(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定部より背面側に突出する前記枠部の突出幅と、前記固定金具の厚みとがほぼ等しく設定され、前記装置筐体と前記固定金具の装着時、前記固定金具が前記枠部内に内包されることを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リモコン装置の装置筐体には回路基板が設置され、この回路基板には表示素子、スイッチ、プロセッサなどが搭載されている。このため、装置筐体と壁面側の固定金具の固定や、その固定構造には、回路基板側の部品配置で制約を受けることになる。
【0006】
装置筐体の背面側を塞ぐ部材として背面カバーを設置すれば、背面部材や回路基板を固定金具から離すために壁面から装置本体の厚み方向の高さが必要となるし、背面部材を備える分だけ部品点数が増加する。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、部品点数の削減、取付け構造の簡略化、組み立て取付け作業の容易化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のリモコン装置の一側面によれば、壁面に取付けられる固定金具に、回路基板を備えた装置筐体が装着されるリモコン装置であって、前記固定金具に形成され、鉤部と溝部を有する係合凸部と、前記固定金具に形成された係止孔と、
前記装置筐体に前面板と該前面板の周縁を周回する枠部とともに備えられ、前記枠部から内周側に向かって張り出すとともに前記固定金具に対向して設けられ、前記前面板との間に設けられた支持壁によって支持される固定部と、前記装置筐体
の前記固定部に形成され、前記係合凸部が挿入される係合孔と、
前記装置筐体の前記固定部に、前記装置筐体の背面側に突出して形成された弾性突起とを備え、前記係合凸部が前記係合孔に挿入され、前記鉤部が前記装置筐体に係止するとともに前記溝部に前記係合孔の縁部が挿入されると、前記弾性突起が前記係止孔に係止して圧縮されることで前記弾性突起の弾性復元力が前記装置筐体と前記固定金具との間に作用し、前記装置筐体が前記固定金具に固定される。
【0010】
上記リモコン装置において、前記固定部より背面側に突出する前記枠部の突出幅と、前記固定金具の厚みとがほぼ等しく設定され、前記装置筐体と前記固定金具の装着時、前記固定金具が前記枠部内に内包されてもよい。
【0011】
上記リモコン装置において、浴室に設置される浴室リモコン装置が備える複数のリモコン機能から選択された1または2以上のリモコン機能を備えればよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
(1) 装置筐体に固定金具と対向する固定部と、固定金具を固定する挿抜機構部を備えて、装置筐体を固定金具に固定でき、壁面を以て装置筐体の背面側を塞ぐので、装置筐体の背面を塞ぐ背面部材や背面カバーを省略でき、部品点数の削減を図ることができる。
【0013】
(2) 装置筐体に配置される回路基板を避けて固定金具に装置筐体を固定する挿抜機構部を備えているので、装置筐体と固定金具の固定に回路基板の制約を受けることがなく、取付け構造の簡略化により製造上、組み立ての容易化とともに、施工上、取付け作業の容易化を図ることができる。
【0014】
(3) リモコン装置の偏平化を図ることができ、壁面からの突出を小さくできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、一実施の形態に係るリモコン装置2の分解状態を示している。図示の構成は一例であり、係る構成に本発明が限定されるものではない。
このリモコン装置2には構成部品の一例としてケース本体4、操作パネル6、回路基板8および固定金具10が備えられる。
【0017】
ケース本体4は装置筐体の一例である。ケース本体4には成形材料としてたとえば、合成樹脂が用いられ、この合成樹脂の成形体が用いられる。このケース本体4には前面板12および枠部14が備えられる。前面板12は一例として正方形の角部を曲面化し、その前面は平坦面に形成されている。この前面板12には、中間上部に放音口部16、窓部18−1、18−2、18−3、18−4、18−5、中央部に押しボタン部20−1、20−2、下部に押しボタン部20−3、20−4が形成されている。
【0018】
枠部14は同一幅の枠体であって、前面板12の周縁を周回し、前面板12の前面側に僅かの突出縁部22を備える。この枠部14の内側には操作パネル6が設置され、操作パネル6が前面板12を被覆する。
【0019】
操作パネル6には柔軟性を備える合成樹脂材料が用いられる。この操作パネル6には透光部24および遮光部26が形成され、透光部24側に表示窓部28、膨出部30−1、30−2が形成され、遮光部26に膨出部30−3、30−4が形成されている。透光部24は前面板12の表面を隠蔽するとともに、発光素子が発する光の透過機能を備えるエリアであり、遮光部26は光遮断機能を備えるエリアである。この表示窓部28は文字表示などに用いられる。膨出部30−1、30−2、30−3、30−4は前面側に僅かに突出した湾曲部であり、押しボタン部20−1、20−2、20−3、20−4の操作エリアである。
【0020】
表示窓部28側には「給湯」や「℃」などの表示32を備える。膨出部30−1、30−2は温度の上昇または下降の方向性を表す形状に形成され、その内部に上昇方向または下降方向を表す表示32を備える。
【0021】
膨出部30−3は一例として長方形状であり、この膨出部30−3には「ふろ自動」を表す表示32を備えるとともに、動作時に点灯させる帯状の表示部34−1が備えられる。膨出部30−4は一例として円形であり、この膨出部30−4には「運転の入/切」を表す表示32、膨出部30−4と同心円状の透光部である表示部34−2、動作時に点灯させる長円状の表示部34−3が備えられる。
【0022】
前面板12の背面側には回路基板8が設置される。この回路基板8は一例として、長方形状基板であり、告知手段の一例としてブザー36、表示素子の一例として7セグメントディスプレイ (seven-segment display)38の他、スイッチ40−1、40−2、40−3、40−4や、図示しない複数の発光素子が配置される。この回路基板8には複数の固定孔42が備えられ、各固定孔42に固定ビス44を貫通させて前面板12の背面部に回路基板8を固定する。
【0023】
固定金具10には金属や合成樹脂などの剛性材料が用いられ、台所などの壁面46に複数の固定ねじ48を用いて取り付けられる。この固定金具10には上下縁部を前方に折り曲げた補強部50−1、50−2、左右縁部側に挿抜機構部52の係合凸部54−1、54−2、54−3、54−4および係止孔56−1、56−2と、固定ねじ48を挿通させる複数の固定孔58と、回路基板8に接続する配線を通す通線窓部60とが備えられる。挿抜機構部52は、壁面46に取り付けられた固定金具10にケース本体4を挿抜させ、固定金具10にケース本体4を固定する機構である。
【0024】
図2は、壁面46に設置されたリモコン装置2を示している。動作時、表示窓部28には温度表示として現在の温度62が表示される。このとき、表示窓部28の左側に発光素子の点灯によって動作中表示64−1、表示窓部28の右側に燃焼中を表す燃焼表示64−2、優先表示64−3、高温表示64−4が表示される。
【0025】
膨出部30−3には自動運転時、発光素子の点灯によって表示部34−1がたとえば、赤色に発光する。また、膨出部30−4には発光素子の点灯によって表示部34−2、34−3が発光する。
【0026】
この壁面46上のリモコン装置2について、
図3のAは
図2のIIIA−IIIA線断面、
図3のBは
図2のIIIB−IIIB線断面を示している。ケース本体4は
図3のAに示すように、台所などの壁面46に固定された固定金具10に装着される。固定金具10は
図3のBに示すように、固定ねじ48を用いて壁面46に強固に取り付けられている。
【0027】
<挿抜機構部52>
図4のAはケース本体4の背面を示し、
図4のBは壁面46に設置された固定金具10の正面を示している。
【0028】
固定金具10にケース本体4を挿抜させる挿抜機構部52は固定金具10およびケース本体4によって構成されている。ケース本体4の背面左右側には、挿抜機構部52の固定部66−1、66−2が備えられている。各固定部66−1、66−2は、ケース本体4と同様の合成樹脂で成形された板状部であって、ケース本体4の背面縁部より僅かに前面側に後退し、かつ回路基板8を避けた部位で、回路基板8と重ならない範囲に形成されている。各固定部66−1、66−2には対向する縁部側に台形状の張出部68が形成されている。各固定部66−1、66−2とケース本体4との間には複数の支持壁69−1、69−2が備えられている。各支持壁69−1、69−2は、各固定部66−1、66−2とケース本体4の前面板12との間隔を一定に保持するとともに、各固定部66−1、66−2をケース本体4に強固に保持する。この例では各支持壁69−2が張出部68側に設けられ、張出部68が補強されている。
【0029】
ここで、ケース本体4に設置される回路基板8の幅をW1、固定部66−1、66−2の張出部68間の幅をW2とすると、W2>W1の関係にある。W2−W1=ΔWであり、ΔW/2の間隔が余裕幅である。
【0030】
固定部66−1には、係合孔70−1、70−2および弾性突起72−1が形成され、固定部66−2には、係合孔70−3、70−4および弾性突起72−2が形成されている。各係合孔70−1、70−2、70−3、70−4は、固定金具10の係合凸部54−1、54−2、54−3、54−4が挿通し摺動可能な長孔である。
【0031】
弾性突起72−1は、ケース本体4の内側方向側に設置して係合孔70−1、70−2の中心線y1を避けて張出部68に設置されている。弾性突起72−2も同様に、ケース本体4の内側方向側に設置して係合孔70−3、70−4の中心線y2を避けて張出部68に設置されている。係合孔70−1、70−2側の中心線y1は固定金具10の係合凸部54−1、54−2側の中心線y1に対応する。係合孔70−3、70−4側の中心線y2は固定金具10の係合凸部54−3、54−4側の中心線y2に対応する。同様に、弾性突起72−1、72−2側の中心線y3、y4は固定金具10の係止孔56−1、56−2側の中心線y3、y4に対応する。
【0032】
弾性突起72−1は、固定部66−1に透孔74を形成してU字形の弾性片76を形成し、この弾性片76の上面に円形の凸部78を形成し、この凸部78をケース本体4の背面側に向けて突出させている。同様に、弾性突起72−2も、固定部66−2に透孔74を形成してU字形の弾性片76を備え、この弾性片76に円形の凸部78を形成し、この凸部78をケース本体4の背面側に向けて突出させている。
【0033】
このケース本体4を挿抜させる固定金具10には
図4のBに示すように、各係合凸部54−1、54−2、54−3、54−4および各係止孔56−1、56−2が形成されている。
【0034】
図5のAは、挿抜機構部52の固定部66−1側を示している。固定金具10の各係合凸部54−1、54−2(54−3、54−4)には上方に向かって突出する鉤部80が備えられ、この鉤部80と固定金具10の本体側との間に溝部82が形成されている。これは、固定部66−2側も同様である。
【0035】
このとき、弾性突起72−1はケース本体4側の固定部66−1に押し当てられて維持され、弾性突起72−1から弾性復元力が固定部66−1に作用する。これは、固定部66−2側も同様である。
【0036】
図5のBは、
図4のAのVB−VB線断面を示している。固定部66−1、66−2は、ケース本体4の開口縁部より僅かに内側に形成されている。壁面46側の固定金具10の厚みをt1、固定部66−1、66−2より背面側に突出するケース本体4側の突出幅をt2とすれば、t1≒t2の関係がある。これにより、固定金具10は、固定部66−1、66−2の背面側のケース本体4の空間84に設置される。つまり、固定金具10は固定部66−1、66−2に重ねられてケース本体4内に内包される。
【0037】
図6のA、BおよびCは、ケース本体4と固定金具10を固定する挿抜機構部52の挿抜を示している。
【0038】
ケース本体4の装着時、
図6のAに示すように、壁面46に固定された固定金具10の各係合凸部54−1、54−2、54−3、54−4の位置にケース本体4の固定部66−1、66−2にある係合孔70−1、70−2、70−3、70−4を合わせる。この状態を維持しながら、
図6のBに示すように、各係合凸部54−1、54−2、54−3、54−4に固定部66−1、66−2にある係合孔70−1、70−2、70−3、70−4を挿入する。このとき、ケース本体4を固定金具10に対して矢印B1に示す方向に押し当てることにより、弾性突起72−1、72−2を圧縮させて後退させ、各係合凸部54−1、54−2、54−3、54−4を固定部66−1、66−2の係合孔70−1、70−2、70−3、70−4に挿入することができる。つまり、弾性突起72−1、72−2は押圧状態となり、弾性突起72−1、72−2が持つ弾性の復元力がケース本体4と固定金具10との間に作用し、両者の強固な保持状態が維持される。
【0039】
この挿入状態を維持しながら、
図6のCに示すように、固定金具10に対してケース本体4を矢印C1で示す方向にスライドさせると、各係合凸部54−1、54−2、54−3、54−4の鉤部80が係合孔70−1、70−2、70−3、70−4の縁部の背面側に滑り込み、鉤部80と溝部82には固定部66−1、66−2が挿入され、固定金具10と固定部66−1、66−2が係合する。
【0040】
このとき、弾性突起72−1、72−2はケース本体4側の固定部66−1、66−2に押し当てられ、弾性突起72−1、72−2の弾性復元力が固定金具10に作用するとともに、係止孔56−1、56−2に嵌まり込む。つまり、弾性突起72−1、72−2の弾性復元力により、ケース本体4は固定金具10の前方向に押し出されるように保持される。固定部66−1、66−2が係合凸部54−1、54−2、54−3、54−4と強固に固定され、ケース本体4が固定金具10に装着される。
【0041】
固定金具10からケース本体4を外すには、弾性突起72−1、72−2の弾性復元力に打ち勝つ力をケース本体4に加えることにより、
図6のCに示すように、矢印C2で示す方向にケース本体4をスライドさせ、
図6のBに示すように、弾性突起72−1、72−2と係止孔56−1、56−2との係止を矢印B2に示す方向に移動させて解除すれば、弾性突起72−1、72−2の弾性復元力でケース本体4が前方に移動し、固定金具10からケース本体4を外すことができる。
【0042】
<リモコンシステム90>
図7は、リモコン装置2を用いた給湯機器94のリモコンシステム90を示している。このリモコン装置2を用いたリモコンシステム90ではマスターリモコンであるたとえば、ふろリモコン装置92と併用される。このふろリモコン装置92は浴室リモコン装置の一例であり、給湯機器94の制御部96で制御され、給湯温度表示機能98、優先動作表示機能100、ふろ自動機能102、運転スイッチ機能104、温度調整機能106、ふろ追焚機能108など、複数のリモコン機能を備える。これに対し、リモコン装置2では制御部96で制御されるとともに、ふろリモコン装置92のリモコン機能から選択されたたとえば、給湯温度表示機能98、優先動作表示機能100、ふろ自動機能102、運転スイッチ機能104など、ふろリモコン装置92に対して限定された機能が備えられる。
【0043】
<一実施の形態の効果>
(1) 固定金具10とケース本体4を挿抜させる挿抜機構部52をコンパクト化でき、ケース本体4が偏平化されるので、壁面46からケース本体4の突出量を低減できる。
【0044】
(2) ケース本体4側の固定部66−1、66−2は、ケース本体4に設置される回路基板8を避け、回路基板8と重ならないので、ケース本体4の偏平化に寄与する。
【0045】
(3) ケース本体4から背面部材や背面ケースを省略でき、リモコン装置2の部品点数を削減でき、低コスト化を図ることができる。
【0046】
(4) 固定金具10と着脱可能な固定部66−1、66−2は合成樹脂などの成形体でケース本体4と一体化でき、構造の胆略化、部品点数の削減とともに、製造上、組み立ての容易化が図られる。また、固定部66−1、66−2との一体化でケース本体4の堅牢化を図ることができる。
【0047】
(5) 固定部66−1、66−2はケース本体4に一体化とともに、ケース本体4との間に支持壁69−1、69−2によって平行且つ強固に維持され、ケース本体4と同様の機械的強度を備えている。このため、弾性突起72−1、72−2は、強固な固定部66−1、66−2をベースに素材の持つ弾性および復元力をケース本体4と固定金具10との間に作用させ、ケース本体4を固定金具10に強固に保持させることができる。
【0048】
(6) リモコン装置2は、ふろリモコン装置92などのマスターリモコンと併用してリモコンシステム90を構成でき、マスターリモコンの高機能化に対して簡易機能を搭載し、マスターリモコンとの機能分担により利便性を高めることができる。
【0049】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、マスターリモコンの高機能に対して選択された機能も持つ簡易機能化を図っているが、これに限定されることなく、マスターリモコンと同等の機能を備えてもよい。
【0050】
(2) 複数の機能を備えるマスターリモコンとして構成できるリモコン装置2を構成してもよい。
【0051】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。