジオールを含む。加えて、溶媒または懸濁媒体として無菌固定油を用いることができる。この目的のため、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む、いずれかの生体適合性油を用いることができる。加えて、オレイン酸等、脂肪酸は、注射剤の調製における用途を見出す。キャリアおよび作用物質(agent)は、液体、懸濁液、重合可能もしくは非重合可能ゲル、ペーストまたは膏薬として配合することができる。
【0131】
キャリアは、作用物質(複数可)の送達を持続(すなわち、延長、遅延または調節)するための、または治療剤(複数可)の送達、取り込み、安定性もしくは薬物動態を増強するための送達ビヒクルを含むこともできる。一部の実施形態では、有用な組成物は、バッファー、ハイドロゲル、保存料および/または安定化剤を限定することなく含む。このような作用物質は、組成物中のECM由来ナノベシクルのより長い半減期をもたらすことができる。組成物は、化学化合物、核酸分子、ポリペプチド、成長因子、サイトカインまたは小分子等が挙げられるがこれらに限定されない、いずれか追加的な目的の治療剤を含むこともできる。一部の実施形態では、治療剤は、マイクロRNAまたはタンパク質である。
【0132】
医薬組成物は、ヒドロキシプロピルセルロース等、界面活性物質を含むことができる。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物ならびに油中で調製することもできる。貯蔵および使用の通常条件下で、このような調製物は、微生物の成長を防止するための保存料を含有する。組成物は、液体の液剤または懸濁剤のいずれかとしての注射用組成物であってよい。組成物は、液体で溶液になるまたは懸濁液になるのに適した固体形態であってよい。組成物は、ゲルであってよい。このような調製物は、乳化されていてもよい。
【0133】
典型的な組成物は、薬学的に許容されるキャリアを含む。例えば、組成物は、リン酸緩衝食塩水1ミリリットルあたり10mg、25mg、50mg未満の、これに等しいもしくはこれを超えるまたは最大約100mgのヒト血清アルブミンを含有することができる。他の薬学的に許容されるキャリアは、塩、保存料、バッファーなどを含む水性溶液、無毒賦形剤を含む。
【0134】
非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油およびオレイン酸エチル等の注射用有機エステルである。水性キャリアは、塩化ナトリウム、リンゲルデキストロース等、水、アルコール性/水性溶液、食塩水溶液、非経口的ビヒクルを含む。静脈内ビヒクルは、流体および栄養素補充物を含む。保存料は、抗微生物剤、抗真菌剤、抗酸化剤、キレート剤および不活性ガスを含む。医薬組成物のpHおよび様々な構成成分の正確な濃度は、周知パラメータに従って調整される。
【0135】
経口投与用等、製剤は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等のような、典型的な賦形剤を含むことができる。組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放製剤または粉剤・散剤の形態を採る。
【0136】
ある特定の実施形態では、組成物は、自家組成物であってよい、または処置されるべき同じ患者から得ることができる。特に、ヒト等、被験体由来の細胞外マトリックスを収集し、ECM由来ナノベシクルの単離に使用することができる。次に、組成物は、医薬組成物で同じドナーに投与することができる(自家)。別の実施形態では、ECM由来ナノベシクルの単離のためのECMを提供するドナー生物、および処置されるべきレシピエント生物が、同じ種であるが異なる個体(同種異系)となるように、組成物は、同種異系であってよい。代替的な実施形態では、組成物は、異種異系であってよい。よって、ナノベシクルは、被験体への投与に先立ち、異なる種のECMから得られる。この目的のため、ECMは、ドナー、例えば、ブタ等の動物から採取され、ナノベシクルは、ECMから単離される。次に、ECM由来ナノベシクルは、医薬組成物で異なる種の被験体に投与される。非限定的な一例では、被験体は、ヒトである。
【0137】
開示されている組成物のin vitroおよびex vivo使用も存在する。ECM由来ナノベシクルを添加して、細胞増殖、遊走および/または分化を変更することができる。一部の実施形態では、細胞増殖、遊走および/または分化は、誘導される。他の実施形態では、細胞増殖、遊走および/または分化は、阻害される。ナノベシクルは、細胞外マトリックスありまたはなしで使用することができる。一部の実施形態では、細胞は、血管周囲幹細胞等であるがこれに限定されない、幹細胞であってよい。他の実施形態では、細胞は、マクロファージまたは単球であってよい。
【0138】
一部の実施形態では、目的の細胞外マトリックスにおける細胞増殖、遊走および/または分化を変更するための方法が提供される。ある特定の実施形態では、方法は、第2の細胞外マトリックスに由来する単離されたナノベシクルを目的の細胞外マトリックスに導入するステップを含む。追加的なECM由来ナノベシクルは、ECM上で成長した細胞の細胞増殖、遊走および/または分化を変更する。一部の実施形態では、細胞は、血管周囲幹細胞等であるがこれに限定されない、幹細胞であってよい。他の実施形態では、細胞は、マクロファージまたは単球であってよい。
【0139】
目的の細胞外マトリックスおよびECM由来ナノベシクルは、自家、同種異系または異種異系であってよい。目的の細胞外マトリックスおよびECM由来ナノベシクルは、同じまたは異なる組織に由来してよい。目的の細胞外マトリックスおよびECM由来ナノベシクルは、同じまたは異なる種に由来してよい。具体的で非限定的な例では、目的の細胞外マトリックスおよび/またはECM由来ナノベシクルは、ヒトまたはブタである。
【0140】
細胞は、いずれかの目的の細胞であってよい。一部の実施形態では、細胞は、幹細胞または前駆細胞である。他の実施形態では、細胞は、マクロファージ、筋芽細胞、血管周囲幹細胞またはニューロブラストーマ細胞である。足場およびデバイスにおける開示されているECM由来ナノベシクルの使用を下に開示する。
【0141】
腫瘍を処置するための方法
in vivoまたはin vitroのいずれかで、腫瘍細胞の増殖を低下させるための方法が本明細書に開示されている。in vivoまたはin vitroのいずれかで、腫瘍細胞のアポトーシスを増加させるための方法も本明細書に開示されている。加えて、in vivoまたはin vitroのいずれかで、腫瘍細胞の遊走を減少させるための方法が本明細書に開示されている。これらの方法は、有効量の本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルと腫瘍細胞とを接触させるステップを含む。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、神経膠腫細胞である。他の実施形態では、ECM由来ナノベシクルは、膀胱に由来する。さらなる実施形態では、腫瘍細胞は、神経膠腫細胞であり、ECM由来ナノベシクルは、膀胱ECMから単離される。さらなる実施形態では、腫瘍細胞は、食道腺癌細胞である。他の実施形態では、ECM由来ナノベシクルは、食道ECMから単離される。さらなる実施形態では、腫瘍細胞は、食道腺癌であり、ECM由来ナノベシクルは、食道ECMから単離される。ECM由来ナノベシクルは、腫瘍組織から産出することもできる。ECMは、ヒトであってよく、または獣医学被験体に由来し得る。
【0142】
本明細書に開示されている方法は全て、いかなる種類の神経膠腫または神経膠腫細胞に使用することができる。神経膠腫は、上衣腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫または混合性神経膠腫であり得る。神経膠腫は、WHOグレードI、II、IIIまたはIVであり得る。神経膠腫は、低グレード神経膠腫または高グレード(WHOグレードIII〜IV)神経膠腫であり得る。神経膠腫は、テント上、テント下または脳橋であり得る。
【0143】
被験体における腫瘍を処置するための方法も提供される。一部の実施形態では、この方法は、被験体における現存している腫瘍を処置するステップを含む。追加的な実施形態では、良性から悪性病変への変換を防止するための、または被験体における転移を防止するための方法が本明細書に開示されている。一部の非限定的な例では、この方法は、被験体における腫瘍の症状を低下させる。追加的で非限定的な例では、腫瘍は、固形腫瘍である。一部の実施形態では、腫瘍細胞は、神経膠腫細胞である。他の実施形態では、ECM由来ナノベシクルは、膀胱ECMから単離される。さらなる実施形態では、腫瘍細胞は、神経膠腫細胞であり、ECM由来ナノベシクルは、膀胱ECMから単離される。さらなる実施形態では、腫瘍細胞は、食道腺癌細胞である。他の実施形態では、ECM由来ナノベシクルは、食道ECMから単離される。さらなる実施形態では、腫瘍細胞は、食道腺癌であり、ECM由来ナノベシクルは、食道ECMから単離される。
【0144】
一般に、この方法は、良性または悪性腫瘍等、腫瘍を有する被験体を選択するステップと、治療有効量の本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを被験体に投与するステップとを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されている方法は、神経膠腫を有する被験体等、処置を必要とする被験体を選択するステップと、治療有効量のECM由来ナノベシクルを被験体に投与するステップとを含む。化学療法剤等であるがこれに限定されない、追加的な薬剤を目的の被験体に投与することもできる。腫瘍の外科的切除等であるがこれに限定されない、追加的な処置を被験体に投与することもできる。
【0145】
腫瘍は、良性または悪性であってよい。腫瘍は、固形腫瘍またはリンパ増殖性腫瘍であってよい。腫瘍は、神経膠腫が挙げられるがこれに限定されない、いずれかの目的の腫瘍であってよい。他の実施形態では、腫瘍は、リンパ腫、乳がん、肺がんまたは結腸がんである。追加的な例は、皮膚腫瘍、乳房腫瘍、脳腫瘍、子宮頸部癌、精巣癌、頭頸部腫瘍、胃腸管腫瘍、泌尿生殖器系腫瘍、婦人科系腫瘍、乳房、内分泌系腫瘍、皮膚腫瘍、軟部組織および骨の肉腫、中皮腫、メラノーマ、中枢神経系の新生物、または白血病である。一部の実施形態では、腫瘍は、鼻腔、副鼻腔、上咽頭、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭、唾液腺および傍神経節腫の腫瘍等、頭頸部腫瘍である。他の実施形態では、腫瘍は、非小細胞肺がんまたは小細胞肺がん等、肺腫瘍である。さらなる実施形態では、腫瘍は、食道、胃、膵、肝臓、胆樹、小腸、結腸、直腸および肛門領域のがん等、胃腸管の腫瘍であってよい。さらに他の実施形態では、腫瘍は、腎臓、尿道、膀胱、前立腺、尿道、陰茎および精巣のがん等、泌尿生殖器系の腫瘍であってよい。一部の実施形態では、腫瘍は、子宮頸部、腟、外陰部、子宮体部、妊娠性絨毛性疾患、卵巣、ファロピウス管、腹膜または乳房のがん等、婦人科腫瘍である。他の実施形態では、腫瘍は、甲状腺腫瘍、副甲状腺腫瘍、副腎皮質腫瘍、膵内分泌腫瘍、カルチノイド腫瘍およびカルチノイド症候群等、内分泌系腫瘍である。腫瘍は、軟部組織および骨の肉腫、中皮腫、皮膚のがん、皮膚性メラノーマおよび眼内メラノーマを含むメラノーマ、中枢神経系の新生物、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、神経線維腫症、ニューロブラストーマ、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(Ewing's sarcoma family of tumors)、横紋筋肉腫を含む小児期のがんであってよい。腫瘍は、非ホジキンリンパ腫、皮膚性T細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫およびホジキン病を含むリンパ腫であってよい。腫瘍は、急性白血病、慢性骨髄性白血病およびリンパ球性白血病等、白血病であってよい。腫瘍は、形質細胞新生物、原発部位不明のがん、腹膜癌腫症(carcinomastosis)、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連原発性中枢神経系リンパ腫、AIDS関連ホジキン病およびAIDS関連肛門生殖器がん、肝臓への転移性がん、骨への転移性がん、悪性胸膜および心膜浸出液ならびに悪性腹水であってよい。具体的で非限定的な(liming)例では、腫瘍は、メラノーマまたは結腸がんである。
【0146】
腫瘍の処置は一般に、腫瘍の診断後に、または前駆状態(異形成または良性腫瘍の発達等)の開始後に開始される。処置は、ステージI診断におけるまたは異形成が診断されたとき等、がんの初期に開始することができる、例えば、被験体が状態の症状を顕在化する前に開始することができる。しかし、処置は、ステージI、ステージII、ステージIIIおよびステージIVがん等であるがこれらに限定されない、いずれかの疾患ステージにおいて開始することができる。一部の例では、処置は、悪性またはさらには転移性腫瘍へと変換し得る良性腫瘍を有する被験体に投与される。
【0147】
腫瘍の存在は、本技術分野で公知の方法によって決定することができ、典型的には、細胞学的および形態学的評価を含む。腫瘍は、確立された腫瘍であってよい。
【0148】
悪性がん等、状態の発症後に開始された処置は、状態の1種の症状の重症度の減少、または症状の完全な除去、または転移、腫瘍体積もしくは腫瘍数の低下をもたらすことができる。一部の例では、腫瘍は、処置後に検出不能になる。本開示の一態様では、転移等、腫瘍の形成を、遅延、防止または減少させる。別の態様では、原発性腫瘍のサイズを減少させる。さらなる態様では、腫瘍の症状を減少させる。さらに別の態様では、腫瘍体積を減少させる。
【0149】
一部の例では、この方法は、腫瘍を有する被験体の処置のためのものである。治療有効量の本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルが、被験体に投与される。具体的で非限定的な例では、ECM由来ナノベシクルは、膀胱から単離される。他の非限定的な例では、ECM由来ナノベシクルは、食道から単離される。一部の実施形態では、投与は、腫瘍細胞増殖を低下させる、腫瘍細胞アポトーシスを増加させる、および/または腫瘍細胞遊走を減少させる。投与は、腫瘍に直接的であってよい。具体的で非限定的な例では、腫瘍は、神経膠腫である。
【0150】
異形成または初期(良性)前駆状態の検出後の処置等、状態の発症に先立つ処置は、本明細書において、状態を発症する「リスクがある」被験体の処置と称される。一部の実施形態では、ECM由来ナノベシクル等、組成物またはECM由来ナノベシクルを含む医薬組成物の投与は、本明細書に記載されている状態の発生の際にまたはその後に行うことができる。一部の実施形態では、被験体は、バレット食道を持たない。他の実施形態では、被験体は、バレット食道を有する。
【0151】
医薬組成物は、ECM由来ナノベシクルと、任意選択で1種または複数種の追加的な化学療法剤とを含むことができる。このような組成物は、腫瘍を脅かすために有用である。このような組成物は、腫瘍における細胞の増殖に影響を与えるための、またはいずれかの目的の腫瘍を発症するリスクを遅延、防止、低下させるための、またはいずれかの目的の腫瘍を処置もしくはその転移の発生率を低下させるための、被験体への投与のための種々の仕方で製剤化することができる。本明細書に記載されている組成物は、初期病変の転移を防止するように、適用のために製剤化することもできる。一部の実施形態では、組成物は、腫瘍内投与等、局所的投与のために製剤化される。よって、ヒトまたは動物の医療における使用のために製剤化された、局所的使用および全身性使用の両方のための医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、組成物は、注射またはカテーテルによって投与することができる。
【0152】
開示されている方法および組成物は、典型的には、ヒト被験体の処置に使用されるが、他の霊長類、イヌ、ネコ、ウマおよびウシ等、他の脊椎動物における同様または同一の疾患の処置に使用することもできる。適した投与形式は、被験体毎に個々に医療従事者によって最良に決定され得る。様々な薬学的に許容されるキャリアおよびその製剤は、標準製剤専門書、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、E. W. Martin著に記載されている。Wang, Y. J.およびHanson, M. A.、Journal of Parenteral Science and Technology、Technical Report番号10、追補42:2S、1988年も参照されたい。医薬組成物の剤形は、選択された投与機序によって決定される。一部の実施形態では、被験体は、ヒトであり、ECM由来ナノベシクルは、ヒト組織に由来する。
【0153】
一部の実施形態では、腫瘍等、患部または目的の組織における細胞に局所的に投与されると、開示されている組成物は、腫瘍細胞増殖を低下させる、腫瘍細胞アポトーシスを増加させる、および/または腫瘍細胞遊走を低下させる。ECM由来ナノベシクルは、非経口的投与、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、腹腔内、胸骨内(intrasternal)もしくは関節腔内注射もしくは注入を含むいずれかの経路、または舌下、経口、外用、鼻腔内もしくは経粘膜的投与によって、または肺吸引によって投与することができる。適切な投与経路は、腫瘍の提示に基づき医者によって選択され得る。
【0154】
ECM由来ナノベシクルは、例えば、注射または注入のための非経口的組成物として提供される場合、一般に、約3.0〜約8.0のpH、好ましくは、約7.2〜約7.4等、約3.5〜約7.4のpHの水性キャリア、例えば、等張性バッファー溶液に懸濁される。有用なバッファーは、クエン酸ナトリウム−クエン酸バッファーおよびリン酸ナトリウム−リン酸バッファーおよび酢酸ナトリウム−酢酸バッファーを含む。
【0155】
治療有効量の調製物が、注射または送達後に多くの時間または多くの日数をかけて血流に送達されるように、リポジトリまたは「デポー」緩徐放出調製物の形態を使用することができる。
【0156】
徐放組成物の適した例として、適したポリマー材料(例えば、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセル(mirocapsule)の形態の半透性ポリマーマトリックス等)、適した疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルション等)またはイオン交換樹脂、およびやや溶けにくい誘導体(例えば、やや溶けにくい塩等)が挙げられる。徐放製剤は、腫瘍の位置に応じて、経口、直腸、非経口的、大槽内(intracistemally)、腟内、腹腔内、外用(粉剤・散剤、軟膏剤、ゲル剤、滴剤または経皮パッチによるものとして)、頬側(bucally)で、または経口もしくは鼻スプレーとして投与することができる。医薬組成物は、生分解性ポリマーおよび/またはゼリー化多糖および/または生体接着ポリマー、両親媒性ポリマー、粒子の界面特性を改変する作用物質、および薬理学的活性物質を含む粒子の形態であってよい。このような組成物は、活性物質の放出制御を可能にするある特定の生体適合性特色を示す。米国特許第5,700,486号を参照されたい。
【0157】
開示されている方法において有用な薬学的に許容されるキャリアおよび賦形剤は、従来のものである。例えば、非経口的製剤は通常、例えば、水、生理食塩水、他の平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロール等、薬学的にかつ生理学的に許容される流体ビヒクルである注射用流体を含む。含まれ得る賦形剤は、例えば、ヒト血清アルブミンまたは血漿調製物等、タンパク質である。要望に応じて、投与されるべき医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、保存料およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタン等、少量の無毒性補助物質を含有することもできる。かかる剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知である、または明らかである。
【0158】
投与される活性化合物(複数可)の量は、処置されている被験体、苦痛の重症度および投与様式に依存し、最良には処方する臨床医の判断に委ねられる。このような制約内で、投与されるべき製剤は、処置されている被験体における所望の効果の達成に有効な量の活性構成成分(複数可)の数量を含有する。長期投与が達成されるような、毎日、週2回(bi-weekly)、毎週、月2回または毎月等、定義された時間間隔にわたる等、複数の処置が想定される。投与は、疾患の抑制または防止が望まれるときにいつでも、例えば、被験体のある特定の年齢で、または環境曝露に先立ち始めることができる。
【0159】
正確な用量は、特異的画分の効力、被験体の年齢、体重、性別および生理学的状態に基づき当業者によって容易に決定される。適した濃度として、約1ng/ml〜100gr/mlが挙げられるがこれらに限定されない。
【0160】
サイトカイン、ケモカインまたは化学療法剤等、追加的な薬剤を投与することができる。これらは、開示されている医薬組成物に含まれてよい。インターフェロン(IFN)α、βまたはγ、IL−1、IL−6およびIL−10等、インターロイキン(IL)またはインターフェロン等、サイトカインを投与することができる。一例では、腫瘍の防止および処置のため、外科的処置を被験体に投与することができる。一例では、この投与は逐次である。他の例では、この投与は同時である。
【0161】
化学療法剤の例は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、天然生成物またはホルモンおよびそのアンタゴニストである。アルキル化剤の例として、ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、ウラシルマスタードまたはクロラムブシル等)、アルキルスルホネート(ブスルファン等)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンまたはダカルバジン等)が挙げられる。代謝拮抗薬の例として、葉酸アナログ(メトトレキセート等)、ピリミジンアナログ(5−FUまたはシタラビン等)、およびメルカプトプリンまたはチオグアニン等のプリンアナログが挙げられる。天然生成物の例として、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビンデシン等)、エピポドフィロトキシン(エトポシドまたはテニポシド等)、抗生物質(ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシンまたはマイトマイシン(mitocycin)C等)および酵素(L−アスパラギナーゼ等)が挙げられる。種々雑多な薬剤の例として、白金配位錯体(シスプラチンとしても公知のシス−ジアミン−ジクロロ白金II等)、置換尿素(ヒドロキシ尿素等)、メチルヒドラジン誘導体(プロカルバジン等)および副腎皮質(adrenocrotical)抑制薬(ミトタンおよびアミノグルテチミド等)が挙げられる。ホルモンおよびアンタゴニストの例として、副腎皮質ステロイド(プレドニゾン等)、プロゲスチン(ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルおよびメゲストロール(magestrol)酢酸エステル等)、エストロゲン(ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール等)、抗エストロゲン剤(タモキシフェン等)およびアンドロゲン(テストステロンプロピオン酸エステル(testerone proprionate)およびフルオキシメステロン等)が挙げられる。最も一般的に使用されている化学療法薬の例として、アドリアマイシン、アルケラン、Ara−C、BiCNU、ブスルファン、CCNU、カルボプラチナム、シスプラチナム、シトキサン、ダウノルビシン、DTIC、5−FU、フルダラビン、ハイドレア、イダルビシン、イホスファミド、メトトレキセート、ミスラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ナイトロジェンマスタード、タキソール(またはドセタキセル等の他のタキサン)、ベルバン(Velban)、ビンクリスチン、VP−16が挙げられるが、いくつかのより新しい薬物として、ゲムシタビン(Gemzar)、ハーセプチン、イリノテカン(Camptosar、CPT−11)、ロイスタチン、ナベルビン、リツキサンSTI−571、タキソテール、トポテカン(Hycamtin)、ゼローダ(Capecitabine)、ゼベリン(Zevelin)およびカルシトリオールが挙げられる。使用することができる免疫調節薬の非限定的な例として、AS−101(Wyeth−Ayerst Labs.)、ブロピリミン(Upjohn)、ガンマインターフェロン(Genentech)、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子;Genetics Institute)、IL−2(CetusまたはHoffman−LaRoche)、ヒト免疫グロブリン(Cutter Biological)、IMREG(New Orleans、La.のImreg製)、SK&F 106528およびTNF(腫瘍壊死因子;Genentech)が挙げられる。
【0162】
M2マクロファージを増加させるための方法
マクロファージは、傷害後の正常治癒のおよび正常組織発生における決定的な調節因子であることが示された。開示されているナノベシクルは、M2様、調節性またはリモデリング促進マクロファージの増加をもたらす、マクロファージ表現型におけるECM全体の効果を再現することができる。よって、調節性M2マクロファージを誘導するため等、マクロファージ表現型を改変するために、本明細書に開示されている組成物のいずれを使用することもできる。
【0163】
一部の実施形態では、本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物を投与し、これにより、被験体におけるM2マクロファージを誘導することにより、被験体におけるM2マクロファージを誘導するための方法が開示されている。さらなる実施形態では、被験体におけるM1(炎症促進性)マクロファージを減少させるための方法が開示されている。この方法は、本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物を投与し、これにより、被験体におけるM1マクロファージを阻害するステップを含む。被験体は、炎症または創傷を有する被験体等、いずれかの目的の被験体であってよい。一部の非限定的な例では、被験体は、潰瘍性大腸炎または関節リウマチ等であるがこれらに限定されない、炎症性障害を有する。他の非限定的な例では、被験体は、臓器移植レシピエント、移植片対宿主病を有する被験体、心筋梗塞を有する被験体、または手術創もしくは非外科的外傷性創傷を有する被験体等であるがこれらに限定されない、創傷を有する被験体である。よって、本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物投与するステップを含む、それを必要とする個体における創傷治癒を加速するための方法が、開示されている。投与は、創傷またはグラフトの部位に対する等、局所的であってよい。
【0164】
個体における外科手技に起因する吻合および他の創傷の治癒を促進するための方法が提供される。このような方法は、吻合または他の外科手術の前、後および/または最中の個体への、本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む有効量の組成物の投与を含む。吻合術は、例えば、腸の中央部が除去され、残っている部分が一体に連結されて、腸管を再構成する場合の、2個の管状構造の接続である。皮膚性治癒とは異なり、吻合創傷の治癒過程は一般に、視界が不明瞭である。さらに、創傷治癒は、少なくとも胃腸管において、合併症の非存在下で急速に起こる;しかし、合併症は多くの場合、追加的な外科手術による矯正を要求する。Thornton, F.およびBarbul, A.、Surg. Clin. North Am.77巻:549〜573頁(1997年)。
【0165】
手術創、切除術傷、真皮および表皮の損傷が関与する深い創傷、眼組織創傷、歯組織創傷、口腔創傷、糖尿病性潰瘍、皮膚潰瘍、肘潰瘍、動脈潰瘍、静脈うっ血潰瘍、ならびに熱曝露または化学物質に起因する熱傷を含む創傷の治癒を刺激するための方法も提供される。静脈性循環系復帰の機能障害および/または不全が原因の慢性静脈性下肢潰瘍等、虚血および虚血性傷害に起因する創傷のための方法も提供される。本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物を使用して、皮膚喪失後の皮膚再建を促進することができる。加えて、本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物を使用して、表皮の引っ張り強さおよび表皮の厚さを増加させることができる。よって、開示されている方法は、正常被験体および創傷治癒が損なわれた被験体における異なる種類の創傷の治癒の刺激において有用である。
【0166】
創傷床への皮膚グラフト(skin graft)の接着性を増加させて、創傷床からの上皮再形成を刺激するための方法も本明細書に提供されている。グラフトの種類として、次のものが挙げられるがこれらに限定されない:自家皮膚グラフト、人工皮膚、同種異系移植片、自家皮膚グラフト、自家表皮グラフト、無血管性(avacular)グラフト、Blair−Brownグラフト、骨グラフト、胚胎組織移植片(brephoplastic graft)、皮膚グラフト(cutis graft)、遅延グラフト、真皮グラフト、表皮グラフト、筋膜グラフト、全層グラフト、異種グラフト、異種移植片、同種グラフト、増殖性移植片、層状グラフト、メッシュグラフト、粘膜グラフト、Ollier−Thierschグラフト、大網(omenpal)グラフト、パッチグラフト、有茎グラフト、浸透性グラフト、分層植皮片、中間層移植片。この方法は、グラフトを有する被験体に、本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物を投与し、これにより、グラフトの接着性および認容性を増加させるステップを含む。
【0167】
擦過または化学的傷害による疱疹および熱傷を処置するための方法も提供される。このような方法は、皮膚または内臓の処置を含む。このような方法は、例えば、化学療法薬による処置もしくはシクロホスファミドによる処置による卵巣傷害;放射線もしくは化学療法誘発性膀胱炎;または高用量化学療法誘発性腸管傷害の処置を含む。この方法は、本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物を被験体に投与して、疱疹または熱傷の治癒を促進するステップを含む。
【0168】
皮膚の処置のため、本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物は、軟膏の形態等で、皮膚の患部に局所的に投与することができる。一実施形態では、軟膏は、皮膚への容易な塗布に適切な硬度を有する完全に均質な半固体外部薬剤である。かかる軟膏は、脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、ワックス、硬性軟膏、樹脂、プラスチック、グリコール、高級アルコール、グリセロール、水または乳化剤および懸濁化剤を含むことができる。基剤としてこれらの成分を使用して、デコイ化合物を一様に混合することができる。基剤に応じて、混合物は、植物および動物の油および脂肪、ワックス、VASELINE(登録商標)ならびに液体パラフィン等の基剤を使用した、油性軟膏、乳化軟膏または水溶性軟膏、油性軟膏の形態であってよい。乳化軟膏は、油性物質および水で構成され、乳化剤で乳化される。これは、水中油型(O/W)または油中水型(W/O)のいずれかをとることができる。水中油型(O/W)は、親水性軟膏となることができる。油中水型(W/O)は初期に水相を欠如し、親水性ワセリンおよび精製ラノリンを含むことができる、または水吸収軟膏(水相を含む)および水和ラノリンを含有することができる。水溶性軟膏は、その主成分として完全に水溶性のマクロゴール基剤を含有することができる。
【0169】
薬学的に許容されるキャリアは、VASELINE(登録商標)等、石油ゼリー(petroleum jelly)を含み、石油ゼリーは、5%ステアリルアルコールまたは石油ゼリー単独または液体パラフィンを含有する石油ゼリーを含有する。かかるキャリアは、錠剤、丸剤、糖衣薬剤、カプセル剤、液体調製物、ゲル剤、軟膏剤、シロップ剤、スラリー剤および懸濁剤等、消費に適切な形態に医薬組成物が処方されることを可能にする。患部または目的の組織における細胞へと局所的に投与される場合、ECM由来ナノベシクルを含む組成物は、キャリアとして合成または天然親水性ポリマーを含有する組成物で投与することができる。かかるポリマーの例として、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリエチレングリコールが挙げられる。ECM由来ナノベシクルを含む組成物は、適切な溶媒中で親水性ポリマーと混合することができる。次に、風乾等の方法によって溶媒が除去され、次いで残部が所望の形態(例えば、シート)へと成形され、標的部位に適用される。かかる親水性ポリマーを含有する製剤は、低い含水量を有するため長持ちする。使用時に、これは、水を吸収し、同様に良好に保存されるゲルになる。シートの場合、硬度は、セルロース、デンプンおよびその誘導体、または合成ポリマー化合物等、上記と同様の親水性ポリマーと多価アルコールとを混合することにより調整することができる。このように形成された親水性シートを使用することができる。本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルを含む治療有効量の組成物は、創傷のための絆創膏および包帯材に取り込まれてもよい。
【0170】
足場およびデバイス
哺乳動物細胞外マトリックス、例えば、ヒトまたはブタ細胞外マトリックス等、細胞外マトリックスに由来するナノベシクルを含むデバイスも開示されている。本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルのいずれかを、デバイスの構成成分上にコーティングするまたはその中に包埋することができる。デバイスは、限定することなく、外科用メッシュ、ステント、ペースメーカー、カテーテル、心臓弁、バイオセンサー、薬物送達デバイスまたは整形外科インプラントであってよい。デバイスを使用して、損傷または断裂した腱または筋肉を修復することができる。足場またはデバイスは、顎関節障害の処置のためのものであってよく、例えば、参照により本明細書に組み込む米国特許第9,277,999号を参照されたい。
【0171】
哺乳動物細胞外マトリックス、例えば、ヒトまたはブタ細胞外マトリックス等、細胞外マトリックスに由来するナノベシクルを含む生体足場が本明細書に開示されている。本明細書に開示されているECM由来ナノベシクルのいずれかが、生物学的に適合性の足場である生体足場に含まれてよい。このような生体足場は、デバイスに取り込まれてよい。
【0172】
本明細書に開示されているデバイスの作製に使用されるポリマー構成成分は、好ましくは、生体適合性である。「生体適合性」とは、ポリマー組成物およびその正常in vivo分解生成物が、細胞適合性(cytocompatible)であり、有用な実用的および/または許容される公差(tolerance)内で、患者において実質的に無毒および非発癌性であることを意味する。「細胞適合性」とは、ポリマーが、細胞集団を維持し得ること、ならびに/またはポリマー組成物、デバイスおよびその分解生成物が、有用な実用的および/もしくは許容される公差内で、野生型(正常、非がん性)細胞にとって細胞傷害性および/もしくは発癌性ではないことを意味する。例えば、ポリマーは、ヒト上皮細胞培養物に置かれた場合、細胞の生存率、成長、接着および数に有害に影響を与えない。非限定的な一実施形態では、組成物および/またはデバイスは、所与の法域の適用できる規制基準に従ったヒト患者における使用に許容される程度まで「生体適合性」である。別の例では、生体適合性ポリマーは、患者に植え込まれた場合、身体内の細胞および組織に対する実質的な有害反応または実質的な害を引き起こさない、例えば、ポリマー組成物またはデバイスは、植え込まれた足場から組織に害をもたらす壊死または感染を引き起こさない。
【0173】
足場およびデバイスは、創傷治癒、組織リモデリングおよび組織再生が挙げられるがこれらに限定されない、多数の医学的適用に使用することができる。例えばであって限定するものではないが、足場は、創傷治癒に使用することができる。
【0174】
一部の実施形態では、デバイスまたは生体足場は、細胞外マトリックスを含むことができる。具体的で非限定的な例では、細胞外マトリックスは、食道細胞、膀胱細胞、小腸粘膜下組織または真皮に由来する。
【0175】
ある特定の実施形態では、ECMおよびECM由来ナノベシクルが、同じ被験体に由来するように、ECMは、自家であってよい。特に、ヒト等の被験体由来のECMを収集し、ナノベシクルの単離に使用することができる。このようなECM由来ナノベシクルは、同じ被験体由来のECMと共に使用することができる。よって、同じ被験体由来のECMおよびECM由来ナノベシクルを含有する生体足場またはデバイスが産生される。
【0176】
別の実施形態では、ECMおよびECM由来ナノベシクルが、同じ種の異なる被験体に由来するように、ECMは、同種異系(allogenieic)であってよい。特に、ヒト等の被験体由来のECMを収集し、ナノベシクルの単離に使用することができる。このようなECM由来ナノベシクルは、異なる被験体由来のECMと共に使用することができる。よって、異なる被験体だが同じ種由来のECMおよびECM由来ナノベシクルを含有する生体足場またはデバイスが産生される。
【0177】
別の実施形態では、ECMおよびECM由来ナノベシクルが、異なる種に由来するように、ECMは、異種異系であってよい。非限定的な一例では、ヒト等の被験体由来のECMを収集し、ナノベシクルの単離に使用することができる。このようなECM由来ナノベシクルは、ブタ等の異なる種由来のECMと共に使用することができる。別の非限定的な例では、ブタ等の被験体由来のECMを収集し、ナノベシクルの単離に使用することができる。このようなECM由来ナノベシクルは、ヒト等の異なる種由来のECMと共に使用することができる。よって、異なる種由来のECMおよびECM由来ナノベシクルを含有する生体足場またはデバイスが産生される。
【0178】
さらなる実施形態では、ECMおよびECM由来ナノベシクルは、同じ組織供給源に由来する。別の実施形態では、ECMおよびECM由来ナノベシクルは、異なる組織供給源に由来する。よって、一部の非限定的な例では、ECMおよびECM由来ナノベシクルの両方は、食道組織、膀胱、小腸粘膜下組織、真皮、臍帯、心膜、心組織もしくは骨格筋、またはこれらの組織に由来する培養下の細胞から産生することができる。他の非限定的な例では、ECM由来ナノベシクルは、食道組織、膀胱、小腸粘膜下組織、真皮、臍帯、心膜、心組織または骨格筋細胞から産生され、ECMは、この組織供給源に由来しない。さらなる非限定的な例では、ECMは、食道組織、膀胱、小腸粘膜下組織、真皮、臍帯、心膜、心組織または骨格筋から産生され、ECM由来ナノベシクルは、この組織供給源に由来しない。
【0179】
非限定的な一実施形態では、ECM由来ナノベシクルに加えて、足場(またはデバイス)は、生物活性剤等、他の剤を含む。このような生物活性剤を使用して、組織治癒、組織リモデリングおよび/または血管新生を容易にすることができる。別の非限定的な実施形態では、足場(またはデバイス)は、細菌および他の病原体を撃退するための、幹細胞等の選択された細胞型を動員するための、または細胞の分化を誘導するための、追加的な生物活性剤を含む。さらに別の非限定的な実施形態では、足場は、創傷の排液を可能にするための、または細胞が通過し結合組織を沈着するためのポアを含む。
【0180】
上に記載する通り、足場またはデバイスは、ECM由来ナノベシクルに加えてECMを含むことができる。別の非限定的な実施形態では、細胞および生物活性剤の組合せが、患者の部位での植え込みの前またはその最中に、ECM由来ナノベシクルを含む足場またはデバイスに添加される。開示されているナノベシクルは、これらの足場のいずれかに適用することができる、またはそこに取り込まれてよい。
【0181】
足場は、いずれか適した合成ポリマー構成成分、生物学的ポリマー構成成分またはこれらの組合せを含むことができる。「生物学的ポリマー(複数可)」は、これらに限定されないが、哺乳動物または脊椎動物組織および細胞外マトリックス等、生物学的供給源から得ることができるポリマーである。生物学的ポリマーは、追加的な処理ステップによって改変することができる。ポリマー(複数可)は一般に、例えばであって限定するものではないが、モノポリマー(複数可)、コポリマー(複数可)、ポリマーブレンド(複数可)、ブロックポリマー(複数可)、ブロックコポリマー(複数可)、架橋ポリマー(複数可)、非架橋ポリマー(複数可)、直鎖状、分枝状、コーム、星形および/または樹状突起形のポリマー(複数可)を含み、ポリマー(複数可)は、いずれか有用な形態、例えばであって限定するものではないが、ハイドロゲル、多孔性メッシュ、繊維、織地メッシュ(woven mesh)、または例えばであって限定するものではないが、電着によって形成された不織メッシュ等の不織メッシュに形成することができる。
【0182】
一部の実施形態では、足場に適したポリマー構成成分は、生分解性および生体適合性であるポリマーであってよい。「生分解性」とは、ポリマーが、植え込まれ、体液および/または組織と接触して置かれると、部分的にまたは完全に、化学的、生化学的および/または酵素的過程により分解することを意味する。かかる化学反応の非限定的な例として、酸/塩基反応、加水分解反応および酵素切断が挙げられる。ある特定の非限定的な実施形態では、生分解性ポリマーは、次の単量体のうち1種または複数種を限定することなく含む、ホモポリマー、コポリマーおよび/またはポリマーブレンドを含むことができる:グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、ジオキサノンおよびトリメチレンカーボネート。生分解性ポリマーの非限定的な例として、ポリ(エステルウレタン)尿素エラストマー(PEUU)およびポリ(エーテルエステルウレタン)尿素エラストマー(PEEUU)が挙げられる。他の非限定的な実施形態では、ポリマー(複数可)は、不安定化学的部分を含み、その非限定的な例として、例えばであって限定するものではないが、足場の分解速度および/または足場からの治療剤の放出速度の制御において有用となり得る、エステル、無水物、ポリ酸無水物またはアミドが挙げられる。あるいは、ポリマー(複数可)は、in situに置かれると化学反応に対し感受性である基本要素としてペプチドまたは生体高分子を含有することができる。非限定的な一例では、ポリマーは、ポリマーに酵素的不安定性を付与するアミノ酸配列アラニン−アラニン−リシンを含むポリペプチドである。別の非限定的な実施形態では、ポリマー組成物は、ECMに由来する生体高分子構成成分を含むことができる。例えば、in situに存在するコラゲナーゼが、コラーゲンを分解することができるように、ポリマー組成物は、生体高分子コラーゲンを含むことができる。
【0183】
ポリマー構成成分は、創傷または組織の予想される治癒速度と同様のタイムスケールでin situに分解するように選択することができる。in situ分解速度の非限定的な例として、1週間〜1年間の間またはそれらの間の増分、例えば、2週間〜10ヶ月間の間および1ヶ月間〜6ヶ月間の間が挙げられる。
【0184】
生分解性足場の機械的特性は、植え込み部位でのネイティブ組織における正常なひずみおよびストレス下で働くように最適化することができる。ある特定の非限定的な実施形態では、足場の機械的特性は、例えば、筋膜、結合組織、骨、軟骨、血管、筋肉、腱、脂肪等、ネイティブ軟部組織のものと同様または同一に最適化される。
【0185】
足場の機械的特性は、外科的取扱いに適するように最適化することもできる。非限定的な一実施形態では、足場は可撓性であり、部位に縫合することができる。別の実施形態では、足場は折り畳み可能であり、侵襲性が最小の腹腔鏡方法によって部位に送達することができる。
【0186】
生分解性足場の物理的および/または機械的特性は、意図される使用に従って最適化することができる。最適化され得る変数は、ポリマー構成成分を含むネットワークにおける物理的、化学的または光酸化架橋の程度、ネットワーク内のポリマー構成成分の比、ポリマー構成成分の分子量の分布、およびポリマーを処理する方法を限定することなく含む。ポリマーは典型的に半結晶性であり、その物理的特性および/または形態は、単量体組成、多分散性、平均分子量、架橋および融解/結晶化条件を含む多数の因子に依存する。例えば、ポリマー溶融物の冷却の際の流動および/または剪断条件は、組成物における結晶構造の形成に影響を与えることが公知である。非限定的な一実施形態では、足場は、足場に強度および耐久性をもたらすポリマー構成成分を含むが、足場の機械的特性が、創傷または組織再生を必要とする部位の周囲のネイティブ組織と同様のものとなるように、エラストマーである。
【0187】
本明細書に記載されている通り、ある特定の非限定的な実施形態において、生分解性足場のポリマー構成成分のうち1種または複数種は、エラストマーである。非限定的な一例では、足場は、軟骨のものと同様の物理的特性を有する。ある特定の非限定的な実施形態では、生分解性足場は、高度に膨張性のポリマー構成成分を含む。適したポリマーの例として、約100%〜約900%(その間のいずれかの増分を含む)、例えば、200%〜800%の間または325%〜600%の間に及ぶ破断ひずみを有するものが挙げられる。他の非限定的な実施形態では、ポリマーの破断ひずみは、50%〜100%の間(その間のいずれかの増分を含む)である。さらに、多くの場合、5MPa〜25MPaおよび8MPa〜20MPaの間等、10kPa〜30MPa(その間の増分を含む)の引っ張り強さを有するポリマーを選択することが有用である。ある特定の非限定的な実施形態では、初期モジュラスは、10MPa〜90MPaの間および20MPa〜70MPaの間等、10kPa〜100MPaの間およびそれらの間の増分である。
【0188】
本開示は、次の非限定的な実施例によって説明される。
【実施例】
【0189】
(実施例1)
材料および方法
化学物質および試薬。ブタ胃粘膜由来のペプシンは、MP Biomedical(Solon、OH)から入手した。Clostridium histolyticum由来のコラゲナーゼは、Sigma Aldrich(St.Louis、MO)から入手した。プロテイナーゼK溶液、Quant−iT PicoGreen dsDNAアッセイキットおよびRNase Aは、Thermo Scientific(Waltham、MA)から入手した。RNaseを含まないDNaseは、Qiagen(Valencia、CA)から入手した。
【0190】
ECM生体足場産生
真皮ECM。真皮ECMは以前の報告の通りに調製した。手短に述べると、市場重量(約110kg)のブタから全層皮膚を採取し(Tissue Source,Inc.、Lafayette、IN)、機械的剥離により皮下脂肪および表皮を除去し、続いて0.25%トリプシン(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)で6時間、70%エタノールで10時間、3%H
2O
2で15分間、0.26%EDTA/0.69%Tris中の1%Triton X−100(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)で6時間、溶液交換してさらに16時間、0.1%過酢酸/4%エタノール(Rochester Midland、Rochester,NY)で2時間処理した。最終ステップの後に水とリン酸緩衝食塩水(PBS)洗浄を交互に入れて、各化学変化の間に水洗浄を行った。全ての化学物質曝露は、オービタルシェーカー上で、300rpmで撹拌しながら行った。次いで、真皮ECMを凍結乾燥し、#40メッシュのスクリーンを備えたWiley Millを使用して粒状形態に粉砕した。
【0191】
膀胱マトリックス(UBM)。UBMは、以前の報告の通りに調製した(Wolfら、Biomaterials、2012年10月;33巻(29号):7028〜38頁)。市場重量の動物由来のブタ膀胱は、Tissue Source,LLC.(Lafayette、Indiana)から入手した。手短に述べると、漿膜、外筋層、粘膜下組織および粘膜筋板を、機械的に除去した。粘膜の管腔尿路上皮細胞(luminal urothelial cell)は、脱イオン(DI)水で洗浄することによって基底膜から解離した。残りの組織は、基底膜および粘膜下の固有層からなり、4%エタノールを含む0.1%過酢酸中で300rpmで2時間撹拌することにより脱細胞化した。次いで、組織をリン酸緩衝食塩水(PBS)および滅菌水で広範囲にすすいだ。次いでUBMを凍結乾燥し、#60メッシュスクリーンを備えたWiley Millを使用して粒状形態に粉砕した。
【0192】
小腸粘膜下組織(SIS)。SIS生体足場の調製は以前に報告されている。手短に述べると、6ヶ月齢の市場重量(240〜260ポンド)のブタから空腸を採取し、縦に分割した。粘膜の表層を機械的に除去した。同様に、漿膜および外筋層を機械的に除去し、粘膜下組織および粘膜の基底部を残した。組織の脱細胞化および消毒は、4%エタノールを含む0.1%過酢酸中で300rpmで2時間撹拌することによって完了させた。次いで、組織をリン酸緩衝食塩水(PBS)および滅菌水で広範囲にすすいだ。次いで、SISを凍結乾燥し、#60メッシュスクリーンを備えたWiley Millを使用して粒状形態に粉砕した。
【0193】
BARD XENMATRIX(商標)(ブタ真皮)、ACELL(登録商標)MATRISTEM(登録商標)(ブタUBM)およびCOOK(登録商標)BIOTECH、BIODESIGN(登録商標)(ブタSIS)は、それぞれのデバイスの製造業者によって提供された。
【0194】
ECM試料の酵素消化。ECM試料を凍結乾燥して乾燥させ、手動で小片に切断し、#60メッシュスクリーンを備えたWiley Millを使用して粉末に砕いた。酵素消化は、バッファー(50mM Tris−HCl、pH8、200mM NaCl)中の0.1mg/mlプロテイナーゼKを用いて室温で24時間;バッファー(50mM Tris pH8、5mM CaCl
2、200mM NaCl)中の0.1mg/mlコラゲナーゼを用いて室温で24時間;またはバッファー(0.01M HCl)中の1mg/mlペプシンを用いて室温で24時間のいずれかで各試料の5mg/ml乾燥重量を消化することによって行った。核酸抽出の前に、ペプシン可溶化試料を、NaOHでpH8.0に中和した。各試料の5mg/ml乾燥重量を、酵素処理せずに、塩バッファー(50mM Tris−HCl、pH8、200mM NaCl)または酸バッファー(0.01M HCl)に再懸濁させることにより、未消化試料(対照)を調製した。
【0195】
核酸抽出およびプロファイリング。等容量のフェノール:クロロホルム(pH8)の添加により、ECM粉末試料から核酸を抽出した。試料を短時間ボルテックスし、12,000×gで10分間遠心分離し、その水相を新しいチューブに移した。1/10容量の3M酢酸ナトリウムおよび3容量の100%エタノールの添加により核酸を沈殿させ、反転により混合し、20,000×g、4℃で20分間遠心分離した。核酸ペレットを75%エタノールで1回洗浄し、ヌクレアーゼを含まない水に再懸濁させた。回収された核酸の塩基対の長さは、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)を使用して、または2%(wt/vol)アガロースゲルでの電気泳動および臭化エチジウム染色によって分析した。全核酸の定量は、Thermo Scientific NanoDrop 1000分光光度計を使用して260nmでのUV吸光度によって行った。dsDNAの定量は、製造業者の推奨するプロトコールに従ってQuant−iT PicoGreen dsDNAアッセイキットを使用して行った。
【0196】
RNA単離。miRNeasy Miniキット(Qiagen、Valencia、CA)を、製造業者の指示に従って使用して、細胞RNAならびにECM「フリーRNA」(脱細胞化プロセスの結果としてECM生体足場内に捕捉されている)を単離した。ナノベシクルRNAは、製造業者の指示に従ってSeraMirキット(kti)(SBI、Mountain View、CA)を介して単離した。ナノベシクルのRNA単離の前に、試料を2単位(10μg/mL)のRNase(ABI、Foster City、CA)を用いて、37度で30分間処理して、脱細胞化プロセスからのレムナントRNAなどの任意の夾雑するRNA(「フリーRNA」)を分解した。RNase阻害剤(ABI、Foster City、CA)の添加により反応を停止させた。Nanodrop分光光度計(NanoDrop、Wilmington、DE)を使用してRNA量を決定し、その品質を、Agilent Bioanalyzer 2100(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)により決定した。
【0197】
ナノベシクル単離。消化物は500g(10分)、2,500g(20分)および10,000g(30分)で連続的遠心分離に付して、コラーゲン原線維レムナントを除去した。上記遠心分離ステップの各々を3回行った。次いで、線維を含まない上清を、100,000g(Beckman Coulter Optima L−90K超遠心分離機)で、4℃で70分間遠心分離した。100,000gのペレットを洗浄し、500μlのPBSに懸濁させた。上記の手順は、対照として働く、ECMなしで消化酵素に対して行った。
【0198】
ナノベシクルイメージング。透過型電子顕微鏡法(TEM)イメージングは、カーボンコートグリッド上に載せ、4%パラホルムアルデヒドで固定したECMベシクルに対して行った。グリッドは、高分解能AMTデジタルカメラを備えたJEOL 1210透過型電子顕微鏡を用いて80kVで画像化した。MVのサイズは、JEOL TEMソフトウェアを使用して代表的な画像から決定した。
【0199】
ゲル電気泳動およびウエスタンブロッティング。ナノベシクルタンパク質濃度を、Pierceのビシンコニン酸タンパク質定量アッセイキット(Pierce Chemical、Rockford、IL)を使用して決定し、5%β−メルカプトエタノール(Sigma、St.Louis、MO)を含有するラメラバッファー(R&D Systems、Minneapolis、MN)に再懸濁させた。次いで、等濃度のタンパク質を、5%〜15%勾配のSDS−PAGE(Bio−Rad、Hercules、CA)のウェルにロードした。ゲルを、二回蒸留水中のランニングバッファー(25mM Tris塩基、192mMグリシン、および0.1%SDS)中で、150mVでMini−Protean電気泳動モジュールアセンブリ(Bio−Rad)を使用して泳動し、続いて転写バッファー(25mM Tris、pH7.5、192mMグリシン、20%メタノール、および0.025%ドデシル硫酸ナトリウム)中で、280mAで45分間、ポリビニリデンジフルオリド膜(Millipore、Bedford、MA)に半乾燥転写した。次いで、膜をPierceタンパク質フリーブロッキングバッファー(Pierce Chemical、Rockford、IL)で45分間ブロッキングし、次の一次抗体:CD63およびCD81(SBI、Mountain View、CA)と共に一晩インキュベートした。膜を適切な二次抗体と共にインキュベートする前および後に、それぞれ膜を15分間3回洗浄した。洗浄した膜を化学発光基質(Bio−Rad)に曝露し、次いで、chemidoc touch装置(Bio−Rad)を使用して可視化した。
【0200】
ナノベシクルサイズ決定。ナノベシクルを、粒子を含まないPBSで希釈し、報告されているようにナノ粒子追跡分析(NTA)を使用してそれらのサイズを決定した(Webber, J.およびClayton, A.、How pure are your vesicles?)。手短に述べると、NTA測定は、NanoSight LM10装置(NanoSight NTA 2.3 Nanoparticle Tracking and Analysis Release Version Build 0025)を使用して行った。ナノベシクルのサイズ分布は、高速ビデオキャプチャおよび粒子追跡ソフトウェアを備えたNanoSight LM10システム(NanoSight、Wiltshire、United Kingdom)でブラウン運動の速度を測定することによって分析した。ナノベシクルを、粒子を含まないPBSで希釈し、NanoSight試料キュービクルに注入した。平均±標準誤差(SD)サイズ分布を決定した。
【0201】
RNA配列決定。小さいRNAライブラリーを、Ion Total RNA Seq Kit v2を使用し、製造業者の指示に従って調製した。手短に述べると、10〜200nt範囲のRNAのビーズベースのサイズ選択の後、cDNAを、インデックス付けされた配列決定アダプターのハイブリダイゼーションおよびライゲーション、続いて逆転写およびPCRによって作製した。増幅されたライブラリーを、ビーズベースの方法を使用して再びサイズ選択し、バイオアナライザーで分析して、ライブラリーサイズ分布が予想どおりであったことを確認した。Ion One Touch 2システムを使用して、調製したライブラリーの自動化エマルションPCRおよび鋳型化Ion Sphere(商標)Particle(ISP)富化を行った。配列決定は、単一のP1配列決定チップを使用してIon Protonで行った。全ての配列データが報告されるように、品質フィルターを除いた。配列は、品質管理(FASTQC)について分析し、Torrent Suiteを使用してヒトゲノム(HG19)にアライメントした。出力ファイル(.bam)をアップロードし、miRBase V.20にマッピングし、さらにCLC Genomic(Qiagen、Valencia、CA)を使用して分析した。読み取りは、100万読み取りあたりの(RPM)読み取りに対して正規化した。
【0202】
インジェヌイティ・パスウェイ・アナリシス。RNA配列決定により同定されたmiRNAを、インジェヌイティ・パスウェイ・アナリシス(Ingenuity pathway analysis:IPA)によって分析し、miRNAシグナル伝達経路シグネチャを決定した。
【0203】
qPCR。Sybr Green遺伝子発現アッセイ(ABI、Foster City、CA)を使用して、iNOS、TNFa、STAT1、STAT2、STAT5A、STAT5B、IRF3、IRF4、IRF5、IL1RN、CD206、TGM2、STAT3、STAT6、KLF4、PPARgの相対発現レベルを決定した。結果を、β−グルクロニダーゼ(β−GUS)対照を使用したΔΔCt方法により分析し、結果を正規化した。倍数変化は、ベースラインとしてナノベシクル対照を使用して計算した。
【0204】
細胞培養。血管周囲幹細胞(PVSC)は、以前の報告の通りに単離された(Timothyら、Biomaterials.2013年9月;34巻(28号):6729〜6737頁)。単離された細胞を、20%ウシ胎仔血清(FBS、Thermo fisher)、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を含有する高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Invitrogen)中、37℃で、5%CO2中で培養した。
【0205】
C2C12筋肉筋芽細胞を、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から入手して、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を補充したDMEM(Invitrogen)中で、ATCCガイドラインに従って培養した。
【0206】
THP−1ヒト単球をATCCから入手し、RPMI、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび0.05mM β−メルカプトエタノール中、加湿雰囲気中、37℃、5%CO2で維持した。1ウェルあたり200万個のTHP−1細胞を320nM ホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)と共に24時間プレーティングしてマクロファージへの分化を誘導した。接着性マクロファージをPBSで洗浄し、新鮮な培地に入れ、その後新鮮な培地で72時間インキュベートして休息させた。PMAで分化して休息させたTHP1マクロファージは、ヒト末梢血マクロファージとほとんど区別できない活性を呈することが示されている(Diagneaultら、PLoS One、2010年1月13日;5巻(1号):e8668頁)。マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)を単離し、以前の報告の通りに特徴付けた(Sicariら、Biomaterials、2014年10月;35巻(30号):8605〜12頁)。手短に述べると、骨髄を6〜8週齢のC57bl/6マウスから採取した。無菌技術を使用して、近位の後肢から足に至る皮膚を除去し、足根および膝蓋(stifle)を外し、脛骨を単離した。同様に、大腿骨の単離のために、股関節大腿骨関節(coxafemoral joint)を離散させた。骨を氷上に保ち、DMEM、10%ウシ胎仔血清(FBS)、10%L929上清、0.1%ベータ−メルカプトエタノール、10mm非必須アミノ酸、および10mmヘペスバッファーからなるマクロファージ完全培地を含有する滅菌皿ですすいだ。次いで、各骨の末端を離断し、骨髄腔を30ゲージの針を使用して完全培地で洗い流した。採取した細胞を洗浄し、106細胞/mlでプレーティングし、48時間ごとに完全培地交換して7日間マクロファージに分化させた。マウス神経芽腫細胞株であるN1E−115細胞を、熱不活性化10%ウシ胎仔血清を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で成長させた。ナノベシクルの添加前に、6ウェルプレートに100万個の細胞を入れた。
【0207】
ナノベシクル蛍光標識。ナノベシクルは、製造業者の指示に従ってExo−glow(SBI、Mountain View、CA)を使用して標識した。手短に述べると、500μLの再懸濁させたナノベシクルをExo−glowで標識し、37℃で10分間インキュベートした。100μlのExoQuick−TCを加えて反応を停止させ、試料を氷上に30分間置いた。次いで、試料を14,000で10分間遠心分離した。上清を除去し、ペレットを500μlの1×PBSで再懸濁させた。次いで、in vitroで細胞を、標識ナノベシクルに4時間曝露し、Axio Observer Z1顕微鏡で画像化した。
【0208】
in vitroスクラッチアッセイ。細胞を上記のように6ウェルプレートで培養した。培養物がコンフルエント(播種後24時間)になったとき、ナノベシクルを培養培地に加えた。p−200ピペットチップを使用して、コンフルエントな細胞層を通る2本の垂直線をスコアリングし、「創傷」をシミュレートした。Axio Observer Z1顕微鏡で20分ごとに画像を取得した。
【0209】
遊走アッセイ。ナノベシクルが細胞機能を果たす能力を、血管周囲幹細胞(PVSC)に対する8mm CytoSelect細胞遊走アッセイ(Cell Biolabs、San Diego、CA)を介して評価した。PVSCを飢餓状態にし、0.5%熱不活性化FCSを含有する成長因子を添加していない培地中で14〜17時間、ナノベシクルで処理した。飢餓状態の細胞をトリプシンで採取し、4105細胞=mLの濃度で無血清培地に再懸濁させ、加湿した95%空気=5%CO2 37℃インキュベーター中で1時間プレインキュベートした。96ウェルメンブレンチャンバーインサートを、フィーダートレー上に置き、100μLの細胞懸濁物をメンブレンチャンバーの各ウェルに添加し、1ウェルあたり40,000細胞の最終濃度とした。プレートを覆い、95%空気=5%CO2の加湿雰囲気下、37℃で4時間インキュベートした。清浄な採取トレーの各ウェルに150マイクロリットルの細胞剥離溶液を添加した。96ウェルメンブレンチャンバーを、フィーダートレーから離して、メンブレンチャンバーの上面の残りの細胞を吸引によって除去し、メンブレンチャンバーを、細胞剥離溶液を含有する採取トレー上に置き、細胞培養インキュベーター中で1時間インキュベートし、膜の底からあらゆる細胞を採取トレーのウェルにすすぎ入れた。CyQuant GR Dye=細胞溶解溶液を、溶解バッファー(1:75)に色素を希釈することにより調製し、メンブレンチャンバーを採取トレーから取り出し、50mLの色素=細胞溶解溶液を採取トレーの各ウェルに添加した。このトレーを室温で20分間インキュベートして細胞を溶解し、核酸を染色した。次いで、各ウェルの内容物の150マイクロリットルを、蛍光測定に適したプレートに移した。SpectraMax M2 Plate Reader(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて480〜520nmで蛍光を測定した。各実験条件を三連で試験し、各条件について平均遊走細胞数を決定した。2つの対応のあるt検定を使用して、ナノベシクル処理細胞と対照との間の有意差を検出した。P値<
*0.05を有意と見なした。
【0210】
マクロファージ免疫標識。ECM分解生成物は、マクロファージの表現型をもたらすことが示されている。マクロファージ免疫標識は、ECM包埋マイクロベシクルがマクロファージ表現型に対して同様の効果を有するかどうかを評価するために行った。初代マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)を単離し、炎症促進性「M1様」および抗炎症性「M2様」(それぞれ)表現型の強力な指標である2つのマーカー(iNOSおよびFizz−1)を使用した。免疫蛍光染色に使用した一次抗体は、以下であった:(1)汎マクロファージマーカーについては、モノクローナル抗F4/80(Abcam、Cambridge、MA)を1:200希釈で、(2)M1マーカーについては、ポリクローナル抗iNOS(Abcam、Cambridge、MA)を1:100希釈で、および(3)M2マーカーについては、ポリクローナル抗Fizz1(Peprotech、Rocky Hill、NJ)。PBS、0.1%Triton−X、0.1%Tween−20、4%ヤギ血清および2%ウシ血清アルブミンからなるブロッキング溶液中で、細胞を室温で1時間、非特異的結合を防ぐためにインキュベートした。ブロッキング溶液を除去し、細胞を一次抗体中で4℃で16時間インキュベートした。PBS中で洗浄した後、細胞を、室温で1時間、フルオロフォアコンジュゲート二次抗体(Alexa Fluorロバ抗ラット488またはロバ抗ウサギ488、Invitrogen、Carlsbad、CA)中でインキュベートした。PBSで再度洗浄した後、イメージングに先立って核を4’6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で対比染色した。生細胞顕微鏡を使用して各ウェルについて3つの20×視野の画像を取得した。ECM処理マクロファージの光曝露時間は、対照として働くサイトカイン処理マクロファージについて設定されたものに基づいて標準化した。陽性F4/80、iNOS、およびFizz−1パーセンテージについては、CellProfilerパイプラインを使用して画像を定量した。
【0211】
(実施例2)
ECM生体足場材料中の核酸の定量
ECMナノベシクルの発見は、脱細胞化プロセスのレムナントとして核酸の代替形態の存在についての生体足場を評価するための研究の予期せぬ結果であった。二本鎖DNA(dsDNA)の定量は、脱細胞化効率を評価するための基準として一般的に使用されるが、これらの分析では、RNAまたは一本鎖DNA(ssDNA)などの他の形態の核酸の定量は無視される。核酸の代替形態が、ECM生体足場中に存在するかどうかを決定するために、フェノール:クロロホルム方法を使用して、粉砕された(無細胞)ECM足場材料から核酸を抽出した。dsDNAの定量は、PicoGreenアッセイを使用して行い、全核酸の定量は、RNAを含む、存在する核酸の全ての形態を検出する260nmでのUV吸光度によって行った。結果により、dsDNAの量が、脱細胞化されたECM足場材料中に存在する全核酸の一部分を提示しているに過ぎないことが示された(
図1)。驚くべきことに、これらのECM足場が核酸抽出に先立って種々のプロテアーゼで最初に酵素消化された場合、全核酸量は未消化(対照)試料と比較して有意に増加することが観察された。重要なことに、この全核酸の増加は、dsDNAの増加によるものではなく、何らかの形で核酸の代替形態がECM内に封入され、ECMによって保護されていることを意味していた。このパターンは、膀胱マトリックス(UBM)およびACELL(登録商標)MATRISTEM(商標)(
図1A);小腸粘膜下組織(SIS)およびCOOK BIOTECH(登録商標)によって製造されたSIS(
図1B);真皮およびBard(登録商標)XENMATRIX(商標)(
図1C)の、実験室で製造されたおよび市販されている等価物を含む、試験されたECM足場材料の全ての形態について観察された。さらに、実験室で製造された足場とそれらの市販されている等価物との間の核酸濃度は類似しており、これにより、これらの結果が本発明者らの標準的な実験室脱細胞化プロトコールの人工産物ではないことが実証された。
【0212】
(実施例3)
生物学的足場の酵素消化は、小RNA分子を放出する
RNAがECM足場に存在するかどうかを決定するために、核酸抽出物をDNase IまたはRNase Aヌクレアーゼに曝露し、その生成物をアガロースゲル電気泳動(
図2A)によって分析した。結果により、DNase I処理により、約25〜200bpの間で泳動されたスメアなバンドを除いて、全ての核酸材料を除去したことが示される。逆に、RNase A処理は、この小さな核酸画分を除去し、これによって、これらの短い長さの核酸分子が実際には小RNA分子であることが示された。さらに、未消化の対照試料と比較して、これらの小RNA分子は、ECM足場が酵素的に分解された後にのみ効率的に抽出され得(
図2A)、この結果は、
図1において観察された全核酸の増加と平行していた。Agilent 2100 Bioanalyzerを使用して、核酸調製物をさらに分析した(
図2B)。結果により、ヌクレアーゼに曝露されていない試料(
図2B、上のパネル)と比較して、DNase I処理が、25〜200bpの範囲内の小RNA分子を除く全ての核酸材料を除去した(下のパネル)ことが示され、それによって、ECM足場中の小RNA分子の存在が確認される。
図2Aおよび2Bに示す結果は、実験室で製造されたUBM足場を使用して得られたが、これらの小RNA分子は、試験した全ての生物学的足場において引き続いて同定された(
図2C)。興味深いことに、核酸抽出の前に、RNase Aヌクレアーゼで酵素消化したECM足場の前処理では、小RNA分子が除去できなかった(
図2D)。酵素消化された形態のECMからRNase Aが小RNA分子を除去できないことによって、おそらくRNAカーゴをヌクレアーゼ活性から保護する、ナノベシクルへのRNAの取り込みによりそのRNAがヌクレアーゼ分解から保護されていることが示された(Kogaら、J Gastrointest Oncol.2011年;2巻(4号):215〜222頁)。
【0213】
(実施例4)
ECM包埋ナノベシクルの同定
ECM内に包埋されたナノベシクルの最初の証拠は、四酸化オスミウム固定UBMシート上で透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用して得られた。オスミウムについて陽性に染色された円形構造物が同定され、脂質膜の存在を示した(
図3A)。この観察の後、ECM足場材料の酵素消化の後にのみ、これらのナノベシクルがマトリックスから分離され得ることが実証された。ECM足場を部分的にしか消化しないペプシンプロテアーゼによる酵素消化(
図3B、左パネル)によって、これらのナノベシクルが文字どおりマトリックス自体のコラーゲン網目状構造に織り込まれていることが明らかになった。しかし、コラゲナーゼまたはプロテイナーゼKでECM足場を完全に消化した後(
図3B、右パネル)、これらのナノベシクルは、線維網目から完全に分離することができた。これらのベシクルの構造、組成およびサイズは、ナノベシクルおよびエキソソームから期待されるものと適合する。超遠心分離と組み合わせた酵素消化の戦略を利用することにより、市販の生成物を含む全ての試験した形態のECM足場材料からこれらのナノベシクルを単離し、精製した(
図3C)。これらの結果は、細胞外マトリックス内に包埋されたナノベシクルの最初の同定に相当する。
【0214】
次いで、SDS PAGEおよびSilverstainを介して異なる生成物間のナノベシクルタンパク質カーゴを評価した。異なる市販の生成物およびその平行したインハウスの生成物全体にわたるバンドパターンは、特徴的に異なることが判明した。興味深いことに、インハウスの、UBM、およびSISの両方の生成物は、同様のバンド染色パターンを示した(
図3D)。
【0215】
CD63およびCD81はとりわけ、エキソソームのための最も一般的に使用される検証表面マーカーである。ウエスタンブロット分析(
図3E)を使用して、CD63またはCD81についての全ての試料において陽性バンドは検出されなかった。陽性対照、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞エキソソームは、両方のマーカーについて陽性であったが、ヒトプール血清エキソソームは、CD63についてのみ陽性であった。これによって、ECM内に包埋されたナノベシクルおよびエキソソームが、循環エキソソームと異なる特徴(different characteristics then circulating exosomes)を有することが示される。
【0216】
ナノ粒子追跡分析(NTA)を実施して、各試料についてナノベシクルの平均サイズを決定した。全ての試料は、107nm〜216nmの範囲のナノベシクルサイズと一致することが判明した(
図3F)。
【0217】
(実施例5)
NGSは、ナノベシクルカーゴ内の固有のmiRNAシグネチャを発見する
異なる市販の生成物および平行したインハウス生成物からの単離されたECMナノベシクルを、RNAseで30分間処理して、RNA単離ステップの前に、脱細胞化プロセスからの任意のレムナントRNA(「フリーRNA」)を分解した。このステップを実施してRNA配列決定データが、ナノベシクル内のRNAのみを表すことを保証した。興味深いことに、ナノベシクルは、RNAカーゴを保護することができ、RNA濃度に顕著な変化は見られなかった。RNA配列決定を実施して、各試料中の別個の小RNAプロファイルを決定した。配列決定データは、ヒトゲノム(HG19)へのアライメントの前にfastQCを使用して品質チェックを受けた。次いで、さらなる分析のために試料を正規化し、miRBase(リリース21)にマッピングした。33〜240のmiRNAを、1試料あたりに同定して、MIRNAがECMに包埋されたナノベシクル中に豊富に存在することを確認する(
図4A)。インハウスの真皮試料は、最も少ない量の異なるmiRNAを示したが(33)、インハウスのUBMが最も多かった(240)。特に、市販の生成物とインハウスの生成物との間に50%超の相互のmiRNAが存在し、ACELL(登録商標)MATRISTEM(登録商標)とUBMとの間にはほぼ80%の重複があった(
図4A)。インジェヌイティ・パスウェイ・アナリシス(Ingenuity pathway analysis)(IPA)を使用して、経路、細胞および生理学的機能を同定した。注目すべきことに、全ての試料は、細胞発達、細胞の成長および増殖、細胞死および生存、細胞運動ならびに細胞周期に有意に関与することが見出された(
図4B)。さらに、miRNA同定により、結合組織の発達および機能(インハウスのUBMを除く)、生物体の発達(インハウスの真皮およびCOOK(登録商標)Biotechを除く)、および器官発達(BARD XENMATRIX(商標)を除く)においてある役割を果たすことが判明した(
図4C)。全ての試料由来のmiRNAもまた、生物損傷および異常に関与することが判明した。さらに、インハウスのUBMは、骨格および筋肉障害に関連する唯一の試料であった。これらの結果は、ECMが下流でその効果を達成するシグナル伝達を部分的に説明し得る。
【0218】
(実施例6)
ECM包埋ナノベシクルへの曝露は、細胞の挙動を変化させ得る
UBMから単離されたナノベシクルを、オレンジアクリジン(Orange Acridine)化学に基づいて標識した。
図5Aにおいて、赤色蛍光はRNAを示すが、緑色蛍光はDNAを示す。成功したナノベシクルの内容物標識、ならびに筋肉の筋芽細胞(myoblat)C2C12細胞によって飲み込まれたナノベシクルカーゴが実証された。この実験は、単離されたナノベシクルの内容物が標的細胞と一体化し得るという概念の証明である。
【0219】
神経芽腫細胞(N1E−115)は、UBM−ECM分解生成物処理の5日後に神経突起伸長を有することが見出された。その効果は、コラゲナーゼ消化されたUBMから単離されたナノベシクルのみを使用して模倣された。印象的には、UBMナノベシクルへの曝露後から3日以内に、N1E−115細胞は神経突起伸長を示したが、対照群では変化は証明されなかった(
図5B)。
【0220】
次いで、ナノベシクルへの血管周囲幹細胞(PVSC)の曝露が、コンフルエントな培養物中のスクラッチされた領域を再増殖させる能力に影響を及ぼし得るかどうかを決定した。
図5Cに示されるように、ナノベシクルに曝露されたPVSCは、曝露の24時間後にスクラッチアッセイにおいて傷ついた領域にわたって完全なコンフルエンスを回復する速度がより速かった。さらに、対照と比較して、ナノベシクルへの曝露の96時間後に細胞カウントの増加が認められた(
図5D)。
【0221】
ECM包埋ナノベシクルの効果を、マクロファージの分極について評価した。ECM分解生成物(UBMおよびSISなど)がM2「様」表現型を促進し得ることが示されている(Sicariら、Biomaterials、2014年10月;35巻(30号):8605〜12頁)。BMDMを、UBMから単離したナノベシクルに24時間曝露した。ナノベシクルへの曝露は、IL−4曝露対照と同様に、M2「様」マクロファージ活性化を促進した。M2マクロファージ表現型は、Fizz−1免疫蛍光染色を使用して確認された。特に、M1マーカーiNOSでは変化は認められなかった。
【0222】
qPCRを使用して、遺伝子発現を、24時間THP−1細胞におけるナノベシクル曝露後のM1およびM2関連マーカーの両方について調べた。M1マーカーには有意な変化が認められた。TNF−a、STAT5A/BおよびIRF5遺伝子発現レベルの上昇が観察されたが、STAT1/2発現レベルは低下した。M2関連マーカーパネルでは、TGM2およびIRF4の両方がナノベシクルの曝露後に増加を示したが、IRF4のみが統計的に有意であることが判明した。
【0223】
(実施例7)
追加の単離方法
図8Aおよび8Bに示されるプロトコールによって、組織内のエキソソームを単離することが可能になる。組織片(前処理、凍結乾燥、凍結であっても、生検、剖検または他の供給源から採取してもよい)をまず酵素消化し、次いで、分別遠心分離を行い、細胞、細胞レムナントおよび最終の試料では望まれない場合がある他の汚染物質を除去する。これらの遠心分離ステップの後、上清を、ヨージキサノール、スクロースまたは他の密度勾配媒体から作製することができる密度障壁を含む勾配上に配置する。この媒体の濃度は、単離されるエキソソームの組織およびプロファイルに応じて変えてもよい。次いで勾配を超遠心分離し、密度障壁の画分を回収し、もう一度超遠心分離して密度勾配媒体および他の望ましくないレムナントを洗浄する。最終的に保存されたペレットは、組織の最初の部分から単離されたエキソソームである。
【0224】
組織から回収されたエキソソームは、本明細書に開示される方法のいずれかで使用してもよい。これらの方法はまた、プロファイリング、細胞の処理、および組織試料中に存在するエキソソームのさらなる特徴付けにも役に立つ。
【0225】
(実施例8)
細胞を動員し、細胞成長を促進し、細胞分化を促進するためのECM−ナノベシクルの使用
以前の研究によって、(無細胞)ECM生体足場材料が、構成的で機能的な骨格筋の修復および再生を容易にし得ることが示されている(Maseら、Orthopedics.2010年;33巻(7号):511頁;Sicariら、Tissue Eng Part A.2012年;18巻(19〜20号):1941〜1948頁)。ECMナノベシクルは、インタクトなECM足場で観察される機能的筋肉リモデリング応答を再現し得る。筋肉容積損失のマウスモデルが使用される。筋肉損傷の部位にECM足場を配置すると、構成的リモデリングの結果に向かう瘢痕組織沈着のデフォルト応答から有意な逸脱が生じることが示されている(Sicariら、Tissue Eng Part A.2012年;18巻(19〜20号):1941〜1948頁)。ECM−ナノベシクルは、内因性幹細胞/前駆細胞の動員および分化、局所血管新生、自然免疫応答の神経支配およびモジュレーションを含むインタクトな生物学的足場に起因する多くの効果を容易にする。
【0226】
a.筋肉容積損失のマウスモデル:これらの研究では、αSMAプロモーターの制御下でGFPを発現するαSMA−GFPマウスモデル(C57BL6)を使用する。このトランスジェニックマウスモデル(Yokotaら、Stem Cells.2006年;24巻(1号):13〜22頁;Kalajzicら、Bone.2008年;43巻(3号):501〜510頁)は、骨格筋の再生中の浸潤前駆細胞の運命の追跡が可能になる。マウスの大腿四頭筋には重大なサイズの欠損が生じる。手短に述べると、大腿部の近位−遠位軸に平行に走る0.5〜1.0cmの切開部を、大腿四頭筋に直接作る。滅菌生検パンチを使用して、およそ3mm
2(およそ70%の欠損)の筋肉の切片を除去する。欠損部は、以下の試験品の1つで置き換えられる:1)ECMヒドロゲル、2)滅菌PBS中に懸濁されたECM−ナノベシクル、または3)PBSビヒクル対照。修復されていない欠損は対照群として働く。ECM−ヒドロゲル試験品は、欠損部内に積層され、同じECMのシートで覆われ、非分解性ポリプロピレン縫合糸が配置されることにより、組織採取時の損傷および/または移植部位が明確に識別される。ECM−ナノベシクルおよびPBS対照処置は、損傷部位の境界にある創傷縁に直接注射することによって投与される。ナノベシクル定量および用量応答実験を指標基準として使用してin vivo研究に使用するための適切な濃度を決定する。ECM−ナノベシクル処置を受けている動物は、無作為に2つの別々の群に分けられる:第1群は損傷時に単回注射を受け、第2群は損傷後4日目および7日目に追加の注射を受ける。マウスは、術後早期の時点(3、6、12および24時間)および後期の時点(4、7、14および28日)を含む指定された時点で屠殺される。各時点で、欠損部位には、周囲の天然組織のごく一部が外植される。試料サイズは、<0.05の有意性を達成する検出力分析によって決定して、統計分析を実施する。
【0227】
組織形態学的分析。外植した標本をホルマリンに固定し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色する。組織学的切片は、炎症性および組織リモデリング応答の局面について以前に検証された定量的判定基準を使用して評価する(Valentinら、J Bone Joint Surg Am.2006年;88巻(12号):2673〜86頁)。判定基準には、細胞浸潤密度、浸潤細胞の表現型、血管分布、結合組織構築、封入、および移植部位内の筋細胞の存在が含まれる。形態学的評価において、縫合部位は回避される。
【0228】
免疫標識によるマクロファージ表現型の決定。以前の報告(Brownら、Acta Biomater.2012年;8巻:978号、2012頁)の通りに、移植部位の切片に対して免疫標識を実施する。各外植標本を、汎マクロファージマーカー(CD68)、M1マクロファージ表現型マーカー(CCR7)、およびM2マクロファージ表現型マーカー(Fizz1)に対する抗体に曝露する。免疫標識した標本を、Nuanceマルチスペクトルイメージングシステムを備えたNikon e600顕微鏡を使用して検査して画像化する。蛍光画像は、自家蛍光除去および定量分析のためにスペクトル非混合および再着色を受ける。M1(CCR7+)細胞に対するM2(Fizz1+)細胞の数の比を決定するために、画像を盲検法で評価する。
【0229】
機能評価。リモデリングされた組織の機能性は、in vitro筋肉収縮研究によって評価される。in vitroの器官浴システムを使用して、電界刺激に応答して、リモデリングされた筋肉および傷のない筋肉の両方からの孤立した大腿四頭筋の筋条片によって生成される収縮力を研究する。最大の攣縮応答を生じるための最適な電圧および組織の長さが決定され、記録される。再生された組織の機能的神経支配もまた、標識されたアルファ−ブンガロトキシンを使用して評価され、神経線維および機能的モーターエンドプレートを同定するためにベータ−チューブリン3について免疫標識される。筋肉収縮とニューロン標識との組合せは、筋肉の強度および機能の評価を容易にする。
【0230】
血管周囲細胞の遊走。損傷部位への血管周囲前駆細胞の浸潤を、CD146およびNG2の陽性染色と共に共局在化したGFPシグナルの検出によって評価する。骨格筋のマーカー(MyoD、骨格筋アクチン、ミオシンおよびカルセケストリン)、神経のマーカー(ベータ−チューブリン3、ニューロフィラメント、GFAP)および血管のマーカー(CD31、フォンビルブラント因子)を使用して、経時的な骨格筋欠損の組織リモデリングに対する血管周囲細胞の寄与を、組織学的に評価する。これらのマーカーとGFP標識との共局在は、これらの細胞の骨格筋組織リモデリングの重要な構造への分化を同定するために使用される。さらに、血管周囲細胞の免疫マーカー、すなわちCD146、NG2およびCD133を使用して、リモデリングされた組織内の未分化血管周囲細胞の存在を確認する。筋肉切片をまた、増殖から分化への再生におけるシフトを形態学的に評価するために、細胞増殖の複数のマーカー(例えば、Ki67、PCNA)に関して免疫組織化学的に染色する。
【0231】
生体足場から単離されたECM−ナノベシクルの添加は、構成的M2様マクロファージ表現型に向かう免疫調節応答、および神経支配の増加を伴う、新生筋線維への遊走する血管周囲細胞の分化の増加を促進する。しかしながら、改善は達成されるが、全ての筋肉機能の完全な回復はない。
【0232】
したがって、ECM包埋ナノベシクルは、循環エキソソームとは異なる生物学的特性および機能を有する独特のクラスのエキソソームを表し、構成的、機能的リモデリングに関連するECM足場の誘導特性の多くを媒介する。
【0233】
(実施例9)
ECM由来ナノベシクルは、ECMをPBSに再懸濁させ、塩(KCl)を添加することにより単離され得る
膀胱由来の凍結乾燥ECM(UBM)100mgをPBSに再懸濁させ、37℃で30分間水和させ、次いでUBM−PBS懸濁物に異なる濃度のKClを添加した。KClを有する懸濁物を4℃で1時間インキュベートした。試料を4,500Gで30分間遠心分離してECM成分を除去し、上清を回収し、0.2uMフィルターに通し、超遠心分離管に移し、そこで100,000Gで2時間超遠心分離してペレットにし、MBVを得た。
【0234】
実施例9〜14)における膜結合ベシクル(MBV)とも呼ばれるECM由来ナノベシクルの量を、RNase処理後のRNAの量を測定することによって比較した。最終試料を、0.5ug/uLの濃度で、RNase Aを用いて20分間37℃で処理し、次いで試料からRNAを単離し定量した。MBVなどの細胞外ベシクルは、RNaseによる分解からRNAを保護することが公知であるので、得られるRNAの量はMBVの量に関係する。なぜなら保護されていないRNAはRNaseによって分解され、定量不能であるからである。
【0235】
この方法により、PBSにKClを添加すると、MBVの量を表すRNase耐性RNAの量が増加するが、0.4Mを超えるKClの追加濃度は、単離され得るMBVの量を増加させなかった(
図9A)。透過型電子顕微鏡法は、KClを使用して単離されたMBVの特徴的な形態およびサイズを示す(
図9B)。
【0236】
(実施例10)
MBVの塩単離によって、酵素単離に匹敵する数のMBVが得られる
異なる方法で得られたMBVの量を比較するために、2つの酵素に基づく方法(コラゲナーゼおよびプロテイナーゼK)およびKClによる塩単離を使用してMBVを単離した。次いで、MBVを、RNase処理の前および後でのRNA量に基づいて定量した。
【0237】
RNase処理の前および後のRNA量の間に有意差は見られず、これによって、ベシクル外のRNAの量がプロテイナーゼKおよびKClについて最小であることが示唆された。コラゲナーゼ−単離MBVのRNase処理の前および後の差はより大きかった。これは、RNAの外部供給源を示唆している。コラゲナーゼは細菌から精製されているので、コラゲナーゼ由来の追加のレムナントRNAを含み得る可能性がある。酵素の使用を取り除くことができることは、酵素調製物に含めることができるものなどの調製物への望ましくない外来要素の導入を防止する。
【0238】
18時間および24時間プロテアーゼK処理後単離したMBVの量に差はなく、この方法で得られるMBVの最大量に達したことが示唆された。KCl単離MBVから同じ量が得られ、これらの方法は同様の効率を有することが示された。24時間の1mg/mLの濃度のコラゲナーゼは、プロテイナーゼKおよび塩(KCl)の使用の両方よりも多くの量のMBVを産生する(
図10)。
【0239】
(実施例11)
より高純度のKCl単離MBVによって、限外濾過のような細胞外ベシクルを単離するための効率的な方法の使用が可能になる
超遠心分離は、収量と純度との間の適切なバランスを提供するので、細胞外ベシクルを単離するために最も一般的に使用される方法である。タンパク質の富化に使用される限外濾過などの方法は、試料中に存在するタンパク質を共単離する(co-isolate)ので、純度を犠牲にして、より高い収量が得られる。酵素は、限外濾過がMBVから分離することができないECM成分の消化から小さな断片を生成するので、限外濾過は、その収量が高いにもかかわらず、酵素に基づくMBV単離には実現不可能である。さらに、限外濾過は、タンパク質を濃縮する方法であるため、最終MBV調製物においてECMの消化に使用される酵素を濃縮することになる。MBVの解離のための塩の使用は、マトリックスから断片を生成せず、ECMを懸濁状態に維持する。MBVが上清中に保持されているままで、定期的な遠心分離ステップでECMを除去することができる。MBVを有するこの上清は、MBVを単離するために限外濾過してもよい。
【0240】
コラゲナーゼ0.1mg/mLを含む超遠心分離(UC)で単離されたMBVの量を、UCおよび限外濾過(UF)の両方でKClを用いて単離されたMBVと比較した。KClがECM中に存在する全てのMBVを解離できるかどうかを決定するために、0.8M KClへの曝露後のペレット化ECMを、0.1mg/mLのコラゲナーゼで消化し、これによってKCl処理後にECM中に依然としてMBVが残っていることが示された。KClおよび限外濾過の使用は、比較した全ての方法のうちMBVの最高量をもたらし、4倍高い収量を示した(
図11A)。限外濾過で得られたこれらのMBVを次いで、NANOSIGHT(登録商標)を使用して分析し、限外濾過がベシクルを保存していることを確認した(
図11B)。
【0241】
(実施例12)
限外濾過の使用によって、PBSを使用してMBVを単離することが可能になる
リン酸緩衝食塩水は、0.01mM PO
43−、0.137M NaCl、および0.0027M KClから構成される。NaClおよびKClの組合せは0.139Mの総塩濃度に相当する。低くても、限外濾過によって高収量でMBVを単離することが可能になれば、MBVを、PBSを使用するだけで単離することができる(
図4A)。それがPBS内の塩の効果であり、ECMの再懸濁ではないことを実証するために、試料を水に再懸濁させ、これはMBVを生成しなかった。
【0242】
再懸濁のための水の使用はまた、水などの低張性媒体中にECMを置くことがMBVの破裂につながる可能性があるかという疑問の発生につながる可能性があり、これは上記の水調製物においてMBVがない原因である。この疑問に答えるために、PBSで単離したMBVを、限外濾過カラム中で媒体交換し、それによってPBSで単離したMBVを水に再懸濁させた。MBVは、
図4Bに示すように混合物中でなお検出可能であった。さらに、MBVが塩の使用によって単離されたことをより明確に示すために、ECMを、KClを含むまたは含まないリン酸カリウム(KH
2PO
4)バッファーに再懸濁させた。MBVはKH
2PO
4バッファーだけでは単離不能であった。しかし、KClを添加すると、MBVが得られた(
図4B)。
【0243】
(実施例13)
塩単離MBVは、酵素単離MBVに匹敵する生物学的活性を有する
塩の使用によりECMから解離および単離されたMBVが、酵素の使用により単離されたMBVと同じ生物学的特性を有するかどうかを試験するために、マウス骨髄由来マクロファージを、両方の方法によって単離したMBVに24時間曝露した。同じ容量のMBVを、酵素単離および塩単離(BMDM媒体1mLあたり30uL)MBVに使用し、多量の塩単離MBVもまた試験した(60uL/mL)。24時間の曝露後、RNAを細胞から回収し、RT−PCRを実施し、定量的PCRを使用してCD206、PDK4、STAT1 TNFa KLF4、ARG1、INOS)の遺伝子発現を分析した。結果により、同じ容量および時間への曝露で、コラゲナーゼの酵素使用および塩によって単離されたMBVは遺伝子発現に対して同様の効果を有するが、塩単離MBVは、コラゲナーゼ単離MBVおよびコラゲナーゼ対照(Collagenase Control)よりも低いINOSおよびARG1発現を誘発したことが示される(
図5B)。これは、酵素に基づく方法によって共単離される酵素消化によって生成されるECM断片に起因する可能性がある。コラゲナーゼはこれらのMBVの単離のための酵素として使用されたので、また、同じ単離プロトコールを通じて、ただしECMの添加なし(コラゲナーゼ対照)で行った、MBVを単離するために使用したコラゲナーゼと同量のコラゲナーゼを使用して得られた試料でBMDMを処理した。結果が示すように、レムナントコラゲナーゼ酵素はまた、細胞における遺伝子発現に影響を及ぼし得る。
【0244】
(実施例14)
腫瘍細胞へのMBVの効果
図14および15は、マトリックス結合ナノベシクルの腫瘍細胞への効果を示す結果を提供する。2つの典型的なタイプの腫瘍、神経膠腫および食道がんに対する効果が示される。
【0245】
(実施例15)
マトリックス結合ナノベシクルは、マクロファージ表現型に対する細胞外マトリックス効果を再現する
最近記載されたECM由来ナノベシクルはまた、マトリックス結合ベシクル(MBV)とも呼ばれ、それらが由来するECM生体足場のマクロファージ活性化効果を再現し得ることが実証された。特定のmiRNA、miRNA125b−5p、143−3p、および145−5pの阻害は、それらのMBV処理された対応物と比較した場合、反対の遺伝子発現プロファイルおよびタンパク質発現をもたらし、調節マクロファージ表現型の促進におけるそれらの潜在的な役割を示唆した。したがって、MBVおよびそれらのmiRNAカーゴは、ECM生体足場に対するマクロファージ応答および構成的リモデリングプロセスにおいて全体として重要な役割を果たす。
【0246】
粒状UBM−ECMまたはSIS−ECMを、0.1%コラゲナーゼ溶液を用いて室温で16時間酵素消化した。得られたECMを、漸増するgの力で遠心分離に付し、MBVを抽出した。MBVは、透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用して100,000倍の倍率で視覚化した(
図16A)。MBVの細胞取り込みは、アクリジンオレンジでMBVを標識することによって決定した。標識されたMBVは、培養培地へのそれらの添加の2時間後にBMDM内で可視であった(
図16B)。マクロファージ活性化に対するMBVの効果を、表面マーカー、サイトカイン、転写因子および代謝マーカーを含むマクロファージ活性化の25超の一般に使用されるマーカーのqPCR分析によって評価した。MBVで処理したマクロファージの遺伝子発現プロファイルは、ECMで処理したマクロファージの遺伝子発現プロファイルとほぼ同一であった(
図16C)。ペプシンまたはコラゲナーゼへのマクロファージの曝露後に、遺伝子発現にほとんどまたは全く効果は観察されず、これによってMBVを抽出する前にECMを消化するために使用されるこれらの酵素がマクロファージの活性化に関与しないことが示された。BMDMのIFNγ+LPS(M
IFNγ+LPS)またはIL−4(M
IL−4)に対する曝露は、対照的なプロファイルで遺伝子発現の顕著な変化をもたらした。
【0247】
図17に示すように、免疫標識を実施してBMDMのタンパク質発現を評価した。遺伝子発現結果と同様に、MBV処理群は、ECM処理群とほぼ同じタンパク質発現プロファイルを有していた。しかし、遺伝子発現データとは対照的に、ECM群およびそれらの対応するMBV群の両方とも、IFNγ+LPS処理群ではなくIL−4処理群と同様のタンパク質発現プロファイルを有していた。SIS−ECMおよびUBM−ECMならびにそれらの対応するMBVによるマクロファージ処理は、Fizz−1およびArg−1(M
IL−4表現型に関連するマーカー)の陽性発現をもたらした。iNOS発現は、SIS−MBV群でのみわずかに検出されただけであった。TNF−αは、UBM−MBV群においてのみ検出可能であった。TNF−αおよびiNOSは両方とも、M
IFNγ+LPS表現型に関連するマーカーである。これらのタンパク質の発現は対照群には認められなかった。細胞の99%超がF4/80を発現し、マクロファージの分化状態が確認された。
【0248】
図18に示すように、MBV−SISで処理したマクロファージの分泌生成物は、トリプシン大豆ブロス対照と比較した場合、S.aureusの成長を有意に低減させた(p=0.033)。miR−125、miR−143、およびmiR−145の各阻害剤またはそれらの組合せ(混合:Mix)で処理したマクロファージの馴化培地は、S.aureusの成長を低減させなかった。対照的に、スクランブル対照(Scr)で処理されたマクロファージの分泌生成物は、トリプシン大豆ブロス対照と比較した場合、S.aureusの成長を有意に低減させた(p=0.018)。
【0249】
ナイーブおよびIL−4処理マクロファージは一酸化窒素を産生しなかった。IFN−γ/LPSで処理したマクロファージは、一酸化窒素の有意な増加を生じた。UBMに由来するMBVは、一酸化窒素産生を有意に増加させる唯一の処理群であり、UBM MBVが潜在的に、マクロファージの炎症促進応答または抗菌活性に対して効果を有することを示唆した。miR処理は、一酸化窒素活性の増加をもたらさなかった。
【0250】
FITC−E.coli粒子の取り込みによって測定される食作用の基礎レベルは全てのマクロファージによって示された。IFN−γ/LPSで処理すると、食作用活性が有意に増加した。ECMおよびECM由来MBV処理は、食作用による取り込みの有意な増加をもたらした。MBVを示すデータは、食作用を誘導するのにより強力である場合があり、またはECM足場から放出されるときにより活性になる場合がある。UBMまたはSISで処理したマクロファージ間の食作用には有意差はなかった。しかし、UBM由来MBVは、SIS−MBVで処理したマクロファージと比較してマクロファージ食作用の有意な増加を引き起こした。
【0251】
UBM−MBVおよびSIS−MBVを、RNaseで30分間処理して、ECM脱細胞化プロセスまたはMBV単離プロセスの間に蓄積した可能性があるレムナントRNAを分解した。次いでRNase反応を停止し、RNAをMBVから単離した。MBVから抽出したRNAから小さいcDNAライブラリーを構築した。このライブラリーはイオンプロトンプラットフォームで読み取った。配列決定データは、ヒトゲノムとのアライメント前にサイズおよびPhredスコアに基づいてトリミングした。小RNA読み取りの34%超がヒトゲノム内の公知の配列にマッピングされていた。読み取りはmiRBase(リリース21)にアノテーションされた。UBM−MBVおよびSIS−MBVにおいて最も頻繁に同定されたmiRNA配列を以下の表に示す:
【表2】
【0252】
強調されたmiRNAは、マクロファージの活性化に関与しているので、下流の分析のために選択した。(Chaudhuriら、J Immunol、2011年、187巻(10号):5062〜8頁;Banerjeeら、J Biol Chem、2013年、288巻(49号):35428〜36頁;Zangら、Int J Mol Med、2013年、31巻(4号):797〜802頁)。MBVがマクロファージを活性化する機構を調べるために、miR−145−5p、miR−143−3pおよびmiR−125b−5pをBMDMにおいて阻害した。miRNAの成功した阻害は、qPCRによって示された(
図19A)。miR−145発現レベルは70%を超えて低減し、miR−143発現レベルは65%低減し、miR−125b発現レベルは95%を超えて低減した。
【0253】
マクロファージは、損傷後の正常な治癒および正常組織発生の重要な調節因子であることが示されている。本明細書では、MBVは、マクロファージ表現型に対するECM全体の効果を大まかに再現できることが開示されている。したがって、マクロファージ表現型を改変するために、例えば調節性マクロファージを誘導するために、ECMのようなMBVを使用することができる。
【0254】
開示された発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮して、図示された実施形態は本発明の好ましい実施例であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことが認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、これらの請求項の範囲および精神の範囲内にある全てを本発明者らの発明として請求する。